JP4421146B2 - トンネル切羽前方の地質予測方法および地質予測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル切羽前方の地質予測方法および地質予測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、TBM(トンネルボーリングマシン)によりトンネルを掘削する場合、以下の(1)、(2)のような方法で、切羽前方の地質状況の予測、切羽や側壁の地質状況の把握を行っている。
【0003】
(1)削孔検層による方法(特公平7−49756)では、TBMの斜め前方に油圧ドリルで岩盤を削孔し、削孔時に得られるデータを測定して各深度の地山状況を評価する。単位体積あたりの岩盤を掘削するのに必要なエネルギを表す破壊エネルギ係数を用いると、切羽前方の地質評価が精度良く行える。
【0004】
(2)TBM機械データを用いる方法(特開2000−34890)では、掘削時に逐次収録されるTBM機械データから岩盤強度や掘削体積比エネルギを求め、切羽の地質状況を把握する。
【0005】
さらに、(1)の方法で得られた削孔検層データ、岩盤強度や掘削体積比エネルギ、事前地質情報、測量管理や施工管理の情報を一元的に管理することで、切羽前方や周辺の地質状況をリアルタイムに把握できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)の方法では、TBMルーフ直後から切羽前方に削孔するため、得られるデータは掘削予定位置の間にずれが生じる。また、(2)の方法では、TBM機械データから求まる岩盤強度や掘削体積比エネルギにより掘削地点の地質評価は行えるものの、削孔検層から求まる破壊エネルギ係数と岩盤強度や掘削体積比エネルギとの関連性が不明であるため、TBM機械データを切羽前方の地質予測には利用していない。切羽前方の予測には削孔検層のみを用いているので、(1)の方法と同様に、予測結果にずれが生じる。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、精度良く切羽前方の地質状況を評価できるトンネル切羽前方の地質予測方法および地質予測装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために第1の発明は、切羽前方に削孔して得られるデータから破壊エネルギ係数を算出する工程と、トンネル掘削機で地山を掘削して得られる機械データから岩盤強度と掘削体積比エネルギとを算出する工程と、前記切羽前方に削孔して得られるデータから算出した破壊エネルギ係数を相関関係をもとに岩盤強度または掘削体積比エネルギに換算することにより、または、前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギを相関関係をもとに破壊エネルギ係数に換算することにより、前記切羽前方に削孔して得られるデータから算出した破壊エネルギ係数と前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギとを、破壊エネルギ係数、岩盤強度または掘削体積比エネルギいずれかの統一された評価指標にする工程と、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数および前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギから得られた前記評価指標である、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数および前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギを換算して得られた破壊エネルギ係数、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた岩盤強度および前記機械データから算出した岩盤強度、または前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた掘削体積比エネルギおよび前記機械データから算出した掘削体積比エネルギを、位置の情報を含む関数によってモデル化する工程と、前記モデルを基にして、線形補間手法を用いて任意地点での前記評価指標を推定する工程と、を具備することを特徴とするトンネル切羽前方の地質予測方法である。
【0009】
第1の発明では、切羽前方に削孔して得られるデータから破壊エネルギ係数を算出し、トンネル掘削機で地山を掘削して得られる機械データから岩盤強度と掘削体積比エネルギとを算出する。算出された破壊エネルギ係数、岩盤強度、掘削体積比エネルギとを、相関関係をもとに、統一された評価指標に換算し、平均値関数、共分散関数等の位置の情報を含む関数によってモデル化する。このモデルを基にして、代表的な線形補間手法であるクリッギングを用いて任意の点での評価指標を推定する。
【0010】
ここで、トンネル掘削機は、TBMやシールド機を含む。また、評価指標は、岩盤強度、破壊エネルギ係数、掘削体積比エネルギのいずれかである。評価指標を統一して任意の点での評価を補間することで切羽前方の地質状況を精度良く推定できる。
【0011】
第2の発明は、切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出された破壊エネルギ係数と、トンネル掘削機で地山を掘削して得られる機械データから算出された岩盤強度または掘削体積比エネルギとを、前記破壊エネルギ係数を相関関係をもとに岩盤強度または掘削体積比エネルギに換算することにより、または、前記機械データから算出された岩盤強度または掘削体積比エネルギを相関関係をもとに破壊エネルギ係数に換算することにより、破壊エネルギ係数、岩盤強度または掘削体積比エネルギいずれかの統一された評価指標にする手段と、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出された破壊エネルギ係数および前記機械データから算出された岩盤強度または掘削体積比エネルギから得られた前記評価指標である、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数および前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギを換算して得られた破壊エネルギ係数、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた岩盤強度および前記機械データから算出した岩盤強度、または前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた掘削体積比エネルギおよび前記機械データから算出した掘削体積比エネルギを、位置の情報を含む関数によってモデル化する手段と、前記モデルを基にして、線形補間手法を用いて任意地点での前記評価指標を推定する手段と、を具備することを特徴とするトンネル切羽前方の地質予測装置である。
【0012】
第2の発明では、トンネルを掘削するにあたり、コンピュータ等に破壊エネルギ係数、岩盤強度、掘削体積比エネルギを入力し、相関関係をもとに統一された評価指標に換算する。統一された評価指標を位置の情報を含む関数によってモデル化し、前記モデルを基にして、線形補間手法を用いて任意地点での評価指標を推定する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、TBM3による地山1の掘削の概要図である。トンネル5は、TBM3を用いて地山1のトンネル計画位置11に掘削される。切羽前方13の地質状況を予測するため、TBM3の掘削段階ごとに、トンネル5の上方には削孔検層ボーリング孔9が掘削される。切羽7の地質状況を把握するため、TBM3が進行し掘削するごとに、TBM機械データが収集される。
【0014】
図2はトンネル5の切羽前方13の地質予測方法のフローチャートである。まず、削孔検層ボーリング孔9でのデータから破壊エネルギ係数を得る(ステップ101)。図1に示すように、TBM3を用いて地山1にトンネル5を掘削する際、TBM3の掘削段階ごとに、トンネル5の上方に削孔検層ボーリング孔9を掘削する。そして、削孔時に得られる削孔速度v、打撃エネルギJ、打撃回数N、削孔断面積A等を収集し、式(1)により各観測点10での破壊エネルギ係数Evを算出してコンピュータ等に入力する。
【0015】
Ev=(E・N)/(v・A) ………(1)
【0016】
次に、TBM3掘削のあるステップでの岩盤強度、掘削体積比エネルギを得る(ステップ103)。TBM3は、掘削時に推力F、貫入量Pe、掘削断面積A、カッタ回転数N、カッタトルクTr、掘削速度v等のTBM機械データが収録される。これらのデータと定数C1を用い、式(2)により岩盤強度σcFを、式(3)から掘削体積比エネルギQvを算出してコンピュータ等に入力する。
【0017】
σcF=F/(C1・Pe) ………(2)
【0018】
Qv=F/A+2π・N・Tr/(A・v) ………(3)
【0019】
次に、破壊エネルギ係数を岩盤強度、掘削体積比エネルギに変換する(ステップ105)。図3は破壊エネルギ係数と岩盤強度の相関を示す図、図4は破壊エネルギ係数と掘削体積比エネルギの相関を示す図であり、トンネル5を1mずつの区間に区切り、2cm毎に取られた各データの平均を代表値としている。図3、図4に示すように、破壊エネルギ係数と岩盤強度、破壊エネルギ係数と掘削体積比エネルギは、地質統計学手法を適用するのに十分な相関関係を満たしている。この相関関係から、破壊エネルギ係数を岩盤強度や掘削体積比エネルギに変換する。
【0020】
次に、変換した岩盤強度、掘削体積比エネルギの空間分布の構造をモデル化する(ステップ107)。地質統計学を用いた評価においては、評価の対象である物理量の空間的な特性である変動のトレンドやばらつきをモデル化する。例えば、一般に物性値の空間分布には、周辺と比較して大きな値を示している箇所や小さな値を示している箇所が存在するのが普通であり、これらがトレンドをもって分布していることも少なくない。
【0021】
また、一般に空間の異なる2点における物性値を比較すると、距離が大きい場合には2点の物性値の間には関連性はほとんどないが、2点間の距離が小さい場合には物性値が類似した値を示すことが多い。このような空間構造を位置の情報を含む関数である平均値関数や共分数関数によってモデル化する。
【0022】
次に、このモデルを基にして、クリッギングにより切羽前方13の岩盤強度、掘削体積比エネルギの分布を推定する(ステップ109)。推定には、代表的な線形補間手法であるクリッギングを用いる。図5は、観測点27、29と推定点31のモデル図である。観測点27、29の観測値から、観測値の得られていない任意の地点である推定点31の値を推定して補間する。
【0023】
観測点27は、例えば削孔検層ボーリング孔9の観測点10、観測点29はTBM機械データを収集した、切羽7の地点であり、観測点27での観測値は、削孔検層により得られた破壊エネルギ係数を岩盤強度や掘削体積比エネルギに変換した値、観測点29での観測値はTBM機械データから算出した岩盤強度や掘削体積比エネルギである。
【0024】
補間にあたっては、観測点27と推定点31の距離33、観測点29と推定点31の距離35によって変化する重み係数により、観測値の線形和として推定を行う。任意の推定点31の位置x0における推定量Z*(x0)、複数の観測点での重み係数λi、観測値Z(xi)、平均値関数μ(x)の間には、式(4)の関係が成り立つ。
【0025】
【0026】
重み係数λiの総和が1となることを条件に、ラグランジュの未定係数法を用いて重み係数λiと未定係数を算出し、任意の推定点での観測値を推定する。ステップ105からステップ109は、TBM3の内部や近傍等に設置されたコンピュータ等を用いて行う。
【0027】
図6は、トンネル5の切羽前方13の地質予測方法の工程図である。図6(a)では、削孔検層ボーリング孔9において、観測点21a、21b、21cで断層の存在を示す観測結果が見られる。ステップ105からステップ109の方法で、削孔検層ボーリング孔9での観測値とTBM3での観測値とから、任意の点での観測値が推定され、地山1の想定断層17aの位置と形状を推定できる。
【0028】
次に、TBM3掘削のステップ毎に、岩盤強度、掘削体積比エネルギを実測値として入力する(ステップ111)。すなわち、TBM3掘削のステップ毎に、ステップ101からステップ109を繰り返す。
【0029】
図6(b)は、TBM3の掘削が、図6(a)からさらに進行した状態を示す。TBM3の掘削が進行した段階で、TBM3の観測点23で想定断層17aが観測されない場合、削孔検層ボーリング孔9での観測値とTBM3での観測値から、再度地山1の任意の点での観測値の推定が行われ、想定断層17aの位置と形状が想定断層17bに変更される。
【0030】
図6(c)は、TBM3の掘削がさらに進行した状態を示す。TBM3の観測点25a、25bで観測値に変化がみられた場合、削孔検層ボーリング孔9での観測値とTBM3での観測値から、再度地山1の任意の点での観測値の推定が行われ、想定断層17bの位置と形状が想定断層17cに変更される。
【0031】
図6(d)は、TBM3の掘削がさらに進行した状態を示す。TBM3の後方の観測点25a、25b、25c、25dで断層の存在を示す観測結果がみられた場合、削孔検層ボーリング孔9での観測値とTBM3での観測値から、再度地山1の任意の点での観測値の推定が行われ、TBM3の確定断層19の位置と形状が決定される。
【0032】
図7は、図2と図6に示す方法および工程で評価した、トンネル5の地質評価結果を表す図である。図7(a)は削孔検層ボーリング孔9で採取されたスライムの観察結果45を、図7(b)は支保工設置位置47を、図7(c)はトンネル5の掘削後の坑壁観察結果49を示す。図8、図9、図10は削孔検層ボーリング孔9から得られるデータとTBM機械データを用いて推定した、地山1の断層位置を示すコンタ図を示す。51は岩盤強度の凡例である。
【0033】
図8、図9、図10に示すように、複数の削孔検層ボーリング孔9を削孔してスライムを採取し、図7(a)に示すスライムの観察結果45を得る。また、削孔時に取得した削孔速度v、打撃エネルギJ、打撃回数N、削孔断面積A等から、式(1)を用いて破壊エネルギ係数を算出し、算出された破壊エネルギ係数を岩盤強度に換算し、図8に示す予測図を得る。図8では、TBM機械データは反映されていない。
【0034】
次に、掘削が図8に示すTBM位置53aから、図9に示すTBM53bまで進んだときに得られるTBM機械データから、式(2)、式(3)を用い、岩盤強度、掘削体積比エネルギを算出する。削孔検層ボーリング孔9の位置での換算された岩盤強度と、TBM位置53aからTBM位置53bまでの岩盤強度の空間分布の構造をモデル化し、線形補間手法を用いて地山1の任意の点での岩盤強度を推定し、図9の予測図を得る。
【0035】
さらに、掘削が図9に示すTBM位置53bから図10に示すTBM53cまで進んだときに得られるTBM機械データから、式(2)、式(3)を用い、岩盤強度、掘削体積比エネルギを算出する。削孔検層ボーリング孔9の位置での換算された岩盤強度と、TBM位置53bからTBM位置53cまでの岩盤強度の空間分布の構造をモデル化し、線形補間手法を用いて地山1の任意の点での岩盤強度を推定し、図10の予測図を得る。
【0036】
TBM3でのトンネル5の掘削が進行するにつれて、掘削終了部分でのTBM機械データの取得により、地山1の任意の点での岩盤強度の推定が繰り返され、岩盤強度の分布図が複雑かつ詳細に更新される。
【0037】
例えば、図8、図9、図10では、トンネル長889m〜895m、908m〜910mの硬質部(黒色部)が新たに認識され、トンネル長901m〜905mでの岩盤強度の低い部分(白色部)の分布形状が更新されている。これらの岩盤強度分布は、図7(c)に示す掘削後の坑壁観察結果49と一致する。
【0038】
図8、図9、図10に示すような岩盤強度分布の予測図を用いることで、精度よく切羽前方13の地質を予測しながら、支保工設置位置47や掘削計画等を決定し、TBM掘削を進めることができる。
【0039】
このように、削孔検層ボーリング孔9から得られる破壊エネルギ係数とTBM機械データから得られる岩盤強度とをコンピュータ等に入力し、破壊エネルギ係数を岩盤強度に換算し、地質統計学手法により空間補間を行うことにより、切羽前方13の地質状況の空間的分布を精度良く推定できる。さらに、コンピュータ等を用いてステップ105からステップ109の手順で地質の推定を繰り返しつつ、トンネル5を掘削することにより、トンネル5を高速で施工でき、施工の安全性を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施例では、ステップ105からステップ109の手順をコンピュータ等で行ったが、削孔検層ボーリング孔9の削孔時に取得したデータ、TBM機械データをコンピュータ等に入力し、破壊エネルギ係数、岩盤強度、掘削体積比エネルギの算出とステップ105からステップ109の手順を同一の装置で行ってもよい。
また、前述したコンピュータ等の装置を実現するプログラムをCD−ROM等の記録媒体に保持させたり、インターネット等を介して流通させることができる。
【0041】
また、削孔検層ボーリング孔9の削孔位置、削孔本数は、図1、図8、図9、図10に示す限りではない。トンネル計画の実行に最適な削孔位置、本数を選択することで、切羽前方13のみでなく、TBM3で掘削したトンネル5の周囲の地質を予測し、拡幅などの施工に利用することもできる。
【0042】
また、ステップ105では、破壊エネルギ係数を岩盤強度や掘削体積比エネルギに変換したが、岩盤強度や掘削体積比エネルギを破壊エネルギ係数に変換してもよい。図11は、図1に示すトンネル5の全長にわたる各種データを示すグラフである。各グラフの横軸は、トンネル5内の位置である。
【0043】
図11(a)の縦軸はSH(シュミットハンマー)による一軸圧縮強度である。SHによる一軸圧縮強度37は、TBM3の通過後に、TBM3の後方のシュミットハンマー試験位置15で行われたシュミットハンマー試験結果を示す。
【0044】
図11(b)の縦軸は予測岩盤強度である。予測岩盤強度39は、TBM3の掘削位置である切羽7でのTBM機械データから算出される岩盤強度を示す。図11(a)と図11(b)とを比較すると、傾向、強度の絶対値が一致しており、予測岩盤強度39は切羽7での地質状態を精度良く反映していることがわかる。
【0045】
図11(c)の縦軸は実測破壊エネルギ係数である。実測破壊エネルギ係数41は複数の削孔検層ボーリング孔9でのデータから算出される実測破壊エネルギ係数を示す。図11(d)の縦軸は予測破壊エネルギ係数である。予測破壊エネルギ係数43は、複数の削孔検層ボーリング孔9でのデータから算出される破壊エネルギ係数と、TBM3のTBM機械データから算出される予測岩盤強度39を換算した破壊エネルギ係数とから、切羽前方13の点について推定した予測破壊エネルギ係数を示す。
【0046】
予測破壊エネルギ係数43は、実測破壊エネルギ係数41に比べてややばらつきが小さい結果になっているが、傾向や絶対値はほぼ一致している。また、予測破壊エネルギ係数43は、SHによる一軸圧縮強度37とも傾向が一致している。
【0047】
このように、TBM機械データである岩盤強度等を破壊エネルギ係数に換算した場合でも、空間補間を行った予測破壊エネルギ係数43は、実際のトンネル5内で行った地質評価結果と高い相関性をもち、TBM3の切羽前方13の地質状態を精度良く評価できる。なお、掘削にはTBM3のかわりにシールド機等の他の掘削機を用いてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、精度良く切羽前方の地質状況を評価できるトンネル切羽前方の地質予測方法および地質予測装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TBM3による地山1の掘削の概要図
【図2】トンネル5の切羽前方13の地質予測方法のフローチャート
【図3】破壊エネルギ係数と岩盤強度の相関を示す図
【図4】破壊エネルギ係数と掘削体積比エネルギの相関を示す図
【図5】観測点27、29と推定点31のモデル図
【図6】トンネル5の切羽前方13の地質予測方法の工程図
【図7】トンネル5の地質評価結果を表す図
【図8】地山1の断層位置を示すコンタ図
【図9】地山1の断層位置を示すコンタ図
【図10】地山1の断層位置を示すコンタ図
【図11】図1に示すトンネル5の全長にわたる各種データを示すグラフ
【符号の説明】
3………TBM
7………切羽
9………削孔検層ボーリング位置
13………切羽前方
27、29………観測点
31………推定点
39………予測岩盤強度
41………実測破壊エネルギ係数
43………予測破壊エネルギ係数
Claims (8)
- 切羽前方に削孔して得られるデータから破壊エネルギ係数を算出する工程と、
トンネル掘削機で地山を掘削して得られる機械データから岩盤強度と掘削体積比エネルギとを算出する工程と、
前記切羽前方に削孔して得られるデータから算出した破壊エネルギ係数を相関関係をもとに岩盤強度または掘削体積比エネルギに換算することにより、または、前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギを相関関係をもとに破壊エネルギ係数に換算することにより、前記切羽前方に削孔して得られるデータから算出した破壊エネルギ係数と前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギとを、破壊エネルギ係数、岩盤強度または掘削体積比エネルギいずれかの統一された評価指標にする工程と、
前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数および前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギから得られた前記評価指標である、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数および前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギを換算して得られた破壊エネルギ係数、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた岩盤強度および前記機械データから算出した岩盤強度、または前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた掘削体積比エネルギおよび前記機械データから算出した掘削体積比エネルギを、位置の情報を含む関数によってモデル化する工程と、
前記モデルを基にして、線形補間手法を用いて任意地点での前記評価指標を推定する工程と、
を具備することを特徴とするトンネル切羽前方の地質予測方法。 - 前記位置の情報を含む関数は、平均値関数と共分散関数であることを特徴とする請求項1記載のトンネル切羽前方の地質予測方法。
- 前記線形補間手法としてクリッギングを用いることを特徴とする請求項1記載のトンネル切羽前方の地質予測方法。
- 切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出された破壊エネルギ係数と、トンネル掘削機で地山を掘削して得られる機械データから算出された岩盤強度または掘削体積比エネルギとを、前記破壊エネルギ係数を相関関係をもとに岩盤強度または掘削体積比エネルギに換算することにより、または、前記機械データから算出された岩盤強度または掘削体積比エネルギを相関関係をもとに破壊エネルギ係数に換算することにより、破壊エネルギ係数、岩盤強度または掘削体積比エネルギいずれかの統一された評価指標にする手段と、
前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出された破壊エネルギ係数および前記機械データから算出された岩盤強度または掘削体積比エネルギから得られた前記評価指標である、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数および前記機械データから算出した岩盤強度または掘削体積比エネルギを換算して得られた破壊エネルギ係数、前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた岩盤強度および前記機械データから算出した岩盤強度、または前記切羽前方に削孔して得られるデータを用いて算出した破壊エネルギ係数を換算して得られた掘削体積比エネルギおよび前記機械データから算出した掘削体積比エネルギを、位置の情報を含む関数によってモデル化する手段と、
前記モデルを基にして、線形補間手法を用いて任意地点での前記評価指標を推定する手段と、
を具備することを特徴とするトンネル切羽前方の地質予測装置。 - 前記位置の情報を含む関数は、平均値関数と共分散関数であることを特徴とする請求項4記載のトンネル切羽前方の地質予測装置。
- 前記線形補間手法としてクリッギングを用いることを特徴とする請求項4記載のトンネル切羽前方の地質予測装置。
- 請求項4から請求項6のいずれかに記載されたトンネル切羽前方の地質予測装置として、コンピュータを機能させるプログラムを記載した記録媒体。
- 請求項4から請求項6のいずれかに記載されたトンネル切羽前方の地質予測装置として、コンピュータを機能させるプログラム。
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