JP3879338B2 - 乗員保護装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時にシートの側方のバッグ及びエアベルトを膨張させて乗員を保護するための乗員保護装置に係り、特に衝突規模等に応じてガス発生器を制御するようにした乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両には、乗員保護のためにシートベルト装置やエアバッグ装置が用いられている。車両衝突時にはシートベルトのロック機構を作動させて巻き出しを防止したり、エアバッグ装置のインフレータを作動させてエアバッグを膨らませる。また、近年、シートの側方に膨張可能なサイドエアバッグ装置や乗員頭部保護用のエアバッグ装置を設けることが広がりつつある。さらに、シートベルトの一部を膨張させるエアベルト装置も種々提案されている。
【0003】
この種のエアベルト装置として、特開平5−85301号公報記載のものがある。図3は同号公報のエアベルト装置の斜視図である。
【0004】
このエアベルト装置1は、乗員の右側から左側へ斜めに延設されるエアベルト2と、このエアベルト2に接続されたウェビング2aと、乗員の右側から左側へ延設されるラップベルト3と、車体床部等に配設されたバックル装置4と、ベルト装着時にバックル装置4に挿入係止されるタング5と、ウェビング2aを案内するスルーアンカ6等を備えている。
【0005】
ウェビング2aは、従来の一般的なシートベルトと同様のノーマルベルトよりなり、スルーアンカ6に摺動自在に案内掛通されている。ウェビング2aの端部は、車体に固定された緊急時ロック機構付きシートベルトリトラクタ(ELR)7に巻き取り可能に連結されている。
【0006】
エアベルト2は一端がウェビング2aに縫合等により接続され、他端部がタング5に連結されている。
【0007】
ラップベルト3は、一般的なシートベルトと同様のノーマルベルトにより形成され、その一端がタング5に連結されているとともに、他端が車体に固定されたシートベルトリトラクタ(ELR)8に連結されている。バックル装置4には、車両衝突時等の緊急必要時に作動して高圧のガスを発生するガス発生装置9が連結されている。
【0008】
タング5及びバックル装置4には、ガス発生装置9からのガスをエアベルト2に導くための通路が設けられている。
【0009】
エアベルト2は、太幅の帯状のバッグを細幅帯状となるように折り畳んでカバーにより覆ったものであり、通常時には帯状に保形されている。このエアベルト装置1は、通常のシートベルト装置と同様に使用される。車両の衝突時等にガス発生装置9が作動すると、エアベルト2が二点鎖線で示すように膨張し、乗員が保護される。
【0010】
特開平11−78769号公報には、車両の衝突時の衝突規模を加速度センサで検出し、制御回路において、加速度、加速度の大きさ、加速度の経時変化、及び速度の低減量を求め、これらから衝撃の規模を検知し、それに応じてエアバッグ装置のインフレータのガス発生量を制御するようにした乗員保護装置が記載されている。また、特開平11−170948号公報には、車両の低速衝突時には、エアバッグ及びエアベルトは共に膨張せず、単なるシートベルトとして機能するエアベルトだけで乗員を拘束し、車両の中速衝突時には、エアベルトだけを膨張させ、車両の高速衝突時には、エアバッグ及びエアベルトの双方を膨張させる乗員保護装置が記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、検出された衝突規模に応じてシート側方のバッグ膨張用のガス発生器とエアベルト膨張用のガス発生器を制御することができる乗員保護装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の乗員保護装置は、膨張可能なバッグ及び該バッグ内にガスを供給して膨張させるバッグ用ガス発生器を有し、車両のシートの側方に設置されるバッグ装置と、膨張部及び該膨張部内にガスを供給して膨張させるエアベルト用ガス発生器を有したエアベルト装置と、車両の衝突に対応して該バッグ用ガス発生器及びエアベルト用ガス発生器を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、衝突規模及び該シートのリクライニング角度の双方に基いてこれらのガス発生器を制御する乗員保護装置であって、該制御装置は、該衝突規模が乗員保護必要規模よりも小さいときには、該バッグ用ガス発生器とエアベルト用ガス発生器のいずれも作動させず、該衝突規模が乗員保護必要規模よりも大きくかつ所定規模よりも小さいときには、該シートのリクライニング角度が所定角度よりも起立側にある場合にエアベルト用ガス発生器のみを作動させ、該シートのリクライニング角度が所定角度よりもフラット側にある場合にエアベルト用ガス発生器及びバッグ用ガス発生器の両方を作動させ、該衝突規模が該所定規模よりも大きいときには、該バッグ用ガス発生器とエアベルト用ガス発生器の両方を作動させることを特徴とするものである。
【0016】
なお、車両の衝突規模は、例えば、車両衝突時点から車両に加えられる加速度(減速度)を経時的に検出し、この加速度の経時変化から検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1(a)は実施の形態に係る乗員保護装置を備えたシートの側面図、図1(b),(c)は同正面図、図2はこの乗員保護装置の制御系統を示すブロック図である。
【0018】
このシート10には、前記図3のエアベルト装置が設置されている。このエアベルト装置の構成は図3のものと同一であるので、同一部分に同一符号を付してその構成の詳細な説明を省略する。
【0019】
このシート10は、シートクッション11及びシートバック12よりなる。このシートバック12のリクライニング角度を検知するために、リクライニング角度センサ13が設けられている。
【0020】
このシート10の側方のドア14にはサイドエアバッグ装置15が設けられている。このサイドエアバッグ装置15は公知のものであり、エアバッグ(サイドエアバッグ)16と、このエアバッグ16及びインフレータ17(図2)が取り付けられたリテーナと、折り畳まれたエアバッグ16を覆うカバーとを備えており、インフレータが作動するとエアバッグ16が膨張し、カバーが開裂し、エアバッグ16が乗員Pの側方に展開する。
【0021】
図2の通り、車両に設けられた衝突時の加速度(減速度)に基づいて衝突規模を検知する衝突規模検知システム40の出力信号がリクライニング角度センサ13の検知信号と共にインフレータ制御回路50に入力され、これらの信号に基づいてエアベルト装置のインフレータ9及びサイドエアバッグ装置のインフレータ17が制御される。
【0022】
この乗員保護装置の作動例について説明する。
【0023】
(1)車両の衝突に伴ってその規模が衝突規模検知システム40によって検知される。衝突規模が極めて小さく、乗員保護必要規模よりも小さいときには、インフレータ9,17のいずれも作動せず、エアバッグ16及びエアベルト2のいずれも膨張しない。
【0024】
(2)衝突規模が乗員保護必要規模よりも大きいが、所定規模よりも小さく、且つシートバック12が比較的立っている(例えばリクライニング角度θが45°よりも大きい)ときには、インフレータ9のみが作動し、図1(b)の通りエアベルト2のみが膨張する。これにより、乗員Pはエアベルト2によって拘束される。
【0025】
(3)衝突規模が所定規模よりも大きい場合には、リクライニング角度θの大小に関わらずインフレータ9,17の双方が作動し、図1(c)の通りエアベルト2及びエアバッグ16が膨張する。この結果、乗員Pはエアベルト2によって拘束されると共に、サイドエアバッグ16によっても保護される。
【0026】
(4)衝突規模が所定規模よりも小さくても、乗員保護必要規模よりも大きく、且つシートバッグ12が比較的寝ている(例えばリクライニング角度θが45°よりも小さいとき)場合には、インフレータ9,17の双方が作動し、エアバッグ16及びエアベルト2が膨張する。
【0027】
なお、本発明では衝突規模の増大に対応してインフレータ等のガス発生器からのガス発生量を増大させるように制御しても良い。
【0029】
この実施の形態ではサイドエアバッグ装置15が示されているが、車両室内の側部と天井部との交叉隅部付近に設置される乗員頭部保護用エアカーテン等と称される装置であっても良いことは明らかである。
【0030】
各衝突規模は自動車が例えば次の速度で鋼鉱構造物に衝突したときの規模とされる。
【0031】
乗員保護必要規模:15km/h以上
所 定 規 模 :25km/h以上
また、上記リクライニング角度θの閾値45°は一例であり、他の角度であっても良いことは明らかである。
【0032】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、車両の衝突規模あるいはさらにリクライニング角度に応じて乗員側方のエアバッグ及びエアベルトの膨張を制御し、乗員を保護することができる。また、エアバッグをさほど必要でないときには膨張させないので、衝突車両の修理コストを低くすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る乗員保護装置を備えたシートの側面図である。
【図2】図1の乗員保護装置の制御ブロック図である。
【図3】従来のエアベルト装置の構成図である。
【符号の説明】
1 エアベルト装置
2 エアベルト
3 ラップベルト
10 シート
13 リクライニング角度センサ
15 サイドエアバッグ装置
16 サイドエアバッグ

Claims (2)

  1. 膨張可能なバッグ及び該バッグ内にガスを供給して膨張させるバッグ用ガス発生器を有し、車両のシートの側方に設置されるバッグ装置と、
    膨張部及び該膨張部内にガスを供給して膨張させるエアベルト用ガス発生器を有したエアベルト装置と、
    車両の衝突に対応して該バッグ用ガス発生器及びエアベルト用ガス発生器を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、衝突規模及び該シートのリクライニング角度の双方に基いてこれらのガス発生器を制御する乗員保護装置であって、
    該制御装置は、
    該衝突規模が乗員保護必要規模よりも小さいときには、該バッグ用ガス発生器とエアベルト用ガス発生器のいずれも作動させず、
    該衝突規模が乗員保護必要規模よりも大きくかつ所定規模よりも小さいときには、該シートのリクライニング角度が所定角度よりも起立側にある場合にエアベルト用ガス発生器のみを作動させ、該シートのリクライニング角度が所定角度よりもフラット側にある場合にエアベルト用ガス発生器及びバッグ用ガス発生器の両方を作動させ、
    該衝突規模が該所定規模よりも大きいときには、該バッグ用ガス発生器とエアベルト用ガス発生器の両方を作動させることを特徴とする乗員保護装置。
  2. 請求項1において、前記バッグは乗員側方に配置されていることを特徴とする乗員保護装置。
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