JP4417652B2 - カッター装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、主にロール紙を切断するためのカッター装置に係り、特に、レシート用等の小型のプリンタにおいて被切断用紙の切り終り側の一部を切り残すようにするパーシャルカット、或は被切断用紙の幅方向全体を切断して用紙を切り離すようにするフルカットを行うことが出来るカッター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のカッター装置でフルカットとパーシャルカットの両方が行えるカッター装置としては、例えば、カッター装置が被切断用紙をフルカットしてしまうようにプリンタ装置に取り付ける位置から丸刃の切断移動方向側に所定の距離だけずらしてそのカッター装置を固定するようにしてパーシャルカットを得るようにしたもの(例えば、特許文献1参照。)、や機構的な変換によって丸刃がフルカットしてしまう手前で丸刃を保持している丸刃保持台が復帰行程に切り替わるようにしてパーシャルカットを行うようにしたもの(例えば、特許文献2参照。)、或は、丸刃を保持している丸刃保持台を強制的に止めるストッパ部材を着脱自在に設け、そのストッパ部材を所定の箇所に装着することによって丸刃を保持している丸刃保持台をフルカットを行う手前で止めてパーシャルカットを行うようにしたもの(例えば、特許文献3参照。)等がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−127081号公報(請求項1、及び、段落番号0022)
【特許文献2】
特開2002−127080号公報(請求項1、及び、段落番号0031)
【特許文献3】
特開2002−219688号公報(請求項1、及び、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術のうち、特開2002−127081号公報(特許文献1)に記載されたカッター装置は、被切断用紙に対してフルカットを行うための固定位置からカッター装置を丸刃の切断移動方向側に所定の距離だけずらしてプリンタ装置の内部に固定するようにし、丸刃がロール紙の全幅を切り終わる前に復帰行程に切り替わってしまうようにしたものである。しかし、このカッター装置の場合には位置をずらして取り付けるためのスペースがプリンタ装置の内部に必要になるため、その分プリンタ装置の幅が広くなってしまうという問題があり、特に、プリンタ装置本体を他の装置に内臓して使用するような場合に問題となる。
【0005】
また、特開2002−127080号公報(特許文献2)に記載されているカッター装置は、丸刃を保持している移動刃キャリアの側面にロの字掘割状の溝を設け、キャリア送りベルトに固定されているキャリア連結部材をロの字掘割状の溝に滑動自在かつ一方向の所定箇所からは制限部材によって進入不可能となるように係合させ、フルカット時とパーシャルカット時ではキャリア送りベルトの回転方向を逆にし、フルカット時にはキャリア連結部材が切断待機位置側の溝に留まり、パーシャルカット時にはキャリア連結部材が切断移動方向側の溝に移動するようにしてロの字掘割状の溝の左右の溝の距離を利用してフルカットとパーシャルカットの切り替えを行うようにしたものであり、制御手段によって最終ユーザーが自由に両者を選択することが出来るものとなっている。しかし複雑な部品類を多く必要とし、装置全体の構造も複雑なものとなってしまい、その上、部品同士の接触により騒音が発生する可能性もある。
【0006】
次に、特開平2002−219688号公報(特許文献3)に記載されたカッター装置は、内周面に歯形があり、2個のプーリに掛け渡されて一方向のみに回転する回転駆動ベルトと、切断刃ホルダに保持されて上下の回転駆動ベルトの中間に位置し、歯が一部欠けた状態の欠け歯部分を有する欠け歯歯車とを利用して、欠け歯歯車の欠け歯部分が上向きのときには欠け歯歯車の歯が下側のベルトと噛み合い、その結果、丸刃を下側のベルトの移動方向と同じ方向に移動させ、反対に欠け歯歯車の欠け歯部分が下向きのときには欠け歯歯車の歯が上側のベルトと噛み合い、それにより丸刃を上側のベルトの移動方向と同じ方向に移動させるようにし、別に設けたストッパ部材によって欠け歯歯車の移動が制限されて欠け歯歯車に所定値以上の回転力が作用したときに欠け歯歯車が半回転して回転駆動ベルトと欠け歯歯車との噛み合いが上下反転し、丸刃の移動方向が切り替わるようにしたものであり、ストッパ部材の位置を変えることによってフルカットとパーシャルカットとの選択ができるようにしたものである。しかし、この場合にも構成部品の数が多くなり、その上、騒音が発生する可能性も否定できない。また、駆動ベルトやプーリー軸に無理な負荷が掛かることになり、プーリー軸を太くする等の対策も必要になる。
【0007】
本発明は、上述したような従来のカッター装置にあってはプリンタ装置の幅が広くなってしまうという問題、或は最終ユーザーにおいてフルカットとパーシャルカットの選択が自由に行えるようなプリンタ装置とするために複雑な機構を採用し、カッター装置の重量が大きくなってしまったり、必要以上に高価なものとなってしまうというような問題等の理由に鑑みてなされたものであり、同じカッター装置によって出荷段階のみならず最終ユーザーにおいてもパーシャルカットとフルカットの切り替えが容易に行えるようにしたカッター装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の目的を達成するためになされたものであり、カッターフレームと、そのカッターフレームに固定されていて上面が被切断用紙の受け板を兼ねている平板状の固定刃と、その固定刃と平行になるようにカッターフレームに設けられている移動経路に沿って固定刃の長手方向に往復移動する丸刃保持台と、その丸刃保持台に回転自在に保持されている丸刃であって、切断移動方向側の刃先を固定刃の刃先に圧接させている丸刃と、丸刃保持台を往復移動させる駆動手段とからなり、固定刃の切り終り側の刃先に切り欠き部を設けて、固定刃の刃先と丸刃の刃先とによって被切断用紙を幅方向に切断するカッター装置において、固定刃をカッターフレームの長手方向に所定の距離だけスライド可能とし、その固定刃がカッターフレームの少なくとも二通りの箇所で固定することが可能で、その二通りの位置の一方を、固定刃の上面に送られて来る被切断用紙の切り終わり側の端部から切り欠き部が被切断用紙の幅方向で若干離間するフルカット位置とし、他方の位置を、固定刃の上面に送られて来る被切断用紙の切り終り側の端部が幅方向で所定の量だけ切り欠き部の上を通るパーシャルカット位置としたカッター装置とする。
【0009】
【0010】
本発明のカッター装置によれば、固定刃をカッターフレームに対してスライド可能とする簡単な機構によって、簡単にパーシャルカットとフルカットの切り替えが行える軽量で安価なカッター装置を得ることが出来るようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図1乃至図3を参照しながら説明する。図1は本発明に係る用紙切断装置の一実施の形態を示す正面図であり、図2は前面のフレームカバー50を外したときの正面図である。図3は図2の平面図である。図において、カッターフレーム3の上部には薄鋼板製の固定刃1が後述する固定手段によって固定されており、その固定刃1の上面は被切断用紙Pの受け板を兼ねているので固定刃1の長さは被切断用紙Pの幅Wよりも両側で長くなっている。
【0012】
一方、カッターフレーム3には移動経路5が設けられており、その移動経路5は丸刃2を保持している丸刃保持台4がカッターフレーム3の左右方向に往復移動するときのガイドになる。そして、移動経路5と固定刃1の刃先11とが平行になるように固定刃1がカッターフレーム3の上部に固定されている。
【0013】
丸刃保持台4は固定刃1の上側にあって丸刃2を回転自在に保持している丸刃ケース部41と固定刃1の下側にあって移動経路5に沿って移動する摺動保持部42とからなり、丸刃ケース部41と摺動保持部42とは固定刃の刃先11を跨ぐ連結部43によって一体に結ばれている。
【0014】
カッターフレーム3の左右両端近傍にはプーリー8、8、が回転自在にプーリー軸7、7、によって支持されており、そのプーリー8、8、にはモーター6、及び駆動側歯車13や従動側歯車14等からなる駆動手段によって左右方向に交互に走行が切り替わるワーヤー9が架け渡され、そのワイヤー9に牽引されて丸刃保持台4が往復移動するように摺動保持部42にワイヤー9が係止されている。
【0015】
丸刃ケース部41には丸刃2がピン軸15によって回転自在に軸支され、丸刃2の側面に組み込まれた付勢手段によって丸刃2の切断移動方向X側の刃先が固定刃の刃先11に常時圧接されている。そして、丸刃保持台4が切断移動方向Xに移動するときに被切断用紙Pが幅方向に切断されるようになっている。また、このとき丸刃保持台4は丸刃2の刃先の切断点Sが固定刃1の上面に送られた被切断用紙Pの幅方向の手前から入り被切断用紙Pの幅を越える距離だけワイヤー9によって往復移動されるように駆動手段が別に設けられている制御手段(図示せず)によって制御される。
【0016】
次に、本発明の特徴である固定刃1の固定手段について説明する。固定刃1は、カッターフレーム3の上面に設けられた複数の止めピン21とその止めピン21に合致するように固定刃1に設けられた異形長孔22及び異形スロット23によって丸刃2の切断移動方向X側に所定の距離Yだけスライド可能とされ、異形長孔22及び異形スロット23の所定の位置でそれぞれ止めピン21によって固定刃1がロックされるようになっている。
【0017】
一方、固定刃1の切り終り側には刃先に切り欠き部12が設けてあり、固定刃1の上面に送られて来る被切断用紙Pの切り終り側の端部が幅方向で所定の量Rだけ切り欠き部12の上を通る状態になるように切り欠かれている。この刃先の切り欠き部12によって固定刃の刃先11と丸刃2の切断点Sとの圧接が解除されるので、図3に示す状態で、切り欠き部12では被切断用紙Pは切断されることがなく被切断用紙Pの切り終り側には切り残し部が出来、パーシャルカットが得られる。また、固定刃1に切り欠き部12を設けても固定刃1の全体の長さは変わらないので被切断用紙Pの受け板としての機能はそのまま維持される。
【0018】
固定刃1がカッターフレーム3に対してスライド出来る距離Yは、固定刃1の上面に送られて来る被切断用紙Pの切り終わり側端部から切り欠き部12が被切断用紙Pの幅方向で若干離間するまで移動される距離である。これにより、固定刃の刃先11と丸刃2の切断点Sとの圧接状態は被切断用紙Pの切り終り側端部を過ぎるまで維持されるので、被切断用紙Pは全幅に亘って切断されフルカットが得られる。また、移動される距離Yの値は固定刃1をカッターフレーム3に対してスライドさせても固定刃1がカッターフレーム3の長さ方向にはみ出ない寸法となっている。
【0019】
また、上述した止めピン21に替えてビス等の他の固定手段を採用することも出来、ビス等を利用することによって固定刃1に設けられた長孔の長さの範囲(Y)で固定刃1の固定位置を変えることも可能になるのでパーシャルカット時の被切断用紙Pの切り残し部の幅寸法を調整することも出来るようになる。
【0020】
尚、図3においては異形長孔22と異形スロット23を設けた固定刃1について説明したが、両側を異形長孔22とした固定刃1としてもよい。また、符号24は固定刃1の端部を折り曲げて形成した移動用のつまみである。
【0021】
【発明の効果】
本発明の用紙切断装置によれば、構造が簡単で軽量なフルカット専用のカッター装置とほぼ同一形状のままで、出荷段階のみならず最終ユーザーにおいてもパーシャルカットとフルカットの切り替えが容易に行えるようにしたカッター装置を得ることが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る用紙切断装置の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】 図1における用紙切断装置の前面のフレームカバーを外した状態の図である。
【図3】 図2における用紙切断装置の平面図である。
【符号の説明】
1 固定刃
2 丸刃
3 カッターフレーム
4 丸刃保持台
5 移動経路
6 モーター
7 プーリー軸
8 プーリー
9 ワイヤー
11 固定刃の刃先
12 切り欠き部
13 駆動側歯車
14 従動側歯車
15 ピン軸
21 止めピン
22 異形長孔
23 異形スロット
24 移動用のつまみ
41 丸刃ケース部
42 摺動保持部
43 連結部
50 フレームカバー
P 被切断用紙
W 被切断用紙の幅
Claims (1)
- カッターフレームと、該カッターフレームに固定され、上面が被切断用紙の受け板を兼ねる平板状の固定刃と、該固定刃と平行になるように前記カッターフレームに設けられている移動経路に沿って前記固定刃の長手方向に往復移動する丸刃保持台と、該丸刃保持台に回転自在に保持され、切断移動方向側の刃先を前記固定刃の刃先に圧接させている丸刃と、前記丸刃保持台を往復移動させる駆動手段とからなり、前記固定刃の切り終り側の刃先に切り欠き部を設け、前記固定刃の刃先と前記丸刃の刃先とによって被切断用紙を幅方向に切断するカッター装置において、前記固定刃がカッターフレームの長手方向に所定の距離だけスライド可能であり、且つ前記固定刃は固定手段によって前記カッターフレームの少なくとも二通りの位置でそれぞれ固定可能とされ、前記二通りの位置の一方を、前記被切断用紙の切り終わり側の端部から前記切り欠き部が前記被切断用紙の幅方向で若干離間するフルカット位置とし、他方の位置を、前記被切断用紙の切り終り側の端部が幅方向で所定の量だけ前記切り欠き部の上を通るパーシャルカット位置としたことを特徴とするカッター装置。
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