JP4415992B2 - 変形爪矯正具及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、巻き爪,陥入爪等の変形爪に容易に装着できるが不測の脱落がなく、安定した矯正力で爪の変形を解消する矯正具及びその製造方法に関する。
巻き爪,陥入爪等を矯正するため、従来から種々の変形爪矯正具が提案されている。たとえば、適度な復元力をもつ小片を巻き爪表面に貼り付け、巻き爪を徐々に正常な形態に矯正する巻き爪矯正具(特許文献1),変形爪の幅方向端部にかけた一対の折返し端に弾性力を付与して引っ張る巻き爪矯正具(特許文献2),変形方向と反対方向の引張り力を爪の両側端縁に加える矯正具(特許文献3)等がある。
爪の表面に矯正具を貼り付ける方法では、矯正具の爪幅方向端部がめくれて剥がれやすい。装着の際に使用した接着剤が爪と矯正具との間から滲み出ると使用者に著しい不快感を与え、矯正具を外した後の爪表面から接着剤を除去する必要があることも、貼付け式の矯正具が敬遠される原因である。変形爪の幅方向端部にかけた折返し端や係止部に引張り力を加える矯正具では、変形爪の幅方向端部に折返し端又は係止部を差し込む必要があり、患者に苦痛を与えることが欠点である。矯正具のタイプによっては、変形爪の一部に係止部用の装着孔を穿設する等の施術を要し、患者自身による装着・取外しが困難になる。
形状記憶合金から作製された陥入爪矯正具も知られている(特許文献4)。当該陥入爪矯正具は、記憶処理で付与された形状と異なる形状に変形して陥入爪に装着され、原形状に復元しようとする力を変形爪の矯正に利用している。形状記憶合金としては、Ni-Ti系,Cu-Zn系,Cu-Al-Ni系の合金が利用されている。
特開2001−37535号公報 特開2003−265508号公報 特開2001−276104号公報 特開平9−253110号公報
先に提案されている矯正具では、脱着が困難であり、変形爪患者に苦痛、煩わしさを与える。矯正具の装着・取外しを容易にするため、矯正板の折返し端を爪に噛み合わせる方法が考えられる。しかし、通常の折返し端を噛み合わせる方法では、折返し端と矯正板との間の角度が大きくならないように折返し端の変形抵抗を大きくする必要がある。一方、苦痛を与えずに必要な矯正力を安定的に爪に加えるため、柔軟な超弾性特性を発現する必要がある。
形状記憶合金の形状記憶効果及び超弾性効果は、それぞれ熱誘起及び応力誘起で生じるマルテンサイト変態・逆変態に付随して生じる現象であるが、Ti-Ni系形状記憶合金では、マルテンサイト変態・逆変態に伴う変態エントロピー変化が非常に大きく、温度変化に対応して変形応力,回復応力(矯正力)が大幅に変動する。変形応力,回復応力の大幅変動は、矯正具を装着している患者に苦痛をもたらす。Cu-Zn系合金では環境変化による材料劣化が激しく、長時間の装着が困難であり、Cu-Al-Ni合金は極めて脆く目標形状の矯正具に製造できない。
そこで、本発明者等は、Ti-Ni合金製矯正具の欠点が変態エントロピー変化にあるとの前提で、変態エントロピー変化が小さく、延性に優れた形状記憶合金について変形爪矯正具への適用可能性を調査・検討した。その結果、加工熱処理による結晶方位制御により変形抵抗に異方性を付与できるCu-Al-Mn系合金が変態エントロピー変化が小さく、変形爪矯正具に適していることを見出した。
本発明は、変形爪矯正具の要求特性と形状記憶合金の物性との関係から見出された知見をベースとし、変態エントロピー変化の小さなCu-Al-Mn系合金を素材に使用すると共に結晶配向制御により弾性復元力,変形抵抗の異方性を制御し、患者に苦痛、煩わしさを与えることなく巻き爪,陥入爪等を治癒できる変形爪矯正具を提供することを目的とする。
本発明の変形爪矯正具は、Cu−Al−Mn系形状記憶合金を冷間圧延した冷延板の圧延方向を爪幅方向とし、爪幅方向に関する形状記憶能が大きく、指長方向に関する変形応力が高いものとなるように冷延板から切り出した弾性金属片より得られる変形爪矯正具であって、再結晶β単相の主たる結晶方位が圧延方向に揃っており、矯正板と、矯正板の爪先側端縁に設けられると共に変形爪の爪先先端に噛み合う複数のカギツメと、を備え、
カギツメは、前記矯正板の爪先側端縁から突出する複数の舌片それぞれの先端部を指の付け根側へ舌片が重なるように折込むことによって形成された折込み部と、さらに各舌片それぞれの基端部を同じ側に舌片が重なるように折り曲げることによって形成された折曲げ部とからなる二重重なり折り構造を有するものであることを特徴とする。
Cu−Al−Mn系合金としては、質量比でAl:3〜10%、Mn:5〜20%を含み、{112}<110>を主とする結晶配向を有するβ単相から実質的になり、形状記憶効果又は超弾性効果に異方性を有する銅合金が使用される。なお、「実質的にβ単相からなる」とは、体積比で90%以上がβ相であることをいう。
カギツメは、矯正板の爪幅方向に関して等間隔で、爪幅の全幅、爪幅方向の中央近傍又は爪幅方向の両端近傍で爪先側端縁に設けられていることが好ましい。
潰し線材を素材とした変形爪矯正具は、Cu−Al−Mn系形状記憶合金の丸線材を冷間圧延した潰し線材から切り出した線材より得られる変形爪矯正具であって、再結晶β単相の主たる結晶方位が圧延方向すなわち長手方向に揃っており、切り出した線材の両端それぞれに形成されると共に変形爪の爪先側端に噛み合うカギツメと、両カギツメの間をほぼく字型に成形した矯正部と、を備え、
該カギツメは、前記切り出した線材の両端の先端部それぞれを矯正部側へ線材が重なるように折込むことによって形成された折込み部と、さらに前記折込み部を含む両先端部それぞれを同じ側に線材が重なるように折曲げることによって形成された折曲げ部とからなる二重重なり折り構造を有するものであることを特徴とする。
冷延板から作製される変形爪矯正具は、次の工程を経て製造される。
Cu−Al−Mn系形状記憶合金を冷間圧延した冷延板の圧延方向を爪幅方向とし、指長方向の一端縁から複数の舌片が突出した形状の弾性金属片を冷延板から切り出し、
各舌片それぞれを折込んだ後に折曲げて二重重なり折り構造を有するカギツメを成形した後、
状記憶化又は超弾性化のための熱処理でもって再結晶β単相の圧延面の法線方向を<112>、圧延方向を<110>を主とした方位に配向させることを特徴とする。
潰し線材から作製される変形爪矯正具は、次の工程を経て製造される。
Cu−Al−Mn系形状記憶合金の丸線材を冷間圧延で潰し線材にして切り出した線材の両端の先端部それぞれを折込んだ後に折曲げて二重重なり折り構造を有するカギツメを形成し、
両カギツメの間をほぼく字型の矯正部に成形した後、
形状記憶化又は超弾性化のための熱処理でもって再結晶β単相の圧延面の法線方向を<112>、圧延方向を<110>を主とした方位に配向させることを特徴とする。
発明の効果及び実施の形態
形状記憶合金にマルテンサイト変態及び逆変態が生じる応力は、次式(1)のクラジウス-クラペイロンの関係式に従う。式中、σはマルテンサイト変態誘起応力又はマルテンサイト逆変態誘起力応力(Pa),Tは温度(K),ΔSは変態エントロピー変化(J/m3・K),εは変態歪み量を示す。
dσ/dT=-ΔS/ε (1)
クラジウス-クラペイロンの関係式は、変態歪み量εが同程度の場合、変態エントロピー変化Sの大きな形状記憶合金におけるマルテンサイト変態・逆変態誘起応力σの温度依存性が大きいことを意味する。したがって、形状記憶合金製の変形爪矯正具では、生活環境の温度変化によっても変形応力挙動が著しく変化するといえる。
形状記憶合金の形状記憶効果及び超弾性効果は、単結晶では結晶方位に大きく依存する。たとえば、Cu-Al-Mn合金単結晶は、<100>方向に10%,<110>方向に7.5%,<111>方向に2%の変態歪み量(回復歪み量)を示す。結晶方位に応じた回復歪み量の多寡と式(1)との関係から、ある温度Tにおいて回復歪み量の小さい方位ほど変形応力が高くなるといえる。一方、多結晶合金では、ランダムな結晶配向を有する場合には回復歪み量,変形応力に異方性がみられないが、集合組織の形成により単結晶と同様な方位依存性が生じる。
ここで、結晶方位について簡単に説明する。
結晶方位の表現法としては、結晶構造の単位結晶格子に関しx,y,z軸を定め(図1a)、それぞれを[100],[010],[001]方位と表記する方法が一般的である。これを基準に種々の方位が、たとえば[110],[111],[112]と表記される。形状記憶単結晶の場合、結晶方位により形状記憶効果及び超弾性効果による回復歪み量が決定される。
圧延板では圧延方向をRD、圧延板幅方向をTD,圧延面法線方向をNDと定義し、RD方向に<110>,ND方向に<112>方位が向いた結晶方位を有する結晶の集合体(図1b)を{112}<110>集合組織、別言すれば、圧延面の法線方向を<112>、圧延方向を<110>を主とした方位に配向させた集合組織、と表記できる。そして、TD方向は、図1(b)のように必ず<111>方向と定まる。ただし、多結晶体集合組織の場合、各結晶粒により、幾らかの方位分布が生じるため、主として揃う方位を主方位として集合組織の配向方位を定義する。
変態エントロピー変化ΔSの小さな形状記憶合金としてCuベースの形状記憶合金が知られており、なかでも延性に優れたCu‐Al‐Mn系合金は、加工熱処理により{112}<110>を主方位とする再結晶集合組織を形成できるため変形爪矯正具として有望視される。すなわち、RD方向に<110>,TD方向に<111>が主として配向するため、変形応力はRD方向よりTD方向で大きくなる。
Cu‐Al‐Mn系合金では、Al:3〜10%,Mn:5〜20%,残部:銅及び不純物の三元系や、必要に応じてNi,Co,Fe,Ti,V,Cr,Si,Nb,Mo,W,Sn,Sb,Mg,P,Be,Zr,Zn,B,C,Ag,ミッシュメタルから選ばれた一種又は二種以上を合計で0.001〜10%添加した合金がある(特許文献5)。
特開2001-20026号公報
形状記憶効果及び超弾性効果を有するCu-Al-Mn系合金は、高温でβ相(b.c.c.)単相になり、低温でβ+α(f.c.c.)の二相組織になる。β単相の生成には3%以上のAlが必要であるが、10%を超える過剰量のAlはCu-Al-Mn系合金を脆化させやすい。好ましくは、6〜10%の範囲にAl含有量を設定する。Mn添加は、低Al側でのβ相の存在を可能とし、Cu-Al-Mn系合金の冷間加工性を向上させる。このような効果は5%以上のMnで顕著になるが、20%を超える過剰添加は形状記憶効果又は超弾性効果に悪影響を及ぼす。好ましくは、8〜12%の範囲でMn含有量を設定する。
他の添加成分として、Ni,Co,Fe,Ti,V,Cr,Si,Nb,Mo,W,Sn,Sb,Mg,P,Be,Zr,Zn,B,C,Ag,ミッシュメタルの一種又は二種以上を合計で0.001〜10%添加することもできる。Ni,Co,Fe,Sn,Sb,Beはマトリックスを強化する作用を呈し、TiはN,Oを固定して無害化する。W,V,Nb,Mo,Zrは、硬さ,耐磨耗性の改善に有効な成分である。Crは耐磨耗性,耐食性を改善し、Siは耐食性を改善し、Mgは熱間加工性,靭性を向上させ、P,ミッシュメタルは脱酸剤として添加され靭性向上にも寄与する。また、Znは形状記憶温度を上昇させ、B,Cは粒界を強化して加工性,靭性を改善し、Agは冷間加工性の向上に寄与する。
Cu-Al-Mn系合金を矯正具の素材に使用すると、環境変化に対応した矯正力の変化が極めて小さく、安定した矯正力が長期にわたり変形爪に加えられる。また、形状記憶化処理又は超弾性化処理により矯正力の作用方向も制御できるので、変形爪の幅方向に関して適正な分布で矯正力を印加でき、効果的な変形解消が可能になる。
冷延板を出発材に使用する場合、集合組織を有する冷延板のRD方向に矯正板の長手方向を揃えて切り出すことにより、変形応力がRD方向(爪幅方向)で小さくTD方向(爪先方向)で大きくなる。そのため、変形応力の大きな爪先方向に関しては、爪先に対するカギツメの挟持力が大きくなり、脱落し難い矯正具になる。爪幅方向に関しては、形状記憶効果又は超弾性効果に起因する矯正力が安定して得られ、変形爪の矯正に活用される。
潰し線材を素材とする矯正具では、く字型の開き角θの調整で爪幅方向,爪先方向と結晶方位との関係が適正化され、爪幅方向に関し形状記憶効果又は超弾性効果に起因する矯正力が安定して得られ、変形爪の矯正に活用される。
変形爪矯正具は、Cu-Al-Mn系合金の冷延板又は潰し線材から作製される。
冷延板を出発材料とする場合、所定組成のCu-Al-Mn系合金を溶製した後、インゴットに鋳造し、熱間鍛造,冷間圧延等を経て薄板とし、(β+α)の二相組織となる500〜700℃で軟化焼鈍する。中間焼鈍温度を(β+α)二相域に設定することにより、大きな加工度の冷間加工を与えることができ、再結晶後に強配向性の{112}<110>集合組織が形成される。因みにβ単相域で中間焼鈍すると、十分な冷間加工度を与えられなくなるため、{112}<110>再結晶集合組織の形成が弱くなり、必要とする形状記憶効果,超弾性効果,変形抵抗の異方性が得られなくなる。
冷間圧延は、(β+α)の二相域での中間焼鈍を挟んで多段階で圧延することが好ましく、合計加工度を好ましくは30%以上,より好ましくは50%以上にする。たとえば、Cu:82.2%,Al:8.1%,Mn:9.7%の合金を合計加工度:30%以上で加工すると、<110>が加工方向に沿った再結晶β相の存在頻度が2.0以上になり、形状記憶効果,超弾性効果,変形抵抗の異方性が顕著になる。
焼鈍後の薄板を打ち抜き、或いは放電加工する際、圧延方向を爪幅方向として方向を揃えて所定形状の矯正具母材10 (図2a、図3a)を得る。矯正具母材10は、変形爪20(図2c、図3c)の幅方向長さに対応する長さをもち、複数の舌片11が爪先側の端縁から突出している。舌片11の形成位置は、矯正具母材10の長さ方向に沿った中央近傍(図2a)や両端近傍(図3a)の何れでも良い。或いは、矯正具母材10の長さ方向に沿って等間隔で爪幅の全幅に渡って複数の舌片11を形成しても良い。
矯正具母材10の舌片11を二重に折曲げ加工することにより、矯正板16の爪先側端縁に複数の二重重なり折り構造からなるカギツメ17を有する矯正具15(図2b,図3b)となる。舌片11を二重に折曲げ加工して折込み部18、折曲げ部19の二重重なり折り構造のカギツメ17を形成すると、舌片のエッジが二重重なり折り構造のカギツメ17の内部に折り込まれるため、エッジによる爪や指先の傷付きを防止できる。二重重なり折り構造のカギツメ17は、変形爪20の爪先21への装着安定性,爪先方向に関する変形応力の向上にも有効である。
所定形状に成形された矯正具15に熱処理を施し、形状記憶効果又は超弾性効果を付与する。
熱処理では、β単相となる温度範囲まで加熱(溶体化処理)し、結晶組織をβ単相に変態させ再結晶集合組織を形成させる。β単相域温度及び(β+α)二相域温度は合金組成により異なるが、一般にβ単相域温度は700〜900℃,(β+α)二相域温度は400〜850℃の範囲にある。β単相域温度での保持時間は0.1 分以上であれば良いが、15分を超える長時間保持は酸化等の悪影響が懸念されるので、好ましくは0.1〜15分に保持時間が設定される。
β単相域状態は、溶体化処理後の急冷で凍結できる。急冷には、水等の冷媒への浸漬,ミスト冷却、強制空冷等を採用できる。冷却速度が小さいとα相が析出してしまい、β単相域の結晶構造を維持できない。冷却速度は50℃/秒以上であるのが好ましく、実用上は100〜1000℃/秒の範囲で設定される。
焼入れ後、好ましくは300℃以下(より好ましくは、100〜250℃)の温度で時効処理を施すことによりβ相を安定化させる。低すぎる時効処理温度では、β相が十分に安定化せず、室温に放置しておくとマルテンサイト変態温度が変化することがある。逆に250℃を超える時効処理温度ではα相の析出が起こり、形状記憶特性や超弾性特性が著しく低下する傾向がある。時効処理時間は銅系合金の組成により異なるが、好ましくは1〜300分(より好ましくは、5〜200分)の間で定められる。1分に達しない短時間時効では十分な時効効果が得られず、逆に300分を超えるとα相の析出に起因した形状記憶特性,超弾性特性の低下が懸念される。
矯正板の爪幅方向に大きな形状復元力,カギツメの爪先方向に高い変形応力を呈する形状記憶処理又は超弾性化処理が施されているので、形状復元力を巻き爪,陥入爪等の矯正に効果的に使用できる。爪先方向に関する大きな変形応力は、カギツメ17を爪先21に噛み合わせて矯正具15(図2d,e,図3d,e)を変形爪20に装着した際、カギツメ17/矯正板16間の角度の広がりを抑え、変形爪20から矯正具15が脱落し難くする。爪先方向に延びたカギツメ17は、爪先方向の形状復元作用を抑える上でも有効である。しかも、変態エントロピー変化ΔSの小さなCu-Al-Mn系合金から作製されているので、環境変化があっても矯正力の変化量が極めて小さく、材質劣化も生じないので、患者に苦痛を与えず効果的な変形爪の矯正が可能になる。
潰し線材を出発材料とする場合、所定組成のCu−Al−Mn系合金から製造された丸線材を(β+α)二相域の冷間圧延により扁平化した後、潰し線材30を所定長さに切断し、両端を曲げ加工することによりカギツメ37を形成する(図4)。この場合も、二重重なり折りで折込み部38,折曲げ部39を形成すると、変形応力の高いカギツメ17となる。
カギツメ37を形成した後、屈曲点36aを頂点として中間部をく字型に曲げ加工することにより矯正部36を形成する。く字型の開き角をθ(度)とすると、カギツメ方向は<110>方向になり爪幅方向はRD方向からTD方向に90−θ/2(度)回転した角度になる。Cu−Al−Mn合金の方位と変態歪量との関係(図5)は、集合組織が形成された状態でも同様に維持され、方位に応じ回復歪み量が変わる。図5の点線は、RDからTDまで圧延面内を回転させたときの方位を示している。
A点は圧延面内をRD方向から70度回転させたときの方位であり、変態歪み量はこの方位でRD方向と等しくなる。
図5から判るように、RD方向からTD方向に0〜70度の範囲で回転させると回復歪み量が大きくなり、回復歪み量が大きいほど変形応力が小さくなるので、変形応力が爪幅方向で小さく爪先方向で大きくなる。したがって、く字型の開き角θを40度以上で180度未満の範囲に設定することが好ましく、更にはカギツメ37を指先と爪先21との間に安定的に挿し込むため40〜150度の範囲に設定することが好ましい。
く字型の開き角θを調整して爪幅方向,爪先方向と結晶方位との関係を適正化することにより、爪幅方向に関し形状記憶効果又は超弾性効果に起因する矯正力が安定して得られ、変形爪の矯正に活用される。しかも、形状記憶化処理又は超弾性化処理により矯正力の作用方向も制御できるので、変形爪の幅方向に関して適正な分布で矯正力を印加でき、効果的な変形解消が可能になる。他方、変形応力の大きな爪先方向に関してはカギツメ17,37の二重重なり折り構造で爪先21に対する挟持力が強化されているので、変形爪20に矯正具15,35を確実に装着でき、しかも取り付け・取外しが容易になる。
次いで、冷延材を出発材料とする矯正具15と同様な形状記憶化又は超弾性化の熱処理で再結晶β相を{112}<110>を主とした方位に配向させると、爪幅方向に弾性復元力(矯正力)が大きく爪先方向に変形応力の大きな矯正具35が得られる。
形状記憶効果又は超弾性効果が付与された矯正具には、必要に応じ化成処理,めっき,樹脂被覆等の表面処理が施される。たとえば、硬質皮膜を設けることにより矯正具15の耐疵付き性が改善され、Pd,Au,Ni,Ag,Cr等のめっき層,TiN等のコーティング層,UV電着塗装を始めとする一般塗装によって耐食性が改善され、適宜の色調をもつ塗膜により意匠性が付与される。
圧延板の異方性を調査するため、Al:7.86%,Mn:8.95%,Ni:3.1%、残部Cuの組成を有するCu-Al-Mn系合金のインゴットを熱間鍛造,(β+α)二相域の600℃で焼鈍,酸洗,50%の冷間圧延を経て板厚:0.2mmの冷延板とした。
冷延板のRD方向,TD方向それぞれに長手方向を揃えた幅:3mm,長さ:50mmの短冊状金属帯を放電加工で切り出した。そして、900℃×5分で溶体化処理した後、水焼入れし、次いで200℃×15分の時効処理を施した。
時効処理後の短冊状金属帯に引張り応力を加え、応力-歪み曲線を求めた。主として<110>が配向したRD方向の短冊状金属帯では柔軟な超弾性効果特性(図6a),<111>が配向しているTD方向の短冊状金属帯では変形応力の高い超弾性効果特性(図6b)が得られた。この対比から明らかなように、矯正板16の長手方向(爪幅方向)がRD方向に一致するように冷延板から矯正具母材10を切り出すことにより、変形爪の矯正作用,爪先に対する装着安定性の両立が可能になる。
参考例1
熱間鍛造後にβ単相域の900℃で焼鈍し加工率20%で冷間圧延する以外は実施例1と同じ条件下で製造した冷延板からRD方向,TD方向それぞれに短冊状金属帯を切り出した。
得られた短冊状金属帯は、RD方向,TD方向共に結晶粒がランダム配向しており、RD方向の応力-歪み曲線(図7a)とTD方向の応力-歪み曲線(図7b)との間に実質的な相違がみられなかった。そのため、RD方向に長手方向を揃えて矯正具母材10を切り出しても、矯正板16とカギツメ17の変形応力を変化させることができなかった。
参考例2
温度、湿度等の環境変化が人体の爪に与える影響を把握するため、環境変化に応じた爪の曲げ挙動を調査した。曲げ試験では、足の親指から採取した爪片Nを用い、台座22に押え23で固定した爪片Nの一端を錘24で加圧し、爪片Nを押し込んだときの荷重と爪片Nの撓み量との関係を測定した。また、温度,湿度等で爪の強度が変動することを考慮し、大気中,水中における温度依存性も調査した。
典型的な曲げ荷重-撓み曲線を図9に示す。また、大気中,水中での各温度における3mm押込み時の曲げ荷重及び25℃を基準としたときの荷重変化率を表1に示した。図9,表1から、大気中では昇温に伴い若干ではあるが曲げ変形荷重が低下し、水中では昇温に伴う曲げ変形荷重の低下が著しくなり、更に水温が上昇しても曲げ変形荷重が若干低くなることが判る。
Figure 0004415992
実施例1と同じCu-Al-Mn系合金冷延板から切り出した幅:2.7mm,長さ:14mm,厚さ:0.2mmの短冊状金属帯を用い、曲げ試験で矯正力の温度依存性を調査した。曲げ試験では、短冊状金属帯Mをダイス25に片持ち状態で支持し、短冊状金属帯Mの突出端部3mmに錘26を載せて押し込み、加圧解除後に1mm戻したときの力を矯正力(変形回復荷重)として評価した(図10)。比較のため、Ni-Ti合金帯についても、同様な曲げ試験で矯正力を測定した。
図11はCu-Al-Mn系合金の短冊状金属帯の曲げ荷重-撓み曲線を、図12はNi-Ti系合金の短冊状金属帯の曲げ荷重-撓み曲線を示す。環境温度に応じた変形荷重は表2に対比した。
測定結果から明らかなように、Ni-Ti合金帯では温度変化に応じた曲げ-撓み曲線の変動が大きく、昇温に伴って変形荷重,回復荷重が著しく高くなっている。他方、Cu-Al-Mn系合金の短冊状金属帯では、温度変化に対して変形荷重,変形回復荷重が緩慢に変動しており、苦痛を催す矯正力の急激な変化がないことが判る。
Figure 0004415992
変形荷重の温度変化率(25℃基準)は、人体の爪,Cu-Al-Mn系合金,Ni-Ti系合金と対比した図13にみられるように、爪の変化率:約-0.6%/℃に対しCu-Al-Mn系合金が約1%/℃,Ni-Ti系合金が約3%/℃であった。この結果は、Cu-Al-Mn系合金は、温度変化に対する変形荷重の変動が極めて小さく、矯正力の急激な変化がないことを示している。
人体の爪は、靴下,靴等を履く、入浴する等による温度や湿気の上昇に応じて柔らかくなり、特に水中では極めて柔らかくなる。昇温に伴って矯正具の矯正力が著しく上昇すると、爪の矯正には有効であるものの、過度の矯正により爪が割れてしまう虞がある。この点、Cu-Al-Mn系合金製の変形爪矯正具では、変形荷重の温度依存性が小さいため、環境変化に対しても安定的かつ安全に変形爪を矯正できる。
実施例3では、質量比でAl:8.1%,Mn:11.2%,残部Cuの組成を有するCu-Al-Mn系合金の使用環境による特性変化を調査した。
インゴットを熱間鍛造した後、600℃焼鈍,酸洗,70%の冷間圧延を経て板厚:0.2mmの冷延板を製造した。圧延板から幅:2.7mm,長さ:40mmの短冊状試験片を放電加工で切り出し、900℃×5分の溶体化処理後に焼き入れ、マルテンサイト変態温度の安定化のために150℃×15分の時効処理を施した。
熱処理したままの試験片と、温度,湿度を制御した環境試験機内で所定時間放置した試験片について、曲げ加工性を調査した。曲げ試験では、曲げ部を観察し曲率半径:1mmで割れたものを×,ヘアピン曲げで割れたものを△,ヘアピン曲げで割れなかったものを○として曲げ加工性を評価した。また、コーティングが及ぼす影響について調査するため、コーティングした試験片についても同様に曲げ加工性を調査した。比較材としてCu-Zn-Al,Cu-Al-Ni,Ni-Tiの各形状記憶合金を用いた。
表3の調査結果にみられるように、Cu-Al-Mn系合金の試験片は、湿潤雰囲気での放置,コーティングの有無に拘わらず良好な曲げ加工性を示し、使用環境による影響もみられなかった。試験No.3,4は、それぞれCu-Al-Mn系合金にPdめっき,樹脂コーティングした試験片であるが、No.2より更に過酷な条件下の環境試験後にも十分な曲げ性を保持しており、安全かつ安定的に爪を矯正する矯正具として有用なことが確認される。
これに対し、Cu-Zn-Al合金の試験片は、熱処理ままの曲げ性が十分でなく、しかも環境試験後にあっては曲げ性が著しく低下していた。Cu-Al-Ni合金の試験片は曲げ性に乏しく、Ni-Ti合金の試験片では十分な曲げ性が得られず、爪への装着時や装着性の安全性に不安があった。
Figure 0004415992
質量比でAl:7.86%,Mn:8.95%,Ni:3.1%,残部Cuの組成を有するCu-Al-Mn-Ni系合金のインゴットを熱間鍛造,600℃焼鈍,酸洗,50%冷間圧延を経て板厚:0.2mmの冷延板とした。冷延板を600℃×15分で焼鈍した後、放電加工で矯正具素材(弾性金属片10)を得た。矯正具素材は、幅:3mm,長さ:21mmの矯正板16の長手方向端縁から幅:1.5mm,長さ:5mmの舌片11が四本突出した形状(図3)を有している。
舌片11を折り込み、折曲げ加工し、折込み部18,折曲げ部19の二重重なり折り構造を有するカギツメ17を成形した。矯正板16の端縁から突出するカギツメ17の長さは3mm,爪先21が挿し込まれるカギツメ17のギャップは1mmに設定した。
カギツメ17を形成した後で、900℃×5分の溶体化処理後に焼き入れ、マルテンサイト変態温度の安定化のため200℃×15分で時効処理した。Cu-Al-Mn-Ni合金には{112}<110>再結晶集合組織が形成されており、RD方向に関して変形抵抗が低く形状記憶能が高いが、TD方向に関しては変形抵抗が高い異方性が付与されていた。
比較のため、同じ組成のCu-Al-Mn-Ni合金のインゴットを熱間鍛造,900℃焼鈍,酸洗,20%冷間圧延を経て板厚:0.2mmの冷延板を製造し、該冷延板から同様なサイズの矯正具を作製した。この場合には、カギツメ17形成後に同様な熱処理を施しても、明瞭な集合組織が検出されずほぼランダムな金属組織であったため異方性のある変形抵抗を付与できなかった。
作製された変形爪矯正具15を被験者各10名に適用し、巻き爪の矯正経過を調査した。矯正度合いは被験者によって異なるが、変形抵抗異方性を有する矯正具を装着した場合、矯正具が爪から脱落することなく、早いものでは装着後3日程度で矯正効果がみられ、一週間経過した時点では巻き爪が完全に解消された被験者もあり、三週間経過時点ではほぼ全員の巻き爪が解消されていた。
図14は、ある被験者の爪の矯正度合いを爪幅a,爪高さbの経時変化で表したグラフである。矯正具の装着日数が多くなるに従い爪の形状が徐々に変化し、アスペクト比a/bが2.0から4.0となり爪幅aが広げられていた。爪幅aの広がりに伴い巻込み状態が解消され、巻き爪による痛みが緩和された。巻き爪解消後に矯正具15を取り外し、爪先,指先を観察しても、矯正具15の押圧に起因する異常は検出されなかった。
これに対し、900℃で熱処理したCu-Al-Mn-Ni合金製の矯正具を装着した被験者は、矯正板16とカギツメ17の角度が広がり、矯正板が浮いてしまい、矯正具15が爪20から頻繁に脱落した。Cu-Zn-Al合金製の矯正具を使用した場合も、同様な傾向にあった。中には、カギツメ17が破損し、矯正具15が爪20から脱落したものもあった。そのため、二週間経過した時点でも巻き爪が矯正されず、三週間経過時点でも、依然としてほぼ全員の被験者が巻き爪による痛みを訴えた。
質量比でAl:7.95%、Mn:9.53%、Ni:2.08%、残部Cuの組成を有するCu−Al−Mn−Ni系合金のインゴットを熱間溝ロール圧延、冷間溝ロール圧延、600℃焼鈍、酸洗、75%冷間伸線を経て線径:0.7mmの線材とした。更に、600℃×5分の焼鈍後、厚さ:0.4mmの潰し線材(図4)に冷間圧延した。潰し線材を長さ:28mmに切断し、矯正部36の両端を折り曲げた後、更に折り曲げ先端から2mmの位置で同じ側に線材が重なるように折り曲げることにより、折込み部38,折曲げ部39の二重構造を有するカギツメ37を成形した。次いで、開き角90度のく字形状(図4b)に曲げ加工した。
得られた矯正具35を900℃×5分で溶体化処理した後に焼き入れ、マルテンサイト変態温度の安定化のため200℃×15分で時効処理した。Cu-Al-Mn-Ni合金には{112}<110>再結晶集合組織が形成されており、爪幅方向に関し変形抵抗が低く形状記憶能が高く、爪先方向に関し変形抵抗が高い異方性が付与されていた。
比較のため、同じ組成のCu-Al-Mn-Ni合金のインゴットを熱間鍛造,600℃焼鈍,酸洗,50%冷間圧延を経て板厚:0.2mmの冷延板とし、600℃×15分で焼鈍した後、放電加工で開き角90度のく字型冷延材に切り出した。切り出し方向は、く字型の両矯正部の変形抵抗が等方的になるように、カギツメ方向がRDからTDへ45度回転させた方向とした。
く字型冷延材の両端を折り曲げた後、更に折曲げ先端から2mmの位置で同じ側に線材が重なるように折り曲げることにより図4に類似した形状の矯正具を作製した。この場合、カギツメ37形成後に同様な熱処理を施すと{112}<110>再結晶集合組織が形成されるが、爪幅方向はRD方向となり、カギツメ方向はRDからTDへ45度回転させた方向となるため、図5の方位依存性からも予測される通り、爪幅方向よりもカギツメ方向の変形抵抗が小さい異方性が付与されていた。

製造された変形爪矯正具35を被験者10名に適用し、巻き爪の矯正経過を調査した。矯正度合いは被験者によって異なるが、潰し線材を素材とする本発明例の矯正具を装着した場合、矯正具が爪から脱落することなく、早いものでは装着後3日程度で矯正効果がみられ、一週間経過した時点では巻き爪が完全に解消された被験者もあり、二週間経過時点ではほぼ全員の巻き爪が解消されていた。巻き爪解消後に矯正具35を取り外し、爪先,指先を観察しても、矯正具35の押圧に起因する異常は検出されなかった。
これに対し、放電加工でく字形状に切り出した比較例の矯正具では、矯正部36とカギツメ37の角度が広がって浮いてしまい、矯正具35が変形爪20から頻繁に脱落した。そのため、二週間経過した時点でも巻き爪が矯正されず、三週間経過時点でも、依然としてほぼ全員の被験者が巻き爪による痛みを訴えた。
以上に説明したように、変態エントロピー変化ΔSの小さなCu-Al-Mn系合金を素材とし、爪幅方向で形状回復能が大きく爪先方向で変形応力が高い形状記憶効果又は超弾性効果を付与している。そのため、矯正具を装着した巻き爪,陥入爪等の変形爪が種々の温度変化や環境変化に曝されても、矯正力に大きな変動がないため患者に苦痛を与えることなく変形爪を効率よく矯正できる。しかも、爪先方向の変形応力が高くなっているので、装着した矯正具が変形爪から脱落することもない。
単位結晶格子(a)の結晶方位,{112}<110>集合組織を有する圧延板(b)の結晶方位を説明する模式図 変形爪と指先との間に矯正板を挿し込むタイプの変形爪矯正具であり、金属板から切り出した素材(a),曲げ加工でカギツメを形成した矯正具(b),変形爪(c),変形爪に装着した平面図(d)及び同正面図(e) 変形爪と指先との間にカギツメを挿し込むタイプの変形爪矯正具であり、金属板から切り出した素材(a),曲げ加工でカギツメを形成した矯正具(b),変形爪(c),変形爪に装着した平面図(d)及び同正面図(e) 潰し線材(a)を素材とする変形爪矯正具(b)及び該変形爪矯正具の装着状態(c) Cu-Al-Mn系合金の方位と変態歪み量との関係を示すグラフ (β+α)二相域温度で焼鈍したCu-Al-Mn系合金のRD方向(a),TD方向(b)に沿った応力-歪み曲線のグラフ β単相域温度で焼鈍したCu-Al-Mn系合金のRD方向(a),TD方向(b)に沿った応力-歪み曲線のグラフ 環境変化に応じた爪の曲げ挙動を調査した試験の模式図 大気中,水中で測定した爪の曲げ荷重-撓み曲線のグラフ 短冊状金属帯の矯正力の温度依存性を調査した試験の模式図 Cu-Al-Mn合金製短冊状試験片の曲げ荷重-撓み曲線のグラフ Ni-Ti合金製短冊状試験片の曲げ荷重-撓み曲線のグラフ 爪,Cu-Al-Mn合金,Ni-Ti合金で対比した変形荷重の温度変化率を示すグラフ Cu-Al-Mn合金製矯正具の装着日数に応じて変形爪が矯正されることを示したグラフ
符号の説明
10:弾性金属片
11:舌片
15:変形爪矯正具
16:矯正板
17:カギツメ
18:折込み部
19:折曲げ部
20:変形爪
21:爪先
22:台座
23:押え
24:錘
25:ダイス
26:錘
N:爪片
M:短冊状金属帯
30:潰し線材
35:変形爪矯正具
36:矯正部
36a:屈曲点
37:カギツメ
38:折込み部
39:折曲げ部

Claims (5)

  1. Cu−Al−Mn系形状記憶合金を冷間圧延した冷延板の圧延方向を爪幅方向とし、爪幅方向に関する形状記憶能が大きく、指長方向に関する変形応力が高いものとなるように冷延板から切り出した弾性金属片より得られる変形爪矯正具であって、再結晶β単相の主たる結晶方位が圧延方向に揃っており、矯正板と、矯正板の爪先側端縁に設けられると共に変形爪の爪先先端に噛み合う複数のカギツメと、を備え、
    カギツメは、前記矯正板の爪先側端縁から突出する複数の舌片それぞれの先端部を指の付け根側へ舌片が重なるように折込むことによって形成された折込み部と、さらに各舌片それぞれの基端部を同じ側に舌片が重なるように折り曲げることによって形成された折曲げ部とからなる二重重なり折り構造を有するものであることを特徴とする変形爪矯正具。
  2. カギツメは、矯正板の爪幅方向に関して等間隔で、爪幅の全幅、爪幅方向の中央近傍又は爪幅方向の両端近傍で爪先側端縁に設けられている請求項1記載の変形爪矯正具。
  3. Cu−Al−Mn系形状記憶合金の丸線材を冷間圧延した潰し線材から切り出した線材より得られる変形爪矯正具であって、再結晶β単相の主たる結晶方位が圧延方向すなわち長手方向に揃っており、切り出した線材の両端それぞれに形成されると共に変形爪の爪先側端に噛み合うカギツメと、両カギツメの間をほぼく字型に成形した矯正部と、を備え、
    該カギツメは、前記切り出した線材の両端の先端部それぞれを矯正部側へ線材が重なるように折込むことによって形成された折込み部と、さらに前記折込み部を含む両先端部それぞれを同じ側に線材が重なるように折曲げることによって形成された折曲げ部とからなる二重重なり折り構造を有するものであることを特徴とする変形爪矯正具。
  4. Cu−Al−Mn系形状記憶合金を冷間圧延した冷延板の圧延方向を爪幅方向とし、指長方向の一端縁から複数の舌片が突出した形状の弾性金属片を冷延板から切り出し、
    各舌片それぞれを折込んだ後に折曲げて二重重なり折り構造を有するカギツメを成形した後、
    状記憶化又は超弾性化のための熱処理でもって再結晶β単相の圧延面の法線方向を<112>、圧延方向を<110>を主とした方位に配向させることを特徴とする変形爪矯正具の製造方法。
  5. Cu−Al−Mn系形状記憶合金の丸線材を冷間圧延で潰し線材にして切り出した線材の両端の先端部それぞれを折込んだ後に折曲げて二重重なり折り構造を有するカギツメを形成し、
    両カギツメの間をほぼく字型の矯正部に成形した後、
    形状記憶化又は超弾性化のための熱処理でもって再結晶β単相の圧延面の法線方向を<112>、圧延方向を<110>を主とした方位に配向させることを特徴とする変形爪矯正具の製造方法。
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