JP4421832B2 - 記憶促進剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は記憶促進剤に関する。さらに詳しくは特定の脂肪族酸アミド化合物または前記化合物を含む植物もしくは植物エキスを含有する記憶促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶とはどのような過程を経て蓄積されていくのであろうか。記憶は一般に二つの過程に分けられると考えられている。一つは短期記憶と呼ばれ、直前の情報から成り立っており、リハーサルという特殊な方略が用いられないとすぐに忘却されてしまう記憶である。もう一つは長期記憶と呼ばれ、それまでに獲得されたすべての知識から成り立ち、必要時にいつでも再生できる記憶である。短期記憶は数十秒間記憶され、一時的に保持されるが、リハーサルといわれる繰り返しの記憶過程を行わないと忘却され、逆にリハーサルにより長期記憶に変換され、長期的に保持できる形式となり、常に再生ができる状態となる(非特許文献1参照)。
【0003】
記憶には側頭葉内側部、特に海馬が重要な役割を担っている。海馬は側頭葉内側部に含まれ、そのコリン作動性神経が記憶の中枢を成すと考えられている。現に動物を用いた実験においる海馬破壊モデルでは記憶障害が広く知られている(非特許文献2参照)。
【0004】
現在、臨床現場において記憶障害が関連する病態として最たるものは痴呆である。生活レベル、医療レベルの向上とともに、わが国においては高齢者社会が進みつつあり、高齢者における在宅痴呆性老人の有病率も増加している。痴呆に対する治療法は多相的であり、原因疾患、進行度、臨床症状の特性に応じて一般精神医学的管理、特殊な心理社会的治療、薬物治療、介護支援、家族援助などが総合的に行われる。臨床症状としては中核症状である認知障害、それに伴う随伴精神症状(意欲低下、感情障害、幻覚、妄想など)が代表的である。薬物療法としては、随伴精神症状に対しては抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬などが用いられているが、中核症状である認知障害に対してはあまり有効な治療薬がないのが現状である。最近まで用いられてきた脳代謝改善薬の中でも再評価の結果、有効性が確認されずに回収になるものも増えてきている。現在、アルツハイマー型痴呆を対象とした認知障害改善薬の開発が様々な企業により行われているが、本邦で認可販売されているのはアリセプトだけであり、新規な治療薬、予防薬の開発が期待されている。
【0005】
脳機能・代謝調整薬:脳循環障害、外傷、中毒、炎症などに伴う脳機能の慢性低下状態に適用する薬物群としては、1)脳機能賦活薬、2)脳循環改善薬および3)パーキンソン病治療薬が挙げられる。脳機能賦活薬は、脳内コリン作動性神経調節作用、シナプス伝達効率改善作用、ATP生成促進(以上例:アニラセタム)、中枢ドパミン−2受容体(D2受容体)の選択的阻害(例:塩酸チアプリド)、アセチルコリンエステラーゼの可逆的阻害(例:塩酸ドネペジル=アリセプト)、およびブドウ糖取り込み促進により虚血によって低下したアセチルコリンAch生合成の促進作用(例:シチコリン)などが作用機序として考えられる。
【0006】
これらの従来の治療薬に加えて、安全かつ有効に脳機能を改善して記憶・学習能力を高める治療薬、食品が求められている。
また、日常生活における物忘れなどの健忘症候群に見られるような記憶と学習の困難性を治療する医薬、食品に対する要望も大きい。
【0007】
漢方医学は、西洋医学とはその発想も発展の歴史的過程も全く異なっている。漢方医学は西洋医学の縦割り的な臓器別の治療というよりは全身の崩れたバランスを元に戻すというような、「病因」の除去というよりは「病態」の改善が治療の基本となる。そのような全身的な作用の1つとして不定愁訴の改善というものがある。不定愁訴の改善は原因疾患の改善によるものだけでなく、その一因として中枢神経系に対する作用の可能性も考えられる。脳については進歩した西洋医学といえどもいまだ解明すべき大きなブラックボックスを持っている。それ故に漢方医学の対象として新たに開発されなけらばならない領域でもある。
【0008】
漢方医薬の一つである大建中場は4種の生薬である人参、山椒、乾姜、膠飴から成る方剤である。臨床現場では、腸閉塞や術後におけるイレウスへの有効性が報告されており、その適応範囲も拡大してきている。本発明者らは、大建中場の作用機序としてコリン作動性神経におけるアセチルコリン遊離の可能性を示唆し、さらに大建中場、特にその構成生薬である山椒が記憶学習能力を促進するということを報告した(非特許文献2参照)。
【0009】
しかし、記憶学習能力の促進に寄与する物質の同定はされていなかった。
【0010】
【非特許文献1】
渡辺雅彦(編)、脳・神経科学入門講座(下)、第2章脳機能の発現システム、羊土社、104-217, 2002
【非特許文献2】
Flood, J.F. and A. Cherkin. Behavi. Neural. Biol. 45, 169-184, 1986
【非特許文献3】
日本薬学会第122年会要旨集−4、39頁、28【P】I−348
【0011】
【発明が解決すべき課題】
本発明の目的は、山椒の各画分のもつ薬理作用をさらに詳しく解明して、記憶学習能力を促進する物質を特定し、その新しい医薬用途もしくは保健用途を探索することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、特定の脂肪族酸アミド化合物が顕著な記憶学習能力を促進すること、さらに山椒の特定抽出画分が顕著な記憶学習能力を促進することを発見して本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の式1の化合物:
【0014】
【化3】
【0015】
または前記化合物を含む植物もしくは植物エキスを含む記憶促進剤を提供する。本発明はさらに、本発明の記憶促進剤を含む組成物を提供し、組成物は医薬品、食品、保健機能食品、健康食品、飲料、食品添加物及び化粧品の形でありうる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の記憶促進剤の有効成分
本発明の記憶促進剤に使用する化合物は、以下の式1の化合物である:
【0017】
【化4】
【0018】
本発明の化合物では、R1が-CR3(CH3)2(式中、R3は-H又は-OHである)であるものが好ましい。
また、nは4〜22であり、6〜14が好ましく、8〜12がさらに好ましい。ただし、(CH2)nで表されるアルキレン基は1以上の二重結合を有していてもよく、さらには二重結合の立体配置についてはシス、トランスのいずれであってもよい。
【0019】
R4は、ベンゼン環のいずれかの位置に結合した1〜5個の置換基である。
式中、sugarで表される糖は、pentoseまたはhexoseの単糖類またはこれらの多糖類であってもよく、好ましくはglucose、galactose、rhamnoseである。
【0020】
本発明の化合物で特に好ましいのは以下の化合物である:
【0021】
【化5】
【0022】
特に好ましいのはヒドロキシ−β−サンショオールである。
本発明の記憶促進剤には前記の化合物を含む植物自体または植物エキスを用いることもできる。植物としては山椒が好ましい。植物エキスとしては山椒エキスが好ましく、山椒の酢酸エチル抽出画分が特に好ましい。
【0023】
山椒は「ミカン科(Rutaceae)のサンショウ(Zanthoxylum piperitum De Candolle)の成熟果皮で、果皮から分離した種子をできるだけ除いたもの」 を用いる。本発明では、山椒をそのまま、乾燥させたもの、乾燥して粉末とした山椒末、酢酸エチルで抽出したエキスなどを有効成分として含むことができる。
(2)組成物
本発明はさらに、前記の化合物または植物もしくは植物エキスを含む記憶促進作用を有する組成物を提供し、組成物は医薬品、食品、保健機能食品、健康食品、飲料、食品添加物及び化粧品の形でありうる。
【0024】
本発明の組成物が医薬用組成物であるときの投与方法は特に限定されるものでなく、経口、経鼻、外用、非経口などが可能であるが、取り扱い容易な点から経口投与可能な剤形が好ましい。本発明の医薬用組成物は種々の剤形とすることができる。例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができるが、これらに限定されない。また、製剤には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤、ビタミンC、抗酸化剤を含むことができるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の医薬用組成物の投与量は、一般的には、化合物に換算して成人1日用量として0.1mg〜1000mg、好ましくは0.5mg〜500mg、さらに好ましくは1mg〜50mgである。例えば化合物がヒドロキシ−β−サンショオールであるときには、成人1日当たり1〜10mg、好ましくは2〜5mgを2〜3回に分けて服用する。山椒の酢酸エチルエキスを用いる場合には、成人1日当たり1〜100mg、好ましくは10〜40mgを2〜3回に分けて服用する。山椒末を用いる場合には、成人1日当たり10〜500mg、好ましくは100〜400mgを2〜3回に分けて服用する。もちろん個別的に、投与されるヒトの年齢、体重、症状、投与経路、投与期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて投与することもできる。また、他の記憶促進剤、記憶改善剤や治療法と組み合わせて投与することもできる。
【0026】
本発明の組成物は、食品、保健機能食品、健康食品、飲料及び食品添加物の形態とすることもできる。例えば、本発明の化合物または植物もしくは植物エキスを原材料に配合することにより、麺類、パン、キャンディー、ゼリー、クッキー、スープ、ジュース、健康飲料の形態とすることができる。このような食品には本発明の化合物または植物もしくは植物エキスの他に、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類を加えることができる。
【0027】
本発明の組成物は化粧品とすることもできる。石鹸、軟膏、ローションなど公知の技術を用いて製造が可能である。
また、本発明の化合物または植物もしくは植物エキスに、乾姜抽出物、膠飴抽出物、人参抽出物、当帰抽出物、ニンニク抽出物、イチョウ葉抽出物、ザクロ皮抽出物、紅参抽出物、釣藤鉤抽出物、芍薬抽出物、茯苓抽出物、地衣類・菌類抽出物、サフラン抽出物、遠志抽出物;さらには釣藤散、当帰芍薬散、帰脾湯の方剤を構成する生薬抽出物;またビタミンCおよびEやEPA(エイコサペンタエン酸)などを組み合わせることにより、記憶、学習のの改善効果を有する食品、保健機能食品、健康食品、飲料、食品添加物、医薬品などの組成物とすることもできる。
(3)記憶促進剤の適用症状
本発明の記憶促進剤は、以下の症状に有効である。
1)健常人の物忘れ、記憶力後退;
2)健忘症候群などの記憶・学習障害;
3)認知障害;
4)アルツハイマー型痴呆:神経細胞変性疾患でアミロイドβタンパクの蓄積を病因とすると考えられており、アルツハイマー病及びアルツハイマー型老年痴呆症を含む。;わが国で承認されている治療薬としてはドネペジル(アリセプト)のみである。
5)脳血管性痴呆:原因は次のように分類される:(a)多発した脳梗塞性痴呆、(b)重要部位の単発の梗塞、(c)脳出血性、(d)小血管変形性、(e)脳血流減少性、(f)その他。現在、この疾患の治療薬として使用されるものには以下のものがある:(a)血管危険因子(高血圧、高脂血症、高血糖)の除去剤、(b)抗血小板薬、(c)抗パーキンソン薬、(d)抗うつ薬・抗精神病薬、(e)脳代謝改善薬、(6)漢方薬。
【0028】
従って、本発明にいう「記憶促進作用を有する(記憶・学習能力促進作用ということもある)」とは、正常なアセチルコリン、セロトニン、ドパミン等の分泌能を有している健常人の記憶学習能をさらに亢進すること、さらには記憶と学習の障害や困難性、痴呆の何らかの症状を軽減、改善もしくは予防することを意味する。「記憶促進作用を有する」効果を示すかどうかは本人の改善感、医師の診断による効果などにより判断できる。
(4)効果
学習能力を検討する方法には、明暗ボックス、八方迷路、Morris Water Maze Testなど様々な種類があるが、本発明ではWater Maze Test を採用した。Water Maze Test は記憶に及ぼす作用を検討する方法として広く用いられ、特に空間認知能力を検討するのに有用な方法と考えられている(R. Morris, J. Neurosci. Methods, 11, 47-60, 1984)。
【0029】
記憶改善作用を検討する際には様々な健忘モデルが用いられている。物理的に中枢を破壊させるものとしては、記憶中枢といわれる海馬や扇桃核、大脳基底核を損傷させることにより健忘を生じさせるモデルがある。薬物による健忘モデルとしては抗コリン薬であるスコポラミンを用いるものや、NMDA受容体桔抗薬、アミン枯渇薬、セロトニン受容体桔抗薬を用いるものもある。本発明では、最も簡便な方法であるスコポラミン健忘モデルを用いて検討を行った。
【0030】
以下の実施例に示すように、山椒抽出画分の検討の結果、その記憶・学習能力促進活性は油性成分(特に酢酸エチル画分)に由来する可能性が推察された。さらには、山椒末が示した記憶促進作用は主要成分であるヒドロキシ−β−サンショオールによるものである可能性が示唆された。
【0031】
本発明者らは特定の理論に拘束されるものではないが、その作用機序としてはセロトニン遊離促進によるセロトニン受容体刺激、そしてその結果としてのアセチルコリン遊離促進であると推測している。
【0032】
本発明は山椒に由来した成分が中枢神経に働いて脳機能を賦活化し、特に記憶・学習の能力を高める効能効果を持つことによって特徴付けられる。元来山椒は食品に使用される嗜好品として広く使われているばかりか、芳香健胃薬でもあり、安全性は確保されている。記憶・学習の能力を高める医薬品、食品、栄養補助食品、飲料、食品添加物及び化粧品としての開発が期待され、その産業上に利用分野は極めて大きい。
【0033】
本発明を以下の実施例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。種々の変更、修飾が当業者には可能であり、これらの変更、修飾も本発明に含まれる。
【0034】
【実施例】
試験方法
(1)Water Maze Test
Water Maze Testに用いるバス(水槽)として小児用プール(直径150cm,高さ20cm)を代用した。プールの縁の4点を任意に北,南,東,西とし、プールの等しい4つの領域、すなわち北東,北西,南東,南西領域に分割した。また記憶形成の補助となりうるようなオブジェクトをプールの東西南北の壁面に設置して、実験を行った。配置するオブジェクトは色・形状・素材等がそれぞれ異なるように配慮した。南東領域(標的分円)の固定された一点に円形の透明プラスチック製プラットホーム(直径10cm,高さ5cm)を設置し、水面がプラットホームより1cm高くなるようにした。水温は水位を一定に保ちながら必要に応じて氷や湯で調節した。さらに、プールの水をスキムミルクを用いて白色に染色し(Milk Pool)、プラットホームが視覚的に捉えられる可能性を排斥した。水温の調節に伴う希釈はそれに応じて染色を調節している。
【0035】
プールの東西南北にある各規定のスポットからマウスを泳がせ、プラットホームに到達するまでの時間(遊泳時間)を最高120秒(cut off time)まで測定した。マウスがプラットホームに自力到達した場合はそのまま20秒間静置し、1回の試行を完了したものとした。120秒を越えてもマウスがプラットホームに到達できない場合は、実験者の手によりマウスをプラットホームまで誘導し、その上に20秒間静置させて1回の試行を完了させた。試行は各方向より1回ずつ計4回行い、その日の試行を終了した。4回の試行の間隔は2分間とした。1日4試行の遊泳時間の平均値を1日の訓練のデータとした。なお、各試行日で、マウスの試行順序をずらすことで試行時間帯による影響、試行方向順序をずらすことでスタート地点を固定することによる影響をそれぞれ排斥するものとした。
【0036】
個体差という要因を排除するために薬物を投与せずに試行を行う0日目試行を採用し、その結果により群分けを行い、各群間で差がないようにし、検討を行うものとした。また、より群間差をなくす手段として、0日目の到達時間を100%とし、以後はそれに対する割合(%)として表示することとした。
(2)スコポラミン健忘モデル
Water Maze Testで評価するときに、抗コリン薬であるスコポラミンを用いて健忘モデルマウスを作製して比較に用いた。スコポラミン健忘モデルマウスは、Water Maze Testの最初の試行30分前にスコポラミン1mg/kgを腹腔内投与することによって作製した。
【0037】
マウスを用いてWater Maze Test の試行を4日間連続に行うと、試行を重ねるごとに学習成果が向上し、第4日目のプラットホーム到達時間(秒)は初日と比べて半分以下に短縮した。学習試行の30分前にスコポラミン(1 mg/kg)を腹腔内投与すると、第1日目から到達時間の延長が見られ、第2日目から第4日目では有意に延長された。
【0038】
以上の結果よりマウスを用いたこのWater Maze Test はラットを用いた場合と同様に、コントロール群において学習過程がしっかりと観察され、またスコポラミン前投与によりその学習能力が有意に抑制されるため、学習能力の検討を行う上で有用なものと考え、本発明の実験で用いることとした。
【0039】
実施例1:山椒成分の抽出
乾燥した山椒粉末(1 kg)に水(8 L)を加えて2時間還流抽出した。減圧下で水エキスは2 Lにまで濃縮後、ジアニオンHP-20カラムにてクロマトを展開した。展開溶媒は水(19 L)、50% メタノール(17 L)、メタノール(14 L)、アセトン(18 L)の順であった。その結果得られたメタノール溶出物(17.60 g)について、Cosmosil 140 C18-OPNカラムクロマトを実施した。展開溶媒は30%メタノール(3 L)、メタノール(3 L)であった。得られたメタノール溶出物(14.67 g)をさらにシリカゲルカラムクロマトにかけ、展開溶媒はn-ヘキサン/酢酸エチルエステル(50 : 1→0 : 1)を用いて行った。各25 mlの溶出物を集め、UV 254 nmで物質量の確認を行った。また、TLCの分析も併行させた。その結果、γ−サンショオール[n-ヘキサン/酢酸エチルエステル(4 : 1)溶出物、450 mg]、β−サンショオール[n-ヘキサン/酢酸エチルエステル(4 : 1)溶出物、550 mg]、ヒドロキシ−β−サンショオール[n-ヘキサン/酢酸エチルエステル(1 : 2)溶出物、1,000 mg]が得られた。これらの3物質とも既知化合物であり、以下の文献に記載されている。
γ−サンショオール:Yasuda I., Takeda K., Itokawa H.: Chemical Pharmaceutical Bulletin 29, 1791-1793, 1981
β−サンショオール、ヒドロキシ−β−サンショオール:Yasuda I., Takeda K., Itokawa H.: Phytochemistry 21, 1295-1298, 1982
【0040】
実施例2:山椒末からの活性画分の抽出
ツムラ山椒末10 gを蒸留水100 mlに懸濁した。AcOEt(酢酸エチル) 30 ml を加え、分液ロートに入れ、数回振り、6時間静置した。水層を取り、さらにAcOEt 100 ml を加え、再び静置した。同様の作業をもう一度行い、12時間静置した。得られたAcOEt 層をNa2SO4(無水)で十分脱水した後、ろ過し、エバポレーターにより溶媒を飛ばした。デシケーターで乾燥させ、 AcOEt 画分を得た。
水画分は、水層に多少含まれるAcOEt をエバポレーターにより飛ばした後、凍結乾燥を行い、水分を除去して得た。
山椒末10 gよりAcOEt画分0.91 g、水画分12 gを得た。
【0041】
実施例3:各抽出画分の記憶促進作用
<使用動物>
ddY.雄性マウス(5週齢)を一週間飼育の後、実験に用いた。水、固形飼料は自由に摂取できるように飼育した。実験は絶食絶水で1時間静置後、午後の同一の時間帯(13時〜17時)に行った。
<使用薬物>
山椒末 (ツムラより分与)
抽出成分 AcOEt画分
水画分
<方法>
Water Maze Test
山椒末、抽出画分は経口投与とし、試行60分前に投与した。山椒末の用量依存性を検討するため、用量としては30、100、300 mg/kgを用いた。抽出画分は山椒70 mg/kgに相当する用量を用いた。 AcOEt画分はオリーブ油、水画分は蒸留水に懸濁し用いた。なお、コントロール群についてはこの場合の検討についてのみオリーブ油を投与した。
<統計処理>
0日目の値を100%とし、それに対する割合として各日の値を算出した。データは全て平均値±標準誤差で示した。有意差検定はDunnett testまたはStudent's t testを用い、危険率5%未満の場合を有意差ありと判断した。明らかな異常がある場合にはSmirnov test を行い、危険率5%未満の場合には有意差ありと判断し、そのデータを棄却した。
<結果>
山椒末を用いて、1日目、2日目の記憶促進効果を検討した(図1)。山椒末30、100、300 mg/kgの経口投与は用量依存的な記憶促進の傾向を認めた。特に、2日目の100、300 mg/kgの経口投与はコントロール群と比べて有意な記憶促進作用が見られた(Student's t test)。
一方、抽出画分を用いて、記憶促進作用を検討した(図2)。 AcOEt画分6.4 mg/kgは統計学的に有意でないが、記憶促進作用を認めた。これに対し、水画分84 mg/kgは全く作用が認められなかった。
【0042】
実施例4:ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用
<使用動物>
ddY雄性マウス(5適齢)を一週間飼育の後、実験に用いた。水、固形飼料は自由に摂取できるように飼育した。実験当日は絶食絶水で1時間静置後、午後の同一の時間帯(13時〜17時)に試験を行った。
<使用薬物>
ヒドロキシ−β−サンショオール含有画分(ツムラより分与)
(−)−スコポラミン(Sigma)
シプロヘプタジン(Sigma)
PCPA(p−クロロフェニルアラニン)(Sigma)
アリセプト(エーサイ)
<方法>
Water Maze Test
ヒドロキシ−β−サンショオール、アリセプトは試行60分前に経口投与を、シプロヘプタジンは試行の30分前に腹腔内投与を行った。PCPAは試行日の2日前より投与を開始し、試行日まで3日間、腹腔内投与を行った。
スコポラミンを用いての検討は通常の試行を終えた1週間後に再びWater Maze Test を行った。その間、薬物の投与は行わず、試行日にのみ通常と同様の投与を行った。なお、スコポラミンの投与は1週間後の試行日にのみ行った。投与経路は試行30 分前、腹腔内投与で行った。データは2日目の試行の到達時間を100%とし、それに対する割合として表記した。
ヒドロキシ−β−サンショオールはDMSOで溶解後、最終濃度が5%のDMSO水溶液となるよう蒸留水で希釈して用いた。アリセプト、スコポラミンはそれぞれ蒸留水、生理食塩水で溶解させ、懸濁水溶液として用いた。シプロヘプタジン、PCPAは生理食塩水で希釈し、0.5%アラビアゴム懸濁水溶液として用いた。
<統計処理>
データは全て平均値±標準誤差で示した。有意差検定は2群間では、コントロール群に対してF testを行い、等分散と認められた場合は、Student's t test、等分散でない場合にはAspin-Welch t testを行った。多群間の有意差検定はTukey-Kramer(図6,図7)、Dunnett test (図4、図5)を用いた。危険率5%未満の場合を有意差ありと判断した。明らかな異常がある場合にはSmirnov testを行い、危険率5%未満の場合には有意差ありと判断し、そのデータを棄却した。
<結果>
1)ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用
ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用について検討した。ヒドロキシ−β−サンショオールは5 mg/kgを経口投与した。その結果、本薬物は投与1日目及び2日目において著明な記憶促進作用を示した(図3)。
2)ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用における用量依存性
ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用について用量依存性を検討した。用量としては0.5、1、5 mg/kgを適用した。その結果、投与1日目においては、1 mg/kg、5 mg/kgで統計的に有意な記憶促進作用が見られ、また、投与2日目においても、用量促進作用が見られた(図4) 。
3)ヒドロキシ−β−サンショオールのスコポラミン健忘症に対する作用
ヒドロキシ−β−サンショオールは通常の状態のマウスの記憶促進を鮮明に増したので、スコポラミン健忘症に対しても検討した。その結果、ヒドロキシ−β−サンショオールはスコポラミン健忘症に対し、記憶改善作用の傾向を示した。しかし、その作用はコリンエステラーゼ阻害薬であるアリセプトには及ばないものだった(図5)。アリセプトにおいては到達時間の延長は見られず、逆に到達時間が減少することとなり、スコポラミンの作用は完全に拮抗された。ヒドロキシ−β−サンショオールは、アリセプトほどの完全な拮抗作用ではなかったが、部分的拮抗を示し、アセチルコリン遊離促進への関与の可能性が推測された。
4)抗セロトニン受容体拮抗薬シプロヘプタジンのヒドロキシ−β−サンショオール記憶促進作用に対する影響
ヒドロキシ−β−サンショオールはセロトニンの作用を介して作用することが、消化管促進作用の検討で明らかにされている。そこで、抗セロトニン受容体拮抗薬であるシプロヘプタジンがヒドロキシ−β−サンショオールの作用に与える影響を検討した。その結果、ヒドロキシ−β−サンショオールによる記憶促進作用はセロトニン受容体拮抗薬であるシプロヘプタジン前投与により消失した(図6) 。
5)セロトニン生合成阻害薬PCPAのヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用に対する影響
神経伝達物質であるセロトニンの生合成を抑制するため、PCPAを用い、セロトニン神経の機能不全を引き起こしたマウスにおけるヒドロキシ−β−サンショオールの記憶改善作用を検討した。その結果、セロトニン生合成阻害薬であるPCPA前投与下ではヒドロキシ−β−サンショオールは記憶促進作用を示さなかった(図7)。
これはヒドロキシ−β−サンショオールの作用機序がセロトニン作動性であり、また、直接受容体を刺激するのではなくセロトニン遊離を促し、結果として下流の機序であるアセチルコリン遊離を促進する可能性を示している。
【0043】
実施例5:ヒドロキシ−β−サンショオールの自発運動能に与える影響の検討
上述したWater Maze Test における到達時間の変化という現象が純粋に中枢神経系を介した学習能力促進作用という訳ではなく、運動機能亢進や興奮性の亢進による見かけ上の記憶促進作用である可能性も否めない。本実施例においては薬物投与後のマウスの自発運動能を測定し、運動機能亢進や興奮性亢進の関与のないことを確認した。
<使用動物>
ddY.雄性マウス(5週齢)を一週間飼育の後、実験に用いた。水、固形飼料は自由に摂取できるように飼育した。実験は絶食絶水で1時間静置後、午後の同一の時間帯(13時〜17時)に行った。
<使用薬物>
ヒドロキシ−β−サンショオール(ツムラより分与)
(−)−スコポラミン(Sigma)
シプロヘプタジン(Sigma)
PCPA(p−クロロフェニルアラニン)(Sigma)
<方法>
自発運動測定装置(SCANET MV-10)を用いた検討
マウスを実験室で1時間静置後、自発運動測定装置(SCANET MV-10)を用い、自発運動能の測定を10分間隔で、計60分間行った。測定値はその時間までの積算値として評価に用いた。 SCANET MV-10は50 cm x 50 cmのsquare 型boxで、側面部より赤外線を水平方向に張り巡らすことにより、マウスの移動量を計測する。マウスは赤外線が透過できるような透明の四角いケージに入れ、測定を行った。飼育環境になるべく近づけられるよう、測定に支障が出ない程度にフレークを床に敷き、実験を行った。
各薬物はWater Maze Test と同様のタイムスケジュールで投与した。
<統計処理>
データは全て平均値±標準誤差で示した。有意差検定はそれぞれの薬物において、コントロール群に対してF-testを行い、等分散と認められた場合は、Student's t test、等分散でない場合にはAspin-Welch t testを行った。危険率5%未満の場合を有意差ありと判断した。明らかな異常がある場合にはSmirnov test を行い、危険率5%未満の場合には有意差ありと判断し、そのデータを棄却した。
<結果>
本研究で用いたヒドロキシ−β−サンショオールの自発運動能への影響のみならず、スコポラミン、シプロヘプタジン、PCPA処置の場合の自発運動能への影響を検討した(図8)。その結果、スコポラミン投与群において有意な自発運動能の亢進が見られた。ヒドロキシ−β−サンショオール、PCPA投与群においては軽度な自発運動能減少の傾向が見られた。シプロヘプタジン投与群においては大きな変化は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Water Maze Testにおける、山椒末の記憶促進効果を示すグラフである(n=11〜15)。
【図2】 Water Maze Testにおける、山椒抽出画分の記憶促進作用を示すグラフである(n=9〜20)。
【図3】 Water Maze Testにおける、ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用を示すグラフである(n=16〜30)。**:p<0.01,***:p<0.001
【図4】 Water Maze Testにおける、ヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用の用量依存性を示すグラフである(n=14〜38)。*:p<0.05,**:p<0.01
【図5】 Water Maze Testにおける、ヒドロキシ−β−サンショオールのスコポラミン健忘症に対する作用を示すグラフである(n=8〜22)。**:p<0.01
【図6】 Water Maze Testにおける、抗セロトニン受容体拮抗薬シプロヘプタジンのヒドロキシ−β−サンショオール記憶促進作用に対する影響を示すグラフである(n=6〜25)。*:p<0.05
【図7】 Water Maze Testにおける、セロトニン生合成阻害薬PCPAのヒドロキシ−β−サンショオールの記憶促進作用に対する影響を示すグラフである(n=8〜30)。*:p<0.05、**:p<0.01
【図8】 Water Maze Testにおける、ヒドロキシ−β−サンショオールの自発運動能に与える影響を示すグラフである(n=5〜8)。**:p<0.01,***:p<0.001
Claims (6)
- ヒドロキシ−α−サンショオール及び/又はヒドロキシ−β−サンショオールを有効成分とする記憶促進剤。
- 有効成分がヒドロキシ−β−サンショオールである請求項1記載の記憶促進剤。
- 有効成分が山椒もしくは山椒エキスから得られる請求項1又は2記載の記憶促進剤。
- 山椒エキスが山椒の酢酸エチル抽出画分である請求項3記載の記憶促進剤。
- 食品、保健機能食品、健康食品もしくは飲料に添加するための請求項1−4のいずれかに記載の記憶促進剤。
- 請求項1記載の記憶促進剤及び任意成分として医薬的に許容できる担体を含む、記憶促進作用を有する医薬組成物。
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