JP4423744B2 - エアベルト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両乗員を車両衝突時に保護するためのエアベルト装置に関するものであり、詳しくはインフレータから供給されるガスによってエアベルトを膨張させるエアベルト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のエアベルト装置は、例えば特開平5−85301号公報等にみられる通り公知となっている。図3は同号公報のエアベルト装置の斜視図である。
【0003】
このエアベルト装置1は、乗員の右側から左側へ斜めに延設されるショルダーベルト2と、乗員の右側から左側へ延設されるラップベルト3と、車両床部等に配設されたバックル装置4と、ベルト装着時にバックル装置4に挿入係止されるタング5と、ショルダーベルト2を案内する中間ガイド6とを備えている。
【0004】
ショルダーベルト2は、従来の一般的なシートベルトと同様のノーマルベルト2aと、このノーマルベルト2aの一端に連結された膨張可能なエアベルト2bとから構成されている。ノーマルベルト2aは中間ガイド6に摺動自在に案内掛通されている。ノーマルベルト2aの他端は、車体に固定された緊急時ロック機構付シートベルトリトラクタ(ELR)7に連結されている。このシートベルトリトラクタ7にノーマルベルト2aは巻き取り可能とされている。
【0005】
エアベルト2bは乗員が当接する部分に位置するようになっており、ノーマルベルト2aとの連結端部と反対側の端部がタング5に連結されている。
【0006】
ラップベルト3は、一般的なシートベルトと同様のノーマルベルトにより形成され、その一端がタング5に連結されているとともに、他端が車体に固定されたシートベルトリトラクタ(ELR)8に連結されている。更にバックル装置4には、車両衝突時等の緊急必要時に作動して高圧のガスを発生するガス発生装置9が連結されている。なお、ラップベルト3も膨張可能なエアベルトにて構成されることもある。
【0007】
タング5及びバックル装置4には、インフレータを内蔵したガス発生装置9からのガスをエアベルト2bに導くための通路が設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
自動車の座席にチャイルドシートを設置する場合、このチャイルドシートはシートベルトによって固定されている。本発明は、チャイルドシートの乗員の保護に好適なエアベルト装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明はインフレータを作動させる必要がないときにはインフレータが作動しないエアベルト装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明はガス発生量や発生時間を変更しうるインフレータを備えたエアベルト装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)のエアベルト装置は、ガスによって膨張するエアベルトと、ガスを発生するインフレータと、車両の緊急状況を示す緊急信号の入力を受けて該インフレータを作動させるインフレータ制御器とを有するエアベルト装置において、車両の座席へのチャイルドシートの搭載を検知するチャイルドシート検出手段を有しており、該チャイルドシート検出手段は、チャイルドシートの後部に設けられたマグネット及び該座席に設けられたホール素子からなる第1検出手段と、チャイルドシートの後部に設けられた導電体及び該座席に設けられた静電容量変化型センサからなる第2検出手段との少なくとも一方よりなり、該エアベルトの非装着状態を検知する非装着状態検知手段と、乗員の不正姿勢を検知する不正姿勢検知手段と、着座した乗員の体重を小さい方から順に超軽量、小柄、中柄及び大柄の4段階に検知する体重検知手段と、衝突時の速度を知する速度検知手段と、2個のインフレータとを備えており、該不正姿勢検知手段は、座席の前方のインストルメントパネル及び座席の上方のキャビン天井に設置されたCCDカメラの撮像データをアウトオブポジション検出回路にて処理することにより着座者の姿勢を検知し、着座者の姿勢が不正なものとなっているか否かを検出可能とするものであり、該緊急信号の入力があっても、該非装着状態検知手段がエアベルト非装着状態を検知した場合、該チャイルドシート検出手段がチャイルドシート搭載状態を検知した場合、該不正姿勢検知手段が乗員不正姿勢を検知した場合、速度検知手段が低速を検知した場合、及び、速度検知手段を検知しかつ該体重検知手段が乗員が超軽量であることを検知した場合の少なくとも1つに該当するときには、該インフレータ制御器は2個のインフレータをいずれも作動させず、該緊急信号の入力があっても、該体重検知手段が着座者の体重が超軽量であることを検知しかつ該速度検知手段が高速を検知した場合、該体重検知手段が着座者が小柄であることを検知しかつ該速度検知手段が中速又は高速を検知した場合、及び、該体重検知手段が着座者が中柄であることを検知しかつ該速度検知手段が中速を検知した場合の少なくとも1つに該当するときには、該インフレータ制御器は、1個のインフレータのみを作動させ、又は一方のインフレータを作動させてから所定時間が経過してから他方のインフレータを作動させて、エアベルトを膨張させ、該緊急信号の入力があっても、該体重検知手段が着座者が中柄であることを検知しかつ該速度検知手段が高速を検知した場合、及び、該体重検知手段が着座者が大柄であることを検知しかつ該速度検知手段が中速又は高速であることを検知した場合の少なくとも1つに該当するときには、該インフレータ制御器は、2個のインフレータを同時に作動させ、又は、2個のインフレータを前記所定時間よりも短い時間差をおいて作動させて、エアベルトを素早く膨張させることを特徴とするものである。
【0012】
かかるエアベルト装置にあっては、例えばエアベルトが装着されていないときなど車両が衝突等の緊急事態に遭遇してもインフレータを作動させる必要がないときにはインフレータを作動させないよう構成することができる。
【0013】
緊急時においてもエアベルト装置のインフレータを作動させる必要がない場合としては、上記のようにエアベルトによってチャイルドシートを固定している場合、エアベルトが装着されていない場合、乗員が不正な着座姿勢(アウトオブポジション)を取っている場合、着座した乗員の体重が所定値以下である場合、衝突時の速度が所定速度以下である場合などがる。これらの信号はセンサなどの検知手段によって発生するものであっても良い。
【0014】
本発明では、禁止信号は、人が操作するスイッチによって発生するものであっても良い。
【0015】
本発明にあっては、インフレータが個設けられており、禁止信号によりすべてのインフレータの作動が禁止される。
【0016】
本発明にあっては、インフレータが個設けられており、乗員の体重及び前記衝突時の速度に応じてインフレータの作動禁止及び作動するインフレータの個数の選択が行われる。
【0017】
本発明では、インフレータ制御器の作動個数又はガス発生量を表示する表示手段を備えてもよい。この表示手段としては、自動車の室内において視認されるように設置された表示器が好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1,2を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係るエアベルト装置を備えた自動車内部の側面図であり、図2はこのエアベルト装置の制御回路のブロック図である。
【0019】
自動車10内の座席12は座席支持レール14上に前後方向にスライド自在に設置されており、この支持レール14の車体メンバへのすべての支持部に荷重センサ16が設けられている。すべての荷重センサ16の検知信号を体重検出回路18に入力し、検出荷重の和をとることにより着座者の体重が検出される。
【0020】
この座席12には、搭載されるチャイルドシート20を検出するためのチャイルドシートセンサ22が設けられている。このチャイルドシートセンサ22としては、例えば磁力線を感知するホール素子などを用いることができる。この場合、チャイルドシート20の後部にマグネット24を設けておき、チャイルドシート20が座席12上に搭載され、マグネット24がチャイルドシートセンサに近接すると該チャイルドシートセンサ22がチャイルドシート12を検知する。
【0021】
座席12の前方のインストルメントパネル28と、座席12の上方のキャビン天井30にはそれぞれCCDカメラ32,34が設置され、これらのCCDカメラ32,34の撮像データをアウトオブポジション検出回路36にて処理することにより着座者の姿勢を検知し、着座者の姿勢が不正なもの(アウトオブポジション)となっているか否かを検出可能としている。なお、着座者の姿勢が正しいとは、着座者が座席のシートクッションの左右の中央に座り、背中をシートバックに当てている姿勢をいう。不正な着座姿勢とは、この正しい着座姿勢から著しく異なる姿勢をいう。
【0022】
自動車10の検出速度信号が車速判定回路38に入力され、車速が低速(例えば22.4km/Hr以下)、中速(例えば22.4〜35.2km/Hr)、高速(例えば35.2km/Hr以上)のいずれかであるかが判定される。
【0023】
この自動車10に搭載されたエアベルト装置は、バックル装置4にタング5が挿入係止されたことを検知してエアベルト装着を検出するラッチセンサ40が設けられていること、ガス発生装置9に第1インフレータ41と第2インフレータ42の2個のインフレータが設けられている点を除き前記図3に示したエアベルト装置と同一の構成となっている。なお、ラップベルト3も膨張可能なエアベルトにて構成されても良い。
【0024】
図2の通り、ラッチセンサ40、車速判定回路38、体重検出回路18、チャイルドシートセンサ22、アウトオブポジション検出回路36、自動車10の衝突センサ44及び転倒センサ46の検出信号並びに任意カットスイッチ47はインフレータ制御回路50に入力され、このインフレータ制御回路50がインフレータ41,42に電流を供給してインフレータ41,42を作動させ得るよう構成されている。なお、インフレータ41,42は同容量のものであってもよく、異なる容量のものであってもよい。
【0025】
このように構成されたエアベルト装置の作動を次に表1を参照して説明する。
A:[自動車が衝突又は転倒してもエアベルト装置が作動しない場合]
衝突センサ44又は転倒センサ46が自動車の衝突又は転倒を検知した場合であっても、ラッチセンサ40がエアベルトの装着を検出していないエアベルト非装着状態にあっては、インフレータ41,42は作動しない。
【0026】
また、チャイルドシートセンサ22がチャイルドシート20を検知しているチャイルドシート搭載状態にあってはインフレータ41,42は作動しない。
【0027】
乗員がアウトオブポジションであるときにもインフレータ41,42は作動しない。
【0028】
乗員が正しい姿勢にて着座し、エアベルトを装着している場合であっても、衝突速度が低速であるときはインフレータ41,42は作動しない。
【0029】
また、乗員が正しい姿勢にて着座し、エアベルトを装着しており、且つ衝突速度が中速であっても、乗員の体重が例えば22kg以下など著しく小さいときにはインフレータ41,42は作動しない。
【0030】
B:[1個のインフレータのみが作動し、エアベルトがソフトに膨張する場合]
着座者の体重が著しく軽量で衝突速度が高速である場合、
着座者の体格が小柄(例えば22〜50kg)であり衝突速度が中速又は高速である場合、
着座車の体格が中柄(例えば50〜75kg)であり衝突速度が中速である場合
にはそれぞれ1個のインフレータ41のみが作動し、インフレータ42は作動しない。これにより、エアベルトはソフトに膨張する。
【0031】
なお、このBの場合では1個のインフレータのみを作動させているが、一方のインフレータが作動してから比較的長い時間(例えば30mSec以上、とりわけ40mSec以上)が経過してから他方のインフレータを作動させても良い。このようにしても、Bの場合と同様にエアベルトはソフトに膨張する。
【0032】
C:[2個のインフレータが作動する場合]
着座者の体格が中柄であり衝突速度が高速である場合、
着座者の体格が大柄(例えば体重75kg以上)であり衝突速度が中速又は高速である場合
には、それぞれ2個のインフレータ41,42が作動し、エアベルトが十分に大きく且つ素早く膨張する。
【0033】
このCの場合、2個のインフレータは同時に作動しても良く、比較的短い時間差(例えば15mSec以内とりわけ10mSec以内)をおいて作動しても良い。
【0034】
【表1】
Figure 0004423744
【0035】
註1 OFFは2個のインフレータがいずれも作動しないことを示す。
註2 LOWは1個のインフレータのみが作動するか、又は2個のインフレータが比較的長い時間差をおいて作動することを示す。
註3 HIGHは2個のインフレータが同時に作動するか、又は比較的短い時間差をおいて作動することを示す。
【0036】
この実施の形態にあっては2個のインフレータを用いている。
【0037】
なお、表1は本発明の一例を示すものであり、本発明は表1に限定されるものではない
【0038】
上記実施の形態にあっては、チャイルドシートセンサ22は感磁式のホール素子を用いているが、チャイルドシート20に導電体を設けると共にチャイルドシートセンサとして静電容量変化型センサを用いてもよい。また、チャイルドシートにマグネットと導電体とを設けると共にチャイルドシートセンサとしてホール素子と静電容量変化型センサとを併用してもよい。
【0039】
上記実施の形態ではセンサ22,40,44,46又は回路18,36,38から自動的に信号が発生し、これによってインフレータの作動を禁止しうるようにしているが、本発明では人が操作するスイッチによって信号を発生させ、この信号によってOFF,LOW,HIGHの切替やOFFの選択を行うよう構成しても良い。
【0040】
このようなインフレータ制御回路50の動作モード(例えば表1のOFF,LOW,HIGH、あるいはインフレータのガス発生量など)を表示するための表示手段が設けられてもよい。この表示手段としては、図1のインストルメントパネル28などのように、車両室内から見易い箇所に設置されたLEDランプ等の表示器60が好適である。
【0041】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のエアベルト装置によると、乗車態様によりエアベルトがより効果的に作動するとともにエアベルトを膨張させる必要がないときには自動車が衝突したり転倒してもインフレータが作動しないので、自動車の修理コストが節約される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係るエアベルト装置を備えた自動車内部の側面図である。
【図2】 実施の形態に係るエアベルト装置のブロック図である。
【図3】 従来のエアベルト装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 エアベルト装置
2 ショルダーベルト
3 ラップベルト
4 バックル装置
5 タング
9 ガス発生装置
10 自動車
12 座席
16 荷重センサ
20 チャイルドシート
22 チャイルドシートセンサ
24 マグネット
32,34 CCDカメラ
50 インフレータ制御回路
60 表示器

Claims (6)

  1. ガスによって膨張するエアベルトと、ガスを発生するインフレータと、車両の緊急状況を示す緊急信号の入力を受けて該インフレータを作動させるインフレータ制御器とを有するエアベルト装置において、
    車両の座席へのチャイルドシートの搭載を検知するチャイルドシート検出手段を有しており、
    該チャイルドシート検出手段は、チャイルドシートの後部に設けられたマグネット及び該座席に設けられたホール素子からなる第1検出手段と、チャイルドシートの後部に設けられた導電体及び該座席に設けられた静電容量変化型センサからなる第2検出手段との少なくとも一方よりなり、
    該エアベルトの非装着状態を検知する非装着状態検知手段と、
    乗員の不正姿勢を検知する不正姿勢検知手段と、
    着座した乗員の体重を小さい方から順に超軽量、小柄、中柄及び大柄の4段階に検知する体重検知手段と、
    衝突時の速度を知する速度検知手段と、
    2個のインフレータと
    を備えており、
    該不正姿勢検知手段は、座席の前方のインストルメントパネル及び座席の上方のキャビン天井に設置されたCCDカメラの撮像データをアウトオブポジション検出回路にて処理することにより着座者の姿勢を検知し、着座者の姿勢が不正なものとなっているか否かを検出可能とするものであり
    該緊急信号の入力があっても、該非装着状態検知手段がエアベルト非装着状態を検知した場合、該チャイルドシート検出手段がチャイルドシート搭載状態を検知した場合、該不正姿勢検知手段が乗員不正姿勢を検知した場合、速度検知手段が低速を検知した場合、及び、速度検知手段を検知しかつ該体重検知手段が乗員が超軽量であることを検知した場合の少なくとも1つに該当するときには、該インフレータ制御器は2個のインフレータをいずれも作動させず、
    該緊急信号の入力があっても、該体重検知手段が着座者の体重が超軽量であることを検知しかつ該速度検知手段が高速を検知した場合、該体重検知手段が着座者が小柄であることを検知しかつ該速度検知手段が中速又は高速を検知した場合、及び、該体重検知手段が着座者が中柄であることを検知しかつ該速度検知手段が中速を検知した場合の少なくとも1つに該当するときには、該インフレータ制御器は、1個のインフレータのみを作動させ、又は一方のインフレータを作動させてから所定時間が経過してから他方のインフレータを作動させて、エアベルトを膨張させ、
    該緊急信号の入力があっても、該体重検知手段が着座者が中柄であることを検知しかつ該速度検知手段が高速を検知した場合、及び、該体重検知手段が着座者が大柄であることを検知しかつ該速度検知手段が中速又は高速であることを検知した場合の少なくとも1つに該当するときには、該インフレータ制御器は、2個のインフレータを同時に作動させ、又は、2個のインフレータを前記所定時間よりも短い時間差をおいて作動させて、エアベルトを素早く膨張させることを特徴とするエアベルト装置。
  2. 請求項1において、前記チャイルドシート検出手段として前記第1検出手段のみが設けられていることを特徴とするエアベルト装置。
  3. 請求項1において、前記チャイルドシート検出手段として前記第2検出手段のみが設けられていることを特徴とするエアベルト装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、人によって操作されてインフレータ動作の禁止信号を出力するスイッチを有しており、
    該インフレータ制御器は、該スイッチから禁止信号が与えられると、該緊急信号の入力があってもすべてのインフレータの作動を禁止するものであることを特徴とするエアベルト装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記インフレータの作動個数を表示する表示手段を備えたことを特徴とするエアベルト装置。
  6. 請求項5において、該表示手段は自動車の室内において視認されるように設置された表示器であることを特徴とするエアベルト装置。
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