JP4421076B2 - 流体混合装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ある温度の主流流体に対し異なる温度の支流流体を混合して、均一な温度分布の混合流体を生成する流体混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学プラントあるいは発電プラントにおいては、設定温度の蒸気を得るために低温蒸気に高温蒸気を混合する流体混合装置が使用されている。
【0003】
例えば、ガスタービンの高温排気を排熱回収ボイラに導いて蒸気を発生させ、得られた蒸気で蒸気タービンを駆動するコンバインドサイクル発電プラントにおいては、排熱回収ボイラで発生した蒸気をガスタービンの高温部品の冷却用として使用している。この場合、冷却用蒸気とガスタービン等の入熱で高温になった蒸気とを流体混合器で混合する。そして、設定温度の蒸気を得るために低温蒸気に高温蒸気を混合したり、または高温蒸気に低温蒸気を混合したりしている。
【0004】
従来、温度の異なる流体を合流混合する流体混合装置としてT字型の流体混合装置が知られている。
【0005】
図5は、従来のT字型の流体混合装置の一例を示す断面図である。主流配管1には、たとえば低温の流体である第1の流体が流れ、支流配管2には高温の流体である第2の流体が流れる。そして、T字型継手3により主流配管1と支流配管2とが接続される。つまり、支流配管2は主流配管1にT字状に接続されている。T字型継手3の内部には、主流配管1に沿って主流配管1の径より絞られたフロースリーブ4が装備されている。
【0006】
そして、フロースリーブ4を介して、第1の流体が温度の異なる第2の流体に混合される。このような流体混合装置は安価であり、また、混合される流体の温度差があまりないところに多く用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンバインドサイクル発電プラントにおける蒸気のように、扱う流体の温度差が大きい場合には、その大きな温度差を持つ2つの流体の接触部となるT字型継手3とフロースリーブ4とに過大の熱応力が発生する。そして、その熱応力の繰り返し振動が起こり、T字型継手3が損傷破損するおそれがある。
【0008】
そこで、流体混合装置の熱応力を緩和するために、図6に示す構造の流体混合装置が用いられている。これは、T字型継手3の一端より口径の細い支流管5を挿入し、先端部の多孔部12の透孔から流体を吹き出し混合するものである。しかしながら、この流体混合装置では支流管5内を流れる流体の流量が増した場合に圧力損失が増大し、決められた流量の確保が困難になることで、生成した流体を安定して望ましい温度に保てなくなる可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、混合される双方の流体の温度差が大きくなるときも、過大な熱応力が発生するのを回避し、さらに混合される流体の流量が増しても、生成した流体を安定して望ましい温度に保持することのできる流体混合継手を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わる流体混合装置は、ある温度の第1の流体を導く上流側主流配管と、この第1の流体と混合される異なる温度の第2の流体を前記上流側主流配管に交差する方向から導く支流配管と、前記上流側主流配管と同軸上に配置されて前記第1の流体と第2の流体とが混合した後の流体を導く下流側主流配管と、前記上流側主流配管と前記支流配管と前記下流側主流配管とをT字型に接続するT字型流体継手と、を備えた流体混合装置において、前記T字型流体継手の前記上流側主流配管及び下流側主流配管の方向の流路部の内径は前記上流側主流配管及び下流側主流配管の内径よりも大きく、前記T字型流体継手と前記上流側主流配管及び下流側主流配管との互いに対向する端部同士の間に配置されてそれらの端部を互いに接続するためのレジュ−シングピ−スと、前記レジュ−シングピ−スにより挟み込む様に前記T字型継手内部に固定され、前記上流側主流配管及び下流側主流配管の内径と同じ大きさの内径を有し、前記第2の流体を第1の流体中に吹き出す複数個の貫通口を有する内管と、を備え、前記T字型継手の内面と前記内管の外面との間に流体室が形成され、前記内管の一端は前記レジュ−シングピ−スに固定され、前記内管の残りの一端は前記レジュ−シングピ−スとの間に軸方向に移動可能な間隙を設けて装備したこと、を特徴とする。
【0011】
請求項1の発明に係わる流体混合装置においては、第1の流体はT字型継手内の内管に流入する。一方、第2の流体はT字型継手内の流体室に流入し、内管の外表面に接触して第1の流体と熱交換する。次いで、内管の貫通口を経由して内管内に流入して第1の流体と混合される。したがって、第1の流体と第2の流体との温度差が大きい場合においても、T字型継手及び内管の一部が極度に高温または低温になるのを防ぐことができ、T字型継手及び内管に過大な熱応力が生じるのを防止できる。また、T字型継手内の面積の大きい内管表面の複数の貫通口全体から第2の流体を第1の流体に供給することができるので圧損も小さく維持でき、大流量の調整も可能となり、従って、合流混合流体の温度も精度良く制御可能となる。
さらに、内管の熱による伸びを拘束せず、内管が主流配管の管軸方向に熱膨張できるので、内管に過大な熱応力が発生することを防止できる。
【0012】
請求項2の発明に係わる流体混合装置は、請求項1の発明において、前記内管の噴出口にノズルを設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係わる流体混合装置においては、各ノズルを通して支流配管を流れる第2の流体を第1の流体に混合することが可能になる。特に、主流配管内の第1の流体の流動方向に傾斜して各ノズルを配置すると、主流配管の第1の流体の流れを乱さず第2の流体を混合することが可能になる。
【0014】
請求項3の発明に係わる流体混合装置は、請求項1の発明において、前記内管の中心軸線が主流配管に接続されるT字型継手の中心軸線に対して偏心した位置となるように前記内管を配設したことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明に係わる流体混合装置においては、支流配管から導かれる第2の流体が流れ込むT字型継手内の流体室が大きくなるので、貫通口を経由して第1の流体中に流入する際により温度を均一にできる。従って、混合流体の温度はさらに効果的に均一化される。
【0018】
請求項の発明に係わる流体混合装置は、請求項1及至請求項のいずれか1項の発明において、前記内管の材質として高Cr鋼を使用し、当該内管の材質の熱膨張係数は前記T字型継手の材質の熱膨張係数と同等かまたはわずかに小さいことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明に係わる流体混合装置においては、内管が熱膨張による影響を受けず、高温流体と低温流体による温度交番を受けても熱衝撃を防止する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる流体混合装置の構成図である。所定の温度の第1の流体を導く主流配管1とその所定の温度と異なる温度の第2の流体を導く支流配管2との合流部にT字型継手3が設けられ、このT字型継手3と主流配管1とはレジュ−シングピ−ス6で接続されている。
【0021】
そして、T字型継手3内にはレジュ−シングピ−ス6で挟み込む様に内管7を固定装備し、内管7とT字型継手3との間に環状の流体室8を形成している。また、内管7の壁面を貫いて複数個の貫通口9が設けられ、第2の流体が内管7の内部を流れる第1の流体中に噴出される構成となっている。
【0022】
図2は図1のA−A線での断面図である。図2に示されるように、内管7の内径は主流配管1の内径に合わせている。そして、内管7はその周囲に流体室8を形成し、内管7の内円周上には複数個の貫通口9が間隔を保って配置されている。
【0023】
次に動作を説明する。高温流体である第2の流体は、支流配管2からT字型継手3と内管7との間に形成された流体室8に流入する。流体室8に流入した第2の流体は、内管7の表面と接触して熱交換され、内管7内を流れる低温の第1の流体の温度に近づいて温度は均一化される。
【0024】
次いで、第2の流体は内管7の内円周面に設けられた貫通口9を通って、内管7内を流れている第1の流体中に流入混合される。かくして、第2の流体である高温流体と接するT字型継手3の温度勾配は軽減され、かつ安定化され、第1の流体と第2の流体との均一混合が達成できる。従って、所定の温度に精度良く制御できるのみでなく、T字型継手3及び内管7が熱応力の繰り返しを受けることはなくなりその破損を防止できる。
【0025】
ここで、貫通口9にはノズルを設けるようにしても良い。その場合、各ノズルは主流配管1内を流れる第1の流体の流動方向に、所定の角度傾斜して取付られる。これにより、主流配管1を流れる第1の流体の流れを乱さずに支流配管2を流れる第2の流体を第1の流体に効率よく混合することができる。
【0026】
また、内管7の内径を主流配管1の内径に合わせているが、内管7の内径を主流配管1の内径の大きさに合わせなくても良い。つまり、主流配管1の内径より大きくても良いしまたは小さくしても良い。また、内管7の流路を絞ることにより、内管7内の流れに乱れを発生させ流体混合を促進することも可能である。
【0027】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係わる流体混合装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、内管7をT字型継手3の中心軸から偏心して配設したものである。また、内管7の内周面の全面に設けられた複数個の貫通口9は、配置と口径を変化させている。これは、流体室8内の圧力分布を考慮して、各貫通口9を通過する流量が均一になるようにするためである。その他の構成は、図1に示した第1の実施の形態と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する記載は省略する。
【0028】
高温流体である第2の流体は支流配管2から流体室8に流入し、さらに各貫通口を通って第1の流体中に流入する。この場合、内管7がT字型継手3に対して偏心して設置されているので、第2の流体が支流配管2から流体室8に流れ込む部分の容積が大きくなる。従って、流体室8内における流体の圧力損失が低く抑えられるので、流体室8内の圧力分布をさらに均一にすることができる。
【0029】
また、各貫通口は圧力分布を考慮して通過流量が均一になるように配置と口径とが設定されているので、高温流体である第2の流体と低温流体である第1の流体とを内管7内においてさらに均一に混合することができる。
【0030】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図4は、第3の実施の形態に係わる流体混合装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図3に示した第2の実施の形態に対し、内管7の一方の端はレジュ−シングピ−ス6に固定し、残りの一端はレジュ−シングピ−スとの間に軸方向に移動可能な間隙を設けて装備したものである。その他の構成は、図3に示した第2の実施の形態と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する記載は省略する。
【0031】
図4において、T字型継手3の主流配管1の上流側に設置されるレジュ−シングピ−ス6と内管7とは、溶接部11により固定されている。一方、T字型継手3の主流配管1の下流側に設置されるレジュ−シングピ−ス6は内管7とは固定されずに、軸方向に間隙ΔXを設けている。図4の溶接部11の代わりに、ピン等の固定装置で内管7の周りを止めることも可能である。
【0032】
次に、動作を説明する。支流配管2から流入する高温流体である第2の流体は、主流配管1を流れる低温の流体である第1の流体と混合する前に流体室8内に入り、内管7の全表面で第1の流体と熱交換するので、T字型継手3は流体室8を満たす高温流体で均一に加熱される。一方、内管7内部には主流配管1から低温の第1の流体が流入するので内管7の温度はT字型継手3の温度より低温になる。
【0033】
そして、T字型継手3と内管7との間に熱による伸び差が発生しても、T字型継手3の下流側に設置されるレジュ−シングピ−ス6と内管7との間に設けられた間隙ΔXにより内管7が軸方向に伸縮することを拘束しないので、T字型継手3と内管7とに過大な熱応力が発生することを防止できる。なお、溶接部11による固定部位を上流側から下流側に置き換えても良いことは言うまでもない。
【0034】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、内管7の材質として、T字型継手3の材質と同等かまたはわずかに小さい熱膨張係数の高Cr鋼を使用するようにしたものである。
【0035】
T字型継手3にはフェライト系材料を使用している。そこで、内管7もT字型継手3と同じフェライト系の高Cr鋼を使用する。フェライト系に代えて、オ−ステナイト系材料を使用することも可能である。
【0036】
これにより、混合される温度の異なる流体の温度差が大きくなっても、T字型継手3と内管7との熱による伸びの差はわずかとなり、内管7が熱膨張による拘束を受けることを防止できる。また、内管7が高温流体と低温流体による温度交番を受けても高Cr鋼を使用することにより熱衝撃による破損防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の流体混合装置によれば、温度差が大きい2つの流体を混合しても、その流体混合装置に過大な熱応力が発生するのを回避することができる。また、T字型継手内の内管の表面積を大きく取ることができ、したがって流体の流通圧損を小さく維持できるので流体の流量を自由に調節でき、混合流体の温度を安定に制度良く調節することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す流体混合装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の流体混合装置の横断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す流体混合装置の構成図。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す流体混合装置の構成図。
【図5】従来の流体混合継手の一例を示す流体混合装置の構成図。
【図6】従来の流体混合継手の他の例を示す流体混合装置の構成図。
【符号の説明】
1…主流配管、2…支流配管、3…T字型継手、4…フロースリーブ、5…支流管、6…レジュ−シングピ−ス、7…内管、8…流体室、9…貫通口、11…溶接部、12…多孔部

Claims (4)

  1. ある温度の第1の流体を導く上流側主流配管と、この第1の流体と混合される異なる温度の第2の流体を前記上流側主流配管に交差する方向から導く支流配管と、前記上流側主流配管と同軸上に配置されて前記第1の流体と第2の流体とが混合した後の流体を導く下流側主流配管と、前記上流側主流配管と前記支流配管と前記下流側主流配管とをT字型に接続するT字型流体継手と、を備えた流体混合装置において、
    前記T字型流体継手の前記上流側主流配管及び下流側主流配管の方向の流路部の内径は前記上流側主流配管及び下流側主流配管の内径よりも大きく、
    前記T字型流体継手と前記上流側主流配管及び下流側主流配管との互いに対向する端部同士の間に配置されてそれらの端部を互いに接続するためのレジュ−シングピ−スと、
    前記レジュ−シングピ−スにより挟み込む様に前記T字型継手内部に固定され、前記上流側主流配管及び下流側主流配管の内径と同じ大きさの内径を有し、前記第2の流体を第1の流体中に吹き出す複数個の貫通口を有する内管と、
    を備え、
    前記T字型継手の内面と前記内管の外面との間に流体室が形成され、前記内管の一端は前記レジュ−シングピ−スに固定され、前記内管の残りの一端は前記レジュ−シングピ−スとの間に軸方向に移動可能な間隙を設けて装備したこと、を特徴とする流体混合装置。
  2. 前記内管の貫通口にノズルを設けたことを特徴とする請求項1に記載の流体混合装置。
  3. 前記内管の中心軸線が主流配管に接続されるT字型継手の中心軸線に対して偏心した位置となるように前記内管を配設したことを特徴とする請求項1に記載の流体混合装置。
  4. 前記内管の材質として高Cr鋼を使用し、当該内管の材質の熱膨張係数は前記T字型継手の材質の熱膨張係数と同等かまたはわずかに小さいことを特徴とする請求項1及至請求項3のいずれか1項に記載の流体混合装置。
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