JP4415618B2 - ベルト滑り予測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ベルト滑り予測装置に係り、特に無段変速機(CVT)のベルト滑りを予測するベルト滑り予測装置に関する。
従来、ベルト−プーリ間のベルト滑り速度に対する摩擦特性μが飽和する点に着目し、滑り速度に対するベルトμの接線勾配(ベルトμ勾配)を検出し、そのμ勾配が0近傍となった時にベルト滑りを検出する技術が提案されている(特許文献1を参照。)。
特許文献1には、プライマリ、セカンダリにおけるベルト−プーリ間の摩擦トルクの釣り合いに関する運動方程式と、ベルトの摩擦力に関する運動方程式とに基づき、プライマリ、セカンダリの回転速度信号を用いてベルト滑り速度に対するμ勾配を検出し、μ勾配の低下からベルト滑りを検出することが記載されている。
特開2003−21578号公報
特許文献1では、サンプリング期間中にトルク変化、掛かり径変化、挟圧力変化がないという仮定の下でμ勾配算出式を導出していた。しかし、実際には、これらの変化を無視することができない問題があった。
特に、トルクはCVTを駆動する入力値であり、トルク変化時にμ勾配の検出精度が低下してしまう問題があった。また、特許文献1ではベルト運動を接線運動として記述されているが、実際には回転体運動である。したがって、運動方程式に予め誤差が含まれているので、μ勾配の検出精度が高くない問題もあった。
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、CVTの実際のベルト摩擦特性を考慮して、高精度にベルト滑りを予測するベルト滑り予測装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明であるベルト滑り予測装置は、入力側プーリ、出力側プーリ、前記入力側プーリ及び前記出力側プーリに掛けられたベルトを備えた無段変速機のベルト滑りを予測するベルト滑り予測装置であって、前記入力側プーリの入力回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、前記出力側プーリの出力回転速度を検出する出力回転速度検出手段と、前記入力側プーリ、前記出力側プーリのいずれか一方のベルト挟圧力を検出する第1のベルト挟圧力検出手段と、ベルト摩擦特性における動作点について少なくともベルトμ勾配を用いて表したときの、前記入力側プーリに入力される入力トルクと前記出力側プーリから出力される出力トルクとを減速比で表した式と、前記入力回転速度検出手段で検出された入力回転速度と、前記出力回転速度検出手段で検出された前記出力回転速度と、前記第1のベルト挟圧力検出手段で検出されたベルト挟圧力と、に基づいて、前記ベルトμ勾配を推定するベルトμ勾配推定手段と、前記ベルトμ勾配推定手段で推定されたベルトμ勾配に基づいて、前記ベルト滑りを予測する予測手段と、を備えている。
入力回転速度検出手段は、入力側プーリの入力回転速度に限らず、これと等価な物理量、例えば入力回転数を検出してもよい。同様に、出力回転速度検出手段は、出力側プーリの出力回転速度に限らず、これと等価な物理量、例えば出力回転数を検出してもよい。
第1のベルト挟圧力検出手段は、前記入力側プーリ、前記出力側プーリのいずれか一方のベルト挟圧力を検出する。なお、第1のベルト挟圧力検出手段は、ベルト挟圧力に限らず、これに等価な物理量、例えばプーリを構成する1組のシーブのうち、一方のシーブを他方のシーブに押圧するためのシーブ圧を検出してもよい。
ベルトμ勾配推定手段は、トルクの関係、入力回転速度、出力回転速度、ベルト挟圧力に基づいて、ベルトμ勾配を推定する。
トルクの関係は、ベルト摩擦特性における動作点について少なくともベルトμ勾配(動作点上の接線勾配)を用いて、前記入力側プーリ及び前記出力側プーリのトルクに関する釣り合いの関係を表したものである。
ベルト摩擦特性の動作点は、ベルトμ勾配のほかにベルト摩擦切片を用いれば、例えば、ベルト滑り速度の1次関数で表される。ベルト滑り速度(又はベルト滑り率)が小さいときは、ベルト摩擦特性は線形性を有し、このときベルトμ勾配は大きな値となる。ベルト滑り速度(又はベルト滑り率)が大きくなると、ベルト摩擦特性は非線形性を有し、このときベルトμ勾配は小さな値となる。ベルトμ勾配がほぼ0なると、ベルト滑りの前兆であるマクロスリップの限界となる。そこで、ベルトμ勾配推定手段は、入力回転速度、出力回転速度、ベルト挟圧力を用いてトルクの関係のベルトμ勾配を同定することで、このベルトμ勾配を推定する。
予測手段は、ベルトμ勾配に基づいてマクロスリップ限界を検出することで、ベルト滑りを予測する。予測手段は、例えば、ベルトμ勾配の絶対値としきい値とを比較して、その絶対値がしきい値以下となったときにベルト滑りを予測すればよい。
したがって、請求項1に記載の発明によれば、ベルト摩擦特性における動作点について少なくともベルトμ勾配を用いて表したときの、前記入力側プーリに入力される入力トルクと前記出力側プーリから出力される出力トルクとを減速比で表した式と、入力回転速度、出力回転速度、ベルト挟圧力とに基づいてベルトμ勾配を推定し、このベルトμ勾配に基づいてベルト滑りを予測することにより、トルクを求めることなく、高精度にベルト滑りを予測することができる。
請求項2に記載の発明であるベルト滑り予測装置は、請求項1に記載の発明であって、 入力側プーリ又は前記出力側プーリのベルト挟圧力のうち、前記第1のベルト挟圧力検出手段で検出されていないベルト挟圧力を検出する第2のベルト挟圧力検出手段をさらに備え、前記ベルトμ勾配推定手段は、さらに、前記第2のベルト挟圧力検出手段で検出されたベルト挟圧力に基づいて、前記ベルトμ勾配を推定する。
したがって、請求項2に記載の発明によれば、入力側プーリ及び出力側プーリの両方のベルト挟圧力を用いてベルトμ勾配を推定することができるので、より高精度にベルト滑りを予測することができる。
請求項3に記載の発明であるベルト滑り予測装置は、請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記ベルトμ勾配推定手段は、前記入力側プーリ及び前記出力側プーリの各々の動作点におけるベルトμ勾配を推定し、前記予測手段は、ベルトμ勾配推定手段で推定された2つのベルトμ勾配の絶対値の少なくとも一方がしきい値を超えたときに、ベルト滑りを予測する。
したがって、請求項3に記載の発明によれば、入力側プーリ及び出力側プーリの各々の動作点におけるベルトμ勾配を推定し、2つのベルトμ勾配の絶対値の少なくとも一方がしきい値を超えたときにベルト滑りを予測することにより、入力側プーリとベルト、出力側プーリとベルトのいずれかで発生する可能性のあるベルト滑りを高精度に予測することができる。
請求項4に記載の発明であるベルト滑り予測装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、入力回転速度検出手段により検出された前記入力回転速度と前記出力回転速度検出手段により検出された前記出力回転速度とに基づいて、減速比を演算する減速比演算手段をさらに備え、前記ベルトμ勾配推定手段は、前記減速比演算手段で演算された減速比を用いて、前記ベルトμ勾配を推定する。
したがって、請求項4に記載の発明によれば、入力回転速度及び出力回転速度に基づいて減速比を演算し、この減速比を用いて、ベルトμ勾配を推定することにより、トルクを実際に求めることなく、高精度にベルト滑りを予測することができる。
請求項5に記載の発明であるベルト滑り予測装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明であって、前記ベルトμ勾配は、少なくとも出力側プーリのベルトμ勾配であることを特徴とする。なお、前記ベルトμ勾配としては、出力側プーリだけでなく入力側プーリのベルトμ勾配を含んでもよい。
請求項6に記載の発明であるベルト滑り予測装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明であって、前記ベルト摩擦特性は、線形領域及び非線形領域の両方を含むことを特徴とする。
したがって、請求項6に記載の発明によれば、ベルト摩擦特性の動作点が線形領域及び非線形領域のいずれにある場合でも、ベルトμ勾配を求めて、ベルト滑りを予測することができる。
本発明に係るベルト滑り予測装置は、ベルト摩擦特性における動作点について少なくともベルトμ勾配を用いて表したときの、前記入力側プーリに入力される入力トルクと前記出力側プーリから出力される出力トルクとを減速比で表した式と、入力回転速度、出力回転速度、ベルト挟圧力とに基づいてベルトμ勾配を推定し、このベルトμ勾配に基づいてベルト滑りを予測することにより、トルクを求めることなく、高精度にベルト滑りを予測することができる。
以下、発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係るベルト滑り予測装置は、入力軸側のプライマリプーリ(以下「プライマリ」と省略する。)、出力軸側のセカンダリプーリ(以下「セカンダリ」と省略する。)、及びプライマリとセカンダリの間に掛けられたベルトを備えた無段変速機(CVT)において、このベルトの滑りを予測するものである。なお、各プーリは、固定シーブと、この固定シーブに向けてシーブ圧に応じて付勢されている可動シーブで構成されている。
最初に発明の原理について説明し、次に第1及び第2の実施形態について説明する。
[発明の原理]
1.μ勾配を用いたベルトμ特性の表現
図1は、無段変速機のプライマリ又はセカンダリに掛けられたベルトのベルトμ特性を示す図である。ベルトμ特性は飽和特性をもつ。ベルト滑り速度に対するベルトμの接線勾配(μ勾配)kは、マクロスリップ限界に近づくに従って小さくなる(0近傍の値となる。)。したがって、μ勾配kを検出することができれば、μ勾配kの0接近時にマクロスリップ限界が検出して、ベルト滑りを予測できる。
図1の動作点におけるベルトμを(1)式で表す。
Figure 0004415618
ここで、(1)式のパラメータは次の通りである。
k :動作点におけるベルト滑り速度に対する
ベルトμの接線勾配(ベルトμ勾配)[s/m]
Δv:動作点における滑り速度[m/s]
μ0:動作点におけるμ切片
V :ベルト速度
ω :プーリ回転速度
R :掛かり径
(1)式は、ベルトμ特性の線形領域(ベルト滑り速度が小さいとき)に限らず、非線形領域(ベルト滑り速度が大きいとき)も成り立つ。ここで、μ勾配kを直接検出するためには、実用上検出困難なトルクとベルト滑り速度が必要となる。
2.プライマリ・セカンダリのトルクの釣り合い式
プライマリ・セカンダリのそれぞれのトルクに関する釣り合いの式として、(2)式及び(3)式が成り立つ。
Figure 0004415618
(2)式及び(3)式のパラメータは次の通りである。ただし、時間微分を“・”で表す。また、添え字の“1”はプライマリ、添え字の“2”はセカンダリであることを表す。
J1,J2:回転慣性[kg・m2
ω1,ω2:回転速度[rad/s]
μ1,μ2:動作点におけるベルトμ
F1,F2:ベルト挟圧力[N]
R1,R2:ベルト掛かり径[m]
Tin:入力トルク[Nm]
Tout:出力トルク[Nm]
2:ベルトが接触するプーリ面数
θ:プーリ傾角
(2)、(3)式におけるμ1、μ2は、(1)式を用いると、(4)式、(5)式のように表される。
Figure 0004415618
ただし、k1はプライマリのベルトμ勾配、k2はセカンダリのベルトμ勾配である。ここで、ベルト速度、トルクは、前述したように、実用上検出困難な信号である。そこで、(2)式から(5)式より、ベルト速度、トルクのいずれかを消去することとする。トルクはベルト速度に対して1次進み要素である。トルクを消去することが、μ勾配kの推定精度の向上につながる。そこで、下記の手順に従ってトルクを消去した式を導出する。
最初に、(2)、(3)式のTin、Toutの間には、(6)式が成り立つ。
Figure 0004415618
ただし、γは、減速比である。減速比γは、プライマリ回転数Nin、セカンダリ回転数Noutの比(γ=Nin/Nout)で表される。
(6)式を(3)式へ代入すると、(7)式が得られる。
Figure 0004415618
(7)式を変形すると、(8)式となる。
Figure 0004415618
(2)、(3)式を足しあわせると、(9)式となる。
Figure 0004415618
3.μ勾配kの推定
上記の(9)式を用いてμ勾配k1,k2を推定する。ここで、(9)式のμ1、μ2に(4)式を代入して整理すると、(10)式となる。
Figure 0004415618
(10)式は、プライマリ、セカンダリ間のトルク伝達が減速比γとギア比で行われる点((6)式)に着目して、プライマリ、セカンダリのトルクに関する釣り合いの式から減速比を介したトルクを消去することで、求められた式である。
(10)式を次の(11)式のように表す。
Figure 0004415618
なお、Tは転置を表す。(11)式において、y(i)、τ(i)、ξ(i)は、それぞれ(11−1)、(11−2)、(11−3)式で表される。
Figure 0004415618
(11)式において、τを最小自乗法を用いて時々刻々オンライン同定する。例えば、最小自乗法として、(12)、(13)式の重み付け最小自乗法を用いる。
Figure 0004415618
そして、(12)式で同定されたτの第1項のk1、あるいは第2項のk2の絶対値が、所定のしきい値以下となったときにベルト滑りを予測することができる。
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態に係るベルト滑り予測装置の構成を示すブロック図である。
ベルト滑り予測装置は、プライマリの回転速度に応じて回転パルス信号を生成するプライマリ回転速度センサ11と、セカンダリの回転速度に応じて回転パルス信号を生成するセカンダリ回転速度センサ12と、プライマリのシーブ圧を検出するプライマリシーブ圧センサ13と、セカンダリのシーブ圧を検出するセカンダリシーブ圧センサ14と、各センサ信号に基づいてCVTのベルト滑りを予測するECU20と、を備えている。
図3は、ECU20の構成を示すブロック図である。
ECU20は、プライマリ回転速度検出回路21と、セカンダリ回転速度検出回路22と、プライマリ挟圧力検出回路23と、セカンダリ挟圧力検出回路24と、プライマリ回転角加速度算出回路25と、減速比算出回路26と、セカンダリ回転角加速度算出回路27と、しきい値生成回路28と、掛かり径算出回路29と、μ勾配算出回路30と、ベルト滑り予測回路31と、を備えている。
プライマリ回転速度検出回路21は、プライマリ回転速度センサ11からの回転パルス信号に基づいてプライマリ回転速度ω1[rad/s]を検出し、このプライマリ回転速度ω1をプライマリ回転角加速度算出回路25、減速比算出回路26、μ勾配算出回路30に供給する。
セカンダリ回転速度検出回路22は、セカンダリ回転速度センサ12からの回転パルス信号に基づいてセカンダリ回転速度ω2[rad/s]を検出し、このセカンダリ回転速度ω2を減速比算出回路26、セカンダリ回転角加速度算出回路27、μ勾配算出回路30に供給する。
プライマリ挟圧力検出回路23は、プライマリシーブ圧センサ13のセンサ信号に基づいてプライマリのシーブ圧を検出し、これを用いてプライマリのベルト挟圧力F1を検出する。そして、検出したベルト挟圧力F1をμ勾配算出回路30に供給する。
セカンダリ挟圧力検出回路24は、セカンダリシーブ圧センサ14のセンサ信号に基づいてセカンダリのシーブ圧を検出し、これを用いてセカンダリのベルト挟圧力F2を検出する。そして、検出したベルト挟圧力F2をμ勾配算出回路30に供給する。
プライマリ回転角加速度算出回路25は、プライマリ回転速度ω1を時間微分することでプライマリ回転角加速度を算出し、このプライマリ回転角加速度をμ勾配算出回路30に供給する。
減速比算出回路26は、プライマリ回転速度ω1及びセカンダリ回転速度ω2に基づいて減速比γ(=Nin/Nout)を演算し、減速比γをしきい値生成回路28及び掛かり径算出回路29に供給する。
セカンダリ回転角加速度算出回路27は、セカンダリ回転速度ω2を時間微分することでセカンダリ回転角加速度を算出し、このセカンダリ回転角加速度をμ勾配算出回路30に供給する。
しきい値生成回路28は、減速比γの様々な値に対応するしきい値を表したマップを記憶している。しきい値は、例えば、マクロスリップ発生直前におけるベルトμ勾配の値を示している。しきい値生成回路28は、このマップを参照して、減速比算出回路26で算出された減速比γに対応するしきい値を求め、求めたしきい値をベルト滑り予測回路31に供給する。なお、しきい値生成回路28は、ベルト滑り予測回路31がベルト滑りを予測したときは、チャタリングを防止するために、しきい値を上げるようになっている。
掛かり径算出回路29は、減速比算出回路26で算出された減速比γを用いて、(14)式に従ってプライマリのベルト掛かり径R1、(15)式に従ってセカンダリのベルト掛かり径R2を算出し、ベルト掛かり径R1,R2をμ勾配算出回路30に供給する。
Figure 0004415618
ただし、a,b,cはそれぞれ定数である。
μ勾配算出回路30は、プライマリ回転速度ω1、セカンダリ回転速度ω2、ベルト掛かり径R1,R2、プライマリ回転角加速度、セカンダリ回転角加速度、プライマリベルト挟圧力F1、セカンダリベルト挟圧力F2に基づいて、ベルトμ勾配を算出する。
具体的には、μ勾配算出回路30は、各回路から供給されたパラメータを(11−1)式のy(i)、(11−3)式のξ(i)にそれぞれ代入する。そして、(11)式において、最小自乗法用いて、時々刻々(11−2)式のτ(i)を同定する。なお、最小自乗法としては、(12)、(13)式の重み付け最小自乗法を用いてもよい。
μ勾配算出回路30は、τ(i)を同定することによって、プライマリのベルトμ勾配k1、セカンダリのベルトμ勾配k2を同時に求め、ベルトμ勾配k1,k2をベルト滑り予測回路31に供給する。
ベルト滑り予測回路31は、ベルトμ勾配k1の絶対値、ベルトμ勾配k2の絶対値のそれぞれと、しきい値生成回路28で生成されたしきい値とを比較して、いずれか一方のベルトμ勾配の絶対値がしきい値以下となったときに、ベルト滑りを予測する。
図4(A)はプライマリ及びセカンダリの回転数[rpm]、(B)はプライマリへの入力トルクTin及びセカンダリの出力トルクTout[Nm]、(C)は減速比γ、(D)はセカンダリのベルトμ勾配k2の経時変化を示す図である。ここでは、セカンダリベルト挟圧力F2をTin=76[Nm]付近でマクロスリップする挟圧力に固定している。また、挟圧力余裕の大きいTin=55[Nm]一定とマクロスリップする76[Nm]付近まで68[Nm]から上昇させた試験結果である。セカンダリベルトμ勾配k2以外の波形は、マクロスリップ発生時の波形のみを示している。
セカンダリベルトμ勾配k2は、マクロスリップ発生前から低下し出す。このとき、ベルト滑り予測回路31は、マクロスリップ限界を検出してベルト滑りを予測する。なお、ベルト滑り予測回路31は、マクロスリップ限界検出後、しきい値を上げることによって、ベルト滑り予測結果が頻繁に変化するチャタリングを防止している。
以上のように、第1の実施形態に係るベルト滑り予測装置は、プライマリ回転速度、セカンダリ回転速度、プライマリベルト挟圧力F1、セカンダリベルト挟圧力F2、(10)式(具体的には(11)式、(11−1)〜(11−3)式)に基づいて、ベルトμ勾配k1,k2を推定することができ、ベルトμ勾配k1,k2を各々しきい値と比較することで、ベルト滑りを高精度に予測することができる。
ベルト滑り予測装置は、特に、プライマリ、セカンダリ間のトルク伝達が減速比γとギア比で行われることを考慮した(10)式を用いることで、トルクを実際に求めることなく、ベルトμ勾配k1,k2を推定することができる。また、(10)式は掛かり径変化、挟圧力変化を考慮しているので、プライマリ、セカンダリの掛かり径R1,R2やベルト挟圧力F1,F2が連続的に変化する場合でも、高精度にベルト滑りを予測することができる。
なお、ベルトμ勾配をしきい値付近(0付近)に維持するようにベルト挟圧力を制御して、燃費の向上を図ることもできる。
[第2の実施形態]
つぎに、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の回路には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態に係るベルト滑り予測装置は、第1の実施形態と比較すると、プライマリシーブ圧センサ13、プライマリ挟圧力検出回路23を取り除いた構成となっている。そして、μ勾配算出回路30は、プライマリベルト挟圧力F1を省略してセカンダリベルトμ勾配k2を算出することができる。
そこで、本実施形態では、(11−2)式の代わりに(11−4)式、(11−3)式の代わりに(11−5)式を用いる。
Figure 0004415618
(11−4)式に示すように、プライマリベルト挟圧力F1を同定対象となるパラメータτ(i)に入れることで、プライマリベルト挟圧力F1を実際に検出する手間を省いている。
具体的には、μ勾配算出回路30は、各回路から供給されたパラメータを(11−1)式のy(i)と(11−4)式のξ(i)にそれぞれ代入する。そして、(11)式において、最小自乗法用いて、時々刻々(11−4)式のτ(i)を同定する。これにより、μ勾配算出回路30は、プライマリベルト挟圧力F1を用いることなく、セカンダリベルトμ勾配k2を求めることができる。
図5(A)は、第1の実施形態においてベルト挟圧力F1及びF2を用いて同定したベルトμ勾配k2と、本実施形態においてベルト挟圧力F2のみを用いて同定したベルトμ勾配k2とを示す図である。同図(B)は、推力比(=F2/F1)を示す図である。なお、プライマリ回転数Nin=1000[rpm]、入力トルクTin=70〜80[Nm]、減速比γ=0.65とした。
同図(A)に示すように、プライマリベルト挟圧力F1、セカンダリベルト挟圧力F2のいずれか一方を省略しても、ベルトμ勾配k2を同定できる。その理由は以下の通りである。
図6は、各減速比における推力比(=F2/F1)を示す図である。推力比は、減速比毎に独立した値をもっている。ここで減速比は、プライマリ、セカンダリの挟圧力バランスでよって決まる。このため、減速比といずれか一方の挟圧力が定まれば、他方の挟圧力は自明(従属)となる。したがって、プライマリベルト挟圧力F1の同定が可能であり、さらにプライマリベルト挟圧力F1が得られることで、第1の実施形態と同レベルでベルトμ勾配を同定することが可能となる。
以上のように、第2の実施形態に係るベルト滑り予測装置は、プライマリベルト挟圧力F1を用いることなく、プライマリ回転速度、セカンダリ回転速度、セカンダリベルト挟圧力F2に基づいて、第1の実施形態と同等の精度でベルトμ勾配k2を推定することができ、この結果ベルト滑りを高精度に予測することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。
例えば、第1及び第2の実施形態では、ベルト滑り速度に対するベルトμの接線勾配(ベルトμ勾配)を求めたが、ベルト滑り率に対するベルトμの接線勾配を求めてもよい。
また、第2の実施形態では、ベルト予測装置は、プライマリベルト挟圧力F1を省略してベルトμ勾配k2を推定してベルト滑りを予測したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プライマリベルト挟圧力F1の代わりにセカンダリベルト挟圧力F2を省略してベルトμ勾配k1を推定し、ベルトμ勾配k1に基づいてベルト滑りを予測してもよい。
無段変速機のベルトμ特性を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るベルト滑り予測装置の構成を示すブロック図である。 ECUの構成を示すブロック図である。 (A)はプライマリ及びセカンダリの回転数[rpm]、(B)はプライマリへの入力トルクTin及びセカンダリの出力トルクTout[Nm]、(C)は減速比γ、(D)はセカンダリのベルトμ勾配k2の経時変化を示す図である。 (A)は、第1の実施形態においてベルト挟圧力F1及びF2を用いて同定したベルトμ勾配k2と、第2の実施形態においてベルト挟圧力F2のみを用いて同定したベルトμ勾配k2とを示す図である。(B)は、推力比(=F2/F1)を示す図である。 各減速比における推力比(=F2/F1)を示す図である。
符号の説明
20 ECU
21 プライマリ回転速度検出回路
22 セカンダリ回転速度検出回路
23 プライマリ挟圧力検出回路
24 セカンダリ挟圧力検出回路
25 プライマリ回転角加速度算出回路
26 減速比算出回路
27 セカンダリ回転角加速度算出回路
28 しきい値生成回路
29 掛かり径算出回路
30 μ勾配算出回路
31 ベルト滑り予測回路

Claims (6)

  1. 入力側プーリ、出力側プーリ、前記入力側プーリ及び前記出力側プーリに掛けられたベルトを備えた無段変速機のベルト滑りを予測するベルト滑り予測装置であって、
    前記入力側プーリの入力回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、
    前記出力側プーリの出力回転速度を検出する出力回転速度検出手段と、
    前記入力側プーリ、前記出力側プーリのいずれか一方のベルト挟圧力を検出する第1のベルト挟圧力検出手段と、
    ベルト摩擦特性における動作点について少なくともベルトμ勾配を用いて表したときの、前記入力側プーリに入力される入力トルクと前記出力側プーリから出力される出力トルクとを減速比で表した式と、前記入力回転速度検出手段で検出された入力回転速度と、前記出力回転速度検出手段で検出された前記出力回転速度と、前記第1のベルト挟圧力検出手段で検出されたベルト挟圧力と、に基づいて、前記ベルトμ勾配を推定するベルトμ勾配推定手段と、
    前記ベルトμ勾配推定手段で推定されたベルトμ勾配に基づいて、前記ベルト滑りを予測する予測手段と、
    を備えたベルト滑り予測装置。
  2. 入力側プーリ又は前記出力側プーリのベルト挟圧力のうち、前記第1のベルト挟圧力検出手段で検出されていないベルト挟圧力を検出する第2のベルト挟圧力検出手段をさらに備え、
    前記ベルトμ勾配推定手段は、さらに、前記第2のベルト挟圧力検出手段で検出されたベルト挟圧力に基づいて、前記ベルトμ勾配を推定する
    請求項1に記載のベルト滑り予測装置。
  3. 前記ベルトμ勾配推定手段は、前記入力側プーリ及び前記出力側プーリの各々の動作点におけるベルトμ勾配を推定し、
    前記予測手段は、ベルトμ勾配推定手段で推定された2つのベルトμ勾配の絶対値の少なくとも一方がしきい値を超えたときに、ベルト滑りを予測する
    請求項1または請求項2に記載のベルト滑り予測装置。
  4. 入力回転速度検出手段により検出された前記入力回転速度と前記出力回転速度検出手段により検出された前記出力回転速度とに基づいて、減速比を演算する減速比演算手段をさらに備え、
    前記ベルトμ勾配推定手段は、前記減速比演算手段で演算された減速比を用いて、前記ベルトμ勾配を推定する
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト滑り予測装置。
  5. 前記ベルトμ勾配は、少なくとも出力側プーリのベルトμ勾配であることを特徴とする
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のベルト滑り予測装置。
  6. 前記ベルト摩擦特性は、線形領域及び非線形領域の両方を含むことを特徴とする
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のベルト滑り予測装置。
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