図1は本発明の実施の形態のディスク収納型ディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、図2は、駆動ユニットが対向位置に設置された状態を示す平面図、図3は、回転駆動が完了したディスクが支持体に受け渡された状態を示す平面図である。図4と図5は、駆動ユニットに設けられた回転駆動部を示す動作別の部分側面図である。
図1に示すディスク収納型ディスク装置1は箱型の筐体2を有している。図1において、筐体2の基準方向は、図示Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が手前側、Y2側が奥側である。また、X1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が奥行き方向である。
筐体2は、下側から上側に向けて、下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は、筐体2の前面7と右側面8を有している。上部筐体5は、筐体2の左側面9と後側面10および天井面11を有している。図1に示すように、前面7には、ディスクDを筐体2内に挿入するための、スリット状の挿入口23が形成されている。
図1に示すように、下部筐体3の底面6の上面には第1の切換え機構12が設けられている。第1の切換え機構12には、図示しない切換えモータの動力によって図示Y1−Y2方向へ駆動されるラック部材32が設けられている。
下部筐体3では、第1の切換え機構12の上にユニット支持ベース13が設けられ、ユニット支持ベース13は、下部筐体3の底面6に設けられた複数のダンパー71,72,73によって弾性支持されている。ユニット支持ベース13には図示Y2方向へ突出する規制軸77と図示Y1方向へ突出する規制軸78,78が設けられている。
下部筐体3では、Y2側の側板の内側にロック部材54が設けられ、このロック部材54に制御穴56が形成されている。ユニット支持ベース13に設けられた規制軸77は制御穴56内に挿入されている。下部筐体3のY1側の側板の内側にもロック部材(図示せず)が設けられ、このロック部材に2つの制御穴が形成されて、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸78,78が、Y1側のロック部材に形成された前記2つの制御穴のそれぞれに挿入されている。
第1の切換え機構12では、ラック部材32の移動力が回動アーム44を介してロック切換えスライダ42に与えられる。このロック切換えスライダ42によって、ロック部材54および、Y1側の側板の内側に設けられた他のロック部材がX1方向またはX2方向へ移動させられる。
ロック部材54に形成された制御穴56は、X1側に対向規制部56aが、それよりもX2側に受け渡し規制部56bが形成され、対向規制部56aと受け渡し規制部56bで、規制軸77が規制されるようになっている。制御穴56では、受け渡し規制部56bよりもさらにX2側に、規制軸77よりも十分に広い開口面積の駆動逃げ部56cが形成されており、規制軸77がこの駆動逃げ部56c内に位置するときに、ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73で弾性支持される。前記対向規制部、受け渡し規制部および駆動逃げ部は、Y1側に設けられた他のロック部材の制御穴にも同様に設けられている。
ユニット支持ベース13上には駆動ユニット14が設置されている。図4と図5に示すように、駆動ユニット14には、回転駆動部であるターンテーブル82とターンテーブル82を駆動するスピンドルモータMSが設けられている。また、駆動ユニット14は光ヘッド83を有しており、光ヘッド83は、駆動ユニット14に搭載されたスレッド機構によって、ターンテーブル82に接近する方向、及びターンテーブル82から離れる方向へ向けて移動する。このとき、光ヘッド83に設けられた対物レンズ83aが、ターンテーブル82にクランプされたディスクDの記録面に沿って移動する。
ユニット支持ベース13には、図示Y2側の端部に垂直に立ち上がる支持軸84が設けられ、駆動ユニット14は支持軸84によって水平方向へ回動できるように支持されている。図1では、駆動ユニット14が退避位置にあるが、この退避位置から矢印(a)方向へ回動すると、図2に一点鎖線で示すように、ターンテーブル82が下部筐体3のほぼ中心部へ移動して、駆動ユニット14は対向位置に設定される。
駆動ユニット14は、第1の切換え機構12によって退避位置から対向位置へ回動させられる。図1に示すように、第1の切換え機構12には、ラック部材32が設けられており、このラック部材32が、下部筐体3の底面6に回転自在に設けられたピニオン歯車45と噛み合っている。下部筐体3内には、切換えモータが設けられており、この切換えモータの駆動力によってピニオン歯車45が回転駆動され、その動力がラック部材32に伝達されて、ラック部材32が図示Y1−Y2方向へ移動させられる。
第1の切換え機構12には、ラック部材32と共に移動する切換えスライダ38が設けられ、この切換えスライダ38に駆動ピン41が固定されている。図1に示すように、ラック部材32が図示Y2方向へ移動していると、切換えスライダ38が図示Y2方向へ移動し、駆動ピン41によって、駆動ユニット14が、図3において破線で示す退避位置へ回動した状態で保持される。ラック部材32が図示Y1方向へ移動し、これと共に切換えスライダ38が図示Y1方向へ移動すると、駆動ピン41によって駆動ユニット14が矢印(a)方向へ回動させられて、図2に示す対向位置へ移動する。
図1および図4と図5に示すように、ターンテーブル82には、ディスクDの下面が設置される設置面82cとディスクDの中心穴Da内に入り込む凸部82bが設けられている。また、ターンテーブル82内に、ディスクDの中心穴Daをクランプするクランプ機構(クランプ手段)が搭載されている。このクランプ機構は、いわゆるセルフクランプ機構である。凸部82b内には、3つのクランプ爪82aが設けられており、このクランプ爪82aが、図5に示すように凸部82bの外周から半径方向へ突出し、また図4に示すように凸部82bに後退する。このクランプ爪82aは、ターンテーブル82の回転中心に対して120度の角度配置で設けられている。
駆動ユニット14内には、クランプ動力を伝達する伝達機構が設けられ、駆動ユニット14の回動中心に位置する支持軸84には、前記伝達機構に連結された伝達リンクが回動自在に支持されている。前述のように、駆動ユニット14が図1に示す退避位置にある状態から、切換えスライダ38がY1方向へ移動すると、駆動ピン41によって、駆動ユニット14が(a)方向へ回動させられて、図2に示す対向位置へ回動して停止する。さらに、ラック部材32の駆動力でロック切換えスライダ42がY1へ移動させられると、ロック部材54がX1方向へ移動し、制御穴56の受け渡し規制部56bおよび、Y1側に設けられた他のロック部材の受け渡し規制部によって、ユニット支持ベース13が持ち上げられて駆動ユニット14が受け渡し位置に至る。その後、さらにラック部材32と共に切換えスライダ38がY1方向へ移動すると、駆動ユニット14が受け渡し位置に停止した状態で、駆動ピン41によって前記伝達リンクが回動させられる。この伝達リンクの回動力が前記伝達機構によりターンテーブル82の内部に伝達され、クランプ爪82aが凸部82bの外周から突出してクランプ動作完了状態となる。
ディスクDの中心穴Daが凸部82bに嵌合している状態で、クランプ爪82aがクランプ動作完了状態になると、ディスクDの中心穴Daにクランプ爪82aが圧接し、ディスクDがターンテーブル82に一緒に回転できる状態にクランプされる。
下部筐体3内には、ラック部材32のY1方向への移動位置を検知する複数の検知スイッチが設けられている。いずれかの検知スイッチにより、ラック部材32が図1に示す位置へ移動して、駆動ユニット14が退避位置にあることを検知でき、他の検知スイッチにより、ラック部材32がY1方向の所定位置へ移動し、駆動ユニット14の対向位置への回動が完了したことを検知できる。さらに他の検知スイッチにより、ラック部材32がY1方向へ移動し、前記クランプ手段によるクランプ動作が完了したことを検知できる。
なお、前記クランプ手段として、駆動ユニット14内に小型のモータを搭載し、このモータの動力でクランプ爪を動作させるとともに、クランプ爪がクランプ動作完了状態に至ったことを検知する検知スイッチを設けてもよい。
中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、機構ベース15の上に第2の切換え機構16が設けられている。中間筐体4では、機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に移送ユニット17が設けられている。移送ユニット17には、図2に示すように、ディスクDを挟持できる移送ローラ112,113および挟持部材とが対向して設けられている。移送ユニット17の図示X1側の端部は、下部筐体3の底面に設けられた支持軸131によって回動自在に支持されている。図1ないし図3では、移送ユニット17が前面7の内側の待機位置にある。この待機位置において、前面7に形成された挿入口23からディスクDが挿入されると、このディスクDが、移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持され、移送ローラ112,113の回転力によりディスクDが筐体2内へ移送される。これと同時に、前記第2の切換え機構16の動作により、移送ユニット17が矢印(d)方向へ回動させられ、移送ローラ112,113の回転と、移送ユニット17の図示(d)方向への回動動作によって、ディスクDが筐体2内へ搬入される。
上部筐体5では、左側面9と後側面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、ディスク収納領域20には、それぞれがディスクDを支持可能な複数の支持体21が設けられている。この実施の形態では、支持体21が6枚設けられており、支持体21は厚み方向に重ねられて配置されている。前記支持体21は薄い金属板である。
上部筐体5には支持体選択手段22が設けられている。支持体選択手段22には、3本のスクリュー軸25A,25B,25Cが設けられており、それぞれのスクリュー軸25A,25B,25Cが、天井面11に回動自在に支持されている。複数の支持体21のそれぞれには、3箇所に軸受部26A,27A,28Aが固定されている。これら軸受部26A,27A,28Aは、樹脂製であり支持体21よりもわずかに厚く形成されている。軸受部26Aはスクリュー軸25Aに摺動自在に挿通され、軸受部27Aはスクリュー軸25Bに、軸受部28Aはスクリュー軸25Cに、それぞれ摺動自在に挿通されている。また、スクリュー軸25A,25B,25Cのそれぞれには螺旋溝24が形成されており、軸受部26A,27A,28Aに形成された凸部がこの螺旋溝24に摺動自在に嵌合している。
図1に示すように、それぞれのスクリュー軸25A,25B,25Cでは、軸の上端部分と下端部分において、螺旋溝24が密なピッチで形成され、軸の中間部分で螺旋溝24が疎のピッチで形成されている。
図示しない選択モータによって各支持体選択手段22のスクリュー軸25A,25B,25Cが同期して回転駆動されると、螺旋溝24によって、それぞれの支持体21が図示Z1−Z2方向へ移動して支持体21の選択動作が行われる。支持体21が螺旋溝24の疎のピッチの部分に位置しているとき、その支持体21は、ほぼ挿入口23と同じ高さの選択位置となり、この選択位置の支持体21と、その下の支持体21との間に、駆動ユニット14が入り込める大きな隙間が形成される。
ディスクDは、直径が12cmであって、例えばCD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などであり、中心穴Daを有している。
図2および図3に示すように、それぞれの支持体21には3個の保持部材26,27,28が設けられている。保持部材26は軸受部26Aの外周部に回動自在に支持され、保持部材27と保持部材28は、それぞれ軸受部27Aと28Aに回動自在に支持されている。保持部材26,27,28は、それぞれ支持体21の下面(図示Z1側の面)に設けられているが、図2および図3では、図示の都合上、支持体21を透視して保持部材26,27,28を実線で示している。
保持部材26と支持体21との間には、付勢部材として引っ張りコイルばね29aが掛けられており、保持部材26が反時計方向(γ2方向)へ回動付勢されている。支持体21にはストッパ(図示せず)が設けられ、保持部材26がγ2方向へ大きく回動しすぎないように規制されている。保持部材27は引っ張りコイルばね29bによって時計方向(γ4方向)へ付勢されており、支持体21に設けられたストッパ(図示せず)によって、γ4方向へ大きく回動しすぎないように規制されている。同様に、保持部材28は、引っ張りコイルばね29cによってγ4方向へ付勢されており、支持体21に設けられたストッパ(図示せず)によって、γ4方向へ大きく回動しすぎないように規制されている。
それぞれの保持部材26,27,28には、保持爪26b,27b,28bが一体に形成されている。保持爪26b,27b,28bは、支持体21の下面に間隔を空けて対向しており、支持体21の下面に供給されたディスクDは、支持体21の下面と、各保持爪26b,27b,28bとの間に保持される。保持部材26は引っ張りコイルばね29aの付勢力で、ディスクDの外周縁に圧接させられ、保持部材27と保持部材28も引っ張りコイルばね29b,29cの付勢力でディスクDの外周縁に圧接されており、ディスクDは、前記保持部材26,27,28の付勢力により3箇所で保持されている。
特に、ディスクDは、互いに対向する位置にある保持部材26と保持部材27とで、比較的強く挟持されることにより、支持体21の下面において動くことなく、また容易に回転することなく保持される。また、支持体21においてディスクDを容易に回転せずに確実に保持するために、保持部材26,27においてディスクDの外周縁に当接する部分に、ゴムや板ばねなどの弾性変形可能な圧接部材を設けてもよい。
筐体2の左側面9の内側には保持解除部材403が設けられ、筐体2の後側面10の内側には保持解除部材404が設けられている。いずれかの支持体21が、選択位置へ移動すると、保持部材26が、保持解除部材403の駆動爪403aに対向する。同時に、保持部材27が、保持解除部材404の駆動爪404aに対向し、保持部材28が、保持解除部材404の駆動爪404bに対向する。
図3では、保持解除部材403がY1方向に移動し、保持解除部材404がX2方向へ移動しているため、保持解除部材403と404から保持部材26,27,28に力が作用しておらず、引っ張りコイルばね29a,29b,29cの付勢力で、保持部材26,27,28がディスクDを挟持している。支持体21が選択位置に位置しているときに、保持解除部材403がY2方向へ移動すると、保持解除部材403の駆動爪403aによって保持部材26がγ1方向へ回動させられる。また、保持解除部材404がX1方向へ移動すると、保持解除部材404の駆動爪404a,404bによって、保持部材27,28がγ3方向へ回動する。そして、保持部材26,27,28がディスクDの外周縁から離れ、ディスクDの保持が解除される。
図2および図3に示すように、筐体2の左側面9と後側面10との角部には、選択位置にある支持体21にディスクDが装填されたことを検知する装填検知部180が設けられている。装填検知部180には光学検知素子181が設けられており、光学検知素子181は発光素子と受光素子とが対向して構成されている。光学検知素子181は筐体2内に1つだけ設けられ、選択位置に移動した支持体21のみが、この光学検知素子181に対向する。各支持体21に設けられているそれぞれの保持部材28には検知部28hが一体に突出形成されている。
支持体21が選択位置に移動すると、検知部28hが光学検知素子181に対向する。このとき、図2に示すように、選択位置に移動した支持体21にディスクDが保持されていない場合には、保持部材28が引っ張りコイルばね29cによってγ4方向へ大きく回動させられているため、検知部28hが光学検知素子181の発光素子と受光素子との間に介入し、検知出力がOFFとなる。また、図3に示すように、選択位置にある支持体21にディスクDが装填されている場合には、ディスクDの外周縁で保持部材28が押され、保持部材28がγ3方向へ少し回動させられる。そのため、検知部28hが光学検知素子181から抜け出て、光学検知素子181の検知出力がONとなる。
図3に示す制御部203では、光学検知素子181の検知出力がOFFからONに切り換わることを監視することで、選択位置の支持体21にディスクDが位置決めされて保持されているディスク装填状態であるか、または選択位置の支持体21にディスクD保持されていないかを認識できる。
このディスク装置では、図3に示すように、ターンテーブル82を回転させるスピンドルモータMSが駆動部201で駆動される。また、装填検知部180の検知出力は検出部202で検出される。そして駆動部201と検出部202はCPUを主体とする制御部203で制御される。また、駆動ユニット14の各移動位置を検出する検知スイッチや、クランプ手段のクランプ完了動作を検知する検出スイッチなども、前記検出部202で検出される。
次に、前記ディスク収納型ディスク装置1の動作を説明する。
(支持体選択動作)
図3において破線で示すように、駆動ユニット14が退避位置にあり、さらに移送ユニット17が待機位置にあるとき、支持体選択手段22のスクリュー軸25A,25B,25Cを回転させることで、各支持体21が図示Z1−Z2方向へ移動して支持体21の選択動作が行われる。
このとき、図1に示すロック部材54がX2方向へ移動しており、ロック部材54に形成された制御穴56の対向規制部56aで規制軸77が拘束され、Y1側に設けられた他方のロック部材に形成された制御穴の対向規制部により規制軸78,78が規制されて、ユニット支持ベース13が筐体2の底面6に向けて押し下げられている。ユニット支持ベース13によりダンパー71,72,73が押しつぶされるようにしてユニット支持ベース13が下降しているため、ユニット支持ベース13上の駆動ユニット14に設けられたターンテーブル82の上端は、選択位置の支持体21の下面よりも下側(Z1側)に位置している。
支持体21が選択位置に移動して、支持体選択手段22が停止すると、制御部203から指令が与えられ、下部筐体3に設けられた切換えモータが始動して第1の切換え機構12が動作し、ラック部材32と切換えスライダ38がY1方向へ移動して、駆動ユニット14が(a)方向へ回動する。
駆動ユニット14が対向位置へ移動するとき、ユニット支持ベース13の規制軸77は、ロック部材54の対向規制部56aに規制され続けているため、図2に示す対向位置に停止したターンテーブル82は、選択位置の支持体21に支持されるべきディスクDの中心穴Daと重なる位置で、且つ支持体21の下面よりも下側(Z1側)に十分に離れた位置にある。
(ディスク搬入動作)
前記のように駆動ユニット14が対向位置にあるときに、挿入口23からディスクDが挿入されたことが、挿入口23の内側に位置する検知手段で検知されると、移送ユニット17に設けられた移送ローラ112,113がディスク搬入方向へ自転する。図2に示すように、移送ローラ112,113でディスクDが、筐体2内にある程度まで移送されると、図1に示す中間筐体4内の第2の切換え機構16が動作し、移送ユニット17が支持軸131を支点として反時計方向((d)方向)へ回動し、この回動動作と移送ローラ112,113の自転とで、ディスクDが、選択位置にある支持体21の下面に供給される。
図3に示すように、支持体21の下面に供給されたディスクDは、この下面と、3個の保持部材26,27,28の保持爪26b,27b,28bとの間に挟まれ、主に、引っ張りコイルばね29a,29bの弾性力が作用している保持部材26と保持部材27とでディスクDが挟持される。
また、選択位置の支持体21の下面にディスクDが装填されると、図3に示す保持部材28がディスクDに押されてγ3方向へ回動させられ、保持部材28に形成された検知部28hが光学検知素子181から抜け出て、装填検知部180の光学検知素子181の検知出力がONとなる。この検知出力は検出部202から制御部203に与えられて、制御部203では、選択位置の支持体21にディスクDが装填されたことを認識できる。
(ディスククランプおよび駆動動作)
選択位置の支持体21にディスクDが保持された後に、切換えモータが動作して図1に示す第1の切換え機構12が始動する。これにより、ロック部材54がX1方向へ移動して、規制軸77が、ロック部材54に形成された制御穴56の受け渡し規制部56bによってZ2方向へ持ち上げられて保持され、Y1方向に設けられた他方のロック部材の受け渡し規制部によって、規制軸78,78が持ち上げられて保持される。
その結果、駆動ユニット14は、図2に示す対向位置からZ2方向へ持ち上げられて受け渡し位置に至る。駆動ユニット14が受け渡し位置に上昇すると、ターンテーブル82の凸部82bが、選択位置の支持体21に保持されたディスクDの中心穴Da内に入り込み、ターンテーブル82の設置面82cがディスクDの下面に密着させられる。その状態で、さらに第1の切換え機構12が始動し、ラック部材32と切換えスライダ38がY1方向へ移動すると、駆動ユニット14内のクランプ機構が動作し、図5に示すように、ターンテーブル82の凸部82bの外周からクランプ爪82aが突出して、支持体21に保持されたディスクDの中心穴Daにクランプ爪82aが圧接してディスクDがクランプされる。
ディスクDがターンテーブル82にクランプされると、図3に示す保持解除部材403がY2方向へ移動して、保持部材26がγ1方向へ回動し、保持解除部材404がX1方向へ移動して、保持部材27と保持部材28がγ3方向へ回動する。保持部材26,27,28の保持爪26b,27b,28bが、ディスクDの外周縁の外側へ外れて、支持体21でのディスクDの保持が解除される。
次に、第1の切換え機構12が動作して、ロック部材54がX1方向へ移動し、規制軸77が、制御穴56の駆動逃げ部56c内に位置し、規制軸78,78が、Y1側に設けられた他のロック部材の逃げ部内に位置し、ユニット支持ベース13はダンパー71,72,73で弾性支持された駆動位置となる。この駆動位置では、ターンテーブル82にクランプされたディスクDが、選択位置の支持体21の下面から下方へやや離れる。この位置で、ターンテーブル82と共にディスクDが回転駆動され、光ヘッド83で情報の再生や記録動作が行われる。
なお、筐体2内に収納されているいずれかのディスクを駆動するときには、駆動ユニット14が退避位置にあり、移送ユニット17が待機位置にある状態で、支持体選択手段22が動作して、支持体21が選択位置へ移動し停止する。その後に、駆動ユニット14が回動して対向位置へ移動し、さらにロック部材54が動作して、駆動ユニット14が受け渡し位置に上昇し、支持体21に保持されているディスクがターンテーブル82にクランプされる。その後に、ロック部材54が動作し、ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73で弾性支持される駆動位置となって、ディスクDが回転駆動される。
(駆動完了後のディスクを収納する動作)
駆動ユニット14でディスクDの駆動を完了した後に、制御部203からディスクを収納する指令が出されると、駆動ユニット14での駆動が完了したディスクDを、選択位置にある支持体21に戻す動作に移行する。この動作では、第1の切換え機構12が動作して、ラック部材32がY2方向へ移動させられ、回動アーム44が時計方向へ回動させられて、ロック切換えスライダ42がY2方向(図示(b)方向)へ移動させられる。
このとき、ロック部材54がX2方向へその全移動範囲のほぼ半分の距離だけ移動させられ、その時点で前記モータが停止する。よって、規制軸77が、ロック部材54に形成された制御穴56の受け渡し規制部56bに保持されて、またY1側に位置する他のロック部材の受け渡し規制部で規制軸78,78が保持されて、ユニット支持ベース13と駆動ユニット14が持ち上げられて受け渡し位置へ移動する。そして、ターンテーブル82にクランプされているディスクDが、選択位置にある支持体21の下面に押し付けられる。
その後、図3に示す保持解除部材403がY1方向へ移動し、保持解除部材404がX2方向へ移動して、保持部材26,27,28の拘束が解除され、引っ張りコイルばね29a,29bの弾性力により、保持部材26,27でディスクDが挟持される。保持部材28は、ディスクDの外周面に当たるために、γ3方向に回動させられた状態となる。このとき保持部材28の検知部28hが光学検知素子181から抜け出て、光学検知素子181の検知出力はONとなる。
さらに、ラック部材32がY2方向へ移動させられ、切換えスライダ38がY2方向へ移動させられて、クランプ機構が解除状態に動作し、クランプ爪82aがターンテーブル82の凸部82b内に退行して、ディスクDのクランプが解除される。
次に、第1の切換え機構12のラック部材32がY2方向へ移動させられ、ロック切換えスライダ42がY2方向へ移動させられ、ロック部材54がX2方向へ動作させられ、規制軸77がロック部材54の対向規制部56aで下降させられて保持され、他のロック部材の対向規制部で規制軸78,78が下降させられて保持される。よって、駆動ユニット14は支持体21に保持されたディスクDの下面から下方へ離れた対向位置となる。
さらに、ラック部材32がY2方向へ移動させられ、切換えスライダ38がY2方向へ移動させられて、駆動ユニット14が反時計方向((a)方向と逆方向)へ回動させられ、図3において破線で示す退避位置へ移動し、支持体21の選択動作が可能となる。
(ディスクの受け渡し確認動作)
前記のように、ターンテーブル82から、選択位置の支持体21にディスクを受け渡す際には、以下に示す確認動作が行われる。
図6は、その確認動作の制御フローを示すものであり、各ステップを「ST」で示している。
ターンテーブル82にクランプされているディスクDを、選択位置の支持体21に受け渡すときには、筐体2の前面7に設けられた操作部またはリモートコントローラを操作して、ディスク収納型ディスク装置1にディスクチェンジ動作(支持体選択動作)に移行する指示を与える(ST1)。前記指示が与えられると、ST2で、スピンドルモータMSの回転が停止する。次に、ST3では、ロック部材54が駆動され、その受け渡し規制部56bによって、駆動ユニット14が受け渡し位置まで上昇させられ、ターンテーブル82にクランプされているディスクDが、選択位置にある支持体21の下面に押し付けられる。
さらに、ST4では、保持解除部材403がY1方向へ移動して、保持解除部材403による保持部材26の拘束が解除され、保持解除部材404がX2方向へ移動して、保持解除部材404による保持部材27,28の拘束が解除される。よって、保持部材26が引っ張りコイルばね29aによってγ2方向へ回動させられ、引っ張りコイルばね29b,29cによって、保持部材27と保持部材28がγ4方向へ回動させられる。
このときに、ST5へ移行して、光学検知素子181の検知出力がONとなったか否かが判断される。ターンテーブル82にクランプされているディスクDが、選択位置にある支持体21の下面に設置され、ディスクDが、支持体21の下面と、保持部材28の保持爪28bとの間に入り込んでいれば、保持部材28がディスクDの外周縁で押され、γ3方向に回動させられ、その検知部28hが光学検知素子181から抜け出て、光学検知素子181の検知出力はONとなる。
ST5において、光学検知素子181の検知出力がONとなったことが認識されない場合にはST6に移行する。
ST6では、保持解除部材403が、Y2方向へ移動させられて、駆動爪403aによって保持部材26がγ1方向へ回動させられ、保持解除部材404がX1方向へ移動させられて、駆動爪404a,404bによって、保持部材27,28がγ3方向へ回動させられ、保持爪26b,27b,28bがディスクDの外周縁の外側へ移動して、支持体21でのディスクの保持が解除される。
また、ロック部材54が動作し、規制軸77がロック部材54の逃げ部56b内に位置し、規制軸78,78が、他方のロック部材の逃げ部内に位置して、ディスクDがターンテーブル82にクランプされたまま、ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73で支持された状となり、駆動ユニット14が駆動位置に設定される。あるいは、ST6において、ロック部材54の対向規制部56aで規制軸77が拘束され、他方のロック部材の対向規制部により規制軸78,78が拘束されて、駆動ユニット14が支持体21から下方(Z1側)に離れた対向位置に設定されてもよい。
また、ST5において、光学検知素子181の検知出力がONになったとしても、支持体21の下面と他の保持部材26,27の保持爪26b,27bとの間に、ディスクDが位置しているかは定かではない。例えば、ディスクDが、支持体の下面と保持部材28の保持爪28bとの間に挟まれているが、ディスクDが斜めに傾き、あるいはディスクが歪んだものであり、ディスクの一部が保持爪27bまたは保持爪26bから外れてその下側に位置していることが有り得る。
そこで、ST5において、光学検知素子181の検知出力がONになったときには、ST7に移行する。ST7では、制御部203から駆動部201に駆動指令が与えられて、ターンテーブル82に回転指令が与えられ、そのスピンドルモータMSが通電される。
ST8では、スピンドルモータMSが回転したか否か検出される。この検出動作は、スピンドルモータMSに設けられたFG(周波数検出器)またはPG(回転パルス検出器)の出力を駆動部201で監視することで行われる。前記FGとPGは、ブラシレスモータのロータに設けられたマグネットと、ステータ側に設けられて前記マグネットに対向する磁気検出素子とで構成されている。駆動部201では、前記FGの出力を監視して、ロータの回転速度を制御し、PGを監視してロータの回転位相を制御する。ST8では、駆動部201において、FG出力が得られたか、またはPG出力が得られたかを監視することで、スピンドルモータMSのロータおよびターンテーブル82が回転したか否かを検出できる。
ST8において、スピンドルモータMSの回転が検出されたときは、ディスクDが保持部材26と保持部材27とで確実に挟持されていない状態である。このとき、ディスクDが支持体21の下面に確実に保持されていないと判断し、ST6に移行して、ターンテーブル82でのディスクDのクランプを解除することなく、駆動ユニット14を、支持体21の下面から離し、駆動位置に設定する。あるいは前記対向位置に設定する。
ST8において、スピンドルモータMSの回転が検出されないときは、ディスクDが、支持体21の下面と保持爪26b,27bとの間に挟まれ、ディスクDが保持部材26と保持部材27とで挟持された状態、すなわちディスクDが支持体21に確実に保持された状態である。このときには、ST9に移行する。ST9では、図4に示すように、クランプ爪82aをターンテーブル82の凸部82b内へ退行させ、さらに、駆動ユニット14をディスクDから離し対向位置へ下降させる。さらに、ST10で、駆動ユニット14を回動させて退避位置に設定し、ST11で支持体選択動作に移行する。
前述のように、支持体21にディスクDが確実に保持されていないときは、ST6に移行して、駆動ユニット14を駆動位置または対向位置に戻すが、このときには、ST12に移行してリトライ動作を行う。リトライ動作は、ST3に戻り、駆動ユニット14を受け渡し位置に上昇させ、さらにST4、ST5に移行させる。
リトライ動作を行っても、ST5において、光学検知素子181の検知出力がONとなったことが認識されない場合に、またはST8においてスピンドルモータMSが回転した場合にST13に移行し、リトライ動作が所定回数行われた否かが確認される。まだ所定回数に達していない場合には、ST12において、所定回数に達するまで繰り返しリトライ動作が行われる。このように、繰り返しリトライ動作が行われるため、偶発的な機構エラーによってディスクDが、選択位置にある支持体21に正常に収納されなかった場合などでは、高い確率でディスクDを、選択位置にある支持体21に正常に収納することができる。
ST13で、リトライ動作が所定回数行われたと判断され、しかもディスクDが支持体21に確実に保持されたと判断できない場合には、ST14に移行し、駆動ユニット14が駆動位置まで下降させられた状態で、または駆動ユニット14が対向位置へ下降させられた状態で、且つディスクDがターンテーブル82でクランプされた状態で動作を停止する。
以上の制御動作を行うことにより、ディスクDが、選択位置にある支持体21に不完全な収納状態で収納された状態で、ディスクチェンジ動作が行われることを防止できる。すなわち、ディスクチェンジ動作により、ディスクDが支持体21から外れて、筐体2内に落下し、機構エラーを生じるなどの機構エラーを未然に回避することができる。