JP4422577B2 - 調湿剤 - Google Patents

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Description

本発明は、調湿剤に関するものであり、より詳細には、頁岩を出発原料として得られる調湿剤に関する。
近年、天然材料を使用した調湿剤の開発が進められており、頁岩を用いた調湿剤も提案されている(特許文献1参照)。
特許第2964393号
即ち、頁岩は、水分の吸湿性、放湿性に優れ、例えば高湿度下での吸湿量が著しく高いが、低湿度下では、その吸湿量かなり低く、吸湿した水分を放湿する性質を有しており、調湿剤として極めて優れた特性を有している。
しかしながら、頁岩は天然材料であり、着色しているため(一般に黒色に近い)、その調湿剤としての用途は、極めて制限されている。例えば、床下用の調湿剤の如き、外部から見えない部分での用途に限定され、壁紙や塗り壁剤等の目に見える部分での用途には実用化されていないのが現状である。
従って本発明の目的は、頁岩を出発原料とし、頁岩と同等の吸湿性及び放湿性を有し、しかも壁紙等の目に見える部分での用途にも有効に使用し得る調湿剤を提供することにある。
本発明者等は、頁岩の特性について研究を重ね、これを酸処理したときには、頁岩の優れた吸湿性、放湿性を損なうことなく、その色相を改善し、白色化することに成功し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、頁岩の酸処理物からなり、且つ、ハンター白色度が60%以上である調湿剤が提供される。
本発明によれば、また、前記調湿剤と鎖状粘土鉱物との混合物からなる調湿性成形体が提供される。
本発明の調湿剤においては、
1.酸化物(Fe)換算で、Fe含量が1重量%以下であること、
2.関係湿度(RH)50%における平衡水分吸着量(R50)が5%以下であり、且つ、下記式(1):
RAL(%)=R90−R50 (1)
式中、R90は、関係湿度(RH)90%における平衡水分吸着量(%)であり、
50は、関係湿度(RH)50%における平衡水分吸着量(%)である、
で定義される吸放湿量(RAL)が5%以上であること、
3.BET比表面積が100乃至200m/gの範囲にあり、窒素吸着法による細孔容積が0.1乃至0.5ml/gの範囲にあり、吸油量が57乃至90ml/100gの範囲にあること、
4.前記調湿剤は、頁岩を300乃至700℃の温度で熱処理した後に酸処理することにより得られたものであること、
が好ましい。
また、本発明の調湿性成形体では、
5.前記鎖状粘土鉱物が、頁岩の酸処理物100重量部当り1乃至50重量部の量で使用されていること、
6.前記鎖状粘土鉱物がセピオライトであること、
が好ましい。
即ち、本発明の調湿剤は、頁岩と同等の吸湿性及び放湿性を示し、例えば高湿度下では高い吸湿性を示し、低湿度下での吸湿量は著しく低く、したがって放湿性にも優れ、調湿剤として極めて優れた特性を示す。しかも、頁岩の酸処理によって、鉄分等の着色成分が有効に除去されており、白色度も極めて高い。従って、床下等の目に見えない部分での使用に限定されることなく、壁紙や壁塗り剤等の目に見える部分での用途にも有効に使用することができる。
また、頁岩の酸処理物は成形性に難点があり、例えばパネル等に成形して壁材などとして使用した場合、強度が低く、成形時に破損したり、成形体自体も破損しやすい。しかるに、頁岩の酸処理物を鎖状粘土鉱物と併用することにより、成形性が著しく向上し、例えば強度の高い成形体を得ることができ、調湿性の成形体として、その用途が広がる。特に鎖状粘土鉱物として、セピオライトを用いた場合には、調湿性の低下もほとんど認められない。
本発明において用いる頁岩は、堆積岩の一種であり、薄片状に剥離しやすい性質をもった泥質岩である。この頁岩は、所謂珪藻土と同様、植物性プランクトンである珪藻の遺骸が多量に泥粒子等とともに堆積・団結したものであるが、珪藻土中のシリカの多くが珪藻遺骸に由来する非晶質シリカであるのに対し、頁岩では、珪藻遺骸に由来する非晶質シリカが続成過程でOpal-CTからOpal-Cに、さらにはクリストバライト、トリディマイトあるいは石英に変化したものである。例えば、図1は、本発明の調湿剤の製造に用いた頁岩(酸未処理物)及び珪藻土のX線回折像を示しているが(A:頁岩、B:珪藻土)、頁岩では、Opal-CTのピークが認められるが、珪藻土では、このようなピークは認められず、両者は、その組成や特性などが大きく異なっている。一方、本発明の調湿剤(C:頁岩の酸処理物)は、頁岩(酸未処理物)とほぼ同様のピークを有しており、頁岩としての構造が保持されていると言える。
例えば、本発明において用いる頁岩の代表的な組成は、以下の通りである。
SiO:75〜86重量%
Al:4〜13重量%
NaO:0.3〜1.3重量%
O:0.8〜2.1重量%
MgO:0.5〜1.4重量%
CaO:0〜0.8重量%
Fe:1.0〜2.0重量%
その他の金属酸化物:0.8重量%以下
C(有機分):1〜10重量%
また、この頁岩は、一般に、下記の物性を有している。
ハンター白色度:40%以下
BET比表面積:130乃至160m/g
窒素吸着法細孔容積:0.2乃至0.4ml/g
吸油量:40乃至56ml/100g
かかる頁岩は、上記のような組成や物性を有していることに関連して、極めて優れた調湿機能を有している。例えば、後述する実施例及び比較例で用いた調湿剤の関係湿度(RH)と乾燥基準での平衡水分吸着量(%)との関係を示す図2を参照されたい。この図2において、低湿度側での平衡水分吸着量が低く、且つ高湿度側での平衡水分吸着量が高いほど(即ち、曲線の傾きが急であるほど)、吸放湿性が高く、優れた調湿機能を有することを示している。図2の曲線Aが頁岩(原石:比較例1)の平衡水分吸着量を示し、曲線Bが珪藻土(比較例2)の平衡水分吸着量を示すものであるが、頁岩は、著しく優れた調湿機能を有していることが理解されよう。
しかるに、上記の頁岩は、ハンター白色度が極めて低いことから理解されるように着色しており、そのままでは用途が制限されてしまう。このため、本発明では、このような頁岩を酸処理して使用する。
即ち、頁岩の酸処理物からなる本発明の調湿剤は、当然のことながら、頁岩と同等の調湿機能を有しているものであり、上記の図2の曲線Cに示されているように、頁岩(曲線A)とほぼ同等の平衡吸着水分曲線を示す。具体的には、本発明の調湿剤(頁岩の酸処理物:実施例1)は、図2の曲線Cから明らかな通り、関係湿度(RH)50%における平衡水分吸着量(R50)が5%以下、特に4%以下であると同時に、下記式(1):
RAL(%)=R90−R50 (1)
式中、R90は、関係湿度(RH)90%における平衡水分吸着量(%)で
あり、
50は、関係湿度(RH)50%における平衡水分吸着量(%)で
ある、
で定義される吸放湿量(RAL)が5%以上、特に7%以上となっており、頁岩と同等の調湿機能を有している。なお、平衡水分吸着量の測定は、110℃で3時間乾燥した試料を乾物基準として用いている。
また、酸処理によって頁岩の白色度が著しく高められ、本発明の調湿剤では、そのハンター白色度は、60%以上、好ましくは70%以上である。即ち、酸処理により、着色成分である鉄分含量(Fe含量)が1重量%以下、特に0.6重量%以下に抑制され、この結果、ハンター白色度が高められる。また、酸処理により鉄分含量が上記範囲に低減されると同時に、熱処理等により、有機成分(C)含量が、例えば1.5重量%以下、特に1重量%以下に低減されていることが好ましい。
本発明の調湿剤を構成する頁岩の酸処理物は、高いハンター白色度を有すると同時に、頁岩と同等の調湿機能を有しているため、例えばX線回折では、頁岩に特有のOpal-CTのピークを示し、また、BET比表面積及び窒素吸着法による細孔容積も、頁岩と同等の範囲にある。この結果、この酸処理物の好適な組成は、以下の通りとなり、このような組成が確保されるように頁岩の酸処理が行われるべきである。
頁岩の酸処理物の組成
SiO:87〜93重量%
Al:0〜7重量%
NaO:0.3〜1.4重量%
O:0.3〜1.2重量%
MgO:0〜0.5重量%
CaO:0〜0.6重量%
Fe:1重量%以下、特に0.6重量%以下
その他の金属酸化物:0.7重量%以下
C(有機分):1.5重量%以下、特に1重量%以下
本発明において、頁岩の調湿機能を保持しながら白色度を高めるための酸処理は、以下のようにして行うのがよい。
先ず、頁岩の酸処理に際しては、頁岩の原石を粉砕し、体積基準での平均粒径(D50)が5mm以下となる程度に粒度調整する。このような粉砕によって、以下の酸処理を短時間で且つ効率よく、しかも均質に行うことができる。
また、酸処理に先立っては、上記のように粒度調整された頁岩原石の微粒子を、300乃至700℃温度で熱処理することが好ましく、このような熱処理により、頁岩中に含まれるフミン酸等の有機成分含量(C)を前述した範囲に低減させ、酸処理物のハンター白色度を一層高めることができる。上記温度よりも低い温度で熱処理を行うと、頁岩中に含まれるフミン酸等の有機成分が前述した範囲に低減することができず、ハンター白色度を高めることができない。一方、上記温度よりも高い温度で熱処理を行っても、さらなる格別の効果はなく、熱処理のために特別の装置が必要となりコストが掛かるだけである。この熱処理時間は、熱処理温度によっても異なるが、通常、5分乃至3時間程度でよい。
上記の熱処理後に酸処理を行うが、酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸、特に硫酸が好適に使用される。例えば、2乃至8N程度の酸水溶液を使用し、処理すべき頁岩中のシリカ(SiO)1000重量部当り、酸量が6乃至45当量程度となる量の酸水溶液中に、上記頁岩の微粒子を添加し、混合攪拌することにより酸処理を行うのがよく、一般に、60乃至105℃の温度で、1乃至24時間程度、酸処理を行うのがよい。この際、必要以上に高濃度の酸水溶液を多量に使用したり、或いは必要以上に反応温度を高くしたりすると、シリカ分の溶出等により、頁岩に特有の物性や組成が破壊され、その優れた調湿機能が損なわれてしまうので注意を要する。なお、酸処理は、白色度をさらに高める等のために、二回以上行っても良い。
この酸処理に際して、Al、Fe等の金属粉やヒドロキシルアミン類等の還元剤を添加することは、白色度をさらに高める上で効果的である。
上記の酸処理によって、着色成分である鉄分等が有効に除去され、酸処理後、ろ過、水洗、乾燥を行い、所定の粒度に粉砕、分級を行い、頁岩の酸処理物からなる本発明の調湿剤を得ることができる。なお、粉砕は過度に行うと、頁岩に特有の物性や組成が破壊され、調湿機能が損なわれてしまうので注意を要する。
本発明の調湿剤は、優れた調湿機能と共に、極めて高い白色度を有しているため、床下の調湿のように目に見えない部分での使用に限定されず、目に見える部分での用途も含め、各種の用途、例えば、和・洋タンス、書棚、食器棚、テーブル、机、椅子などの家具類、ピアノ、バイオリンなどの楽器類、食器、各種装飾類などの工芸品、その他仏具、仏壇、神具等に使用する木材の寸法安定性を保持するための調湿剤、押入れ内、図書館、美術館、天井裏に使用できる。更には、壁紙や塗り壁剤の填剤として使用することもできる。
また、必要に応じて消臭剤、抗菌剤、無機吸着剤、ポピドンヨード等の抗菌性を有するヨウ素化合物(ヨードホール)、II族の金属水酸化物及びIV族の金属のリン酸塩或いは光反応性半導体等と更にシロアリ防除剤(殺蟻成分)と組み合わせて用いることができる。
ヨードホールは、シクロデキストリンで包接体としたものも用いることができる。シクロデキストリンとしては、α型、β型或いはγ型のシクロデキストリンを単独で或いは2種以上組み合わせて使用される。また、シクロデキストリンの誘導体である、分岐シクロデキストリン、修飾シクロデキストリン、シクロデキストリンポリマー等も用いられる。
無機吸着剤としては、例えば、結晶性ケイ酸亜鉛化合物、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛乃至そのケイ酸質複合体、フィロケイ酸マグネシウム、含アルミニウムフィロケイ酸マグネシウム、メソポーラスシリカ、セピオライト、パリゴルスカイト、活性炭、竹炭、木炭、天然ゼオライト、合成ゼオライト、抗菌ゼオライト(銀、銅、亜鉛等担持)、活性炭素繊維、シリカゲル、活性白土、アルミナ、バーミキュライト、ケイソウ土などが挙げられる。これらの無機吸着剤は、本発明の調湿剤100重量部あたり3乃至50重量部配合して使用するのがよい。
また、殺蟻成分としては、硼酸亜鉛等の無機薬品以外に有機リン系、カルバメート系又はピレスリン系殺虫剤を用いることもできる。有機リン系殺虫剤としては、例えば、オキシム、クロルピリホス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオン、イソフェンホス、イソキサチオン、ピラクロホス等挙げることができ、カルバメート系殺虫剤としては、例えば、バッサ、プロプキサー等を挙げることができる。また、ピレスリン系殺虫剤としては、例えば、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、デカメトリン、シフルトリン、トラロメトリン、シハロメトリン、フルトリネート、フルバリネート等挙げることができる。
本発明の調湿剤、或いはこの調湿剤に上述した無機吸着剤等を組み合わせたものは、粉末、顆粒状、或いは、棒状、ペレット状、球状、樽状、板状、ハニカム状、円筒状、繊維状等に押し出し成形し用途に応じた適宜の形状にして用いることができる。一般にこの成形体の大きさは5mm以下、特に0.5乃至5mmの範囲にあることが好ましい。
また、本発明においては、上述した頁岩の酸処理物を鎖状粘土鉱物と混合することにより、その成形性を向上させることができる。例えば、この混合物を、押出成形や圧縮成形などにより、パネル状に成形することにより、強度の高い調湿成形体として壁材などの用途に適用することもできる。
鎖状粘土鉱物の使用量は、頁岩酸処理物の優れた調湿性を損なわない限り制限されないが、一般的には、頁岩酸処理物100重量部当り1乃至50重量部、特に1乃至30重量部の量で使用することが好ましい。
また、鎖状粘土鉱物としては、セピオライト、アタパルジャイトなどのホルマイト系粘土鉱物が代表的であるが、調湿性の点でセピオライトが最も好適である。また、必要により、これらの鎖状粘土鉱物に代えて、或いはこれらの鎖状粘土鉱物と共に、繊維状チタン酸カリウム、繊維状石膏、ロックウール、ガラス繊維などの繊維状無機化合物を使用することもできる。
さらに、成形に際しては、それ自体公知の有機バインダーや無機バインダーを使用し、成形体の強度をさらに向上させることができる。有機バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、各種の多糖類(カードラン、マンニトールなど)を例示することができ、通常、上記混合物当り10重量%以下の量で使用するのがよい。また、無機バインダーとしては、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、ベントナイト、酸性白土等を例示することができ、通常、上記混合物当り30重量%以下の量で使用することが好ましい。特に調湿性に悪影響を与えないなどの点で、有機バインダーの使用が最も好ましい。
成形後は、通常、700℃以下の温度、特に500〜600℃程度で焼成することにより、強度の著しく向上した調湿性成形体を得ることができる。有機バインダーを用いた場合には、この焼成により、脱バインダーされる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。尚、実施例における測定方法は以下の通りである。
(1)XRD測定
日本フィリップス(株)製のX線回折装置PW1830を用いて、Cu−Kαで測定した。
ターゲット Cu
フィルター Ni
検出器 プロポーショナルカウンター
電圧 40KVP
電流 30mA
走査速度 1°/min
スリット DS:1° RS:0.2mm SS:1°
照角 6°
なお、X線回折図の横軸は、逆格子の長さd-1で示した。
(2)ハンター白色度測定
JIS P−8123に準じて、東京電色(株)製オートマチック反射計TR−600型を用いて測定した。
(3)XRF測定(Fe含量測定)
理学電機工業(株)製
Rigaku RIX 2100を用い、以下の条件でFe含量の測定を行った。
ターゲット Rh
管電圧 30KV
管電流 130mA
検出器 PC
分光結晶 GE
分析線 Kα
(4)吸湿率(平衡水分吸着量)
110℃で3時間乾燥した試料を、25℃に保持されたデシケータ内で所定の相対湿度雰囲気下、水分の吸着が平衡に達するまで接触させ、重量増加率を測定した。
(5)細孔容積及び比表面積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を用いて測定を行った。細孔容積は比圧0.96において吸着した窒素の容積とし、比表面積は比圧が0.05から0.35以下の吸着枝側窒素吸着等温線からBET法で解析した。
(6)吸油量測定
アマニ油(和光純薬工業(株)製)を用いてJIS K5101−1991 21項に準じて測定を行った(なお、同様の方法で、水澤化学工業(株)製シリカ(ミズカシルP−78D)の吸油量を測定したところ240ml/100gであった)。
(7)C(有機分)分析
セイコーインスツルメンツ(株)製EXSTAR6000を用いて測定した。測定条件としては、標準物質α−Al、昇温速度10℃/分、空気雰囲気200cm/分の30乃至600℃迄の範囲での熱重量分析を行なった。
(比較例1)
北海道豊富町産頁岩(SiO:78重量%)をそのまま用いた。物性測定を行い、結果を表1に示す。
(実施例1)
比較例1の北海道豊富町産頁岩を600℃1時間焼成した。この焼成物47.7gと75%HSO99.5gを100mlの水へ加え、硫酸濃度30%のスラリーを調製した。100℃22時間加熱したところ、ほとんど脱色され淡灰色となった。上澄液を捨て、代わりに13.6%HSOを200ml添加し100℃17時間加熱してから、ろ過、水洗し110℃乾燥し40.0gの試料を得た。物性測定を行い、結果を表1に示す。
(比較例2)
北海道稚内市産頁岩(SiO:83重量%)をそのまま用いた。物性測定を行い、結果を表1に示す。なお、熱重量分析の結果、有機分は1.9%であった。
(参考例1)
比較例2の北海道稚内市産頁岩を200℃、3時間焼成した。この試料5gを、36%HCl40cmに加え、105℃、2時間加熱処理をした。ろ過、水洗してから110℃で乾燥し試料を得た。得られた試料の白色度を測定したところ、42%であった。
(実施例2)
比較例2の北海道稚内市産頁岩を用いた以外は、実施例1と同様に処理して、試料を得た。物性測定を行い、結果を表1に示す。
(比較例3)
北海道六志内峠産珪藻土(SiO:78重量%)をそのまま用いた。物性測定を行い、結果を表1に示す。なお、熱重量分析の結果、有機分は6.2%であった。
(比較例4)
北海道六志内峠産珪藻土を600℃1時間焼成した。この試料50gを、金属Al(Feの還元剤として)0.1gとともに、13.6%HSOに加え、80℃で3時間加熱処理を2回繰り返した。ろ過、加水分解処理し、水洗してから110℃で乾燥し試料を得た。物性測定を行い、結果を表1に示す。
Figure 0004422577
(実施例3〜6)
比較例1の北海道豊富町産頁岩を600℃1時間焼成した。この焼成物50.0gと75%HSO42.0gを100mlの水へ加え、スラリーを調製後、95℃18時間加熱した。
上澄液を捨て、代わりに希酸を200ml添加してろ過、水洗し110℃乾燥し試料を得た(実施例3)。なお、熱重量分析の結果、有機分は0.82%であった。
また、75%HSOの代わりに36%HCl61.4g、61%HNO62.0gをそれぞれ用いて同様に処理し、試料を得た(実施例4,5)。
さらに、比較例2の北海道稚内市産頁岩を36%HCl61.4gで同様に処理し、試料を得た(実施例6)。
物性測定を行い、結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1において75%HSOを39.1gに変えた以外は同様に処理して、試料を得た。物性測定を行い、結果を表2に示す。
(実施例8)
比較例1の北海道豊富町産頁岩を光洋RINDBERG社製小型キルンで550℃滞留時間約20分間焼成した。この焼成物70.7gと75%HSO136.6gを94mlの水へ加え、硫酸濃度34%のスラリーを調製した。100℃21時間加熱したところ、ほとんど脱色され淡灰色となった。上澄液を捨て、代わりに13.6%HSOを300ml添加し100℃19時間加熱してから、ろ過、水洗し110℃乾燥し59.2gの試料を得た。物性測定を行い、結果を表2に示す。
(実施例9)
比較例1の北海道豊富町産頁岩を600℃、0.5時間焼成した。この焼成物50.0gと75%HSO40.3gを100mlの水へ加え、スラリーを調製した。更に還元剤として硫酸ヒドロキシルアミン2.5gを添加溶解させてから100℃24時間加熱した。上澄液を捨て、代わりに希酸を200ml添加してろ過、水洗し110℃乾燥し試料を得た。物性測定を行い、結果を表2に示す。
Figure 0004422577
(実施例10)
チャック袋に試料(実施例1の頁岩の酸処理物)500g、セピオライト100gと水を加えて封をしてからよく混合し、一晩静置した。不二パウダル製PELLETER EXD−60でφ3mm多孔板を用い、押出成形した。110℃で乾燥させてから、600℃90分焼成したものを、関係湿度60%のデシケータで調湿した。20個の検体それぞれについて、約5mmの長さに折った円柱状成形体の長さをダイヤルゲージで測定し、その成形体を壊した時点の荷重をアイコーエンジニアリング製卓上型荷重測定器MODEL−1310Dで測定した。その結果を表3に示す。
(参考例2)
セピオライトを除いた以外は、実施例10と同様に行った。その結果を表3に示す。
Figure 0004422577
*1:配合量は110℃乾燥重量に換算した値。
*2:酸処理した頁岩。
*3:長さ当たりの平均破壊荷重の値。
頁岩の原石、珪藻土及び頁岩の酸処理物(実施例1)のX線回折像である。 頁岩の原石(A:比較例1)、珪藻土(B:比較例3)及び本発明の調湿剤(C:実施例1)をそれぞれ用いたときの関係湿度と乾物基準平衡水分吸着量との関係を示す線図である。

Claims (8)

  1. 頁岩の酸処理物からなり、且つ、ハンター白色度が60%以上である調湿剤。
  2. 酸化物(Fe)換算で、Fe含量が1重量%以下である請求項1に記載の調湿剤。
  3. 関係湿度(RH)50%における平衡水分吸着量(R50)が5%以下であり、且つ、下記式(1):
    RAL(%)=R90−R50 (1)
    式中、R90は、関係湿度(RH)90%における平衡水分吸着量(%)であり、
    50は、関係湿度(RH)50%における平衡水分吸着量(%)である、
    で定義される吸放湿量(RAL)が5%以上である請求項1または2に記載の調湿剤。
  4. BET比表面積が100乃至200m/gの範囲にあり、窒素吸着法による細孔容積が0.1乃至0.5ml/gの範囲にあり、吸油量(JIS K 5101-1991)が57乃至90ml/100gの範囲にある請求項1乃至3の何れかに記載の調湿剤。
  5. 請求項1記載の調湿剤は、頁岩を300乃至700℃の温度で熱処理した後に酸処理することにより得られたものである請求項1乃至4の何れかに記載の調湿剤。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の調湿剤と鎖状粘土鉱物との混合物からなる調湿性成形体。
  7. 前記鎖状粘土鉱物が、前記調湿剤100重量部当り1乃至50重量部の量で使用されている請求項6に記載の調湿性成形体。
  8. 前記鎖状粘土鉱物がセピオライトである請求項6または7に記載の調湿性成形体。
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