JP4426053B2 - 二極スイッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電流容量の比較的大きな電気機器をON/OFFするための屋内配線器具として好適な二極スイッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、屋内配線に用いられるスイッチ装置は、操作子の揺動操作に連動して可動接触子を揺動(反転動作)させ、同接触子に形成した可動接点を、対向する固定接点に接離させる構造を備えている。
図9は、従来の単極スイッチ装置に用いられる可動接触子を示す斜視図である。
可動バネ101は、そこに形成された可動接点102を付勢しつつ確実に固定接点と接触させるために、柔軟に撓み変形し得る弾力性を備えている。そして、この可動バネ101の両側にスリット103を介して係合片104が形成してあり、これら係合片104の先端部を操作子に係合させて、操作子からの揺動力をこれら係合片104で受ける構成となっている。係合片104は、揺動力に対抗し得る剛性を備えることが好ましく、そこで係合片104には補強用の突条105が形成されている。このように、図9に示す可動接触子100は、可動バネ101と係合片104とがそれぞれ担当する機能に合致した弾力性又は剛性を備え、それら各部が有機的に関連して好ましい接点間の接離動作を実現させるものであった。
【0003】
しかしながら、電流容量の大きい機器のON/OFFに用いられる二極スイッチ装置(両切スイッチ装置ともいう)にあっては、図10に示すように、電源110と負荷111とを繋ぐ二線a,b間を接離するために、二組の可動接点112及び固定接点113が必要とされる。したがって、器体内には二組の可動接触子114が組み込まれる。ところが、器体の幅寸法はJIS規格によって単極スイッチと同様の幅寸法に規定されている。ゆえに、二極スイッチ装置には、図9に示したような可動接触子100を組み込むことができず、もっぱら図11(a)に示すごとき形状の可動接触子120が用いられていた。
【0004】
図11(a)に示す可動接触子120は、係合片を備えず、可動バネ121の上端に係合突起122を形成し、同図(b)に示すごとく、この係合突起122に硬質のバネ部材123を係合させ、該バネ部材123を介して操作子124の揺動力を受ける構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の二極スイッチ装置は、可動接触子120が係合片を備えず可動バネ121の上端で操作子124からの揺動力を受ける構成となっていたので、単極スイッチ装置に用いられていた可動接触子100(図9参照)のごとく可動バネ121に柔軟な弾力性を付与することができず、したがって接点間の接触状態が不安定となるおそれがあった。しかも、可動バネ121の上端に硬質のバネ部材123が係合するため、揺動動作が繰り返されるうちに、バネ部材123の当接部が摩耗して可動バネ121の耐久性を低下させる欠点を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した従来技術の課題に鑑みてなされたもので、器体内部が第1,第2スイッチ部に区画され、それら各スイッチ部に可動接点を有する揺動自在な可動接触子と固定接点を有する固定端子とが組み込まれ、且つ、各可動接触子に係合してこれら可動接触子を揺動させる操作子を備えた二極スイッチにおいて、可動接触子を次のように構成したことを特徴とする。
すなわち、可動接触子は、中間部に可動接点を有する板状の可動バネを形成するとともに、両側部に前記操作子と係合する係合片を形成し、これら可動バネと係合片との間を折曲形成し、且つこれら可動バネと係合片との間を所定長さにわたり切欠いた構成としてある。
【0007】
斯かる構成によれば、操作子と係合する係合片が可動バネとは別個に形成され、且つ切欠きにより所定長さにわたって分離されているので、可動バネに柔軟な弾力性を付与して接点間の確実な接触を実現でき、しかも可動バネと係合片との間を折曲形成したことから、可動接触子の幅寸法が大幅に縮小され、二極スイッチ装置の限られた幅の器体内であっても二組の可動接触子を無理なく収納することができる。
【0008】
また、本発明は、可動接触子の底部を揺動自在に支持する弾力性のある支持体と、この支持体を介して可動接触子を操作子方向に付勢するバネ部材と、を備えた構成とすることが好ましい。斯かる構成とすれば、硬質のバネ部材が可動接触子に直接接触することがなく、したがって可動接触子の摩耗を低減させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明の実施形態に係るスイッチ装置の分解斜視図、図2は同スイッチ装置の内部構造を示す平面図、図3は同スイッチ装置の外観を示す斜視図、図4(a)は同じく平面図、図4(b)は側面図、図5は側面断面図である。
【0010】
これらの図において、1は器体であり、この器体1は上面が開口するケース本体2と、このケース本体2の開口部に締結金具4によって装着される蓋体3とで構成されている。蓋体3のボス面には、後述する操作子40を露出させる開口が形成してある。また、ケース本体2には、図5に示すように、電線が個別に挿入される電線挿入孔5と、解除ボタン13を操作するための工具挿入孔6とが下方に開口して形成してある。
【0011】
器体1の内部は、図1及び図2に示すように、第1スイッチ部A及び第2スイッチ部Bに区画されており、各スイッチ部A,Bのそれぞれに固定端子10、接続端子11、押えバネ12、支持体20、及び可動接触子30が収納されており、解除ボタン13は第1スイッチ部A及び第2スイッチ部Bで共用としている。各端子10,11は、銅合金によってコの字形に折曲形成してある。そして、固定端子10には、その上面を水平方向に延出させるとともに先端部を下方に屈曲させ、その屈曲した面に固定接点14を設けた幅狭な接点片15が形成してある。また、接続端子11には、その側部に連結片16が形成してある。
【0012】
各端子10,11は、そのコの字形の開口部をケース本体2の底面側に向けた状態で、当該ケース本体2に挿入されている。これら各端子10,11は、電線挿入孔5と対向配置されており、さらに各端子10,11の内側に押えバネ12を配設することで、ネジ無し端子が構成されている。
【0013】
押えバネ12は、図1及び図5に示すように、一端をU字状に折り曲げ且つ他端をS字状に折り曲げることによって両端部に係止片12a,12bが形成してある。これら係止片12a,12bは、互いに同方向に延出しており、電線挿入孔5から差し込まれた電線を各先端縁で挟持する。また、各係止片12a,12bの先端縁は、工具挿入孔6に対向配置した解除ボタン13の内側端面と対向しており、ドライバ等の工具により解除ボタン13を移動させることにより、各係止片12a,12bの先端縁を押圧して弾性変形させ、これにより電線の挟持状態を解除可能としている。また、接続端子11に形成した連結片16には、支持体20の接続片21が電気的に接続してある。
【0014】
支持体20は、接続片21と、この接続片21の一端に連続して立ち上がる脚片22と、この脚片22の上端に連続するほぼV字形に折曲形成されたV字片23とを有する板バネからなり、脚片22によってV字片23に弾性を付与している。そして、V字片23の谷部分で、後述する可動接触子30の下端を揺動自在に支持している。
【0015】
可動接触子30は、金属製の板材からなり、図7に示すように、接触子本体31の基部31aから延出する可動バネ32及び係合片33を有している。可動バネ32は平板状に形成され、基部31aの中央部から延出している。可動バネ32の面部32aには可動接点34が設けてある。この可動接点34は、器体1内で、固定接点14と対向配置され、後述する操作子40の揺動操作に連動して、固定接点14と接離する。
【0016】
また、可動バネ32の基部31a近くには、くの字形状の屈曲部32bが形成してあり、これにより本実施形態では可動バネ32の面部32aが後述する係合片33の先端部とほぼ同一平面上に配置されるように調整してある。なお、必要に応じて可動バネ32の面部32aを係合片33より前方又は後方に配置することもでき、この面部32aの位置調整により、可動接点34の固定接点14に対する接触圧を任意に調整することが可能である。
【0017】
係合片33は、可動バネ32の両側(すなわち、接触子本体31の両側部)にそれぞれ形成してある。これら係合片33は、接触子本体31の基部31aからほぼ直角に折曲形成してある。このように係合片33を折曲形成することで、可動接触子30の幅寸法を大幅に縮小することができ、図2に示すように、器体1内に可動接触子30を無理なく収納することができる。また、折曲形成により可動接触子30の全体的な剛性が増大し、不安定な歪みが抑制される。この可動接触子30は、支持体20に支持された下端を中心に揺動自在となっているが、上記のとおり係合片33を折曲形成したことにより、係合片33の平面部は該揺動方向とほぼ平行に配置される。
【0018】
さらに、可動バネ32と係合片33との間には、切欠き35が形成してあり、平板状の可動バネ32については弾力的に撓んで、固定接点14に当接する際の衝撃が緩和される構成となっている。各係合片33は、先端にいくにしたがい幅狭となる形状としてあり、尖った先端部が後述する操作子40のV字溝44と係合している。
【0019】
操作子40は、図8に示すように、操作ブロック41と、この操作ブロック41の底部中央から延出する四片の作動アーム42とを有している。このうち、操作ブロック41は、蓋体3の開口を貫通して上部が外部に露出する。また、操作ブロック41の両側面中央部には、上方に尖った三角形状をなす支点部43が突出して形成してある。各支点部43の上端縁は、蓋体3の内側面に設けた下方に開く扇形溝3a(図1参照)に係合している。
【0020】
各作動アーム42の下端には、可動接触子30の係合片33との駆動接触部を構成するV字溝44が形成してあり、このV字溝44に各可動接触子30における対応する係合片33の先端部がそれぞれ係合している(図8参照)。
【0021】
また、図5及び図8に示すように、支持体20の下方には、バネ部材24が設けてあり、このバネ部材24の付勢力をもって、支持体20及び可動接触子30を押し上げている。このように、可動接触子30はバネ部材24の付勢力を支持体20を介して受けるので、硬質なバネ部材24との接触がなく、よって摩耗が少ない。なお、バネ部材24の付勢力により、可動接触子30に形成した係合片33の先端部が、操作子40の作動アーム42に形成したV字溝44との係合状態を保持するとともに、操作ブロック41に形成した支点部43が、蓋体3の扇形溝3aに対する係合状態を保持する。
【0022】
このような構成とすることにより、操作子40の支点部43を中心とする揺動に伴い、作動アーム42に形成したV字溝44の内面が、係合片33の先端部を押圧する。上述したように係合片33の平面部は、可動接触子30の揺動方向とほぼ平行に配置されるため、係合片33に対する押圧力は、図7に矢印で示すように、係合片33の先端縁部に対して作用(すなわち、係合片33の平面部と平行に作用)する。したがって、係合片33は、作動アーム42からの押圧力を受けても殆ど撓むことがない。
【0023】
次に、上述したスイッチ装置の動作について説明する。
図6(a)はスイッチ装置の可動接点が固定接点から開離した状態(OFF状態)を示す側面断面図、図6(b)は可動接触子が揺動範囲の中間位置にある状態を示す側面断面図である。なお、先に示した図5はスイッチ装置の可動接点が固定接点に接触した状態(ON状態)を示している。
【0024】
まず、図6(a)に示すOFF状態から操作子40の突出側上部(同図において右側上部)を押圧すると、当該操作子40が支点部43を中心に時計方向へ揺動し、これと一体の作動アーム42が同様に揺動する。上述したとおりこの作動アーム42の下端に設けたV字溝44には、可動接触子30に形成した係合片33の先端部が係合しているので、作動アーム42の揺動に伴い、該係合片33の先端縁部が押圧される。その結果、可動接触子30は、支持体20に支持された下端を中心に反時計方向へ揺動して、図5に示すように可動接点34が固定接点14に接触する。
【0025】
さて、可動接触子30が揺動する過程において、同接触子30に作用する押圧力は、下向きの分力を含む。したがって、可動接触子30は、バネ部材24の付勢力に抗して下方へ僅かながら押し下げられる。その沈下量は、可動接触子30が揺動範囲の中間位置(図6(b)に示す位置)にきたときを最大とし、それ以降は減少していく。このように、可動接触子30は下端を中心とする揺動と、上下方向の移動が重ね合わされた軌跡を描いて動作する。ゆえに、可動接点34は下方からやや擦り上がるようにして固定接点14に摺動接触する。
【0026】
一方、図5に示すON状態から操作子40の突出側上部(同図において左側上部)を押圧すると、当該操作子40が支点部43を中心に反時計方向へ揺動し、これと一体の作動アーム42が同様に揺動する。この作動アーム42の揺動に伴い、可動接触子30に形成した係合片33の先端縁部が押圧され、その結果、可動接触子30は、支持体20に支持された下端を中心に時計方向へ揺動して、可動接点34が固定接点14から離間する。このとき、可動接点34は上記接触時の動作と反対に、下方へやや擦り降りるようにして固定接点14から離間するので、瞬間的な離間にくらべ、離間時に発生するアーク放電を抑制することができる。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものでないことは勿論である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、操作子と係合する係合片が可動バネとは別個に形成され、且つ切欠きにより所定長さにわたって分離されているので、可動バネに柔軟な弾力性を付与して接点間の確実な接触を実現でき、しかも可動バネと係合片との間を折曲形成したことから、可動接触子の幅寸法が大幅に縮小され、二極スイッチ装置の限られた幅の器体内であっても二組の可動接触子を無理なく収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図2】同スイッチ装置の内部構造を示す平面図である。
【図3】同スイッチ装置の外観を示す斜視図である。
【図4】(a)は同スイッチ装置の平面図、(b)は同じく側面図である。
【図5】同スイッチ装置の側面断面図である。
【図6】(a)は同スイッチ装置の可動接点が固定接点から開離した状態(OFF状態)を示す側面断面図、(b)は可動接触子が揺動範囲の中間位置にある状態を示す側面断面図である。
【図7】同スイッチ装置の可動接触子を示す斜視図である。
【図8】可動接触子の係合片と操作子の作動アームとの係合状態を示す側面図である。
【図9】従来の単極スイッチ装置に用いられていた可動接触子を示す斜視図である。
【図10】二極スイッチを用いた屋内配線の例を示す回線図である。
【図11】(a)は従来の二極スイッチ装置に用いられていた可動接触子を示す斜視図、(b)は従来の二極スイッチ装置の側面断面図である。
【符号の説明】
A:第1スイッチ部
B:第2スイッチ部
1:器体
2:ケース本体
3:蓋体
3a:扇形溝
4:締結金具
5:電線挿入孔
6:工具挿入孔
10:固定端子
11:接続端子
12:押えバネ
12a,12b:係止片
13:解除ボタン
14:固定接点
15:接点片
16:連結片
20:支持体
21:接続片
22:脚片
23:V字片
24:バネ部材
30:可動接触子
31:接触子本体
31a:基部
32:可動バネ
32a:面部
32b:屈曲部
33:係合片
34:可動接点
35:切欠き
40:操作子
41:操作ブロック
42:作動アーム
43:支持部
44:V字溝(駆動接触部)
Claims (2)
- 器体内部が第1,第2スイッチ部に区画され、それら各スイッチ部に可動接点を有する揺動自在な可動接触子と固定接点を有する固定端子とが組み込まれ、且つ、前記各可動接触子に係合してこれら可動接触子を揺動させる操作子を備えた二極スイッチ装置において、
前記可動接触子には、可動接点を有する板状の可動バネと前記操作子と係合する係合片とが形成してあり、
前記可動バネは、前記可動接触子の基部の中央部から延出しており、
前記係合片は、前記可動接触子の基部の両側部から延出するとともに、当該基部からほぼ直角に折曲形成され、平面部が揺動方向とほぼ平行になるように構成され、
且つ、前記可動バネと前記係合片との間には、切欠きが形成してあることを特徴とする二極スイッチ装置。 - 請求項1記載の二極スイッチ装置において、
前記可動接触子の底部を揺動自在に支持する弾力性のある支持体と、この支持体を介して前記可動接触子を操作子方向に付勢するバネ部材と、を備えたことを特徴とする二極スイッチ装置。
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