JP4427454B2 - ワイパ装置 - Google Patents

Description

本発明は、ワイパ装置、特に、少なくとも１つのワイパアームと、衝突時に上昇可能なエンジンフードとを備えた自動車用のワイパ装置に関する。

図１には、歩行者１３との衝突後におけるウインドシールドガラス１０とワイパアーム１１とエンジンフード１２とが示されている。歩行者１３は最悪の場合、頭部が固いウインドシールドガラス１０に衝突し、かつ張り出している鋭角的なワイパアーム１１に衝突する。ウインドシールドガラス１０への衝突、特にワイパアーム１１への衝突によって、歩行者１３はひどい怪我をするおそれがある。事故時における歩行者安全性に関する将来の法律に基づいて、次のようなエンジンフードが、すなわち衝突時にエンジンフードの領域において持ち上がり、ひいては付加的な変形運動路（Verformungsweg）を有しているエンジンフードが、開発されている。この付加的な変形運動路はしかしながらワイパアーム１１によって邪魔されることがある。なぜならば、持ち上がったエンジンフードとワイパアーム１１とが互いにぶつかるおそれがあるからである。

本発明の課題は、冒頭に述べた形式のワイパ装置を改良して、衝突時に持ち上がるエンジンフードの変形運動路が邪魔されないようにすることである。

前記課題を解決するために本発明の構成では、ワイパ装置、特に自動車用のワイパ装置であって、少なくとも１つのワイパアームと、衝突時に上昇するエンジンフードとが設けられている形式のものにおいて、少なくとも１つのワイパアームが衝突時に、ウインドシールドガラスの下のポジションに、又は払拭ゾーンの領域におけるポジションに移動可能であるようにした。

本発明のように構成されていると、少なくとも１つのワイパアームが衝突時に、持ち上がるエンジンフードに対して付加的な変形運動路を解放し、その結果この変形運動路はエンジンフードの変形のために妨げられることなく利用されることができる。そのために少なくとも１つのワイパアームがウインドシールドガラスの下に移動させられ、その結果エンジンフードは、ウインドシールドガラスの下に移動した少なくとも１つのワイパアームを越えて運動することができるか、又は、ワイパアームが、少なくとも１つのワイパアームの変形運動路の外に位置している払拭ゾーンの領域に移動させられる。少なくとも１つのワイパアームが衝突時にウインドシールドガラスの下に移動させられると、ワイパアームはエンジンフードのための邪魔されない変形運動路を保証するのみならず、歩行者との衝突時に車両における歩行者の保護を付加的に高める。それというのは、この場合歩行者は、少なくとも１つのワイパアームの鋭角的な硬い部分において、特にワイパアームのジョイント部分と固定部分との間におけるジョイントにおいて、怪我をすることがもはやないからである。

衝突時に、少なくとも１つのワイパアームに配置されたワイパブレードが、ウインドシールドガラスの下に設けられたプラスチックカバーに収納されるようになっていると、プラスチックカバーは比較的軟らかく、ひいては可撓性であるので、歩行者が怪我をするおそれはさらに減じられる。

また、プラスチックカバーの下に自由空間が設けられていると、プラスチックカバーは邪魔されることなく変形することができ、その結果プラスチックカバーは衝突エネルギを妨げられることなく吸収することができるので、歩行者が怪我をするリスクはさらに減じられる。

本発明の有利な構成では、衝突時に、少なくとも１つのワイパアームの駆動軸が、少なくとも１つのワイパモータの自動的な操作によって必要な角度だけ回転され得るようになっている。このように構成されていると、少なくとも１つのワイパアームは簡単かつ迅速にウインドシールドガラスの下か又は払拭ゾーンの領域に移動することができる。

少なくとも１つのワイパアームを衝突時に迅速に移動させるために、本発明の別の構成では、衝突時に、エンジンフードを上昇させるための信号が、少なくとも１つのワイパアームを移動させるためにも利用されるようになっている。この場合信号は、少なくとも１つのワイパモータを制御するための電装品において処理されることも、少なくとも１つのワイパモータを制御するための、少なくとも１つのワイパモータの電子装置において処理されることもできる。

エンジンフードと少なくとも１つのワイパアームとがぶつかることを回避できるようにするために、本発明の別の有利な構成では、エンジンフードの上昇と少なくとも１つのワイパアームの移動とが、時間的に互いに合わせられている。それゆえに、エンジンフード及びワイパアームの慣性が考慮されねばならず、同様にまたエンジンフードの克服される上昇運動距離及びワイパアームの移動のための運動距離も、考慮されねばならない。従ってエンジンフードの上昇は、必要なポジションへのワイパアームの運動と同時に、又はそれよりも幾分早期に行われることができる。しかしながら両方の運動はほんの数ミリ秒の間に行われるので、まず初めに行われるエンジンフードの上昇運動も、外部の観察者にとっては、少なくとも１つのワイパアームの移動と同時に行われたように見える。

少なくとも１つのワイパモータが、リバースモータ又はワイパダイレクト駆動装置であって、ワイパアームがワイパモータの駆動軸に直接固定されていると、ウインドシールドガラスの下に少なくとも１つのワイパアームを位置決めすることが可能である。ワイパモータが電子装置のない回転モータである場合には、単に払拭ゾーンの領域への少なくとも１つのワイパアームの移動だけしか可能でない。

少なくとも１つのワイパアームの迅速な移動を特に良好に可能にするために、ワイパアームの停止位置において、ワイパロッド（Wischergestaenge）の連結ロッド（Koppelstaenge）及びモータクランク（Motorkurbel）は、伸びた状態位置（Strecklage）又は重なった状態位置（Decklage）の外にある。

さらにまた、少なくとも１つのワイパアームの移動が、ウインドシールドガラスの下において、ウインドシールドガラスの下縁部の領域における停止位置から行われると、有利である。付加的に又は択一的に、少なくとも１つのワイパアームの移動は、Ａピラーの領域における停止位置から及び／又はワイパ運転中に行われてもよい。

以下においては図面を参照しながら本発明によるワイパ装置の１実施例を説明する。

図１は、従来技術によるウインドシールドガラスの下部領域とワイパアームとエンジンフードとを示す側面図であり、
図２は、本発明によるウインドシールドガラスの下部領域とワイパアームとエンジンフードとを示す側面図であり、
図３は、搭載電子装置によってワイパアームを移動させる態様を示す回路図であり、
図４は、ワイパモータにおける電子装置によるワイパアームの移動を示す回路図である。

図２には、自動車との衝突後における歩行者１３が示されており、この場合歩行者１３の頭部は最悪の場合ウインドシールドガラス１０に衝突する。衝突直後にエンジンフード１２は持ち上げられるので、ワイパアーム１１はエンジンフード１２の下に位置することができる。これによって歩行者１３の頭部は、ワイパアーム１１に極めて僅かしか又は最良の場合にはまったく接触しなくなることができる。ワイパアーム１１はプラスチックカバー１４に載置されていて、このプラスチックカバー１４は比較的軟らかくかつ良好に変形可能であるので、ワイパアーム１１への歩行者１３の衝突はプラスチックカバー１４によって吸収されることができる。プラスチックカバー１４の下には自由空間１５が存在しており、この自由空間１５はプラスチックカバー１４に、変形のための十分に大きなスペースを提供している。

図３にはセンサ３０が示されており、このセンサ３０はその他の複数のセンサと一緒に自動車のエンジンフードに配置されていることができる。衝突時にセンサ３０は、エンジンフード１２を上昇させるアクチュエータ３１と、図示されていない搭載電子装置とに信号を送る。搭載電子装置は同様に、有利にはリバースモータ又はワイパダイレクト駆動装置であるワイパモータ３２を操作し、このワイパモータ３２はワイパアーム１１（図２参照）を有利には、ウインドシールドガラス１０の下のポジションへと移動させる。エンジンフード１２とワイパアーム１１との間における衝突を回避するために、アクチュエータ３１とワイパモータ３２との作動は互いに時間的に合わせられている。つまりワイパモータ３２は、エンジンフード１２の上昇によって、ワイパアーム１１の移動時に該ワイパアーム１１とエンジンフード１２との衝突を回避するのに十分なスペースが得られた時に、初めて作動することができる。アクチュエータ３１とワイパモータ３２とを時間的に合わせる場合には、エンジンフード１２及びワイパアーム１１の慣性と、エンジンフード１２の上昇のために進む移動距離と、ワイパアーム１１の移動とを考慮することが、必要である。

図４に示されたセンサ３０は、アクチュエータ３１と、ワイパモータ４２のハウジング４１内に収容された電子装置４０とに信号を送る。この変化実施例では、ワイパモータ４２を作動させる搭載電子装置は省くことができる。その代わりに衝突時には、ステアリングコラムスイッチ４３を介して汎用の形式でワイパモータ４２を投入接続する電子装置４０が、ワイパアーム１１（図２参照）を移動させるために使用される。

従来技術によるウインドシールドガラスの下部領域とワイパアームとエンジンフードとを示す側面図である。 本発明によるウインドシールドガラスの下部領域とワイパアームとエンジンフードとを示す側面図である。 搭載電子装置によってワイパアームを移動させる態様を示す回路図である。 ワイパモータにおける電子装置によるワイパアームの移動を示す回路図である。

Claims (9)

1. ワイパ装置、特に自動車用のワイパ装置であって、少なくとも１つのワイパアーム（１１）と、衝突時に上昇するエンジンフード（１２）とが設けられている形式のものにおいて、衝突を検出しかつ該衝突の検出時に信号を発するセンサが設けられており、該センサの信号に基づいてワイパモータ（３２，４２）を制御する電子装置が設けられていて、該電子装置によって、少なくとも１つのワイパアーム（１１）が衝突時に、ウインドシールドガラス（１０）の下のポジションに移動可能であり、この際に少なくとも１つのワイパアーム（１１）の駆動軸が、少なくとも１つのワイパモータ（３２，４２）の自動的な操作によって所定の角度だけ回転させられ、これによってワイパアーム（１１）がウインドシールドガラス（１０）の下のポジションに移動させられることを特徴とするワイパ装置。
2. 衝突時に、少なくとも１つのワイパアーム（１１）に配置されたワイパブレードが、ウインドシールドガラス（１０）の下に設けられたプラスチックカバー（１４）に収納可能である、請求項１記載のワイパ装置。
3. プラスチックカバー（１４）の下に自由空間（１５）が設けられていて、これによってプラスチックカバー（１４）が変形のためのスペースを有している、請求項２記載のワイパ装置。
4. 衝突時に、エンジンフード（１２）を上昇させるためのセンサの信号が、少なくとも１つのワイパアームを移動させるためにも使用可能である、請求項１から３までのいずれか１項記載のワイパ装置。
5. センサの信号が、少なくとも１つのワイパモータ（３２）を制御するための搭載電子装置において処理可能である、請求項４記載のワイパ装置。
6. センサの信号が、少なくとも１つのワイパモータ（４２）を制御するための、少なくとも１つのワイパモータ（４２）の電子装置（４０）において処理可能である、請求項４記載のワイパ装置。
7. 衝突時に、エンジンフード（１２）の上昇と少なくとも１つのワイパアーム（１１）の移動とが、時間的に互いに合わせられており、ワイパアーム（１１）の移動時におけるワイパアーム（１１）とエンジンフード（１２）との衝突を回避するのに十分なスペースが、エンジンフード（１２）の上昇によって得られた場合に初めて、ワイパモータ（３２）が作動するようになっている、請求項４から６までのいずれか１項記載のワイパ装置。
8. 少なくとも１つのワイパモータ（３２，４２）が、リバーシングモータ又はワイパダイレクト駆動装置である、請求項５から７までのいずれか１項記載のワイパ装置。
9. 電子装置（４０）、特にワイパモータ（４２）を制御するための搭載電子装置であって、該電子装置（４０）が、衝突を検出するセンサ（３０）からの信号を受信するように形成されており、電子装置（４０）は、センサ（３０）の信号が衝突を示した場合に、エンジンフードを上昇させるための信号をアクチュエータ（３１）に発信し、かつエンジンフードの下のポジションにワイパアームを回動させるための信号をワイパモータ（３２）に発信するように、形成されていることを特徴とする電子装置。

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