JP4414688B2 - 歯車機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラックアンドピニオン機構等の歯車機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯車機構には、例えばラックアンドピニオン機構がある。このラックアンドピニオン機構は、円形歯車のピッチ円の半径が無限大とされたラックとピニオン(小歯車)とを噛合わせ、例えばピニオンの回転運動をラックの往復運動に変換したり、逆にラックの往復運動をピニオンの回転運動に変換したりする機構である。このようなラックアンドピニオン機構においては、ラックの強度を確保するために例えばラックの歯底に所定の曲率半径を有する円弧面を形成するようにしたものも多い。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−277207号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のラックアンドピニオン機構には次のような問題があった。即ち、ラック歯の基準圧力角(ラック歯の傾斜の角度)によっては、ラックの歯底が十分に確保できない場合があった。これは、例えば基準圧力角が30度以上の場合に顕著である。この場合、例えば図5(a)に示すように、ラック30の歯底には可能な範囲で円弧面31を形成するようにしていた。しかし、これでは円弧面31の曲率半径を十分に確保することが困難であり、ひいてはピニオン32との噛合いによる応力集中を十分に緩和することが困難であった。
【0005】
このような問題を解決するために、従来、例えば図5(b)に示すようなラックアンドピニオン機構が提案されている。即ち、このラックアンドピニオン機構33を構成するラック34の歯底35には肉ぬすみ部36が形成されており、この肉ぬすみ部36とラック34の噛合い歯面37は、所定の曲率半径を有する円弧面38を介して滑らかに連続している(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このラックアンドピニオン機構33においては、ラック34とピニオン39との噛合いへの影響を考慮することなく、肉ぬすみ部36が形成されていた。
【0006】
即ち、肉ぬすみ部36は、ピニオン39とラック34との噛合いに関与する噛合い歯面37の途中から当該噛合い歯面37を浸食するように形成されていた。換言すれば、肉ぬすみ部36はピニオン39とラック34とが実際に接触する範囲である有効歯たけH内に入り込むように形成されている。このため、肉ぬすみ部36が有効歯たけH内に入り込んだ分だけピニオン39の歯とラック34の歯との噛合い面積(噛合い長さ)が減少し、ひいてはピニオン39との噛合い率が減少するという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、例えば図5(c)に示すような構成が考えられる。即ち、ラック40の歯底高さを歯先方向に変位させることにより歯底を確保する。この結果、ラック40の歯底に形成された円弧面41の曲率半径を十分に確保することが可能となる。ところが、この場合、ラック40の歯底高さを高くした分だけ、ラック歯に噛合するピニオン42の全歯たけ43を低くする必要があった。従って、ラック歯の強度は十分に確保できるものの、ピニオン42との噛合い率を確保することが困難であった。
【0008】
このように、歯底が十分に確保できない程度の基準圧力角(例えば、30度を以上の角度)を有するラックにおいては、ピニオンとの噛合い率及びラック歯の強度のうちいずれか一方が犠牲になり、双方をバランスよく確保することが困難であった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、歯車の強度及び噛合い率の双方をそれぞれ確保することができる歯車機構を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、互いに噛合う第1及び第2歯車を備え、前記第1及び第2歯車のうちいずれか一方における少なくとも一部の歯底には肉ぬすみ部を設けるようにした歯車機構において、前記肉ぬすみ部は、前記第1又は第2歯車の歯先面からの有効歯たけ内に入り込まないように設けると共に、前記第1又は第2歯車の噛合い歯面に連続する円弧面を含み、前記第1及び第2歯車のうち前記肉ぬすみ部を形成した一方の歯車はその両端部に向かうほど、又は中央部に向うほど基準圧力角が大きくなるヴァリアブルラックであり、他方の歯車は前記ヴァリアブルラックに噛合うピニオンであり、前記ヴァリアブルラックは、歯底の確保が困難となる閾基準圧力角を予め設定し、この閾基準圧力角以上の基準圧力角を有するラック歯の歯底にのみ前記肉ぬすみ部を設けるとともに、前記閾基準圧力角以上の基準圧力角を有する大圧力角領域における歯底と前記閾基準圧力角未満の基準圧力角を有する小圧力角領域における歯底の高さをそれぞれ同じようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歯車機構において、前記肉ぬすみ部を設けた第1又は第2歯車の噛合い歯面を、歯先とは反対の方向に延長することにより傾斜面を形成し、この傾斜面に前記円弧面を滑らかに連続させるようにしたことを要旨とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項に記載の歯車機構において、前記肉ぬすみ部は、前記円弧面と滑らかに連続する当該円弧面とは別の円弧面を含み、当該別の円弧面は歯底の少なくとも一部を構成することを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1に記載の発明では、第1歯車及び第2歯車のうちいずれか一方における少なくとも一部の歯底には肉ぬすみ部が設けられる。この肉ぬすみ部は、前記第1又は第2歯車の歯先面からの有効歯たけ内に入り込まないように設けられる。このため、第1歯車と第2歯車との噛合い面積(噛合い長さ)が確保される。
また、肉ぬすみ部は円弧面を介して前記第1又は第2歯車の噛合い歯面に連続する。このため、第1歯車と第2歯車との噛合いにより第1歯車又は第2歯車の歯底に発生する応力集中が緩和される。尚、前記肉ぬすみ部とは、第1歯車の歯先と第2歯車の歯底との間に自然にできる頂げきとは異なり、意図的に設けた空間をいう。
さらに、請求項1に記載の発明では、ヴァリアブルラックとピニオンとの噛合い面積(噛合い長さ)が確保される。また、ヴァリアブルラックとピニオンとの噛合いにより当該ヴァリアブルラックの歯底に発生する応力集中が緩和される。
なお、請求項1に記載の発明では、歯底の確保が困難となる閾基準圧力角が予め設定される。ここで、歯底の確保とは、歯底の高さを確保しつつ、ラックの強度を確保し得る所定の曲率半径を有する円弧面を形成可能な程度の歯底の確保のことをいう。そして、この閾基準圧力角以上の基準圧力角を有するラック歯の歯底にのみ前記肉ぬすみ部が設けられる。即ち、必要な部分にのみ前記肉ぬすみ部が設けられる。閾基準圧力角よりも大きい基準圧力角を有するラック歯の歯底に肉ぬすみ部を設けることにより、噛合い率を減少させることなく、歯底に発生する応力集中が緩和される。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明の作用に加えて、前記肉ぬすみ部が設けられた第1又は第2歯車の噛合い歯面を歯先とは反対の方向に延長することにより傾斜面が形成される。この傾斜面には前記円弧面が滑らかに連続する。このため、第1及び第2歯車の組付け誤差、並びに第1及び第2歯車の加工誤差等がそれぞれ吸収される。即ち、多少の組付け誤差や加工誤差があっても第1及び第2歯車の噛合い面積(噛合い長さ)が確保される。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項に記載の発明の作用に加えて、前記円弧面と滑らかに連続する当該円弧面とは別の円弧面が設けられ、当該別の円弧面は歯底の少なくとも一部を構成する。このため、歯底に発生する応力集中が、いっそう緩和される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、例えば電動パワーステアリング装置のラックアンドピニオン機構に具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0023】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1はステアリングホイール2を備えており、ステアリングホイール2にはステアリングシャフト3が連結されている。ステアリングシャフト3は減速歯車4が固着されており、この減速歯車4にはモータ5の回転軸(図示略)に取着されたギア6が噛合されている。また、減速歯車4にはピニオンシャフト7を介してピニオン8が固着されており、このピニオン8はラック9と噛合っている。ラック9の両端には、それぞれタイロッド10が固設されており、両タイロッド10,10の先端部にはそれぞれナックル11が回動可能に連結されており、両ナックル11,11にはそれぞれ前輪(タイヤ)12が固着されている。また、両ナックル11,11間には、クロスメンバ13が回動可能に連結されている。ピニオン8及びラック9はラックアンドピニオン機構14を構成している。
【0024】
さて、運転者によりステアリングホイール2が回動操作されると、ステアリングシャフト3が回転する。この回転はピニオンシャフト7及びピニオン8を介してラック9へ伝達され、同ラック9の軸動に変換される。これにより、両前輪12,12はタイロッド10を介して転舵される。このとき、トルクセンサ(図示略)により検出された操舵トルク及び車速センサ(図示略)により検出された車速に基づいて、所定の操舵補助トルク(アシストトルク)を発生するように、モータ5は駆動する。このモータ5の回転数は減速歯車4によって減少されてピニオンシャフト7に伝達される。ピニオンシャフト7の回転はピニオン8を介してラック9に伝達され、当該ラック9の軸動に変換される。このようにして、ステアリングホイール2の回動操作による前輪12の操舵に対してアシストトルクが付与される。
【0025】
尚、本実施形態において、前記ピニオン8は本発明の第1歯車又は第2歯車に相当し、前記ラック9は第2歯車又は第1歯車に相当する。また、ラックアンドピニオン機構14は本発明の歯車機構に相当する。
【0026】
[ラック]
次に、ラックアンドピニオン機構14を構成するラック9について詳細に説明する。
【0027】
図2に示すように、前記ラック9はピニオン8との噛合位置に応じて、即ちステアリングホイール2の操作に応じてステアリングギヤ比(即ち、ステアリングホイール2の操舵角に対する前輪12の転舵角)が変化するヴァリアブルラックである。本実施形態では、小舵角時のステアリングギヤ比を小さく且つ大舵角時のステアリングギヤ比が大きくなるように、ラック9は形成されている。このため、小舵角時には緩やかに反応し、大舵角時には速やかに反応する。従って、例えば小舵角領域で運行される高速道路における高速走行時及び大舵角の操作が行われる車庫入れ等の低速走行時において、ステアリング操作の安定性が確保される。
【0028】
図2及び図3に示すように、ラック9は、その中心に向かうほど歯と歯のピッチPが小さくなるように、逆に外側に向かうほど歯と歯のピッチPが大きくなるように形成されている。即ち、ラック9は、その中心に向かうほど歯数が多くなっており、逆に外側に向かうほど歯数が少なくなっている。
【0029】
また、ラック9は、その中心に向かうほど基準圧力角θが小さくなるように、逆に外側に向かうほど基準圧力角θが大きくなるように形成されている。本実施形態においては、基準圧力角θが20度〜40度の範囲で変化するように、ラック9は形成されている。ちなみに、基準圧力角θとは、ピッチ線psに直交する仮想平面sと、ラック9の歯面15との間の角度をいう。
【0030】
[小圧力角領域及び大圧力角領域]
図2に示すように、ラック9は予め設定された基準圧力角θ(以下、「閾基準圧力角」という。)を境に小圧力角領域Aと大圧力角領域Bとに区分されている。前記閾基準圧力角はラック9の歯底の確保が困難か否かの基準となる値である。基準圧力角θが前記閾基準圧力角未満であれば十分な歯底が確保可能となり、同じく前記閾基準圧力角以上であれば十分な歯底の確保は困難となる。
【0031】
前記閾基準圧力角は、機構モデル(ラックモデル)による実験や周知の理論計算等により予め求められており、本実施形態では、閾基準圧力角=30度とされている。即ち、基準圧力角θが20度以上、且つ30度未満の部位は小圧力角領域Aとされており、同じく30度以上、且つ40度以下の部位は大圧力角領域Bとされている。
【0032】
小圧力角領域Aはラック9の中央部側に配置されており、大圧力角領域Bはラック9の両端部側にそれぞれ小圧力角領域Aに連続するように配置されている。また、小圧力角領域A及び大圧力角領域Bにおける歯底の高さはそれぞれ同じとされている。小圧力角領域Aにおいては、歯底の高さを確保した状態で(即ち、歯底の高さを変位させることなく)所定の曲率半径を有する円弧面を形成可能な程度の歯底が確保されている。尚、本実施形態において、20度以上且つ30度未満の基準圧力角θをθ1とし、30度以上且つ40度以下の基準圧力角θをθ2として互いに区別する。
【0033】
[小圧力角領域における歯底形状]
図3に示すように、小圧力角領域Aにおけるラック9の歯底16には所定の曲率半径を有する放物面17が下側(ラック9の歯先とは反対側)に凸となるように形成されている。具体的には、隣り合う一対のラック歯間において、噛合い歯面15のラック底側(噛合い歯面15の歯先とは反対側、即ち図3における下側)には傾斜面18aが延長して形成されており、この傾斜面18aと滑らかに連続するように円弧面18bが形成されている。傾斜面18aはラック歯に噛合うピニオン8の歯先線19とラック9の噛合い歯面15との交点から延長開始されており、円弧面18bはラック9の歯先面からの有効歯たけHよりも深い位置(ラック底側)に形成されている。
【0034】
即ち、放物面17は一対の傾斜面18a,18a及び円弧面18bから構成されており、当該放物面17はピニオン8とラック9との噛合いに関与しない部位に設けられている。このため、小圧力角領域Aにおいて、ピニオン8とラック9との噛合い率が確保される。また、ラック9の歯底16に放物面17を形成したことにより、ピニオン8の歯との干渉が回避され、且つピニオン8との噛合いに伴ってラック歯に発生する応力集中が緩和される。
【0035】
[大圧力角領域における歯底形状]
図4に示すように、大圧力角領域Bにおけるラック9の歯底23において、ピニオン8とラック9との噛合いに関与しない部位には肉ぬすみ部20が形成されている。具体的には、隣り合う一対のラック歯間において、ラック底側(噛合い歯面15の歯先とは反対側、即ち図4における下側)には傾斜面21が延長して形成されており、この傾斜面21に滑らかに連続するように所定の曲率半径を有する第1の円弧面22が形成されている。この第1の円弧面22はラック歯に噛合うピニオン8の歯先線19よりもラック底側に位置している。即ち、第1の円弧面22はラック歯の歯先面からの有効歯たけHよりも深い位置に形成されている。換言すれば、第1の円弧面22はピニオン8とラック9との噛合いに関与しない部位に形成されている。
【0036】
また、前記第1の円弧面22と滑らかに連続するように所定の曲率半径を有する第2の円弧面24が形成されている。第1の円弧面22と第2の円弧面24とからクランク状の曲面を構成されている。互いに隣り合う一対の第2の円弧面24は滑らかに連続しており1つの曲面(円弧面状の歯底23)を構成している。
【0037】
傾斜面21、一対の第1の円弧面22,22及び一対の第2の円弧面24,24から構成される肉ぬすみ部20がピニオン8とラック9との噛合いに関与しない部位、即ちピニオン8とラック9とが実際に接触する範囲である有効歯たけHから外れた部位に形成されている。このため、大圧力角領域Bにおけるピニオン8とラック9との噛合い率が確保される。ピニオン8の歯との干渉も回避される。また、傾斜面21に第1の円弧面22を滑らかに連続させると共に、第1の円弧面22を第2の円弧面24にさらに連続させるようにしたことにより、ピニオン8との噛合いに伴ってラック歯に発生する応力集中が緩和される。
【0038】
ちなみに、小圧力角領域Aにおけるラック歯の歯底16には、肉ぬすみ部20を設ける必要はない。これは、基準圧力角θ1を有するラック歯は基準圧力角θ2を有するラック歯に比べて歯底が確保でき、ひいては歯底16に放物面17を形成する際、当該放物面17(厳密には、円弧面18b)の曲率半径を大きく確保できるからである。一般に、歯底の高さを同じとした場合、基準圧力角θを大きくするほど歯底の確保が困難となる。このため、大圧力角領域Bのラック歯の歯底23に小圧力角領域Aのラック歯と同様の放物面17(厳密には、円弧面18b)を形成しようとしても、この放物面(円弧面)の曲率半径は小圧力角領域Aのラック歯の放物面17(円弧面18b)に比べて小さなものとなる。従って、ピニオン8との噛合いに伴って発生する応力集中を十分に緩和できないおそれがある。本実施形態では、このような歯底が十分に確保できない大圧力角領域Bにおけるラック歯の歯底には肉ぬすみ部20を設けることにより、歯底の高さを変位させることなく、且つピニオン8との噛合い率を低下させることなくラック歯の強度を確保している。
【0039】
従って、本実施形態におけるラックアンドピニオン機構14によれば、小圧力角領域A及び大圧力角領域Bにおける全てのラック歯において、ピニオン8との噛合い率及び強度の双方がバランスよく確保される。一般的に、噛合い率が大きいほど一度に噛合う歯数が多くなり動力伝達に伴う振動や騒音が抑制される。このため、ラックアンドピニオン機構14においては静かで且つ円滑な動力伝達が可能となり、ひいては電動パワーステアリング装置の信頼性及び操舵感覚もそれぞれ向上する。
【0040】
尚、本実施形態において、前記第1の円弧面22は本発明の円弧面に相当し、前記第2の円弧面24は別の円弧面に相当する。
[実施形態の効果]
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
(1)大圧力角領域Bにおけるラック9の歯底23には、ピニオン8との噛合いに関与しないように、即ちピニオン8とラック9とが実際に接触して噛合いに参加する範囲である有効歯たけHから外れるように(即ち、入り込まないように)、肉ぬすみ部20を形成するようにした。このため、ピニオン8とラック9との噛合い率が確保される。また、ラック9の噛合い歯面15に連続するように第1の円弧面22を形成したことによりラック9の歯底23(肉ぬすみ部20の内底面)を十分に確保することができ、第2の円弧面24の曲率半径を十分に確保することができる。このため、ピニオン8との噛合いによりラック9(厳密には、ラック9の歯底)に発生する応力集中が緩和される。従って、ラック9の強度及びピニオン8との噛合い率の双方を確保することができる。
【0042】
(2)電動パワーステアリング装置1にはラックアンドピニオン機構14を備えるようにした。このラックアンドピニオン機構14によれば、小圧力角領域A及び大圧力角領域Bにおける全てのラック歯において、ピニオン8との噛合い率及び強度の双方がバランスよく確保される。このため、ラックアンドピニオン機構14においては静かで且つ円滑な動力伝達が可能となる。このようなラックアンドピニオン機構14を備えることにより、電動パワーステアリング装置1の信頼性及び操舵感覚をそれぞれ向上させることができる。
【0043】
(3)大圧力角領域Bにおいて、噛合い歯面15を歯先とは反対の方向に延長することにより傾斜面21を形成し、この傾斜面21に第1の円弧面22を滑らかに連続させるようにした。傾斜面21は噛合い歯面15を、そのまま同じ傾斜角で延長したものである。このため、ピニオン8とラック9との組付け誤差、並びにピニオン8及びラック9の加工誤差等がそれぞれ吸収される。即ち、多少の組付け誤差や加工誤差があってもピニオン8とラック9との噛合い面積(噛合い長さ)は確保される。従って、ピニオン8とラック9との噛合い率を、より確実に確保することができる。
【0044】
[別例]
なお、本実施形態は以下のような別例に変更して実施してもよい。
・本実施形態では、本発明をラックアンドピニオン機構14に具体化したが、例えば互いに噛合う一対の平歯車(図示略)を備えた平歯車機構に具体化するようにしてもよい。このようにしても、本実施形態の(1)〜(3)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0045】
・本実施形態では、ラック9をピッチP及び基準圧力角θがそれぞれ変位するヴァリアブルラックとしたが、ピッチP及び基準圧力角θがそれぞれ一定とされたコンスタントラックとしてもよい。基準圧力角θ2で一定の場合には特に効果的である。このようにしても、本実施形態の(1)〜(3)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0046】
・本実施形態では、噛合い歯面15をそのまま同じ傾斜角で延長することにより傾斜面21を形成し、この傾斜面21に第1の円弧面22を滑らかに連続させるようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、傾斜面21を省略して、第1の円弧面22をラック9の噛合い歯面15に直接連続させるようにしてもよい。このようにしても、本実施形態の(1)〜(3)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0047】
・本実施形態では、第1の円弧面22には第2の円弧面24を連続させるようにしたが、第1の円弧面22と第2の円弧面24との間にはフラット面(平面部)を設けるようにしてもよい。
【0048】
・本実施形態では、大圧力角領域Bにおいて、互いに隣り合う一対の第2の円弧面24を滑らかに連続することにより1つの曲面、即ち円弧面状の歯底23を構成するようにしたが、前記両第2の円弧面24,24間にフラット面(平面部)を設けるようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、歯車の強度及び噛合い率の双方を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における電動パワーステアリング装置の概略構成図。
【図2】本実施形態におけるラックアンドピニオン機構の断面図。
【図3】本実施形態におけるラックアンドピニオン機構の要部拡大断面図。
【図4】(a)は本実施形態におけるラックアンドピニオン機構の要部拡大断面図、(b)は本実施形態におけるラックの拡大断面図。
【図5】(a)〜(c)は従来のラックアンドピニオン機構の要部拡大断面図。
【符号の説明】
θ,θ1,θ2…基準圧力角、8…ピニオン(第1歯車又は第2歯車)、
9…ラック(第2歯車又は第1歯車)、14…ラックアンドピニオン機構、
20…肉ぬすみ部、21…傾斜面、22…第1の円弧面(円弧面)、
23…歯底、24…第2の円弧面(別の円弧面)。

Claims (3)

  1. 互いに噛合う第1及び第2歯車を備え、前記第1及び第2歯車のうちいずれか一方における少なくとも一部の歯底には肉ぬすみ部を設けるようにした歯車機構において、
    前記肉ぬすみ部は、前記第1又は第2歯車の歯先面からの有効歯たけ内に入り込まないように設けると共に、前記第1又は第2歯車の噛合い歯面に連続する円弧面を含み、
    前記第1及び第2歯車のうち前記肉ぬすみ部を形成した一方の歯車はその両端部に向かうほど、又は中央部に向うほど基準圧力角が大きくなるヴァリアブルラックであり、他方の歯車は前記ヴァリアブルラックに噛合うピニオンであり、
    前記ヴァリアブルラックは、歯底の確保が困難となる閾基準圧力角を予め設定し、この閾基準圧力角以上の基準圧力角を有するラック歯の歯底にのみ前記肉ぬすみ部を設けるとともに、前記閾基準圧力角以上の基準圧力角を有する大圧力角領域における歯底と前記閾基準圧力角未満の基準圧力角を有する小圧力角領域における歯底の高さをそれぞれ同じようにした歯車機構。
  2. 前記肉ぬすみ部を設けた第1又は第2歯車の噛合い歯面を、歯先とは反対の方向に延長することにより傾斜面を形成し、この傾斜面に前記円弧面を滑らかに連続させるようにした請求項1に記載の歯車機構。
  3. 前記肉ぬすみ部は、前記円弧面と滑らかに連続する当該円弧面とは別の円弧面を含み、当該別の円弧面は歯底の少なくとも一部を構成する請求項1又は請求項2に記載の歯車機構。
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