JP4425738B2 - 鉛フリーはんだ合金、鉛フリーはんだ合金の製造方法、実装構造体、実装方法、鉛フリーヒューズ合金、鉛フリーヒューズ合金の製造方法、板状ヒューズ、鉛フリー合金および鉛フリー合金の製造方法 - Google Patents
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Description
この鉛フリーはんだ材料は、電子部品実装時のフロー、リフローに際して、搭載する電子部品やレジスト材あるいは樹脂類を含有する基板などへの熱的影響を回避するため、従来のSn−Pb系はんだと同様に低融点であることや、接続・固定部位の強度、信頼性などが求められる。特に、最近のエレクトロニクス実装では、部品などの微細化、高密度表面実装化の進展に伴い、これらの要請は一層厳しいものとなっている。このため、鉛フリーはんだ材料としては、これらの条件に適合する融点降下と結晶組織の微細化とを狙って、Snを主成分とし、Agおよびさらに他の成分元素を加えた共晶合金系の組成が選択され、Sn−In、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Zn、Sn−Bi系の合金が開発された。特に、これまで信頼性の高いはんだとして用いられてきた実績のあるSn−Ag系ではSn−Ag−Cu合金が、また、そのほかにもSn−In、Sn−Cu、Sn−Zn、Sn−In系でもそれぞれの特性を応用したはんだの開発が進められている。
本発明者らは、先に、この問題に関し、Sn−Ag系はんだ材料にAlを0.1〜1wt%添加することで組織を微細化することを報告し(非特許文献1、2、3)、さらに、Sn−Ag系はんだ材料にAlを0.1〜5wt%添加することによってAl2 O3 を異質核として生成させ、同時多発的に結晶を晶出させて初晶β−Sn相の組織を微細化することを提案した(特許文献3)。
小林大樹、韓 雪、田中順一、高島敏行、成田敏夫、微量元素を添加したSn−Ag合金の凝固組織、8th Symposium on "Microjoining and Assembly Technology in Electronics",(2002),pp.209-214 田中順一、鈴木直人、高島敏行、成田敏夫、Sn−Ag−Alソルダ合金の凝固組織と機械的特性、9th Symposium on "Microjoining and Assembly Technology in Electronics",(2003),pp.213-218 鈴木直人、水野宏紀、田中順一、高島敏行、成田敏夫、Sn−Ag−Al ソルダ合金箔/Cu接合における組織と熱疲労特性、MES2003 第13回マイクロエレクトロニクスシンポジウム論文集,(2003),pp.33-36
電子機器では、これらの発熱に対して強制空冷やヒートシンクなどの機構を内部に組み込んで冷却を行っているが、発熱自体は抑制できないため、これらの電子部品の実装に用いられるはんだ材料の被る影響は回避できない。そして、これらの熱サイクルは、その電子機器の稼働中常に繰り返されるために、機器の寿命や信頼性に係り、特に、電子部品の小型化、すなわち高密度化が進むにつれてその影響もまた大きくなるため、はんだ材料の熱疲労特性向上は欠かせないものとなっている。
熱サイクルは、電子部品とこれらを搭載した基板との間の温度差および熱膨張率の差によって接合はんだ層にせん断応力を発生させるが、上記のようにこれらの電子部品の微細化・高密度化の進展によってはんだ接合面積が微小化すると共に、接合層の厚さもそれに応じて著しく薄くなる。このため、これらのはんだ接合層に対するせん断応力の作用は累積的に極めて大きくなり、従来のはんだ材料では、強度的には数値上余裕があるようであってもこれらの熱サイクルに対して十分な信頼性を確保できないものとなっている。
上記に挙げたSn系はんだ合金においても、強度的に機械的特性が向上しているのであるが、これらの熱サイクルに対する熱疲労特性に関しては未だ課題とされていた。
これらの原因は、はんだ特性に適合するべく共晶組成範囲近傍にあるこれらの合金が、冷却速度を大幅に低下(0.01〜0.05 deg/sec )させると、凝固組織は状態図から予想される共晶組織となるのに対し、はんだ実装の冷却条件下では組成が亜共晶側にシフトし、組織が粗大な初晶β−Sn相と硬く、延性の乏しい共晶相との二相混合組織となり、粗大な初晶β−Sn相は共晶組織に比べて著しく柔らかいため、これらの組織間の性質の不均一性が材料強度と共に熱疲労特性を低下させていることにあった。熱疲労サイクルを伴う場合、このような硬さの違う組織の晶出により、単に機械的特性が低下するばかりでなく、より一層疲労特性が悪化するのである。
この発明が解決しようとする他の課題は、電気・電子部品などの各種部品、金属部材などの各種部材、各種の機器や装置などを良好な機械的特性および熱疲労特性で信頼性良く実装することができる実装構造体および実装方法を提供することにある。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、機械的特性および熱疲労特性に優れ、特に延性に富む鉛フリーヒューズ合金、そのような鉛フリーヒューズ合金を容易に製造することができる鉛フリーヒューズ合金の製造方法およびそのような鉛フリーヒューズ合金を用いた板状ヒューズを提供することにある。
この発明が解決しようとする課題は、より一般的には、機械的特性および熱疲労特性に優れ、例えば鉛フリーはんだ合金や鉛フリーヒューズ合金に用いて好適な鉛フリー合金およびそのような鉛フリー合金を容易に製造することができる鉛フリー合金の製造方法を提供することにある。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなることを特徴とする鉛フリーはんだ合金である。
また、亜共晶組成の合金に含有される金属の含有量は、一般に、Agは0.5wt%以上3wt%未満、好適には0.5wt%以上2.5wt%以下、より好適には0.5wt%以上2wt%以下、さらに好適には1wt%以上2wt%以下、Inは1wt%以上8wt%以下、好適には1wt%以上6wt%未満、Cuは0.1wt%以上0.5wt%以下、Znは1wt%以上5wt%以下、Biは1wt%以上10wt%以下である。
これらの亜共晶組成において形成される組織は、通常のはんだ実装における冷却速度条件下では柔らかい粗大な初晶β−Sn相と硬い共晶組織との二相混合組織となるため材料強度を低下させ、また同時にこれらの硬さの大きく異なる組織によって熱疲労サイクルに対する疲労特性が著しく劣化する。これに対して、凝固後の組織の均一化、微細化が一つの条件として重要と考えられるが、特許文献3に開示されているように、Alが溶融合金中でAl2 O3 を形成して凝固時の異質核として機能し、晶出する初晶β−Sn相の結晶粒径を一律微細化できることから、本発明者らは、熱疲労特性を向上させる条件を見い出すべく、実験および理論の両面から研究をさらに進めて結晶構造や特性を究明した。
これらの組織は、顕微鏡観察によれば、初晶が微細化されたというよりも、Al2 O3 が異質核として作用することにより一様に微細な亜結晶組織が形成されて、硬さを始めとする特性の均一化を達成できたものと考えられる。
このような極微量なAl組成領域は、異質核因子として微量で効果を発揮するとはいえ、一般に合金材料においてはほとんど不可避的不純物の量的範囲あるいは誤差範囲と見なされるものであって、当初の予測を超えるものであった。
また、これらの効果は、Sn−Ag二元系のみでなく、Snを母材とした上記の金属との合金系に対して共通し、これらの亜共晶組成を有する合金系において熱疲労特性に優れた鉛フリーはんだ合金が得られた。その効果は、得られた試料の硬さにおいて、Al無添加試料に比較して、Al添加試料では初晶と共晶との組織において差が少なくなり、均一化することで得られたのである。
この鉛フリーはんだ合金の使用形態は、基本的にはどのようなものであってもよく、必要に応じて選ばれるものであるが、例えば、シートやバンプの形に形成されるほか、はんだペーストに使用してもよい。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリーはんだ合金の製造方法であって、
上記亜共晶組成の合金と組成が等しい第1の融液を形成する工程と、
上記第1の融液を470℃以上500℃未満の温度に加熱した後、この温度に保持しながら上記第1の融液中にAl片を投入して融解させ、第2の融液を形成する工程と、
上記Al片が上記第2の融液中に完全に融解した後、上記第2の融液の温度を下降させて凝固させる工程とを有することを特徴とするものである。
基板上にはんだ合金を用いて被実装体を接合した実装構造体において、
上記はんだ合金が、Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリーはんだ合金であることを特徴とするものである。
基板上にはんだ合金を用いて被実装体を接合するようにした実装方法において、
上記はんだ合金として、Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリーはんだ合金を用いるようにしたことを特徴とするものである。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなることを特徴とする鉛フリーヒューズ合金である。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリーヒューズ合金の製造方法であって、
上記亜共晶組成の合金と組成が等しい第1の融液を形成する工程と、
上記第1の融液を470℃以上500℃未満の温度に加熱した後、この温度に保持しながら上記第1の融液中にAl片を投入して融解させ、第2の融液を形成する工程と、
上記Al片が上記第2の融液中に完全に融解した後、上記第2の融液の温度を下降させて凝固させる工程とを有することを特徴とするものである。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリーヒューズ合金からなることを特徴とする板状ヒューズである。
第5〜第7の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第2の発明に関連して説明したことが成立する。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなることを特徴とする鉛フリー合金である。
この鉛フリー合金は、例えば、鉛フリーはんだ合金や鉛フリーヒューズ合金に用いて好適なものである。
Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリー合金の製造方法であって、
上記亜共晶組成の合金と組成が等しい第1の融液を形成する工程と、
上記第1の融液を470℃以上500℃未満の温度に加熱した後、この温度に保持しながら上記第1の融液中にAl片を投入して融解させ、第2の融液を形成する工程と、
上記Al片が上記第2の融液中に完全に融解した後、上記第2の融液の温度を下降させて凝固させる工程とを有することを特徴とするものである。
第8および第9の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第2の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明による鉛フリーヒューズ合金は、優れた機械的特性および熱疲労特性を有し、その高い延性を利用して薄い板状ヒューズなどの所望の形状に容易に加工することができる。
さらに、この発明による鉛フリー合金は、優れた機械的特性および熱疲労特性を有するため、鉛フリーはんだ合金や鉛フリーヒューズ合金として用いて好適なものである。
まず、Snを母材としてAg、In、Cu、ZnおよびBiからなる群より選ばれた一種類の金属を含有する亜共晶組成の合金にAlが0.01wt%以上0.1wt%未満添加されてなる鉛フリーはんだ合金のうち、Snを母材としてAgを含有する亜共晶組成の合金にAlが0.05wt%添加されてなる鉛フリーはんだ合金、すなわちSn−2Ag−0.05Alはんだ合金について、他の組成の鉛フリーはんだ合金と比較しつつ説明する。
これに加え、比較試料として、実用化されているSn−3.0Ag−0.5Cu共晶合金を作製した。凝固条件は上記と同様とした。
この結果より、Alを添加した合金は、いずれも無添加合金のSn−3Ag−0.5Cu合金より大きく歪み量を増したことが分かる。一般的に、はんだ材料は、延性が高い試料が良好とされていることから、歪み量の増加は、はんだ材料としての機械的特性が向上したと言うことができる。
なお、はんだ接合面となる片面のCu基板には無電解めっきにより、厚さ3μmのNi膜を形成し、さらに実装条件の熱膨張率を再現するために、はんだ接合面の反対側にセラミック層を形成してCu基板の熱膨張を拘束して基板間のはんだ接合層に実装条件と同様の繰り返し応力が及ぶようにした上で接合している。熱サイクル温度は、−40℃から125℃で、各30分間保持して1サイクルとした。クラックの発生と伝播長さは、非破壊検査に用いられる超音波顕微鏡により測定した。初期のクラック長さはAl無添加試料のSn−3Ag−0.5Cu合金が、クラック伝播の進行を最も抑制しているが、サイクル数が増加すると急激に伝播速度が速くなり、破断に到る。
このように、Alを添加した試料は、Al無添加試料に比較して熱歪みによって発生したクラックの進行速度が減速し、耐疲労特性が著しく向上しており、Alを添加した試料はAl無添加試料に比較して総じて熱サイクル疲労特性に優れた合金であることが実証された。
以上の試験結果から分かるように、図1に示す金属組織を有する上記の実施形態のSnを母材とする鉛フリー合金は、これらの組織全体の硬度を始めとする特性を均一化することによって、図2、図3および図5に示すとおり、強度と併せて延性をも著しく向上しており、図4に示すように熱サイクルに対する耐クラック特性を向上している。これらの特性により、この実施形態による鉛フリー合金は、はんだ材料として使用するとき、機械的特性と共に熱疲労特性において優れた効果を発揮することができる。
Sn−Agはんだ合金中にAlが添加されたものと、Al無添加のSn−Agはんだ合金との組織観察から、大きな違いは初晶β−Sn相内に形成する亜結晶組織の結晶粒の粒径の大きさであった。Alが添加されたSn−Agはんだ合金では、Al無添加のSn−Agはんだ合金に比較して1/5程度の径に結晶粒が微細化された。この微細化機構にはAlから変化したAl2 O3 の形成が寄与している。例えば、Sn−2Ag合金を融解させてその中にAlを微量添加したとき、溶湯中に存在する酸素とAlとが結合してAl2 O3 を形成する。また溶湯の表面では、表面酸素と結合し同様にAl2 O3 を形成する。表面に形成されたAl2 O3 は大部分表面ドロスとして排除される。溶湯中に形成されたAl2 O3 は、Sn−2Ag合金が凝固する際に、核生成触媒(nucleation catalysis)として機能し結晶核、すなわち異質核を多数形成する。この異質核が初晶β−Sn相内に形成される亜結晶組織の結晶粒を微細化する。一方、Al無添加試料では、はんだ中に含まれる不純物しか、核生成触媒として機能しないため、形成される亜結晶組織の結晶粒も粗大化している。この形成機構がAlの効果を高める要素の一つである。
従って、同様の機構によりこれらの熱疲労特性の向上が可能な合金として、Sn−Ag合金のほかに、Sn−In合金、Sn−Cu合金、Sn−Zn合金、Sn−Bi合金を挙げることができる。
また、これらの二元系合金に対して、その特性向上のため添加する第三の合金元素としても、これらの初晶形成に影響しない範囲において含有することができ、そのような合金元素として、これらに加えてCu、In、Bi、Ni、Au、Zn、Mg、La、Ceを挙げることができる。
(1)Al含有量について
亜共晶Sn−Ag合金において、Alを0.05wt%添加し、典型的な実装作業温度の冷却速度(5 deg/sec )で凝固させると、粗大な初晶中と共晶相中に平均粒径が5μmの微細な亜結晶組織が形成された。結晶粒径は、Al無添加試料と比較して1/5に微細化されたものであった。これらの効果は、Al添加量0.03〜0.07wt%で最大効果が得られた。
(2)Inなど他の合金元素の含有量について
Snからなる母材に含有させるInの最低含有量の1.0wt%は、純Snに対して明確に組織の相違、すなわちこの発明のAl添加の作用が確認できる組成の下限である。以下、Ag:0.5wt%、Cu:0.1wt%、Zn:1.0wt%、Bi:1.0wt%の下限値は、いずれも同じく純Snに対して明確に組織の相違、すなわちこの発明のAl添加の作用が確認できる組成の下限である。これらの金属の組成の上限については、初晶β−Sn相における組織の微細化と初晶相の硬度を共晶相と近づけるという機構からして必ずしも既に述べた範囲に限らないと考えられるが、好適な範囲を選定したものである。さらに、これらに加える第3元素について、Ni、Auは、実装時の電子部品基板材料として使用されている関係から実装時に溶湯に混入されたりする。これらの元素の効果は、はんだ合金の濡れ性を改善することである。従って、熱疲労特性に加えて上記の第3元素として添加される場合の好適範囲を挙げている。Mg、La、Ceは、材料組織の粒界間隙部を強化し、材料強度を高める元素として知られているが、同様に第3元素として添加される場合の熱疲労特性との関係で好適範囲を挙げている。
まず、Sn−3.5wt%Ag二元共晶合金を300℃以上350℃以下、例えば350℃の電気炉内でアルミナ坩堝を用い融解させた後、純Sn(99.998wt%)をAg量が2wt%になるように調合融解させる。融解後30分保持する。Alの添加には純Al(99.998wt%)の片を用い、350℃で融解中のSn−2wt%Ag合金を470℃以上500℃未満の温度まで昇温して15分保持後、これに大気中にてAl片を投入し、融解させる。ここで、470℃以上500℃未満の温度まで昇温してAl片を融解させるのは、この温度範囲では、Al片の表面酸化膜が壊れて融液との濡れ性が良好となって溶け込むことにより短時間で融解することができ、しかも表面からの酸素による酸化を防止するためである。なお、500℃以上の温度になるとSnの表層酸化が異常に促進される。AlがAl2 O3 に変化する時の酸素は、あくまで溶湯中に存在する溶存酸素だけで反応することが望ましい。なぜなら、表層からの酸素と反応するとスラグとして表層に堆積し、溶湯中に存在するAlの最適な量が変化するためである。
AlがSn−2wt%Ag合金に完全に融解した後、500℃で60分保持し、その後350℃に温度を降下させ、30分保持後、鋳型に鋳込み母材とした。
図7Aに示すように、電子部品11の一方の面に取り付けられたCu基板12の接合面に例えば無電解めっきにより例えば厚さ3μmのNi膜13を形成し、その表面に低活性ロジン系フラックス(図示せず)を塗布する。
一方、図7Bに示すように、ベース基板としてのCu基板14の接合面に低活性ロジン系フラックス(図示せず)を塗布する。
次に、この発明による鉛フリーはんだ合金をあらかじめ200μmの厚さになるようにシート状に加工しておき、図7Cに示すように、この鉛フリーはんだ合金シート15を間に挟んでCu基板14上に電子部品11のCu基板12を載せる。
そして、240℃に加熱し、鉛フリーはんだ合金が溶融してからCu基板14、12同士を擦り合わせることにより接合を行う。
以上により、図7Dに示すように、電子部品11がベース基板としてのCu基板14上にはんだ付けにより接合される。符号16ははんだ接合層を示す。このはんだ接合層16の組成は基本的に鉛フリーはんだ合金シート15の組成と同じである。
図8Aに示すように、この積層体の形成方法では、回路基板21、22、23および電子部品24をこの発明による鉛フリーはんだ合金からなるバンプ25を介して順次積層する。ここで、回路基板23と電子部品24との間のバンプ25は、電子部品24の下面にBGA(ball grid array)として格子状に形成され、回路基板23上の電極または配線パターン(図示せず)と接続されている。また、回路基板21、22、23の間のバンプ25は、これらの回路基板21、22、23の電極または配線パターン(図示せず)を相互に接続するように形成されている。回路基板21、22、23の両面の電極または配線パターンはスルーホールなどにより電気的に接続されている。
次に、図8Bに示すように、バンプ25を溶融して回路基板21、22、23および電子部品24を相互に接合する。
以上により、回路基板21、22、23および電子部品24がバンプ25により相互に接合された積層体が形成される。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構成、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
Claims (19)
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなることを特徴とする鉛フリーはんだ合金。
- Alが0.03mass%以上0.07mass%以下添加されてなることを特徴とする請求項1記載の鉛フリーはんだ合金。
- Bi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項1または2記載の鉛フリーはんだ合金。
- Biを0.05mass%以上3mass%以下含有することを特徴とする請求項3記載の鉛フリーはんだ合金。
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなる鉛フリーはんだ合金の製造方法であって、
上記亜共晶組成の合金と組成が等しい第1の融液を形成する工程と、
上記第1の融液を470℃以上500℃未満の温度に加熱した後、この温度に保持しながら上記第1の融液中にAl片を投入して融解させ、第2の融液を形成する工程と、
上記Al片が上記第2の融液中に完全に融解した後、上記第2の融液の温度を下降させて凝固させる工程とを有することを特徴とする鉛フリーはんだ合金の製造方法。 - 上記鉛フリーはんだ合金がBi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項5記載の鉛フリーはんだ合金の製造方法。
- 基板上にはんだ合金を用いて被実装体を接合した実装構造体において、
上記はんだ合金が、SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなる鉛フリーはんだ合金であることを特徴とする実装構造体。 - 上記鉛フリーはんだ合金がBi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項7記載の実装構造体。
- 基板上にはんだ合金を用いて被実装体を接合するようにした実装方法において、
上記はんだ合金として、SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなる鉛フリーはんだ合金を用いるようにしたことを特徴とする実装方法。 - 上記鉛フリーはんだ合金がBi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項9記載の実装方法。
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなることを特徴とする鉛フリーヒューズ合金。
- Bi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項11記載の鉛フリーヒューズ合金。
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなる鉛フリーヒューズ合金の製造方法であって、
上記亜共晶組成の合金と組成が等しい第1の融液を形成する工程と、
上記第1の融液を470℃以上500℃未満の温度に加熱した後、この温度に保持しながら上記第1の融液中にAl片を投入して融解させ、第2の融液を形成する工程と、
上記Al片が上記第2の融液中に完全に融解した後、上記第2の融液の温度を下降させて凝固させる工程とを有することを特徴とする鉛フリーヒューズ合金の製造方法。 - 上記鉛フリーヒューズ合金がBi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項13記載の鉛フリーヒューズ合金の製造方法。
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなる鉛フリーヒューズ合金からなることを特徴とする板状ヒューズ。
- 上記鉛フリーヒューズ合金がBi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項15記載の板状ヒューズ。
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなることを特徴とする鉛フリー合金。
- Bi、Niからなる群より選ばれた一種類または二種類をそれぞれ0.05mass%以上3mass%以下さらに含有することを特徴とする請求項17記載の鉛フリー合金。
- SnとAgとからなる亜共晶組成の合金にAlが0.02mass%以上0.08mass%以下添加されてなる鉛フリー合金の製造方法であって、
上記亜共晶組成の合金と組成が等しい第1の融液を形成する工程と、
上記第1の融液を470℃以上500℃未満の温度に加熱した後、この温度に保持しながら上記第1の融液中にAl片を投入して融解させ、第2の融液を形成する工程と、
上記Al片が上記第2の融液中に完全に融解した後、上記第2の融液の温度を下降させて凝固させる工程とを有することを特徴とする鉛フリー合金の製造方法。
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