例えば、ある種の電源ジャックは、絶縁性のハウジングと、このハウジングに組み込まれた導電性の一組のコンタクトを備えており、この一組のコンタクトは、この電源ジャックが取り付けられる機器内部の電源回路に接続される専用のリード線を圧着により接続する圧着部を備えている。これらの一組のコンタクトは、一方が正極であり、他方がアースの関係でハウジングに配置されている。
しかしながら、このような電源ジャックに対して、アース用のコンタクトがリード線を介して機器内部の電源回路に接続されると共に、アース用のコンタクトがパネルにアース接続されることが求められる場合がある。又、この電源ジャックを構成するハウジングの一面にナットが回転しないように保持され、このナットによって電源ジャックを機器(多くの場合はパネル)に固定することが求められる場合がある。
又、ある種の多極の電気コネクタは、絶縁性のハウジングと、このハウジングに組み込まれた導電性の複数のコンタクトを備えており、この複数のコンタクトは、この多極の電気コネクタが取り付けられる機器内部の回路に接続される専用のリード線を圧着により接続する圧着部を備えている。これらの複数のコンタクトは、少なくとも一つ以上のアース用のコンタクトを有している。
そして、前述と同様に、このような多極の電気コネクタに対して、アース用のコンタクトがリード線を介して機器内部の回路に接続されると共に、アース用のコンタクトがパネルにアース接続されることが求められる場合がある。又、この多極の電気コネクタを構成するハウジングの一面にナットが回転しないように保持され、このナットによって多極の電気コネクタを機器(多くの場合はパネル)に固定することが求められる場合がある。
このような要求に対応する電気コネクタは、アース用のコンタクト及び機器に取り付け用のナットをハウジングに組み込むとき、組立作業の容易性が求められる。更に、いったん組み立てられたコンタクト及びナットがその本来の機能を発揮しつつ、機器への取り付けが容易であることが求められる。すなわち、これらが本発明の課題といってよい。
図26は、特許文献1によるアース金具つきジャックの取り付け状態を示す図であって、図26(A)は正面図、図26(B)は一部を断面で表わした側面図である。本願の図26は、特許文献1の図2に相当している。
図26において、ジャック71は、外形がほぼ直方体をなすハウジング部71dとハウジング部71dの1端面から突き出た円筒状のハウジング筒部71cとを備えている。ハウジング筒部71cには、中心軸と同軸で円筒状のプラグ挿入孔71eを備えている。
ハウジング部71dには、プラグ挿入孔71eに挿入された不図示のプラグと接触するための端子を収容する空所を備えている。ハウジング筒部71cの円筒状の表面には、薄い導体板で形成された筒部外周金具75が嵌合してジャック筒部71aを形成し、更に金具75の一端はジャックフランジ面71bを形成するとともに、ハウジング部71dを部分的に覆い、その端部は機器の基板74に、はんだで接合されている。ジャック71は更に機器の基板74に固定されている。
アース金具73は、図26に示すように、ジャック71に装着され、ジャック71とパネル72との間に挟み込まれたとき、ジャック筒部71a及びパネル72と接触して、ジャック71とパネル72とを電気的に接続し、アース金具73を介して両者の間のアースを取ることができる。
図26に示されたジャック71は、アンテナジャックと推定され、薄い導体板で形成された筒部外周金具75をアース用のコンタクトとして露出している。一方、電源ジャックは、一般的に、アース用のコンタクトを含むコンタクトをハウジングで囲み、安全性などの面からコンタクトが容易に人体に触れない構造としている。
このようなコンタクトがハウジングで囲まれた電源ジャックに対しても、前記課題を解決することが求められる。
図27は、特許文献2による電気コネクタの実施例における要部の斜視分解組立図である。本願の図27は、特許文献2の図8に相当している。
図27において、電気コネクタ80は、所定本数のコンタクトピンを内蔵したモールド基体81と、モールド基体81の外周面を覆うように被せられたシールドケース82と、を備えている。モールド基体81の両側部に接続相手の電気コネクタの嵌合方向に沿ってボルト螺入穴815が形成されると共に、ボルト螺入穴815に直交するようにボルトが螺合する四角ナット84が嵌挿される矩形収納部816が形成されている。矩形収納部816内にシールドケース82に延設された接続舌片828が挿入されて、接続舌片828が四角ナット84に接触される。
図27に示された多極の電気コネクタ80は、プリント基板用の電気コネクタであって、図示されないプリント基板は、モールド基体81の下方に配置されている。そして、コンタクトピンとアースされるシールドケース82の足部824がこのプリント基板に、はんだ接合されている。
図27に示された多極の電気コネクタ80は、アースされるべきシールドケース82がパネルへの固定用の四角ナット84に接触するように組み込まれているので、パネルへのアース接続と取り付けを容易としている。
しかしながら、図27のコンタクトはプリント基板に、はんだ接合されており、本発明の電気コネクタが求めるところの、リード線が圧着されているアース用のコンタクトがパネルにアース接続されることは実現されていない。
図28は、特許文献3によるアースジョイントコネクタのハウジングを金属パネルに取り付ける構造を示す斜視図である。本願の図28は、特許文献1の図9に相当している。
図28において、アースジョイントコネクタJCは、ハウジング93内にアース端子95が装着されてアース板952が外部に突出しており、アース板952が、金属パネル98に設けられたナット983とボルト987とで締め付けられて、取付面981に固定される。
ナット983から所定方向に所定距離だけ離間した位置に、断面長方形の取付孔985が開口される。ハウジング93の下面にはクリップ97が形成され、その形成位置は、クリップ97とアース板952の挿通孔953との配置関係が、金属パネル98における取付孔985とナット983との配置関係と対応する位置に形成される。
クリップ97を取付孔985に差し込んで、ハウジング93を金属パネル98に取り付けると、アース板952の挿通孔953がナット983と整合した位置に位置決めされ、直ちにボルト987の締め付け作業が行える。
図28に示されたアースジョイントコネクタJCは、パネルへのアース接続と取り付けを容易としている。しかしながら、本発明の電気コネクタが求めるところの、リード線が圧着されているアース用のコンタクトがパネルにアース接続されることは実現されていない。
本発明は、上述した課題を解決すべく、圧着部にリード線が接続されるコンタクトを有し、アース用の前記コンタクトがパネルにアース接続され、ハウジングに保持されるナットによってパネルに固定される電気コネクタであって、前記アース用のコンタクト及び前記ナットを容易にハウジングに組立可能とする構造を有する電気コネクタを提供することを目的とする。
発明者は、前記目的を満たすため、アース用の圧着部付きコンタクトに接触手段を設け、この接触手段が導電性のナットに接触する構造とし、以下のような新たな電気コネクタを発明した。
(1) 絶縁性のハウジングと、このハウジングに組み込まれる複数の導電性のコンタクトと、このハウジングに保持される1以上の導電性のナットと、を備え、前記ハウジングは、相手側電気コネクタの挿入方向に向って前記複数のコンタクトが挿入されるコンタクト挿入室と、当該複数のコンタクトが挿入される方向に向って平行に前記ナットが挿入されると共に、当該ナットの回転が抑止される切り欠き溝と、を有し、前記複数のコンタクトは、リード線を圧着により接続する圧着部と、このリード線が前記ハウジングから延出するように前記コンタクト挿入室に挿入されるコンタクト本体と、を有し、前記ナットは、当該ナットが挿入される方向と直交する方向から締結可能に前記切り欠き溝に保持され、この切り欠き溝は、隣接する前記コンタクト挿入室に連通しており、前記複数のコンタクトの内、アース用のコンタクトは、前記切り欠き溝に保持された前記ナットを押圧する接触手段を有し、当該アース用のコンタクトは、前記切り欠き溝に隣接するコンタクト挿入室に挿入されて、前記接触手段が前記ナットに接触することを特徴とする電気コネクタ。
第1の発明による電気コネクタは、絶縁性のハウジングを備えている。このハウジングは、相手側電気コネクタの挿入方向に向って前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入室が設けられている。又、このハウジングは、当該コンタクトが挿入される方向に向って平行に前記ナットが挿入されると共に、当該ナットの回転が抑止される切り欠き溝が設けられている。
絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、例えば、PPS(polyphenylene sulfide)やPBT(polybutylene terephthalate)などのエンジニアリングプラスチックを成型して、絶縁性のハウジングを得ることができる。
コンタクト挿入室は、複数のコンタクトが挿入される開口を有しており、この開口から複数のコンタクトが相手側電気コネクタの挿入方向に向って挿入される。ここで、ハウジングは、相手側電気コネクタと対向する面を表面(オモテ面)と呼称し、この表面と対向する面を裏面(ウラ面)と呼称するのであれば、前記開口は裏面に設けられる。
コンタクト挿入室は、複数のコンタクトを保持又は収納する場所を含む空間であって、ハウジング内に形成されるものを含んでよい。複数のコンタクトはその一部が、コンタクト挿入室に挿入、保持、収納等により配置されてよい。
切り欠き溝は、ハウジングの外面に設けられるものであってよく、前記裏面から前記表面に向って設けられる。この切り欠き溝は、例えば、「U」の字状に形成されてもよい。この切り欠き溝は、ナットの配置数に対応して設けられてよく、1つの切り欠き溝の場合を含み、2つ以上の切り欠き溝の場合を含んでよい。ナットの回転が抑止されるとは、ナットの軸回りの回転が抑止されることであってよい。
第1の発明による電気コネクタは、ハウジングに組み込まれる複数の導電性のコンタクトを備えている。このコンタクトは、リード線を圧着により接続する圧着部を有している。このリード線がハウジングから延出されるようにコンタクト挿入室に挿入される。このコンタクトは、リード線が圧着部に圧着された状態でコンタクト挿入室に挿入されている。そして、このコンタクトは、リード線がハウジングから延出されるように、ハウジングに組み込まれている。
導電性のコンタクトは、導電性の材料からなるコンタクトのことであってよく、導電性の金属からなることが好ましい。例えば、このコンタクトは、銅、鉄、アルミニウムなどの金属板を成型加工して得ることができる。加工容易性や導電性能(低電気抵抗)の上から、このコンタクトは、銅が使用されることが好ましい。
リード線とは、例えば、この電気コネクタが取り付けられる電気機器に内装される回路に接続されるリード線であってよい。リード線は導電性の芯材に絶縁性の被膜材が覆われた電線である。リード線は単線であってよく、2本以上の複線であってもよい。
リード線を圧着により接続するというのは、一般に圧着端子において端子の部材の一部をリード線等の芯材を包み込むようにして折り曲げてその芯材を固定する圧着部を設け、この固定により電気的(時に、及び機械的)に接続することであってよい。圧着部には、いわゆる、コンダクタグリップが設けられてよい。又、リード線をその被覆材の上から包み込むようにして折り曲げてリード線を機械的に固定することを含んでいてよい。圧着部には、いわゆる、インシュレーショングリップが設けられてよい。
そして、コンタクトの圧着部にリード線が圧着された後に、このコンタクトは、コンタクト挿入室に挿入される。コンタクトがコンタクト挿入室に挿入された状態では、リード線がハウジングから延出されている。
リード線がハウジングから延出されているとは、例えば、コンタクトの挿入方向と対向する側にリード線が平行に延出される場合を含み、コンタクトの圧着部が折り曲げられて、コンタクトの挿入方向と直交する方向にリード線が延出される場合を含んでもよい。なお、リード線は圧着部から所定長さに予め切断されている。
第1の発明による電気コネクタは、ハウジングに保持される1以上の導電性のナットを備えている。このナットは、当該ナットが挿入される方向と直交する方向から締結可能に切り欠き溝に保持されている。このナットは、機器に固定されるためのナットである。このナットは、ハウジングの他方の面から一方の面に向けて形成される切り欠き溝に挿入されている。そして、このナットは、回転が抑止されるように切り欠き溝に保持される。
このナットは、例えば、六角ナットでよく、四角ナットでもよく、円形の外周の対向する2辺が弦となるよう円弧が切り落とされた特殊ナットでもよい。このナットは、切り欠き溝に挟持されて回転が抑制される対向する2辺を有していればよい。このナットは、切り欠き溝に挿入する自由度を確保するためには、六角ナットが好ましく、締め付け力を確保するために、プリベリングトルク形(高トルク形)六角ナットとしてもよい。
このナットを備える電気コネクタは、例えば、機器に備わるパネルの内側に取り付け金具を設け、この取り付け金具を介してねじなどの締結具で電気コネクタを固定することができる。締め付け力を確保するためには、このナットは金属ナットが好ましい。そして、導電性のナットとパネルを導通できる。
第1の発明による電気コネクタは、切り欠き溝が隣接するコンタクト挿入室に連通している。又、複数のコンタクトの内、アース用のコンタクトはこの切り欠き溝に保持されたナットを押圧する接触手段を有している。そして、このアース用のコンタクトは、切り欠き溝に隣接するコンタクト挿入室に挿入されて、接触手段がナットに接触する。
切り欠き溝が隣接するコンタクト挿入室に連通しているとは、切り欠き溝と隣接するコンタクト挿入室との間に通路が設けられて、連続状態になっていることを意味している。そして、この通路は接触手段が通過できるように、アース用のコンタクトの挿入方向に向って開口されていることが好ましい。
アース用のコンタクトが有する接触手段は、例えば、爪・ボール・ボス(突起)などの形状をしたディテントであってよく、切り欠き溝に隣接するコンタクト挿入室に挿入されたアース用のコンタクトは、切り欠き溝と隣接するコンタクト挿入室との間に設けられたこの通路を介して、ナットに接触する。
このように、第1の発明は、圧着部にリード線が接続されるコンタクトを有し、アース用の前記コンタクトがパネルにアース接続され、ハウジングに保持されるナットによってパネルに固定される電気コネクタであって、アース用の圧着部付きコンタクトにナットを押圧する接触手段が設けられている。
又、ナットを保持する切り欠き溝は、隣接するコンタクト挿入室に連通しており、当該切り欠き溝に隣接するコンタクト挿入室にアース用のコンタクト挿入すると、ハウジングに保持されたナットに前記接触手段が接触する。そして、アース用のコンタクトはナットを介してパネルにアース接続される。
このように、第1の発明による電気コネクタは、アース用のコンタクト及びパネルにアース接続されるナットを容易にハウジングに組立可能とする構造を有している。
(2) (1)記載の電気コネクタにおいて、前記接触手段は、前記アース用のコンタクトの前記コンタクト本体に設けられた楔状に隆起する板ばね片であることを特徴とする電気コネクタ。
第2の発明による電気コネクタは、コンタクトがこの電気コネクタに接続される相手側電気コネクタのコンタクトと接触するコンタクト本体を含んでいる。そして、ナットを押圧する接触手段は、アース用のコンタクトのコンタクト本体に設けられた楔状に隆起する板ばね片となっている。
圧着部にリード線が圧着されるコンタクトは、当該圧着部とコンタクト本体に区分できる。このようなコンタクトは、一般に、圧着部とコンタクト本体が一体で成形される。第2の発明によるコンタクトは、圧着部とコンタクト本体が金属板から一体で成形されることが好ましく、コンタクト本体は、例えば、中空柱状や平形端子状など形状とすることができる。そして、アース用のコンタクトのコンタクト本体に、楔状に隆起する板ばね片が例えば、プレス加工により成形されてもよい。
楔状に隆起する板ばね片の先端部を後方と表現し、当該板ばね片のコンタクト本体からの屈折部位を前方と表現するならば、コンタクト挿入室に挿入されるアース用のコンタクトにおける板ばね片は、前方から後方に向けて隆起していると考えられてよい。
そして、アース用のコンタクトがコンタクト挿入室に挿入されると、板ばね片はナットに当接してコンタクト本体側に撓む。アース用のコンタクトがコンタクト挿入室に完全に挿入された状態では、板ばね片はナットを常時、押圧している。
このような楔状に隆起する板ばね片が設けられたアース用のコンタクトは、ハウジングへの挿入を容易としている。又、アース用のコンタクトとナットとの接触導通を確実なものとしている。更に、ナットが振動などでハウジングの所定に位置から移動することを防止可能としている。
(3) 略直方体形状の絶縁性のハウジングと、このハウジングに組み込まれる導電性の第1コンタクト及び第2コンタクトと、前記ハウジングに保持され、機器に固定されるための導電性のナットと、を備え、ハウジングは、相手側電気コネクタが挿入されるためのコネクタ挿入口が一方の面に開口し、このコネクタ挿入口を開口とする第1コンタクト挿入室及び第2コンタクト挿入室と、前記コネクタ挿入口と対向する他方の面に設けられ、前記第1コンタクト挿入室及び前記第2コンタクト挿入室が連通する第1コンタクト挿入開口及び第2コンタクト挿入開口と、前記他方の面から前記一方の面に向けて形成され、前記第2コンタクト挿入室に連通する切り欠き溝であって、前記ナットの回転を抑制するように当該ナットを挟持すると共に、前記ナットが挿入される方向と直交する方向から締結可能に当該ナットを保持する切り欠き溝と、を有し、前記第1コンタクトは、第1リード線を圧着により接続する第1圧着部と、前記第1リード線を前記第1圧着部に圧着した状態で当該第1リード線が前記他方の面から延出されるように、前記第1コンタクト挿入開口から前記第1コンタクト挿入室に挿入される第1コンタクト本体と、を有し、前記第2コンタクトは、第2リード線を圧着により接続する第2圧着部と、前記第2リード線を前記第2圧着部に圧着した状態で当該第2リード線が前記他方の面から延出されるように、前記第2コンタクト挿入開口から前記第2コンタクト挿入室に挿入される第2コンタクト本体と、を有し、前記第2コンタクト本体は、弾性可動接触子を設ける断面形状がJ字型となる矩形の背面板と、この背面板の両翼からL字状に前記弾性可動接触子の形成方向に延びて対向する一対のガイド板と、を含み、一方の前記ガイド板は、前記切り欠き溝に保持された前記ナットを押圧する接触手段を有し、前記第2コンタクト本体は、前記切り欠き溝に隣接する第2コンタクト挿入室に挿入されて、前記接触手段が前記ナットに接触することを特徴とする電気コネクタ。
第3の発明による電気コネクタは、略直方体形状の絶縁性のハウジングを備えている。このハウジングは、相手側電気コネクタが挿入されるためのコネクタ挿入口が一方の面に開口している。又、このハウジングは、このコネクタ挿入口を開口とする第1及び第2のコンタクト挿入室が設けられている。更に、このハウジングは、前記コネクタ挿入口と対向する他方の面に第1及び第2コンタクト挿入開口が設けられている。この第1及び第2コンタクト挿入開口は第1及び第2のコンタクト挿入室に連通している。
コネクタ接続開口は、ハウジング外部より相手側電気コネクタが挿入される開口であってよく、相手側電気コネクタが挿入されるための面積又は外形を有していればよい。又、例えば、コネクタ接続開口は、相手側電気コネクタが挿入されるときにのみ開く開口であってもよく、例えば、ヒンジで結合された扉で開口が密閉され、相手側電気コネクタが挿入されるのと連動して前記扉が開く機構を備えた開口を含んでよい。
コネクタ接続開口は、相手側電気コネクタの挿入端に適合する形状が好ましく、例えば、円形であってもよく、正四角形を含む矩形であってもよい。コネクタ接続開口が円形の場合は、コンタクト挿入室は概円柱形状の空間となってよく、コネクタ接続開口が矩形の場合は、コンタクト挿入室は概直方体状の空間となってもよい。コネクタ接続開口が円形であって、コンタクト挿入室は概直方体状の空間となってもよい。
一方の面とは、相手側電気コネクタが挿入される側の面であって、例えば、この一方の面がパネルから露出してもよく、コネクタ接続開口以外の一方の面がこのパネルで遮蔽されてもよい。一方の面は、平面であってもよく、凹凸が形成される場合も一方の面に含まれる。例えば、円形のコネクタ接続開口を内円とする筒体が一方の面から突出形成される場合も、一方の面に含まれる。一方の面は表面(オモテ面)と呼称される場合もある。又、コネクタ挿入口と対向する他方の面は裏面(ウラ面)と呼称される場合もある。
第1及び第2のコンタクト挿入室は、第1及び第2コンタクトをそれぞれ保持又は収納する場所を含む空間であって、ハウジング内に形成されるものを含んでよい。第1及び第2コンタクトはその一部が、第1及び第2のコンタクト挿入室に挿入、保持、収納等により配置されてよい。
第1及び第2のコンタクト挿入室にそれぞれ連通する第1及び第2のコンタクト挿入開口は、第1及び第2コンタクトが挿入できる断面形状を有していることが好ましい。第1及び第2のコンタクト挿入開口を開口とする第1及び第2のコンタクト挿入室は、第1及び第2コンタクトを部分的に保持する幅(厚さ)を有する空間であって、ハウジング内に形成されるものが含まれる。
第3の発明による電気コネクタは、導電性の第1及び第2コンタクトを備えている。これら第1及び第2コンタクトは、リード線を圧着により接続する第1及び第2の圧着部をそれぞれ有している。
これら第1及び第2コンタクトは、例えば、リード線が第1及び第2の圧着部にそれぞれ圧着された状態で第1及び第2のコンタクト挿入開口から第1及び第2のコンタクト挿入室に挿入されている。そして、これら第1及び第2コンタクトは、リード線が他方の面から延出されるように、ハウジングに組み込まれている。
後述するように、第3の発明による電気コネクタは、第2コンタクトをアース用のコンタクトとしている。又、このアース用の第2コンタクトは、リード線と第2の圧着部において圧着により接続された弾性可動接触子を有する断面形状がJ字型となるJ字型コンタクトとしている。
例えば、第1コンタクトは、リード線と第1の圧着部において圧着により接続された中空であって柱形状をしている中空柱形状コンタクトとしてもよく、中空柱形状コンタクトは、例えば、板材をプレス等により折り曲げて筒状にしたもののように、柱の中が空洞になった形状を含む形態をとることができる。このようなコンタクトが2極の電気コネクタは、例えば、電源ジャックが該当する。
第3の発明による電気コネクタは、導電性のナットを備えている。このナットは、機器に固定されるためのナットである。このナットは、ハウジングの他方の面から一方の面に向けて形成される切り欠き溝に挿入されている。そして、このナットは、回転が抑制されるように切り欠き溝に挟持されている。
このナットは、当該ナットが挿入される方向と直交する方向から締結可能に切り欠き溝に保持されている。このナットを備える電気コネクタは、例えば、機器に備わるパネルの内側に取り付け金具を設け、この取り付け金具を介してねじなどの締結具で電気コネクタを固定することができる。締め付け力を確保するためには、このナットは金属ナットが好ましい。そして、導電性のナットとパネルを導通できる。
第3の発明による電気コネクタは、切り欠き溝が隣接する第2のコンタクト挿入室に連通している。この切り欠き溝が隣接する第2のコンタクト挿入室に連通しているとは、切り欠き溝と隣接する第2のコンタクト挿入室との間に通路が設けられて、連続状態になっていることを意味している。そして、この通路は後述する接触手段が通過できるように、アース用の第2コンタクトの挿入方向に向けて開口されていることが好ましい。
第1及び第2コンタクトの内、アース用の第2コンタクトは、リード線と第2の圧着部において圧着により接続された弾性可動接触子を有する断面形状がJ字型となる第2コンタクトを含んでいる。
この第2コンタクトのコンタクト本体は、J字型の主縦断面を構成する矩形の背面板を有している。又、この矩形の背面板の両翼からL字状に弾性可動接触子の形成方向に延びる対向する一対のガイド板を有している。そして、第2コンタクトにおける一方のガイド板は、切り欠き溝に保持されたナットを押圧する接触手段を有している。
第2のコンタクト挿入開口は、第2コンタクトを当該第2のコンタクト挿入室に挿入するように開口し、この第2コンタクトのコンタクト本体は、切り欠き溝に隣接する第2のコンタクト挿入室に挿入されて、一方のガイド板の接触手段がナットに接触する。
アース用の第2コンタクトが有する接触手段は、例えば、爪・ボール・ボス(突起)などの形状をした一方のガイド板に設けられたディテントであってよく、切り欠き溝に隣接する第2のコンタクト挿入室に挿入されたアース用の第2コンタクトは、切り欠き溝と隣接する第2のコンタクト挿入室との間に設けられて通路を介して、ナットに接触する。
このように、本発明は、第1及び第2の圧着部にリード線が接続される第1及び第2コンタクトを有し、アース用の第2コンタクトがパネルにアース接続され、ハウジングに保持されるナットによってパネルに固定される電気コネクタであって、アース用の圧着部付き第2コンタクトにナットを押圧する接触手段が設けられている。
又、ナットを保持する切り欠き溝は、隣接する第2のコンタクト挿入室に連通しており、当該第2のコンタクト挿入室にアース用の第2コンタクトを挿入すると、ハウジングに保持されたナットに前記接触手段が接触する。そして、アース用の第2コンタクトはナットを介してパネルにアース接続される。
このように、第3の発明による電気コネクタは、アース用の第2コンタクト及びパネルにアース接続されるナットを容易にハウジングに組立可能とする構造を有している。
(4) (3)記載の電気コネクタにおいて、前記接触手段は、一方の前記ガイド板から楔状に隆起する板ばね片であることを特徴とする電気コネクタ。
第4の発明による電気コネクタは、第2コンタクトが、この電気コネクタに接続される相手側電気コネクタのコンタクトと接触する第2コンタクト本体を含んでいる。そして、ナットを押圧する接触手段は、第2コンタクトにおける一方のガイド板に設けられた楔状に隆起する板ばね片となっている。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の電気コネクタにおいて、一片と他片で略L字形状に構成され、前記一片が前記切り欠き溝を閉塞し、前記他片が前記ハウジングの他方の面を閉塞するカバーを備えることを特徴とする電気コネクタ。
第5の発明による電気コネクタは、カバーを備えている。このカバーは一片と他片で略L字形状に構成されている。このカバーの一片はナットが保持される切り欠き溝を閉塞する。このカバーの他片はハウジングの他方の面を閉塞する。
このカバーがハウジングの切り欠き溝及び他方の面を閉塞するというのは、少なくともこれら部位がカバーで覆われることにより、外部からこれら部位が見えなくなったり、外部からこれら部位が電気的又は物理的に接触できなくなることを含んでよい。
このカバーは、ハウジングと同じく非導電性の材料からなることが好ましく、非導電性の材料であれば、ハウジングと同材質であることに限定されない。このカバーは、例えば、エンジニアリングプラスチックを成型して、略L字形状のカバーを得ることができる。
第5の発明による電気コネクタは、例えば、第1及び第2のコンタクト挿入開口が設けられるハウジングの他方の面に、一対のガイド溝が設けられる。この一対のガイド溝は互いに対向しており、更に、この一対のガイド溝は、切り欠き溝が形成される第1側面からこの第1側面に対向する第2側面に至っている。
この一対のガイド溝は、例えば、方形に形成されており、ハウジングの他方の面から一対のL字状辺が隆起されて、この一対のガイド溝が形成される。他方の面の一部はこの一対のガイド溝を含んでいる。
第5の発明による電気コネクタは、例えば、カバーの他片の一端部側にリード線が延出可能なリード線挿通溝が設けられる。そして、カバーの他片の両端が一対のガイド溝にスライド可能に嵌合される。
更に、第5の発明による電気コネクタは、このカバーの他片の両端は櫛歯状の凹凸部が形成される一方、この一対のガイド溝を形成する対向する両辺はカバーの凹凸部に対応する櫛歯状の凹凸部が形成される。そして、カバーの他片をハウジングの他方の面に向ってリード線の延出方向と平行に移動するときに、カバーの他片の両端が一対のガイド溝に侵入可能となる。
ここで、このカバーの他片の両端は複数の凹部が形成されると考えられてよく、前記凹部間が凸部を形成すると考えられてよい。そして、この複数の凸部の先端面は揃っており、この先端面がガイド溝のスライド面をなしていると考えられてよい。
一方、この一対のガイド溝を形成する対向する両辺は、カバーの他片の両端に形成された複数の凸部に対応した複数の凹部が形成されると考えられてよく、前記凹部間が凸部を形成すると考えられてよい。そして、当該両辺に形成されて凹部の底面は、当該ガイド溝のスライド面に一致していてもよい。
このように構成された第5の発明による電気コネクタは、以下の手順でハウジングにカバーが装着される。なお、第1及び第2コンタクトとナットは予めハウジングに装着されており、リード線はハウジングの他方の面から延出されている。
最初に、カバーの他片に形成されたリード線挿通溝にリード線が囲まれるように、カバーとハウジングを配置する。このとき、カバーの一片の先端は、一定の間隔を有して、ナットが保持される切り欠き溝に対向している。又、カバーの他片は、一定の間隔を有して、ハウジングの他方の面に対向している。
次に、カバーの他片とハウジングの他方の面を相互に近づけ、カバーの他片の両端を一対のガイド溝に侵入させる。この間、リード線はリード線挿通溝に囲まれている。
次に、カバーを第1側面から第2側面に向って所定距離スライドさせる。そして、ハウジングの一対のガイド溝にカバーの他片の両端がスライドして嵌合した状態では、カバーの一片はナットが保持される切り欠き溝を閉塞し、カバーの他片はハウジングの他方の面を閉塞する。
(6) 絶縁性のハウジングと、このハウジングに組み込まれる複数の導電性の第3コンタクトと、このハウジングに保持される一対の導電性のナットと、を備え、前記ハウジングは、相手側電気コネクタの挿入方向に向って前記第3コンタクトが挿入されると共に、並設される複数の第3コンタクト挿入室と、当該ハウジングの両端部に設けられ、当該第3コンタクトが挿入される方向と平行に前記ナットが挿入されると共に、当該ナットの回転が抑止される一対の切り欠き溝と、を有し、前記第3コンタクトは、第3リード線を圧着により接続する第3圧着部と、前記第3リード線が前記ハウジングから延出されるように前記第3コンタクト挿入室に挿入される第3コンタクト本体と、を有し、前記一対のナットは、当該一対のナットが挿入される方向と直交する方向から締結可能に前記一対の切り欠き溝に保持され、前記一対の切り欠き溝は、隣接する前記第3コンタクト挿入室に連通しており、前記複数の第3コンタクトの内、アース用の第3コンタクトは前記切り欠き溝に保持された前記ナットを押圧する接触手段を有し、当該アース用の第3コンタクトは、前記切り欠き溝に隣接する第3コンタクト挿入室に挿入されて、前記接触手段が前記ナットに接触することを特徴とする電気コネクタ。
第6の発明による電気コネクタは、絶縁性のハウジングを備えている。このハウジングは、相手側電気コネクタの挿入方向に向って第3コンタクトが挿入されると共に並設される複数の第3のコンタクト挿入室が設けられている。又、このハウジングは、第3コンタクトが挿入される方向と平行にナットが挿入されると共にナットの回転が抑止される一対の切り欠き溝が両端部に設けられている。
第3のコンタクト挿入室は、複数の第3コンタクトが挿入される開口を有しており、この開口から複数の第3コンタクトが相手側電気コネクタの挿入方向に向って挿入される。ここで、ハウジングは、相手側電気コネクタと対向する面を表面(オモテ面)と呼称し、この表面と対向する面を裏面(ウラ面)と呼称するのであれば、前記開口は裏面に設けられる。
第3のコンタクト挿入室は、複数の第3コンタクトを保持又は収納する場所を含む空間であって、ハウジング内に形成されるものを含んでよい。複数の第3コンタクトはその一部が、第3のコンタクト挿入室に挿入、保持、収納等により配置されてよい。
ここで、第3コンタクトが複数の第3のコンタクト挿入室に並設されるとは、複数の第3コンタクトを近接させて一列に揃え、並べて設けられる状態を意味している。又、後述するように、一対の切り欠き溝が、隣接する第3のコンタクト挿入室に連通する以外は、複数の第3のコンタクト挿入室は相互に隔絶されている。
一対の切り欠き溝は、ハウジングの外面に設けられるものであってよく、前記裏面から前記表面に向って設けられる。この一対の切り欠き溝は、例えば、「U」の字状に形成されてもよい。ナットの回転が抑止されるとは、ナットの軸回りの回転が抑止されることであってよい。
一対の切り欠き溝がハウジングの両端部に設けられるとは、例えば、角形コネクタにおいて、ハウジングの裏面を形づくる4辺を、対向する長辺と対向する短辺で形成し、前記短辺を有する一対の側面に一対の切り欠き溝が相反するように設けられる第1の配置が考えられてよい。又、前記長辺を有する一方の側面の両端部に一対の切り欠き溝が設けられる第2の配置が考えられてもよい。
第6の発明による電気コネクタは、このハウジングに組み込まれる複数の導電性の第3コンタクトを備えている。この第3コンタクトは、リード線を圧着により接続する第3の圧着部を有している。このリード線がハウジングから延出されるように第3のコンタクト挿入室に挿入される。この第3コンタクトは、リード線が圧着部に圧着された状態で第3のコンタクト挿入室に挿入されている。そして、この第3コンタクトは、リード線がハウジングから延出されるように、ハウジングに組み込まれている。
リード線とは、例えば、この電気コネクタが取り付けられる電気機器に内装される回路に接続されるリード線であってよい。リード線は導電性の芯材に絶縁性の被膜材が覆われた電線である。リード線は単線であってよく、2本以上の複線であってもよい。
そして、第3コンタクトの第3の圧着部にリード線が圧着された後に、この第3コンタクトは、第3のコンタクト挿入室に挿入される。第3コンタクトが第3のコンタクト挿入室に挿入された状態では、リード線がハウジングから延出されている。
第6の発明による電気コネクタは、ハウジングに保持される一対の導電性のナットを備えている。この一対のナットは、当該一対のナットが挿入される方向と直交する方向から締結可能に一対の切り欠き溝に保持されている。この一対のナットは、機器に固定されるためのナットである。この一対のナットは、ハウジングの裏面から表面に向けて形成される一対の切り欠き溝に挿入されている。そして、この一対のナットは、回転が抑制されるように一対の切り欠き溝に保持されている。
この一対のナットを備える電気コネクタは、例えば、機器に備わるパネルの内側に取り付け金具を設け、この取り付け金具を介してねじなどの締結具で電気コネクタを固定することができる。締め付け力を確保するためには、この一対のナットは金属ナットが好ましい。そして、導電性の一対のナットとパネルを導通できる。
第6の発明による電気コネクタは、一対の切り欠き溝が隣接する第3のコンタクト挿入室に連通している。又、複数の第3コンタクトの内、アース用の第3コンタクトはこの一対の切り欠き溝に保持されたナットを押圧する接触手段を有している。そして、このアース用の第3コンタクトは、一対の切り欠き溝に隣接する第3のコンタクト挿入室に挿入されて、接触手段がナットに接触する。
一対の切り欠き溝が隣接する第3のコンタクト挿入室に連通しているとは、一対の切り欠き溝と隣接する第3のコンタクト挿入室との間に通路が設けられて、連続状態になっていることを意味している。そして、この通路は接触手段が通過できるように、アース用の第3のコンタクトの挿入方向に向けて開口されていることが好ましい。
アース用の第3コンタクトが有する接触手段は、例えば、爪・ボール・ボス(突起)などの形状をしたディテントであってよく、一対の切り欠き溝に隣接する第3のコンタクト挿入室に挿入されたアース用の第3コンタクトは、切り欠き溝と隣接する第3のコンタクト挿入室との間に設けられて通路を介して、ナットに接触する。
このように、第6の発明は、第3の圧着部にリード線が接続される第3コンタクトを有し、アース用の前記第3コンタクトがパネルにアース接続され、ハウジングに保持されるナットによってパネルに固定される電気コネクタであって、アース用の圧着部付き第3コンタクトにナットを押圧する接触手段が設けられている。
又、ナットを保持する切り欠き溝は、隣接するコンタクト挿入室に連通しており、当該切り欠き溝に隣接するコンタクト挿入室にアース用のコンタクトを挿入すると、ハウジングに保持されたナットに前記接触手段が接触する。そして、アース用のコンタクトはナットを介してパネルにアース接続される。
このように、第6の発明による電気コネクタは、アース用の第3コンタクト及びパネルにアース接続される一対のナットを容易にハウジングに組立可能とする構造を有している。
(7) (6)記載の電気コネクタにおいて、前記第3コンタクト本体は、前記第3圧着部において圧着により接続された中空であって柱形状をしている中空柱形状からなり、前記接触手段は、前記第3コンタクトの第3コンタクト本体に設けられた楔状に隆起する板ばね片であることを特徴とする電気コネクタ。
第7の発明による電気コネクタは、第3コンタクトがこの電気コネクタに接続される相手側電気コネクタのコンタクトと接触するコンタクト本体を含んでいる。このコンタクト本体は、リード線と第3の圧着部において圧着により接続された中空であって柱形状をしている中空柱形状のコンタクト本体を含んでいる。そして、ナットを押圧する接触手段は、第3コンタクトにおける中空柱形状のコンタクト本体に設けられた楔状に隆起する板ばね片となっている
例えば、第3コンタクトは、リード線と第3の圧着部において圧着により接続された中空であって柱形状をしている中空柱形状コンタクトとしてもよく、中空柱形状コンタクトは、例えば、板材をプレス等により折り曲げて筒状にしたもののように、柱の中が空洞になった形状を含む形態をとることができる。第3コンタクトは、ハウジングに係止されるために、例えば、槍状の突起(いわゆる、ランス)が設けられてもよい。
更に、第3コンタクトにおける中空柱形状のコンタクト本体に、楔状に隆起する板ばね片を設け、この板ばね片がナットを押圧する接触手段とされてもよい。
ここで、楔状に隆起する板ばね片の先端部を後方と表現し、当該板ばね片のコンタクト本体からの屈折部位を前方と表現するならば、第3のコンタクト挿入室に挿入されるアース用の第3コンタクトにおける板ばね片は、前方から後方に向けて隆起していると考えられてよい。
そして、アース用の第3コンタクトが第3のコンタクト挿入室に挿入されると、板ばね片は一対のナットに当接してコンタクト本体側に撓む。アース用の第3コンタクトが第3のコンタクト挿入室に完全に挿入された状態では、板ばね片はナットを常時、押圧している。
このような楔状に隆起する板ばね片が設けられたアース用の第3コンタクトは、ハウジングへの挿入を容易としている。又、アース用の第3コンタクトとナットとの接触導通を確実なものとしている。更に、ナットが振動などでハウジングの所定の位置から移動することを防止可能としている。
本発明の電気コネクタは、圧着部にリード線が接続されるコンタクトを有し、アース用の前記コンタクトがパネルにアース接続され、ハウジングに保持されるナットによってパネルに固定される電気コネクタであって、アース用の圧着部付きコンタクトにナットを押圧する接触手段が設けられている。
本発明の電気コネクタは、切り欠き溝が隣接するコンタクト挿入室に連通しており、当該アース用のコンタクトに隣接するコンタクト挿入室に挿入すると、ハウジングに保持されたナットに前記接触手段が接触する。そして、アース用のコンタクトはナットを介してパネルにアース接続される。このように、本発明による電気コネクタは、アース用のコンタクト及びパネルにアース接続されるナットを容易にハウジングに組立可能とする構造を有している。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(コンタクトの挿入)を示す斜視外観図である。図2は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(ナットの挿入)を示す斜視外観図である。図3は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(第2コンタクトの挿入前)を示す斜視外観図である。図4は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(第2コンタクトの挿入過程)を示す斜視外観図である。
又、図5は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(カバーの係合前)を示す斜視外観図である。図6は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(カバーの係合後)を示す斜視外観図である。図7は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(カバーの侵入)を示す斜視外観図である。図8は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタの組立手順(組立完成)を示す斜視外観図である。
更に、図9は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタを表側から見た斜視外観図である。図10は、本発明の第1の実施形態によるカバーを裏側から見た斜視外観図である。図11は、本発明の第1の実施形態によるハウジングを裏側から見た斜視外観図である。図12は、本発明の第1の実施形態による第2コンタクトの斜視外観図である。
そして、図13は、本発明の第1の実施形態によるハウジングの平面図である。図14は、図13のA−A矢視断面図である。図15は、図13のB−B矢視断面図である。図16は、図13のC−C矢視断面図である。
一方、図17は、本発明の第2の実施形態によるハウジングの斜視外観図である。図18は、本発明の第2の実施形態による第3コンタクトの斜視外観図である。図18(A)は第3コンタクトを一方の方向から観ており、図18(B)は第3コンタクトを他方の方向から観ている。図19は、第2の実施形態によるナットの斜視外観図である。図20は、本発明の第2の実施形態による電気コネクタの組立前の斜視分解組立図である。図21は、第2の実施形態による電気コネクタの組立後の斜視外観図である。
図22は、本発明の第3の実施形態によるハウジングの斜視外観図である。図23は、本発明の第3の実施形態による第3コンタクトの斜視外観図である。図23(A)は第3コンタクトを一方の方向から観ており、図23(B)は第3コンタクトを他方の方向から観ている。図24は、本発明の第3の実施形態による電気コネクタの組立前の斜視分解組立図である。図25は、本発明の第3の実施形態による電気コネクタの組立後の斜視外観図である。
以下の説明において、第1の実施形態における電気コネクタは、実質的にジャック(電源ジャック又はアンテナジャック)であるので、第1の実施形態における説明では、電気コネクタをジャックと呼ぶこととし、相手側電気コネクタを相手側プラグと呼ぶこととする。更に、コネクタ挿入口をプラグ挿入口と呼ぶこととする。
又、第1の実施形態によるジャックは、中空柱形状コンタクトとなる第1コンタクトとJ字型コンタクトとなる第2コンタクトとを備えているので、第1コンタクトが挿入されるコンタクト挿入室を「第1の挿入室」とし、第2コンタクトが挿入されるコンタクト挿入室を「第2の挿入室」として区別して説明する。
「第1の挿入室」の開口となるコンタクト挿入開口を「第1の開口」とし、「第2の挿入室」の開口となるコンタクト挿入開口を「第2の開口」として区別して説明する。
まず、ハウジングを中心に簡単に第1の実施形態の構造機能を説明し、その後に、各図についてより詳しく第1の実施形態を説明する。
図15の断面図に示されるように、ハウジング1は、相手側プラグが挿入されるためのプラグ挿入口11が一方の面1a(以下、表面1aという)に開口している。プラグ挿入口11と対向する他方の面1b(以下、裏面1bという)にコンタクト挿入開口13が設けられる。ハウジング1の内部は、隔壁1pによって2種類のコンタクト挿入室121・122に仕切られている。
図15に示されるように、隔壁1pの両側にはコンタクト挿入用の第1の開口131と第2の開口132が形成され、それぞれ、第1の挿入室121と第2の挿入室122に連通されている。
又、図15又は図16に示されるように、第1の挿入室121と第2の挿入室122は、隔壁1pの下方が連通されている。ハウジング1の裏面1bには、全体を臨むようにしてコンタクト挿入開口13が形成されている。
図13又は図14に示すように、第1の開口131の周りには、ヤリ状に突出したランス17が配設されている。ランス17は、第1の開口131を開口とする段差部181の底壁から突出している。一方、図13又は図16に示すように、隔壁1pの両側には、一対のスリット191・192が配設されている。
図1に示されるように、第1の開口131に挿入される第1コンタクト2は、板材がプレス加工によって成形されている。第1コンタクト2は、円筒状のコンタクト本体2aを備えている。更に、第1コンタクト2は、コンタクト本体2aの基端部2bの近傍に設けた一対のL字型舌片221・222を備えている。一方のL字型舌片221は終端を有し、他方のL字型舌片222は、リード線20と接続すべくその終端部は第1の圧着部21を備えている。
第1コンタクト2のコンタクト本体2aを、第1の開口131に挿入すると、一対のL字型舌片221・222が段差部181の底壁に当接して、コンタクト本体2aが第1の挿入室121へ全て進入されることが阻止されると共に、ランス17が一方のL字型舌片221に係合して、コンタクト本体2aの後退も阻止され、コンタクト本体2aが所定位置に保持される。一対のL字型舌片221・222がランス17と段差部181に形成される段差壁に挟まれているため、コンタクト本体2aの回転も阻止される(図5参照)。
ここで、ランス17は、第1コンタクト2の柱軸を中心とする回転を抑制する第1の係止部とすることができる。又、段差部181は、第1コンタクト2を所定の位置に止める第2の係止部とすることができる。
図16に示されるように、第2の開口132は横断面が矩形に形成されていて、その隔壁1pの両隅には一対のスリット191・192が裏面1bから表面1aに至っている。一対のスリット191・192は裏面1b側に開口している。第2の挿入室122における背面側の開口116と対向する箇所には、図15に示すように、小片(又はランス)126が配設されている。この小片126は、ハウジング1の窓127の周縁から、断面「へ」の字形の薄肉部を延出させて形成されている。
図12に示される第2コンタクト3は、板材がプレス加工によって成形されたもので、コンタクト本体3aと、コンタクト本体3aの基端部3bから略平行に延出させたリード線30との接続のための第2の圧着部31とからなる。
図1又は図12に示されるように、コンタクト本体3aは、矩形の背面板3cと、背面板3cの両側縁からL字状に折り曲げて延出する一対のガイド板311・312と、背面板3cの下側の屈曲部3dにおいて折り返す弾性可動接触子3eと、背面板3cの上側においてL字状に折り曲げて延出する当接片3fと、背面板3cの中央部に設けた楔隆起部(又はランス)3gと、を備えている。
なお、弾性可動接触子3eにおける先端の延長部材の両端を、一対のガイド板311・312に設けられた開口313・314に係合させることで、プラグの挿抜にともなう弾性可動接触子3eの変動ストロークを規制できる。
更に、図12に示されるように、コンタクト本体3aは、一方のガイド板312に楔状に隆起する板ばね片3hが設けられている。この板ばね片3hは、後述するナット4を押圧する接触手段としている。
第2コンタクト3をハウジング1に組み立てる場合には、一対のガイド板311・312を一対のスリット191・192に係合させてコンタクト本体3aを第2の開口132に挿入する(図1参照)。
一対のガイド板311・312の先端(先端エッジに相当)が第2の挿入室122の底部内壁に当接すると、コンタクト本体3aの更なる進入が阻止されるとともに、ランス126がランス3gに係合して、コンタクト本体3aの後退が阻止される(図1参照)。これによって、コンタクト本体3aが第2の挿入室122の所定位置に保持されることになる。このとき、弾性可動接触子3eが隔壁1pの開口116から正極側の第1の挿入室121内に突出する。
図11又は図13に示されるように、表面1aと裏面1bと両辺を共有する第1側面1cには、図2に示されるナット4が挿入される切り欠き溝14が形成されている。切り欠き溝14は、裏面1bから表面1aに向けて切り欠かれている。切り欠き溝14は、第1側面1cから延出される一対の柱形状片141・142にも延長して設けられている。
図2に示されるナット4は、円柱形状のナット本体4aの中間部に側周囲が六角形のフランジ4bを有している。円柱形状のナット本体4aの中心に雌ねじが形成されている。ナット4は、締め付け力を確保するために、いわゆる、プリベリングトルク形(高トルク形)六角ナットとなっている。
図13又は図14に示されるように、切り欠き溝14は、第1切り欠き溝14aと第2切り欠き溝14bと第3切り欠き溝14cの3層の空間を形成している。第1切り欠き溝14aの横幅は、円柱形状のナット本体4aの外径より僅かに大きくなっている。
第2切り欠き溝14bの横幅は、六角形のフランジ4bの対辺距離より僅かに大きく形成され、この第2切り欠き溝14bにナット4が挟持されて回転が抑制される。第3切り欠き溝14cの横幅は、円柱形状のナット本体4aの外径より僅かに大きくなっている。第3切り欠き溝14cは、第2コンタクト3の一方のガイド板312が挿入されるスリット192に連通している。
切り欠き溝14は、隣接する第2の挿入室122に連通していると言うこともできる。又、切り欠き溝14と隣接する第2の挿入室122との間に通路が設けられて、連続状態になっていると言うこともできる。そして、この通路は、板ばね片3hが通過できるように、第2コンタクト3の挿入方向に向けて開口されている(図3参照)。又、ナット4が挿入される方向と直交する方向から締結可能に、ナット4は切り欠き溝14に保持される(図3及び図9参照)。
図11に示すように、コンタクト挿入開口13が設けられるハウジング1の裏面1bには、一対のガイド溝15a・15bが設けられている。一対のガイド溝15a・15bは互いに対向しており、更に、一対のガイド溝15a・15bは、切り欠き溝14が形成される第1側面1cからこの第1側面1cに対向する第2側面1dに至っている。
一方、図10に示されたカバー5は一片51と他片52で略L字形状に構成されている。カバー5の一片51はナット4が保持される切り欠き溝14を閉塞する(図2参照)。カバー5の他片52はハウジング1の裏面1bを閉塞する(図8及び図9参照)。
図10に示されたカバー5の他片52は、一端部側にリード線20・30(図5参照)が延出可能な一対のリード線挿通溝5a・5bが設けられている。図10に示されたカバー5の他片52の両端5c・5dが一対のガイド溝15a・15b(図5参照)にスライド可能に嵌合される。
図10に示されたカバー5の他片52は、他端部側に楔状のロックアーム54が突出形成されている。又、ハウジング1における裏面1bの他端部側にラッチ部18が設けられている。そして、一対のガイド溝15a・15bに案内されてカバー5の他片52がスライドすると、楔状のロックアーム54がラッチ部18に係止される。
次に、このジャックの組立方法について説明する。
予め、2種類のコンタクト2・3の各圧着部21・31を圧着して、各リード線20・30をコンタクト2・3に接続しておく(図1参照)。又、ナット4もハウジング1の切り欠き溝14に予め挿入しておく(図2及び図3参照)。
最初に、図1又は図3に示すように第2コンタクト3のコンタクト本体3aを第2の開口132を通して第2の挿入室122に挿入する。この時、一対のガイド板311・312が一対のスリット191・192(図13参照)に案内されて、第2コンタクト3は第2の挿入室122(図15参照)に挿入される。
次に、図4に示される挿入過程を経て、コンタクト本体3aを第2の挿入室122に完全に挿入すると、板ばね片3hがナット4を押圧してコンタクト本体3aとナット4が導通できる。更に、第2コンタクト3がハウジング1に固定されることで、圧着部31以降のリード線30をハウジング1の外に延出させる(図5参照)。
次に、図1に示すように第1コンタクト2のコンタクト本体2aを第1の開口131を通して第1の挿入室121に挿入・固定することで、圧着部21以降のリード線20がハウジング1の外に延出するようにする(図5参照)。
なお、第1コンタクト2を先にハウジング1に挿入し、第2コンタクト3を後にハウジング1に挿入してもよく、第1コンタクト2と第2コンタクト3を同時にハウジング1に挿入してもよい。
次に、図6に示されるように、カバー5の他片52に形成されたリード線挿通溝5a・5bに各リード線20・30が囲まれるように、カバー5とハウジング1を配置する。このとき、カバー5の一片51の先端は、一定の間隔を有して、ナット4が保持される切り欠き溝14に対向している。又、カバー5の他片52は、一定の間隔を有して、ハウジング1の裏面1bに対向している。
次に、図7に示されるように、カバー5の他片52とハウジング1の裏面1bを相互に近づけ、カバー5の他片52の両端5c・5dを一対のガイド溝15a・15bに侵入させる。この間、各リード線20・30は各リード線挿通溝5a・5bに囲まれている。
次に、カバー5を第1側面1cから第2側面1dに向って所定距離スライドさせる。そして、図8に示されるように、ハウジング1の一対のガイド溝15a・15bにカバー5の他片52の両端5c・5dがスライドして嵌合した状態では、カバー5の一片51はナット4が保持される切り欠き溝14を閉塞し、カバー5の他片52はハウジング1の裏面1bを閉塞する。
以下、図面を参照して本発明における第1の実施形態のジャックを詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態におけるジャックのハウジング1に、中空であって柱形状をしている第1コンタクト2及び、弾性可動接触子を有する断面形状がJ字型となる第2コンタクト3を、ハウジング1の裏面1bに配置される内部に挿入するための開口(コンタクト挿入開口)に挿入しようとする様子を示している。
ハウジング1は、全体として略直方体形状をしており、図中右上に見える裏面1bと、この裏面1bの4つの辺に接する4つの側面と、図1では左下向きで見えないが、図9において左向きに見えている表面1aで囲まれている。4つの側面のうち、図1の奥に隠れている第1側面1cにはナット4が挿入される切り欠き溝14が形成されている。手前に見えている第3側面1eには、略中央部に窓127が設けられ、その中には、肉薄になった小片(又はランス)126が配置されている。
この第1側面1c側にハウジング1の裏面1bから延出された一対の柱形状片141・142が形成される。この一対の柱形状片141・142間に切り欠き溝14が設けられている。
ハウジング1の裏面1bには、一対のガイド溝15a・15bが設けられている。この一対のガイド溝15a・15bは互いに対向しており、更に、この一対のガイド溝15a・15bは、切り欠き溝14が形成される第1側面1cからこの第1側面1cに対向する第2側面1dに至っている。
一対のガイド溝15a・15bは、ハウジング1の裏面1bに略平行に形成されている。一対のガイド溝15a・15bにおける上側の両辺151・152は、ガイド溝15a・15bを形づくる一方の壁を形成し、後に述べるカバー5の他片52を一対のガイド溝15a・15bに沿ってスライドさせたときに、カバー5がハウジング1から離れないように保持する機能を有している。
一対のガイド溝15a・15bは、ハウジング1の裏面1bに形成された一対の段差部181・182によっても側壁が形作られている。これら一対の段差部181・182を含む一対のガイド溝15a・15bは、ハウジング1の第2側面1d方向に開口しており、前記一対のガイド溝15a・15bを前記第2側面1d側から見た場合、W字形状若しくは横倒しE字形状をしている。
又、ハウジング1の裏面1bの他端部側における真中にはラッチ部18は、後に述べるロックアーム54を有するカバー5がスライドして、ハウジング1の裏面1bにある開口を閉塞する際に、カバー5をハウジング1にロックする機能を有している。
図1において、コンタクト挿入開口13(図15参照)に含まれる第2の開口132は、その断面形状がJ字状に見える第2コンタクト3を第2の挿入室122(図15参照)に挿入できるように開口している。第2コンタクト3は、コンタクト本体3aと、リード線30を保持する第2の圧着部31と、から構成される。
コンタクト本体3aは、後に詳細に説明するが、矩形の背面板3cと、背面板3cの両側に配置された一対のガイド板311・312と、を含んでいる。背面板3cには、その略中央に、上述の楔隆起部材の一実施例である楔型に隆起した部材(又はランス)3gがあり、小片126と係合することができる。
図1において、第2コンタクト3をハウジング1の第2の挿入室122(図15参照)に挿入して所定の位置に固定した後、第1コンタクト2をコンタクト挿入口となる第1の開口131からハウジング1内部に挿入する。
図1に示されるように、第1コンタクト2は、円筒状のコンタクト本体2aと、一対のL字型舌片221・222と、リード線20を圧着する第1の圧着部21と、から構成される。第1の圧着部21は、リード線20を被覆材の上から圧着するインシュレーショングリップ21aと、リード線20の芯材を圧着するコンダクタグリップ21bとを含んでよい。第1コンタクト2は、上記各部材が柱軸に沿って平行に配列されている。
図1において、第1コンタクト2の先端は、図中下を向いているが、中空の円筒状のコンタクト本体3aを板金から作成したのと同様の方法で閉鎖することができる。先端は、ジャックの規格や見栄えその他の理由で第1の実施形態では球状にされている。
図1において、第1コンタクト2は、その一方のL字型舌片221をランス17と段差部181に形成された段差壁にはめ込まれるように、第1の開口131を通して柱挿入開口13aに挿入される(図11参照)。
図1に示されるように、第1コンタクト2は、第1の開口131を通して柱挿入開口13aに挿入され、所定の位置に固定されている。一対のL字型舌片221・222における柱軸側の端面は、柱挿入開口13aの周囲に形成される段差部181の底壁(図13及び図15参照)に当接し、一対のL字型舌片221・222の更なる挿入進行を阻止する。これにより、第1コンタクト2の挿入進行が止められる。
図9において、第1コンタクト2及び第2コンタクト3がハウジング1に挿入され、それぞれの圧着部21・31がハウジング1の裏面1b側の段差部181・182にそれぞれ収納されている。図9に示されるように、第1コンタクト2及び第2コンタクト3におけるそれぞれのリード線20・30がハウジング1の裏面1b側から延出した状態で、カバー5がハウジング1に装着される。
次に、第1の実施形態におけるジャックの構成を補足しつつ、第1の実施形態におけるジャックの作用を説明する。
図2に示されるように、ジャックは導電性のナット4を備えている。ナット4は、機器に固定されるためのナットである。ナット4は、ハウジング1の裏面1bから表面1aに向けて形成される切り欠き溝14に挿入される。そして、ナット4は、回転が抑制されるように切り欠き溝14に挟持されている(図3参照)。
図3に示されるように、ナット4は、当該ナット4が挿入される方向と直交する方向から締結可能に切り欠き溝14に保持されている。図9に示されるように、ナット4を備えるジャックは、例えば、機器に備わるパネル(図示せず)の内側に取り付け金具を設け、この取り付け金具を介してねじなどの締結具でジャックを固定することができる。そして、導電性のナット4とパネルを導通できる。
図1において、二つのコンタクトの内、第1コンタクト2を正極用のコンタクトとし、第2コンタクト3をアース用のコンタクトとして、ハウジング1に組み立てられる。
図1及び図12に示されるように、第2コンタクト3のコンタクト本体3aは、J字型の主縦断面を構成する矩形の背面板3cを有している。又、この矩形の背面板3cの両翼からL字状に弾性可動接触子3eの形成方向に延びる対向する一対のガイド板311・312を有している。そして、図3に示されるように、第2コンタクト3における一方のガイド板312は、切り欠き溝14に保持されたナット4を押圧する接触手段となる板ばね片3hを有している。
図3及び図12に示されるように、第2の開口132は、第2コンタクト3を第2の挿入室122に挿入するように開口し、第2コンタクト3のコンタクト本体3aは、切り欠き溝14に隣接する第2の挿入室122に挿入されて、一方のガイド板312の板ばね片3hがナット4に接触する。
又、ナット4を保持する切り欠き溝14は、隣接する第2の挿入室122に連通しており、第2の挿入室122に第2コンタクト3を挿入すると、ハウジング1に保持されたナット4に板ばね片3hが接触する。そして、アース用の第2コンタクト3はナット4を介して図示されないパネルにアース接続される。
このように、第1の実施形態によるジャックは、アース用の第2コンタクト3及び図視されないパネルにアース接続されるナット4を容易にハウジング1に組立可能とする構造を有している。
図3において、楔状に隆起する板ばね片3hの先端部を後方とし、板ばね片3hのコンタクト本体3aからの屈折部位を前方とするならば、第2の挿入室122(図15参照)に挿入されるアース用の第2コンタクト3における板ばね片3hは、前方から後方に向けて隆起している。
そして、図4において、アース用の第2コンタクト3が第2の挿入室122に挿入されると、板ばね片3hはナット4に当接してコンタクト本体3a(図3参照)側に撓む。アース用の第2コンタクト3が第2の挿入室122に完全に挿入された状態では、板ばね片3hはナット4を常時、押圧している。
このように、アース用の第2コンタクト3は、楔状に隆起する板ばね片3hが設けられており、ハウジング1への挿入を容易としている。又、アース用の第2コンタクト3とナット4との接触導通を確実なものとしている。更に、ナット4が振動などでハウジング1の所定に位置から移動することを防止可能としている。
一方、第1の実施形態によるジャックは、カバー5を備えている。図10に示されるように、カバー5の他片52の一端部側にリード線20・30が延出可能なリード線挿通溝5a・5bが設けられる。そして、カバー5の他片52の両端5c・5dが一対のガイド溝15a・15b(図11参照)にスライド可能に嵌合される。
図10に示されるように、カバー5の他片52の両端5c・5dは、櫛歯状の凹凸部が形成される。一方、図11に示されるように、一対のガイド溝15a・15bを形成する対向する両辺151・152はカバー5の凹凸部に対応する櫛歯状の凹凸部が形成される。
そして、図7に示されるように、カバー5の他片52をハウジング1の裏面1bに向ってリード線20・30の延出方向と平行に移動するときに、カバー5の他片52の両端5c・5dが一対のガイド溝15a・15bに侵入可能となる。
ここで、図10に示されたカバー5の他片52の両端5c・5dは複数の一対の凹部50c・50dが形成されると考えられてよく、それぞれの凹部50c・50d間が一対の凸部51c・51dを形成すると考えられてよい。なお、カバー5の他片52の他端部側に形成された一対の隆起部5e・5fも前記凸部51c・51dに含まれてよい。そして、この複数の凸部51c・51dの先端面は揃っており、この先端面がガイド溝15a・15bのスライド面をなしていると考えられてよい。
一方、図11に示された一対のガイド溝15a・15bを形成する対向する両辺151・152は、カバー5の他片52の両端5c・5dに形成された複数の凸部51c・51dが侵入可能な複数の凹部15c・15dが形成されると考えられてよく、前記凹部15c・15d間が凸部を形成すると考えられてよい。
図7に示されるように、カバー5の他片52の両端5c・5dが一対のガイド溝15a・15bに侵入される直前の状態から、カバー5をハウジング1に侵入させると、図8に示されるカバー5の他片52の裏面(ハウジング1の裏面1bの対抗面)は、ハウジング1の裏面1bに当接する。なお、この時、カバー5の他片52の他端部に形成された一対の隆起部5e・5fの先端面は、図11に示される一対の段差部181・182の底面に当接する。
そして、カバー5の他片52をハウジング1の第1側面1cから第2側面1dに向ってスライドすると、図9に示されるように、カバー5の一片51はナット4が保持される切り欠き溝14を閉塞する。又、図8に示されるように、カバー5の他片52はハウジング1の裏面1bを閉塞する。
なお、図10に示されるように、カバー5の他片52の裏面には凹部55が設けられている。カバー5の他片52がハウジング1の裏面1bに向って侵入するときに、この凹部55は、図11に示されるランス17及びランス17に隣接する立柱17aと衝突するのを回避している。又、この凹部55は、カバー5がスライドするときに、ランス17及び立柱17aによって案内される機能も有している。
図10に示されるように、カバー5の一片51の先端部には、円弧状の溝51sとV字状の溝51vが形成されている。円弧状の溝51sの内径は、円柱形状のナット本体4a(図2参照)の外径より僅かに大きくなっている。一方、V字状の溝51vの開き角度は、側周囲が六角形のフランジ4b(図2参照)の角部より僅かに大きくなっている。
一片51の先端部に円弧状の溝51sとV字状の溝51vが形成されているカバー5が、ナット4が保持される切り欠き溝14を閉塞することにより、ナット4がハウジング1に対して移動することを防止している。
一方、カバー5の他片52は、ハウジング1の裏面1bから延出している第1コンタクト2及び第2コンタクト3を閉塞する。より具体的には、図5に示されるように、カバー5の他片52は、ハウジング1の裏面1bに表出する一対のL字型舌片221・222及び当接片3fを閉塞する。
このように、カバー5の他片52が第1コンタクト2及び第2コンタクト3を閉塞することにより、この発明のジャックに相手側プラグが挿入されたときに、第1コンタクト2及び第2コンタクト3が後退することを防止できる。更に、ジャックは、カバー5をハウジング1に装着するときに、スライド量(ストローク)を少なく容易に装着できる構造となっている。
更に、第1の実施形態のジャックにおける構造を説明する。図1に示されるように、ハウジング1は、裏面1bから延出される一組のリード線20・30と平行に第1側面1cから延出される一対の柱形状片141・142が設けられている。一方、図5に示されるように、カバー5の他片52は、一対のリード線挿通溝5a・5bが形成される隆起部53a・53bが設けられている。
図7に示されるように、裏面1bから延出される一組のリード線20・30をリード線挿通溝5a・5bが囲った状態で、カバー5の他片52を一対のガイド溝15a・15bに侵入させる。
そして、カバー5の他片52をハウジング1の裏面1bと平行にスライドすると、図8に示されるように、一組のリード線20・30は一対の柱形状片141・142と一対の隆起部53a・53bでそれぞれ包囲される。なお、この時、一対のリード線挿通溝5a・5bはコンタクト挿入開口13(第1の開口131及び第2の開口132)とつながっている。
ここで、一組のリード線20・30を一対のリード線挿通溝5a・5bが囲った状態とは、圧着部21・31(図1参照)以降のリード線20・30をそれぞれ囲った状態を含んでいる。又、一対の柱形状片141・142はハウジング1の一部と見なされてよく、リード線挿通溝5a・5bはコンタクト挿入開口13とつながり、ハウジング1とカバー5で包囲された圧着部21・31以降のリード線20・30をジャック外に延出している。
このように構成されたジャックは、圧着部21・31及び圧着部21・31近傍のリード線20・30を外部から機械的変形を受けにくいものとしている。同時に、外部からの物理的及び電気的な接触を遮蔽できる構造としている。特に、使用時において圧着部21・31が視覚的にも遮蔽されるので、使用者に安全感を与えられると考えられる。
次に、第1の実施形態のジャックにおけるロック機構を説明する。図10に示されるように、カバー5の他片52の他端部側に楔状のロックアーム54が突出形成されている。
一方、図11に示されるように、ハウジング1の裏面1bの他端部側にラッチ部18が設けられている。図14の断面図にも示されるように、ラッチ部18は、第1側面1c寄りに裏面1bから陥没するように凹部18aが形成され、第2側面1d寄りに裏面1bからの段差となる切り欠き溝18cが形成されている。
このように、ラッチ部18は凹部18aと切り欠き溝18cを両側にもつ凸状に形成され、第1側面1c寄りに斜面18bが設けられ、第2側面1d寄りの角部は略直角に形成されている。ラッチ部18の上面はハウジング1の裏面1bと面一になっている。
図7に示された状態から、カバー5の他片52をハウジング1の裏面1bに侵入させると、ロックアーム54は凹部18aに侵入される。次に、カバー5の他片52を第1側面1cから第2側面1dに向ってスライドすると、ロックアーム54に形成された斜面にラッチ部18の斜面18bが接触する。
更に、カバー5の他片52をスライドすると、カバー5の他片52の両端5c・5dは一対のガイド溝15a・15bで保持されているので、ロックアーム54は斜面18bを乗り上げるべく、上側にたわむ。更に、カバー5の他片52をスライドすると、ロックアーム54は斜面18bを乗り越えて、切り欠き溝18cに陥没し、ロックアーム54がハウジング1に係止される。
このように、第1の実施形態のジャックは、スライドするカバー5にロック機構を設けて、一度、カバー5でハウジング1を閉塞したら、容易に開けにくい構造としている。なお、図8に示されるようにロックアーム54の両翼となるカバー5の他片52の他端部側から一対のスリットを設け、カバー5の他片52の他端部側をこじ開けて、強制的にロックを解除することもできる。
図9は、以上のようにして、コンタクト挿入開口13及びナット4が保持される切り欠き溝14がカバー5で閉じられた状態を示している。このようにして完成したジャックは大変コンパクトな形状をしている。ハウジング1の第1側面1c側に位置固定されたナット4は、このジャックが使われる機器のフレームやパネルに固定するためや、アース接続されるために使用することができる。
又、図9において、ハウジング1の表面1aの略中央に開いた丸い開口は、ジャックに接続される相手側プラグなどの外部端子が挿入されるプラグ挿入口11である。第1の実施形態において、プラグ挿入口11は、ハウジング1の表面1aから突出した円筒に設けられている。プラグ挿入口11から、第1コンタクト2の先端部が見えている。又、第2コンタクト3の弾性可動接触子が第2の挿入室122(図15参照)の開口部分より見えている。
これら2つのコンタクトはそれぞれに正負又は正とアースのような関係で用いることができる。第1の実施形態によるジャックは、組立及び分解がいつでも可能となっており、分解する時にはロック機構を解除して上述とは逆の動きを各部品にさせればよいことになる。
次に、第2の実施形態における電気コネクタの構成を説明する。なお、以下の説明において、第2及び第3の実施形態における電気コネクタは、実質的にドロワーコネクタなどの多極のコネクタであり、第2及び第3の実施形態における説明では、電気コネクタをコネクタと略称し、相手側電気コネクタを相手側コネクタと略称することとする。
図17に示されるように、第2の実施形態におけるコネクタは、絶縁性のハウジング201を備えている。ハウジング201は、相手側コネクタの挿入方向に向って、第3コンタクト23(図18参照)が挿入されると共に並設される複数の第3のコンタクト挿入室223(以下、第3の挿入室223と言う)が設けられている。
又、ハウジング201は、第3コンタクト23が挿入される方向と平行にナット40(図19参照)が挿入されると共に、ナット40の回転が抑止される一対の切り欠き溝214・214が両端部に設けられている。
図17において、第3の挿入室223は、複数の第3コンタクト23が挿入される開口を有しており、この開口から複数の第3コンタクト23が相手側コネクタの挿入方向に向って挿入される。
ここで、ハウジング201は、相手側コネクタと対向する面を表面(オモテ面)201aとし、この表面201aと対向する面を裏面(ウラ面)201bとする。第3の挿入室223における前記開口は、ハウジング201の裏面201bに設けられる。
ここで、第3コンタクト23が複数の第3挿入室223に並設されるとは、複数の第3コンタクト23を近接させて一列に揃え、並べて設けられる状態を意味している(図21参照)。又、後述するように、一対の切り欠き溝214・214が、隣接する第3の挿入室223に連通する以外は、複数の第3の挿入室223は相互に隔絶されている(図17参照)。
図17において、ハウジング201の裏面201bを形づくる4辺を、対向する長辺と対向する短辺で構成している。そして、前記短辺を有する一対の側面201e・201fに一対の切り欠き溝214・214が相反するように設けられる。
図17において、ハウジング201の表面201a側には、後述する第3コンタクト23のランス23gが係止されるための複数の穴227が設けられている。複数の穴227は、複数の第3の挿入室223と一対一に連通されている。
又、第2の実施形態におけるコネクタは、ハウジング201に組み込まれる複数の導電性の第3コンタクト23を備えている(図18参照)。第3コンタクト23は、リード線230を圧着により接続する第3の圧着部231を有している。
図18において、第3コンタクト23は、例えば、板材をプレス加工によって成形されている。第3コンタクト23は、リード線230と圧着部231において圧着により接続された中空であって柱形状をしている四角柱の筒状のコンタクト本体23aを備えている。コンタクト本体23aは、板材をプレス等により折り曲げて筒状にし、柱の中が空洞になった形状となっている。
図18において、第3コンタクト23は、基端部23b以降を圧着部231としている。圧着部231には、リード線230をその被覆材の上から包み込むようにして折り曲げてリード線230を機械的に固定するインシュレーショングリップ231aが設けられている。又、リード線230の芯材を包み込むようにして折り曲げて、その芯材を固定するコンダクタグリップ231bが設けられている。
更に、図18において、コンタクト本体23aの一の面には、第3コンタクト23をハウジング201内の所定の位置に係止させるためのランス23gが設けられている。又、コンタクト本体23aの一の面と隣接する面には、後述するナット40を押圧するために、楔状に隆起する板ばね片23hが設けられている。板ばね片23hは、コンタクト本体23aから圧着部231に向けて隆起している。
第2の実施形態におけるコネクタは、ハウジング201に保持される一対の導電性のナット40を備えている。図19に示されるナット40は、円柱形状のナット本体40aの中間部に側周囲が円形のフランジ40bを有している。フランジ40bは円形の外周の対向する2辺が弦となるように円弧が切り落とされている。円柱形状のナット本体40aの中心に雌ねじが形成されている。ナット40は、締め付け力を確保するために、いわゆる、プリベリングトルク形(高トルク形)ナットとなっている。
次に、第2の実施形態におけるコネクタの組立方法及び作用を説明する。
予め、第3コンタクト23の圧着部231を圧着して、リード線230をコンタクト23に接続しておく(図18参照)。又、一対のナット40は、ハウジング201の切り欠き溝214に予め挿入しておく。
図17に示されるように、切り欠き溝214は、第1切り欠き溝214aと第2切り欠き溝214bと第3切り欠き溝214cの3層の空間を形成している。第1切り欠き溝214aの横幅は、図19に示される円柱形状のナット本体40aの外径より僅かに大きくなっている。
第2切り欠き溝214bの横幅は、円形のフランジ40bの弦をなす対辺距離より僅かに大きく形成され、この第2切り欠き溝214bにフランジ40bが挟持されて回転が抑制される。第3切り欠き溝214cの横幅は、円柱形状のナット本体4aの外径より僅かに大きくなっている。第3切り欠き溝214cは、隣接する第3の挿入室223に連通している。
図17において、切り欠き溝214は、隣接する第3の挿入室223に連通していると言うこともできる。又、切り欠き溝214と隣接する第3の挿入室223の間に通路が設けられて、連続状態になっていると言うこともできる。そして、この通路は、板ばね片23hが通過できるように、第3コンタクト23の挿入方向に向けて開口されている(図20参照)。又、ナット40が挿入される方向と直交する方向から締結可能に、ナット40は切り欠き溝214に保持される(図20及び図21参照)。
次に、図20に示されるように、第3コンタクト23は、リード線230がハウジング201から延出されるように第3の挿入室223に挿入される。第3コンタクト23は、リード線230が圧着部231に圧着された状態で第3の挿入室223に挿入されている。そして、図21に示されるよう、第3コンタクト23は、リード線230がハウジング201から延出されるように、ハウジング201に組み込まれる。
図20において、複数の第3コンタクト23を第3の挿入室223に挿入すると、ランス23gが穴227に係止して、複数の第3コンタクト23のコンタクト本体23aをハウジング201に固定することができる。
図21の組立完了状態において、両端部の第3の挿入室223に挿入された一対の第3コンタクト23は、板ばね片23hがナット40をそれぞれ押圧して第3コンタクト23がナット40に接触している。
すなわち、ハウジング201の両端部に組み立てられる一対の第3コンタクト23は、アース用のコンタクトとしており、この一対のアース用の第3コンタクト23が一対のナット40にそれぞれ導通している。
図21に示される一対のナット40を備えるコネクタは、例えば、機器に備わるパネルの内側に取り付け金具を設け、この取り付け金具を介してねじなどの締結具でこのコネクタを固定することができる。そして、導電性の一対のナット40とパネルを導通できる。
このように、第2の実施形態によるコネクタは、圧着部231にリード線230が接続される第3コンタクト23を有し、アース用の第3コンタクト23がパネルにアース接続され、ハウジング201に保持されるナット40によってパネルに固定されるコネクタであって、アース用の圧着部付き第3コンタクト23にナット40を押圧する接触手段となる板ばね片23hが設けられている。
又、ナット40を保持する切り欠き溝214は、隣接する第3の挿入室223に連通しており、当該切り欠き溝214に隣接する第3の挿入室223にアース用のコンタクト23を挿入すると、ハウジング201に保持されたナット40に板ばね片23hが接触する。そして、アース用のコンタクト23はナット40を介してパネルにアース接続される。
このように、第2の実施形態によるコネクタは、アース用のコンタクト23及びパネルにアース接続される一対のナット40を容易にハウジング201に組立可能とする構造を有している。
更に、楔状に隆起する板ばね片23hが設けられたアース用の第3コンタクト23は、ハウジング201への挿入を容易としている。又、アース用の第3コンタクト23とナット40との接触導通を確実なものとしている。更に、ナット40が振動などでハウジング201の所定の位置から移動することを防止可能としている。
なお、第2の実施形態においては、アース接続とは別の用途(例えば、信号用)をもつコンタクトを、アース用の第3コンタクト23と形状を同じとして、部品の共通化を図っている。
そのため、図17に示されるように、第3コンタクト23が挿入される第3の挿入室223の開口を、上下・左右対称(側面201c・201dを上下、側面201e・201fを左右とした)に配置している。
又、同じ理由から、ランス23gが係止されるための複数の穴227は、図17において図示されていないが、側面201f方向の側面201d側に設けられている。図20において、ハウジング201の裏面201bに設けられる第3の挿入室223における開口の向きに合わせて、第3コンタクト23が挿入される。
又、アース接続とは別の用途(例えば、信号用)をもつコンタクトを、例えば、図18に示された板ばね片23hを設けないコンタクトとし、板ばね片23hを有するアース用の第3コンタクト23と区別するようにしてもよい。
次に、第3の実施形態におけるコネクタの構成を説明する。
図22に示されるように、第3の実施形態におけるコネクタは、絶縁性のハウジング301を備えている。ハウジング301は、相手側コネクタの挿入方向に向って、第3コンタクト33(図23参照)が挿入されると共に並設される複数の第3のコンタクト挿入室323(以下、第3の挿入室323と言う)が設けられている。
又、ハウジング301は、第3コンタクト33が挿入される方向と平行にナット40(図19参照)が挿入されると共に、ナット40の回転が抑止される一対の切り欠き溝315・315が両端部に設けられている。
図22において、第3の挿入室323は、複数の第3コンタクト33が挿入される開口を有しており、この開口から複数の第3コンタクト33が相手側コネクタの挿入方向に向って挿入される。
ここで、ハウジング301は、相手側コネクタと対向する面を表面(オモテ面)301aとし、この表面301aと対向する面を裏面(ウラ面)301bとする。第3の挿入室323における前記開口は、ハウジング301の裏面301bに設けられる。
ここで、第3コンタクト33が複数の第3の挿入室323に並設されるとは、複数の第3コンタクト33を近接させて一列に揃え、並べて設けられる状態を意味している(図25参照)。又、後述するように、一対の切り欠き溝315・315が、隣接する第3の挿入室323に連通する以外は、複数の第3の挿入室323は相互に隔絶されている(図22参照)。
図22において、ハウジング301の裏面301bを形づくる4辺を、対向する長辺と対向する短辺で構成している。そして、前記長辺を有する一対の側面201c・201dの内、一方の側面201cの両端部に一対の切り欠き溝315・315が設けられる。
図22において、複数の第3の挿入室323内部には、後述する第3コンタクト33のランス33gが係止されるための複数の段差(ハウジングランス又はインデントとしてもよい)が設けられている。前記段差は、複数の第3の挿入室223と一対一に連通されている。
又、第2の実施形態におけるコネクタは、ハウジング301に組み込まれる複数の導電性の第3コンタクト33を備えている(図23参照)。第3コンタクト33は、リード線330を圧着により接続する第3の圧着部331を有している。
図23において、第3コンタクト33は、例えば、板材をプレス加工によって成形されている。第3コンタクト33は、リード線330と圧着部331において圧着により接続された中空であって柱形状をしている四角柱の筒状のコンタクト本体33aを備えている。コンタクト本体33aは、板材をプレス等により折り曲げて筒状にし、柱の中が空洞になった形状となっている。
図23において、第3コンタクト33は、基端部33b以降を圧着部331としている。圧着部331には、リード線330をその被覆材の上から包み込むようにして折り曲げてリード線330を機械的に固定するインシュレーショングリップ331aが設けられている。又、リード線330の芯材を包み込むようにして折り曲げて、その芯材を固定するコンダクタグリップ331bが設けられている。
更に、図23において、コンタクト本体33aの一の面には、第3コンタクト33をハウジング301内の所定の位置に係止させるためのランス33gが設けられている。又、コンタクト本体33aの一の面と対向する面には、後述するナット40を押圧するために、楔状に隆起する板ばね片33gが設けられている。板ばね片33gは、コンタクト本体33aから圧着部331に向けて隆起している。
第3の実施形態におけるコネクタは、ハウジング301に保持される一対の導電性のナット40を備えている。この導電性のナット40は、第2の実施形態の図19で説明されたナット40である。
次に、第3の実施形態におけるコネクタの組立方法及び作用を説明する。
予め、第3コンタクト33の圧着部331を圧着して、リード線330を第3コンタクト33に接続しておく(図23参照)。又、一対のナット40は、ハウジング301の切り欠き溝315に予め挿入しておく。
図22に示されるように、切り欠き溝315は、第1切り欠き溝315aと第2切り欠き溝315bと第3切り欠き溝315cの3層の空間を形成している。第1切り欠き溝315aの横幅は、図19に示される円柱形状のナット本体40aの外径より僅かに大きくなっている。
第2切り欠き溝315bの横幅は、円形のフランジ40bの弦をなす対辺距離より僅かに大きく形成され、この第2切り欠き溝315bにフランジ40bが挟持されて回転が抑制される。第3切り欠き溝315cの横幅は、円柱形状のナット本体4aの外径より僅かに大きくなっている。第3切り欠き溝315cは、隣接する第3の挿入室323に連通している。
図22において、切り欠き溝315は、隣接する第3の挿入室323に連通していると言うこともできる。又、切り欠き溝315と隣接する第3の挿入室323の間に通路が設けられて、連続状態になっていると言うこともできる。そして、この通路は、板ばね片33hが通過できるように、第3コンタクト33の挿入方向に向けて開口されている(図25参照)。又、ナット40が挿入される方向と直交する方向から締結可能に、ナット40は切り欠き溝315に保持される(図24及び図25参照)。
次に、図24に示されるように、第3コンタクト33は、リード線330がハウジング301から延出されるように第3の挿入室323に挿入される。第3コンタクト33は、リード線330が圧着部331に圧着された状態で第3の挿入室323に挿入されている。そして、図25に示されるよう、第3コンタクト33は、リード線330がハウジング301から延出されるように、ハウジング301に組み込まれる。
図24において、複数の第3コンタクト33を第3の挿入室323に挿入すると、ランス33gが図示されない段差に係止して、複数の第3コンタクト33のコンタクト本体33aをハウジング301に固定することができる。
図25の組立完了状態において、両端部の第3の挿入室323に挿入された一対の第3コンタクト33は、板ばね片33hがナット40をそれぞれ押圧して第3コンタクト33がナット40に接触している。
すなわち、ハウジング301の両端部に組み立てられる一対の第3コンタクト33は、アース用のコンタクトとしており、この一対のアース用の第3コンタクト33が一対のナット40にそれぞれ導通している。
このように、第3の実施形態によるコネクタは、圧着部331にリード線330が接続される第3コンタクト33を有し、アース用の第3コンタクト33がパネルにアース接続され、ハウジング301に保持されるナット40によってパネルに固定されるコネクタであって、アース用の圧着部付き第3コンタクト33にナット40を押圧する接触手段となる板ばね片33hが設けられている。
又、ナット40を保持する切り欠き溝315は、隣接する第3の挿入室323に連通しており、当該切り欠き溝315に隣接する第3の挿入室323にアース用のコンタクト33を挿入すると、ハウジング301に保持されたナット40に板ばね片33hが接触する。そして、アース用のコンタクト33はナット40を介してパネルにアース接続される。
このように、第3の実施形態によるコネクタは、アース用のコンタクト33及びパネルにアース接続される一対のナット40を容易にハウジング301に組立可能とする構造を有している。
更に、楔状に隆起する板ばね片33hが設けられたアース用の第3コンタクト33は、ハウジング301への挿入を容易としている。又、アース用の第3コンタクト33とナット40との接触導通を確実なものとしている。更に、ナット40が振動などでハウジング301の所定の位置から移動することを防止可能としている。
なお、第3の実施形態においても、アース接続とは別の用途(例えば、信号用)をもつコンタクトを、アース用の第3コンタクト33と形状を同じとして、部品の共通化を図っている。
そのため、図24に示されるように、アース用の第3コンタクト33が挿入される第3の挿入室323の開口形状と、アース接続とは別の用途(例えば、信号用)をもつコンタクトの開口形状とを全て同じとしている。
又、アース接続とは別の用途(例えば、信号用)をもつコンタクトを、例えば、図23に示された板ばね片33hを設けないコンタクトとし、板ばね片33hを有するアース用の第3コンタクト33と区別するようにしてもよい。