JP4421055B2 - データ伝送システムとその通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばMPEG−4(Moving Picture Experts Group-4)を採用したシステムのように、初期フレームで絶対値情報を送信し以後は前フレームとの差分情報を順次送信するデータ伝送システムとその通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話装置や携帯情報端末では、音声通信サービスのみならず、SMS(Short Message Service)や電子メールサービス、無線インターネットを利用した情報配信サービス等の種々伝送サービスを使用できるようになってきている。しかしこの種のシステムにおいて、動画像データのような情報量の大きいデータを伝送しようとすると、伝送路帯域がネックとなりそのままでは伝送することができない。
【0003】
そこで、動画像データを無線伝送する場合には動画像の圧縮/伸張処理が必要となり、その実現手段の一つとしてMPEG−4と呼ばれる画像圧縮/伸張方式の採用が検討されている。MPEG−4は、動画像データのように時間軸上で関連性を有するデータを、静止画として圧縮した1画面の全画像情報要素を含み画像データとして独立して意味をなす自立情報としての画像フレーム(以後Iフレームと称する)と、1フレーム前の画像データとの差分情報からなるフレーム(以後Pフレームと称する)とで表す。そして、伝送開始後の最初のフレームタイミングではIフレームを送信し、以後の各フレームタイミングではPフレームを順次送信するようにしたもので、これにより例えば数Mbps 相当の情報量を持つ動画像データを数十Kbps に圧縮して伝送することを可能としている。
【0004】
ところが、この様に初期フレームのみ絶対値情報を伝送し以後の各フレームでは前フレームとの差分情報を伝送するシステムでは、受信側の装置において例えば使用者がデータ受信途中で録画ボタンを押したとすると、差分情報(Pフレーム)しか記録することができず、この結果録画した画像データからは有効な画像再生を行うことができない。
【0005】
そこでMPEG−4では、各Pフレームの画面を多数のブロックに分割し、各Pフレームごとに任意のブロックのみ差分化しない絶対値情報を伝送するという工夫がなされている。上記絶対値情報が挿入されるブロックはマクロブロックと呼ばれ、送信側は1画面を再構成するに必要なすべてのマクロブロックを複数のPフレームに分散して周期的に送信する。一方Pフレームデータのうち前フレームとの差分データとして圧縮されるものをPマクロブロックと呼ぶ。上記1画面分のIマクロブロックを送信する周期を仮にマクロ周期と呼称する。したがって受信側は、少なくとも1マクロ周期分のPフレームを受信することで、これらのPフレームにより伝送された複数のIマクロブロックをもとに絶対値情報からなる1画面データを再構成することができる。
【0006】
この様な方式であれば、受信側の装置においてデータストリームの受信途中で録画ボタンが押された場合でも、1マクロ周期分のPフレームを受信することで、その中に含まれるI及びPマクロブロックをもとに完全な1画面データを再生し記録することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの様な方式では、録画を開始してから1マクロ周期分のPフレームを受信するまでの例えば約10秒間は、完全な1画面データを再構成することができない。このため、録画開始直後の約10秒間においては記録画像の品質が保証されず、使用者は品質が著しく劣化した記録画像を見せられることになり非常に好ましくなかった。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、データ受信途中で記録を開始した場合でも、記録指示の入力直後から高品質のデータを記録できるようにしたデータ伝送システムとその通信装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、時間軸上で相関を有するデータ群を送信側から受信側へ通信チャネルを介して伝送する際に、初期フレームタイミングでは前記データ群のうち独立して意味をなす自立情報を伝送し、それ以後の各フレームタイミングではそれぞれ主として元のデータとの差分で構成される従属情報を伝送するデータ伝送システムにおいて、上記自立情報及び従属情報の伝送中に、受信側で受信情報又は復元データ群を記録させるための記録指示が入力された場合に、受信側で上記自立情報及び従属情報を伝送するための通信チャネルを一時的に切断することにより受信側から送信側へ上記自立情報の送信要求を通知し、上記送信側で上記通信チャネルの一時的な切断の有無を監視し、この一時的な切断の検出に応じて、送信側から受信側へ少なくとも1フレーム分の自立情報を伝送するようにしたものである。
【0012】
したがってこの発明によれば、受信側の通信装置においてデータ受信途中で記録指示が入力されると、受信側から送信側へ自立情報の送信要求が送られ、これに応じて送信側から受信側へ従属情報に代わって自立情報が伝送される。このため、データ受信途中で記録指示を入力したにもかかわらず、この記録指示の入力直後から自立情報をもとに完全なデータを記録することが可能となる。
【0013】
またこの発明は、記録指示が入力された時点から、送信側から伝送された自立情報が受信されるまでは記録待機状態とし、自立情報の受信後にこの自立情報を初期情報として記録を開始することを特徴とする。
【0014】
この様にすることで、自立情報が受信されるまでの間に、再生に実質的に寄与しない従属情報が無駄に記録される不具合を防止することができ、これにより有限のデータ記録用メモリの記憶容量をより有効に使用できるようになって、データ記録時間を延ばすことが可能となる。
【0015】
さらに、上記記録待機期間中に、記録動作についての所定のサービス情報、例えば記録開始を使用者に知らせるためのメッセージや、記録開始の承認を使用者に入力させるためのメッセージを表示すれば、使用者に記録待機状態であることを意識させることなくデータ記録を行うことが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明に係わるデータ伝送システムとその通信装置の実施形態を説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、移動通信システムの携帯電話端末間で、MPEG−4による画像圧縮/伸張方式を使用して無線テレビジョン電話通信を行っている最中に、受信側の携帯電話端末において使用者が録画操作を行った場合に、使用中のビデオチャネルを一時的に切断することによりこの受信側の携帯電話端末から送信側の携帯電話端末に向けIフレームの送信要求を通知する。そして、この送信要求を受信した送信側の携帯電話端末が、Pフレームに代えてIフレームを送信するようにしたものである。
【0018】
図1は、この第1の実施形態に係わる移動通信システムの概略構成図である。同図において、システムがカバーするサービスエリアには複数の基地局BS1,BS2,…が分散して設置してあり、これらの基地局BS1,BS2,…は網NWにそれぞれ接続されている。携帯電話端末MS1,MS2,…はそれぞれ、無線チャネルを介して最寄りの基地局BS1,BS2に接続され、これらの基地局BS1,BS2からさらに網NWに接続される。網NWでは、携帯電話端末MS1,MS2,…の発呼要求に応じて、該当する携帯電話端末MS1,MS2間を交換接続するための処理が行われる。そして、この交換接続処理により通信リンクが確立すると、以後携帯電話端末MS1,MS2間では無線テレビジョン電話通信が可能となる。
【0019】
なお、上記無線チャネルのアクセス方式としては、例えばW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式が使用されるが、他にもFDMA(Frequency Division Multiple Access)方式やTDMA(Time Division Multiple Access)方式、さらには狭帯域のCDMA方式を採用することも可能である。
【0020】
図2は、上記移動通信システムの携帯電話端末MS1,MS2間で、動画像データ、音声データ及びコンピュータ・データを多重化伝送することにより、無線テレビジョン電話通信を行う際の仕組みを示す図である。
【0021】
携帯電話端末MS1,MS2は物理レイヤ(具体的には移動交換網NW)により相互に接続され、MUX−PDUと呼ばれるパケット単位でデータ伝送を行う。MUX−PDUは、図示するごとく先頭にフラグとヘッダとを配置し、その後ろに画像データ、音声データ及びコンピュータ・データを交互に配置したものである。ヘッダにはMUX−PDUの内容を表す情報が挿入される。
【0022】
物理レイヤの上位にはAL/MUXレイヤ(具体的には多重分離部)が配置され、このAL/MUXレイヤにおいて上記MUX−PDUが生成される。また、AL/MUXレイヤの上位には高位レイヤが配置され、ここでビデオチャネル、オーディオチャネル及び制御・データチャネルの接続が行われる。高位レイヤは、後述するマルチメディア処理部、音声コーデック及びデータ通信部により実現される。
【0023】
動画像データは束ねられてビデオチャネルにより伝送されるが、このビデオチャネルにはMPEG−4ストリームが埋め込まれている。このMPEG−4ストリームでは、図2に示すように1画面の全ての画像要素を含むIフレーム(初期フレーム)が先ず送られ、以後各フレームタイミングごとに前フレームとの差分情報からなるPフレームが順次送られる。
【0024】
さて、上記各携帯電話端末MS1,MS2,…は次のように構成される。図3はその外観を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
この携帯電話端末MS1,MS2は、無線テレビジョン電話通信機能を有するもので、その筐体前面パネルには受話器としてのスピーカ32、液晶表示器(LCD)34、キー入力部35及び送話器としてのマイクロホン31が配設されている。また筐体上部には、伸縮可能なアンテナ11と、カメラ33が取着されている。このカメラ33は、CMOS又はCCD等の固体撮像素子を採用したもので、静止画像又は動画像を撮像可能である。さらに筐体背面部には、電源部用の装着部が設けられており、この装着部にはバッテリパックを構成する電源部4が着脱自在に装着される。
【0025】
また、携帯電話端末MS1,MS2,…の回路は次のように構成される。図4はその機能構成を示すブロック図である。
携帯電話端末MS1,MS2,…は、無線部1と、ベースバンド部2と、入出力部3と、電源部4とから構成される。
【0026】
同図において、基地局BS1,BS2,…から移動通信システム用の無線チャネルを介して到来した無線周波信号は、アンテナ11で受信されたのちアンテナ共用器(DUP)12を介して受信回路(RX)13に入力される。受信回路13は、高周波増幅器、周波数変換器及び復調器を備える。そして、上記無線信号を低雑音増幅器で低雑音増幅したのち、周波数変換器において周波数シンセサイザ(SYN)14から発生された受信局部発振信号とミキシングして受信中間周波信号又は受信ベースバンド信号に周波数変換し、その出力信号を復調器でディジタル復調する。復調方式としては、例えばQPSK方式に対応した直交復調方式が用いられる。なお、上記周波数シンセサイザ14から発生される受信局部発振信号周波数は、ベースバンド部2に設けられた主制御部21から指示される。
【0027】
上記復調器から出力された復調信号はベースバンド部2に入力される。ベースバンド部2は、主制御部21と、多重分離部22と、音声符号復号部(以後音声コーデックと呼称する)23と、マルチメディア処理部24と、LCD制御部25と、受信データ記録用のメモリ部26とを備えている。
【0028】
上記復調信号は、主制御部21において制御情報であるかマルチメディア情報であるかが識別され、マルチメディア情報であれば多重分離部22に供給されてここで音声データと画像データとに分離される。そして、音声データは音声コーデック23に供給されてここで音声復号され、これにより再生された音声信号は入出力部3のスピーカ32から拡声出力される。これに対し画像データは、マルチメディア処理部24に供給されてここで画像復号処理され、これにより再生された画像信号はLCD制御部25を介して入出力部3のLCD34に供給され表示される。
【0029】
また、上記受信音声データ及び受信画像データは、キー入力部35から録画指示が入力された場合に、主制御部21の制御に従いメモリ部26に記録される。またLCD34には、主制御部21から出力された自装置の動作状態を表す種々情報、例えば電話帳や受信電界強度検出値、バッテリの残量なども表示される。
【0030】
一方、入出力部3のマイクロホン31から出力された端末使用者の送話音声信号は、ベースバンド部2の音声コーデック23に入力され、ここで音声符号化されたのち多重分離部22に入力される。またカメラ(CAM)33から出力された画像信号は、ベースバンド部2のマルチメディア処理部24に入力され、ここで画像符号化処理が施されたのち上記多重分離部22に入力される。多重分離部22では、上記符号化された音声データと画像データとがH.223等で規定される所定のフォーマットにより多重化され、この多重化された送信データは主制御部21から無線部1の送信回路(TX)15に入力される。
【0031】
送信回路15は、変調器、周波数変換器及び送信電力増幅器を備える。上記送信データは、変調器でディジタル変調されたのち、周波数変換器により周波数シンセサイザ14から発生された送信局部発振信号とミキシングされて無線周波信号に周波数変換される。変調方式としては、QPSK方式が用いられる。そして、この生成された送信無線周波信号は、送信電力増幅器で所定の送信レベルに増幅されたのち、アンテナ共用器12を介してアンテナ11に供給され、このアンテナ11から図示しない基地局に向け送信される。
【0032】
なお、電源部4には、リチウムイオン電池等のバッテリ41と、このバッテリ41を充電するための充電回路42と、電圧生成回路(PS)43とが設けられている。電圧生成回路43は、例えばDC/DCコンバータからなり、バッテリ41の出力電圧をもとに所定の電源電圧Vccを生成する。
【0033】
また入出力部3には、操作時及び通信時にLCD34及びキー入力部35を照明するための照明器36が設けられている。この照明器36は、例えばバックライト又はイルミネーションと呼ばれる。
【0034】
ところで主制御部21は、マイクロプロセッサと、ROM及びRAMなどからなる内部メモリとを備えたもので、無線チャネルの接続制御や通信リンク確立後の通信制御等、通常の制御機能に加えて、この発明に係わる制御機能として、送信要求通知制御手段21aと、Iフレーム送信制御手段21bと、記録制御手段21cとを備えている。
【0035】
送信要求通知制御手段21aは、データ受信途中で、キー入力部35の操作により録画指示が入力された場合に、使用中のビデオチャネルを一時的に切断することにより送信側の携帯電話端末に向けIフレームの送信要求を通知する。
【0036】
Iフレーム送信制御手段21bは、データ送信中に、ビデオチャネルの一時的な切断を監視し、この一時的な切断を検出した場合にこれを受信側の携帯電話端末からのIフレーム送信要求であると認識して、次のフレームタイミングにおいてIフレームを作成しこれをPフレームに代えて送信する。
【0037】
記録制御手段21cは、キー入力部35の操作により録画指示が入力された場合に、受信された各フレームデータをメモリ部26に記憶させるための制御を行う。ただし、データ受信途中で録画指示が入力された場合には、送信側の携帯電話端末からIフレームが受信されるまで記録待機状態とし、Iフレームが受信された時点でこのIフレームからメモリ部26への記録を開始する。
【0038】
次に、以上のように構成された移動通信システム及び携帯電話端末MS1,MS2の動作を説明する。図5は、携帯電話端末MS1,MS2の動作内容を示すフローチャートである。
【0039】
いま仮に、携帯電話端末MS1と携帯電話端末MS2とが、MPEG−4を用いて無線テレビジョン電話通信を開始したとする。そうすると、送信側の携帯電話端末MS1は、ステップ5aでカメラ33により撮像して得た画像データをもとに、先ずステップ5bで初期基準画面情報であるIフレームを作成し、このIフレームを最初のフレームタイミングで送信する。また第2フレーム以降の各フレームタイミングではそれぞれ、ステップ5cで1フレーム前の画像データとの差分情報を作成し、この差分情報をPフレームとして順次送信する。
【0040】
これに対し通信相手の携帯電話端末MS2は、先ずステップ5dで上記携帯電話端末MS1から伝送されたIフレームを受信し、このIフレームをもとにマルチメディア処理部24で完全な1画面データを復号再生してこの1画面データをステップ5dでLCD34に表示する。そして、それ以後は携帯電話端末MS1から伝送されたPフレームを順次受信し、これらのPフレームをそれぞれその1フレーム前に復号再生した画像データに加算することで1画面データを復号再生し、これらの1画面データをステップ5eでLCD34に表示する。
【0041】
図6は、上記MPEG−4を使用した画像データ圧縮伝送方式の動作例を模式的に示したものである。同図において、いま例えば送信側の携帯電話端末MS1においてV1,V2,V3,…に示す画像データがカメラ33により順次得られたとする。そうすると送信側の携帯電話端末MS1は、先ず上記画像データV1を静止画として圧縮してIフレームとして送信する。これに対し受信側の携帯電話端末MS2は、上記Iフレームをもとに1画面データV1′を復号再生してこれをLCD34に表示する。
【0042】
次に送信側の携帯電話端末MS1は、上記画像データV2,V3,…が得られるごとに、これらの画像データV2,V3,…とその1フレーム前の画像データV1,V2,…との間の差分を検出し、この差分情報をそれぞれPフレームとして送信する。これに対し受信側の携帯電話端末MS2は、上記Pフレームを受信するごとにそれぞれ、そのデータを1画面前に再生した画像データV1′,V2′,…に加算して画像データを再生し、これらの再生画像データをLCD34に表示する。
【0043】
またMPEG−4では、上記各Pフレームにそれぞれマクロブロックが設定され、このマクロブロックにおいては、絶対値情報として符号化されるIマクロブロックと、差分情報として符号化されるPマクロブロックとがある。マクロブロックのサイズは、例えば1画面データのサイズが横176画素×縦144画素の場合、縦横共に16画素に設定される。すなわち、この場合1画面を構成するために必要なマクロブロックの数は99個となる。なお、図5では簡単のため1画面のマクロブロック数が30の場合を例示している。
【0044】
1画面を構成するために必要な99個のマクロブロックは、133個のPフレームのうち、任意の99個のPフレームに分散配置されて伝送される。なお、1画面を再構成するために必要な99個のマクロブロックを、133個のPフレームのうちのどのフレームのどの位置に設定するかについては、動き検出などを行い動的に決定する。もちろん予め定められた順に決定してもかまわない。
【0045】
さて、以上のような無線テレビジョン電話通信を行っている最中に、いま例えば携帯電話端末MS2において使用者がキー入力部35を操作して録画指示を入力したとする(ステップ5f)。そうすると携帯電話端末MS2の主制御部21は、ステップ5gにより初期画面情報の送信要求、つまりIフレーム送信要求を通信相手の携帯電話端末MS1に対し通知する。具体的には、図7に示すごとく画像データの伝送に使用中のビデオチャネルを切断(クローズ)し、一定時間内に接続(オープン)状態に復帰させることにより通知する。
【0046】
これに対し携帯電話端末MS1の主制御部21は、データ伝送中に、通信相手の携帯電話端末MS2との間に設定してあるビデオチャネルの一時的な切断を監視している。そして、この切断を検出すると、Iフレーム送信要求が到来したものと判断して、ステップ5hで初期画面情報、つまりIフレームを作成し、このIフレームをステップ5iでPフレームに代えて携帯電話端末MS2に向け送信する。なお、このIフレーム送信後は、ステップ5jにおいてPフレームを順次送信する。
【0047】
これに対し携帯電話端末MS2は、上記携帯電話端末MS1からIフレームが到来するまで画像データの再生及び表示を停止し、Iフレームが受信されるとこのIフレームをもとにマルチメディア処理部24で完全な1画面データを再生してこの1画面データをLCD34に表示する。またそれと共にステップ5kにおいて、上記受信したIフレームをメモリ部26に格納する。
【0048】
そして、それ以後は携帯電話端末MS1から伝送されたPフレームを順次受信し、これらのPフレームをそれぞれ1フレーム前に再生した画像データに加算することで1画面データを再生しLCD34に表示するとともに、ステップ5mで上記受信したPフレームをメモリ部26に格納する。
【0049】
図8は以上の録画動作を模式的に示したものである。
【0050】
以上のように第1の実施形態では、携帯電話端末MS1,MS2間で、MPEG−4を使用して無線テレビジョン電話通信を行っている最中に、受信側の携帯電話端末MS2において使用者が録画操作を行った場合に、使用中のビデオチャネルを一時的に切断することによりこの受信側の携帯電話端末MS2から送信側の携帯電話端末MS1に向けIフレームの送信要求を通知する。そして、このIフレーム送信要求を受信した送信側の携帯電話端末MS1が、Pフレームに代えてIフレームを送信するようにしている。
【0051】
したがって、データ受信途中で録画操作が行われた場合にもIフレームから記録することが可能となり、これにより録画開始直後から高品質の画像データを記録することができる。
【0052】
また、Iフレーム送信要求をビデオチャネルの一時的な切断により通知するようにしているので、Iフレーム送信要求信号を生成する機能と、このIフレーム送信要求を受信して検出する機能を新たに設ける必要がなく、これにより簡単なシーケンスで実現できる利点がある。
【0053】
さらに、録画操作が行われた時点から、送信側から伝送されたIフレームが受信されるまでは記録待機状態とし、Iフレームの受信後にこのIフレームから記録を開始するようにしているので、Iフレームが受信されるまでの間に、再生に実質的に寄与しないPフレームが無駄に記録されないようにすることができ、これにより有限のデータ記録用メモリ部26の記憶容量を有効に使用することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
この発明に係わる第2の実施形態は、録画開始操作が入力された時点から、送信側から伝送されたIフレームが受信されるまでの間は録画待機状態とすると共に、この録画待機期間中に録画開始の了解を使用者に求めるためのメッセージを表示するようにしたものである。
【0055】
図9は、この第2の実施形態に係わる携帯電話端末MS1,MS2の動作内容を示すフローチャートである。なお、同図において前記図5と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0056】
携帯電話端末MS1,MS2間において無線テレビジョン電話通信を行っている最中に、いま例えば携帯電話端末MS2において使用者がキー入力部35を操作して録画指示を入力したとする(ステップ5f)。そうすると携帯電話端末MS2の主制御部21は、ステップ5gによりIフレーム送信要求を通信相手の携帯電話端末MS1に対し通知する。具体的には、図7に示したように画像データの伝送に使用中のビデオチャネルを切断(クローズ)し、一定時間内に接続(オープン)状態に復帰させることにより通知する。
【0057】
さて、上記Iフレーム送信要求を送信すると携帯電話端末MS2の主制御部21は、当該Iフレーム送信要求に応じて携帯電話端末MS1からIフレームが到来するまでの期間を記録動作待機状態に設定し、この期間を利用してステップ9aにおいて録画確認メッセージを生成し、このメッセージをLCD34に表示させる。例えば、図10に示すように「録画してよろしいですか?」なる録画確認メッセージを表示する。
【0058】
これに対し使用者が、キー入力部35を操作して「OK」を入力したとすると、携帯電話端末MS2の主制御部21はこの入力をステップ9bで認識し、ステップ5kに移行する。そして、この録画確認シーケンスの間に通信相手の携帯電話端末MS1からIフレームが伝送されると、このIフレームをもとに画像データを再生してLCD34に表示させると共に、ステップ5kにおいて上記Iフレームをメモリ部26に格納する。
【0059】
そして、それ以後は携帯電話端末MS1から伝送されたPフレームを順次受信し、これらのPフレームをそれぞれ1フレーム前に再生した画像データに加算することで1画面データを再生しLCD34に表示するとともに、ステップ5mで上記受信したPフレームをメモリ部26に格納する。
【0060】
したがってこの第2の実施形態によれば、Iフレーム送信要求を送信した後、当該Iフレーム送信要求に応じて携帯電話端末MS1からIフレームが到来するまでの期間を記録動作待機状態に設定し、この期間を利用して録画確認メッセージを生成してLCD34に表示するようにしたことによって、使用者は上記記録動作待機状態を意識せずに済む。このため、上記記録動作待機状態における受信画像の表示の一時停止を使用者が故障と誤判断してしまう不具合を防止することができる。
【0061】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、Iフレーム送信要求の通知手段として、使用中のビデオチャネルの一時的な切断を利用するようにした。しかし、それに限らず例えば録画操作が行われた側の携帯電話端末MS2でIフレーム送信要求信号を作成し、このIフレーム送信要求信号を図7に示す制御チャネル、データチャネル又は音声チャネルを利用して通信相手側の携帯電話端末MS1に通知するようにしてもよい。
【0062】
また上記Iフレーム送信要求は、高位レイヤのビデオチャネルや制御/データチャネル、オーディオチャネルを利用して通知する以外に、AL/MUXレイヤなどのその他のレイヤのチャネルを利用して通知するようにしてもよい。
【0063】
さらに前記各実施形態では、受信したIフレーム及びPフレームを受信データのまま主制御部21からメモリ部26に供給して記録するようにしたが、多重分離部22で分離された後のIフレーム及びPフレームをメモリ部26に記録するようにしてもよく、またマルチメディア処理部24で受信Iフレーム及びPフレームをもとに再生した画像データをメモリ部26に記録するようにしてもよい。
【0064】
さらに前記実施形態では、録画を開始させるための操作に応動してIフレーム送信要求を通知するようにしたが、それに限らず例えば録画開始操作の前に録画準備操作が行われる場合には、この録画準備操作に応動してIフレーム送信要求を通知するようにしてもよい。
【0065】
さらに、画像データの符号化圧縮/伸張方式についてはMPEG−4以外にH.263等のその他の方式を採用してもよく、また伝送データの種類についても動画像データ以外に静止画データやその他のデータであってもよい。
【0066】
さらに、前記各実施形態では、携帯電話端末MS1,MS2間で無線テレビジョン電話通信を行う場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず例えば図11に示すように、携帯電話端末又はそれに代わる携帯情報端末を網NWを介してインターネット上のWWWサーバSV等に接続し、このサーバSVからホームページの情報等をダウンロードするような場合にもこの発明を適用できる。
【0067】
また前記各実施形態では、移動通信システムを例にとって説明したが、この発明は無線LANやBT(Bluetooth)に代表される近距離無線データ通信方式を使用する機器間無線伝送システム等にも適用することができ、さらには有線伝送システムに適用してもよい。
【0068】
その他、通信装置の種類やその構成、Iフレームの送信要求通知手段及びIフレームの送信制御手段の制御手順とその内容などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、時間軸上で関連性を有するデータ群を送信側から受信側へ通信チャネルを介して伝送する際に、初期フレームタイミングでは前記データ群のうち独立して意味をなす自立情報を伝送し、それ以後の各フレームタイミングではそれぞれ主として元のデータとの差分で構成される従属情報を伝送するデータ伝送システムにおいて、上記自立情報及び従属情報の伝送中に、受信側で受信情報又は復元データ群を記録させるための記録指示が入力された場合に、受信側で上記自立情報及び従属情報を伝送するための通信チャネルを一時的に切断することにより受信側から送信側へ上記自立情報の送信要求を通知し、上記送信側で上記通信チャネルの一時的な切断の有無を監視して、この一時的な切断の検出に応じて送信側から受信側へ少なくとも1フレーム分の自立情報を伝送するようにしている。
【0070】
したがってこの発明によれば、データ受信途中で記録を開始する場合でも、記録指示の入力直後から高品質のデータを記録することが可能なデータ伝送システムとその通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わるデータ伝送システムの第1の実施形態である移動通信システムの概略構成を示す図。
【図2】 MPEG−4によるマルチメディア伝送システムのレイヤ構成を示す図。
【図3】 図1に示したシステムで使用される携帯電話端末の外観を示す図。
【図4】 図1に示したシステムで使用される携帯電話端末の回路構成を示す機能ブロック図。
【図5】 この発明の第1の実施形態に係わる携帯電話端末の動作内容を示すフローチャート。
【図6】 MPEG−4を使用した画像データ圧縮伝送方式の動作を模式的に示す図。
【図7】 携帯電話端末間の高位レイヤにおける接続シーケンスを示す図。
【図8】 図2に示した携帯電話端末による録画動作を模式的に示した図。
【図9】 この発明の第2の実施形態に係わる携帯電話端末の動作内容を示すフローチャート。
【図10】 この発明の第2の実施形態に係わる携帯電話端末における録画確認メッセージの表示例を示す図。
【図11】 この発明に係わるデータ伝送システムのその他の実施形態である情報ダウンロードシステムの概略構成を示す図。
【符号の説明】
NW…網
BS,BS1,BS2…基地局
MS,MS1,MS2…携帯電話端末
SV…サーバ
1…携帯電話端末の無線部
2…携帯電話端末のベースバンド部
3…携帯電話端末の入出力部
4…携帯電話端末の電源部
11…アンテナ
12…アンテナ共用器(DPX)
13…受信回路(RX)
14…周波数シンセサイザ(SYN)
15…送信回路(TX)
21…携帯電話機の主制御部
21a…送信要求通知制御手段
21b…Iフレーム送信制御手段
21c…記録制御手段
22…多重分離部
23…音声コーデック
24…マルチメディア処理部
25…LCD制御部
26…メモリ部
31…マイクロホン
32…スピーカ
33…カメラ
34…液晶表示器(LCD)
35…キー入力部
36…照明器
41…バッテリ
42…充電回路(CHG)
43…電圧生成回路(PS)
Claims (5)
- 時間軸上で相関を有するデータ群を送信側から受信側へ通信チャネルを介して伝送する際に、初期フレームタイミングでは前記データ群のうち独立して意味をなす自立情報を伝送し、それ以後の各フレームタイミングではそれぞれ主として元のデータとの差分で構成される従属情報を伝送するデータ伝送システムにおいて、
前記自立情報及び従属情報の伝送中に、受信した自立情報及び従属情報又はこれらの情報を基に復元されるデータ群を記録させるための記録指示が受信側で入力された場合に、当該受信側で前記自立情報及び従属情報を伝送するための通信チャネルを一時的に切断することにより、受信側から送信側へ前記自立情報の送信要求を通知する送信要求通知手段と、
前記送信側で前記通信チャネルの一時的な切断の有無を監視し、この一時的な切断の検出に応じて、送信側から受信側へ少なくとも1フレーム分の自立情報を伝送するデータ伝送制御手段と
を具備したことを特徴とするデータ伝送システム。 - 前記記録指示が入力された時点から前記送信要求に応答して自立情報が受信されるまでの間を記録待機期間とし、この記録待機期間経過後に、前記受信自立情報及びその後に受信される従属情報を記録媒体に記録するデータ記録制御手段を、さらに具備したことを特徴とする請求項1記載のデータ伝送システム。
- 送信側が、自立情報及び従属情報を伝送するための通信チャネルの一時的な切断の有無を監視し、この一時的な切断の検出に応じて受信側へ少なくとも1フレーム分の自立情報を送信するデータ伝送制御手段を備えるデータ伝送システムで使用され、前記送信側から伝送される自立情報及び従属情報を順次受信して、この受信した自立情報及び従属情報を基に時間軸上で相関を有するデータ群を復元する受信側の通信装置において、
受信した自立情報及び従属情報又はこれらの情報を基に復元されるデータ群を記録させるための記録指示を入力する入力手段と、
前記自立情報及び従属情報の受信中に前記入力手段により記録指示が入力された場合に、前記自立情報及び従属情報を伝送するための通信チャネルを一時的に切断することにより送信側へ前記自立情報の送信要求を通知し、これにより前記送信側のデータ伝送制御手段から前記自立情報を送信させる送信要求手段と
を具備したことを特徴とする通信装置。 - 前記記録指示が入力された時点から送信要求の通知に応答して送信側から自立情報が受信されるまでの間を記録待機期間とし、この記録待機期間経過後に、前記受信自立情報及びその後に受信される従属情報を記録媒体に記録するデータ記録制御手段を、さらに具備したことを特徴とする請求項3記載の通信装置。
- 前記データ記録制御手段は、前記記録待機状態において、記録動作についての所定のサービス情報を表示する機能を有することを特徴とする請求項4記載の通信装置。
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