JP4417440B2 - 拡散ホログラムタッチパネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はキャッシュディスペンサ、コンピュータ等でメニューなどを指で押して選択するタッチパネルに係り、特に、シースルーにでき、かつ視域を限定することが可能な拡散ホログラムタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
人の指等の圧力を電気信号に変換するスイッチを配したタッチパネルにおいては、従来、各スイッチの内容等の文字や絵柄を印刷、貼り付けをしておくか、CRT等のディスプレイを裏側に配するようにしていた。
しかし、このようなタッチパネルでは、シースルーにできないとともに、視域の限定が難しく、キャッシュディスペンサのように他人に見られたくないものには不都合であった。また、CRT等のディスプレイを配置する場合には小型化を図りにくく、また、スイッチの内容の変更等に柔軟に対応しにくかった。
【0003】
本発明の目的は、シースルーにできるとともに視域の限定が可能であり、かつ小型化、内容の変更に対する適応性を向上させることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の拡散ホログラムタッチパネルは、透明なタッチパネルの片面に拡散ホログラムを貼り付け、このホログラムをスクリーンとする投影機を適当な位置に配置して、タッチボタン像を投影するものである。投影機の位置を選択することによりシースルーにでき、また、視域は拡散ホログラムからの拡散光の範囲に限定され、かつ小型化も容易となる。さらに、投影する像を単に変えるだけで、内容の変更にも容易に対応することが可能となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の拡散ホログラムタッチパネル01は、図1に示すように、ガラス基板1にホログラム記録フィルム2を貼り付け、これに対して離間させてオパール板、スリガラス等の散乱板3を配置し、散乱板2を照明光4で照明して透過した散乱光と、ホログラム記録フィルムの反対側から所定角度で入射させた参照光6(発散光)をホログラム記録フィルム2中で干渉させて拡散ホログラム(この場合反射型)を作製し、次いで、図2に示すように、拡散ホログラム2を透明な圧電素子5に、接着剤・粘着シート等を用いて貼り付けたものである。
【0006】
図2に示すように、拡散ホログラムタッチパネル01の拡散ホログラム2をスクリーンとしてプロジェクタ7でタッチボタン等の像を投影すると、拡散ホログラム2で反射・散乱されて投影像が認識可能となる。このタッチパネルは絵等を貼る必要がなく裏面に何も配置されないためシースルーであり、観察できる領域は、ホログラム記録の際にホログラム記録フィルムに入射した散乱光の範囲となるので、視域を限定することができる。観察領域を制御するには、記録の際のホログラム記録フィルム2と散乱板3との距離を変えればよく、図1の▲2▼より▲1▼の方がホログラム記録フィルム2に入射する散乱光の範囲が狭く、したがって視域が狭くなる。また、散乱板3の種類を変えたり、散乱板3と記録フィルムの大きさを変えても同様の効果が得られる。また、CRT等を使用しないので小型化が容易であるとともに、投影する像を単に変えるだけで内容の変更にも対応することができる。
【0007】
次に、透過型の拡散ホログラムを用いた実施の形態について図3、図4により説明する。
図3において、図1の場合と同様に、散乱板3とホログラム記録フィルム2を配置し、散乱板3を照明光4で照明して透過した散乱光5と、同じ側からホログラム記録フィルムに所定角度で入射させた参照光8(発散光)をホログラム記録フィルム2中で干渉させて透過型の拡散ホログラムを作製し、次いで、図4に示すように、拡散ホログラム2を透明な圧電素子9の裏面に貼り付け、ホログラム上にPET保護層10を貼り付けて拡散ホログラムタッチパネル01とする。
【0008】
図4に示すように、拡散ホログラムタッチパネル01の拡散ホログラム2をスクリーンとして裏面よりタッチボタンの像を投影すると、拡散ホログラム2を透過した散乱光によりタッチボタンの投影像11が認識可能となる。この場合の拡散ホログラムタッチパネル01もシースルーであり、視域を限定することができる。
【0009】
次に、視域の限定方法の例について説明する。拡散ホログラムタッチパネル01の視域は散乱板を記録したホログラム記録フィルム2の拡散角度に依存する。この拡散角度を所望のものとするようにホログラムの撮影を行えばよい。
【0010】
〔1ステップ露光〕
図5に示す方法は、拡散ホログラムタッチパネル01の垂直方向に視野(視域)を設定する場合の撮影のための配置を示す図であり、散乱板22の背面からレーザー光23を照射し、それにより散乱された光を物体光とし、散乱板22を散乱なしに透過した光を参照光24として、ホログラム乾板21中で干渉させて記録したものが拡散ホログラム(透過型)として用いられる。散乱板22の領域がホログラム乾板21の位置に配置した拡散ホログラムタッチパネル01の視野領域(視域)となる。
【0011】
図6に示す方法も、拡散ホログラムタッチパネル01の垂直方向に視野(視域)を設定する場合の撮影のための配置を示す図であり、散乱板22の背面からレーザー光23を照射し、それにより散乱された光を物体光とし、散乱板22とホログラム乾板21の間に配置したハーフミラー25を介し入射した光を参照光24として、ホログラム乾板21中で干渉させて記録したものも用いられる。この場合も、散乱板22の領域がホログラム乾板21の位置に配置した拡散ホログラムタッチパネル01の視野領域(視域)となる。図6の方法は、図5の方法に比較して、物体光と参照光の光量比を調整したり、参照光24の平行度を上げることが容易であるメリットがある。
【0012】
図7に示す方法は、ホログラム散乱板23に対して傾いた方向に視野を設計する場合の撮影のための配置を示す図であり、ホログラム乾板21に対して軸外れの位置に1枚ないし複数枚の散乱板22、22’を配置し、それぞれの散乱板22、22’の背面からレーザー光23、23’を照射し、それにより散乱された光を物体光としてホログラム乾板1の斜め前方からに入射させ、その正面から参照光24を入射させ、ホログラム乾板21中で両者を干渉させて記録したものが用いられる。この場合も、散乱板22、22’の領域がホログラム乾板21の位置に配置した拡散ホログラムタッチパネル01の視野領域(視域)となる。なお、図7の場合は、散乱板22と22’を同時に配置して露光したが、散乱板22と22’を順次に配置して多重露光により記録してもよい。
【0013】
〔2ステップ露光〕
この方法を中間ホログラムH1を記録し、その中間ホログラムH1を用いて目的とする最終ホログラムH2を記録する方法である。すなわち、図8(a)において、中間ホログラムH1用のホログラム乾板21に対向して散乱板22を配置し、その背面からレーザー光23を照射し、それにより散乱された光を物体光としてホログラム乾板21前方からに入射させ、同時にその斜め前方から参照光24を入射させ、ホログラム乾板21中で両者を干渉させて中間ホログラムH1を記録する。
【0014】
次に、図8(b)に示すように、上記の中間ホログラムH1を用いて、その再生散乱光と参照光を最終ホログラムH2用のホログラム乾板21’中で干渉させて記録する。この場合は、ホログラム乾板21’に対する中間ホログラムH1の領域がホログラム乾板21’の位置に配置した拡散ホログラムタッチパネル01の視野領域(視域)となる。記録は、中間ホログラムH1撮影時の参照光24と共役な光24’を再生照明光として中間ホログラムH1を照射し、それより再生された散乱光を物体光としてホログラム乾板21’に入射させ、同時にその正面から参照光24”を入射させ、ホログラム乾板21’中で両者を干渉させて目的とするホログラムが得られる。なお、最終ホログラムH2作製時の参照光24”としては、上記の1ステップ露光法と同様に、3通りの方法が考えられる(図5〜図7)。
【0015】
以上は拡散透過型ホログラムを用いた例であるが、以下に拡散反射型ホログラムにより視域を限定する撮影方法について説明する。
図9において、被写体であるスリガラスのような散乱板32の配置位置を拡散ホログラムタッチパネル01の位置と想定し、そのときの観察域と定められる位置に、透過型ホログラム乾板35を配置し、散乱板32の背面から同一光源から2分された所定波長のコヒーレント光31で照明して散乱板32の前面に出た散乱光3を物体光として透過型ホログラム乾板35に入射させると同時に、同一光源から2分された所定波長の別のコヒーレント光34を参照光として、散乱光33と同じ面側から任意の角度で入射させることにより、透過型ホログラム乾板35に第1のホログラムである透過型ホログラムを記録する。
【0016】
次に、この第1のホログラムを37とし、図10に示すように、元の透過型ホログラム乾板35の位置に配置すると共に、散乱板32の位置に今度はフォトポリマーのような反射型ホログラム乾板(リップマンホログラム乾板)40を配置し、ホログラム37の実像を拡散ホログラムタッチパネル01想定位置(図9の散乱板32の位置)に結像させるように、ホログラム37にその記録の際の参照光34と反対側に進む同じ波長の再生照明光36を照射して、ホログラム37からの回折光38を物体光として反射型ホログラム乾板40に入射させると共に、拡散ホログラムタッチパネル01で想定される入射光と反対方向に進む参照光39を反射型ホログラム乾板40の反対側から入射させることにより、反射型ホログラム乾板40に第2のホログラムである反射型ホログラムを記録する。
【0017】
この方法により、観察域を第1のホログラム37の範囲に限定する拡散反射型ホログラムが作製できる。
【0018】
【実施例】
図3の光学系を用い、ホログラム記録フィルム(Dupont社製:Omnidex 706)をガラス基板に貼り付け、これに直接照射される発散光(514nm、発散距離1000nm、中心入射角45°)と、拡散板(オパール板)を透過して照射される拡散光(514nm、距離50cm、中心入射角0°)の干渉縞を記録し、透過型ホログラムを作製した。記録後、増感加熱し(120℃、2時間)、両面粘着シート(日東電工、MC2000)を用いて透明な圧電素子(基材はガラス)の裏面に貼り付け、ホログラムの上にフィルム保護のためPETを両面粘着シートを用いて貼り付けた(図4参照)。
この透明な圧電素子のPET保護層側からタッチボタンの像を投影したところ、拡散する光の中にボタンの回折像が観察でき、一定角度範囲でのみ認識可能であった。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の拡散ホログラムタッチパネルによれば、拡散ホログラムをスクリーンとしてタッチボタン等の像を投影することにより、拡散ホログラムからの散乱光によって視域が限定され、その結果、キャッシュディスペンサのように他人に見られたくない場合への適用に好適である。
【0020】
また、本発明では反射型或いは透過型の拡散ホログラムのいずれの場合にもシースルとすることにより、他の情報との重畳表示が可能である。
例えば、キャッシュディスペンサのようにタッチパネルの後方にCRTを設置する場合を想定すると、従来方式では、図11(a)に示すように、タッチパネルの背面にCRTを設置してCRTの画面をタッチパネル側で見て操作する場合、不慣れな利用者に対してインストラクション画面が必要になるが、タッチパネル上ではCRT画面の情報しか見れないため、複数の情報を同時に表示することはできず、CRT画面を切り換えて操作手順を見れるようにするか、補助者を配置しておく必要がある。これに対して本発明では、図11(b)に示すように、CRTの画像を拡散ホログラムタッチパネル01に投影し、同時に操作手順Aを別の表示素子から拡散ホログラムタッチパネル01を通して重畳表示できるので、不慣れな使用者であっても表示された操作手順を見ながら実際の操作を行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明においてはシースルーとすることにより、文字や絵柄を印刷、貼り付けることがなく、また、背面にCRT等の表示素子が無くなるため、透明にすることができ、空間的な広がりを損なうことが無い。例えば、ショーウインドウ等に本発明の拡散型ホログラムタッチパネルを設置し、タッチパネル操作により陳列物の情報を入手することが可能となる。この際、透明であるため観測方向の視野を損なうこともない。
【0022】
また、本発明では背面にCRT等の表示素子を設置する必要がないため装置を小型化でき、また、投影する像を単に変えるだけで、内容の変更にも容易に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反射型拡散ホログラム記録光学系を説明する図である。
【図2】 拡散ホログラムタッチパネルを説明する図である。
【図3】 反射型拡散ホログラム記録光学系を説明する図である。
【図4】 拡散ホログラムタッチパネルを説明する図である。
【図5】 1ステップ露光法でホログラム散乱板を記録する光学配置を示す図である。
【図6】 1ステップ露光法でホログラム散乱板を記録する別の光学配置を示す図である。
【図7】 1ステップ露光法でホログラム散乱板を記録するさらに別の光学配置を示す図である。
【図8】 2ステップ露光法でホログラム散乱板を記録する光学配置を示す図である。
【図9】 拡散反射型ホログラム作製のための中間ホログラムを記録するための光学配置を示す図である。
【図10】 中間ホログラムを用いて拡散反射型ホログラムを記録するための光学配置を示す図である。
【図11】 シースルーの効果を説明するための図である。
【符号の説明】
01…拡散ホログラムタッチパネル
1…ガラス
2…ホログラム記録フィルム
3…散乱板
4…照明光
5…圧電素子
6…参照光
7…プロジェクタ
8…参照光
9…圧電素子
10…PET保護層
11…ボタン像

Claims (3)

  1. 拡散範囲が限定された拡散機能を有するホログラムを透明な圧電素子からなるタッチパネルに貼り付けてシースルーのホログラムスクリーンを構成し、遠隔位置から該ホログラムスクリーンにタッチボタン像を投影してホログラムスクリーン上でタッチボタン像と、タッチパネル越しに視覚することのできる物体や文字を含む画像情報とを重畳表示可能にするとともに、前記ホログラムからの散乱光によって限定された視域でタッチボタン像を認識可能にしたことを特徴とする拡散ホログラムタッチパネル。
  2. 請求項1記載のタッチパネルにおいて、前記ホログラムは反射型の拡散機能を有するホログラムからなり、ホログラムスクリーン前面側からタッチボタン像を投影することを特徴とする拡散ホログラムタッチパネル。
  3. 請求項1記載のタッチパネルにおいて、前記ホログラムは透過型の拡散機能を有するホログラムからなり、ホログラムスクリーン裏面側からタッチボタン像を投影することを特徴とする拡散ホログラムタッチパネル。
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