JP4411981B2 - 回路遮断器の開閉機構 - Google Patents

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本発明は、電動機の給電回路に適用する配線用回路遮断器などを対象とした回路遮断器の開閉機構に関する。
まず、本発明の実施対象となる頭記回路遮断器に装備した従来の開閉機構(特許文献1参照)を図4〜図6に示す。各図において、1は箱形構造になる開閉機構の組立フレーム、2は開閉操作用のハンドルとしての組立フレーム1の上部側に支軸2aを介して枢著したシーソー式のロッカーハンドル、3は後記の主回路可動接触子を開閉位置に駆動する開閉レバー、4は開閉レバー3の支軸3aに配した主スプリング(捩じりコイルバネ)、5はロッカーハンドル2と開閉レバー3との間を連繋した四節リンク機構になるトグルリンク機構、6は過電流引外し機構(図示せず)の動作に応動するラッチ受けである。
ここで、トグルリンク機構5は、上端をロッカーハンドル2にピン結合したトグルリンク7と、トグルリンク7の下端側に連結ピン(コ字形ピン)8を介して結合したラッチ9とで四節リンクを構成し、さらにトグルリンク5と開閉レバー3との間が次記のように連結リンク10を介して連係されている。すなわち、連結リンク10の先端側には動作ピン11を植設して該動作ピン11を開閉レバー3連係するとともに、組立フレーム1の前後壁面に形成した略「ノ」字形の長穴1aに嵌挿して案内支持するようにしている。なお、図1において、12は警報出力板、12aは警報出力板の付勢バネである。
また、図6において、13は主回路の固定接触子、14は橋絡形の可動接触子、15は可動接触子14の接触子ホルダ、16は可動接触子14を固定接触子13に向けて押圧付勢する接圧バネである。
次に、回路遮断器の投入操作による前記開閉機構,主回路接点の動作を図7(a)〜(c)および図8(a)〜(c)により説明する。なお、(a)図は投入操作の開始,(b)図は中間,(c)図は投入完了の行程状態を表している。
すなわち、投入開始当初の状態では、主スプリングは放勢状態にあって開閉レバー3が接触子ホルダ15を下方に押し下げ、接圧バネ16に抗して可動接触子14を開極している。ここからロッカーハンドル2をON操作すると、開閉レバー3が反時計方向に回動して主スプリング4を蓄勢し、これに追随して接触子ホルダ15が接圧バネ16のバネカを受けて上昇し、可動接触子14が固定接触子13に接触するようになる。そして投入完了の状態になると、開閉レバー3は接触子ホルダ15から離間し、固定接触子13に当接した可動接触子14が接圧バネ16のバネ力で圧接される。
ここで、図7(a)〜(c)において、ロッカーハンドル2にON方向の換作力Aを加えると、このハンドル操作力Aがトグルリンク7を矢印Bの力(以下、矢印は力のベクトルを表す)で押す。さらにハンドル操作力が連結リンク10に伝達して長穴1aに嵌入した動作ピン11を矢印Cの力で押すと、その長穴に沿った方向の分力Dが開閉レバー3(図6参照)を押し、開閉レバー3を反時計方向に回動して主スプリング4を蓄勢させるとともに、この動作に追随して主回路接点が次記のように閉極する。また、投入が完了すると、ロッカーハンドル2はトグルリンク機構5によってON位置に保持される。
すなわち、図8(a)〜(c)は図7(a)〜(c)に対応した開閉レバー3および可動接触子の挙動,およびハンドル負荷力(ベクトル)を表しており、図中の矢印Eは主スプリング4の蓄勢バネ力によってロッカーハンドル2に作用する力(ハンドル負荷)、矢印Fは接圧バネ16のバネ力(主スプリング3のバネ力と逆向き)、Gは接圧バネ力Fが接触子ホルダ15を介して開閉レバー3に作用する力(開閉レバーを時計方向に付勢する力)を表している。
ここで、主スプリング4による作用力(ハンドル負荷)Eは、投入開始当初から可動接触子14が固定接触子13に当接するまでの前半行程((a)から(b)までの範囲)では、接触子ホルダ15を介して開閉レバー3に作用する接圧バネ16のバネカにより減衰されるが、可動接触子14が固定接触子13に接触するポイント(図8(b)参照)に移動す ると、接触子ホルダ15を介して開閉レバー3に作用する接圧バネのバネカはゼロになるためハンドルの負荷力として開閉レバー3に作用騙用する力Eが急激に増大する。
図9は前記した投入操作過程で、ロッカーハンドル2に作用するハンドル負荷Hを表した特性図であり、図中で横軸に表したOFF,Z,ONはそれぞれ図7,図8における(a),(b),(c)図の状態に対応している。すなわち、OFF位置(投入開始当初の状態)から可動接触子14が固定接触子13に当接するZポイントまでの前半行程では、ハンドル負荷が略一定値H1であるが、Zポイントに達すると接触子ホルダ15を介して開閉レバー3に作用する接圧バネ16のバネカがゼロとなるので、ハンドル負荷HはH1からH2までステップ状に増加し、Zポイントを乗り越えた後の後半行程ではハンドル負荷Hが右下がりに減少し、投入操作が完了してON位置になるとロッカーハンドル2がこの位置に拘束保持されるので、ハンドル負荷はゼロとなる。
特開2001−23499号公報
前記した従来構成の開閉機構による回路遮断器の投入は、いわゆるスローメイクであり、主回路接点の投入速度はロッカーハンドル2に加える手動操作力によって決まる。
一方、回路遮断器を投入して給電回路に接続した電動機を起動させる際には、電動機の起動電流として定格電流の6倍近い突入電流が回路遮断器に流れる。そのために、接点の投入操作をゆっくりした速度で行う(スローメイク)と、可動接触子が固定接触子に接触する際に過渡的に接点間にアークが発生し、これが原因で接点の消耗を早めたり、固定/可動接点が溶着したりするおそれがある。
したがって、電動機の給電回路に適用する回路遮断器(配線用遮断器)を投入する際には、ロッカーハンドルに大きな操作力を加えてOFF位置からON位置へ速度を落とさずに一気に投入させる(クイックメイク)ことが重要である。しかしながら、前記した従来構成の開閉機構のままでは、図9の特性図で述べたように投入開始から途中Zポイントを
通過する過程で急にハンドル負荷が増加する。このために、投入の前半行程ではハンドルを比較的軽い力で動かせるが、途中でハンドルが急に重く(ハンドル負荷の増加)なってONからOFF位置まで操作速度を落とさずに、一気に主回路接点を投入させることが難しい。
そこで、本発明の目的は、開閉機構に簡単な変更を加えるだけで、回路遮断器の投入時に、投入開始から完了まで投入速度を落とさずにロッカーハンドルをスナップ感のある操作でクイックメイクできるようにし、電動機の突入電流に起因する接点の損耗,溶着発生を回避するようにした回路遮断器の開閉機構を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、接圧バネで付勢された主回路の可動接触子と開閉操作用のロッカーハンドルとの間を連繋し、ロッカーハンドルのON,OFF換作により主回路接点を開閉させる回路遮断器の開閉機構であり、前記開閉機構が、主スプリングで付勢される開閉レバー,および該開閉レバーとロッカーハンドルとの間を連係するトグルリンク機構を組立フレームに組み付けた構成になり、かつトグルリンク機構はその連結リンクの先端側に設けた動作ピンを組立フレームに形成した長穴に案内支持して開閉レバーに連係させ、該連結リンクを介してロッカーハンドルに加えた操作力を開閉レバーに伝達させるようにしたものにおいて、
前記長穴をその長手方向に沿って互いに角度の異なる二つの穴領域I、IIに区分した略「く」字状に連ねた形状となし、前記穴領域IIは略鉛直方向に沿って開口されており、前記穴領域は鉛直方向に対して傾斜した角度に形成され、投入操作時に主回路の可動接点が固定接点に当接するまでの前半行程に対応する穴領域の角度を、ハンドル負荷が増加する方向に設定するとともに、連結リンクを介して開閉レバーに作用するハンドル操作力の分力の効率角度が大きくなるように設定し、後半行程に対応する穴領域IIは分力効率角度が小さくなるような角度に設定するものとする。

上記構成のように、トグルリンク機構の連結リンクを案内支持する長穴の形状を変更することにより、回路遮断器の投入時にロッカーハンドルを換作するには、投入開始から大きな換作力を加えてハンドルをON位置に向けて操作する必要があることから、ロッカーハンドルは投入操作の途中で減速することなく、主回路の可動接触子が固定接触子に当接してハンドル負荷が増加する地点を一気に通過して投入が完了するようになる。
その結果として、スナップ感のある操作でロッカーハンドルをON位置にクイックメイクすることができるようになり、回路遮断器を電動機の給電回路に適用した場合でも、電動機の突入電流による主回路接点間のアーク発生,アーク発生に起因する接点の損耗,溶着発生を回避できる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図5〜図7に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
図示実施例の開閉機構の構成は基本的に図5に示した従来構造と同じであるが、トグルリンク機構5の連結リンク10の先端に植設した動作ピン11を案内支持する長穴1aの形状が従来構造と異なる。すなわち、従来の開閉機構では図2(a)で示すように長穴1aの形状が略「ノ」字形であるのに対して、図示実施例では長穴1aの形状を図2(b)で示すように略「く」字形に変更している。この長穴の形状をさらに詳しく述べると、長穴1aは互いに角度が異なる直線状の穴領域IとIIを上下に連ねた形状であり、穴領域IIは穴の向きが略鉛直方向に沿って開口しているのに対して、直線領域Iは穴の向きは鉛直方向に対して傾斜した角度に形成されている。
そして、図3(a)〜(c)に示したロッカーハンドル2の投入操作過程において、当初は連結リンク10の動作ピン11が長穴1aの穴領域Iの上端に位置し、投入操作の行程上で可動接触子が固定接触子に当接する中間ポイントに達すると、動作ピン11が穴領域IからIIに移行し、投入操作が完了した状態では動作ピン11が穴領域IIの下端に移動するように設定しておく。
これにより、ロッカーハンドル2に加えた操作力Aは、図3の図中に矢印B,C,D(ベクトル表示)で表すようにトグルリンク機構5を介して開閉レバー3(図1,図6参照)に作用する。すなわち、図3(a)に示す投入開始当初から図3(b)の中間ポイントに移行する前半行程では、動作ピン11が長穴1aの傾斜した穴領域Iに沿って移動するので、ロッカーハンドル2からトグルリンク7を介して動作ピン11に加わる力Cとこのハンドル操作力で開閉レバー3を押圧する作用分力Dとの間の角度(以下、効率角度と称する)θは大きくなる。この場合に、効率角度θが大であると力Cに対する分力Dの比率が小さくなるため、開閉レバー3を動作させるにはロッカーハンドル2に大きな操作力Aを加える必要がある。これに対して、図3(b)から(c)に移行する後半行程では、動作ピン11が鉛直方向の穴領域IIに沿って移動するので、前記作用力Cとその分力Dとの間の効率角度βは小さくなってハンドル操作力Aは殆ど減衰せずにそのまま開閉レバー3に作用するようになる。
これにより、回路遮断器の投入時におけるハンドル負荷特性は図9の特性線Jで表すようになる。すなわち、ロッカーハンドル2に操作力Aを加えてOFF位置からON位置に投入するには、投入開始当初にハンドル負荷力J1よりも大きな操作力を加える必要がある。ここで、前記のハンドル負荷力J1が図中のZポイント(可動接触子が固定接触子に当接するポイント)でハンドルに作用する負荷J2よりも大となるように前記穴領域Iの傾斜角度を設定しておけば、投入開始当初にロッカーハンドル2に加えた操作力Aにより、途中のZポイントで減速せずに一気に投入完了のON位置に切り換わるようになるので、これによりスナップ感のある操作で主回路接点をクイックメイクできる。
しかも、従来構造と比べて、開閉機構の組立フレーム1に加工する長穴1aの形状を変更するだけであり、このために製作コストが増加することもない。
本発明の実施例による開閉機構の構成を示す正面図 図1における組立フレームに形成した長穴を従来構造の長穴と対比して表した図で、(a)は従来の形状図、(b)は実施例の形状図 図1の構成による回路遮断器投入時における開閉機構の動作および投入操作力の伝達経路を表した説明図で、(a)は投入開始当初,(b)図は中間,(c)図は投入完了の状態を表す図 従来における開閉機構の外観斜視図 図4の正面図 図5の開閉機構を主回路接点機構とともに表した側面図 図5の構成による回路遮断器の投入時における開閉機構の動作,および投入操作力の伝達経路を表した説明図で、(a)は投入開始当初,(b)図は中間,(c)図は投入完了の状態を表す図 図7(a)〜(c)に対応する主回路接点の開閉動作明図で、(a)は投入開始当初,(b)図は中間,(c)図は投入完了の状態を表す図 本発明と従来とを対比して表した開閉機構のハンドル負荷特性図
符号の説明
1 開閉機構の組立フレーム
1a 長穴
2 ロッカーハンドル
3 開閉レバー
4 主スプリング
5 トグルリンク機構
10 連結リンク
11 動作ピン
13 固定接触子
14 可動接触子
15 接触子ホルダ
16 接圧バネ

Claims (1)

  1. 接圧バネで付勢された主回路の可動接触子と開閉操作用のロッカーハンドルとの間を連繋し、ロッカーハンドルのON,OFF換作により主回路接点を開閉させる回路遮断器の開閉機構であり、前記開閉機構が、主スプリングで付勢される開閉レバー,および該開閉レバーとロッカーハンドルとの間を連係するトグルリンク機構を組立フレームに組み付けた構成になり、かつトグルリンク機構はその連結リンクの先端側に設けた動作ピンを組立フレームに形成した長穴に案内支持して開閉レバーに連係させ、該連結リンクを介してロッカーハンドルに加えた操作力を開閉レバーに伝達させるようにしたものにおいて、
    前記長穴をその長手方向に沿って互いに角度の異なる二つの穴領域I、IIに区分した略「く」字状に連ねた形状となし、前記穴領域IIは略鉛直方向に沿って開口されており、前記穴領域は鉛直方向に対して傾斜した角度に形成され、投入操作時に主回路の可動接点が固定接点に当接するまでの前半行程に対応する穴領域の角度を、ハンドル負荷が増加する方向に設定するとともに、連結リンクを介して開閉レバーに作用するハンドル操作力の分力の効率角度が大きくなるように設定し、後半行程に対応する穴領域IIは分力効率角度が小さくなるような角度に設定したことを特徴とする回路遮断器の開閉機構。
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