JP4420582B2 - 砂状粒状化物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設廃材を砂の代替品にする再利用技術であって、建設廃材から選別された土砂系混合廃棄物を主原料とする砂状粒状化物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、マンション、ビル、木造建築現場より排出される建設廃材は、集積所に収集運搬されたのち選別され、木くず、紙くず(ダンボール等)、金属くず、コンクリート片はそれぞれのリサイクル工場へ搬出されている。一方、廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くずを含む選別不可能な土砂系混合廃棄物は、安定型最終処分地にて埋め立て処分される以外に方法がないのが現状である。しかし、このような処分地は現在不足しており、大きな社会問題となっている。そのため、安定型最終処分地での埋め立て処分をせずに、上記土砂系混合廃棄物をリサイクルする技術の開発が求められている。
一方、上記土砂系混合廃棄物のリサイクル先としては、建設現場でコンクリートに使用する骨材としての再利用や、土木工事で砂としての再利用が考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、埋め立て処分されている土砂系混合廃棄物を、強度があり、透水性があり、かつ埋め立て基準を満たす砂状粒状化物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る砂状粒状化物の製造方法は、建設現場から排出される廃棄物の中からリサイクル可能な廃棄物を除いたリサイクル不可能なガラス・陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を300℃以上で加熱処理し、造粒剤を添加して混練及び成形した後、乾燥することを特徴とする。
また、本発明は、建設現場から排出される廃棄物の中からリサイクル可能な廃棄物を除いたリサイクル不可能なガラス・陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を300℃以上で加熱処理し、造粒剤を添加して混練及び成形した後、乾燥して得られる砂状粒状化物である。
上記混練においては、上記土砂系混合廃棄物100重量部に対して、造粒剤5〜20重量部、好ましくは5〜15重量部と、水5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部とを添加することができる。
上記造粒剤として、セメント系無機鉱物微粉末を用いることができる。
上記砂状粒状化物は、密度が表乾で1.8g/cm3以上、好ましくは2.0g/cm3以上、絶乾で1.6g/cm3以上、好ましくは1.7g/cm3以上、単位容積質量が0.8kg/l以上、好ましくは1.0kg/l以上、吸水率が25%以下、好ましくは20%以下であることが好ましい。
【0005】
このように、土砂系混合廃棄物を造粒化することによって、粒径が向上するとともに、水硬性物質で固結しているため、水などによって崩壊することはなく、サラサラしており、取り扱い易くなる。本発明の砂状粒状化物は、造粒化前の土砂系廃棄物に比べて透水性も改善され、天然の砂より強度も小さく、化学成分の分析結果も埋め立て基準を満たしており、土木工事での埋め戻し砂やサンドマットのような用途に利用することが可能となる。したがって、本発明による砂状粒状化物は、土木工事用の材料として販売することができ、これまで費用をかけて処理していた廃棄物から収益を上げることができるようになる。
【0006】
ここで、上記埋め立て基準は、平成3年環境庁告示第46号付表に定める方法により検液を作成し、計量されるもので、その基準値を表1に示す。
【0007】
【表1】
Figure 0004420582
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、建設現場から排出される廃棄物(以下、建設廃材という)の中からリサイクル可能な廃棄物を除いたリサイクル不可能なガラス・陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を高温で加熱処理し、次に造粒剤を添加して混練及び成形した後、乾燥することを特徴とする。
上記建設廃材は、一般に、木くず、紙くず(ダンボール等)、金属くず、土砂、コンクリート片、廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くずが含まれている。このうち、木くずはチップ工場へ、紙くず(ダンボール等)は回収業者へ回収される。その他の選別不可能な木くず、紙くずは焼却炉で処分される。金属くずは人手や磁選機などによって選別され回収業者により適宜処分される。コンクリート片も選別され再生砕石工場などでリサイクルされる。廃プラスチック類も選別され、焼却又は埋め立てられる。したがって、本発明で用いることができる上記土砂系混合廃棄物は、上記建設廃材から選別不可能な土砂系混合廃棄物(ガラス・陶磁器くずを含む)であって、安定型の最終処分場に埋め立てられるべきものであり、有害物質を含むことが多い産業廃棄物は含まれない。
【0009】
上記加熱処理は、300℃以上、好ましくは400〜500℃の温度に加熱する。300℃以上の温度にすることにより、上記土砂系混合廃棄物の中に含まれる木くずや紙片などの可燃物を取り除くことができる。
また、加熱処理を行う前に、上記土砂系混合廃棄物をふるい機にかけて、5〜10mmのいずれかのふるい呼び寸法を通過した物のみを使用することもできる。これにより、上記土砂系混合廃棄物の粒径を一定以下にすることで、後の処理を均一に行うことができ、得られる砂状粒状化物の物性を向上することができる。
また、加熱処理の後に、粉砕して、ふるい機にかけて、1.5〜5mmのいずれかのふるい呼び寸法を通過した物のみを使用することもできる。これによって、上記と同様に、得られる砂状粒状化物の物性を向上することができる。
【0010】
上記造粒剤としては、水硬性であれば特に限定されることはないが、セメント系無機鉱物質が好ましい。配合比としては、土砂系混合廃棄物100重量部に対して、セメント系無機鉱物質粉末を5〜20重量部、好ましくは5〜15重量部添加する。
上記加熱処理した土砂系混合廃棄物と上記造粒剤との混練において、水を徐々に注水しながら、攪拌し造粒することができる。配合比としては、土砂系混合廃棄物100重量部に対して、水を5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部注水する。含水比を変化させることによって、粒状化物の強度や粒径を調整することもできる。
成形に使用する機器は、例えば、一軸ミキサー、パン型造粒機などが挙げられるが、造粒できる機器であれば特に限定されない。
【0011】
上記乾燥としては、特に限定されないが、天日による自然乾燥や、加熱機器等による強制的な乾燥をすることができる。上記乾燥により、得られる粒状化物の強度を確保することができる。
【0012】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
1.建設廃材の精製
建設廃材からリサイクル可能な木くず、紙くず、金属くず及び廃プラスチック類などが取り除かれた選別不可能なガラス陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を、ロッドミルを使用して粉砕し、ふるい分けにより呼び寸法10mmを通過させた。この時点で、ふるい分け試験、化学成分の分析試験を行った。その結果を表2、表3に示す。ここで、表3に示す強熱減量とは、強熱による試料の質量の減少をいい、この減少は試料中に含まれる揮発成分の揮散によるもので、分析化学的には主に水、二酸化炭素、アンモニウム化合物などである。次に、ロータリーキルンにより400〜450℃に加熱して不純物の除去を行った後、ふるい分けにより呼び寸法3mmを通過したものを造粒用主原料とした。
【0013】
【表2】
Figure 0004420582
【0014】
【表3】
Figure 0004420582
【0015】
2.粒状化物の製造
上記主原料100重量部に対して、セメント系無機鉱物質微粉末「ネオセラメント」10重量部を添加混合した後、二軸型ミキサーに投入した。上記ミキサーでは、水15重量部を徐々に注水しながら攪拌し造粒した。得られた造粒化物をそのまま養生して自然乾燥させることによって、砂状の粒状化物を得ることができた。
【0016】
3.砂状粒状化物の物理化学特性
得られた砂状粒状化物について、ふるい分け試験、密度・吸水・単位容積試験を行った。その結果を表4、表5に示す。
【0017】
【表4】
Figure 0004420582
【0018】
【表5】
Figure 0004420582
【0019】
表2と表4を比較すると、粒度分布、粗粒率は本発明の粒状化により著しく向上した。また、土木用材料としては、ある程度以上の密度が必要である。天然砂の絶乾密度が2.6g/cm3程度であることを考慮すると、再利用するためには天然の軽石程度の約1.6g/cm3以上が要求されると考えられる。表4に示す通り、本実施例により得られた砂状粒状化物の密度は、表面乾燥(表乾)で2.1g/cm3以上、絶対乾燥(絶乾)で1.7g/cm3以上、単位容積質量も1.0kg/l以上あり、上記条件を満たした。さらに、吸水率は大きくなると粒同士が接着して透水性の低下になるため、25%以下が望ましい。表4に示す通り、本実施例の砂状粒状化物の吸水率は20%以下であり、上記条件を満たした。
このように、本実施例により得られた砂状粒状化物は、工事等で砂の代替品として取り扱うのに十分な物性まで改善された。また、上記の表1に示す埋め立て基準もクリアしており、工事等での埋め立てやサンドマットとして利用可能なものとなった。
【0020】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明によれば、埋め立て処分されている土砂系廃棄物を、強度があり、透水性があり、かつ埋め立て基準を満たす砂状粒状化物及びその製造方法を提供することができる。
この技術により、現在の建築廃材のうち、埋め立て処分されていた廃棄物の量を減少させることができる。また、建築現場等では、天然の骨材に代わって砕石・砕砂が供給されているが、コンクリートに使用する骨材の調達が地域によっては非常に困難となっていたり、土木工事に欠かすことのできない砂の供給が困難な地域もあり、砂の価格も上昇している等の事情があるため、本発明に係る砂状粒状化物は砂の代替品として十分に需要がある。さらに、これによりバージン砂の削減にもなることから、本発明は環境問題を改善できるとともに、循環型社会へも適合する技術である。

Claims (3)

  1. 建設現場から排出される廃棄物の中からリサイクル可能な廃棄物を除いたリサイクル不可能なガラス・陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を300℃以上で加熱処理し、造粒剤を添加して混練及び成形した後、乾燥することを特徴とする砂状粒状化物の製造方法。
  2. 建設現場から排出される廃棄物の中からリサイクル可能な廃棄物を除いたリサイクル不可能なガラス・陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を300℃以上で加熱処理し、造粒剤を添加して混練及び成形した後、乾燥して得られる砂状粒状化物。
  3. 現場から排出される廃棄物の中からリサイクル可能な廃棄物を除いたリサイクル不可能なガラス・陶磁器くずを含む土砂系混合廃棄物を300℃以上で加熱処理したものを100重量部と造粒剤を5〜20重量部とを含んでなり、密度が表乾で1.8g/cm3以上、絶乾で1.6g/cm3以上、単位容積質量が0.8kg/l以上、吸水率が25%以下である砂状粒状化物。
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