JP4415145B2 - p53タンパク質の活性化を調節する薬物のスクリーニング法 - Google Patents

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Description

本発明は、p53タンパク質活性化調節剤のスクリーニング法、p53タンパク質の活性化法、およびp53タンパク質に関連する疾患を治療するための医薬組成物に関する。
GADD34は、成長停止およびDNA損傷によって発現量が増加するタンパク質のうちの一つである。GADD34は、GADD45およびGADD153と同様に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における紫外線(UV)誘導転写産物として発見されたものである(非特許文献1:Fornace A.J. Jr. et al., Mol. Cell Biol. 9, 4196-4203, 1989)。GADD34は、そのカルボキシル末端部分において、単純ヘルペスウイルス1(HSV1)のγ34.5との間で高度に保存されたドメインを有する。このγ34.5は、HSV1の感染した神経芽腫細胞においてタンパク質合成の成熟前での停止を遮断する病原性因子である(非特許文献2:Chou J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 5247-5251, 1994)。γ34.5タンパク質のカルボキシル末端ドメインは、プロテインホスファターゼ1α(PP1α)に結合する。この複合体は、真核細胞翻訳開始因子2α(eIF2α)を特異的に脱リン酸化し、タンパク質合成停止が防止される(非特許文献3:He B. et al., J. Virol. 70, 84-90, 1996)。さらに、Novoaら(非特許文献4:Novoa I. et al., J. Cell Biol. 153, 1011-1022, 2001)およびKojimaら(非特許文献5:Kojima E. et al., FASEB J. 17, 1573-1575, 2003)では、GADD34ノックアウトマウスを用いる実験により、GADD34の機能の一つがHSV1のγ34.5タンパク質の機能に類似することが示されている。特に、Kojimaらの上記文献には、GADD34-/-マウス胚繊維芽細胞(MEF)において、このMEFを小胞体(ER)ストレスに曝すと、タンパク質合成停止からの回復が遅れることが記載されている。
また、GADD34とPP1αとの関連については、次のような報告がある。まず、Trinkle-Mulcahyら(非特許文献6:Trinkle-Mulcahy L et al., J. Cell Sci. 114, 4219-4228, 2001)には、内因性PP1αが主に培養細胞の核内に局在していることが示されている。さらに、Brushら(非特許文献7:Brush M.H. et al., Mol. Cell Biol. 23, 1292-1303, 2003)には、GADD34がPP1αに結合すること、小胞体ストレスを誘導するツニカマイシン処理によってGADD34遺伝子発現が増強されること、およびツニカマイシン処理によってPP1αが小胞体に局在化することが示されている。しかしながら、DNA傷害物質がPP1αを小胞体に移行させることは、これまでに報告されていない。
プロテインホスファターゼとp53との関連については、次のような報告がある。Takenakaら(非特許文献8:Takenaka I. et al., J. Biol. Chem. 270, 5405-5411, 1995)には、PP1/PP2Aがp53のC末端部位(プロテインキナーゼによるリン酸化部位)を脱リン酸化し、これによりp53のDNA結合能に影響を与えることが示されている。一方で、p53のN末端部位におけるリン酸化は、転写調節能および安定化にとって重要であるとされているが、このN末端部位でのリン酸化とプロテインホスファターゼとの関係は解明されていない。
GADD34と細胞周期停止またはアポトーシスとの関連について、いくつかの報告がある。いくつかの研究により、電離性放射線照射またはアルキル化剤であるメチルメタンスルホネート(MMS)での処理の後に、所定の細胞系において、アポトーシスの開始がGADD34の発現に相関することが示されている(非特許文献9:Adler H.T. et al., Mol. Cell Biol. 19, 7050-7060, 1999;非特許文献10:Grishin A.V. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 10172-10177, 2001)。ショウジョウバエトリソラックス(trx)遺伝子のヒト相同体であるHRX白血病性融合癌遺伝子は、GADD34に結合してアポトーシス応答を負に調節する(非特許文献9:Adler H.T. et al., Mol. Cell Biol. 19, 7050-7060, 1999)。結腸直腸癌SW480細胞株におけるGADD34の発現は、電離性放射線照射により誘発されるアポトーシスを促進することが報告されている(非特許文献9:Adler H.T. et al., Mol. Cell Biol. 19, 7050-7060, 1999)。また、ヒトGADD34は、黒色腫細胞および神経膠腫細胞の分化および増殖停止によって誘導されることが示されている(非特許文献11:Jiang H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 9160-9165, 1996;非特許文献12:Su Z.Z. et al., Oncogene 22, 1164-1180, 2003)。ヒト黒色腫細胞においては、IL−24がGADDファミリーの遺伝子発現およびアポトーシスを誘発すること、およびアンチセンス法によるGADD34の発現抑制によって前記アポトーシスが遮断されることが報告されている(非特許文献13:Sarkar D. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 10054-10059, 2002)。
Fornace A.J. Jr. et al., Mol. Cell Biol. 9, 4196-4203, 1989 Chou J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 5247-5251, 1994 He B. et al., J. Virol. 70, 84-90, 1996 Novoa I. et al., J. Cell Biol. 153, 1011-1022, 2001 Kojima E. et al., FASEB J. 17, 1573-1575, 2003 Trinkle-Mulcahy L et al., J. Cell Sci. 114, 4219-4228, 2001 Brush M.H. et al., Mol. Cell Biol. 23, 1292-1303, 2003 Takenaka I. et al., J. Biol. Chem. 270, 5405-5411, 1995 Adler H.T. et al., Mol. Cell Biol. 19, 7050-7060, 1999 Grishin A.V. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 10172-10177, 2001 Jiang H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 9160-9165, 1996 Su Z.Z. et al., Oncogene 22, 1164-1180, 2003 Sarkar D. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 10054-10059, 2002
発明の概要
本発明者らは、細胞の増殖またはアポトーシスの阻害について、GADD34の機能解析を行なった。GADD34でのトランスフェクションにより、p53のリン酸化が誘導された。GADD34欠損MEFでは、メチルメタンスルホネート(MMS)によるp53のリン酸化は、野生型MEFに比べて減少していた。GADD34は、主に核内に存在するプロテインホスファターゼ1α(PP1α)に結合することが知られている。MMS処理により、PP1αは核から小胞体に移行した。なお、MMS処理はeIF2αリン酸化を刺激せず、タンパク質合成停止を誘導しないことが示された。さらに、GADD34でのトランスフェクションにより、PP1αが小胞体に移行した。さらに、NIH3T3細胞におけるTet on−offシステムを用いて、細胞増殖について調べたところ、GADD34を誘導した(テトラサイクリン無し)細胞は増殖を停止し、p21/WAF1のmRNA発現量が増加した。これらの結果から、本発明者らは、GADD34が、PP1αを核から細胞質中に移行させることによりp53リン酸化を促進する、との知見を得た。本発明は、この知見に基づくものである。
従って、本発明は、GADD34の作用の調節能に基づくp53タンパク質活性化調節剤のスクリーニング法、p53タンパク質の活性化法、およびp53タンパク質に関連する疾患を治療するための医薬組成物を提供することを目的とする。
そして、本発明によるスクリーニング法は、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進または抑制する薬物を同定する方法であって、(a)GADD34遺伝子を発現しうる細胞を、候補薬物の存在下において、該候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子を発現しうる条件下にて培養する工程、および(b)工程(a)により得られる細胞において、GADD34遺伝子発現の促進または抑制を検出する工程、を含んでなり、工程(b)においてGADD34遺伝子発現の促進が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を促進する薬物として同定され、工程(b)においてGADD34遺伝子発現の抑制が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を抑制する薬物として同定される方法である。
本発明の他の態様によるスクリーニング法は、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進または抑制する薬物を同定する方法であって、(a)GADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現しうる細胞を、候補薬物の存在下において、該候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現しうる条件下にて培養する工程、ならびに(b)工程(a)により得られる細胞において、GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用の促進または抑制を検出する工程、を含んでなり、工程(b)において、前記相互作用の促進が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を促進する薬物として同定され、工程(b)において、前記相互作用の抑制が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を抑制する薬物として同定される方法である。
さらに、本発明によるp53タンパク質活性化法は、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進する方法であって、目的とする哺乳動物細胞を、GADD34遺伝子発現促進剤を用いて処理する工程を含んでなる方法である。
さらに、本発明による医薬組成物は、GADD34遺伝子発現促進剤および医薬上許容される担体を含んでなる、p53タンパク質の活性化が治療上有効とされる疾患または障害を治療するための医薬組成物である。
さらに、本発明の他の態様による医薬組成物は、GADD34遺伝子発現抑制剤および医薬上許容される担体を含んでなる、p53タンパク質の活性化の阻害が治療上有効とされる疾患または障害を治療するための医薬組成物である。
本発明によれば、生物学的研究、医療などの様々な分野において、p53タンパク質の活性化の調節が可能となる。
発明の具体的説明
本明細書において、GADD34が、p53リン酸化、p21mRNA発現および細胞増殖停止を誘導することが実証されている。γ線照射、UV照射またはMMS処理などのDNA損傷ストレスにより、ヒトp53のセリン15におけるリン酸化およびマウスp53のセリン18におけるリン酸化が誘導される。GADD34欠損MEFでは、MMS処理またはUVC処理の後におけるp53のセリン18でのリン酸化は、野生型MEFに比べて弱いものであった。また、GADD34cDNAでのトランスフェクションにより、ヒトp53のセリン15におけるリン酸化が用量依存的に増加することが示された。これらの結果によれば、GADD34によりp53のリン酸化が誘導されるものと結論づけられる。さらに、本明細書においては、MMS処理によってGADD34が誘導されること、GADD34が小胞体においてPP1αと相互作用し、PP1αの核内への移行を阻害すること、核内のPP1αの量が減少することによりp53の脱リン酸化が抑制され、リン酸化されたp53の量が増加することが示されている。
以上のような知見から、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進または抑制する薬物を同定する方法が提供される。この方法により同定される薬物は、好ましくはヒト細胞内におけるヒトp53タンパク質の活性化、特にヒトp53タンパク質の第15番目のセリン残基のリン酸化による活性化、を促進または抑制するものとされる。
本発明の第一の態様による薬物同定法は、GADD34遺伝子発現を調節する能力を指標とするものであり、よって、該方法により同定される薬物は、GADD34遺伝子発現の促進剤または抑制剤である。従って、この方法は以下の工程を含むものとされる:
(a)GADD34遺伝子を発現しうる細胞を、候補薬物の存在下において、該候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子を発現しうる条件下にて培養する工程;および
(b)工程(a)により得られる細胞において、GADD34遺伝子発現の促進または抑制を検出する工程。
本発明の第一の態様による薬物同定法では、工程(b)においてGADD34遺伝子発現の促進が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を促進する薬物として同定され、工程(b)においてGADD34遺伝子発現の抑制が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を抑制する薬物として同定される。
工程(a)においては、内因性GADD34遺伝子を有する細胞をそのままの形で用いることができるが、内因性GADD34遺伝子の有無にかかわらず、GADD34遺伝子を発現するように遺伝子操作された細胞を用いてもよい。GADD34タンパク質のアミノ酸配列およびこれをコードするヌクレオチド配列は当技術分野において周知であり、例えば、配列番号1および配列番号2(NCBIアクセス番号:U83981)に示されるヒトGADD34の配列が挙げられる。当業者であれば、これらの配列を参照することにより、標準的な方法(例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照のこと)を用いて、細胞を適切にトランスフェクトすることができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、工程(a)において用いられる細胞は哺乳動物細胞とされる。このような哺乳動物細胞としては、様々なものが当技術分野において知られており、例えば、COS−7細胞、C127細胞、NIH3T3細胞、CHO細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、BHK細胞、SOAS−2細胞等が挙げられる。また、哺乳動物細胞において用いられる発現ベクターは、例えば、複製起点、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位、スプライス受容部位、ターミネーター、5’非翻訳領域等を適宜含んでなるものである。
工程(a)における培養は、当技術分野において周知の標準的な方法、例えば、候補薬物と前記細胞とをインキュベートすることによって行なうことができる。また、候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子を発現しうる条件は、γ線照射、UV照射、MMS処理などの技術を用いてDNA損傷ストレスを与えることによって達成することができ、あるいは、トランスフェクションに用いた発現ベクター中のプロモーターを活性化することによって達成することもできる。培養における培地、温度、時間、候補薬物の量、細胞の量、添加物などは、当業者であれば適切に選択することができる。
工程(b)において、GADD34遺伝子発現の促進または抑制は、当技術分野において周知の標準的な方法、例えば、該遺伝子の発現の強度を測定することによって検出することができる。細胞内の遺伝子発現の強度を測定する方法としては、その発現産物、例えばmRNAまたはタンパク質、の量を測定する方法が挙げられる。さらに、GADD34のmRNA量は、これに特異的なプライマーペアを用いるRT−PCRによる増幅の後に電気泳動を行なう方法等により測定することができる。また、GADD34タンパク質の量は、細胞から得られるタンパク質抽出物を電気泳動した後にGADD34に特異的な抗体を用いてこれを検出するイムノブロット法等により測定することができる。さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、工程(b)は、工程(a)により得られる細胞におけるGADD34遺伝子発現の強度と、候補化合物の不在下で培養された対照細胞におけるGADD34遺伝子発現の強度とを比較することを含んでなる。対照細胞は、候補薬物を添加しないことを除き、工程(a)と同一の方法によって得ることができる。
本発明の第二の態様による薬物同定法は、GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用を調節する能力を指標とするものであり、よって、該方法により同定される薬物は、前記相互作用の促進剤または抑制剤である。従って、この方法は以下の工程を含むものとされる:
(a)GADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現しうる細胞を、候補薬物の存在下において、該候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現しうる条件下にて培養する工程、ならびに、
(b)工程(a)により得られる細胞において、GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用の促進または抑制を検出する工程。
本発明の第二の態様による薬物同定法では、工程(b)において、前記相互作用の促進が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を促進する薬物として同定され、工程(b)において、前記相互作用の抑制が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を抑制する薬物として同定される。
工程(a)においては、内因性GADD34遺伝子および内因性PP1α遺伝子を有する細胞をそのままの形で用いることができるが、これら内因性遺伝子の有無にかかわらず、GADD34遺伝子および/またはPP1α遺伝子を発現するように遺伝子操作された細胞を用いてもよい。GADD34タンパク質のアミノ酸配列およびこれをコードするヌクレオチド配列は当技術分野において周知であり、例えば、配列番号1および配列番号2(NCBIアクセス番号:U83981)に示されるヒトGADD34の配列が挙げられる。また、PP1αタンパク質のアミノ酸配列およびこれをコードするヌクレオチド配列は当技術分野において周知であり、例えば、配列番号3および配列番号4(NCBIアクセス番号:X70848)に示されるヒトPP1αの配列が挙げられる。当業者であれば、これらの配列を参照することにより、標準的な方法(例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照のこと)を用いて、細胞を適切にトランスフェクトすることができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、工程(a)において用いられる細胞は哺乳動物細胞とされる。このような哺乳動物細胞としては、様々なものが当技術分野において知られており、例えば、COS−7細胞、C127細胞、NIH3T3細胞、CHO細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、BHK細胞、SOAS−2細胞等が挙げられる。また、哺乳動物細胞において用いられる発現ベクターは、例えば、複製起点、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位、スプライス受容部位、ターミネーター、5’非翻訳領域等を適宜含んでなるものである。
工程(a)における培養は、当技術分野において周知の標準的な方法、例えば、候補薬物と前記細胞とをインキュベートすることによって行なうことができる。また、候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現しうる条件は、γ線照射、UV照射、MMS処理などの技術を用いてDNA損傷ストレスを与えることによって達成することができ、あるいは、トランスフェクションに用いた発現ベクター中のプロモーターを活性化することによって達成することもできる。培養における培地、温度、時間、候補薬物の量、細胞の量、添加物などは、当業者であれば適切に選択することができる。
工程(b)において、GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用の促進または抑制は、当技術分野において周知の標準的な方法、例えば、該相互作用の強度を測定することによって検出することができる。GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用、すなわちこれらの結合により、核内のPP1αタンパク質の量は減少し、一方で、細胞質中のPP1αタンパク質の量は増加する。従って、GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用の強度を測定する方法としては、核内または細胞質中のPP1αタンパク質の量を測定する方法が挙げられる。この場合において、核内のPP1αタンパク質量の減少は前記相互作用の促進を示し、一方で、核内のPP1αタンパク質量の増加は前記相互作用の抑制を示す。また、細胞質中のPP1αタンパク質量の増加は前記相互作用の促進を示し、細胞質中のPP1αタンパク質量の減少は前記相互作用の抑制を示す。さらに、核内または細胞質中のPP1αタンパク質量は、当技術分野において周知の細胞分画法によって核内のタンパク質画分または細胞質中のタンパク質画分を得た後に、これを電気泳動し、その後、PP1αに特異的な抗体を用いてこれを検出するイムノブロット法等により測定することができる。さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、工程(b)は、工程(a)により得られる細胞における前記相互作用の強度と、候補化合物の不在下で培養された対照細胞における前記相互作用の強度とを比較することを含んでなる。対照細胞は、候補薬物を添加しないことを除き、工程(a)と同一の方法によって得ることができる。
GADD34遺伝子発現促進剤およびGADD34−PP1α相互作用促進剤は、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進することができる。従って、本発明によれば、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進する方法であって、目的とする哺乳動物細胞を、GADD34遺伝子発現促進剤またはGADD34−PP1α相互作用促進剤を用いて処理する工程を含んでなる方法が提供される。さらに、本発明によれば、p53タンパク質の活性化が治療上有効とされる疾患または障害を治療するための、GADD34遺伝子発現促進剤またはGADD34−PP1α相互作用促進剤の使用が提供される。さらに、本発明によれば、治療上有効な量のGADD34遺伝子発現促進剤またはGADD34−PP1α相互作用促進剤を被検者に投与することを含んでなる、p53タンパク質の活性化が治療上有効とされる疾患または障害を治療または予防する方法が提供される。さらに、本発明によれば、p53タンパク質の活性化が治療上有効とされる疾患または障害を治療するための薬剤の製造における、GADD34遺伝子発現促進剤またはGADD34−PP1α相互作用促進剤の使用が提供される。
p53タンパク質の活性化が治療上有効とされる疾患または障害は特に制限されるものではないが、好ましくは癌または腫瘍とされる。また、治療または予防の対象となる被検者は、好ましくは哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物とされる。
GADD34遺伝子発現促進剤は、本発明の第一の態様による薬物同定法によって同定することができる。また、GADD34−PP1α相互作用促進剤は、本発明の第二の態様による薬物同定法によって同定することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記GADD34遺伝子発現促進剤は、GADD34をコードするDNAを含んでなる発現ベクターとされる。このような発現ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列などを参照して、当技術分野において周知の標準的な技術によって製造することができる。また、前記発現ベクターは、例えば、複製起点、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位、スプライス受容部位、ターミネーター、5’非翻訳領域等を適宜含んでなることができる。さらに、前記発現ベクターとしては、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター等を用いることもできる。
GADD34遺伝子発現抑制剤およびGADD34−PP1α相互作用抑制剤は、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を抑制することができる。従って、本発明によれば、哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を抑制する方法であって、目的とする哺乳動物細胞を、GADD34遺伝子発現抑制剤またはGADD34−PP1α相互作用抑制剤を用いて処理する工程を含んでなる方法が提供される。さらに、本発明によれば、p53タンパク質の活性化の阻害が治療上有効とされる疾患または障害を治療するための、GADD34遺伝子発現抑制剤またはGADD34−PP1α相互作用抑制剤の使用が提供される。さらに、本発明によれば、治療上有効な量のGADD34遺伝子発現抑制剤またはGADD34−PP1α相互作用抑制剤を被検者に投与することを含んでなる、p53タンパク質の活性化の阻害が治療上有効とされる疾患または障害を治療または予防する方法が提供される。さらに、本発明によれば、p53タンパク質の活性化の阻害が治療上有効とされる疾患または障害を治療するための薬剤の製造における、GADD34遺伝子発現抑制剤またはGADD34−PP1α相互作用抑制剤の使用が提供される。
p53タンパク質の活性化の阻害が治療上有効とされる疾患または障害は特に制限されるものではないが、好ましくは炎症性疾患、例えば慢性関節リウマチとされる。また、治療または予防の対象となる被検者は、好ましくは哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物とされる。
GADD34遺伝子発現抑制剤は、本発明の第一の態様による薬物同定法によって同定することができる。また、GADD34−PP1α相互作用抑制剤は、本発明の第二の態様による薬物同定法によって同定することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記GADD34遺伝子発現抑制剤は、GADD34遺伝子の発現を特異的に抑制するアンチセンス核酸分子とされる。アンチセンス法は、特定の遺伝子の発現を抑制するための周知の技術である。一つの具体例では、前記アンチセンス核酸分子は、GADD34遺伝子の5’コード領域の配列に基づいて設計された、約10〜40塩基長のアンチセンスRNAとされる。他の具体例では、前記アンチセンス核酸分子は、GADD34遺伝子の転写に関与する領域の配列に相補的となるように設計されたDNAオリゴヌクレオチドとされる。このようなアンチセンス核酸分子は、配列番号1に示されるようなGADD34遺伝子の配列に基づいて、容易に設計することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記GADD34遺伝子発現抑制剤は、GADD34遺伝子の発現を特異的に抑制するsiRNA核酸分子とされる。本明細書において、「siRNA核酸分子」とは、siRNAそのものだけでなく、標的細胞中にsiRNAを導入しうる、より長い二本鎖RNA分子をも意味する。siRNA核酸分子は、RNA干渉(RNAi)によって特定遺伝子の発現を抑制することができる、周知のツールである(Elbashir, S.M. et al., Nature 411, 494-498, 2001)。siRNAは、典型的には、標的遺伝子のmRNAに特異的な配列に相同な、19〜21塩基対のヌクレオチド配列を含んでなる。上記の二本鎖RNA分子は、典型的には、標的遺伝子のmRNAに特異的な配列に相同な、より長いヌクレオチド配列を含んでなる。このようなsiRNA核酸分子は、配列番号1に示されるようなGADD34遺伝子の配列に基づいて、容易に設計することができる。さらに、前記siRNA核酸分子は、細胞中に送達された適切なベクターによって発現させることもできる。従って、前記GADD34遺伝子発現抑制剤は、GADD34遺伝子の発現を特異的に抑制するsiRNA核酸分子を発現するベクターとしてもよい。このようなベクターは、当技術分野において周知の標準的な手順により、容易に構築することができる(Bass, B.L., Cell 101, 235-238, 2000;Tavernarakis, N. et al., Nat. Genet. 24, 180-183, 2000;Malagon, F. et al., Mol. Gen. Genet. 259, 639-644, 1998;Parrish, S. et al., Mol. Cell 6, 1077-1087, 2000)。
GADD34遺伝子発現促進剤、GADD34−PP1α相互作用促進剤、GADD34遺伝子発現抑制剤およびGADD34−PP1α相互作用抑制剤は、局所、静脈内、皮下、筋肉内、経口、直腸、粘膜など、治療または予防しようとする疾患または障害に応じて適切な経路で投与することができる。また、これらの治療上の有効量は、症状の重篤度、被検者の年齢、用いられる具体的な薬物の有効性、投与経路、投与の頻度などに従って、医師または獣医によって適宜決定される。一般的には、前記治療上有効量は、一日当たり、約0.001〜約1000mg/体重kg、好ましくは約0.01〜約10mg/体重kg、より好ましくは約0.01〜約1mg/体重kgである。
GADD34遺伝子発現促進剤、GADD34−PP1α相互作用促進剤、GADD34遺伝子発現抑制剤およびGADD34−PP1α相互作用抑制剤は、医薬上許容される担体とともに投与することができる。従って、本発明によれば、GADD34遺伝子発現促進剤またはGADD34−PP1α相互作用促進剤、および医薬上許容される担体を含んでなる、医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、p53タンパク質の活性化が治療上有効とされる疾患または障害を治療するために用いることができる。さらに、本発明によれば、GADD34遺伝子発現抑制剤またはGADD34−PP1α相互作用抑制剤、および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、p53タンパク質の活性化の阻害が治療上有効とされる疾患または障害を治療するために用いることができる。医薬上許容される担体、例えば、ベヒクル、賦形剤、希釈剤等は、投与経路、用いられる具体的な薬物の性質などに応じて、当業者により適宜選択される。本発明による医薬組成物は、好ましくは、治療上有効量のGADD34遺伝子発現促進剤、GADD34−PP1α相互作用促進剤、GADD34遺伝子発現抑制剤またはGADD34−PP1α相互作用抑制剤、ならびに医薬上許容される担体を含んでなるものとされる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
例1:GADD34とp53のリン酸化との関連
1.材料および方法
細胞培養および試薬
NIH3T3細胞は、American Type Culture Collection (ATCC, Rockville, MD)から入手し、10%ウシ胎児血清(GIBCO)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, Sigma)中、5%COを含む加湿雰囲気下、37℃で維持した。SOAS−2細胞は、理研バイオリソースセンター(RIKEN BioResource Center, Ibaraki, Japan)から購入し、10%ウシ胎児血清(GIBCO)を補充したマッコイ5A培地(GIBCO)中で増殖させた。UV−C照射のために、細胞をPBSで洗浄し、その後、FUNA UV LINKER Fs1500(Funakoshi, Tokyo, Japan)を用いて培地の不在下で照射した。MMSおよびテトラサイクリンは、Sigma-Aldrichから購入した。シクロヘキサミドはCalbiochemから購入した。
GADD34誘導可能細胞系の樹立および細胞培養
GADD34 tet−off誘導可能細胞系を樹立するため、NIH3T3細胞を、tTA調節タンパク質を発現するpTet−offプラスミド(Clontech, Palo Alto, CA)でトランスフェクトし、G418耐性コロニーを選択して増殖させた。次いで、tTAタンパク質を発現する細胞を、pTREプラスミド(Clontech)のBamHI/HindIII部位中にGADD34遺伝子を挿入することにより調製したpTRE−GADD34構築物でさらにトランスフェクトした。pTRE−GADD34プラスミドでトランスフェクトされた細胞を21日間のハイグロマイシン(200μg/ml)処理により選択し、各ハイグロマイシン耐性コロニーを別々に回収し、それぞれについてtet−offシステムによるGADD34タンパク質発現の検出を行なった。GADD34誘導可能細胞を、10%ウシ胎児血清(GIBCO)を補充したDMEM培地中において、2μg/mlのテトラサイクリンの存在下で増殖させた。GADD34タンパク質の発現を誘導するため、テトラサイクリンを含有するDMEM培地を除去し、プレートをPBSで2回洗浄し、その後、テトラサイクリンを含まない新鮮なDMEM培地を細胞に加えた。GADD34タンパク質の誘導について調べるために、所定の時点で細胞を回収した。
一過性トランスフェクション
SOAS−2細胞を6ウェルプレート上に1×10細胞/ウェルの密度で播種した。この細胞を、Effectene Transfection Reagent(Qiagen)を用いて、100ng/ウェルのプラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞をPBSで2回洗浄し、溶解緩衝液で溶解した。
マウス胚繊維芽細胞の調製
GADD34欠損マウスおよび野生型マウスに由来するマウス胚繊維芽細胞(MEF)を、14.5日齢の胎児から調製した。全ての培養物は、10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコ改変必須培地(Sigma)中で維持した。予備培養および実験のために、細胞を2×10細胞/10cmプレートの密度で播種した。
イムノブロット分析
溶解緩衝液(20mM HEPES(pH7.5)、1%Triton X−100、150mM NaCl、10%グリセロール、および1mM EDTA、ならびに1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、1μg/mlロイペプチン、および1μg/mlペプスタチン)を用いて、細胞を皿から取り出した。得られた抽出物を、12,000×g、4℃で15分間遠心分離し、上清をサンプリング緩衝液(100mM Tris−HCl(pH6.8)、4%SDS、20%グリセロール、150mM 2−メルカプトエタノール、および1%ブロモフェノールブルー)中で5分間煮沸した。約20μgのタンパク質を9%または12%のSDS/PAGE上で電気泳動し、ニトロセルロース膜に転写した。得られたブロットを、5%スキムミルクを含有するPBS−T(0.05%Tween20を補充した1×PBS)で1時間ブロッキングし、一次抗体とともに室温で6時間または4℃で一晩インキュベートし、3回洗浄した後に、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)に結合した二次抗体とともにインキュベートした。タンパク質は、化学発光ECLキット(Amersham)により、次の抗体のいずれかを用いて検出した:抗ホスホp53(Ser15)抗体(#9284, Cell Signaling Technology)、抗ホスホeIF2α(Ser52)抗体(44-728, BIOSOURCE international)、抗eIF2α抗体(sc7629, C-20)、抗PP1α抗体(sc-6104, C-19)、および抗GADD34抗体(sc-825, C-19, Santa Cruz)。
細胞分画
既知の方法に従って、細胞質抽出物および核抽出物を得た。概説すると、細胞をトリプシン処理し、PBSですすぎ、プロテアーゼ阻害剤(1μg/mlロイペプチン、1μg/mlアプロチニン、および0.5mMフェニルメタンスルホニルフルオリド)を補充した200μlの緩衝液A(10mM HEPES(pH7.9)、10mM KCl、1.5mM MgCl)中において、氷上でインキュベートした。細胞質抽出物を得るため、2.5%Nonidet P−40 plusプロテアーゼ阻害剤を含有する25μlの緩衝液Aの添加によって細胞を溶解した。核をペレット化(3,500rpm、4℃、4分間)し、上清を回収し、この上清を5回凍結融解した後に遠心分離(3,500rpm、4℃、10分間)した。核画分を調製するため、プロテアーゼ阻害剤を補充した抽出緩衝液C(20mM HEPES(pH7.9)、0.45M NaCl、1mM EDTA)中で核ペレットをインキュベートし、遠心分離(14,000rpm、4℃、10分間)を行ない、上清を回収した。全細胞溶解物は、上述のように調製した。
免疫組織化学実験
細胞を、ポリ−D−リシンでコーティングされたガラスカバー片上に播種した。24時間後、MMSを最終濃度80μg/mlで添加し、カバー片を8時間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、4%(w/v)パラホルムアルデヒドを含有するPBS中で10分間固定化し、0.2%(w/v)Triton X−100を含有するPBS中で5分間浸透化した。次いで、得られた細胞を、2%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSを用いて、1時間ブロッキングした。免疫検出は、一次抗体(1:100希釈)と、フルオレセイン結合型二次抗体および/またはローダミン結合型二次抗体(1:200希釈)とを用いて行なった。タンパク質は、次の抗体のうちの一つまたは二つを用いて検出した:抗myc抗体(Invitrogen)、抗PP1α抗体(sc-6104, C-19)、ウシ抗ヤギ抗体ローダミン結合体(sc-2349, Santa Cruz)、およびウサギ抗マウス抗体フルオレセイン結合体(DAKO)。2μg/mlのヨウ化プロピディウム(PI)染色剤を用いて核(DNA)を染色し、カバー片をガラススライド上に置いた。
統計解析
データは平均値±標準偏差として示した。グループ間の統計学的有意差は、two-way repeated-measures ANOVAによって評価した。p<0.05の場合に、有意差があるものとした。
2.実験および結果
DNA損傷により誘導されるp53リン酸化のGADD34による増強
p53とGADD34の関連を分析するため、SOAS−2細胞(p53を有さない細胞系)を、2μg/mlまたは0.2μg/mlのテトラサイクリンを補充したDMEM培地中で培養し、変異型p53(143A)の発現プラスミドでトランスフェクトし、さらに、pTRE−GADD34ベクターおよびpTet−offベクターで同時トランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後、テトラサイクリンを除いた。トランスフェクションの36時間後に、細胞を冷却したPBSで2回洗浄した。全細胞抽出物を調製し、p53タンパク質のリン酸化のレベルをイムノブロッティングによって決定した。その結果を図1に示す。図1によれば、GADD34の過剰発現により、用量依存的にp53リン酸化が促進されることが示される。
次いで、GADD34がin vivoにおいてp53リン酸化を促進するか否かを調べるため、GADD34欠損マウス胚繊維芽細胞(MEF)におけるp53タンパク質発現およびp53リン酸化の分析を行なった。細胞を濃度80μg/mlのMMSで処理した後、所定の時点でタンパク質溶解物を調製した。50μgの全タンパク質サンプルを12%SDS−PAGEによって電気泳動し、PVDF膜に転写し、上述した各種抗体を用いて染色した。結果を図2に示す。図2によれば、GADD34欠損MEFにおけるMMS処理後12時間の時点でのp53およびホスホ−ser18p53の発現レベルは、野生型MEFに比べて低いことが示される。
MMS処理後におけるGADD34によるプロテインホスファターゼ1α(PP1α)の小胞体への移行
GADD34がp53リン酸化を促進する際の作用機序を明らかにするため、GADD34に結合しうるPP1αの挙動を調べた。
まず、NIH3T3細胞をパラホルムアルデヒド中で固定化し、PIでの染色および抗PP1α抗体での染色を行ない、それぞれを顕微鏡で観察した。さらに、これらの画像を重ね合わせた。実験は、それぞれ少なくとも2回ずつ行なった。その結果、MMSで刺激していないNIH3T3細胞では、PP1αは、細胞質よりも核内に多く存在することが示された。
次いで、NIH3T3細胞をMMSで処理し、パラホルムアルデヒド中で固定化した後、PIでの染色および抗PP1α抗体での染色を行ない、それぞれを顕微鏡で観察した。さらに、これらの画像を重ね合わせた。実験は、それぞれ少なくとも2回ずつ行なった。その結果、MMS刺激により、高密度のPP1αが細胞質の特定の部分に存在することが示された。
GADD34タンパク質に特異的な抗体が免疫染色に利用できないため、Mycタグを有するGADD34を発現する発現ベクターをNIH3T3細胞株にトランスフェクトした。完全長GADD34−mycタグを発現するNIH3T3細胞に対して、抗PP1α抗体および抗myc抗体での二重免疫染色を行なった。これらの細胞を、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。実験は、それぞれ少なくとも2回ずつ行なった。その結果、PP1αおよびGADD34の両方が、主に細胞質中の特定の部分に存在することが示された。さらに、DiOC(3)(ヨウ化3,3’−ジヘキシルオキサカルボシアニン)染色を行なったところ、GADD34およびPP1αは小胞体中に共存していることが示された。
以上に示される結果をさらに確認するため、核および細胞質中のPP1αの量をウェスタンブロッティングにより分析した。
まず、NIH3T3細胞を90μg/mlのMMSで処理した。MMS処理の2〜12時間後に、細胞溶解物、細胞質抽出物および核抽出物を回収した。これらのサンプルをSDS−PAGE用ゲル上で電気泳動し、抗GADD34抗体または抗PP1α抗体でブロッティングした。結果を図3に示す。図3によれば、MMS処理の8時間後において、細胞質中のPP1αの量が増加するのに対し、核内のPP1αの量が減少することが示される。また、NIH3T3細胞中のPP1αの総量は、MMS処理によって変化しないことが示される。
次いで、GADD34+/+MEFおよびGADD34-/-MEFを90μg/mlのMMSで処理した。MMS処理の8時間後に、核抽出物を回収した。これらのサンプルをSDS−PAGE用ゲル上で電気泳動し、抗PP1α抗体でブロッティングした。結果を図4に示す。図4によれば、GADD34欠損MEFではMMS処理によって核内PP1α量が変化しないのに対し、野生型MEFではMMS処理によって核内PP1α量が減少することが示される。
PP1阻害剤であるオカダ酸によるストレス誘導性p53リン酸化の増強およびp53タンパク質分解の阻害
既報の研究により、化学的PP1阻害剤であるオカダ酸はp53のリン酸化の状態に影響を与えるが、通常の条件下ではp53のセリン18は変化しないことが示されている(Merrick B.A. et al., Biochemistry 40, 4053-4066, 2001)。しかし、ストレス条件下においてp53のリン酸化に変化が見られるか否かについては、これまでに報告されていない。p53リン酸化とPP1αとの関連を調べるため、オカダ酸の存在下および不在下でのp53のセリン18におけるリン酸化の量を比較した。まず、NIH3T3細胞を、60mm培養皿中に1×10細胞/ウェルの密度で播種した。24時間増殖させた後、これらの細胞をUVC(50J/m)に曝し、照射後4時間の時点で、シクロヘキサミド(10μg/ml)を添加して新たなp53タンパク質合成を阻害した。シクロヘキサミド処理の後、所定の時点において細胞を回収し、セリン18においてリン酸化されたp53のレベルを決定した。その結果を図5に示す。図5によれば、NIH3T3細胞において、UV処理によりp53リン酸化が誘導されることが示される。UV処理によるp53リン酸化のレベルは、オカダ酸処理によって明らかに促進されていた。また、興味深いことに、オカダ酸で処理した場合には、シクロヘキサミド処理を行なった後においてもp53リン酸化のレベルが減少しなかった(例えば、シクロヘキサミド処理後15分および30分の時点でのデータを参照のこと)。
GADD34の発現誘導による細胞増殖の抑制
GADD34が細胞増殖を抑制するか否かを調べるため、GADD34タンパク質の発現がテトラサイクリン−誘導システムによって制御されるテトラサイクリン調節GADD34誘導可能細胞系を樹立した。この実験では、上述の方法に従って樹立したNIH3T3−GADD34誘導可能細胞系を用いた。
まず、細胞を100mm培養皿中に4×10細胞の密度で播種し、2μg/mlのテトラサイクリンを含有するDMEM培地中で増殖させた。テトラサイクリンを除いた後、所定の時点において細胞を回収し、細胞内タンパク質を調製した。100μgの全細胞タンパク質を用いて、抗GADD34抗体によるイムノブロッティング分析を行なった。その結果を図6に示す。図6によれば、GADD34誘導可能細胞は、テトラサイクリンの存在下では低レベルの内因性GADD34タンパク質を示すのに対し、テトラサイクリンを除いた後は、GADD34タンパク質が3倍以上に誘導されることが示される。
次いで、完全長GADD34タンパク質を発現するTet−off GADD34細胞系をパラホルムアルデヒド中で固定化し、抗PP1α抗体による免疫染色およびPI染色を行なった。これらの細胞を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。さらに、免疫染色およびPI染色の画像を重ね合わせた。実験は、それぞれ少なくとも2回ずつ行なった。その結果、テトラサイクリンの存在下(GADD34が誘導されない条件下)では、核内のPP1αの量は細胞質における量に等しかったが、テトラサイクリンを除いた後(GADD34が誘導される条件下)では、高密度のPP1αが細胞質の特定の部分に見られた。
次いで、GADD34の細胞増殖に関連する機能を調べた。まず、3×10個のNIH3T3−GADD34誘導可能細胞を60mm培養皿中に播種し、2μg/mlのテトラサイクリンを含有するDMEM培地またはテトラサイクリンを含まないDMEM培地の中で増殖させた。細胞数を3日間にわたって毎日数えた。その結果を図7aに示す。また、対照サンプルとして、上記の細胞に代えてNIH3T3−ルシフェラーゼ誘導可能細胞を用いて行なった実験の結果を図7bに示す。図7aおよび図7bでは、3回の実験による平均値±標準偏差としてデータを示している。図7によれば、GADD34を誘導しない条件下(テトラサイクリンの存在下)に置いた細胞が72時間で1.5倍に増殖したのに対し、GADD34を誘導する条件下(テトラサイクリンの不在下)に置いた細胞は増殖しなかったことが示されている。これに対し、対照実験においては、ルシフェラーゼを誘導しない条件下(テトラサイクリンの存在下)に置いた細胞とこれを誘導する条件下(テトラサイクリンの不在下)に置いた細胞との間で、細胞増殖の程度は相違しなかった。
以上の実験結果から、GADD34を誘導した細胞は細胞増殖能を失うものと結論づけられる。そこで、GADD34のp21mRNA発現に対する影響を調べるため、GADD34誘導細胞を用いてRT−PCR分析を行なった。まず、GADD34誘導可能細胞を、60mm培養皿中に播種し、2μg/mlのテトラサイクリンを含有するDMEM培地中に置いた。24時間後、テトラサイクリンを除いて、細胞を48時間培養した。全RNAを抽出し、p21mRNAおよびβアクチンmRNAのそれぞれについてRT−PCRを行なった。その結果を図8に示す。図8において、1はGADD34 Tet−on細胞を示し、2はGADD34 Tet−off細胞を示し、3はルシフェラーゼTet−on細胞を示し、4はルシフェラーゼTet−off細胞を示す。また、サイクル数は、RT−PCRにおけるサイクル数を示す。図8によれば、GADD34を誘導した細胞におけるp21mRNAの発現は、GADD34を誘導しなかった細胞よりも強いことが示されている。また、対照実験において、GADD34は、ハウスキーピング遺伝子であるβアクチンのmRNAの蓄積に影響しないことが示されている。
図1は、GADD34の発現量とp53のリン酸化との関係を示す図である。 図2は、MMS処理後の野生型マウス胚繊維芽細胞およびGADD34欠損マウス胚繊維芽細胞におけるp53タンパク質レベルおよびホスホp53タンパク質レベルを示す図である。 図3は、MMS処理による、核内および細胞質中のPP1αの量の経時変化を示す図である。 図4は、MMS処理後8時間の時点における、GADD34欠損マウス胚繊維芽細胞および野生型マウス胚繊維芽細胞の核内PP1αの量を示す図である。 図5は、オカダ酸による、ストレスにより誘導されるp53リン酸化の増強、およびp53タンパク質分解の阻害を示す図である。 図6は、GADD34誘導可能3T3細胞における、テトラサイクリンの不在下でのGADD34の誘導を示す図である。 図7は、GADD34を誘導した細胞とGADD34を誘導しなかった細胞との間の、細胞増殖能の相違を示す図である。 図8は、GADD34の誘導によるp21タンパク質の増加を示す図である。

Claims (13)

  1. 哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進または抑制する薬物を同定する方法であって、
    (a)GADD34遺伝子を発現する細胞を、候補薬物の存在下において、該候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子を発現する条件下にて培養する工程、および、
    (b)工程(a)により得られる細胞において、GADD34遺伝子発現の促進または抑制を検出する工程
    を含んでなり、
    工程(b)においてGADD34遺伝子発現の促進が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を促進する薬物として同定され、工程(b)においてGADD34遺伝子発現の抑制が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を抑制する薬物として同定される、方法。
  2. 前記工程(a)において用いられる細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(b)が、細胞内のGADD34のmRNA量を測定することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記工程(b)が、細胞内のGADD34タンパク質の量を測定することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記工程(b)が、前記工程(a)により得られる細胞におけるGADD34遺伝子発現の強度と、候補化合物の不在下で培養された対照細胞におけるGADD34遺伝子発現の強度とを比較することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
  6. 哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進または抑制する薬物を同定する方法であって、
    (a)GADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現する細胞を、候補薬物の存在下において、該候補薬物の不在下で前記細胞がGADD34遺伝子およびPP1α遺伝子を発現する条件下にて培養する工程、ならびに、
    (b)工程(a)により得られる細胞において、GADD34タンパク質とPP1αとの相互作用の促進または抑制を検出する工程
    を含んでなり、
    工程(b)において、前記相互作用の促進が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を促進する薬物として同定され、工程(b)において、前記相互作用の抑制が検出された場合には、その候補薬物がp53タンパク質の活性化を抑制する薬物として同定される、方法。
  7. 前記工程(a)において用いられる細胞が哺乳動物細胞である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記工程(b)が、核内のPP1αタンパク質の量を測定することを含んでなる、請求項6に記載の方法。
  9. 核内のPP1αタンパク質量の減少が前記相互作用の促進を示すものであり、核内のPP1αタンパク質量の増加が前記相互作用の抑制を示すものである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記工程(b)が、細胞質中のPP1αタンパク質の量を測定することを含んでなる、請求項6に記載の方法。
  11. 細胞質中のPP1αタンパク質量の増加が前記相互作用の促進を示すものであり、細胞質中のPP1αタンパク質量の減少が前記相互作用の抑制を示すものである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記工程(b)が、前記工程(a)により得られる細胞における前記相互作用の強度と、候補化合物の不在下で培養された対照細胞における前記相互作用の強度とを比較することを含んでなる、請求項6に記載の方法。
  13. 哺乳動物細胞内におけるp53タンパク質の活性化を促進する方法であって、目的とする哺乳動物細胞を、GADD34遺伝子発現促進剤を用いて処理する工程を含んでなり、該GADD34遺伝子発現促進剤が、GADD34をコードするDNAを含んでなる発現ベクターである、方法。
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