本発明の第1実施形態の硬貨包装機を図1〜図6を参照して以下に説明する。
まず、図1を参照して第1実施形態の硬貨包装機の基本構成を説明する。
図1において、符号11で示すものは、バラ硬貨が図示略の投入口を介して一括投入される回転円盤であって、この回転円盤11内の硬貨は、回転円盤11が回転するときの遠心力によって、側方に設けられた硬貨通路12に対して一枚ずつ送り出されるようになっている。
回転円盤11から硬貨を受け入れる硬貨通路12は、その上方位置に硬貨を一枚ずつ移送させる送りベルト13を有している。硬貨通路12の途中位置には、図示略の硬貨判別部が設けられており、硬貨の真偽および金種等が判別されるようになっている。この硬貨通路12を経由した硬貨は、所定枚数の硬貨を上下方向に集積させる集積部14に供給されるようになっている。
集積部14は、螺旋状の突起部15をそれぞれ有する一対の集積ドラム16によって構成されている。これら集積ドラム16は、相互の突起部15の高さ位置を一致させた状態で、硬貨通路12からの硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。
これにより、硬貨通路12を通じて供給された硬貨が集積ドラム16,16の突起部15,15に乗せられて集積ドラム16,16の回転により一段下降させられ、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム16,16間に、複数の硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、集積硬貨が形成されるようになっている。
また、これら集積ドラム16,16を含む集積部14の下方には、集積硬貨を包装する包装部18が設けられており、集積部14の下側すなわち集積部14と包装部18との間には、閉状態で集積部14からの包装部18への硬貨の進入を防止するとともに開状態で集積部14からの包装部18への硬貨の進入を許容する進入防止シャッタ19が設けられている。
なお、進入防止シャッタ19の下側には、昇降駆動される支持アーム20が設けられており、集積硬貨の集積部14から包装部18への移送は、昇降する支持アーム20の先端に固定された支持棒21によって行われる。
進入防止シャッタ19は、集積部14の集積ドラム16と包装部18との間に水平に配置される平板状のベース部材23を有しており、該ベース部材23には、集積ドラム16,16から突起部15,15の支持が解除されることで落下させられる集積硬貨の落下方向に、該集積硬貨を通過可能な直径の通過穴24が貫通形成されている。
進入防止シャッタ19は、ベース部材23の下面に沿って摺接することで、通過穴24を閉塞する閉状態と通過穴24を開放する開状態とに切り替えられる平板状のシャッタ部材25を有している。
そして、進入防止シャッタ19は、シャッタ部材25が通過穴24を閉塞する閉状態において、集積部14からの包装部18への硬貨や異物の進入を防止する一方、シャッタ部材25が通過穴24を開放する開状態において、集積部14からの包装部18への硬貨の進入を許容することになる。
包装部18は、進入防止シャッタ19の通過穴24から落下させられた集積硬貨を鉛直方向に軸線を沿わせ鉛直方向に集積させた棒状の姿勢で下から支える上記した支持棒21を有する支持アーム20と、支持棒21で上記姿勢のまま包装紙巻回位置まで下降させられた集積硬貨の周囲に鉛直方向に沿って配置される複数具体的には3本の平行な包装ローラ(小幅接触ローラ)30,31,32を有しこれら包装ローラ30,31,32で集積硬貨の周囲に包装紙Pを巻回する包装機構36と、巻回された包装紙Pを集積硬貨の上下端において加締める加締機構38とを有している。包装ローラ30,31,32は、図示略の包装モータの駆動力によって、その軸心周りに回転駆動されるようになっている。
包装機構36において、3本の平行な包装ローラ30,31,32のうちの所定の2本の包装ローラ30,31は、位置固定であり、しかも図示略の包装モータによって他の包装ローラを介さず駆動される駆動ローラとなっている。これに対し、残りの所定の1本の包装ローラ32は、図示略の開閉機構により包装ローラ30,31に対し平行状態のまま近接および離間するように移動可能に支持されており、しかも包装ローラ30,31で回転させられる集積硬貨の回転で連れ回る従動ローラとなっている。
包装ローラ32が包装ローラ30,31に対し離間する状態が、これら包装ローラ30,31,32の間に集積硬貨を受け入れ可能な開状態であり、包装ローラ32が包装ローラ30,31に対し近づいた状態が、これら包装ローラ30,31,32で集積硬貨を水平三方向から挟持しこれに包装紙Pを巻き付け可能な閉状態となっている。
支持アーム20の支持棒21は、上昇し進入防止シャッタ19の直下に配された状態で進入防止シャッタ19が開放されると、進入防止シャッタ19の通過穴24を介して落下する集積硬貨をその上端に受け止め、その後、鉛直方向下方に下降させられることによって、集積硬貨を包装紙巻回位置まで下降させて、開状態にある3本の包装ローラ30,31,32の間に配置するようになっている。
包装機構36は、支持棒21上に支持されて、図2に示すように、包装ローラ30,31,32の間の包装紙巻回位置に配置された集積硬貨Cに対して、包装ローラ30,31に包装ローラ32を近接させることにより、これら包装ローラ30,31,32によって、鉛直に軸線を沿わせて鉛直方向に集積された集積硬貨Cを水平三方向から挟持するようになっている。
また、これら包装ローラ30,31,32の近くには、包装紙供給ローラ40および円弧状の包装紙供給ガイド39が設けられており、図示せぬ包装紙供給モータの駆動によるこの包装紙供給ローラ40の回転によって、包装紙Pが送り出されると、包装紙Pは、包装紙供給ガイド39で案内されて、包装紙巻回位置に配置された集積硬貨Cと、包装紙Pの進入経路における最初となる包装ローラ30との間に向けて供給されるようになっている。
そして、上記に合わせて、図示せぬ包装モータの駆動により包装ローラ30,31を図2における反時計回り方向に回転させると、これに接触する集積硬貨Cが図2における時計回り方向に回転し、これに接触する包装ローラ32が図2における反時計回り方向に回転する。これによって、包装紙Pの先端側が集積硬貨Cと包装ローラ30とで挟持されることになり、このタイミングで、包装ローラ30,31,32の回転は維持したまま、包装紙供給ローラ40を停止させると、包装紙Pは、先端側が集積硬貨Cの外周円筒面に巻回されることで、包装紙供給ガイド39側の部分が包装紙供給ローラ40と包装ローラ30との間のカッタ41に接触し緊張することで切断されることになる。そして、さらに包装ローラ30,31,32を回転させることで包装紙Pが切断された後端部まで集積硬貨Cの外周円筒面に巻回されることになる。ここで、カッタ41は、図3に示すように、包装紙Pをその幅方向の中央で折り返すV字状に切断することになり、包装紙Pは先端側がV字の凸状となり、後端がV字の凹状となる。
ここで、包装紙Pは、集積硬貨Cの高さよりも大きな幅寸法を有するものであり、包装紙供給ローラ40は、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cに対し、包装紙Pを、基本的に、図3に示すように集積硬貨Cよりも上側に突出する上巻代の寸法L1と集積硬貨Cよりも下側に突出する下巻代の寸法L2とが均等になるように水平に送り込むようになっている。
加締機構38は、集積硬貨Cが包装ローラ30,31,32の間に配置された後に、集積硬貨Cの上下に挿入されて、上下方向に沿って近接離間させられる図1に示す一対の加締爪43,44を具備している。これら加締爪43,44は、相互近接側に移動させられることで、集積硬貨Cの周囲に巻回された包装紙Pの集積硬貨Cから上下に突出する上記した上巻代の部分および下巻代の部分を内側に丸めるように加締める。
ここで、このようにして包装紙Pで包装された集積硬貨C、および集積枚数に過不足があって包装されなかった集積硬貨Cは、支持アーム20が支持棒21を横方向に逃がすように旋回することによって下方に落下させられることになる。
なお、図示は略すが、包装部18の下方には、支持棒21が横方向に逃げることによって下方に落下された集積硬貨Cおよびバラ硬貨を振り分ける機構が設けられている。つまり、適正枚数の集積硬貨Cが包装紙Pで包装されてなる包装硬貨を受け入れるロールシュート、包装硬貨の集積枚数が適正でない場合にこれを受け入れるリジェクトボックス、および、包装硬貨をロールシュートまたはリジェクトボックスに振り分けるゲートが設けられている。
そして、第1実施形態においては、図1に示すように、上記した包装ローラ30,31,32のすべてが、同一形状で同じ高さに配置されており。軸部50と、軸部50と同軸をなして軸部50の軸線方向における中間部に取り付けられた軸部50よりも大径の接触ローラ部51とを有している。接触ローラ部51は、外径側で集積硬貨Cおよび集積硬貨Cの周囲に巻回される包装紙Pに接触するものであって、軸線方向すべての位置で同一外径となっている。そして、この接触ローラ部51は、包装紙Pより幅が狭く(高さ方向の長さが短く)、さらには集積硬貨Cの高さよりも幅が狭く(高さ方向の長さが短く)て、集積硬貨Cの高さ方向および包装紙Pの幅方向の中央に接触するように配置されている。
包装ローラ30,31,32がそれぞれの接触ローラ部51で集積硬貨Cを水平三方向から挟持する状態にあっても、それぞれの軸部50は、そのままでは集積硬貨Cの集積崩れを防止できない外径となっている。このため、包装ローラ30,31の間には、これらの接触ローラ部51を上下方向に越えるように図4に示す壁部材54が設けられ、包装ローラ31,32の間には、包装ローラ31の接触ローラ部51の上側および下側となる位置にそれぞれ同形状の図4および図5に示す壁部材55が設けられ、包装ローラ32,30の間にも、包装ローラ32の接触ローラ部51の上側および下側となる位置にそれぞれ同形状の図4および図6に示す壁部材56が設けられている。そして、壁部材54、上下の壁部材55および上下の壁部材56によって、集積硬貨Cの集積崩れを防止するようになっている。
壁部材54は、図4に示すように、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ30および包装ローラ31間の隙間に設けられる長尺のブロック状のもので、集積硬貨Cと同心状のガイド面54aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
壁部材54は、図示は略すが、その上端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの上端面とほぼ同じ高さに位置しており、その下端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの下端面とほぼ同じ高さに位置している。
上下の壁部材55は、図4に示すように、それぞれ、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ31および包装ローラ32間の隙間に設けられる円弧状のもので、集積硬貨Cと同心のガイド面55aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
ここで、上下の壁部材55は、包装ローラ31の軸線方向に沿って見た場合に、互いに一致しており、またそれぞれの一部が包装ローラ31の接触ローラ部51と重なり合っている。言い換えれば、上下の壁部材55は包装ローラ31の接触ローラ部51と水平方向において重なり合っている。
図5に示すように、壁部材55のうち、上側に設けられるものは、その下端面が包装ローラ31の接触ローラ部51との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その上端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの上端面とほぼ同じ高さに位置している。また、壁部材55のうち、下側に設けられるものは、その上端面が包装ローラ31の接触ローラ部51との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その下端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの下端面とほぼ同じ高さに位置している。
上下の壁部材56は、図4に示すように、それぞれ、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ32および包装ローラ30間の隙間に設けられる円弧状のもので、集積硬貨Cと同心のガイド面56aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
ここで、上下の壁部材56も、包装ローラ32が集積硬貨Cを挟持する位置にある状態で、包装ローラ32の軸線方向に沿って見た場合に、互いに一致しており、またそれぞれの一部が包装ローラ32の接触ローラ部51と重なり合っている。言い換えれば、上下の壁部材56は包装ローラ31の接触ローラ部51と水平方向において重なり合っている。
図6に示すように、壁部材56のうち、上側に設けられるものは、その下端面が包装ローラ32の接触ローラ部51との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その上端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの上端面とほぼ同じ高さに位置している。また、壁部材56のうち、下側に設けられるものは、その上端面が包装ローラ32の接触ローラ部51との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その下端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの下端面とほぼ同じ高さに位置している。
以上により、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cは、包装ローラ30,31,32の各接触ローラ部51で軸線方向の中央部が水平三方向から支持され、その上側が上側の三つの壁部材54,55,56で水平三方向から囲まれ、その下側が下側の三つの壁部材54,55,56で水平三方向から囲まれることになって、集積崩れが防止される。
ここで、包装紙供給ガイド39は、包装紙Pを包装ローラ30と壁部材56との間の隙間を介して包装ローラ30と集積硬貨Cとの間に案内するようにその形状および位置が設定されている。
よって、上記したように支持棒21で包装紙巻回位置まで下降させられた集積硬貨Cを包装ローラ30,31,32のそれぞれの接触ローラ部51で挟持した状態で、図示略の包装モータで包装ローラ30,31を駆動すると、集積硬貨Cが回転して包装ローラ32をも回転させることになり、このとき、集積硬貨Cは、三つの接触ローラ部51、壁部材54、上下の壁部材55および上下の壁部材56で集積崩れが防止されながら回転する。
これに合わせて、包装紙供給ローラ40を回転させて、包装紙Pを包装紙供給ガイド39で案内して、その先端部を包装ローラ30と壁部材56との間の隙間を介して包装ローラ30と集積硬貨Cとの間に案内すると、先端部が包装ローラ30の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出される。すると、包装紙Pの先端部は壁部材54と集積硬貨Cとの隙間を介して、次の包装ローラ31の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて上下の壁部材55で案内されながら送り出される。次に、包装紙Pの先端部は壁部材55と集積硬貨Cとの隙間を介して、次の包装ローラ32の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて上下の壁部材56で案内されながら送り出される。続いて、包装紙Pの先端部は上下の壁部材56と集積硬貨Cとの隙間を介して、最初の包装ローラ30の接触ローラ部51で案内される包装紙Pの後端側と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出される。以上により、包装紙Pが集積硬貨Cの周囲に巻回される。なお、この巻回動作の途中で、設定巻数に応じて適宜前述の包装紙切断動作が行われる。
ここで、包装ローラ30,31,32の各接触ローラ部51で水平方向において挟持される部分以外の集積硬貨Cは、壁部材54,55,56で水平方向において囲まれるため集積崩れが防止されるものの水平方向において挟持されることがないので若干不安定な状態になるが、包装紙Pが巻回されることで包装紙Pにより全体として円柱状となるように整えられる。
そして、包装紙Pの上下が加締爪43,44で加締められ、包装動作が完了した集積硬貨Cが支持棒21の側方移動により下方に落下して案内される。なお、集積枚数が不足している場合には、集積硬貨Cに包装紙Pを巻回させずにこれをそのまま支持棒21の側方移動により下方に落下させてリジェクトすることになるが、包装ローラ30,31,32の各接触ローラ部51および壁部材54,55,56で周囲を囲んでいるため、このようなバラのリジェクト硬貨であっても、側方に飛散させることなく下方に良好に落下させることができる。
以上に述べた第1実施形態の硬貨包装機によれば、包装ローラ30,31,32を、包装紙Pと接触する接触ローラ部51が包装紙Pより幅が狭く包装紙Pの幅方向の中央に接触する小幅接触ローラとすることで、包装紙Pを中央において点で引っ張る傾向が強くなり、包装紙Pとの接触部分が大きく面で引っ張る傾向が強い場合に比して、包装紙Pが上下にずれて引っ張られてしまうのを防止することができる。したがって、包装ローラ30,31,32の支持精度を多少緩和しても、包装紙Pの巻回不良の発生を防止することができる。
また、包装ローラ30,31,32を、包装紙Pと接触する接触ローラ部51が包装紙Pより幅が狭く包装紙Pの幅方向の中央に接触する小幅接触ローラとすることによって、逆に、接触ローラ部51以外の部分では、集積硬貨Cを支持することができず、そのままでは集積崩れを生じたり、集積硬貨Cをリジェクトさせる際に所定以外の場所に落下させてしまう可能性があるが、上記したように接触ローラ部51の上側および下側に設けられた壁部材54,55,56によって、集積硬貨Cの集積崩れを防止でき、またリジェクト硬貨を所定場所への放出まで支えることができる。
なお、上記のようにすべての包装ローラ30,31,32を小幅接触ローラとするのではなく、これらのうちの少なくともいずれか一つを小幅接触ローラとすることも可能である。この場合には、包装ローラ30,31,32のうちの包装紙Pの進入経路における最初の包装ローラ30を小幅接触ローラとすれば、これを小幅接触ローラとしない場合に比して、包装紙Pが偏って引っ張られることを確実に防止することができ、確実に包装紙Pの巻回不良の発生を防止することができる。
加えて、上記のようにすべての包装ローラ30,31,32を小幅接触ローラとするのではなく、これらのうちの少なくともいずれか一つを小幅接触ローラとすることも可能である。この場合には、包装ローラ30,31,32のうちの回転駆動力がかけられる駆動ローラである包装ローラ30,31を小幅接触ローラとすれば、これらを小幅接触ローラとしない場合に比して、包装紙Pが偏って引っ張られることを確実に防止することができ、確実に包装紙Pの巻回不良の発生を防止することができる。
次に、本発明の第2実施形態の硬貨包装機を主に図7および図8を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態においては、壁部材に換えて、包装ローラ30,31,32のそれぞれの接触ローラ部51の上側および下側に、接触ローラ部51と同軸であって接触ローラ部51の外径よりも若干小径のガイドローラ部60が設けられている。ここで、ガイドローラ部60は、軸線方向すべての位置で同一外径となっており、例えば接触ローラ部51と一体に形成されて軸部50に同軸に固定されている。そして、ガイドローラ部60は、包装ローラ30,31,32が接触ローラ部51で集積硬貨Cを挟持した状態にあるとき、集積硬貨Cの上側および下側をそれぞれ水平三方向から囲んで集積硬貨Cの集積崩れを防止する。
ガイドローラ部60のうち、上側に設けられるものは、その上端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの上端面と位置をほぼ合わせており、下側に設けられるものは、その下端面が包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの下端面と位置をほぼ合わせている。なお、ガイドローラ部60の外径は例えば接触ローラ部51の外径よりも0.6mm程度小さくされている。これは接触ローラ部51のガイドローラ部60からの突出高さを0.3mm程度とすることになるが、これより低いと包装ローラ30,31,32の傾きでガイドローラ部60が集積硬貨Cを押さえてしまう可能性があり、逆のこれより高いと集積崩れを報じてしまう可能性があるためである。
この第2実施形態では、支持棒21で包装紙巻回位置まで下降させられた集積硬貨Cを包装ローラ30,31,32のそれぞれの接触ローラ部51で挟持した状態で、図示略の包装モータで包装ローラ30,31を駆動すると、集積硬貨Cは、水平三カ所の接触ローラ部51、水平三カ所の各上下のガイドローラ部60で集積崩れが防止されながら回転しつつ包装ローラ32を回転させる。このとき、包装紙供給ローラ40から送り出され包装紙供給ガイド39で案内された包装紙Pは、その先端部が包装ローラ30と集積硬貨Cとの間に案内されることになり、先端部が包装ローラ30の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出される。そして、包装紙Pの先端部は、次の包装ローラ31の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出され、次の包装ローラ32の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出され、最初の包装ローラ30の接触ローラ部51で案内される包装紙Pの後端側と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出される。このようにして、包装紙Pが集積硬貨Cの周囲に巻回される。
ここで、包装ローラ30,31,32の各接触ローラ部51で水平方向において挟持される部分以外の集積硬貨Cは、各ガイドローラ部60で水平方向において囲まれるため集積崩れが防止されるものの水平方向において挟持されることがないので若干不安定な状態になるが、包装紙Pが巻回されることで包装紙Pにより全体として円柱状となるように整えられる。
以上に述べた第2実施形態の硬貨包装機によれば、包装ローラ30,31,32を、包装紙Pと接触する接触ローラ部51が包装紙Pより幅が狭く包装紙Pの幅方向の中央に接触する小幅接触ローラとしているため、第1実施形態と同様に、包装紙Pの巻回不良の発生を防止することができる。
しかも、包装ローラ30,31,32を、包装紙Pと接触する接触ローラ部51が包装紙Pより幅が狭く包装紙Pの幅方向の中央に接触する小幅接触ローラとすることによって、逆に、接触ローラ部51以外の部分では、集積硬貨Cを支持することができず、そのままでは集積崩れを生じたり、集積硬貨Cをリジェクトさせる際に所定以外の場所に落下させてしまう可能性があるが、上記したように接触ローラ部51の上側および下側に設けられた、接触ローラ部51の外径よりも若干小径のガイドローラ部60によって、集積硬貨Cの集積崩れを防止でき、またリジェクト硬貨を所定場所への放出まで支えることができる。加えて、接触ローラ部51を有する小幅接触ローラにガイドローラ部60を設けるという簡単な構造にでき、また径大と径小との位置関係を常に一定させることができる。
次に、本発明の第3実施形態の硬貨包装機を図4、図9〜図11を主に参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第3実施形態においては、包装ローラ31,32のそれぞれの接触ローラ部51の幅方向の中間部に、外径側に開口する環状の凹部64が全周にわたって形成されている。
そして、包装ローラ31の接触ローラ部51の凹部64に、包装紙Pを案内するとともに集積崩れを防止するガイド65が進入状態に設けられており、包装ローラ32の接触ローラ部51の凹部64に、包装紙Pを案内するとともに集積崩れを防止するガイド66が進入可能に設けられている。
ガイド65は、図4に示す壁部材55と同様、図9に示すように、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ31および包装ローラ32間の隙間に設けられる円弧状のもので、集積硬貨Cと同心のガイド面65aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
ここで、ガイド65は、包装ローラ31の軸線方向に沿って見た場合に、壁部材55と一致しており、その一部が包装ローラ31の接触ローラ部51と重なり合うように凹部64に進入させられている。言い換えれば、ガイド65は包装ローラ31の接触ローラ部51と水平方向において重なり合っている。
図10に示すように、ガイド65は、その下端面が包装ローラ31の凹部64の下端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その上端面が包装ローラ31の凹部64の上端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけている。
ガイド66は、図4に示す壁部材56と同様、図9に示すように、包装ローラ32が集積硬貨Cを挟持する位置にある状態で、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ32および包装ローラ30間の隙間に設けられる円弧状のもので、集積硬貨Cと同心のガイド面66aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
ここで、ガイド66は、包装ローラ32が集積硬貨Cを挟持する位置にある状態で、包装ローラ32の軸線方向に沿って見た場合に、壁部材56と一致しており、その一部が包装ローラ32の接触ローラ部51と重なり合うように凹部64に進入させられている。言い換えれば、ガイド66は包装ローラ32の接触ローラ部51と水平方向において重なり合っている。
図11に示すように、ガイド66は、その下端面が包装ローラ32の凹部64の下端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その上端面が包装ローラ32の凹部64の上端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけている。
よって、上記したように支持棒21で包装紙巻回位置まで下降させられた集積硬貨Cを包装ローラ30,31,32のそれぞれの接触ローラ部51で挟持した状態で、図示略の包装モータで包装ローラ30,31を駆動すると、集積硬貨Cは、各接触ローラ部51、壁部材54、上下の壁部材55、上下の壁部材56、ガイド65およびガイド66で集積崩れが防止されながら回転しつつ包装ローラ32を回転させる。このとき、包装紙供給ローラ40から送り出され包装紙供給ガイド39で案内された包装紙Pは、その先端部が包装ローラ30と、上下の壁部材56およびガイド66との間の隙間を介して包装ローラ30と集積硬貨Cとの間に案内されて、接触ローラ部51と集積硬貨Cとで挟持されて、さらに送り出される。すると、包装紙Pの先端部は壁部材54と集積硬貨Cとの隙間を介して、次の包装ローラ31の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持され上下の壁部材55およびガイド65で案内されて送り出される。次に、包装紙Pの先端部は上下の壁部材55およびガイド65と、集積硬貨Cとの隙間を介して、次の包装ローラ32の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持され上下の壁部材56およびガイド66で案内されて送り出される。続いて、包装紙Pの先端部は上下の壁部材56およびガイド66と、集積硬貨Cとの隙間を介して、最初の包装ローラ30の接触ローラ部51で案内される包装紙Pの後端側と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出される。このようにして、包装紙Pが集積硬貨Cの周囲に巻回される。
以上に述べた第3実施形態の硬貨包装機によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、その上、接触ローラ部51の幅方向の中間部に全周にわたって形成された凹部64に、包装紙Pを案内するガイド65,66を進入させるため、ガイド65,66を加えることで包装紙Pをさらに確実に次の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に案内することができる。勿論、凹部64による集積崩れもガイド65,66で防止する。
次に、本発明の第4実施形態の硬貨包装機を図7、図12〜図14を参照して第2実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第2実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第4実施形態においては、第1実施形態に対する第3実施形態の変更を、第2実施形態に対し行っている。つまり、ガイドローラ部60を有する包装ローラ31,32のそれぞれの接触ローラ部51の幅方向の中間部に、外径方向に開口する環状の凹部70を全周にわたって形成している。
そして、包装ローラ31の接触ローラ部51の凹部70に、包装紙Pを案内するとともに集積崩れを防止するガイド71が進入状態に設けられており、包装ローラ32の接触ローラ部51の凹部70に、包装紙Pを案内するとともに集積崩れを防止するガイド72が進入可能に設けられている。
ガイド71は、図12に示すように、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ31および包装ローラ32間の隙間に設けられる円弧状のもので、集積硬貨Cと同心のガイド面71aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
ここで、ガイド71は、包装ローラ31の軸線方向に沿って見た場合に、その一部が包装ローラ31の接触ローラ部51と重なり合うように凹部70に進入させられている。言い換えれば、ガイド71は包装ローラ31の接触ローラ部51と水平方向において重なり合っている。
図13に示すように、ガイド71は、その下端面が包装ローラ31の凹部70の下端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その上端面が包装ローラ31の凹部70の上端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけている。
ガイド72は、図12に示すように、包装ローラ32が集積硬貨Cを挟持する位置にある状態で、包装紙巻回位置にある集積硬貨Cの径方向外側に抜ける包装ローラ32および包装ローラ30間の隙間に設けられる円弧状のもので、集積硬貨Cと同心のガイド面72aを集積硬貨Cの外周円筒面に対向させている。
ここで、ガイド72は、包装ローラ32が集積硬貨Cを挟持する位置にある状態で、包装ローラ32の軸線方向に沿って見た場合に、その一部が包装ローラ32の接触ローラ部51と重なり合うように凹部70に進入させられている。言い換えれば、ガイド72は包装ローラ32の接触ローラ部51と水平方向において重なり合っている。
図14に示すように、ガイド72は、その下端面が包装ローラ32の凹部70の下端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけており、その上端面が包装ローラ32の凹部70の上端面との間に硬貨一枚の厚さよりも狭い隙間をあけている。
よって、上記したように支持棒21で包装紙巻回位置まで下降させられた集積硬貨Cを包装ローラ30,31,32のそれぞれの接触ローラ部51で挟持した状態で、図示略の包装モータで包装ローラ30,31を駆動すると、集積硬貨Cは、各接触ローラ部51、各上下のガイドローラ部60、ガイド71およびガイド72で集積崩れが防止されながら回転しつつ包装ローラ32を回転させる。このとき、包装紙供給ローラ40から送り出され包装紙供給ガイド39で案内された包装紙Pは、その先端部が包装ローラ30とガイド72との間の隙間を介して包装ローラ30と集積硬貨Cとの間に案内されて、接触ローラ部51と集積硬貨Cとで挟持されて、さらに送り出される。すると、包装紙Pの先端部は、次の包装ローラ31の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されガイド71で案内されながら送り出される。次に、包装紙Pの先端部はガイド71と集積硬貨Cとの隙間を介して、次の包装ローラ32の接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されガイド72で案内されながら送り出される。続いて、包装紙Pの先端部はガイド72と集積硬貨Cとの隙間を介して、最初の包装ローラ30の接触ローラ部51で案内される包装紙Pの後端側と集積硬貨Cとの間に入り込み、これらで挟持されて、さらに送り出される。このようにして、包装紙Pが集積硬貨Cの周囲に巻回される。
以上に述べた第4実施形態の硬貨包装機によれば、第2実施形態と同様の効果を奏し、その上、接触ローラ部51の幅方向の中間部に全周にわたって形成された凹部70に、包装紙Pを案内するガイド71,72を進入させるため、ガイド71,72で包装紙Pを確実に接触ローラ部51と集積硬貨Cとの間に案内することができる。勿論、凹部70による集積崩れもガイド71,72で防止する。
なお、以上の第1〜第4実施形態においては、包装ローラ30,31を集積硬貨Cを介さずに包装モータで回転させられる駆動ローラとし、包装ローラ32を集積硬貨Cで回転させられる従動ローラとしたが、これによってコストと円滑な包装動作とのバランスをとることができる。しかしながら、第1〜第4実施形態のいずれにあっても、すべての包装ローラ30,31,32を駆動ローラとしても良く、このようにすれば、コストは増大するもののすべての包装ローラ30,31,32に駆動がかかるためより円滑な包装動作を行うことができる。逆に、第1〜第4実施形態のいずれにあっても、包装ローラ30,31,32のうちのいずれか一つを駆動ローラとし残りの二つを従動ローラとしても良く、このようにすれば、円滑な包装動作の点では劣るもののよりコストを低減することができる。この場合、包装紙Pの進入経路における最初の包装ローラ30を駆動ローラとするのが好ましい。
また、以上の第1〜第4実施形態においては、すべての包装ローラ30,31,32をを小幅接触ローラとする場合を例にとり説明したが、第1〜第4実施形態のいずれにあっても、包装ローラ30,31,32のうちの少なくともいずれか一つを小幅接触ローラとし、残りの包装ローラを包装紙Pの幅よりも高く段差のない円柱状のローラとしても良い。この場合、包装ローラ30,31,32のうちの包装紙Pの進入経路における最初の包装ローラ30を小幅接触ローラとすれば、包装紙Pが偏って引っ張られることを確実に防止することができ、確実に包装紙Pの巻回不良の発生を防止することができるため好ましい。また、包装ローラ30,31,32のうちの回転駆動力がかけられる駆動ローラを小幅接触ローラとすれば、包装紙Pが偏って引っ張られることを確実に防止することができ、確実に包装紙Pの巻回不良の発生を防止することができるため好ましい。
加えて、以上の第2,第4実施形態においては、包装ローラ31,32の接触ローラ部51に凹部64,70を形成し、包装ローラ30には凹部64,70を形成しない場合を例にとり説明したが、包装ローラ30,31,32のうちの少なくともいずれか一つに凹部64,70を形成し、これに近接するガイドを凹部64,70に進入させるようにすることが可能である。
ここで、日本国内で取り扱われている75〜90mmの高さの集積硬貨を、一般に用いられている幅110mmの包装紙で包装する場合について、接触ローラ部51の上端から下端までの幅の最適値の考察を行った。
包装ローラの回転で包装紙を動かして、固定してあるカッタで包装紙を切断する場合に、包装ローラの接触ローラ部51の幅が小さすぎると滑りが生じて切断がうまくできなくなる可能性がある。また、包装ローラの回転で包装紙を回転させ、集積硬貨の上下から爪で加締め動作を行う時に、包装ローラの幅が小さすぎると加締め動作中に、包装紙と包装ローラとの間にすべりが生じて加締め動作がうまく行かずに包装不良を生じる可能性がある。これらの理由から包装ローラの接触ローラ部51の幅として最低10mmは必要であると考えられる。
他方、上記した第2,第4実施形態のように、包装ローラの接触ローラ部51に凹部を形成する場合は、凹部の幅が最大でも20mm程度あれば十分であり、また、包装ローラが極端に傾いていた場合であっても、凹部の上側および下側のいずれかの接触ローラ部51で包装紙を押さえることができることから、凹部の幅を15mmとし、接触ローラ部51の凹部の上側の幅および下側の幅を上記した理由の10mmとして、接触ローラ部51の上端から下端までの幅を35mmとした。
そして、上記した第4実施形態の硬貨処理機で、小幅接触ローラである包装ローラ30,31,32の接触ローラ部51の上端から下端までの幅を上記のように35mmとして、500円硬貨を50枚集積した集積硬貨に包装紙を巻き付けて100本の包装硬貨を作製する実験を普通紙および特殊紙の二種類について行った。また、比較のため、第4実施形態の装置に対し、包装ローラ30,31,32を従来の包装ローラである包装紙の幅よりも高く段差のない円柱状のローラとした場合についても同様の実験を行った。その結果を図15に示す。なお、この場合、包装紙の下側の巻代は計算上は約9mmとなる。
上記実験の結果、包装ローラを従来の段差のない円柱状のローラとした場合、図15に一点鎖線(普通紙)および二点鎖線(特殊紙)で示すようにいずれの紙質であっても巻代寸法が一定していないが、小幅接触ローラを用いた場合は、図15に破線(普通紙)および実線(特殊紙)で示すようにいずれの紙質であっても巻代寸法が約9mm近傍で一定することが分かる。
そして、凹部の幅は最大20mm程度とされるため、接触ローラ部51の上端から下端までの幅を40mm以下とすれば、包装紙が偏って引っ張られることを確実に防止でき、確実に包装紙の巻回不良の発生を防止できることになる。