JP4424801B2 - 工作機械のベッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、ロール研削盤や旋盤等の工作機械における心押台等の被設置体が設置される工作機械のベッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、圧延機のロールを加工するロール研削盤では、ワークとしてのロールを心出しし、これを支持するための心押し台を備えており、この心押し台は、ベッドのすべり面に沿って移動可能に設置されている。
図9および図10に、上記の心押し台が設置されるベッドの構造の一例を示す。なお、図9はベッドの上面図であり、図10は図9のA−A線方向の断面図である。
ベッド101は、その上面101a上に心押し台110を矢印B1およびB2方向に案内する平行なレール部102および103を備えており、これらレール部102および103上に心押し台110が設置されている。
心押し台110は、ワークとしてのロールの一方の軸端を押圧しかつ支持するための心押台センタ113を備えており、この心押台センタ113は、心押し台110の案内方向である矢印B1およびB2方向に平行に配置されている。
ベッド101のレール部102は、いわゆるV形案内面と呼ばれるV字状に傾斜した案内面102bを備えており、レール部103はいわゆる平形案内面と呼ばれる平面からなる案内面103bを備えている。
このように、一方のレール部102の案内面102bをV形案内面とすることで、心押し台110がベッド101上を移動しても、心押し台110の心押台センタ113の軸心がロールの軸心に対してずれないようにすることができる。すなわち、レール部102の案内面102bをV形案内面とすることで矢印B1およびB2方向に直交する方向の高い位置決め精度を得ることができる。
【0003】
心押し台110の心押台センタ113によって、ロールの一方の軸端を押圧しかつ支持するためには、心押し台110をベッド101にクランプする必要がある。
このため、レール部102および103には、クランプ用の溝部102aおよび103aがそれぞれ形成されており、これら溝部102aおよび103aにボルト121を嵌合させかつ心押し台110の固定部112に挿入し、ナット120をボルト121に螺合させて締結することで心押し台110の4か所をベッド101にクランプすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記構成のベッド101のレール部102の案内面102bは、心押し台110の心押台センタ113の軸心の位置精度を規定しているため、高精度に加工する必要がある。
しかしながら、レール部102の案内面102bはV形案内面であるため、加工が難しく、加工コストがかかるという不利益が存在する。
また、上記構成のベッド101では、心押し台110をナット120およびボルト121でクランプするため、レール部102および103にクランプ用の溝部102aおよび103aが必要であり、この点においてもベッド101の製造コストがかかるという不利益が存在した。
上記構成のベッド101では、心押し台110をクランプするのに、4か所に配置されたナット120およびボルト121の締め付け作業をそれぞれ行う必要があり、クランプ作業に比較的手間がかかる等の不利益が存在した。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、構造が簡素化され、クランプ作業が容易でかつ低コスト化が可能な工作機械のベッドを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の工作機械のベッドは、被設置体を所定の案内方向に沿って移動可能に支持する工作機械のベッドであって、前記案内方向に沿った平面からなる案内面と、前記案内方向に沿った前記案内面に垂直な基準面とを備えるベッド本体と、前記案内面に設置される前記被設置体の設置面を当該案内面に向けて押圧する押圧力と、前記基準面に対向する前記被設置体の対向面を当該基準面に向けて押圧する押圧力とを同時に発生させて前記被設置体を前記ベッド本体にクランプするクランプ手段とを有する。
【0007】
前記クランプ手段は、一の駆動源からの力を前記各押圧力に変換する。
【0008】
好適には、前記クランプ手段は、少なくとも前記被設置体の前記案内方向に沿った異なる2箇所に設けられている。
【0009】
好適には、前記ベッド本体は、前記基準面に対向する側に前記案内方向に沿って設けられ、当該ベッド本体側を向き前記案内面および基準面に対して傾斜した傾斜面を備え、前記クランプ手段は、前記被設置体に前記設置面に垂直な方向に移動自在に設けられ、かつ、先端部に前記傾斜面に係合する係合部を備えたクランプ部材と、当該クランプ部材前記設置面に垂直な方向の押し上げる押し上げ手段とを有し、前記クランプ部材に作用する押し上げ力により移動する前記係合部と前記傾斜面との間に発生する力によって前記各押圧力を発生させる。
【0010】
好適には、前記クランプ部材の係合部は、前記ベッド本体の傾斜面に当接し、前記被設置体側を向く傾斜面を備える。
【0011】
前記押し上げ手段は、前記クランプ部材に設けられた係合部材と、前記係合部材と係合するくさび部材を先端部に備え、前記被設置体に前記設置面に沿った方向に移動可能に設けられた押し上げ用ロッドと、前記押し上げ用ロッドに直動力を作用させる駆動手段と、を有し、前記くさび部材の前記係合部材に対する相対移動によって、前記押し上げ用ロッドに作用する直動力を前記クランプ部材に作用させる前記設置面に垂直な方向の押し上げ力に変換する。
【0012】
具体的には、前記被設置体は、前記案内方向に平行な心押台センタを備える心押し台である。
【0013】
本発明では、被設置体をベッド本体の案内面に設置し、案内方向に沿った所望の位置に位置決めした後に、クランプ手段を動作させて被設置体をベッド本体にクランプする。
クランプ手段が動作すると、被設置体の設置面はベッド本体の案内面に押圧されるとともに、被設置体の対向面は案内面に垂直な基準面に押圧される。これにより、被設置体はベッド本体にクランプされると同時に、被設置体の基準面に垂直な方向の位置決めがなされる。
たとえば、被設置体として心押し台を用いた場合に、クランプ手段によって心押し台をベッド本体にクランプすると、心押台センタの軸心の案内方向に直交する(案内方向を垂直に横切る)方向の位置決めが行われる。すなわち、本発明では、案内面を、たとえば、V形案内面にすることなく、心押台センタの軸心の案内方向を横切る向きの位置決めを行うことができる。
さらに、本発明では、ベッド本体に設けられた基準面を所定の加工精度で加工すれば、被設置体は基準面に垂直な方向に高い精度で位置決めされる。この基準面は平面からなる案内面に対して垂直な面であるため、高い加工精度を比較的容易に得ることができ、加工コストを低減することができる構造となっている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用される工作機械の一例としてのロール研削盤の概略構成を示す図である。
図1において、ロール研削盤1は、ベッド本体2と、ベッド本体2上に設置された心押し台11と、主軸台61と、砥石81と、ワークとしてのロール51のジャーナル部51a,51bを支持する2つの受け台91とを備えている。
ここで、ベッド本体2は本発明のベッド本体、心押し台11は本発明の被設置体の一具体例に対応している。
【0015】
受け台91は、ぞれぞれ、ロール51のジャーナル部51aおよび51Bを受ける受金を備えており、この受金によってロール51を回転自在に支持している。
受け台91に支持されたロール51は、両方の軸端の中心がそれぞれ主軸台61のセンタ63および心押し台11の心押台センタ11aによって押圧されている。
主軸台61は、ベース面BS上に設置されており、回転自在に保持された面板62を所定の回転数で駆動する。面板62の所定の半径位置には、2本の伝達部材62aがロール51の長手方向に沿って突出するように設けられており、この伝達部材62aがロール51の軸端部に固定されたケレと呼ばれる伝達治具54と係合することによって、面板62の回転をロール51に伝達する。
【0016】
砥石81は、図示しない砥石台によって回転自在に保持されており、この砥石台は図示しない往復台にロール51に対する切り込み方向に移動可能に設置されている。往復台は、矢印E1およびE2方向に移動可能となっている。砥石台によって所定の回転数で駆動された砥石81は、往復台による矢印E1およびE2方向の移動によって、ロール51の周面を研削する。
【0017】
心押し台11は、ベッド本体2上に設置されており、ロール51の軸端の中心を押圧し支持する心押台センタ11aを備えている。この心押し台11は、ベッド本体2上を矢印C1およびC2で示す案内方向に移動可能になっている。また、心押台センタ11aは図示しない油圧シリンダ等の駆動手段によって軸心方向に移動可能になっている。
心押し台11は、ベッド本体2上を図示しない駆動手段または手動によって案内方向C1およびC2に沿って任意の位置に移動可能になっている。
心押し台11は、案内方向C1およびC2に沿った異なる位置にそれぞれ本発明のクランプ手段としてのクランプ機構21が設けられている。心押し台11は、これらのクランプ機構21によって、ロール51の軸端を支持した状態でベッド本体2に固定されている。
【0018】
図2および図3は、本発明の一実施形態に係るベッド本体2の構造を示す図であって、図2は上面図であり、図3は図2のD−D線方向の断面図である。
図2および図3において、本実施形態に係るベッド本体2は、上記した案内方向C1およびC2に沿って平行な第1および第2のレール部3,4とを有している。
第1のレール部3の上面は、水平面からなる案内面3aとなっており、第2のレール部4の上面は、平面からなる案内面4aとなっている。
【0019】
第1レール部3の第2のレール部4に対向する側の側面には、案内方向C1およびC2に沿って形成された所定の角度で傾斜した傾斜面3bが設けられている。この傾斜面3bは、ベッド本体2側を向くように形成されている。また、傾斜面3bは案内面3aに対して、たとえば、60度の角度で傾斜している。
【0020】
第2のレール部4の第1レール部3に対向する側の側面には、案内方向C1およびC2に沿って形成され、第2のレール部4の案内面4aに垂直な平面からなる基準面4bが設けられている。
【0021】
図4は、上記構成のベッド本体2に設置された心押し台11をクランプするクランプ機構21の構造を示す断面図である。
図4において、心押し台11の底部には、上記のベッド本体2の第1および第2のレール部3,4の案内面3a,4aに対応して設置面12および設置面13が形成されており、これら設置面12,13が案内面3a,4a上に設置される。
さらに、心押し台11の底部のベッド本体2の第2のレール部4に隣接する位置に形成された突出部14の基準面4bに対向する対向面14aは、基準面4bに当接することによって心押し台11の案内方向C1およびC2を垂直に横切る向きであるK1およびK2方向の位置決めをする基準面となっている。
【0022】
クランプ機構21は、心押し台11の底部に矢印F1およびF2方向、すなわち、設置面12に垂直な向きに沿って形成された案内孔16に移動自在に設けられたクランプ部材22と、クランプ部材22の下端部に設けられた係合部材23と、心押し台11の底部に矢印G1およびG2方向、すなわち、案内方向C1およびC2を垂直に横切る向きに沿って形成された案内孔17に移動自在に設けられたくさび部材26と、このくさび部材26と一端部が回転自在に連結された押し上げ用ロッド27と、この押し上げ用ロッド27の他端部側に形成されたねじ部27bと螺合するねじ孔19aが形成され心押し台11に固定された軸受部材19とを備える。
【0023】
クランプ部材22は、丸棒状の部材からなり、下端部に係合部材23を保持するための鍔状の抜け止め部22aが形成されている。
図5に示すように、係合部材23には、このクランプ部材22の抜け止め部22aが嵌合する嵌合穴23dおよび嵌合穴23dに連通する貫通孔23cが形成されており、係合部材23の貫通孔23cがクランプ部材22の上端側から挿入されることによって、係合部材23がクランプ部材22の抜け止め部22aに支持されている。
係合部材23は、先端部にベッド本体2に形成された傾斜面3bに当接し、心押し台11側を向いた傾斜面23aを備えている。この傾斜面23aは、ベッド本体2に形成された傾斜面3bと逆向きに同じ角度で傾斜している。
また、係合部材23の後端面23bは、心押し台11の底部に形成された突出部15の側面15aによって矢印F1およびF2方向に案内されている。
【0024】
一方、図6に示すように、クランプ部材22の軸部には、クランプ部材22に直交する向きに貫通したくさび部材26の先端部が挿入される挿入用孔22bが形成されており、この挿入用孔22bの内周面の上側部分には、くさび部材26と当接する係合部材24が固定されている。この係合部材24は、クランプ部材22の上端側から形成された盲穴22eに挿入されたボルト32によってクランプ部材22に固定されている。
係合部材24は、所定の角度で傾斜したくさび面24aを有し、このくさび面24aがくさび部材26の先端に形成されたくさび面26aと当接している。
【0025】
くさび部材26は、先端部に係合部材24のくさび面24aと当接し、当該くさび面24aと逆向きに同じ角度で傾斜したくさび面26aを備えているとともに、後端部には押し上げ用ロッド27の先端部27aと回転自在に連結される連結部26bを備えている。
【0026】
図7(a)は、くさび部材26の連結部26bと押し上げ用ロッド27の先端部27aとの連結構造を示す断面図であり、図7(b)は図7(a)のG−G線方向の断面図である。
図7に示すように、くさび部材26の連結部26bには、押し上げ用ロッド27の先端部27aが嵌合し、両者の軸方向の相対運動を規制するための凹部26dが形成されている。くさび部材26の連結部26bに形成された切欠部26cに、押し上げ用ロッド27の先端部27aに隣接して形成された小径部27bが嵌まる。
さらに、押し上げ用ロッド27の先端部27aの先端面は球面状に形成されており、押し上げ用ロッド27のくさび部材26に対するセンタずれを逃げることができる、いわゆるフリーセンタジョイント構造となっている。
【0027】
押し上げ用ロッド27の他端側には、ねじ部27bが形成されており、このねじ部27bは心押し台11に固定された軸受部材19のねじ孔19aに螺合している。
したがって、押し上げ用ロッド27が回転すると、押し上げ用ロッド27はその回転方向に応じて矢印G1およびG2のいずれかの向きに直動する。
【0028】
さらに、押し上げ用ロッド27の他端部に形成されたボス部27cは、心押し台11の側面から外部に突出しており、このボス部27cには押し上げ用ロッド27を回転させるためのハンドル部材30の嵌合部30aが嵌合するようになっている。ハンドル部材30を用いて押し上げ用ロッド27を回転させることにより、押し上げ用ロッド27を矢印G1およびG2の任意の向きに直動させることができる。なお、押し上げ用ロッド27のねじ部27b、軸受部材19のねじ孔19aおよびハンドル部材30によって本発明の駆動手段を構成している。
【0029】
次に、上記構成のクランプ機構21による心押し台11のベッド本体2へのクランプ動作について説明する。
まず、ベッド本体2の案内方向C1およびC2に沿って心押し台11を所望の位置に位置決めする。なお、この状態では、心押し台11はクランプ機構21によってクランプされていないものとする。
心押し台11を案内方向C1およびC2に移動させると、心押し台11の心押台センタ11aの軸心は、主軸台61のセンタ63に対して位置ずれを発生する可能性がある。すなわち、ベッド本体2の2条の案内面3aおよび4aは平形の案内面であることから、図4に示した案内方向C1およびC2を垂直に横切る向きである矢印K1およびK2方向に関しては、心押し台11は案内されていない。 このため、心押し台11の案内方向C1およびC2の移動に伴って、心押し台11の底部の対向面14aがベッド本体2の基準面4bに確実に当接せず、心押台センタ11aの軸心が矢印K1およびK2方向に位置ずれを起こしている場合もある。
【0030】
次いで、心押し台11を位置決めしたら、ハンドル部材30を所定の向きに回転させ、押し上げ用ロッド27を図4の矢印G1の向きに移動させる。
押し上げ用ロッド27が矢印G1の向きに移動すると、押し上げ用ロッド27の先端部27aに回転自在に連結されたくさび部材26も矢印G1の向きに移動し、くさび部材26のくさび面26aがこれに当接する係合部材24のくさび面24aに対して移動する。
くさび部材26の係合部材24に対する相対移動によって、押し上げ用ロッド27に作用する直動力はクランプ部材22に作用させる設置面12に垂直な方向の押し上げ力に変換され、図8に示すように、係合部材24は矢印F1の向きに押し上げられる。係合部材24は矢印F1の向きに押し上げられると、クランプ部材22が矢印F1の向きに押し上げられ、クランプ部材22の下端部に設けられた係合部材23の傾斜面23aがベース本体2の傾斜面3bに押し付けられる。
【0031】
係合部材23の傾斜面23aがベース本体2の傾斜面3bに押し付けられられたとき、ベース本体2の傾斜面3bから係合部材23の傾斜面23aが受ける反力は、クランプ部材22を矢印F2の向きに押し下げる力と、クランプ部材22を矢印K2の向きに押す力を発生する。
クランプ部材22を矢印F2の向きに押し下げる力は、心押し台11の案内孔17に嵌合挿入されたくさび部材26を通じて、心押し台11の設置面12をベース本体2の案内面3aに押圧する力として作用する。
【0032】
一方、クランプ部材22を矢印K2の向きに押す力は、クランプ部材22が心押し台11の案内孔16に嵌合挿入されていることから心押し台11を矢印K2の向きに押圧する力として直接作用し、心押し台11の対向面14aはベース本体2の基準面4bに押圧される。これにより、心押し台11の対向面14aはベース本体2の基準面4bに確実に密着し、心押し台11の矢印K1およびK2方向の位置決めがなされる。
このとき、クランプ機構21が案内方向C1およびC2に沿って一か所のみに設けられている場合には、心押し台11の対向面14aがベース本体2の基準面4bに確実に密着しないおそれがあるが、本実施形態では、クランプ機構21が案内方向C1およびC2に沿って2か所に設けられているため、心押し台11の対向面14aはベース本体2の基準面4bに確実に密着する。
【0033】
このように、心押し台11の設置面12がベース本体2の案内面3aに押圧され、心押し台11の対向面14aがベース本体2の基準面4bに押圧された状態となると、心押し台11はベース本体2にクランプされた状態となる。
これにより、心押し台11の心押台センタ11aにロール51の軸端から大きな力が作用しても、案内方向C1およびC2に移動することがなく、また、心押し台11が傾くことがなく、精度良くロール51の軸端の中心を押圧し支持することができる。
【0034】
本実施形態によれば、ベース本体2に形成された案内面3aおよび4aは、いわゆる平形案内面であり、また、基準面4bは案内面4bに垂直な面であるため、V形案内面のような案内面に比較して所定の加工精度で加工することが容易であり、ベース本体2の加工コストを低減することができる。
さらに、ベース本体2に形成された傾斜面3bは、案内面ではないため、高い加工精度は要求されないため、比較的加工が容易である。
また、ベース本体2には、ボルトおよびナット等の締結手段によってクランプするための溝等を形成する必要がなく、ベース本体2の構造を簡素化でき、製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、ベース本体2に心押し台11をクランプするクランプ作業は、ハンドル部材30を用いて押し上げ用ロッド27を回転させることによって行うことができ、作業性が向上する。また、押し上げ用ロッド27のボス部27cは心押し台11から外部に突出しているため、クランプ作業を心押し台11から離れて行うことができる。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、本発明の被設置体としてロール研削盤1の心押し台11の場合について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるわけではなく、たとえば、旋盤の心押し台にも適用可能であり、さらに、心押し台に限らず、主軸台等のベッド本体に設置される種々の対象について適用可能である。
また、上述した実施形態では、押し上げ用ロッド27を回転させる駆動源としてハンドル部材30を用いた手動操作の場合について説明したが、たとえば、モータ等の駆動源によって押し上げ用ロッド27を回転させる構成とし、クランプ作業を自動化する構成としてもよい。
【0036】
さらに、上述した実施形態では、押し上げ用ロッド27の回転運動を直線運動に変換することによりくさび部材26を直動させる構成としたが、たとえば、油圧シリンダ等の駆動源を用いてくさび部材26を直接直動させる構成とすることも可能である。
さらに、上述した実施形態では、ベッド本体2は、2条の第1および第2のレール部3、4を備える構成としたが、本発明はさらに多くのレール部を備えるベッドにも適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、構造が簡素化され、クランプ作業が容易でかつ低コスト化が可能な工作機械のベッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される工作機械の一例としてのロール研削盤の概略構成を示す図である。
【図2】ベッド本体の上面図である。
【図3】図2に示すベッド本体のD−D線方向の断面図である。
【図4】クランプ機構の構造を示す断面図である。
【図5】クランプ部材の先端部の構造を示す図である。
【図6】クランプ部材と押し上げ用ロッドとの関係を示す断面図である。
【図7】くさび部材と押し上げ用ロッドとの連結構造を示す断面図である。
【図8】クランプ機構の動作を説明するための図である。
【図9】工作機械のベッドの構造の一例を示す平面図である。
【図10】図9のA−A線方向の断面図である。
【符号の説明】
1…ロール研削盤
2…ベッド本体
3…第1のレール部
3a…案内面
3b…傾斜面
4…第2のレール部
4a…案内面
4b…基準面
11…心押し台
11a…心押台センタ
12,13…設置面
14,15…突出部
16…案内孔
19…軸受部材
21…クランプ機構
22…クランプ部材
23…係合部材
24…係合部材
26…くさび部材
27…押し上げ用ロッド
30…ハンドル部材

Claims (5)

  1. 被設置体を所定の案内方向に沿って移動可能に支持する工作機械のベッドであって、
    前記案内方向に沿った平面からなる案内面と、前記案内方向に沿った前記案内面に垂直な基準面とを備えるベッド本体と、
    前記案内面に設置される前記被設置体の設置面を当該案内面に向けて押圧する押圧力と、前記基準面に対向する前記被設置体の対向面を当該基準面に向けて押圧する押圧力とを同時に発生させて前記被設置体を前記ベッド本体にクランプするクランプ手段とを有し、
    前記ベッド本体は、前記基準面に対向する側に前記案内方向に沿って設けられ、当該ベッド本体側を向き前記案内面および基準面に対して傾斜した傾斜面を備え、
    前記クランプ手段は、
    一の駆動源からの力を前記各押圧力に変換し、
    前記被設置体に前記設置面に垂直な方向にのみ移動自在に設けられ、かつ、先端部に前記傾斜面に係合する係合部を備えたクランプ部材と、当該クランプ部材を前記設置面に垂直な方向に押し上げる押し上げ手段とを有し、前記クランプ部材に作用する押し上げ力により移動する前記係合部と前記傾斜面との間に発生する力によって前記各押圧力を発生させ、
    前記クランプ部材の係合部は、前記ベッド本体の傾斜面に当接し、前記被設置体側を向く傾斜面を備える
    工作機械のベッド。
  2. 前記押し上げ手段は、前記クランプ部材に設けられた係合部材と、
    前記係合部材と係合するくさび部材を先端部に備え、前記被設置体に前記設置面に沿った方向に移動可能に設けられた押し上げ用ロッドと、
    前記押し上げ用ロッドに回転力及び直動力を作用させる駆動手段と、を有し、
    前記くさび部材の前記係合部材に対する相対移動によって、前記押し上げ用ロッドに作用する直動力を前記クランプ部材に作用させる前記設置面に垂直な方向の押し上げ力に変換し、
    前記押し上げ用ロッドの前記くさび部材側の端部には、先端部に隣接されて形成された小径部が形成され、
    前記くさび部材の前記押し上げ用ロッド側の端部である連結部には、凹部が形成され、
    前記凹部の前記押し上げ用ロッド側の端部には、切欠部が形成され、
    前記凹部に前記押し上げ用ロッドの前記先端部が嵌合し、前記切欠部に前記小径部が嵌まることによって、前記押し上げ用ロッドの直動力と回転力のうち直動力のみを前記くさび部材に伝達する
    請求項1に記載の工作機械のベッド。
  3. 前記クランプ手段は、少なくとも前記被設置体の前記案内方向に沿った異なる2箇所に設けられている
    請求項1又は2に記載の工作機械のベッド。
  4. 前記ベッド本体は、前記案内面を備える平行な第1および第2のレール部とを有し、
    前記基準面は、前記第1のレール部の前記第2のレール部に対向する側の側面に設けられており、
    前記傾斜面は、前記第2のレール部の前記第1のレール部に対向する側の側面に設けられている
    請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械のベッド。
  5. 前記被設置体は、前記案内方向に平行な心押台センタを備える心押し台である
    請求項1〜4のいずれかに記載の工作機械のベッド。
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