JP2018197838A - 体積ホログラム記録体 - Google Patents

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三郎 平岡
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賢一 尾中
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Kishiomi Tamura
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Abstract

【課題】画像もしくは投影される映像の粒状感を抑制すると共に、強度を向上させ耐久性を高めることができる体積ホログラム記録体を提供する。
【解決手段】複数の第1の要素ホログラムと、前記第1の要素ホログラムとは回折反射波長が異なる複数の第2の要素ホログラムとを配列した体積ホログラム記録体は、隣り合う前記第1の要素ホログラムの双方に、1つの前記第2の要素ホログラムの少なくとも一部が跨がっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、異なる種類の要素ホログラムを含む体積ホログラム記録体に関する。
イメージ(像)を表現もしくは表示する為の体積ホログラム記録体には、ホログラフィックプリントや投影機により映像情報を投影するためのホログラフィックスクリーンなどの光学素子がある。ホログラフィックプリントは立体表現、多重像表現によって意匠性、セキュリティ性を向上させ、クレジットカード、通帳、証明書、金券などの証券に利用されている。また、ホログラフィックスクリーンなどの光学素子は、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、もしくは透明スクリーンなど映像表示に利用されている。
これら体積ホログラム記録体の作製は、光源からの出射光を2分して、その一方を光学(波面)情報を伴う物体光とし、他方を参照光として、物体光と参照光を感材の両面から照射して生成される干渉波面を感材に記録することで為される。物体光に含まれる光学(波面)情報は、コンピュータ上で設計することも可能である。これらコンピュータ上で設計される光学波面情報は、デジタルホログラムプリンター技術によって、感材に小さな区画のホログラム(要素ホログラム)をステップバイステップで記録され、それにより一つの体積ホログラム記録体を作製できる。又、異なる回折反射波長を有する要素ホログラムを同一領域に形成することで、カラーのホログラム画像が得られる。
このように、デジタルホログラムプリンターによって作製される体積ホログラム記録体は、コンピュータ上で所望の光学波面情報を設計でき、オンディマンド性を有する。例えば特許文献1又は2に示すように、個別にデザインした立体画像をエレクトロミックカラーシステムやホログラフィックステレオグラムに作製したり、特許文献3に示すように、投影機、観察者の位置に最適化した映像品質のホログラムスクリーンを作製したりするのに適している。
特表2005−512125号公報 特開2012−212052号公報 特開2016−212232号公報
ところで、デジタルホログラムプリンター技術によって作製される体積ホログラム記録体は、要素ホログラムがタイル状に配列されている。しかるに、このタイル状の配列により、継ぎ目に隙間が生じて、ホログラフィックプリントの画像や、ホログラフィックスクリーンに投影される映像に粒状感を与え、観察者の見難さを招く恐れがあった。又、体積ホログラム記録体は薄い平板で構成されるので、表示面積を大きくすると、記録体が大きな平板となって壊れやすいという課題がある。
本発明は、上述の課題を解決することを目的としたものであり、画像もしくは投影される映像の粒状感を抑制すると共に、強度を向上させ耐久性を高めることができる体積ホログラム記録体を提供することを目的とする。
本発明の体積ホログラム記録体は、複数の第1の要素ホログラムと、前記第1の要素ホログラムとは回折反射波長が異なる複数の第2の要素ホログラムとを配列した体積ホログラム記録体であって、
隣り合う前記第1の要素ホログラムの双方に、1つの前記第2の要素ホログラムの少なくとも一部が跨がっているものである。
本発明によれば、画像もしくは投影される映像の粒状感を抑制すると共に、強度を向上させ耐久性を高めることができる体積ホログラム記録体を提供することができる。
本実施の形態にかかる体積ホログラム記録体を形成する為のホログラフィックプリンターの概略構成図である。 (a)は、一例にかかる体積ホログラム記録体の概略拡大図であり、(b)は、(a)の矢印IIBで示す部位を拡大して示す図である。 2種類の要素ホログラムを形成する順序を示す図である。 (a)は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略拡大図であり、(b)は、(a)の矢印IVBで示す部位を拡大して示す図である。 (a)は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略拡大図であり、(b)は、(a)の矢印VBで示す部位を拡大して示す図である。 (a)は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略拡大図であり、(b)は、(a)の矢印VIBで示す部位を拡大して示す図である。 3種類の要素ホログラムを形成する順序を示す図である。 (a)は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略拡大図であり、(b)は、(a)の矢印VIIIBで示す部位を拡大して示す図である。 別の例にかかる要素ホログラムを形成する順序を示す図である。 ID.1、ID.2、ID.4,ID.7、ID.5にかかるホログラフィックプリントの一部を示す概略拡大図である。 ID.3、ID.6、ID.8,ID.9にかかるホログラフィックプリントの一部を示す概略拡大図である。 ID.11、ID.12、ID.13,ID.14にかかるホログラフィックスクリーンの一部を示す概略拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかる体積ホログラム記録体を形成する為のホログラフィックプリンターの概略構成図である。本実施の形態にかかるホログラフィックプリンターは、レーザー光源LDr、LDg、LDbと、シャッターSHr、SHg、SHbと、コリメートレンズCL1r、CL2r、CL1g、CL2g、CL1b、CL2bと、ビームスプリッタBSr、BSg、BSbと、空間変調器SLMr、SLMg、SLMbと、反射ミラーRMと、ダイクロイックミラーDMg、DMbと、ミラーMR1〜MR4と、集光レンズFL1と、コリメートレンズCL3,CL4と、XYステージSTとを有する。
ビームスプリッタBSr、BSg、BSbから集光レンズFL1までが物体光学系を構成し、ビームスプリッタBSr、BSg、BSbから集光レンズFL2までが参照光学系を構成する。空間変調器SLMr、SLMg、SLMbは、各要素ホログラムに記録する各色の波面情報を制御するものである。ダイクロイックミラーDMgは、緑色光を反射させるが、赤色光は透過するような特性を有する。又、ダイクロイックミラーDMbは、青色光を反射させるが、緑色光及び赤色光は透過するような特性を有する。
XYステージSTは、感材FMをX方向及びY方向に移動可能に保持する。体積ホログラム記録体を作製するための感材FMは公知の素材を利用でき、例えば、ハロゲン化銀、重クロムゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー等を用いることができる。これらの中でもフォトポリマーは、出来上がるホログラフィックプリントや光学素子の強度を高めることができるため好適であり、また、ホログラフィックプリントや光学素子を作製するプロセスにおいて液体による処理を使用しないため、ホログラフィックプリンターに搭載する上で、システム構成の複雑化を回避できるため好適である。係るフォトポリマーとしては、ラジカル重合性モノマー、マトリクス樹脂、光重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤等を含有することが好ましい。感材FMは単層構成からなり、該層がホログラフィックプリンターに搭載された複数のレーザー光源の感光性を有する単層構成の感材であっても、複数の層構成からなり、各層が各レーザー光源の感光性を有する多層構成の感材であってもよい。
本実施の形態の動作について説明する。まずXYステージSTにより感材FMを、要素ホログラムを形成する位置に移動させる。移動後、振動が収まるまでの時間を待機させる。ここで、各要素ホログラムに記録する物体光波面情報が空間変調器SLMr、SLMg、SLMbに出力される。この空間変調器SLMr、SLMg、SLMbの出力は前述の振動が収まるまでの待機時間に行われてもよい。
まず、赤色の要素ホログラムを形成する場合、赤色用のシャッターSHrを開き、それ以外のシャッターSHg、SHbを閉じる。かかる状態で、赤色レーザー光源LDrから出射されたP偏光の赤色レーザー光は、シャッターSHrを通過し、コリメートレンズCL1r、CL2rを通過して赤色コリメート光に変換され、ビームスプリッタBSrに入射する。
ビームスプリッタBSrを通過した赤色コリメート光は、空間変調器SLMrに入射して、ここで区画に応じて赤色の像情報記録面を形成されて出射し、反射ミラーRMで反射されて、ダイクロイックミラーDMg、DMbを通過し、第1ミラーMR1で更に反射されて集光レンズFL1により光束径を調整された後、不図示のマスクを介して感材FMに表面側から物体光として集光する。マスクの形を変えることで、要素ホログラムの形状を矩形、円形等,任意に変えることができる(以下同じ)。
一方、ビームスプリッタBSrで反射された赤色コリメート光は、第2ミラーMR2,第3ミラーMR3で反射され、コリメートレンズCL3、CL4によって光束径が絞られながら、感材FMの裏面側に回り込み、第4ミラーMR4で所定の入射角を付与され、不図示のマスクを介して感材FMに裏面側から参照光として集光する。感材FMの同一区画に物体光と参照光が両面から進入することで、係る区画にホログラフィ記録が為され、赤色(レーザーの発光波長)を回折反射波長とする要素ホログラムを記録することが出来る。感材の感光特性(感度)に応じて必要とされる記録時間を経た後、シャッターSHrを閉じ、赤色の1つ目の要素ホログラムの記録が終了する。
次いでXYステージSTにより感材FMを微小量移動させ、上述と同様に2つ目の要素ホログラムを形成する。このように、XYステージSTによる感材FMの移動、待機、記録する物体光波面情報の空間変調器SLMrの出力、シャッターSHrの一定時間の開放による1要素ホログラムの記録を繰り返すことで、感材FM上に赤色の要素ホログラムを配列することができる。
次に、緑色の要素ホログラムを形成する場合、必要に応じてXYステージSTにより感材FMを、要素ホログラムを形成する位置に移動させる。移動後、振動が収まるまでの時間を待機させる。
その後、緑色用のシャッターSHgを開き、それ以外のシャッターSHr、SHbを閉じる。かかる状態で、緑色レーザー光源LDgから出射されたP偏光の緑色レーザー光は、シャッターSHgを通過し、コリメートレンズCL1g、CL2gを通過して緑色コリメート光に変換され、ビームスプリッタBSgに入射する。
ビームスプリッタBSgを通過した緑色コリメート光は、空間変調器SLMgに入射して、ここで区画に応じて緑色の像情報記録面を形成されて出射し、ダイクロイックミラーDMgで反射されて、ダイクロイックミラーDMbを通過し、第1ミラーMR1で更に反射されて集光レンズFL1により光束径を調整された後、不図示のマスクを介して感材FMに表面側から物体光として集光する。
一方、ビームスプリッタBSgで反射された緑色コリメート光は、ビームスプリッタBSrを通過し、第2ミラーMR2,第3ミラーMR3で反射され、コリメートレンズCL3、CL4によって光束径が絞られながら、感材FMの裏面側に回り込み、第4ミラーMR4で所定の入射角を付与され、不図示のマスクを介して感材FMに裏面側から参照光として集光する。感材FMの同一区画に物体光と参照光が両面から進入することで、係る区画にホログラフィ記録が為され、緑色(レーザーの発光波長)を回折反射波長とする要素ホログラムを記録することが出来る。感材の感光特性(感度)に応じて必要とされる記録時間を経た後、シャッターSHgを閉じ、緑色の1つ目の要素ホログラムの記録が終了する。
次いでXYステージSTにより感材FMを微小量移動させ、上述と同様に2つ目の要素ホログラムを形成する。このように、XYステージSTによる感材FMの移動、待機、記録する物体光波面情報の空間変調器SLMgの出力、シャッターSHgの一定時間の開放による1要素ホログラムの記録を繰り返すことで、感材FM上に緑色の要素ホログラムを配列することができる。
次に、青色の要素ホログラムを形成する場合、必要に応じてXYステージSTにより感材FMを、要素ホログラムを形成する位置に移動させる。移動後、振動が収まるまでの時間を待機させる。
その後、青色用のシャッターSHbを開き、それ以外のシャッターSHr、SHgを閉じる。かかる状態で、青色レーザー光源LDbから出射されたP偏光の青色レーザー光は、シャッターSHbを通過し、コリメートレンズCL1b、CL2bを通過して青色コリメート光に変換され、ビームスプリッタBSbに入射する。
ビームスプリッタBSbを通過した青色コリメート光は、空間変調器SLMbに入射して、ここで区画に応じて青色の像情報記録面を形成されて出射し、ダイクロイックミラーDMbで反射され、第1ミラーMR1で更に反射されて集光レンズFL1により光束径を調整された後、不図示のマスクを介して感材FMに表面側から物体光として集光する。
一方、ビームスプリッタBSbで反射された青色コリメート光は、ビームスプリッタBSg、BSrを通過し、第2ミラーMR2,第3ミラーMR3で反射されながら、感材FMの裏面側に回り込み、コリメートレンズCL3、CL4によって光束径が絞られながら第4ミラーMR4で所定の入射角を付与され、不図示のマスクを介して感材FMに裏面側から参照光として集光する。感材FMの同一区画に物体光と参照光が両面から進入することで、係る区画にホログラフィ記録が為され、青色(レーザーの発光波長)を回折反射波長とする要素ホログラムを記録することが出来る。感材の感光特性(感度)に応じて必要とされる記録時間を経た後、シャッターSHbを閉じ、青色の1つ目の要素ホログラムの記録が終了する。
次いでXYステージSTにより感材FMを微小量移動させ、上述と同様に2つ目の要素ホログラムを形成する。このように、XYステージSTによる感材FMの移動、待機、記録する物体光波面情報の空間変調器SLMbの出力、シャッターSHbの一定時間の開放による1要素ホログラムの記録を繰り返すことで、感材FM上に青色の要素ホログラムを配列することができる。
この時点で、赤色、緑色、青色の回折反射波長を有する要素ホログラムを重ねて形成することができるから、カラーのホログラフィック画像を形成できる。
次に、回折反射波長が互いに異なる第1の要素ホログラムと第2の要素ホログラムとで、隣り合う第1の要素ホログラムの間に、第2の要素ホログラムを跨がるように配置する効果について説明する。ここでは、赤色、緑色又は青色の回折反射波長を有する要素ホログラムを第1の要素ホログラムとし、それとは異なる回折反射波長を有する要素ホログラムを第2の要素ホログラムとする。第1の要素ホログラムと第2の要素ホログラムの大きさ及び形状は同じであると好ましいが、互いに異なっていても良い。又、第1の要素ホログラムと第2の要素ホログラムの配列のピッチは同じであると好ましい。
XYステージSTにより感材FMを2次元的に移動させることで、第1の要素ホログラムと第2の要素ホログラムとをタイル状に配置できる。従来は、第1の要素ホログラムの形成時と、第2の要素ホログラムの形成時との間に、XYステージSTを移動させないことで、双方の要素ホログラムを完全に重ねていた。そのため、隣り合う要素ホログラムの間に微小な隙間が生じ、これにより観察者が体積ホログラム記録体を視認したときに、粒状感を覚える恐れがあった。
これに対し、本実施の形態の体積ホログラム記録体によれば、第1の要素ホログラムの形成時と、第2の要素ホログラムの形成時との間に、XYステージSTにより感材FMを、タイル状に配列された要素ホログラムの1ピッチ未満の距離だけ移動させることで、隣り合う第1の要素ホログラムの間に第2の要素ホログラムが介在するか又は跨がるようにしている。つまり、第1の要素ホログラム間の間隙や境界、またはオーバーラップ部分を、第2の要素ホログラムが覆うように配置することによって、光学的に不連続な状態を持つ前述の間隙や境界またはオーバーラップ部分を、別の要素ホログラムにより覆い隠すことができ、係る光学的な不連続性を目立たなくさせ、画像、映像の見栄えを改善することができるのである。
また、従来のように要素ホログラム間の間隙や境界、またはオーバーラップ部分が単独で存在すると、体積ホログラム記録体を形成する感材FMの重合組成物が不連続に形成されることとなり、力学的強度が不均衡になりがちになる。これに対し、第1の要素ホログラム間の間隙や境界、またはオーバーラップ部分を、第2の要素ホログラムが覆うように配置することによって、第1の要素ホログラムの間の間隙、境界またはオーバーラップ部分に跨がるように、第2の要素ホログラムによる重合組成物が跨がって形成されるようになるので、重合組成物が連続して形成されるようになり、力学的強度を均等化させ、体積ホログラム記録体の強度を向上させることができる。
以下に、本発明の体積ホログラム記録体における要素ホログラムの配列の例を、図を参照して説明する。図2は、一例にかかる体積ホログラム記録体の概略図である。図3は、要素ホログラムを形成する順序を示す図である。まず、図3(a)に示すように、正方形である第1の要素ホログラムEM1をX方向とY方向に複数個、タイル状に配列した後、図3(b)に示すように、第1の要素ホログラムEM1上に、同じ正方形状である第2の要素ホログラムEM2をシフトして形成し、更に図3(c)に示すように、次の第2の要素ホログラムEM2を形成する。以下同様である。
このとき、図2(b)に示すように、第1の要素ホログラムEM1に対して、第2の要素ホログラムEM2を、ピッチPの半分(P/2)だけX方向及びY方向にシフトする。これにより、図2(a)に示すように、第1の要素ホログラムEM1及び第2の要素ホログラムEM2の露出した間隙Cはわずかな量であるので、粒状感を抑えることができると共に、機械的強度を増大できる。
図4は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略図である。ここでは図4(b)に示すように、正方形である第1の要素ホログラムEM1を一辺の長さより短いピッチPで配列している。このため、隣り合う第1の要素ホログラムEM1同士は、距離Δだけ重なった状態になる。更に、第1の要素ホログラムEM1に対して、同じ正方形状である第2の要素ホログラムEM2を、距離(P−Δ)/2だけX方向及びY方向にシフトして配置している。これにより、図4(a)に示すように、第1の要素ホログラムEM1及び第2の要素ホログラムEM2の間隙は完全になくなるので、粒状感を抑えると共に、機械的強度を増大できる。
尚、第1の要素ホログラムEM1と第2の要素ホログラムの大きさ及び形状は、すべて同一とすることが好ましい。同一とすることで、第1の要素ホログラムの配列における間隙や境界またはオーバーラップ部分を、第2の要素ホログラムが、体積ホログラム記録体全面に渡って確実に覆うことでき、上述した効果を体積ホログラム記録体全面に渡って発現することができる。すなわち、体積ホログラム記録体全面に渡って均一な画像品質、映像品質を与え、均一な強度向上が発現するのである。
図5は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略図である。ここでは図5(b)に示すように、第1の要素ホログラムEM1と第2の要素ホログラムEM2とを、同じ半径P/2である円形としている。又、第1の要素ホログラムEM1をY方向にピッチPで配列し,且つX方向にピッチP√3/2で互いに重ならないように配列している。一方、第2の要素ホログラムEM2は、第1の要素ホログラムEM1に対してY方向にP/2だけシフトしつつ配列し,且つX方向にP√3/6だけシフトしつつ配列している。これにより、図5(a)に示すように、円形の第1の要素ホログラムEM1及び第2の要素ホログラムEM2を用いながらも、その露出した間隙Cはわずかな量であるので、粒状感を抑えることができると共に、機械的強度を増大できる。
以下、赤色、緑色又は青色の回折反射波長を有する要素ホログラムを第1の要素ホログラムとし、それとは異なる回折反射波長を有する要素ホログラムを第2の要素ホログラムとし、第1のホログラム及び第2のホログラムとは異なる回折反射波長を有する要素ホログラムを第3の要素ホログラムとする。第1の要素ホログラムと第2の要素ホログラムと第3の要素ホログラムの大きさ及び形状は同じであると好ましいが、それぞれ異なっていても良い。
図6は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略図である。図7は、要素ホログラムを形成する順序を示す図である。まず、図7(a)に示すように、正方形である第1の要素ホログラムEM1をX方向とY方向に複数個、タイル状に配列した後、その上にシフトして、同じ正方形状である第2の要素ホログラムEM2を複数個、タイル状に配列して形成する。次いで、図7(b)に示すように、同じ正方形状である第3の要素ホログラムEM3をシフトして形成し、更に図7(c)に示すように、次の第3の要素ホログラムEM3を形成する。以下同様である。
このとき、図6(b)に示すように、第1の要素ホログラムEM1の配列上に、第2の要素ホログラムEM2を、シフト量SXだけX方向にシフトし、且つシフト量SYだけY方向にシフトして配置している。更に、第2の要素ホログラムEM2の配列上に、第3の要素ホログラムEM3を、シフト量SXだけX方向にシフトし、且つシフト量SYだけY方向にシフトして配置している。シフト量SX,SYの倍数は、いずれも要素ホログラムのピッチPとは異なっている。これにより、図6(a)に示すように、第1の要素ホログラムEM1及び第2の要素ホログラムEM2で覆いきれなかった間隙を第3の要素ホログラムEM3により覆うことができるため、より像の粒状感が抑制され、画質が向上する。又、体積ホログラム記録体の強度も更に向上する。
図8は、別の例にかかる体積ホログラム記録体の概略図である。ここでは図8(b)に示すように、第1の要素ホログラムEM1と第2の要素ホログラムEM2と第3の要素ホログラムEM3とを、同じ半径を持つ円形としている。又、第1の要素ホログラムEM1をY方向に所定のピッチで配列し,且つX方向に所定のピッチで配列している。一方、第2の要素ホログラムEM2を、第1の要素ホログラムEM1に対してY方向に所定のシフト量だけシフトしつつ配列し,且つX方向に所定のシフト量だけシフトしつつ配列している。更に、第3の要素ホログラムEM3を、第2の要素ホログラムEM2に対してY方向に所定のシフト量だけシフトしつつ配列し,且つX方向に所定のシフト量だけシフトしつつ配列している。これにより、図8(a)に示すように、円形の第1の要素ホログラムEM1、第2の要素ホログラムEM2及び第3の要素ホログラムEM3をずらして配置することで、要素ホログラムの間隙を抑制して、粒状感を抑えることができると共に、機械的強度を増大できる。
図9は、別の例にかかる要素ホログラムを形成する順序を示す図である。本例では、第1の要素ホログラムEM1、第2の要素ホログラムEM2及び第3の要素ホログラムEM3を一度に感材FM上に形成する。これは、感材FMに対して、赤色レーザー光を照射するときと、緑色レーザー光を照射するときと、青色レーザー光を照射するときとで、集光レンズFL1,FL2の位置又は傾きを変更することで実現できる。これを1組の露光とし、各組の露光毎にXYステージSTにより感材FMを移動させることで、体積ホログラム記録体を形成できる。
より具体的には、図9(a)に示すように、1組目の第1の要素ホログラムEM1、第2の要素ホログラムEM2及び第3の要素ホログラムEM3を形成し、次いでY方向に所定ピッチでシフト行い、図9(b)に示すように、2組目の第1の要素ホログラムEM1、第2の要素ホログラムEM2及び第3の要素ホログラムEM3を形成する。これを繰り返し、続いてX方向へも1ピッチずらして、同様にY方向に所定ピッチでシフトし、以下同様に繰り返すことで、図9(c)に示すように、複数組の第1の要素ホログラムEM1、第2の要素ホログラムEM2及び第3の要素ホログラムEM3を順次形成して、体積ホログラム記録体を形成することができる。
以下、本発明者らは、体積ホログラム記録体としての実施例と比較例を作製した。図10A,10Bに,実施例と比較例にかかるホログラフィックプリントを示す。以下、具体的に説明する。
[ホログラフィックプリント(ステレオグラム)の実施例]
(1)ホログラフィックステレオグラム1(ID.1)の作製
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム面に下記組成の体積ホログラムA作製用感光液を、ブレードコーターを用いて塗布し、20℃、50%RHの環境下で30分間乾燥させて、体積ホログラム前駆体としての感光層を塗設した。かかる感光層の層厚は22μmであった。
(体積ホログラムA作製用感光液の組成)
酢酸ビニル−テトラフルオロエチレン共重合体(酢酸ビニル:テトラフルオロエチレンコポリマー=78:22(質量比))
23.0質量部
フェノールエトキシレートモノアクリレート 2.8質量部
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート 4.0質量部
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FC−430;Fluorad(登録商標) 430;3Mカンパニー製) 0.1質量部
2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル1,1′−ビイミダゾール
0.05質量部
4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール
0.05質量部
下記増感色素1 0.001質量部
下記増感色素2 0.001質量部
下記増感色素3 0.002質量部
2−ブタノン 70.0質量部
作製した感光層面に厚さ20μmの別のポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートし、赤色光源レーザー(647nm)、緑色光源レーザー(532nm)、青色光源レーザー(476nm)により感光性を有する単一層の感材Aを作製した。
係る感材Aを1対のガラス板に挟み込み、発光波長647nm(赤色光)出力10mWのHe−Neレーザー、発光波長532nm(緑色光)出力150mWの半導体励起個体レーザー、発光波長476nm(青色光)出力50mWの半導体励起個体レーザーを搭載した図1の光学系を有するホログラフィックプリンターに設置し、カラーのホログラフィックステレオグラム画像をプリントした。係るホログラフィックステレオグラムは、青色光と緑色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる200μm×200μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)の、2種の要素ホログラムから成る。
まず初めに、青色光、緑色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にブルー、グリーンのホログラフィックステレオグラム画像を記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmであり、感材の移動後に150msecの待機時間を確保し、50msecの露光を行うことで1つの要素ホログラムを記録した。
その後、感材Aに、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録し、カラーのホログラフィックステレオグラム画像を記録した。
係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク200μm×200μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+150μm、Y方向に+150μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は200μmとした。
記録後、係る感材Aをホログラムプリンターから取り出し、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置に60分間配置して全面露光処理をした後、120℃で1時間の熱処理を行うことにより、ホログラフィックステレオグラム1を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム1は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(2)ホログラフィックステレオグラム2(ID.2)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、青色光と緑色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム((第1の要素ホログラム)の、2種の要素ホログラムから成り立つ。
ホログラフィックステレオグラム1の作製に対し、赤色光に対する要素ホログラムの記録条件のマスクを300μm×300μm、XYステージによる感材の移動距離を要素ホログラム毎に300μmにした以外は、同様の操作により、ホログラフィックステレオグラム2を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム2は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(3)ホログラフィックステレオグラム3(ID.3)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、青色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、緑色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる200μm×200μm大の要素ホログラム(第3の要素ホログラム)の、3種の要素ホログラムから成り立つ。
まず初めに、青色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にブルーのホログラフィックステレオグラム画像を記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmである。
その後、感材Aに、緑色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+150μm、Y方向に+150μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は300μmとした。
次いで、感材Aに、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク200μm×200μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+200μm、Y方向に+200μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は200μmとした。
記録後、係る感材Aをホログラムプリンターから取り出し、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置に60分間配置して全面露光処理をした後、120℃で1時間の熱処理を行うことにより、ホログラフィックステレオグラム3を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム3は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(4)ホログラフィックステレオグラム4(ID.4)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、青色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、緑色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第3の要素ホログラム)の、3種の要素ホログラムから成り立つ。
ホログラフィックステレオグラム3の作製に対し、緑色光の要素ホログラムの記録条件のマスクを300μm×300μm、記録開始位置を青色光の要素ホログラムに対してX方向に+100μm、Y方向に+100μm、XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmにし、赤色光の要素ホログラムの記録条件のマスクを300μm×300μm、記録開始位置を青色光の要素ホログラムに対してX方向に+200μm、Y方向に+200μm、XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmにした以外は同様の操作により、ホログラフィックステレオグラム4を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム4は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(5)ホログラフィックステレオグラム5(ID.5)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、青色光の波面情報が含まれる500μm×500μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、緑色光の波面情報が含まれる500μm×500μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる500μm×500μm大の要素ホログラム(第3の要素ホログラム)の、3種の要素ホログラムから成り立つ。
まず初めに、青色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にブルーのホログラフィックステレオグラム画像を記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク500μm×500μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に500μmである。
その後、感材に、緑色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク500μm×500μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+180μm、Y方向に+180μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は500μmとした。
次いで、感材Aに、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク500μm×500μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+360μm、Y方向に+360μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は500μmとした。
記録後、係る感材をホログラムプリンターから取り出し、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置に60分間配置して全面露光処理をした後、120℃で1時間の熱処理を行うことにより、ホログラフィックステレオグラム5を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム5は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(6)ホログラフィックステレオグラム6(ID.6)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、青色光の波面情報が含まれる100μm×100μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、緑色光の波面情報が含まれる100μm×100μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる100μm×100μm大の要素ホログラム(第3の要素ホログラム)の、3種の要素ホログラムから成り立つ。
まず初めに、青色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にブルーのホログラフィックステレオグラム画像を記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク100μm×100μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に30μmである。
その後、感材に、緑色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク100μm×100μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+30μm、Y方向に+30μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は100μmとした。
次いで、感材Aに、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク100μm×100μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+60μm、Y方向に+60μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は100μmとした。
記録後、係る感材をホログラムプリンターから取り出し、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置に60分間配置して全面露光処理をした後、120℃で1時間の熱処理を行うことにより、ホログラフィックステレオグラム6を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム6は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(7)ホログラフィックステレオグラム7(ID.7)の作製
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム面に下記組成の体積ホログラムB作製用感光液1を、ブレードコーターを用いて塗布し、20℃、50%RHの環境下で30分間乾燥させて、体積ホログラム前駆体としての感光層を塗設した。かかる感光層の層厚は15μmであった。
(体積ホログラムB作製用感光液の組成1)
酢酸ビニル−テトラフルオロエチレン共重合体(酢酸ビニル:テトラフルオロエチレンコポリマー=78:22(質量比)) 23.0質量部
フェノールエトキシレートモノアクリレート 2.8質量部
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート 4.0質量部
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FC−430;Fluorad(登録商標) 430;3Mカンパニー製) 0.1質量部
2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル1,1′−ビイミダゾール 0.05質量部
4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール
0.05質量部
下記式で表される増感色素1 0.0021質量部
2−ブタノン 70.0質量部
作製した感光層面に厚さ20μmの別のポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートし、係るポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記組成の体積ホログラムB作製用感光液2を、ブレードコーターを用いて塗布し、20℃、50%RHの環境下で30分間乾燥させて、体積ホログラム前駆体としての感光層を塗設した。かかる感光層の層厚は15μmであった。
(体積ホログラムB作製用感光液の組成2)
酢酸ビニル−テトラフルオロエチレン共重合体(酢酸ビニル:テトラフルオロエチレンコポリマー=78:22(質量比)) 23.0質量部
フェノールエトキシレートモノアクリレート 2.8質量部
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート 4.0質量部
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FC−430;Fluorad(登録商標) 430;3Mカンパニー製) 0.1質量部
2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル1,1′−ビイミダゾール 0.05質量部
4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール
0.05質量部
下記式で表される増感色素2 0.002質量部
2−ブタノン 70.0質量部
さらに作製した感光層面に厚さ20μmの別のポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートし、係るポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記組成の体積ホログラムB作製用感光液3を、ブレードコーターを用いて塗布し、20℃、50%RHの環境下で30分間乾燥させて、体積ホログラム前駆体としての感光層を塗設した。かかる感光層の層厚は15μmであった。
(体積ホログラムB作製用感光液の組成3)
酢酸ビニル−テトラフルオロエチレン共重合体(酢酸ビニル:テトラフルオロエチレンコポリマー=78:22(質量比))
23.0質量部
フェノールエトキシレートモノアクリレート 2.8質量部
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート 4.0質量部
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FC−430;Fluorad(登録商標) 430;3Mカンパニー製)
0.1質量部
2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル1,1′−ビイミダゾール
0.05質量部
4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール
0.05質量部
下記式で表される増感色素3 0.002質量部
2−ブタノン 70.0質量部
作製した感光層面に厚さ20μmの別のポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートし、赤色光源レーザー(647nm)、緑色光源レーザー(532nm)、青色光源レーザー(476nm)により感光性を有する3層構成の感材Bを作製した。
係る3層構成の感材Bを1対のガラス板に挟んだ後、ホログラフィックプリンターに設置し、ホログラフィックステレオグラム4と同様の作業によりホログラフィックステレオグラム7を得た。
係るホログラフィックステレオグラムは、青色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、緑色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)と、赤色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第3の要素ホログラム)の、3種の要素ホログラムから成り立つ。出来上がったホログラフィックステレオグラム7は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(8)ホログラフィックステレオグラム8(ID.8)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、比較例であって、青色光と緑色光と赤色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム1種のみから成り立つ。
感材Aを1対のガラス板に挟み込み、ホログラフィックプリンターに設置した。青色光、緑色光、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にカラーのホログラフィックステレオグラム画像を記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、物体光の視野角40°、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmであり、感材の移動後に150msecの待機時間を確保し、50msecの露光を行うことで1つの要素ホログラムを記録した。出来上がったホログラフィックステレオグラム8は、要素ホログラムの配列がタイル状になっている様子が目視で観察できた。
(9)ホログラフィックステレオグラム9(ID.9)の作製
係るホログラフィックステレオグラムは、比較例であって、青色光と緑色光と赤色光の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム1種のみから成り立つ。ホログラフィックステレオグラム8の作製に対し、感材Aを感材Bに変更した以外は同様の作業により、ホログラフィックステレオグラム9を作製した。出来上がったホログラフィックステレオグラム9は、要素ホログラムの配列がタイル状になっている様子が目視で観察できた。
(粘着層の作製)
厚み50μmのポリプロピレンフィルム上に下記粘着層作製用塗布液を、ダイコーターを用いて塗布した。その後50℃の温風で10分間乾燥して、膜厚1μmとなる粘着層フィルムを得た。
[粘着層作製用塗布液]
アクリル系粘着剤(ニッセツPE−118;日本カーバイド工業株式会社製)
100質量部
メチルエチルケトン 30質量部
トルエン 15質量部
酢酸エチル 15質量部。
先に作製したホログラフィックステレオグラムに、粘着層フィルムを貼合し、100℃で10分間の加熱処理をした後、ポリプロピレンフィルムを剥離し、厚み300μmのカード支持体に貼り付け、カード支持体上に貼付されたホログラフィックステレオグラムを得た。
得られた各ホログラフィックステレオグラムにかかる実施例及び比較例を、以下の基準で評価した。
(目視による画質評価・粒状感)
4:画像に粒状性はない。視点をずらした時の立体画像の変化が滑らかである。
3:画像に若干粒状性が感じられるが、立体画像の変化が滑らかである。
2:画像に若干粒状性が感じられ、視点をずらした時の立体画像変化が一部段階的に感じられる。
1:画像に粒状性が感じられ、視点をずらした時の立体画像の変化が段階的に感じられる。
(強度評価)
得られた各ホログラフィックステレオグラムを、NO.603フィルム曲げ疲労試験機(安田精機製作所製)に仕掛け、曲げ角度90°、曲げ速度60回/分で24時間の疲労試験を行った後、以下の基準で強度評価した。
4:まったく劣化していない。立体画像は元の状態を維持している。
3:一部に弱い亀裂が生じているが、立体画像は元の状態を維持している。
2:一部に強い亀裂が生じているが、立体画像は認識できる。
1:全体に亀裂が生じている。立体画像は認識できない。
評価結果を表1にまとめて示す。
表1の評価結果によれば、要素ホログラムが跨がらない比較例のID.8、9では、画質評価も強度評価も最低レベルであった。これに対し、要素ホログラムが跨がる実施例のID.1〜7では、ID.8、9に比べ画質の向上と強度の向上が見られる。
更に実施例同士の比較では、ID.1とID.2との比較、ID.3とID.4との比較から、各要素ホログラムの大きさが同一である方が、より画質が向上し、且つより強度が向上することが解る。また、ID.1、ID.3とID.2、ID.4との比較より、要素ホログラムの種類が多い方が、画質が向上し、強度が向上することが解る。また、ID.4、5、6から、要素ホログラムの大きさが100μm×100μm〜500μm×500μmの範囲で、十分に高い評価が得られていることが解る。
以下、本発明者らは、体積ホログラム記録体としてのホログラフィックスクリーンの実施例と比較例を作製した。図11に,実施例と比較例にかかるホログラフィックスクリーンを示す。以下、具体的に説明する。
[光学素子(ホログラフィックスクリーン)の例]
(1)ホログラフィックスクリーン1(ID.11)の作製
感材Aを1対のガラス板に挟み込み、発光波長647nm(赤色光)出力10mWのHe−Neレーザー、発光波長532nm(緑色光)出力150mWの半導体励起個体レーザー、発光波長476nm(青色光)出力50mWの半導体励起個体レーザーを搭載した図1の光学系を有するホログラフィックプリンターに設置し、カラーのホログラフィックスクリーンをプリントした。
係るホログラフィックステレオグラムは、観察者の位置方向に青色光と緑色光が回折反射するための波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、同じく赤色光が回折反射する為の波面情報が含まれる200μm×200μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)の、2種の要素ホログラムから成り立つ。
まず初めに、青色光、緑色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にブルー、グリーンのホログラフィックスクリーンを記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmであり、感材の移動後に150msecの待機時間を確保し、50msecの露光を行うことで1つの要素ホログラムを記録した。
その後、同じ感材に、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録し、レッドのホログラフィックスクリーンを記録した。
係る要素ホログラムの記録条件は、参照光の入射角40°、マスク200μm×200μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光、緑色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+150μm、Y方向に+150μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は200μmとした。
記録後、係る感材Aをホログラムプリンターから取り出し、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置に60分間配置して全面露光処理をした後、120℃で1時間の熱処理を行うことにより、カラーのホログラフィックスクリーン1を作製した。出来上がったホログラフィックスクリーン1は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(2)ホログラフィックスクリーン2(ID.12)の作製
係るホログラフィックスクリーンは、青色光と緑色光が回折反射するための波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、赤色光が回折反射するための波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)の、2種の要素ホログラムから成り立つ。
ホログラフィックスクリーン1の作製に対し、赤色光に対する要素ホログラムの記録条件のマスクを300μm×300μm、XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmにした以外は同様の操作により、ホログラフィックスクリーン2を作製した。出来上がったホログラフィックスクリーン2は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(3)ホログラフィックスクリーン3(ID.13)の作製
係るホログラフィックスクリーンは、青色光が回折反射する為の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第1の要素ホログラム)と、緑色光が回折反射する波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第2の要素ホログラム)と、赤色光が回折反射する為の波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム(第3の要素ホログラム)の、3種の要素ホログラムから成り立つ。
まず初めに、青色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にブルーのホログラフィックスクリーンを記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmである。
その後、この感材に、緑色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+100μm、Y方向に+100μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は300μmとした。
次いで、この感材に、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを順次記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。要素ホログラムの記録開始位置を先の青色光の要素ホログラムの記録開始位置よりX方向に+200μm、Y方向に+200μmずらし、要素ホログラム記録毎の感材の移動距離は300μmとした。
記録後、係る感材Aをホログラムプリンターから取り出し、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置に60分間配置して全面露光処理をした後、120℃で1時間の熱処理を行うことにより、ホログラフィックスクリーン3を作製した。出来上がったホログラフィックスクリーン3は、要素ホログラムの配列によるタイル状の模様は認識できなかった。
(4)ホログラフィックスクリーン4(ID.14)の作製
係るホログラフィックスクリーンは、比較例であって、青色光と緑色光と赤色光が回折反射するための波面情報が含まれる300μm×300μm大の要素ホログラム1種のみから成り立つ。
感材Aを1対のガラス板に挟み込み、ホログラフィックプリンターに設置した。青色光、緑色光、赤色光に対する波面情報が含まれる要素ホログラムを各位置に順次記録し、感材一面にカラーのホログラフィックスクリーンを記録した。係る要素ホログラムの記録条件は、参照光の入射角40°、マスク300μm×300μmである。XYステージによる感材の移動距離は要素ホログラム毎に300μmであり、感材の移動後に150msecの待機時間を確保し、50msecの露光を行うことで1つの要素ホログラムを記録した。
出来上がったホログラフィックスクリーン4は、要素ホログラムの配列がタイル状になっている様子が目視で観察できた。
(粘着層の作製)
厚み50μmのポリプロピレンフィルム上に下記粘着層作製用塗布液を、ダイコーターを用いて塗布した。その後50℃の温風で10分間乾燥して、膜厚1μmとなる粘着層フィルムを得た。
[粘着層作製用塗布液]
アクリル系粘着剤(ニッセツPE−118;日本カーバイド工業株式会社製)
100質量部
メチルエチルケトン 30質量部
トルエン 15質量部
酢酸エチル 15質量部。

先に作製したホログラフィックスクリーンに粘着層フィルムを貼合し、100℃で10分間の加熱処理をした後、ポリプロピレンフィルムを剥離し、厚み2mmの透明なアクリルボードに貼り付け、ホログラフィックスクリーンを得た。
得られた各ホログラフィックスクリーンにかかる実施例及び比較例を、以下の基準で評価した。
(目視による映像評価)
得られた各ホログラフィックスクリーンに映像入射角40°を以て投影機からカラー画像を投影し、視聴した映像から、以下の基準で評価した。
4:映像に粒状性はなく、映像に連続性がある。
3:映像に若干粒状性が感じられるが、映像に連続性がある。
2:映像に若干粒状性が感じられ、映像の一部に不連続性が感じられる。
1:映像に粒状性が感じられ、映像に連続性を感じない。
(強度評価)
得られた各ホログラフィックスクリーンについて、高さ1mからの落下を1000回繰り返した後、映像を投影し、以下の基準で強度評価した。
4:スクリーンにまったく劣化はない。映像品質も元の状態を維持している。
3:一部に弱い亀裂が生じているが、映像品質は元の状態を維持している。
2:一部に強い亀裂が生じている。亀裂部分での光の散乱により映像の不連続性を感じる。
1:全体に亀裂が生じている。映像の視聴は困難。
評価結果を表2にまとめて示す。
表2の評価結果によれば、要素ホログラムが跨がらない比較例のID.14では、画質評価も強度評価も最低レベルであった。これに対し、要素ホログラムが跨がる実施例のID.11〜13では、映像品質の向上と強度の向上が見られる。
更にID.11とID.12の比較から、各要素ホログラムの大きさが同一である方が、更に映像品質が向上し、強度が向上していることが解る。また、ID.11とID.13の比較から、要素ホログラムの種類が多い方が、映像品質が向上し、強度が向上していることが解る。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は請求項によって示されている。例えば、第1の要素ホログラムの間に、第2の要素プログラムが常に跨がっている必要はなく、隣り合う第1の要素ホログラムの双方に1つの第2の要素ホログラムが接していれば足りる。又、第3の要素ホログラムを設ける場合、隣り合う第1の要素ホログラムの双方、及び/又は隣り合う第2の要素ホログラムの双方、及び/又は隣り合う第1の要素ホログラムと第2要素ホログラムの双方に、1つの第3の要素ホログラムの少なくとも一部が接していれば足りる。更に、要素ホログラムは、2,3種に限られず、4種以上あっても良い。
BSb ビームスプリッタ
BSg ビームスプリッタ
BSr ビームスプリッタ
CL1b コリメートレンズ
CL1g コリメートレンズ
CL1r コリメートレンズ
DMb ダイクロイックミラー
DMg ダイクロイックミラー
EM1 第1の要素ホログラム
EM2 第2の要素ホログラム
EM3 第3の要素ホログラム
FL1,FL2 集光レンズ
FM 感材
LDb 青色レーザー光源
LDg 緑色レーザー光源
LDr 赤色レーザー光源
MR1-MR4 ミラー
RM 反射ミラー
SHb シャッター
SHg シャッター
SHr シャッター
SLMb 空間変調器
SLMg 空間変調器
SLMr 空間変調器
ST XYステージ

Claims (6)

  1. 複数の第1の要素ホログラムと、前記第1の要素ホログラムとは回折反射波長が異なる複数の第2の要素ホログラムとを配列した体積ホログラム記録体であって、
    隣り合う前記第1の要素ホログラムの双方に、1つの前記第2の要素ホログラムの少なくとも一部が跨がっている体積ホログラム記録体。
  2. 前記第1の要素ホログラムと第2の要素ホログラムとは、互いに等しい大きさ及び形状を有する請求項1に記載の体積ホログラム記録体。
  3. 前記体積ホログラム記録体が、ホログラフィックプリントである請求項1又は2に記載の体積ホログラム記録体。
  4. 前記体積ホログラム記録体が、光学素子である請求項1又は2に記載の体積ホログラム記録体。
  5. 前記体積ホログラム記録体が、ホログラフィックスクリーンである請求項4に記載の体積ホログラム記録体。
  6. 更に、前記第1の要素ホログラム及び前記第2の要素ホログラムとは回折反射波長が異なる複数の第3の要素ホログラムを配列しており、隣り合う前記第1の要素ホログラムの双方、及び/又は隣り合う前記第2の要素ホログラムの双方、及び/又は隣り合う前記第1の要素ホログラムと前記第2要素ホログラムの双方に、1つの前記第3の要素ホログラムの少なくとも一部が接している請求項1〜5のいずれかに記載の体積ホログラム記録体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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