JP4418540B2 - 抑草剤 - Google Patents

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JP4418540B2 JP13955498A JP13955498A JP4418540B2 JP 4418540 B2 JP4418540 B2 JP 4418540B2 JP 13955498 A JP13955498 A JP 13955498A JP 13955498 A JP13955498 A JP 13955498A JP 4418540 B2 JP4418540 B2 JP 4418540B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリホサート及びその塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上の第一成分及び金属塩(群A)から選ばれた1種又は2種以上の第二成分を含有し、更に、マレイン酸ヒドラジド等(群B)から選ばれた1種又は2種以上の第三成分を含有してもよい農薬組成物又はその抑草剤としての使用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道敷地、高速道路、放任空き地、工場敷地、堤防、水田畦畔、果樹園、耕起前の水田及び畑のような場面において、雑草を放置すると、交通機関の視界の妨げとなったり、病害虫の発生源になったり、農作業に支障をきたしたり、その他様々な悪影響が生じる恐れがある。しかし、昨今の労働力不足や人件費の高騰等を考えると、これらの雑草を人力及び機械のみで防除することは難しくなっており、グリホサートのような非選択性除草剤の使用が重要となってきている。
【0003】
上記の非選択性除草剤は、法面などの傾斜地や水田畦畔のような場面で、これらの非選択性除草剤を雑草の致死量使用すると、雑草をほとんど枯らしてしまい、土壌表面が裸地化され、土壌の流亡が問題となる。したがって、これらの場面では、雑草を完全に枯らすのではなく、種々の雑草を緑のままで残し、それらの生長を長期にわたって抑制する剤、すなわち、抑草剤が望まれている。又、実際の雑草防除の場面では、薬剤を散布するときに、風等の影響で場所によって施用される薬量のばらつきがあるため、抑草効果を示す薬量の幅が広い抑草剤が必要となる。言い換えれば、基準の施用薬量よりも多少多く施用されても雑草の根を枯らさず、かつ、基準の施用薬量よりも多少少なく施用されても抑草作用を示すような抑草剤の開発が望まれている。
【0004】
上記の非選択性除草剤の薬量を減らして使用したり、非選択性除草剤の殺草力を抑制する薬剤を添加して抑草剤として利用する試みもなされているが(特公昭56-6402 号公報、特開昭59-101500 号公報、Weed Science,39,622-628 (1991))、抑草効果を示す薬量の幅が狭い、抑草スペクトラムが狭い、抑草効果の持続性が短い等の欠点があり、実用的な抑草剤としての利用に至っておらず、上記欠点を克服する抑草剤の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、グリホサート等の非選択性除草剤の配合剤を長年にわたり鋭意研究し、非選択性除草剤に、金属塩からなる成分を配合し、更に任意に植物成長調節剤、殺菌剤等からなる成分を配合することによって、抑草剤として使用される農薬組成物を見出し、本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、N−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれた1種又は2種以上の第一成分及び金属塩からなる群(成分群A)から選ばれた1種又は2種以上の第二成分を含有し、更に、下記マレイン酸ヒドラジド等からなる群(成分群B)から選ばれた1種の第三成分を含有してもよい農薬組成物及びその抑草剤としての使用を提供する。
成分群Aは、
炭酸、ハロゲン化水素酸、含ホウ素無機酸、含窒素無機酸、含リン無機酸及び含硫黄無機酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなる無機金属塩(但し、硝酸アルミニウム及びホスフィン酸カルシウムを除く。);
カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、鉄若しくは亜鉛の水酸化物;
ミョウバン(但し、硫酸アンモニウムアルミニウム及び硫酸カリウムアルミニウムを除く。);
擬ミョウバン;
C2−C12アミノ酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなるアミノ酸金属塩;
飽和又は不飽和のC2−C30鎖状モノカルボン酸{但し、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、レブリン酸及びアスコルビン酸を除く。当該鎖状モノカルボン酸の鎖状部分は、水酸基、ホルミル基、オキソ基、フェニル基(当該フェニル基は、1乃至3個の水酸基により置換されていてもよい。)及び5員含窒素複素環基からなる群から選ばれる1乃至5個の置換基により置換されていてもよい。}のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなるモノカルボン酸金属塩;
飽和又は不飽和のC2−C30鎖状ジカルボン酸{但し、アルギン酸を除く。当該鎖状ジカルボン酸の鎖状部分は、水酸基、ホルミル基、オキソ基、フェニル基(当該フェニル基は、1乃至3個の水酸基により置換されていてもよい。)及び5員含窒素複素環基からなる群から選ばれる1乃至5個の置換基により置換されていてもよい。}のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなるジカルボン酸金属塩;
C5−C6シクロアルカンカルボン酸(当該シクロアルカンカルボン酸のシクロアルカン部分は、1乃至4個の水酸基により置換されていてもよい。)のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなるシクロアルカンカルボン酸金属塩;
グリオキシル酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなるグリオキシル酸金属塩;
フェニル基部分が置換された安息香酸(但し、サリチル酸を除く。当該フェニル基部分の置換基は、1乃至3個の水酸基又はアミノ基である。)のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなる置換安息香酸塩;及び
5員又は6員含窒素複素環モノ又はジカルボン酸(当該含窒素複素環モノ又はジカルボン酸の複素環部分は、低級アルキル基及び水酸基からなる群から選ばれる1乃至3個の置換基により置換されていてもよい。)のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩からなる複素環カルボン酸金属塩からなる群であり、
成分群Bは、植物成長調節剤、殺菌剤(エルゴステロール生合成阻害剤)、メフルイジド、アトラジン、ピリデート及びクロピラリッドからなる群である。
【0007】
N−(ホスホノメチル)グリシンは、一般名グリホサート(glyphosate)として公知の非選択性リン酸系除草剤である。その構造を以下に示す。
【0008】
【化1】
Figure 0004418540
第一成分の「その塩」とは、有機又は無機の塩であって農薬として使用できるものであれば特に限定はないが、例えば、無機塩基塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム等を挙げることができ、有機塩基塩としては、ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、イソプロピルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、ピペリジン塩、2−フェニルエチルベンジルアミン塩、ベンジルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩のようなアミン塩;トリエチルスルホニウム塩のようなスルホニウム塩等を挙げることができ、好適には、アンモニウム、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩又はトリメチルスルホニウム塩であり、更に好適には、イソプロピルアミン塩又はトリメチルスルホニウム塩である。
【0009】
本発明の第二成分中の無機金属塩中のハロゲン化水素酸は、好適には、塩酸である。
【0010】
本発明の第二成分中の無機金属塩中の含ホウ素無機酸は、好適には、オルトホウ酸、メタホウ酸、三メタホウ酸又は次ホウ酸であり、より好適には、オルトホウ酸である。
【0011】
本発明の第二成分中の無機金属塩中の含窒素無機酸は、好適には、シアン酸、イソシアン酸、雷酸、硝酸、ペルオキソ硝酸、亜硝酸、ペルオキソ亜硝酸、ニトロキシル酸又は次亜硝酸であり、より好適には硝酸又は亜硝酸である。
【0012】
本発明の第二成分中の無機金属塩中の含リン無機酸は、好適には、(オルト)リン酸、ピロリン酸、三リン酸、メタリン酸、三メタリン酸、四メタリン酸、ペルオキソ一リン酸、ペルオキソ二リン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、次亜リン酸又はホスフィン酸であり、より好適には、(オルト)リン酸、ピロリン酸又は亜リン酸である。
【0013】
本発明の第二成分中の無機金属塩中の含硫黄無機酸は、好適には、硫酸、ピロ硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、チオ硫酸、二チオン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ亜硫酸、亜二チオン酸又はスルホキシル酸であり、より好適には、硫酸又は亜硫酸である。
【0014】
本発明の第二成分中の無機金属塩は、好適には、炭酸、塩酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、三メタホウ酸、次ホウ酸、シアン酸、イソシアン酸、雷酸、硝酸、ペルオキソ硝酸、亜硝酸、ペルオキソ亜硝酸、ニトロキシル酸、次亜硝酸、(オルト)リン酸、ピロリン酸、三リン酸、メタリン酸、三メタリン酸、四メタリン酸、ペルオキソ一リン酸、ペルオキソ二リン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、次亜リン酸、ホスフィン酸、硫酸、ピロ硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、チオ硫酸、二チオン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ亜硫酸、亜二チオン酸及びスルホキシル酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩(但し、硝酸アルミニウム及びホスフィン酸カルシウムを除く。)であり、より好適には、炭酸、塩酸、オルトホウ酸、硝酸、亜硝酸、(オルト)リン酸、ピロリン酸、亜リン酸、硫酸及び亜硫酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩(但し、硝酸アルミニウムを除く。)であり、更により好適には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛、リン酸水素カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛、ピロリン酸二水素カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸亜鉛又は亜硫酸カルシウムであり、最も好適には、ピロリン酸二水素カルシウム、亜リン酸カルシウム又は亜硫酸カルシウムである。
【0015】
本発明の第二成分中の水酸化物は、好適には、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムである。
【0016】
本発明の第二成分中のミョウバンは、好適には、鉄ミョウバンである。
【0017】
本発明の第二成分中の擬ミョウバンは、好適には、マグネシウム擬ミョウバンである。
【0018】
本発明の第二成分中のアミノ酸金属塩のアミノ酸は、炭素数が2乃至12個のアミノ酸であり、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸のようなアミノ基とカルボキシル基の位置は任意であり、酸性アミノ酸及び塩基性アミノ酸をも含み、好適には、グリシン、アラニン、システイン、シスチン、セリン、β−アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、γ−アミノ酪酸、α−ケトスクシンアミド酸、トレオニン、ホモセリン、グルタミン酸、グルタミン、オルニチン、メチオニン、バリン、γ−アミノ吉草酸、β−メチルアスパラギン酸、シトルリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、α−アミノアジピン酸、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、アントラニル酸、フェニルアラニン又はチロシンであり、より好適には、グリシン、アラニン又はグルタミン酸である。
【0019】
本発明の第二成分中のアミノ酸金属塩は、好適には、グリシン、アラニン、システイン、シスチン、セリン、β−アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、γ−アミノ酪酸、α−ケトスクシンアミド酸、トレオニン、ホモセリン、グルタミン酸、グルタミン、オルニチン、メチオニン、バリン、γ−アミノ吉草酸、β−メチルアスパラギン酸、シトルリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、α−アミノアジピン酸、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、アントラニル酸、フェニルアラニン及びチロシンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩であり、より好適には、グリシン、アラニン及びグルタミン酸からなる群から選ばれる一種のアミノ酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩であり、より好適には、グリシンカルシウム塩、アラニンアルミニウム塩又はグルタミン酸カルシウム塩である。
【0020】
本発明の第二成分中のモノカルボン酸金属塩のモノカルボン酸は、飽和又は不飽和の炭素数が2乃至30個の直鎖又は分枝鎖状モノカルボン酸{但し、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、レブリン酸及びアスコルビン酸を除く。当該鎖状モノカルボン酸の鎖状部分は、水酸基、ホルミル基、オキソ基、フェニル基(当該フェニル基は、1乃至3個の水酸基により置換されていてもよい。)及び5員含窒素複素環基からなる群から選ばれる1乃至5個の置換基により置換されていてもよい。}であり、好適には、ピルビン酸、グリセリン酸、ヒドロキシピルビン酸、マロン酸アルデヒド、トレオン酸、α−ケト酪酸、アセト酢酸、2−オキソイソ吉草酸、グルクロン酸、グロン酸、2−オキソ−3−メチル吉草酸、2−オキソイソカプロン酸、グルコン酸、ラウリン酸、イミダゾール酢酸、フェニル酢酸、トロパ酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ホモゲンチジン酸、フェニルピルビン酸又はフェニルプロピオン酸であり、より好適には、グリセリン酸、グルコン酸又はラウリン酸である。
【0021】
本発明の第二成分中のモノカルボン酸金属塩は、好適には、ピルビン酸、グリセリン酸、ヒドロキシピルビン酸、マロン酸アルデヒド、トレオン酸、α−ケト酪酸、アセト酢酸、2−オキソイソ吉草酸、グルクロン酸、グロン酸、2−オキソ−3−メチル吉草酸、2−オキソイソカプロン酸、グルコン酸、ラウリン酸、イミダゾール酢酸、フェニル酢酸、トロパ酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ホモゲンチジン酸、フェニルピルビン酸及びフェニルプロピオン酸からなる群から選ばれる一種のモノカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩であり、より好適には、グリセリン酸、グルコン酸及びラウリン酸からなる群から選ばれる一種のモノカルボン酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩であり、更により好適には、グリセリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム又はラウリン酸アルミニウムである。
【0022】
本発明の第二成分中のジカルボン酸金属塩のジカルボン酸は、飽和又は不飽和の炭素数が2乃至30個の直鎖又は分枝鎖状ジカルボン酸{但し、アルギン酸を除く。当該鎖状ジカルボン酸の鎖状部分は、水酸基、ホルミル基、オキソ基、フェニル基(当該フェニル基は、1乃至3個の水酸基により置換されていてもよい。)及び5員含窒素複素環基からなる群から選ばれる1乃至5個の置換基により置換されていてもよい。}であり、好適には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸又はα−ケトアジピン酸であり、より好適には、酒石酸である。
【0023】
本発明の第二成分中のジカルボン酸金属塩は、好適には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸及びα−ケトアジピン酸からなる群から選ばれる一種のジカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩であり、より好適には、酒石酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩であり、更により好適には、酒石酸カルシウムである。
【0024】
本発明の第二成分中のシクロアルカンカルボン酸金属塩のシクロアルカンカルボン酸は、炭素数が5又は6個のシクロアルカンカルボン酸(当該シクロアルカンカルボン酸のシクロアルカン部分は、1乃至4個の水酸基により置換されていてもよい。)であり、好適には、シキミ酸又はキナ酸である。
本発明の第二成分中のシクロアルカンカルボン酸金属塩は、好適には、シキミ酸又はキナ酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩である。
【0025】
本発明の第二成分中のグリオキシル酸金属塩は、好適には、グリオキシル酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩である。
【0026】
本発明の第二成分中の置換安息香酸塩中のフェニル基部分が置換された安息香酸は、フェニル基部分が1乃至3個の水酸基又はアミノ基により置換された安息香酸(但し、サリチル酸を除く。)であり、好適には、ゲンチジン酸、4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸である。
【0027】
本発明の第二成分中の置換安息香酸塩は、好適には、ゲンチジン酸、4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩である。
【0028】
本発明の第二成分中の複素環カルボン酸金属塩の含窒素複素環モノ又はジカルボン酸は、5員又は6員の含窒素複素環モノ又はジカルボン酸(当該含窒素複素環モノ又はジカルボン酸の複素環部分は、低級アルキル基及び水酸基からなる群から選ばれる1乃至3個の置換基により置換されていてもよい。)であり、好適には、3−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、プロリン、ピロリン−5−カルボン酸、ピペコリン酸、ピコリン酸、ホマリン又はキノリン酸である。
【0029】
本発明の第二成分中の複素環カルボン酸金属塩は、好適には、3−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、プロリン、ピロリン−5−カルボン酸、ピペコリン酸、ピコリン酸、ホマリン及びキノリン酸からなる群から選ばれる一種のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩であり、より好適には、ピコリン酸アルミニウム塩又はプロリンカルシウム塩である。
【0030】
本発明の第二成分は、好適には、
炭酸、塩酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、三メタホウ酸、次ホウ酸、シアン酸、イソシアン酸、雷酸、硝酸、ペルオキソ硝酸、亜硝酸、ペルオキソ亜硝酸、ニトロキシル酸、次亜硝酸、(オルト)リン酸、ピロリン酸、三リン酸、メタリン酸、三メタリン酸、四メタリン酸、ペルオキソ一リン酸、ペルオキソ二リン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、次亜リン酸、ホスフィン酸、硫酸、ピロ硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、チオ硫酸、二チオン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ亜硫酸、亜二チオン酸及びスルホキシル酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩(但し、硝酸アルミニウム及びホスフィン酸カルシウムを除く。);
水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム;
鉄ミョウバン;
マグネシウム擬ミョウバン;
グリシン、アラニン、システイン、シスチン、セリン、β−アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、γ−アミノ酪酸、α−ケトスクシンアミド酸、トレオニン、ホモセリン、グルタミン酸、グルタミン、オルニチン、メチオニン、バリン、γ−アミノ吉草酸、β−メチルアスパラギン酸、シトルリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、α−アミノアジピン酸、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、アントラニル酸、フェニルアラニン及びチロシンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩;
ピルビン酸、グリセリン酸、ヒドロキシピルビン酸、マロン酸アルデヒド、トレオン酸、α−ケト酪酸、アセト酢酸、2−オキソイソ吉草酸、グルクロン酸、グロン酸、2−オキソ−3−メチル吉草酸、2−オキソイソカプロン酸、グルコン酸、ラウリン酸、イミダゾール酢酸、フェニル酢酸、トロパ酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ホモゲンチジン酸、フェニルピルビン酸及びフェニルプロピオン酸からなる群から選ばれる一種のモノカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸及びα−ケトアジピン酸からなる群から選ばれる一種のジカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩;
シキミ酸又はキナ酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩;
グリオキシル酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩;
ゲンチジン酸、4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩;又は
3−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、プロリン、ピロリン−5−カルボン酸、ピペコリン酸、ピコリン酸、ホマリン及びキノリン酸からなる群から選ばれる一種のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩であり、
より好適には、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛、リン酸水素カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛、ピロリン酸二水素カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸亜鉛、亜硫酸カルシウム、鉄ミョウバン、グリセリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、酒石酸カルシウム、ピコリン酸アルミニウム塩又はプロリンカルシウム塩であり、
更により好適には、
ピロリン酸二水素カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、鉄ミョウバン、グリセリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム又はラウリン酸アルミニウムである。
【0031】
本発明の第三成分である植物成長調節剤は、例えば、
マレイン酸ヒドラジド又はその塩(「その塩」とは、通常農薬に使用できる塩であれば特に限定はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;ジエタノールアミン塩、コリン塩のようなアミン塩であり、好適にはカリウム塩又はコリン塩である。)、
ウニコナゾール(uniconazole :(E)−(RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール)、
フルルプリミドール(flurprimidol:(RS)−2−メチル−1−ピリミジン−5−イル−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロパン−1−オール)、
イナベンフィッド(inabenfide:4‘−クロロ−2'−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド)、
塩化クロロメクアット(chlormequat chloride:2−クロロエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、
ジケグラック(dikegulac :2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−L−キシロ−2−ヘキシウロフラノソニック酸)、
アンシミドール(ancymidol:α−シクロプロピル−4−メトキシ−α−(ピリミジン−5−イル)ベンジルアルコール)、
アブシジン酸(abscisic acid) 、
パクロブトラゾール(paclobutrazol :(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール)、
トリネキサパックエチル(trinexapac-ethyl:4−シクロプロピル(ヒドロキシ)メチレン−3,5−ジオキソシクロヘキサンカルボン酸エチル)、
プロヘキサジオンカルシウム(prohexadione-calcium:3,5−ジオキソ−4−プロピオニルシクロヘキサンカルボン酸カルシウム)、
塩化コリン(choline chloride:2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)であリ、すべて公知のものであり、
好適には、マレイン酸ヒドラジド又はその塩、フルルピリミドール、アブシジン酸、パクロブトラゾール、トリネキサパックエチル又はプロヘキサジオンカルシウムであり、より好適には、マレイン酸ヒドラジド又はその塩である。
【0032】
本発明の第三成分である殺菌剤(エルゴステロール生合成阻害剤)は、例えば、
トリアジメフォン(triadimefon :1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オン)、
トリフルミゾール(triflumizole:(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン)、
ピリフェノックス(pyrifenox :2‘,4'−ジクロロ−2−(3−ピリジル)アセトフェノン=(EZ)−O−メチルオキシム)、
プロピコナゾール(propiconazole :(±)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、
2−(4−フルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−トリメチルシリル−2−プロパノール(特開平5-22060 号公報)であり、すべて公知のものであり、
好適には、トリアジメフォン、トリフルミゾール又は2−(4−フルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−トリメチルシリル−2−プロパノールである。
【0033】
本発明のその他の第三成分は、
メフルイジド(mefluidide:5‘−(1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド)アセト−2',4‘−キシリジド)、
アトラジン(atrazine:6−クロロ−N−エチル−N‘−(1−メチルエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン)、
ピリデート(pyridate:O−(6−クロロ−3−フェニルピリダジン−4−イル)−S−オクチルチオカーボネート)及び
クロピラリッド(clopyralid:3,6−ジクロロピリジン−2−カルボン酸)であり、すべて公知のものであり、
好適には、メフルイジドである。
【0034】
本発明の第三成分の構造を以下に示す。
【0035】
【化2】
Figure 0004418540
【0036】
【化3】
Figure 0004418540
【0037】
【化4】
Figure 0004418540
【0038】
【化5】
Figure 0004418540
本発明の第三成分は、好適には、植物成長調節剤、殺菌剤(エルゴステロール生合成阻害剤)及びメフルイジドからなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、
より好適には、植物成長調節剤から選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、更により好適には、マレイン酸ヒドラジド及びその塩、フルルプリミドール、アブシジン酸、パクロブトラゾール、トリネキサパックエチル及びプロヘキサジオンカルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であり、
最も好適には、マレイン酸ヒドラジド及びその塩から選ばれる1種又は2種以上の化合物である。
【0039】
本発明の好適な態様は、
(1) 第一成分が、N−(ホスホノメチル)グリシン又はそのアンモニウム、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはトリメチルスルホニウム塩である農薬組成物であり、
(2) 第二成分が、下記成分群A1から選ばれる1種又は2種以上の成分である農薬組成物であり、
成分群A1が、
炭酸、塩酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、三メタホウ酸、次ホウ酸、シアン酸、イソシアン酸、雷酸、硝酸、ペルオキソ硝酸、亜硝酸、ペルオキソ亜硝酸、ニトロキシル酸、次亜硝酸、(オルト)リン酸、ピロリン酸、三リン酸、メタリン酸、三メタリン酸、四メタリン酸、ペルオキソ一リン酸、ペルオキソ二リン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、次亜リン酸、ホスフィン酸、硫酸、ピロ硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、チオ硫酸、二チオン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ亜硫酸、亜二チオン酸及びスルホキシル酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩(但し、硝酸アルミニウム及びホスフィン酸カルシウムを除く。);
水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム;
鉄ミョウバン;
マグネシウム擬ミョウバン;
グリシン、アラニン、システイン、シスチン、セリン、β−アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、γ−アミノ酪酸、α−ケトスクシンアミド酸、トレオニン、ホモセリン、グルタミン酸、グルタミン、オルニチン、メチオニン、バリン、γ−アミノ吉草酸、β−メチルアスパラギン酸、シトルリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、α−アミノアジピン酸、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、アントラニル酸、フェニルアラニン及びチロシンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩;
ピルビン酸、グリセリン酸、ヒドロキシピルビン酸、マロン酸アルデヒド、トレオン酸、α−ケト酪酸、アセト酢酸、2−オキソイソ吉草酸、グルクロン酸、グロン酸、2−オキソ−3−メチル吉草酸、2−オキソイソカプロン酸、グルコン酸、ラウリン酸、イミダゾール酢酸、フェニル酢酸、トロパ酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ホモゲンチジン酸、フェニルピルビン酸及びフェニルプロピオン酸からなる群から選ばれる一種のモノカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸及びα−ケトアジピン酸からなる群から選ばれる一種のジカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩、鉄塩若しくは亜鉛塩;
シキミ酸又はキナ酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩;
グリオキシル酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩;
ゲンチジン酸、4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩;及び
3−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、プロリン、ピロリン−5−カルボン酸、ピペコリン酸、ピコリン酸、ホマリン及びキノリン酸からなる群から選ばれる一種のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩からなる群であり、
(3) 第二成分が、下記成分群A2から選ばれる1種又は2種以上の成分である農薬組成物であり、
成分群A2が、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛、リン酸水素カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛、ピロリン酸二水素カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸亜鉛、亜硫酸カルシウム、鉄ミョウバン、グリセリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、酒石酸カルシウム、ピコリン酸アルミニウム塩及びプロリンカルシウム塩からなる群であり、
(4) 第二成分が、下記成分群A3から選ばれる1種又は2種以上の成分である農薬組成物であり、
成分群A3が、
ピロリン酸二水素カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、鉄ミョウバン、グリセリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム及びラウリン酸アルミニウムからなる群であり、
(5) 第三成分が、植物成長調節剤から選ばれる1種又は2種以上の化合物である農薬組成物であり、
(6) 第三成分が、マレイン酸ヒドラジド及びその塩、フルルプリミドール、アブシジン酸、パクロブトラゾール、トリネキサパックエチル及びプロヘキサジオンカルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物である農薬組成物であり、
(7) 第三成分が、マレイン酸ヒドラジド及びその塩から選ばれる1種又は2種以上の化合物である農薬組成物であり、
(8) 上記の農薬組成物を含有する抑草剤であり、
(9) 上記の農薬組成物を抑草剤として使用する方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬組成物において、第二成分の量は、第一成分1重量部に対して、通常0.001〜100重量部であり、好ましくは、0.01〜20重量部であり、更に好ましくは、0.5〜20重量部である。
【0041】
本発明の農薬組成物において、第三成分の量は、第一成分1重量部に対して、通常0.1〜500重量部であり、好ましくは、1〜50重量部である。
【0042】
本発明の組成物は、主として植物に茎葉散布されるが、各成分の原体そのものを散布してもよいし、担体及び必要に応じて他の補助剤と混合して、農薬組成物として通常用いられる製剤形態、例えば粉剤、粗粉剤、微粒剤、粒剤、水和剤、乳剤、液剤、水性懸濁剤、顆粒水和剤、油懸濁剤等に調製してもよい。
【0043】
又、本発明の方法を実施する手段としては、上記の各成分を予め混合したプレミックスや施用現場におけるタンクミックスによる各成分の同時処理の他に、第一成分である非選択性リン酸系除草剤を植物に散布する前又は後に、予め他の成分を植物に遂次処理することも可能である。
【0044】
本発明の農薬組成物を調製するために使用する適当な固体担体としては、カオリナイト、パイロフィライト、モンモリトナイト、アタパルジャイト、葉ロウ石、タルク、雲母、軽石、バーミキュライト、石コウ、炭酸カルシウム、ドロマイト、けいそう土、マグネシウム石灰、りん灰石、ゼオライト、無水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム等の無機物質;大豆粉、タバコ粉、クルミ粉、小麦粉、木粉、でんぷん、結晶セルロース等の植物性有機物質;クマロン樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂、ケトン樹脂、エステルガム、コーバルガム、ダンマルガム等の合成または天然の樹脂類;ポリ塩化ビニル、ポリアルキレングリコール等の合成高分子;カルナバロウ、蜜ロウ等のワックス類;或は尿素等があげられる。
【0045】
適当な液体担体としては、ケロシン、鉱油、スピンドル油、ホワイトオイル等のパラフィン系若しくはナフテン系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエチレン、モノクロルベンゼン、o−クロルトルエン等の塩素化炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸アミル、エチレングリコールアセテート、マレイン酸ジブチル、コハク酸ジエチル等のエステル類;メタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサノール、ベンンジンアルコール等のアルコール類;エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒;或は水等が挙げられる。
【0046】
乳化、分散、湿潤、拡展、統合、崩壊性調節、有効成分安定化、流動性改良、防錆等の目的で使用される界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び両性イオン性のいずれのものをも使用しうるが、通常は非イオン性乃至陰イオン性のものが使用される。適当な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールにエチレンオキシドを重合付加させたもの;イソオクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノールにエチレンオキシドを重合付加させたもの;ブチルナフトール、オクチルナフトール等のアルキルナフトールにエチレンオキシドを重合付加させたもの;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸にエチレンオキシドを重合付加させたもの;これらのノニオン系界面活性剤とリン酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルの混合物又は硫酸エステル及びそれらの塩;ドデシルアミン、ステアリン酸アミド等のアミンにエチレンオキシドを重合付加させたもの;ソルビタン等の多価アルコールの高級脂肪酸エステル及びそれにエチレンオキシドとプロピレンオキシドを重合付加させたもの等が挙げられる。適当な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルアミン塩等のアルキル硫酸エステル塩;スルホこはく酸ジオクチルエステルナトリウム、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、メチレンビスナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアリールスルホン酸等が挙げられる。
【0047】
更に本発明の農薬組成物には製剤の性状を改善し、生物効果を高める目的で、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、ニカワ、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物や他の補助剤を併用することもできる。
【0048】
上記の担体及び種々の補助剤は製剤の剤型、適用場面等を考慮して、目的に応じてそれぞれ単独にあるいは組み合わせて適時使用される。
【0049】
粉剤は、例えば有効成分化合物を通常1乃至25重量部含有し、残部は固体担体である。
【0050】
水和剤は、例えば有効成分化合物を25乃至90重量部含有し、残部は固体担体、分散湿潤剤であって、必要に応じて保護コロイド剤、チキソトロピー剤、消泡剤等が加えられる。
【0051】
粒剤は、例えば有効成分化合物を通常1乃至35重量部含有し、残部は大部分が固体担体である。有効成分化合物は固体担体と均一に混合されているか、あるいは、固体担体の表面に均一に固着若しくは吸着されており、粒の径は0.2乃至1.5mm程度である。
【0052】
乳剤は、例えば、有効成分化合物を通常5乃至30重量部含有しており、これに5乃至20重量部の乳化剤が含まれ、残部は液体担体であり、必要に応じて防錆剤が加えられる。
【0053】
各種剤型にて散布される本発明の農薬組成物を使用する場合、第一成分の散布量は、通常1ヘクタール当たり0.1〜10kgであり、好ましくは、1ヘクタール当たり0.3〜5kgであり、又、第二成分の散布量は、通常1ヘクタール当たり0.1〜500kgであり、好ましくは、1ヘクタール当たり0.5〜50kgである。又、本発明の農薬組成物に第三成分を配合する場合、第三成分の散布量は、通常1ヘクタール当たり0.1〜500kgであり、好ましくは、1ヘクタール当たり0.5〜50kgである。
【0054】
以下に、実施例及び試験例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0055】
【実施例】
【0056】
【実施例1】
水和剤
鉄ミョウバン2重量部、グリホサートイソプロピルアミン塩1重量部、クレー86重量部、ホワイトカーボン3重量部、リグニンスルホン酸ソーダ5重量部及びアルキルナフタレンスルホン酸ソーダ3重量部を混合粉砕して、均一な水和剤を得た。
【0057】
【実施例2】
水和剤
鉄ミョウバン2重量部、グリホサートイソプロピルアミン塩1重量部、マレイン酸ヒドラジドコリン塩3重量部、クレー83重量部、ホワイトカーボン3重量部、リグニンスルホン酸ソーダ5重量部及びアルキルナフタレンスルホン酸ソーダ3重量部を混合粉砕して、均一な水和剤を得る。
【0058】
【実施例3】
液剤
酒石酸カルシウム塩3重量部、グリホサートイソプロピルアンモニウム1重量部及び水96重量部を加えて液剤を得る。
【0059】
【実施例4】
液剤
酒石酸カルシウム塩2重量部、グリホサートイソプロピルアンモニウム1重量部、マレイン酸ヒドラジドコリン塩3重量部及び水94重量部を加えて液剤とする。
【0060】
【実施例5】
液剤
グリセリン酸カルシウム塩2重量部、グリホサートイソプロピルアミン塩1重量部及び水97重量部を混合して液剤とした。
【0061】
【実施例6】
液剤
グリセリン酸カルシウム塩6重量部、グリホサートイソプロピルアミン塩1重量部、マレイン酸ヒドラジド6重量部及び水87重量部を混合して液剤とする。
【0062】
【実施例7】
粒剤
クエン酸鉄(III)アンモニウム2重量部、グリホサートイソプロピルアミン塩1重量部、ベントナイト30重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ3重量部を混合し、更に水62重量部を加えて混練機で練った後、造粒機にて造粒し、次いで乾燥して粒剤を得る。
【0063】
【実施例8】
水和剤
ビス(リン酸二水素)カルシウム塩2重量部、グリホサートイソプロピルアミン塩1重量部、クレー68重量部、ホワイトカーボン3重量部、リグニンスルホン酸ソーダ5重量部及びアルキルナフタレンスルホン酸ソーダ3重量部を混合粉砕して、均一な水和剤を得る。
【0064】
【試験例1】
グリホサート+金属塩の抑草効果
クレハ園芸培土を入れた5×150cm3のプラスチックポットに、エノコログサ、セイバンモロコシ、ネズミムギ、スズメノカタビラ及びノカラシナの種子を播種し、温室内で14日間栽培した後、実施例1又は実施例5に準じて下記の金属塩を配合した水和剤又は液剤を調製し、水で希釈して散布液とし、植物に散布した。散布液は、各金属塩のイオン当量(各散布液中の金属イオンのモル濃度にその金属の原子価を掛けたもの)が、8.4又は16.8mM、グリホサートイソプロピルアミン塩の濃度が1000ppmとなるように調製し、散布水量は1ヘクタール当たり1000リットルとした。比較として、金属塩を含有しないグリホサートイソプロピルアミン塩単剤を用いて試験した。散布後14日目に、植物の枯死の程度及び生存個体の草丈を測定し、抑草効果を調査した。その結果を表2に示す。なお、抑草効果は指数又は記号で表し、各指数又は記号と草丈抑制率との関係を表1に示す。表2中、セはセイバンモロコシを、ネはネズミムギを、スはスズメノカタビラを、ノはノカラシナをそれぞれ示す。
【0065】
【表1】
Figure 0004418540
【0066】
【表2】
Figure 0004418540
【0067】
【試験例2】
グリホサート+鉄ミョウバンの抑草効果
クレハ園芸培土を入れた5×150cm3のプラスチックポットにイネ科雑草(エノコログサ、セイバンモロコシ、ネズミムギ及びノビエ)及び広葉雑草(キンゴジカ、イチビ、カラシナ、ブタクサ及びアサガオ)の種子を播種し、温室内で15日間栽培した後、実施例5に準じて液剤を調製し、水で希釈した散布液を上記の植物に茎葉散布した。散布液は、散布薬量が、グリホサートが1ヘクタール当たり0.28、0.37、0.56、0.74又は1.1kg、鉄ミョウバンが、0.75、1、1.5、2又は3kg、マレイン酸ヒドラジドカリウム塩が2.25、3、4.5、6又は9kgとなるように調製し、散布水量は、1ヘクタール当たり1000リットルとした。比較として、金属塩を含有しないグリホサート及びマレイン酸ヒドラジドカリウム塩の混合剤及びグリホサート単剤を用いて試験した。散布後21日目に、植物の枯死の程度及び生存個体の草丈を測定し、抑草効果を調査した。その結果を表4に示す。なお、抑草効果は指数又は記号で表し、各指数又は記号と草丈抑制率との関係を表3に示す。表4中、Glyはグリホサート(フリー酸)を、MHはマレイン酸ヒドラジドカリウム塩を、Mは鉄ミョウバンを、イネ科雑草はイネ科雑草の抑草効果の平均を、広葉雑草は広葉雑草の抑草効果の平均をそれぞれ示す。
【0068】
【表3】
Figure 0004418540
【0069】
【表4】
Figure 0004418540
【0070】
【発明の効果】
本発明の農薬組成物は、抑草剤として使用することができる。
【0071】
すなわち、本発明の組成物は、非選択性リン酸系除草剤の有する植物枯殺作用(植物の根まで枯殺する作用)を変化させ、植物を枯殺することなく成長を抑制することができ、法面などの傾斜地や畦畔などでの使用が可能となる。本発明の組成物は、更にマレイン酸ヒドラジド又はその塩等を加えることにより、より長期間にわたり抑草効果を持続することができるようになる。
【0072】
本発明の農薬組成物が有する抑草作用を利用すれば、非選択性リン酸系除草剤の使用場面を拡大することができる。

Claims (9)

  1. N−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の第一成分及び
    下記成分群Aから選ばれる1種又は2種以上の第二成分を含有し、
    更に下記成分群Bから選ばれる1種又は2種以上の第三成分を含有してもよい農薬組成物(但し、1−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジルスルホニル)ウレア及びその塩、ならびに3−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−5−ブロバルギルオキシフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾールをいずれも含有しない。)であり、
    成分群Aは、
    含リン無機酸及び含硫黄無機酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩からなる無機金属塩(但し、ホスフィン酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び硫酸カルシウムを除く。);
    ミョウバン(但し、硫酸アンモニウムアルミニウム及び硫酸カリウムアルミニウムを除く。);
    擬ミョウバン;
    飽和又は不飽和のC2−C30鎖状モノカルボン酸{但し、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、レブリン酸及びアスコルビン酸を除く。当該鎖状モノカルボン酸の鎖状部分は、水酸基、ホルミル基及びオキソ基からなる群から選ばれる1乃至5個の置換基により置換されていてもよい。}のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩若しくは鉄塩からなるモノカルボン酸金属塩;
    飽和又は不飽和のC2−C30鎖状ジカルボン酸{但し、アルギン酸を除く。当該鎖状ジカルボン酸の鎖状部分は、水酸基、ホルミル基及びオキソ基からなる群から選ばれる1乃至5個の置換基により置換されていてもよい。}のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩若しくは鉄塩からなるジカルボン酸金属塩;及び
    クエン酸鉄(III)アンモニウムからなる群であり、
    成分群Bは、マレイン酸ヒドラジド及びその塩、フルルプリミドール、アブシジン酸、パクロブトラゾール、トリネキサパックエチル、ウニコナゾール、イナベンフィッド、アンシミドール、プロヘキサジオンカルシウム及びメフルイジドからなる群である。
  2. 第一成分が、N−(ホスホノメチル)グリシン又はそのアンモニウム、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはトリメチルスルホニウム塩であり、第三成分が、マレイン酸ヒドラジド又はその塩である請求項1に記載の農薬組成物。
  3. 第二成分が、下記成分群A1から選ばれる1種又は2種以上の成分である請求項1又は2に記載の農薬組成物であり、
    成分群A1が、
    ピロリン酸、亜リン酸及び亜硫酸からなる群から選ばれる一種の無機酸のカルシウム塩;
    鉄ミョウバン;
    マグネシウム擬ミョウバン;
    グリセリン酸、グルコン酸及び飽和C8−C16鎖状モノカルボン酸からなる群から選ばれる一種のモノカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩若しくは鉄塩;
    酒石酸及び飽和C8−C16鎖状ジカルボン酸からなる群から選ばれる一種のジカルボン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩若しくは鉄塩;
    クエン酸鉄(III)アンモニウムからなる群である。
  4. 第二成分が、下記成分群A2から選ばれる1種又は2種以上の成分である請求項1又は2に記載の農薬組成物であり、
    成分群A2が、
    ビス(リン酸二水素)カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、亜硫酸カルシウム、鉄ミョウバン、グリセリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、酒石酸カルシウム及びクエン酸鉄(III)アンモニウムからなる群である。
  5. 第二成分が、下記成分群A3から選ばれる1種又は2種以上の成分である請求項1又は2に記載の農薬組成物であり、
    成分群A3が、
    鉄ミョウバン及びラウリン酸アルミニウムからなる群である。
  6. 第二成分が鉄ミョウバンである請求項1又は2に記載の農薬組成物。
  7. 第一成分が、N−(ホスホノメチル)グリシン又はそのイソプロピルアミン塩である請求項に記載の農薬組成物。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の農薬組成物を含有する抑草剤。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載の農薬組成物を抑草剤として使用する方法。
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