JP2024053469A - 回路遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイメタルに加わる応力を小さくして、バイメタル永久変形の抑制効果が効率良く得られる回路遮断器を得ること。
【解決手段】熱動引き外し装置50は、バイメタル51の先端に固着されたバイメタルアッパーベース52と、バイメタルアッパー54と、バイメタルアッパー54を開閉機構部の引き外し荷重より大きな荷重でトリップバーの方向に付勢するバイメタルアッパースプリング56と、を備え、バイメタルアッパースプリング56の保持部56bと、バイメタルアッパー54に対するバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離は、バイメタルアッパー54の回動前よりバイメタルアッパー54の回動後の方が長く、バイメタルアッパー54の回転軸53は、バイメタルアッパー54を挟んでバイメタルアッパースプリング56の保持部56bの反対側に設けられている。
【選択図】図9
【解決手段】熱動引き外し装置50は、バイメタル51の先端に固着されたバイメタルアッパーベース52と、バイメタルアッパー54と、バイメタルアッパー54を開閉機構部の引き外し荷重より大きな荷重でトリップバーの方向に付勢するバイメタルアッパースプリング56と、を備え、バイメタルアッパースプリング56の保持部56bと、バイメタルアッパー54に対するバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離は、バイメタルアッパー54の回動前よりバイメタルアッパー54の回動後の方が長く、バイメタルアッパー54の回転軸53は、バイメタルアッパー54を挟んでバイメタルアッパースプリング56の保持部56bの反対側に設けられている。
【選択図】図9
Description
本開示は、バイメタルを有する熱動引き外し装置を備えた回路遮断器に関する。
高調波成分を含む電路に対応した回路遮断器では、熱動引き外し装置を備えている。熱動引き外し装置は、電路の過電流時に湾曲変形するバイメタルによってトリップバーを駆動し開閉機構部を引き外すように構成されている。
特許文献1では、バイメタルの先端に、バネで付勢され回動可能な回動部品を設けている。特許文献1の熱動引き外し装置では、バイメタルの先端に固着されたバイメタルアッパーベースと、バイメタルアッパーベースに回動可能に設けられ、トリップバーと間隙を介して対向する過電流特性調整用部材が固定されたバイメタルアッパーと、バイメタルアッパーベースに保持され、バイメタルアッパーを常に開閉機構部の引き外し荷重以上の荷重で付勢するバイメタルアッパースプリングとを備え、電路の過電流時にバイメタルの湾曲によりバイメタルアッパースプリングに抗してバイメタルアッパーを回動させ、過電流特性調整用部材を介してトリップバーを駆動している。
特許文献1では、バイメタルアッパーはバイメタルアッパーベースに対し回動可能であるが、その回転軸の位置が板状のバイメタルアッパーの長手方向の延長線上にあるので、バイメタルアッパーの回動に伴うバイメタルアッパースプリングのバネ荷重の上昇率が大きい。このため、バイメタルに加わる応力が大きくなり、バイメタル永久変形の抑制効果が効率良く得られないという問題がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、バイメタルに加わる応力を小さくして、バイメタル永久変形の抑制効果が効率良く得られる回路遮断器を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の回路遮断器は、電路を開閉する開閉接点を駆動する開閉機構部と、電路の過電流時に湾曲するバイメタルによりトリップバーを駆動し開閉機構部を引き外す熱動引き外し装置と、を備えている。熱動引き外し装置は、バイメタルの先端に固着されたバイメタルアッパーベースと、バイメタルアッパーベースに回動可能に設けられ、トリップバーと間隔を介して対向するバイメタルアッパーと、バイメタルアッパーベースに保持され、バイメタルアッパーを開閉機構部の引き外し荷重より大きな荷重でトリップバーの方向に付勢するバイメタルアッパースプリングと、を備える。バイメタルアッパースプリングの保持部と、バイメタルアッパーに対するバイメタルアッパースプリングの付勢部との距離は、バイメタルアッパーの回動前よりバイメタルアッパーの回動後の方が長い。バイメタルアッパーの回転軸は、バイメタルアッパーを挟んでバイメタルアッパースプリングの保持部の反対側に設けられている。
本開示の回路遮断器によれば、バイメタルに加わる応力を小さくして、バイメタル永久変形の抑制効果が効率良く得られる、という効果を奏する。
以下に、実施の形態にかかる回路遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる回路遮断器の構成を示す正面図である。図2は、実施の形態1にかかる回路遮断器の構成を示す断面図である。図1は、回路遮断器の非遮断時の状態を表している。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。図1および図2を用いて実施の形態1における回路遮断器100の概略構造について説明する。回路遮断器100は、ベース2およびカバー3を有する筐体1を備える。ベース2およびカバー3は、絶縁材料で形成されている。
図1は、実施の形態1にかかる回路遮断器の構成を示す正面図である。図2は、実施の形態1にかかる回路遮断器の構成を示す断面図である。図1は、回路遮断器の非遮断時の状態を表している。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。図1および図2を用いて実施の形態1における回路遮断器100の概略構造について説明する。回路遮断器100は、ベース2およびカバー3を有する筐体1を備える。ベース2およびカバー3は、絶縁材料で形成されている。
ベース2上には、極数分の複数相の回路遮断ユニットが並列に配置されている。図1の場合は、3相(3個)の回路遮断ユニットが配置されている。中央の回路遮断ユニットの上部には、周知のトグルリンク機構を有する開閉機構部20が配置される。カバー3は、ベース2上の各相の回路遮断ユニットと、開閉機構部20とを覆っている。開閉機構部20の操作ハンドル21はカバー3から突出している。各相の回路遮断ユニットは、同じ構成を有し、クロスバー10は、各相の回路遮断ユニットを横断して各相の回路遮断ユニットと直交するように、ベース2上に配置される。
各相の回路遮断ユニットは、電源側端子7と、固定接点4と、可動接点5と、可動接触子6と、引き外し装置30と、負荷側端子8と、を有する。電源側端子7は、ベース2に設けられている。固定接点4は、電源側端子7から延設されたところに設けられている。可動接点5は、固定接点4と接触および開離する。可動接触子6は、可動接点5が一端に設けられ、クロスバー10により回動自由に保持されている。引き外し装置30は、可動子ホルダー9を介して可動接触子6に接続されている。負荷側端子8は、引き外し装置30に接続され、ベース2に設けられている。
固定接点4および可動接点5によって電路を開閉する開閉接点が構成される。可動接点5が固定接点4に接触すれば、電源側端子7と負荷側端子8との間の電気回路がオンとなる。可動接点5が固定接点4から開離すれば、電源側端子7と負荷側端子8との間の電気回路がオフとなる。
クロスバー10は、ベース2の底部に配置され、図2において、紙面と直交するように延設されている。クロスバー10は、開閉機構部20により、クロスバー10の軸心を中心として回動される。クロスバー10には、各相の回路遮断ユニットにおける各可動接触子6がそれぞれ取り付けられる。クロスバー10がその軸心を中心として回動したときに、各相の回路遮断ユニットの各可動接触子6が同時に回動され、可動接触子6の回動により、可動接点5が固定接点4に接触および開離する。
開閉機構部20は、周知のトグルリンク機構から構成され、引き外し装置30により駆動される周知のトリップバー22と、トリップバー22を最大トリップ位置でロックするトリップバーストッパー(図示なし)を備えている。また、可動接触子6に近接して消弧室11が配置され、開閉機構部20の動作時に可動接点5と固定接点4との間に発生するアークを消弧する。
図3は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の引き外し装置30の構成を示す拡大側面図である。引き外し装置30は、図3に示すように、電磁引き外し装置40と熱動引き外し装置50とから構成される。電磁引き外し装置40は、固定鉄心41と、可動鉄心42と、復帰スプリング43と、シャフト44とを備えている。復帰スプリング43は、可動鉄心42を付勢する。シャフト44は、可動鉄心42を軸支する。可動鉄心42は、瞬時遮断時に固定鉄心41に吸着され、トリップバー22を駆動する。
図4は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50の構成を示す拡大斜視図である。図5は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50の要部を別の角度から見た拡大斜視図である。図3~図5に示すように、熱動引き外し装置50は、バイメタル51と、バイメタルアッパーベース52と、回転軸53と、バイメタルアッパー54と、バイメタルアッパースプリング56と、を備えている。バイメタル51の下端は、図2、図4に示すように、可動子ホルダー9に固定接続されている。バイメタル51の先端(上端)は、バイメタルアッパーベース52に固着されている。バイメタルアッパーベース52には、回転軸53が軸支されている。バイメタルアッパーベース52は、バイメタルアッパースプリング56を支持するための支持部52aと、バイメタルアッパー54のストッパーとして機能するバイメタルアッパーストッパー52bと、を有する。
バイメタルアッパー54は、回転軸53によってバイメタルアッパーベース52に回転可能に軸支されている。バイメタルアッパー54は、図4に示すように、L字形状を呈しており、回転軸53を軸支する、下部側に位置する回転軸支持部54bと、調整用ネジ57を螺着するための上部側に位置するネジ支持部54cと、バイメタルアッパースプリング56のアームの付勢部56aが係合される上部側に位置する係合部54aと、を有する。調整用ネジ57は、過電流特性を調整するためのネジである。
バイメタルアッパースプリング56は、ねじりコイルバネで構成されており、コイル部56bと、コイル部56bから延設される2本のアームと、を備える。バイメタルアッパースプリング56のコイル部56bがバイメタルアッパーベース52の支持部52aに挿入されることで、バイメタルアッパースプリング56はバイメタルアッパーベース52に保持される。このため、バイメタルアッパースプリング56のコイル部56bを、これ以降、バイメタルアッパースプリング56の保持部56bと呼ぶ。また、バイメタルアッパースプリング56は、バイメタルアッパー54に可動荷重を付与するために、一方のアームがバイメタルアッパー54の係合部54aに係合している。バイメタルアッパー54の回動に伴いバイメタルアッパー54の係合部54aに当接するアーム上の位置は変化するが、バイメタルアッパー54の係合部54aに当接するアーム上の部位を、バイメタルアッパースプリング56の付勢部56aと、呼ぶことにする。バイメタルアッパースプリング56は、付勢部56aを介してバイメタルアッパー54をトリップバー22の方向に付勢する。
バイメタル51の上端には、リベット60により通電用接続部材58が固着されている。バイメタル51は、通電用接続部材58および可撓導体59を介して負荷側端子8に接続されており、電路の電流が流れるようになっている。なお、図3~図5では、バイメタルアッパーベース52は、通電用接続部材58と一体に形成されている例を示したが、バイメタルアッパーベース52と通電用接続部材58とを別体とし、両者を溶接等で固着するようにしても良い。
バイメタルアッパー54は、バイメタルアッパーベース52に設けられたバイメタルアッパーストッパー52bへ当接した状態でバイメタルアッパースプリング56により常にトリップバー22の方向に付勢されており、バイメタルアッパー54におけるバネ荷重は、トリップバー22の当接位置において、引き外し荷重より大きくなるように設定されている。
ここで、回転軸53は、バイメタルアッパー54を挟んでバイメタルアッパースプリング56の保持部56bの反対側に設けられており、バイメタルアッパースプリング56の保持部56bと、バイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離は、バイメタルアッパー54の回動前より、バイメタルアッパー54の回動後の方が長くなるように構成されている。この点に関しては、後で詳述する。
次に、回路遮断器100の遮断動作について説明する。図6は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の遮断時の状態を示す断面図である。バイメタル51に或る電流値以上の過電流が流れると、バイメタル51が発熱し、この発熱によりバイメタル51が湾曲変形する。調整用ネジ57がバイメタルアッパー54およびバイメタルアッパーベース52を介してバイメタル51に固着されているので、バイメタル51が湾曲すると、調整用ネジ57がトリップバー22を押す。これにより、開閉機構部20が駆動され、可動接触子6が回動される。可動接触子6が回動すると、固定接点4から可動接点5が開離し、回路遮断器100の電流遮断の動作が完了する。なお、図6は、熱動引き外し装置50が動作した瞬間の状態で、この状態ではまだ可動接点5が固定接点4に接触している。
調整用ネジ57がトリップバー22を押すとき、バイメタルアッパー54は、バイメタルアッパーベース52に設けられたバイメタルアッパーストッパー52bへ当接した状態でバイメタルアッパースプリング56により常にトリップバー22の方向に付勢されている。この場合、バイメタルアッパー54におけるバネ荷重は、トリップバー22の当接位置において、引き外し荷重より大きく設定されているので、バイメタルアッパー54は回動することなくトリップバー22を押し込むことができる。
図7は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50がトリップバー22を最大トリップ位置まで押し込んだ状態を示す拡大側面図である。図8は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50において、図7に示す状態からバイメタル51がさらに湾曲しバイメタルアッパー54が回動した状態を示す拡大側面図である。図7では、トリップバー22がトリップバーストッパー(図示なし)でロックされる最大トリップ位置までトリップバー22が押し込まれた状態が示されている。
トリップバー22の引き外し荷重がバイメタルアッパースプリング56の初期荷重より小さく設定されているため、図7に示すように、トリップバー22がトリップバーストッパーに当接する最大ロック位置までは、バイメタルアッパー54が回動しない。トリップバー22が最大ロック位置に達した後、さらにバイメタル51の湾曲が大きくなると、図8に示すように、バイメタルアッパー54が回動を始め、バイメタルアッパースプリング56の付勢力は増加し始める。
図9は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50において、バイメタルアッパー54の回動前後の状態を説明するための拡大側面図である。図10は、比較例におけるバイメタルアッパー54の回動前後の状態を説明するための拡大側面図である。図10は、特許文献1に示した構成に対応する引き外し装置90の構成を示している。図10に示す比較例においては、実施の形態1にかかる回転軸53を、特許文献1に対応して回転軸53cに置換しており、その他の構成およびそれらの符号は、比較のために、便宜上、実施の形態1と同様としている。回転軸53cは、バイメタルアッパー54の長手方向の延長線上に配置されている。図9および図10において、調整用ネジ57の初期位置は実線で示し、調整用ネジ57の回動後は2点鎖線で示している。
図9に示すように、実施の形態1におけるバイメタルアッパー54の回転軸53は、バイメタルアッパー54の少なくとも回動前の状態においては、バイメタルアッパー54の上部側の構成であるネジ支持部54cを挟んで、バイメタルアッパースプリング56の保持部56bの反対側に設けられている。そして、バイメタルアッパー54の回動前の状態におけるバイメタルアッパースプリング56の保持部56bとバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離L1と、バイメタルアッパー54の回動後のバイメタルアッパースプリング56の保持部56bとバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離L2とを比較すると、L1<L2となっている。
一方、図10に示す比較例において、バイメタルアッパー54の回動前の状態におけるバイメタルアッパースプリング56の保持部56bとバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離L3と、バイメタルアッパー54の回動後のバイメタルアッパースプリング56の保持部56bとバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離L4とを比較すると、L4>L3となっている。しかし、図9と図10とを比較すると、(L2/L1)>(L4/L3)となり、実施の形態1における距離比L2/L1の方が比較例の距離比L4/L3より大きく、バイメタルアッパー54の回動後の保持部56bと付勢部56aとの距離L2のほうが比較例の距離L4よりも長くなっている。すなわち、実施の形態1によれば、バイメタルアッパー54をL字形状とし、回転軸53をバイメタルアッパー54を挟んで保持部56bの反対側に設けているので、バイメタルアッパー54の回転半径が比較例よりも大きくなり、バイメタルアッパー54が回転した際の保持部56bと付勢部56aとの距離L2が比較例のものよりも長くなる。したがって、バイメタルアッパー54が回動し、バイメタルアッパースプリング56が撓んでいっても、実施の形態1のほうが比較例よりもバイメタルアッパースプリング56による荷重の上昇が緩やかとなる。
図11は、実施の形態1にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50のバイメタルアッパーの荷重特性を比較例のものと比較して示す説明図である。図11において、横軸はバイメタル51の湾曲のストロークを示し、縦軸はバイメタル51にかかる荷重を説明するためにバイメタルアッパースプリング56の付勢力をバイメタルアッパー54におけるモーメントに変換したものを示している。図11において、P1は、調整用ネジ57がトリップバー22に当接する位置に対応し、P2は、トリップバー22が引き外し動作を開始する位置に対応し、P3は、トリップバー22が最大トリップ位置でロックされる位置に対応する。Mcは、バイメタル51の許容モーメントを示している。Laは、実施の形態1の荷重特性を示し、Lbは、比較例の荷重特性を示している。
バイメタルアッパースプリング56の付勢力は、トリップバー22がP3で示される最大トリップ位置でロックされるまでは、バイメタルアッパーストッパー52bにより規制された初期荷重M1のままとなっている。これは、トリップバー22の引き外し荷重がバイメタルアッパースプリング56の初期荷重M1より小さく設定されているため、この期間は、バイメタルアッパー54が回動しないためである。さらに、バイメタル51の湾曲が大きくなると、図8に示したように、バイメタルアッパー54が回動を始め、バイメタルアッパースプリング56の付勢力は増加し始める。バイメタルアッパースプリング56の荷重が増加し始めた後、比較例の場合は、Lbで示すように、増加率が大きく、バイメタルアッパー54におけるモーメントがバイメタル51の許容モーメント(荷重)Mcを超え、バイメタル51の永久変形を起こす可能性がある。これに対し、実施の形態1では、Laで示すように、バイメタルアッパー54が回動しバイメタルアッパースプリング56が撓んでいっても、比較例よりもバイメタルアッパースプリング56の荷重の上昇が緩やかとなる。その結果、実施の形態1の場合は、バイメタルアッパー54におけるモーメントはバイメタル51の許容モーメント(荷重)Mcを超えることはない。
なお、短絡電流のような過大電流が流れた場合には、引き外し装置30の電磁引き外し装置40の固定鉄心41に発生する磁力により、可動鉄心42が固定鉄心41に吸着され、可動鉄心42がシャフト44を回転軸として復帰スプリング43の付勢力に抗して回動する。この回動により可動鉄心42がトリップバー22を押し、開閉機構部20が駆動され、可動接触子6を回動させる。可動接触子6の回動により固定接点4から可動接点5が開離し、過大電流は遮断されトリップ動作が完了する。
しかしながら、短絡電流のような過大電流が流れた場合にもバイメタル51は湾曲し、その湾曲ストロークは、トリップバー22が開閉機構部20のトリップバーストッパーに当接するストローク以上となる。そのため、バイメタルアッパー54が回動することとなる。バイメタルアッパースプリング56のバネ荷重特性以上の荷重がバイメタルアッパー54に加わるので、バイメタルアッパースプリング56が撓み、バイメタルアッパー54が回動する。このようなバイメタルアッパー54の回動により、バイメタル51には、バイメタルアッパースプリング56のバネ荷重特性以上の荷重はかからないこととなる。
以上説明したように、実施の形態1によれば、バイメタルアッパースプリング56の保持部56bと、バイメタルアッパー54に対するバイメタルアッパースプリング56の付勢部56aとの距離は、バイメタルアッパー54の回動前よりバイメタルアッパー54の回動後の方が長くなり、かつバイメタルアッパー54の回転軸53は、バイメタルアッパー54を挟んでバイメタルアッパースプリング56の保持部56bの反対側に設けられている。このため、バイメタルアッパー54が回動しバイメタルアッパースプリング56が撓んでいっても、バイメタルアッパースプリング56の荷重の上昇が緩やかとなり、バイメタル51に加わる応力が小さくなり、バイメタル51の永久変形を防ぐことができる。このように、実施の形態1では、バイメタル永久変形の抑制効果を効率良く得ることができる。また、遮断前後での引き外し時間の変化がない安定した引き外しが可能な回路遮断器を得ることができる。
実施の形態2.
図12は、実施の形態2にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50の要部の構成を示す拡大斜視図である。図13は、実施の形態2にかかる熱動引き外し装置50のスプリングピンの構造を示す概略図である。図14は、実施の形態2にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50のバイメタルアッパー54の荷重特性を実施の形態1のものと比較して示す説明図である。図14では、図11に、実施の形態2の荷重特性Lcが追加されている。
図12は、実施の形態2にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50の要部の構成を示す拡大斜視図である。図13は、実施の形態2にかかる熱動引き外し装置50のスプリングピンの構造を示す概略図である。図14は、実施の形態2にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50のバイメタルアッパー54の荷重特性を実施の形態1のものと比較して示す説明図である。図14では、図11に、実施の形態2の荷重特性Lcが追加されている。
実施の形態2では、実施の形態1における調整用ネジ57を、スプリングピン57aに置換している。その他の構成は、実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。スプリングピン57aは、本体部57a1と、押しバネ57a2と、当接部57a3と、を備える。本体部57a1は、中空部を有し、中空部に押しバネ57a2が設けられている。当接部57a3は、本体部57a1から押しバネ57a2に付勢されて突出し、トリップバー22に当接する。
実施の形態2によれば、バイメタルアッパースプリング56と、押しバネ57a2とが、直列に配置された力学的構造となる。別言すれば、バイメタルアッパー54は、トリップバー22と当接する当接部が移動可能にバネにより付勢されている。このため、図14の荷重特性Lcに示すように、トリップバー22のロック位置P3よりもストロークが大きい領域においては、バイメタルアッパー54のモーメントの増加が実施の形態1の荷重特性Laに比べさらに緩やかとなる。このため、バイメタルアッパー54が回動しバイメタルアッパースプリング56が撓んでいっても、バイメタルアッパースプリング56の荷重の上昇が緩やかとなり、バイメタル51の永久変形を防ぐことができる。
実施の形態3.
図15は、実施の形態3にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50の構成を示す拡大側面図である。図16は、実施の形態3にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50のバイメタルアッパー54の荷重特性を実施の形態1のものと比較して示す説明図である。図16では、図11に、位置P4と実施の形態3の荷重特性Ldが追加されている。位置P4は、バイメタルアッパースプリング56の付勢部56aが屈曲部56cに到達する位置に対応する。
図15は、実施の形態3にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50の構成を示す拡大側面図である。図16は、実施の形態3にかかる回路遮断器100の熱動引き外し装置50のバイメタルアッパー54の荷重特性を実施の形態1のものと比較して示す説明図である。図16では、図11に、位置P4と実施の形態3の荷重特性Ldが追加されている。位置P4は、バイメタルアッパースプリング56の付勢部56aが屈曲部56cに到達する位置に対応する。
実施の形態3では、実施の形態1におけるバイメタルアッパースプリング56の先端側に屈曲部56cを設けている。実施の形態3のバイメタルアッパースプリング56は、バイメタルアッパースプリング56の付勢部56aを構成する部分の中間位置に屈曲部56cが設けられ、屈曲部56cで先端側が回転軸53側に曲げられている。
これにより、バイメタルアッパー54が回動してバイメタルアッパースプリング56が撓んでいき、付勢部56aが屈曲部56cに到達するまでは、実施の形態1と同様の増加率でバイメタルアッパー54のモーメントが増加する。しかし、付勢部56aが屈曲部56cに到達した後は、付勢部56aは屈曲部56cを乗り越えて移動する。このため、付勢部56aは屈曲部56cを乗り越えた後、すなわち位置P4以降は、図16の荷重特性Ldに示すように、バイメタルアッパー54におけるモーメントの増加が実施の形態1の荷重特性Laに比べ緩やかになる。
実施の形態3によれば、バイメタルアッパースプリング56の付勢部56aを構成する部分の途中位置に屈曲部56cを設け、屈曲部56cの先端側を回転軸53側の方に曲げているので、バイメタルアッパー54が回動しバイメタルアッパースプリング56が撓んでいき、付勢部56aが屈曲部56cに到達した後は、バイメタルアッパー54におけるモーメントの増加が緩やかになり、バイメタル51の永久変形を防ぐことができる。
なお、各実施の形態を組み合わせること、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 筐体、2 ベース、3 カバー、4 固定接点、5 可動接点、6 可動接触子、7 電源側端子、8 負荷側端子、9 可動子ホルダー、10 クロスバー、11 消弧室、20 開閉機構部、21 操作ハンドル、22 トリップバー、30,90 引き外し装置、40 電磁引き外し装置、41 固定鉄心、42 可動鉄心、43 復帰スプリング、44 シャフト、50 熱動引き外し装置、51 バイメタル、52 バイメタルアッパーベース、52a 支持部、52b バイメタルアッパーストッパー、53,53c 回転軸、54 バイメタルアッパー、54a 係合部、54b 回転軸支持部、54c ネジ支持部、56 バイメタルアッパースプリング、56a 付勢部、56b 保持部(コイル部)、56c 屈曲部、57 調整用ネジ、57a スプリングピン、57a1 本体部、57a3 当接部、58 通電用接続部材、59 可撓導体、60 リベット、100 回路遮断器。
Claims (3)
- 電路を開閉する開閉接点を駆動する開閉機構部と、前記電路の過電流時に湾曲するバイメタルによりトリップバーを駆動し前記開閉機構部を引き外す熱動引き外し装置と、を備えた回路遮断器において、
前記熱動引き外し装置は、
前記バイメタルの先端に固着されたバイメタルアッパーベースと、
前記バイメタルアッパーベースに回動可能に設けられ、前記トリップバーと間隔を介して対向するバイメタルアッパーと、
前記バイメタルアッパーベースに保持され、前記バイメタルアッパーを前記開閉機構部の引き外し荷重より大きな荷重で前記トリップバーの方向に付勢するバイメタルアッパースプリングと、を備え、
前記バイメタルアッパースプリングの保持部と、前記バイメタルアッパーに対する前記バイメタルアッパースプリングの付勢部との距離は、前記バイメタルアッパーの回動前より前記バイメタルアッパーの回動後の方が長くなり、
前記バイメタルアッパーの回転軸は、前記バイメタルアッパーを挟んで前記バイメタルアッパースプリングの前記保持部の反対側に設けられている
ことを特徴とする回路遮断器。 - 前記バイメタルアッパーは、前記トリップバーと当接する当接部が移動可能にバネにより付勢されている
ことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。 - 前記バイメタルアッパースプリングの前記付勢部は、端部側が前記回転軸の方に曲げられた屈曲部を有し、前記バイメタルアッパーの回動により前記付勢部は前記屈曲部を乗り越えて前記端部側に移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2022159780A JP2024053469A (ja) | 2022-10-03 | 2022-10-03 | 回路遮断器 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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CN (1) | CN117832028A (ja) |
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2022
- 2022-10-03 JP JP2022159780A patent/JP2024053469A/ja active Pending
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2023
- 2023-08-02 CN CN202310963242.XA patent/CN117832028A/zh active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
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CN117832028A (zh) | 2024-04-05 |
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