JP4413611B2 - G−csf遺伝子におけるエキソン3の領域の欠失について測定することを特徴とするガンの診断方法 - Google Patents

G−csf遺伝子におけるエキソン3の領域の欠失について測定することを特徴とするガンの診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor, G-CSF)遺伝子の変異特性を用いてガンを診断する方法に関するものである。具体的に、本発明はガン診断用マーカーであって、G−CSFであらわれるエキソン3の欠失について遺伝子又はタンパク質のレベルで分析することによって、ガンが発生するか否かを予測乃至診断する方法に関するものである。
現代社会において、各種事故を除いた成人の死亡原因の1、2位を争っている致死的疾患であるガンにおいて、その初期診断及び根源的治療法の開発が重要な課題となっている。一般的に末期状態のガンは治療がほとんど不可能であるのに対し、初期状態のガンは治療率が非常に高く、治療方法もかなり簡単であると知られている。従って、正確かつ迅速な診断方法の開発が切実に要求されている。
現在、一般的に行われているガンの診断は、(1)光学顕微鏡、電子顕微鏡などを用いて形態学的に分析する形態学的診断、(2)ガンの組織内で発現する特定のタンパク質を分析する免疫組織化学的診断(参考:Iran. Biomed. J. 3 (3 & 4):99〜101, 1999; Lancet 2:483〜6, 1986)、(3)ガンの組織内であらわれる遺伝子の突然変異のような分子生物学的異常を分析する分子生物学的診断などの方法を用いてなされている。これらの方法中、形態学的診断や免疫組織学的診断の場合、分子生物学的診断と比べて非常に多くの時間がかかり、経済的な負担も非常に高い。分子生物学的方法はその作業が相対的に単純であり、いくつかの場合には短時間に結果が分かるので、現在新しい診断方法の開発研究の中心になっている。最近、中国の上海数康生物科技有限公司(HealthDigit Co., Ltd., Shanghai, China)が多様なガン診断用タンパク質チップシステムを開発し、世界最初に中国医薬品安全庁から臨床診断許可を受けたと言う報告もあった(参考:www.health-digit.com)。しかし、これもまた一つのバイオマーカー(biomarker)によりすべてのガンを診断する形態でなく10個以上の多くのタンパク質を用いる形態である。
上記のような方法の効率的な適用において最も重要なことは、ガンの発生についてより正確かつ容易に確認することができるガン診断マーカー(marker)の選択及び使用である。ガン診断マーカーとしていくつかの遺伝子(参考:Steve M. et al., J. Clin. Oncology 20:3165〜3175, 2002; Sridlhar R. et al., J. Clin. Oncology 20:1932〜1941, 2002)又はタンパク質(参考:Goessl et al., Urology 58:335〜338, 2001; Zhou et al., Breast Cancer Res Treat 66:217〜224, 2001;金・チョルキン等、大韓民国公開特許公報第2001−0061173号)が報告されており、この中で実際に診断に用いられる場合もある。既に用いられているガンに対するマーカーの場合、臓器特異性の低いCEA、BFP、TPA、IAPなどのマーカーの場合は度が落ちて偽陽性(false positive)のおそれがあるのに対し、臓器特異性の高いAFP、PIVKA II、Esterase I、CA19−9、CA50、Span−1抗原、CA15−3、BCA 225などのマーカーの場合は、当初から標的臓器を目的にして用いるときにのみ有用な短所があった。従って、ガンの診断において正確性だけでなく経済的であり、かつ簡単な診断のためにも多様な種類のガンを診断することができる新しいマーカーの開発が切実に要求されている。
これによって、本発明者らは多様な種類のガンを診断することができるガン診断マーカーを開発するために鋭意研究した結果、ガン患者の場合、G−CSFの転写過程においてエキソン3の領域が欠失されていることを確認し、G−CSF mRNA変異断片又はタンパク質をガン診断マーカーとして用いることにより、多様なガン患者を簡単でかつ、経済的、速く診断することができることを確認し、本発明を完成することになった。
一つの観点で、本発明は、ガン診断マーカーとして用いるためのエキソン3の領域が欠失したG−CSF mRNA変異断片を提供する。
他の観点で、本発明は、ガン診断マーカーとして用いるためのエキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質を提供する。
また他の観点で、本発明は、(a)G−CSF遺伝子のエキソン3DNA断片及び(b)G−CSF遺伝子のエキソン1、2、4及び5DNA断片のうちの一つ以上の断片が結合したガン診断用マイクロアレイ又はメンブレンを提供する。
また他の観点で、本発明は、エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質に対する抗体を含むガン診断剤を提供する。
また他の観点で、本発明は、エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質に対する抗体を含むガン診断用キットを提供する。
また他の観点で、本発明は、エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質に対する抗体が結合したガン診断用マイクロアレイ又はメンブレンを提供する。
また他の観点で、本発明は(a)哺乳類の組織又は細胞試料からG−CSF核酸試料を得る段階、(b)得られたG−CSF核酸試料を増幅する段階及び(c)増幅された試料でG−CSF遺伝子のエキソン3の欠失を確認する段階を含むことを特徴とするエキソン3欠失G−CSF遺伝子の確認方法を提供する。
また他の観点で、本発明は(a)哺乳類の組織又は細胞試料を得る段階及び(b)得られた組織又は細胞試料中のエキソン3の領域のアミノ酸の欠失したG−CSF変異タンパク質を確認する段階を含むことを特徴とするG−CSF変異タンパク質の確認方法を提供する。
また他の観点で、本発明は、哺乳類の組織又は細胞試料から得られたG−CSF核酸試料を増幅するために用いられるプライマーを提供する。
本発明は、ガン診断用マーカーであって、G−CSFであらわれるエキソン3の欠失について遺伝子又はタンパク質のレベルで分析することにより、ガンが発生するか否かを予測乃至診断する方法に関するものである。
単球性大食細胞(macrophage)、T−細胞及び繊維芽細胞のような細胞から生産されること知られているコロニー刺激因子(colony stimulating factor, CSF)は正常に生体内で広範囲に分布されている。CSFは大きく顆粒性白血球のコロニー刺激因子(G−CSF)、単球性大食細胞のコロニー刺激因子及び顆粒性白血球−単球性大食細胞のコロニー刺激因子の3つに分けれ、このうち、G−CSFは、造血性肝細胞が増殖及び分化して生じるいろいろな血球生成に非常に重要な役割をするタンパク質である。これの主な作用は顆粒球、特に外部感染から生体を保護するのに重要な役割をする好中球(neutrophile)の数的増加を促進させることである。増殖性腫瘍に対して最近広く用いられている化学的治療法は、腫瘍の成長を抑制する同時に、好中球前駆体の成長も抑制するので、患者から好中球による保護作用の減少現象を起こして深刻な副作用を誘発する。G−CSFはこのような薬物治療患者に投与したときに好中球の数的増加を促進させて感染性疾患を予防し、治療するのに効果があると知られている。1986年、人間由来のG−CSF遺伝子がNagata等によりその塩基配列がはじめて明らかになり、これのCOS細胞内における発現が報告された(参考:Nagata et al., Nature 319:415〜418, 1986)。
ヒトのG−CSF(hG−CSF)は30個のアミノ酸で構成された分泌信号ペプチド(signal peptide)と174個のアミノ酸で構成された糖タンパク質(glycoprotein)である。5つのシステイン(cystein)が存在し、このうちの4つのシステイン(Cys36−Cys42,Cys64−Cys74)が2つのジスルフィド結合(disulfide bond)を形成してタンパク質の折り畳み(folding)及び活性(activity)に重要に関与するものと知られている(参考:Hill et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5167〜5171, 1993)。図1に示したように、人間由来のG−CSF遺伝子は、人体のゲノムDNA上にすべて5つのエキソン及び4つのイントロンで構成されており、このゲノムDNAから転写(transcription)によりmRNAが作られ、再度スプライング(splicing)過程を経て4つのイントロンが除去され、5つのエキソンのみで構成された成熟mRNAが作られる。この後、翻(translation)により204個のアミノ酸で構成されたG−CSF前駆体が作られ、再度N−端末に存在する30個のアミノ酸で構成された分泌シグナル配列(signal peptide)が除去さ、生物学的活性を有するG−CSFタンパク質(174個のアミノ酸)が生成される(参考:Nagata et al., EMBO J. 5:575〜581, 1986; Hill et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5167〜5171, 1993)。
本発明者らは、ヒトのG−CSF遺伝子をクローニングしてこの遺伝子を生産するために研究を行う途中、ガン細胞から由来したG−CSF cDNAでエキソン3の部分(108bp)が 正確に欠失されていることを確認することができた。このような特定のエキソンの欠失はG−CSF以外の他の遺伝子では少なくなく報告されていたが、人間由来のG−CSF遺伝子においてはまだ報告されたことがなかった。ヒトのG−CSF遺伝子は、エキソン2末端の3つのアミノ酸がある場合とない場合があり、これら2つの場合はともに同じ活性を有していると報告されたことがある(参考:Nagata et al., EMBO J. 5:575〜581, 1986)。従って、G−CSF遺伝子のエキソン3の欠失について測定してガンを診断する方法はG−CSFのすべての亜型に同一の原理により適用されることができる。また、他の哺乳動物から由来したG−CSFもほとんど同一の活性をあらわしているものと知られているので、当業者は本発明によるG−CSF遺伝子のエキソン3の欠失について測定してガンを診断する方法が他の動物から由来したG−CSFにも同一の原理により適用することができることを理解するだろう。
ガン細胞で特異的に発現する(又は抑制される)遺伝子及び遺伝的突然変異等を確認する分子生物学的方法を挙げると、(a)ポリメレース連鎖反応(参考:Bottema, C. D., Mutat Res. 233:93〜102, 1993; Nelson, D. L., Curr. Opin. Genet. Dev. 1:62〜68, 1991; Pourzand, C. and Cerutti, P., Mutat. Res. 288:113〜121, 1993; Holland P. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8:7276〜7280, 1991)、(b)1本鎖高次構造多型(single-stranded conformation polymorphism, SSCP)(参考:Glavac D., Hum. Mutat. 19:384〜394, 2002; Strippoli, P. et al., Int. J. Mol. Med 8:567〜572, 2001; Methods Mol. Biol. 187:151〜63, 2002)、(c)DNA塩基配列分析(DNA sequencing analysis)(参考:Sanger, F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463〜5467, 1997)、(d)タンパク質切断テスト(protein truncation test, PTT)(参考:Hardy, C. A.,MethodsMol. Biol. 187:87〜108, 2002)、(e)自動塩基配列分析法(参考:Boutin P. et al., Hum. Mutat. 15(2):201〜203, 2000)、(f) LOH(loss of heterozygosity)研究(参考:Yang Q. et al., Clin. Cancer Res. 8:2890〜2893, 2002)、(g)MSI(microsatellite instability)研究(参考:Furlan, D. et al., J. Pathol. 197:603〜609, 2002)、(h)MALDI−TOFを用いた遺伝子検査(参考:Leushner J., Expert Rev. Mol. Diagn. 1:11〜18, 2001)、(i)ハイブリダイゼーション(hybridization)による遺伝子検査(参考:Wetmur, J. G., Critical Reviews in Biochem. Mol. Biol. 26:227〜259, 1991)、(j)DNAチップによる遺伝子検査(参考:Goessl et al., Urology 58:335〜338, 2001; Zhou et al., Breast Cancer Res. Treat. 66:217〜224, 2001;金・チョルクン等、大韓民国公開特許公報第2001−0061173号)、(k)タンパク質チップを用いた検査(参考:Pharmacogenomics1:385〜393, 2000)等が診断に用いられる。当業者は上記列挙された方法を含んだ公知の分子生物学的方法を適切に応用してG−CSF遺伝子又はタンパク質のエキソン3の領域の欠失を容易に確認することができることを理解するだろう。しかし、用いられる上記の多くの方法の中で、本発明によるG−CSF遺伝子又はタンパク質エキソン3の領域の欠失はPCR、ハイブリダイゼーション、DNAチップ、タンパク質チップ又は酵素免疫測定法を用いて確認することが望ましい。
本発明によるガン診断のために先行されなければならないことは、被検組織又は細胞からG−CSF遺伝子又はタンパク質試料を得ることである。普通、組織又は細胞から分離される特定遺伝子の試料は微量であるので、PCRにより増幅しなければならず、このような増幅のためにはプライマーが考案されなければならない。本発明において、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域の全体又は一部を増幅するためにエキソン3の領域の欠失を測定するためのプライマーであるDNA核酸断片が必要である。即ち、本発明に於いてプライマーというのは、エキソン3の一部又は全体を含むG−CSF遺伝子の核酸配列を増幅することができるオリゴヌクレオチド(oligonucleotide)を意味する。このようなプライマーを考案することは当業者により容易になされる。従って、エキソン3の一部又は全体を含むG−CSFを増幅するために、当業者がデザインすることができるすべてのプライマーが本発明のプライマーの範囲に含まれる。本発明のプライマーの一例は、hG−CSF遺伝子のエキソン2の一部からエキソン5まで(Thr1−Pro174)増幅することができる配列番号1と配列番号2で表示されるオリゴヌクレオチド、hG−CSF遺伝子のエキソン2の一部からエキソン3(Ile24−Leu71)まで増幅することができる配列番号3と配列番号5で表示されたオリゴヌクレオタイド、hG−CSF遺伝子のエキソン3からエキソン4の一部(Cys36−Ser80)を増幅することができる配列番号4と配列番号6で表示されたオリゴヌクレオチドである。本発明者らは、8種の正常組織及び細胞と17種のガン細胞株からmRNA及びcDNAを確保し、これらプライマー群からG−CSF遺伝子及びエキソン3を確認することができた。
本発明は、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域を増幅してその欠失について測定するのに使用するプライマー対で、これらに限定されるのではないが、次のオリゴヌクレオチドを提供する。
センス5'-ACCCCCCTGGGCCCTGCC-3'(配列番号1)と
アンチセンス5'-TCAGGGCTGGGCAAGGTG-3'(配列番号2);
センス5'-ACCCCCCTGGGCCCTGCC-3'(配列番号1)と
アンチセンス5'-CAGCTGCAGGGCCTGGCT-3'(配列番号5);
センス5'-ACCCCCCTGGGCCCTGCC-3'(配列番号1)と
アンチセンス5'-CGCTATGGAGTTGGCTCAAGC-3'(配列番号6);
センス5'-ACCCCCCTGGGCCCTGCC-3'(配列番号1)と
アンチセンス5'-CAGCTTCTCCTGGAGCGC-3'(配列番号9);
センス5'-ATCCAGGGCGATGGCGCAGCG-3'(配列番号3)と
アンチセンス5'-TCAGGGCTGGGCAAGGTG-3'(配列番号2);
センス5'-ATCCAGGGCGATGGCGCAGCG-3'(配列番号3)と
アンチセンス5'-CAGCTGCAGGGCCTGGCT-3'(配列番号5);
センス5'-ATCCAGGGCGATGGCGCAGCG-3'(配列番号3)と
アンチセンス5'-CGCTATGGAGTTGGCTCAAGC-3'(配列番号6);
センス5'-TGTGCCACCTACAAGCTGTGC-3'(配列番号4)と
アンチセンス5'-TCAGGGCTGGGCAAGGTG-3'(配列番号2);
センス5'-TGTGCCACCTACAAGCTGTGC-3'(配列番号4)と
アンチセンス5'-CAGCTGCAGGGCCTGGCT-3'(配列番号5);及び
センス5'-TGTGCCACCTACAAGCTGTGC-3'(配列番号4)と
アンチセンス5'-CGCTATGGAGTTGGCTCAAGC-3'(配列番号6)。
上記核酸断片は、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域を含まなくてもエキソン2又はエキソン4の領域に該当するプライマーを用いてエキソン3の領域の欠失を確認することができる核酸断片を含む。
本発明の一つの様態は、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域の全体又は一部を含むDNA断片が結合しており、ガンを診断するのに有用な遺伝子のマイクロアレイ又はメンブレンを含む。遺伝子のマイクロアレイは一般的に特定の試薬により処理されたスライドガラス(slide glass)の表面上にオリゴヌクレオチドプローブを取り付け、ハイブリダイゼーション法でプローブに相補的な遺伝子を検出するのに用いられるもので、DNAチップなどがこれに含まれる。メンブレンは、ハイブリダイゼーションにおいてスライドガラスの代わりに使用することができるもので、特に限定されず、DNA断片を固定化することができるものはすべて用いられる。望ましくは、ナイロン又はニトロセルロースメンブレンを用いることができる。
本発明によるマイクロアレイの表面にはプローブとして、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域に該当する核酸断片とともにエキソン1、2、4及び5からなる群から選択された一つ以上の核酸断片が取り付けられる。ここで、核酸断片プローブは、各エキソンの全体又は一部分の両方が可能である。本発明においてプローブとして使用されるエキソン3の領域の核酸断片としては、これらに限定されるのではないが、TGTGCCACCTACAAGCTGTG(配列番号14)、GAGCTGGTGCTGCTCGGACA(配列番号15)、GGACACTCTCTGGGCATCCC(配列番号16)及びCTGAGCAGCTGCCCCAGCCAが含まれる。エキソン1、2、4及び/又は5の核酸断片は対照用プローブとして使用され、この例としては、これらに限定されるのではないが、CTGCAGCTGCTGCTGTGGCAC(配列番号10)、AGAAGCTGTGGTGCCAC(配列番号12)、TGAGTGAGTGTGCCAC(配列番号13)、GCAGGCTGCTTGAGCCAA(配列番号18)、AGAAGCTGGCAGGCTG(配列番号19)及びTGAGTGAGGCAGGCTG(配列番号20)が含まれる。
スライドガラス、メンブレンの表面にプローブをスポティングすることは、当分野の公知の技術により容易に実施することができる。又、標的の準備及びハイブリダイゼーションとストリッピングも通常の技術により実施することができる。
本発明の他の特定の様態は、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域の全体又は一部を含むDNA断片と診断学的に許容される通常の担体を含むガン診断用組成物を含む。本発明のまた他の特定の様態はG−CSF遺伝子のエキソン3の領域のアミノ酸が欠失したG−CSF変異体とこの変異体に対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いてガンを診断する方法を含む。ここで、“エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異体”は、成熟したタンパク質が翻訳する過程でエキソン1の領域乃至エキソン5の領域のうちのエキソン3の領域を含んで欠失が生じて生成されたG−CSF変異タンパク質を言う。本発明のまた他の特定の様態は、G−CSF遺伝子のエキソン3の領域の全体又は一部を含むDNA断片とこれを用いたDNAマイクロアレイを含む診断キットを含む。本発明のまた他の特定の様態として、本発明はG−CSF変異体及びG−CSF変異体に対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いたタンパク質アレイを含む診断キットを含む。
本発明によるエキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異体及びこれに対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体は、当分野の常法により生産することができる(参考:Harlow, E. and Lane, D., Antibodies. A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor, New York:ColdSpring HarborLaboratory, 1988; Wilson, L. and Matsudaira, P. eds. Antibodies in Cell Biology (Methods in Cell Biology, Vol. 37), New York: Academic Press, 1933)。
本発明によれば、17種のガン細胞株からmRNA及びcDNAを製造し、hG−CSF遺伝子のエキソン3の部位を含む配列を増幅した後、その塩基配列を分析することにより胃ガン、乳房ガン、肉腫、腸ガン、肺ガン、子宮頸部ガン及び悪性黒色腫細胞から由来したhG−CSF cDNAの場合、エキソン3の部位(108bp)が欠失されていることが明らかになった(図2及び図3参照)。17種のガン細胞株から由来したhG−CSF cDNAを鋳型にして前記本発明によるプライマーを用いてポリメレース連鎖反応を行った結果、16種のガン細胞株から由来したPCRの反応産物が正常細胞株から由来したPCRの反応産物に比べてその大きさが小さいことを確認し、この遺伝子の塩基配列を確認した結果、正常のG−CSF遺伝子を構成する5つのエキソンのうち、正確にエキソン3の部位が欠失されていることが確認された。
また、ハイブリダイゼーションを用いてG−CSF cDNAのエキソン3の欠失について確認することができる。例えば、正常のhG−CSF遺伝子を鋳型にしてPCRを行うことによりエキソン3の部位のDNA断片とエキソン2の領域のDNA断片を獲得し、これをナイロンメンブレンに固定化した後、ガン細胞株のcDNA標的とハイブリダイズさせた後、標的とエキソン3DNA断片との結合関係を確認してエキソン3の欠失を容易に確認することができる。
また、DNAチップを用いてG−CSF cDNAのエキソン3の欠失を確認することができる。各エキソン領域のオリゴヌクレオチドをプローブでスライド上に固定化した後、hG−CSFエキソン領域の遺伝子を鋳型にしてPCRを行ったものとプローブとを反応させることによって、エキソン3の領域の欠失を確認することができる。
また、エキソン3の領域の欠失が生じる変異塩基配列から変異G−CSFに対する組換えタンパク質を作り、これに対するポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を製作し、酵素免疫測定法により正常人と多様な患者間のG−CSF変異タンパク質の数値を測定することによって、エキソン3の領域の欠失を容易に確認することができる。
他の様態で、本発明は免疫クロマトグラフィー分析を含む。これの代表的なこととしてラテラルフローアッセイ(lateral flow assay)がある。このラテラルフローアッセイ型のキット構造を考察すると、試料が適用されるサンプルパッド(sample pad)、探知用抗体がコーティングされている放出パッド(releasing pad)、試料が移動して分離されて、抗体抗原反応が生じる展開用膜(主にニトロセルロース)又はストリップ、及び試料が続けて移動するための吸収パッド(absorption pad)からなっている。探知用抗体は、探知を表示するために、例えばコロイド性金粒子に固定されている。金粒子の代わりにラテックスビーズ(latex bead)又は炭素粒子を用いることもある。ラテラルフローアッセイの診断キッドはほとんどサンドイッチの形態で分析物を探知するように考案されている。試料内に入っている分析物がサンプルパッドに適用されて移動し始めながら、まず、放出パッドにコーティングされ、探知用抗体と反応して抗原−抗体結合体の形態で続けて展開される。移動しながら展開膜に固定されている捕獲抗体ともう一回反応してサンドイッチ形態の複合体を作る。捕獲抗体は展開膜に固定されているので、抗原−抗体反応が続けて生じると、複合体が捕獲抗体の固定面で蓄積される。タンパク質は肉眼では透明であるので、複合体の生成と相対的な量を、取り付けられている金粒子の量で判断する。
本発明のまた他の観点は、G−CSF遺伝子のエキソン3の部位の欠失を分析することによりガンを診断する方法を提供する。具体的には、本発明は人間又は動物の組織又は細胞試料から核酸試料を得た後、分子生物学的な方法を用いて前記核酸試料でG−CSF遺伝子のエキソン3の部位が欠失されたかを確認することによりガンを診断することができる。人間の組織又は細胞試料は、人間由来の液状試料、生検標本、組織培養のような固形組織試料又はこれらから由来した細胞及びその子孫が含まれる。又、前記試料は試薬処理、可溶化された試料又は培養細胞、細胞上澄液及び細胞溶解物も含む。更に詳しくは、本発明の目的上人間の組織又は細胞試料は、腫瘍組織又は腫瘍性と思われる組織を含み、例えば切除手術、生検、吸引法又は当業界に公知の他の方法により得られる。核酸試料は人間の組織又は細胞試料から当業界に公知の方法により分離することができる。
本発明によるガン診断方法は、前述のようにエキソン3の欠失を遺伝子の塩基配列分析により診断できるだけではなく、前記遺伝子が発現して作られたG−CSFタンパク質上のエキソン3に特異的なプローブ、例えばエキソン3のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異体に特異的な抗体を用いてその欠失を測定することにより可能になる。
本発明のガンの診断方法の対象ガンとしては、胃ガン、乳房ガン、肉腫、腸ガン、肺ガン、子宮頸部ガン、肝ガン、前立腺ガン、舌ガン、喉頭ガン、咽頭ガン、口腔ガン、甲状腺ガン、大腸ガン、食道ガン、睾丸ガン等を診断するのに有用に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示することで、本発明の内容が実施例により限定されるのではない。
ガン細胞株からmRNA及びcDNAの製造
8種の正常細胞及び組織と17種のガン細胞株からmRNA及びcDNAを製造した。本発明の実施例で用いた正常細胞株とガン細胞株は下記の表1に示した通りである。
前記のすべてのガン細胞株は前記の表1に記載された機関から自由に分譲を受けて用いることができるものである。また、ヒトの正常リンパ球、単核球、表皮組織、真皮組織、毛嚢細胞、脂肪細胞、筋肉細胞等も延世大学校医科大学のガン転移研究センターから容易に分譲を受けることができる。延世大学校医科大学のガン転移研究センターから分譲されたガン細胞株YCC−7は、次の方法により製作されたものである。進行性ガン患者から無菌的に腹水を得て細胞のクランピング(clumping)を防止するためにヘパリン(heparin)10unit/mLを添加した後、400xgで10分間遠心分離した。遠心分離して得た沈殿細胞を25cmのフラスコで培養した。赤血球が多量に含有された場合にはフィコール・ハイパック(Ficoll−Hypaque)で800xgで比重遠心分離した後、単核球層だけを得て5%CO、37℃で培養した。培養一日(16〜18時間)後に培養液を再度400xgで10分間遠心分離し、沈殿細胞を他の25cmのフラスコで培養した。培養液中の細胞状態を位相差顕微鏡で観察しながら週2〜3回新しい培地に交換した。細胞を観察する時ガン細胞の群落が確認されると、酵素であるトリプシン−EDTA(Trypsin−EDTA)を処理するか、またはコロニー(colony)を得、またはスクレッパー(scraper)を用いてガン細胞の群落だけを獲得するか、または浮遊液に存在するガン細胞を再度遠心分離して正常細胞を除去し、純粋なガン細胞のみを得て継代(passage)に細胞凍結して保管した。
各ガン細胞株、正常細胞及び正常組織からRNAはTRI−REAGENT(Gibco/BRL製)を用いて分離した。液体窒素を用いて急速凍結してかれた組織サンプル(tissue sample)にトリゾル試薬(Trizol reagent)1mLを添加し、常温で5分間反応させた。ここに0.2mLのクロロホルムを添加し、激しく15秒間混ぜた後、常温で5分間反応させた。前記サンプルを12000xg、4℃で15分間遠心分離した後、水溶性層(aqueous phase)を新しいチューブに移し、イソプロピルアルコール(isoproply alcohol)を同量添加し、4℃で10分間反応させた。反応液を12000xg、4℃で10分間遠心分離して沈殿物(pellet)が落ちないように上層液は捨て、70%エタノールで7500xg、4℃で5分間沈殿物を洗浄した。RNAを十分に乾燥させた後、RNAseフリーの蒸留水(RNase−free water)で溶解した。
それぞれの細胞株及びヒトの組織由来のガン細胞及び正常細胞から得たmRNAからcDNAを合成するために、次のような逆転写酵素ポリメレース連鎖反応(RT−PCR)を行った。全体のRNA 2μgとオリゴ(dT)16−プライマー(oligo(dT)16‐primer)1μlにRNAseフリーの蒸留水(RNase−free water)を添加して最終体積が11μlになるようにした後、90℃で5分間反応させ、氷に早く移した。他のチューブに反応緩衝溶液4μl及び10mM dNTPs 2μl、RNAaseインヒビター(RNase inhibitor)1μl及びRTase 2μlを混合した後、この混合物をチューブ(pre−mixture tube)に8.5μlずつ分注し、室温で10分間反応させた。前記反応物を42℃で90分間反応させて95℃に移し、15分間再度反応させてから迅速に氷に移して反応を終了してそれぞれのcDNAを製造した。
ポリメレース連鎖反応によるhG−CSF遺伝子の検索
それぞれのガン細胞で正常のhG−CSF遺伝子の発現を確認するために、前記実施例1で製造したそれぞれのcDNAを鋳型(template DNA)にしてポリメレース連鎖反応(PCR)を行った。PCRは図2に示したように、hG−CSF遺伝子のエキソン2の一部からエキソン5まで(Thr1−Pro174)を増幅したPCR1反応、エキソン2の一部からエキソン3まで(Ile24−Leu71)を増幅したPCR2反応及びエキソン3からエキソン4の一部分(Cys36−Ser80)を増幅したPCR3反応を行った。
PCR1反応は、それぞれのガン細胞株cDNAを鋳型にしてプライマー対5'-ACCCCCCTGGGCCCTGCC-3'(センス、配列番号1)と5'-TCAGGGCTGGGCAAGGTG-3'(アンチセンス、配列番号2)を用いて行った。PCR2反応は、それぞれのガン細胞株cDNAを鋳型にしてプライマー対5'-ATCCAGGGCGATGGCGCAGCG-3'(センス、配列番号3)と5'-CAGCTGCAGGGCCTGGCT-3'(アンチセンス、配列番号5)を用いて行った。PCR3反応は、それぞれのガン細胞株cDNAを鋳型にしてプライマー対5'-TGTGCCACCTACAAGCTGTGC-3'(センス、配列番号4)と5'-CGCTATGGAGTTGGCTCAAGC-3'(アンチセンス、配列番号6)を用いて行った。PCRはハイフィデリティーPCRシステム(High Fidelity PCR system, Boehringer Mannheim GmbH製)を用いて次のような条件で行った。一つ目の変性(denaturation)は94℃で7分間一回行い、二つ目の変性は94℃で40秒間、アニーリング(annealing)は56℃で40秒間、伸長(extension)は72℃で1分間行い、これを30回繰り返した。この後、72℃で7分間最終伸長を1回行った。
PCRの結果から生成された産物をアガロースゲル電気泳動法(agarose gel electrophoresis)により確認した。電気泳動実験の結果、PCR1の反応産物の場合、ガン細胞株から由来した大部分のPCR産物は正常のG−CSF遺伝子より小さい大きさを有しており、U−87MGの場合にのみ正常のG−CSF遺伝子の大きさを有していた(図3aにおいて、M:サイズマーカ、レーン1:正常細胞株、レーン2:YCC−7、レーン3:AGS、レーン4:SNU−1、レーン5:MDA−MB−231、レーン6:MCF−7、レーン7:SK−BR−3、レーン8:HT−1080、レーン9:HCT−116、レーン10:COLO205;図3bにおいて、M:サイズマーカ、レーン1:正常細胞株、レーン2:DLD−1、レーン3:HT−29、レーン4:A549、レーン5:NCI−H460、レーン6:HeLa、レーン7:C−33A、レーン8:B16、レーン9:U−87MG)。PCR2の反応産物とPCR3の反応産物を各々アガロースゲル電気泳動で分析した結果の場合は、前記PCR1の反応産物で正常に確認されたU−87MG細胞株でのみPCR産物を得ることができ、残りのガン細胞株ではPCR産物を得ることができなかった(図6及び図7参照)。また、前記PCR2とPCR3により得たU−87MG細胞株のPCR産物は、正常細胞から得たPCR産物と大きさが同一であることが分かった。
また、PCR1の反応産物の遺伝子塩基配列を自動塩基配列分析機(automatic DNA sequencer, ABI Prism model 377, Perkin Elmer, Inc.製)で分析した。PCR1の反応産物の塩基配列を分析した結果、U−87MG細胞株から得たPCR産物は正常細胞のG−CSF遺伝子と同一の配列配列番号7)を有しているのに対し、残りのガン細胞株から得たPCR産物は正常細胞のG−CSF遺伝子塩基配列と比較した時、中間に108bpが欠失(deletion)した配列配列番号8)を有していることを確認した(図4及び図5参照)。欠失した部分を除いた残りの部分は正常細胞G−CSF遺伝子の塩基配列と完全に一致した。欠失した108bpに相当するG−CSF遺伝子の塩基配列を確認した結果、総5個のエキソンで構成されたG−CSF遺伝子でエキソン3に該当する部分であることが分かった。
本発明者らは、正常人の組織でも正常細胞と同じPCRの結果があらわれるのかを確認するために、正常人のリンパ球、単核球、表皮組織、真皮組織、毛嚢細胞、脂肪細胞、筋肉細胞などからRNAを採取してRT−PCRを実施した結果、正常組織ではエキソン3の欠失があらわれないことを確認した。これはガン細胞においてG−CSF遺伝子のエキソン3の欠失が単にPCRの過程で発生できる結果でないことを示すものである。実際に、エキソン3の欠失によりガン細胞では正常のG−CSFではない変異G−CSFタンパク質が作られていることを確認した(図11参照)。また、前記エキソン3が欠失した変異G−CSFタンパク質は、その元来の活性部位機能がなくなり、立体構造(conformation)も正常のG−CSFタンパク質とは異なって形成される可能性が多く、これによりガン細胞ではG−CSFタンパク質が正常的な役割を果たさないものと考えられる。
ハイブリダイゼーション(Hybridization)法によるG−CSF遺伝子の検索
ハイブリダイゼーションによりガン細胞株でのG−CSF cDNAのエキソン3の欠失を確認した。正常細胞株から由来したG−CSF遺伝子を鋳型にし、プライマー対5'-TGTGCCACCTACAAGCTGTGC-3'(センス、配列番号4)と5'-CAGCTGCAGGGCCTGGCT-3'(アンチセンス、配列番号5)を用いてPCRを行い、G−CSF遺伝子のエキソン3の部位のDNA断片(108bp)を得た。
また、正常細胞株から由来したG−CSF遺伝子を鋳型にし、プライマー対5'-ACCCCCCTGGGCCCTGCC-3'(センス、配列番号1)と5'-CAGCTTCTCCTGGAGCGC-3'(アンチセンス、配列番号9)を用いてPCRを行うことによって、G−CSF遺伝子のエキソン2の部位のDNA断片(105bp)を得た。
ナイロンメンブレン(Boehringer Mannheim GmbH製)にそれぞれの分離精製した各DNA断片50ng/μlをスポッティング(spotting)した後、80℃で2時間置いてから固定化した。
メンブレンのエキソン2及びエキソン3のハイブリダイゼーション用の各細胞株の標的(target)は、次のような方法により製作した。逆転写反応はまず、反応液A[総RNA 2μg、オリゴ(dT)16−プライマー(oligo(dT)16−primer)1μl、最終体積15μl]のみを入れたチューブを94℃で2分間放置して変性(denaturation)過程を行い、この後、温度を42℃に徐々に(20分以内)低下した後、反応液B[dATP,dGTP,dCTP各々333μM、逆転写酵素緩衝溶液1x、20μCi[α−33P]dCTP(2,000〜3,000Ci/mMol)、AMV逆転写酵素50U、最終体積30μl]を加えた後、42℃で2時間逆転写反応を行った。逆転写反応後、重合反応に用いられない[α−33P]dCTPとともにdNTPはQIAquick Nucleotide Removal Kit(Qiagen GmbH製)を用いて除去した。
このようにして製作されたcDNAの標的を用いてG−CSFのエキソン2及びエキソン3の部分が固定化されているナイロンメンブレンでハイブリダイゼーションを行った。まず、ナイロンメンブレンを2X SSPE緩衝溶液[1x SSPE:0.18M NaCl、10mM リン酸ナトリウム、pH7.7、1mM EDTA]に5分間入れた後、これを除去し、65℃で予め温めたハイブリダイゼーション溶液[5x SSPE、2% SDS、1x Denhardt試薬、100μg/mL音波変性された鮭の精子DNA]2mLを再度添加した。65℃で1時間置いた後、cDNAプローブ10μlをハイブリダイゼーション溶液0.5mLに加えて10分間沸かした。これをメンブレンが入っている密封されたビニールに入れて65℃で18時間ハイブリダイゼーション過程を行った。ハイブリダイゼーション過程が終わった後、洗浄溶液[0.5x SSPE、0.2% SDS]を用いて65℃で30分ずつ3回交換して行った。すべてのハイブリダイゼーション過程が終わった後、X線フィルムを用いてハイブリダイズされている放射能を読み出した。
実験の結果、図8に示したように、ガン細胞株(YCC−7、AGS、HT−29、A549、MCF−7)から分離した標的の場合、エキソン2には結合しているが、エキソン3には結合しなかった(図8a、8b、8c、8d及び8e参照)。反面に、正常の遺伝子を有しているU−87MGの場合、エキソン2とエキソン3の両方に結合していることが確認された(図8f参照)。このように、ハイブリダイゼーション法を用いてエキソン3の欠失を容易に確認することができた。ハイブリダイゼーション法は最近急に発展しているDNAマイクロアレイを用いた検索方法にも容易に適用可能であり、従って、これを用いた多様な用法が容易に開発でき、これによるガン診断が非常に容易かつ正確になされるものと思われる。
エキソン3の欠失検索用DNAチップによるG−CSF遺伝子の検査
G−CSFのエキソン3の部分の欠失を確認するための道具として、DNAチップを適用可能であるかを調査するためにガラス上に固定化すべきDNA断片のプローブを製作した。
プローブは、G−CSFのエキソン2の部分で一つのプローブを、エキソン3の部分に互いに重ならないように4つのプローブを、エキソン4の部分で一つのプローブを20個のオリゴヌクレオチドで構成するようにデザインした。また、エキソン2からエキソン3にわたって一つのプローブを、エキソン3からエキソン4にわたって一つのプローブを、エキソン2からエキソン4にわたって一つのプローブを各エキソンの塩基配列を8つずつ有するようにデザインした。G−CSFのエキソン2の部分は選択的スプライシング(alternative splicing)機作により二つの種類(ヒトのG−CSFa、ヒトのG−CSFb)を有しているので(参考:Tshuchiya M. et al., EMBO J 5:575〜581, 1986)、エキソン2の部分でデザインしたプローブはそれぞれ二つの種類をすべてデザインした。
DNAプローブを固定化するためにすべてのDNA断片のプローブを合成するとき、3’一番目の位置にアミノリンカーカラム(aminolinker column、Cruachem Ltd.製, Glasgrow, Scotland)を用いてアミン基(amino group)を有する塩基を挿入し、スライドガラス(slide glass)はアルデヒド基(aldehyde group)でコーディングされているもの(CEL Associates, Inc.製, Huston, Taxas, USA)を購入した。プローブを3×SSC(0.45M NaCl、15mM CNa、pH7.0)の緩衝溶液に溶解させた状態で、本実験室自体製作したマイクロアレイヤ(microarrayer)を用いて(参考:Yoon et al, J. Microbiol. Biotechnol. 10:21〜26, 2000)集積した後、55%程度の湿度が維持される条件で1時間以上化学反応を誘導し、6時間以上放置してDNAプローブを固定化した。菌検索用プローブは、100μMの濃度で全体プローブを275μmの間隔で順序通り集積してマイクロアレイを製作した。
プローブのアミン基とガラス板上のアルデヒド基との反応が円滑になされて固定化が十分になされたかを確認するために、SYBRO Green II(Molecular Probe, Inc.製, Leiden, Netherlands)で染色して確認した。
それぞれの細胞株から抽出したG−CSF遺伝子を鋳型にしてアシンメトリックPCR(Asymmetric PCR)を行って断片遺伝子を製作し、これをガラス板上に固定すべきプローブとして用いた。断片遺伝子は、プライマー対5'-CTGCAGCTGCTGCTGTGGCAC-3'(センス、配列番号10)と5'-FITC-CTGCTGCCAGATGGTGGT-3'(アンチセンス、配列番号11)の添加比率を1:5に差別化することによって、一回のポリメレース連鎖反応で得た。スライドガラス上に固定化したプローブは、下記の表2に収録されている。
非対称増幅方法のためのPCRは、次のような条件で行った。一番目の変性は94℃で5分間、二番目の変性は94℃で1分間行った。アニーリングは56℃で1分間、伸長は72℃で30秒間行い、これを10回繰り返した。その後、再度三番目の変性は94℃で1分間、アニーリングは58℃で1分間、伸長は72℃で30秒間行い、これを30回繰り返した。その後、72℃で5分間最終伸長を1回行った。
PCRの結果から生成された産物はアガロースゲル電気泳動法により確認した。各菌に対して二本鎖のDNAと一本鎖のDNAが同時に合成されたことを確認した。G−CSFのエキソン3欠失したプラスミドと欠失していないプラスミドを有し、G−CSF部分をアシンメトリックPCRにより増幅した後、DNAチップを用いて検査したハイブリダイゼーション緩衝溶液[6×SSPE、20%(v/v)ホルムアミド]にアシンメトリックPCR(Asymmetric PCR)により増幅させた遺伝子を15μl入れ、総体積が200μlになるように製造した。製造された溶液をプローブが固定されているガラス板上に分注した後、プローブ−クリッププレスシール培養室(probe-clip press-seal incubation chamber, Sigma Co.製, St. Louis, MO.)の30℃の恒温振盪培養器(shaking incubator)で6時間反応させて相補的な結合を誘導した。時間が経過した後、3×SSPE(0.45M NaCl、15mM CNa、pH7.0)、2×SSPE(0.3M NaCl、10mM CNa、pH7.0)、1×SSPE(0.15M NaCl、5mM CNa、pH7.0)の順にそれぞれ5分間ずつ洗浄した。スキャンアレイ(Scanarray)5000(GSI Lumonics Inc.製, Bedford, MA.)を用いて検索した。
図9から分かるように、エキソン3が欠失されていないプラスミドの場合、すべてのプローブにシグナルがあらわれるのに対し、エキソン3が欠失したプラスミドの場合、エキソン2とエキソン4の部分にのみシグナルがあらわれることが分かった。このプラスミドはエキソン2のa型の塩基配列を有している。
この結果により、前記提示したプライマーとプローブを用いてG−CSFのエキソン3の部分の欠失を検索することができるDNAチップの開発が可能であることが分かった。
流加式組換えG−CSF変異体タンパク質の生産
組換え大腸菌を用いてG−CSF変異タンパク質を多量生産するために、組換えプラスミドpED−CSF4BLIIEを有しているE.coli BL21(DE3)(Novagen Inc.製, USA)の流加式発酵を行った。pED−CSF4BLIIEはプラスミドpET21c(Novagen Inc.製)にエキソン3の領域の塩基配列が欠失したG−CSF変異体に対する塩基配列をクローニングしたものである。製造方法は次の通りである。まず、ヒトの乳房ガンcDNAライブラリ(library)を鋳型にしてEcoRI部位を有しているフォーワードプライマー(Primer 1)5'-GCGAATTCATGGCTGGACCTGCCACCCAG-3'とBamHI部位を有しているリバースプライマー(Primer 2)5'-GCGGATCCTTATTAGGGCTGGGCAAGGTGGCG-3'を用いてポリメレース連鎖反応を実施した後、反応物にEcoRIとBamHIの制限酵素で処理し、まず、pUC19(Stratagene製, USA)にクローニングしてp19CSFプラスミドを作製した(図12参照)。pUC19内にクローニングされたCSF遺伝子はエキソン3の領域がない状態である。
p19CSFプラスミドを鋳型にしてNdeIを有しているフォーワードプライマー(Primer 4)5'-GCGAATTCATATGACCCCCCTGGGCCCTGCCAGC-3'とBamHI部位を有しているリバースプライマー(Primer 2)5'-GCGGATCCTTATTAGGGCTGGGCAAGGTGGCG-3'を用いてポリメレース連鎖反応を実施した後、得られたDNAにNdeIとBamHIの制限酵素で処理してpET21cプラスミドにクローニングした。ここで、一番目のアミノ酸が翻訳される時点の塩基配列をバクテリアに最適の塩基配列に変えるために、前記フォーワードプライマーを5'-GCGAATTCATATGACCCCCCTGGGCCCTGCCAGC-3'の代わりに5'-GCGAATTCATATGACTCCGTTAGGTCCAGCCAGC-3'に変えて同様にポリメレース連鎖反応を実施した後、得られたDNAにNdeIとBamHIの制限酵素で処理してpET21cプラスミドにクローニングし、最終的にpED−CSF4BLIIEを製作した(図13参照)。流加式培養で用いた培地及び供給基質は表3に示した。
種培養は、回転振盪器(rotary shaker)で250mLのフラスコを用いて37℃で8時間培養した。200mLの種培養物を1.8Lの発酵液を含む5.0Lの発酵器(5.0L、NBS発酵器)に接種した。温度とpHはそれぞれ37℃と6.8に制御した。pHは28%NHOH溶液を用いて維持した。必要な場合に純粋な酸素も供給した。基質の供給(feeding)戦略としてpH−statを使用したが、pHが6.88に増加すると、グルコース2.0〜3.0g、酵母抽出物0.3g、MgSO・7HO 0.1gを培養液に自動的に添加した。流加式培養のうち、培養液中のグルコースの濃度は5g/L以下に維持し、OD600=30で1mM IPTG(isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)を用いて誘導し、微生物の濃度がOD600=90まで達する高濃度の培養がなされた。生産されたG−CSF変異タンパク質の量は密度測定器(densitometer)を用いて染色したタンパク質バンドの強度を測定して定量化した(図10参照)。成熟したG−CSFの分子量は18.7kDa程度であったが、エキソン3の領域が欠失した塩基から翻訳したG−CSF変異体タンパク質の分子量は約13kDa程度となった。
G−CSF変異タンパク質特異的ポリクローナル抗体の製造
本実施例では、組換えG−CSF変異体を大腸菌(E.coli)から得た後に、抗ウサギ変異のヒトのG−CSFを得るための抗原として用いた。抗原特異的ポリクローナル抗体を生成するために、1mg/mLの濃度でリン酸緩衝溶液中に溶解された突然変異ヒトのG−CSF精製溶液400μlを同量のフロイントアジュバント(Freund’s adjuvant, BRL社で市販)で乳化した後、10週のウサギに11日の間隔で4回筋肉に注射した。4回筋肉注射した10日後に心臓穿孔法で血液を採取した。採取した血液を常温で30分間、また、4℃で一晩放置して完全凝固させた後、2,500rpmで30分間遠心分離して上澄液を取ることにより血清を得た。これに最終濃度が40%となるように硫酸アンモニウムを添加して沈殿させ、10mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)に一晩透析した後、DEAE Affi−Gel Blue gel(Bio-Rad社で市販)で抗体を精製した(参考:Smith, C. P., Jensen, D., Allen, T. and Kreger, M. (Eds.) Information Resources for Adjuvants and Antibody Production. U. S.Dept. of Agriculture, 1997; Hanly W. C. et al., ILAR Journal 37:93〜118, 1995)。
G−CSF変異タンパク質特異的モノクローナル抗体の製造
1mg/mL濃度の精製されたヒトのG−CSF変異タンパク質100μlを同量のフロイントアジュバントで乳化した後、生後6〜8週のBALB/cマウスに2週の間隔で3回腹腔内に注入した。最後の注入後、抗G−CSF変異タンパク質に対する抗体の生成を確認し、2週後に100μgのヒトのG−CSF変異タンパク質で最後に免疫させ、3日後にマウスから脾臓細胞を抽出し、Sp2/0−Ag14骨髄腫(myeloma)細胞と10:1の比率で混合し、この混合液を50%ポリエチレングリコール1500の溶液に3分間放置して細胞融合を実行した。これを1,200rpmで8分間遠心分離して細胞沈殿物を得た後、10%ウシ胎児血清(fetal calf serum)を含むHAT RPMI−1640培地で1mL当り3.5×10細胞となるように浮遊させて96−ウェルプレート(96−well plate)にウェル当り0.1mLずつ分注し、37℃、5%COの培養器で培養した。3日後、10%ウシ胎児血清を含むHAT RPMI−1640培地をウェル当り0.1mLずつ添加し、4日毎に培地の半分を新鮮な培地に取り替えた(参考:Amyx, H. L., JAVMA 191:1287〜1289, 1987; Akerstrom, B. et al., J Immunol 135:2589〜2592, 1985; Anon, Vet Health Inspectorate 6 pp. Rijswijk, The Netherlands, 1989)。
HAT選択培養後、ハイブリドーマ(hybridoma)細胞の抗体生産を酵素免疫測定法により確認する。即ち、上記で免疫に用いたヒトのG−CSF変異タンパク質を0.01M炭酸塩−重炭酸塩(carbonate−bicarbonate)緩衝液(pH9.6)で0.1μg/mlに希釈し、各ウェルに50μlずつ入れ、4℃で一晩コーティングした。その後、PBST(phosphate buffer saline,137mM NaCl,2.7mM KCl,10mM NaHPO,2mM KHPO,0.15%Tween20)で4回洗浄し、0.1%アルブミンで37℃で30分間反応(blocking)させた。細胞の培養上澄液は各ウェルに50μlずつ入れ、室温で2時間反応させた後にPBSTで4回洗浄した。ビオチンが付している2次抗体である抗マウスの免疫グロブリン抗体(Biotin conjugated anti-mouse immunoglobulin antibody)を1μg/mlとなるように0.1%BSA−PBSTで希釈した後に、各ウェルに50μlずつ入れ、37℃で1時間反応させた。再度、PBSTで4回洗浄した後にストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Streptavidin-Horseradish Peroxidase)を0.1%BSA−PBSTで1000倍希釈し、各ウェルに50μlずつ入れ、37℃で30分間反応させた後に再度PBSTで4回洗浄した。酵素反応用基質としてはTMB(Tetra-Methylbenzidine, TMB)溶液を各ウェルに50μlずつ入れ、室温で反応させた後に2N硫酸で反応を停止させ、450nm波長でELISAリーダーで吸光度を測定した。抗ヒトのG−CSF変異タンパク質抗体の生成を確認して陽性を示すウェルから得た細胞は限界希釈法(limiting dilution)でウェル当り0.3細胞となるように3回サブクリーニング(subcloning)して培養することによって、モノクローナル化して抗ヒトのG−CSF変異体モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを得た。ハイブリドーマから抗ヒトのG−CSF変異体モノクローナル抗体を得た(参考:Amyx, H. L., JAVMA 191:1287〜1289, 1987; Akerstrom, B. et al., J Immunol 135:2589〜2592, 1985; Anon, Vet Health Inspectorate 6 pp. Rijswijk, The Netherlands, 1989)。
酵素免疫測定法(ELISA)によるG−CSF変異タンパク質の数値を用いた診断
上記で免疫で用いた組換えG−CSF変異体に対する抗ウサギ変異のヒトのG−CSF又は抗マウス変異のヒトのG−CSFを、セルロプラスミンを0.01M炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(pH9.6)で10μg/ウェルで希釈して入れ、4℃で一晩コーティングした。その後、PBST(0.15%Tween20)で4回洗浄し、0.1%アルブミンで37℃で1時間反応(blocking)させた。同じ方法で洗浄した後、標準希釈緩衝液(standard diluent buffer)50μlとサンプルを入れ、徐々に混ぜながら、37℃で2時間反応させた後にPBSTで4回洗浄した。ペルオキシダーゼ(peroxidase)が付している2次抗体である抗免疫グロブリン抗体(Peroxidaseconjugated anti-human immunoglobulin antibody)を2.5μg/ウェルとなるように、0.15N NaClが入っている10mMリン酸(Phosphate)緩衝液に希釈した後に各ウェルに入れ、30分間室温で反応させた。再度PBSTで4回洗浄した。酵素反応用基質としてはTMB溶液を各ウェルに50μlずつ入れ、室温で暗反応させた後に2.5N硫酸で反応を停止させ、450nm波長でELISAリーダーで吸光度を測定した。
図11から分かるように、ヒトのG−CSF変異タンパク質の数値はガン患者において非常に上昇する結果を示した。各ガン患者別に数値を比較したとき、特に乳房ガンの場合、ヒトのG−CSF変異タンパク質の数値が非常に上昇することが分かった。
以上の実施例に詳しく例示されているように、G−CSFエキソン3の領域の欠失をPCRやDNAチップで、あるいはG−CSF変異タンパク質に対する酵素免疫測定法を用いることによって、ガンの診断が容易になるだろう。既に用いられているガンに対するマーカーの場合、臓器特異性が低いCEA、BFP、TPA、IAPなどのマーカーの場合は度が落ちて偽陽性(false positive)のおそれがあり、反面に臓器特異性が高いAFP、PIVKA II、エステラーゼI、CA19−9、CA50、Span−1抗原、CA15−3、BCA 225等のマーカーの場合は、当初から標的臓器を目的にして用いる時にのみ有用な短所がある。本発明者らが発見したG−CSFエキソン3の領域の欠失に対するガン診断マーカーは、免疫化学的療法及び分子生物学的方法で検索に用いれば簡単かつ容易にガン診断が可能である。この新規なガン診断マーカーの開発及び使用により今後ガンの初期発見が容易になり、ガンの診断に大きく寄与するだろう。
本発明は、G−CSF遺伝子のエキソン3の欠失を判別して腫瘍を診断することができる方法を提供する。本発明によるガン診断の方法は一つの特定のガンでなくいろいろな種類のガン診断に広く用いることができ、ポリメレース連鎖反応又はハイブリダイゼーションとDNAチップによる分子生物学的方法またはELISAのような比較的簡単な免疫化学的方法を用いてガンを容易に診断することができる効果がある。また、G−CSFエキソン3の欠失確認用DNAチップは一つの遺伝子をもってすべてのガンを診断することができるという長所と、既存の方法より更に簡便で、迅速かつ正確なガン診断が可能であり、一度に多数の臨床検体を適用することができるので、人類医学の開発発展と福祉向上に資することはもちろん、DNAチップに関する技術にも大きく貢献するものと期待される。
また、本発明者らが発明したエキソン3の領域のアミノ酸が欠失したG−CSF変異体に対する抗体としてG−CSF変異体タンパク質を測定することにより正常人とガン患者を容易に区分することができる。これもまた、G−CSF変異体に関する確認のみで正確にガンを診断することができることを示唆しており、一度に多数の臨床検体を適用することができ、ひいてはタンパク質アレイに関する技術にも大きく貢献するようになるだろう。
人間由来のG−CSF遺伝子の正常の転写、スプライシング及び翻訳過程を示す。 ポリメレース連鎖反応(polymerase chain reaction, PCR)で使用したそれぞれのプライマー位置を示す。 PCR1の反応産物をアガロースゲル電気泳動法により分析した結果を示す(M:サイズマーカー、レーン1:正常細胞株、レーン2:YCC−7、レーン3:AGS、レーン4:SNU−1、レーン5:MDA−MB−231、レーン6:MCF−7、レーン7:SK−BR−3、レーン8:HT−1080、レーン9:HCT−116、レーン10:COLO205)。 PCR1の反応産物をアガロースゲル電気泳動法により分析した結果を示す(M:サイズマーカー、レーン1:正常細胞株、レーン2:DLD−1、レーン3:HT−29、レーン4:A549、レーン5:NCI−H460、レーン6:HeLa、レーン7:C−33A、レーン8:B16、レーン9:U−87MG)。 正常細胞から由来したPCR1の反応産物の遺伝子塩基配列を分析した結果を示す。 ガン細胞から由来したPCR1の反応産物の遺伝子塩基配列の分析結果を示す。 PCR2の反応産物をアガロースゲル電気泳動法により分析した結果を示す(各レーンは図3aに示したものと同一である)。 PCR2の反応産物をアガロースゲル電気泳動法により分析した結果を示す(各レーンは図3bに示したものと同一である)。 PCR3の反応産物をアガロースゲル電気泳動法により分析した結果を示す(各レーンは図3aに示したものと同一である)。 PCR3の反応産物をアガロースゲル電気泳動法により分析した結果を示す(各レーンは図3bに示したものと同一である)。 正常細胞のエキソン2DNA断片とエキソン3DNA断片が固定されたナイロンメンブレンとガン細胞から由来した標的をハイブリダイゼーション(hybridization)した後、X−線により分析した結果を示す(A:YCC−7、B:AGC、C:HT−29、D:A549、E:MCF−7、F:U−87MG)。 G−CSF遺伝子のエキソン3の領域の欠失についてDNAチップにより分析した結果を示す。 図10は、エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失した組換えG−CSF変異体タンパク質を生産し、分離した結果をSDS−PAGEで示したものである。 エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質の数値を変異タンパク質に対する抗体を用いて正常人とガン患者から測定した結果である。 プラスミドp19CSFの作製図である。 エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質を発現する組換えプラスミドpED−CSF4BLIIEの作製図である。

Claims (8)

  1. ガン診断マーカーとして用いるためのエキソン3領域が欠失したG−CSF mRNA変異断片またはG−CSF cDNA変異断片。
  2. ガン診断マーカーとして用いるためのエキソン3領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質。
  3. (a)G−CSF遺伝子のエキソン3DNA断片及び(b)G−CSF遺伝子のエキソン1、2、4及び5DNA断片のうちの一つ以上の断片が結合したガン診断用マイクロアレイ。
  4. エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質に対する抗体を有するガン診断剤。
  5. エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質に対する抗体を有するガン診断用キット。
  6. エキソン3の領域のアミノ酸配列が欠失したG−CSF変異タンパク質に対する抗体が結合したガン診断用マイクロアレイ
  7. (a)哺乳類の組織又は細胞試料からG−CSF核酸試料を得る段階、(b)得られたG−CSF核酸試料を増幅する段階及び(c)増幅した試料からG−CSF遺伝子のエキソン3の欠失を確認する段階を含むことを特徴とするエキソン3欠失G−CSF遺伝子の確認方法。
  8. 哺乳類由来の組織又は細胞試料中から、G−CSF遺伝子のエキソン3に対応するアミノ酸配列の欠失を確認する段階を含むことを特徴とするG−CSF変異タンパク質の確認方法。
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