JP4418176B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷電粒子輸送路の途中に隔離弁を設けた荷電粒子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析装置は、試料から生成するイオンを真空中で飛行させ、飛行の過程で質量の異なるイオンを分離して、スペクトルとして記録する装置である。質量分析装置には、扇形磁場を用いてイオンの質量分散を行なわせる磁場型質量分析装置、四重極電極を用いて質量によるイオンの選別(フィルタリング)を行なわせる四重極質量分析装置(QMS)、質量によるイオンの飛行時間の違いを利用してイオンを分離する飛行時間型質量分析装置(TOFMS;time of flight MS)などが知られている。
【0003】
これらの質量分析装置の内、磁場型質量分析装置とQMSは、連続的にイオンを生成するタイプのイオン源に適合しているのに対し、TOFMSは、パルス状にイオンを生成するタイプのイオン源に適合している。従って、連続型のイオン源をTOFMSに利用しようとすれば、イオン源の利用のしかたに工夫が必要である。直交加速型飛行時間型質量分析装置(OA−TOFMS;orthogonal acceleration TOFMS)は、連続型のイオン源からパルス状のイオンを射出することができるように工夫されたTOFMSの一例である。
【0004】
図1に、典型的なOA−TOFMSの構成を示す。OA−TOFMSは、電子衝撃(EI)イオン源、化学イオン化(CI)イオン源、電界脱離(FD)イオン源、エレクトロスプレイ(ESI)イオン源、高速原子衝撃(FAB)イオン源などの連続型のイオン生成源1と、イオン生成源1で生成したイオンを、分析部に向けて輸送する、イオン輸送部2と、イオン輸送部2の後段に置かれた直交加速型飛行時間型質量分析器10とで構成され、イオン輸送部2と、直交加速型飛行時間型質量分析器10との間は、隔離弁3で、空間的に分断できるようになっている。
【0005】
イオンが、平行に配置された2つの電極、イオン押し出し電極6とグリッド7とで構成されたイオン溜5に、入射する場合、その入射角度と入射エネルギーには、TOFMSの分解能を確保するための制約がある。そのため、隔離弁3の後段で、かつ、イオン溜4の前段に、入射ビーム規制スリット4を設けて、イオンビームの広がりを規制している。
【0006】
イオンビームは、最初、図2に示すように、20〜50eVの低エネルギー状態で、イオン押し出し電極6とグリッド7によって挟まれたイオン溜5に向けて、平行に進入する。イオン溜5内を平行に移動する一定の長さを持ったイオンビーム(a)は、イオン押し出し電極6に、図3に示すような、イオンの極性と同じ極性の、数kV程度のパルス状の加速電圧を印加することにより、イオンビーム(a)の進入軸方向(Z軸方向)とは垂直な方向(X軸方向)にパルス状に加速され、TOF飛行イオンビーム(b)となって、イオン溜5と対向する位置に設けられた、リフレクター8に向けて飛行を開始する。
【0007】
垂直方向に加速されたイオンは、直交加速飛行時間型質量分析器10に導入されたときのZ軸方向の速度と、それとは垂直な方向にイオン押し出し電極6、及びグリッド7によって与えられたZ軸方向の速度とが足し合わされるため、完全なZ軸方向ではなく、わずかに斜めを向いたZ軸方向に飛行し、リフレクター8で反射されて、イオン検出器9に到達する。
【0008】
イオンの加速の過程では、イオンの質量の大小にかかわらず、同じ電位差がイオンに作用するため、軽いイオンほど速度が速くなり、重いイオンほど速度が遅くなる。その結果、イオンの質量の違いがイオン検出器8に到達するまでの到達時間の違いとなって現れ、イオンの質量の違いをイオンの飛行時間の違いとして分離することができる。
【0009】
このようにして、連続型のイオン生成源1から生成したイオンビームを、イオン押し出し電極6、及びグリッド7から成るイオン溜5によって、パルス状に加速することにより、連続型のイオン源を、パルス状のイオン源に対して適合性を持つTOFMSに適用することができる(特許文献1)。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−117802号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、イオン溜5に、20〜50eV程度の、低い加速エネルギーのイオンが導入された際、隔離弁3や、入射ビーム規制スリット4や、イオン溜5を構成しているイオン押し出し電極6とグリッド7などに、汚れがある場合は、そこにイオンの持つ電荷が蓄積されて、帯電状態になる。
【0012】
そうなると、その帯電した部位に、本来のイオン光学系に想定しなかった、異常な電位が形成され、そこに生じた電界が、低速のイオンのビーム軸(c)を、イオン溜5の中心光軸(d)からずれた方向へと偏向し、イオン溜5への正常なイオン導入の妨げとなる。
【0013】
この状況を、シミュレーションした例を、図4に示す。イオン押し出し電極6に、+0.3V、あるいは、−0.3Vのオフセット電圧が印加された状態では、イオンビームの入射軌道は、BやCのように曲げられてしまう。
【0014】
この現象は、イオンの持つ加速エネルギーが、20〜50eV程度と低いことと関係しており、低加速エネルギーのイオンを扱う場合には、微弱な電位の異常形成に、確実に対処する必要があった。
【0015】
このような問題は、OA−TOFMSに限られるものではなく、低加速エネルギーの荷電粒子を扱う、一般の質量分析装置や、電子ビーム装置にも、言えることである。
【0016】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、イオンビームや電子ビームなど、荷電粒子線の偏向現象を、改善ないし緩和することのできる荷電粒子線装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の荷電粒子線装置は、
低エネルギー状態で荷電粒子が輸送される荷電粒子輸送路と、荷電粒子の輸送先空間との間で荷電粒子ビームの経路を分断する隔離弁を設けた荷電粒子線装置において、
該隔離弁を、導電性接着、圧着、溶接のうちの、少なくとも1つの手段を用いて、導線にて接地したことを特徴としている。
【0018】
また、前記荷電粒子線装置は、質量分析装置、または電子ビーム装置であることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図5と図6は、本発明にかかる飛行時間型質量分析装置のイオン溜近傍の一実施例を示した図である。図中、3は、図示しないイオン生成・輸送部から入射してくる、イオンビームの経路を分断し、イオンビームを遮るための、隔離弁である。2つの図のうち、図5が、隔離弁3の開いた状態、図6が、隔離弁3の閉じた状態を表わしている。
【0020】
イオンが、平行に配置された2つの電極、イオン押し出し電極6とグリッド7とで構成されたイオン溜5に、入射する場合、その入射角度と入射エネルギーには、TOFMSの分解能を確保するための制約がある。そのため、隔離弁3の後段で、かつ、イオン溜5の前段に、入射ビーム規制スリット4を設けて、イオンビームの広がりを規制している。
【0021】
イオンビームは、最初、図5に示すように、20〜50eVの低エネルギー状態で、イオン押し出し電極6とグリッド7によって挟まれたイオン溜5に向けて、平行に進入する。イオン溜5内を平行に移動する一定の長さを持ったイオンビーム(a)は、イオン押し出し電極6に、図3に示すような、イオンの極性と同じ極性の、数kV程度のパルス状の加速電圧を印加することにより、イオンビーム(a)の進入軸方向(Z軸方向)とは垂直な方向(X軸方向)にパルス状に加速され、TOF飛行イオンビーム(b)となって、イオン溜5から吐き出される。
【0022】
一方、隔離弁3が、閉じた状態では、図6に示すように、イオンビームは、イオン溜5内には進入しない。ところが、従来、隔離弁3が閉鎖されると、隔離弁3の表面にイオンビームが照射され、時により、隔離弁3は、帯電することがあった。
【0023】
その理由は、図7(a)に示すように、隔離弁3には、弁の開閉のために、◎で表わした摺動回転接続部(e)が存在し、従来、◎の摺動回転接続部(e)を介して、飛行時間型質量分析装置の壁部(f)に接地していたため、接地に不確実性があったためである。
【0024】
そこで、この問題の改善策として、図7(b)に示した事例のように、隔離弁3が、確実に接地電位となるように、◎の摺動回転接続部(e)を介した接地に加え、別途、アース接続線11により、電気的に確実に接地する対策を施すようにした。確実な接地方法としては、摺動接触方式だけではなく、アース接続線11と隔離弁3の本体との接続部に、導電性接着、圧着、溶接のうちの、少なくとも1つの手段を用いて、確実に導線で接地する方式が取られる必要がある。
【0025】
そして、隔離弁3の開閉の動きに対しては、フレキシブルな配線で、接地電位部とイオンビームが当たる部位とが、接続される構造にする必要がある。
【0026】
このように構成することにより、例えば、図6のように、隔離弁3が閉鎖され、イオンビームが隔離弁3に照射されて、イオンの電荷が、隔離弁3の表面に移動したとしても、それらの電荷は、速やかに、接地電位へと流れて、隔離弁3に電荷が蓄積されることはなくなり、帯電することがなくなる。帯電が生じないので、再び、隔離弁3が開いたときに、低速のイオンビームが、偏向を受けて、イオン溜5の中心光軸(d)からずれた方向へと進むこともなく、イオン溜5への正常なイオン導入の妨げとなることはない。
【0027】
尚、このような隔離弁の接地方法は、飛行時間型質量分析装置のみに適用されるものではない。例えば、隔離弁を備えた、飛行時間型以外の質量分析装置や、電子ビームを取り扱う、電子顕微鏡や電子ビーム露光装置など、さまざまな荷電粒子線装置に対しても、適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
本発明の結果、イオンビームや電子ビームなど、荷電粒子線の偏向現象を、改善ないし緩和することのできる荷電粒子線装置を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の飛行時間型質量分析装置を示す図である。
【図2】 従来の飛行時間型質量分析装置のイオン溜近傍を示す図である。
【図3】 イオン押し出し電極への印加電圧を示す図である。
【図4】 イオン溜内のイオンビームの偏向の様子を示す図である。
【図5】 本発明にかかる飛行時間型質量分析装置のイオン溜周辺の一実施例を示す図である。
【図6】 本発明にかかる飛行時間型質量分析装置のイオン溜周辺の一実施例を示す図である。
【図7】 本発明にかかる飛行時間型質量分析装置の隔離弁の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・イオン生成源、2・・・イオン輸送部、3・・・隔離弁、4・・・入射ビーム規制スリット、5・・・イオン溜、6・・・イオン押し出し電極、7・・・グリッド、8・・・リフレクター、9・・・イオン検出器、10・・・直交加速飛行時間型質量分析器、11・・・アース接続線。

Claims (2)

  1. 低エネルギー状態で荷電粒子が輸送される荷電粒子輸送路と、荷電粒子の輸送先空間との間で荷電粒子ビームの経路を分断する隔離弁を設けた荷電粒子線装置において、
    該隔離弁を、導電性接着、圧着、溶接のうちの、少なくとも1つの手段を用いて、導線にて接地したことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 前記荷電粒子線装置は、質量分析装置、または電子ビーム装置であることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線装置。
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