JP4415820B2 - コンミテータ用フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Description
しかしながら、コンミテータの脱型性問題においては、離型剤の変更だけでは解決できず、離型性を含んだ脱型性の改良が必要とされていた。
(1)レゾール型フェノール樹脂と、無機充填材とを必須成分とし、エラストマとしてアクリルニトリルブタジエンゴム及び/又はポリビニルアセタールと、離型剤として部分ケン化エステルワックスと、を含有するコンミテータ用フェノール樹脂成形材料であって、前記部分ケン化エステルワックスの含有量は、成形材料全体に対して0.5〜3重量%であることを特徴とするコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
(2)前記レゾール型フェノール樹脂の含有量は、成形材料全体に対して25〜40重量%である(1)に記載のコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
(3)前記アクリルニトリルブタジエンゴム及び/又はポリビニルアセタールの含有量は、成形材料全体に対して1〜15重量%である(1)又は(2)に記載のコンミテータ用
フェノール樹脂成形材料。
(4)前記無機充填材の含有量は、成形材料全体に対して40〜65重量%である(1)〜(3)のいずれかに記載のコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
本発明の成形材料は、レゾール型フェノール樹脂と、無機充填材とを必須成分とし、エラストマとしてアクリルニトリルブタジエンゴム(以下、単に「NBR」ということがある)及び/又はポリビニルブチラール(以下、単に「PVB」ということがある)と、離型剤として部分ケン化エステルワックスと、を含有し、前記部分ケン化エステルワックスの含有量は、成形材料全体に対して0.5〜3重量%であることを特徴とする。
無機充填材としては特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレイ、未焼成クレイ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化マグネシウム、ウォラストナイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラス粉末等の無機粉末、或いはガラス繊維等の無機繊維が挙げられる。これらを単独、或いは2種類以上配合して用いることができる。
また、無機充填材として、上記ガラス繊維とともに、粉末状の無機充填材を用いることが好ましい。これにより、上記効果に加えて、コンミテータに寸法安定性を付与することができる。
本発明のようにエラストマを使用することで、常温弾性率及び金型温度程度における熱時弾性率を下げることが可能であり、この低弾性率化によって脱型荷重を低減することができる。また、脱型時に金型からの圧力が開放された直後に、高圧成形による金型圧力に起因する応力を緩和する効果もある。
PVBとNBRとでは、PVBの方が脱型荷重を下げる効果が高い。これは熱時の弾性率を下げる効果はPVBの方が高いためと考えられる。
通常、エラストマを配合することで成形材料が融けにくくなり流動性は低下することから、ガス焼けが発生しやすくなる傾向があるが、エラストマに部分ケン化エステルワックスを併用することで、ガス焼けを低減させる効果を向上することができる。
これにより、金型内部の最終充填位置における断熱圧縮によるガス焼けを低減することができると考えられる。また部分ケン化エステルワックスは、耐熱性も高いことからコンミテータのような高温雰囲気下で使用される成形品に適していると考えられる。
表1に、実施例及び比較例の成形材料組成、及び、それぞれの特性評価結果について示した。
ジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂20重量%、メチロール型レゾールフェノール樹脂10重量%、ポリビニルブチラール6重量%、ガラス繊維50重量%、未焼成クレイ10重量%、離型剤として部分ケン化エステルワックス<1>2重量%、硬化助剤として水酸化カルシウム1重量%、顔料としてカーボンブラック1重量%を配合した原料混合物を、90℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、冷却後顆粒状に粉砕して成形材料を得た。
部分ケン化エステルワックス<1>に代えて部分ケン化エステルワックス<2>を配合した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
ポリビニルブチラールに代えてアクリロニトリルブタジエンゴムを配合した以外は実施例2と同様にして成形材料を得た。
ジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂を24重量%、メチロール型レゾールフェノール樹脂12重量%、ガラス繊維50重量%、未焼成クレイ10重量%、離型剤としてステアリン酸2重量%、硬化助剤として水酸化カルシウム1重量%、顔料としてカーボンブラック1重量%を配合した原料混合物を、90℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、冷却後顆粒状に粉砕して成形材料を得た。
ジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂を20重量%に減量、メチロール型レゾールフェノール樹脂を10重量%に減量、ノボラック型フェノール樹脂を6重量%追加配合した以外は比較例1と同様にして成形材料を得た。
未焼成クレイを10.5重量%に増量、水酸化カルシウムを0.5重量%に減量した以外は比較例1と同様にして成形材料を得た。
ジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂を20重量%に減量、メチロール型レゾールフェノール樹脂を10重量%に減量、ポリビニルブチラールを6重量%追加配合した以外は比較例1と同様にして成形材料を得た。
1.ジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂:以下の方法にて製造した。
還流コンデンサー、撹拌機、加熱装置、真空脱水装置を備えた反応釜内に、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とをモル比(F/P)=1.7で仕込み、これに酢酸亜鉛をフェノール100重量部に対して0.5重量部添加した。この反応系のpHを5.5に調整し、還流反応を3時間行った。その後、真空度100Torr、温度100℃で2時間水蒸気蒸留を行って未反応フェノールを除去し、さらに、真空度100Torr、温度115℃で1時間反応させ、数平均分子量800のジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂(固形)を得た。
2.メチロール型レゾールフェノール樹脂:住友ベークライト社製 PR−51723(数平均分子量450)
3.ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製 A−1082(数平均分子量850)
4.ガラス繊維:日本板硝子社製 RES03−BM38(平均線維径11μm、平均繊維長3mm)
5.未焼成クレイ:白石工業社製 カオブライト(325メッシュパス)
6.アクリルニトリルブタジエンゴム:JSR社製 PNC−38
7.ポリビニルブチラール:積水化学工業社製 エスレックBX−5(重合度2500)8.部分ケン化エステルワックス<1>:ユニスターH0476DP(日本油脂社製)
9.部分ケン化エステルワックス<2>:リコワックスOP(クラリアントジャパン社製)
10.ステアリン酸:ステアリン酸さくら(日本油脂社製)
11.硬化助剤(水酸化カルシウム):消石灰SA074(秩父石灰社製)
12.顔料:カーボンブラック#750B(三菱化学社製)
なお、上記1〜3に示したフェノール樹脂の数平均分子量は、GPC法により測定し、フェノール換算で算出したものである。
JIS K 6911に準拠して測定した。評価用試料は、得られた成形材料を用いて、圧縮成形により作成した。成形条件は、金型温度175℃、成形圧力50MPa、硬化時間3分間とした。
図1に示す格子状の金型の凸部(12箇所/1格子サイズ:15×15mm)に、成形材料を1gずつ乗せて成形した。成形条件は、金型温度150℃、成形圧力25MPa、硬化時間1分間で行った。成形後、凸部に0.25MPaの圧力で10秒間エア掛けを行い、12箇所の凸部に残ったバリ状成形品の面積を目視で観察し点数化した。
成形品が全部除去されていれば4点、一部残っていたら2点、全部残っていたら0点とし、4点×12箇所×2ショット=96点を満点として評価した。
得られた成形材料を用い、外径30mm、高さ30mmのモデルコンミテータを圧縮成形により作成した。成形条件は、金型温度175℃、成形圧力50MPa、硬化時間3分間とした。
脱型荷重は、金型から成形品を脱型するのに必要な荷重を測定した。脱型直後の外径寸法は、脱型後10秒間経過後の外径寸法を測定した。
上記脱型性の評価で用いたモデルコンミテータ成形品を使用して、成形品外観において小ブクレ及びガス焼けの発生程度を比較した。符号は以下のとおりである。
○:成形性良好
△:小ブクレ又はガス焼けがわずかに認められる
×:小ブクレ又はガス焼けが認められる
エラストマとしてアクリロニトリルブタジエンゴムを配合した実施例3は実施例1及び2と比較して、熱時曲げ弾性率がやや高く脱型直後の外径寸法は若干大きいことから脱型荷重もやや高い結果となった。
エラストマ及び部分ケン化エステルワックスを配合していない比較例1は脱型荷重が高く、ノボラック樹脂を配合した比較例2及び硬化助剤量を減らした比較例3では、脱型荷重は低下するものの硬化性が低下することから表面剛性の低下が顕著であり小ブクレが発生した。エラストマは配合しているが部分ケン化エステルワックスを配合していない比較例4では、脱型荷重が僅かに増加し、成形性の悪化も観察された。
2 下型
3 成形材料
Claims (4)
- レゾール型フェノール樹脂と、無機充填材とを必須成分とし、エラストマとしてアクリルニトリルブタジエンゴム及び/又はポリビニルアセタールと、離型剤として部分ケン化エステルワックスと、を含有するコンミテータ用フェノール樹脂成形材料であって、前記部分ケン化エステルワックスの含有量は、成形材料全体に対して0.5〜3重量%であることを特徴とするコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
- 前記レゾール型フェノール樹脂の含有量は、成形材料全体に対して25〜40重量%である請求項1に記載のコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
- 前記アクリルニトリルブタジエンゴム及び/又はポリビニルアセタールの含有量は、成形材料全体に対して1〜15重量%である請求項1又は2に記載のコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
- 前記無機充填材の含有量は、成形材料全体に対して40〜65重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のコンミテータ用フェノール樹脂成形材料。
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