JP4411421B2 - 微細構造の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細構造の製造方法に関する。また、ナノ流路キャピラリーまたはナノ傾斜流路キャピラリー、およびこれらを用いる物質の分離方法に関する。
タンパク質などの生体分子の分離方法としてこれまで各種の分離手法が試みられている。これら生体分子の分離では、場合により数ナノメートル〜数十ナノメートルという極めて微小な大きさの物質を分離することが必要となるため、微小物質を分離できる構造体、さらにはそのような構造体の製造方法の提供が必要である。
たとえば、リソグラフィーは、半導体集積回路などを作製するための2次元加工技術として半導体を作製する技術として知られている。電子線を用いた描画システムなどのリソグラフィー技術は、数十ナノメートルから数ナノメートルまでパターンを微細化することが可能である(非特許文献1)。しかし、3次元構造物を加工する場合、従来の方法では加工速度や解像度が不足していたため、複雑な3次元構造物を作製することは困難であった。
複雑な3次元構造を作製するため、マイクロ電気機械システム(MEMS)技術も知られている。この技術によりパターン形成のために光やX線が用いられているが、回折限界等により解像度が低くなり、その最小構造寸法は1ミクロン程度であることが知られている。
また、3次元の微細構造を作製する荷電粒子ビームによる材料堆積技術も知られているが、材料を堆積させるために構造物の作製に時間がかかるという問題がある。
このため、微細な物質の分離等のため、微細構造物の有効な製造方法の提供が求められていた。
一方、微細粒子がタンパク質などの生体分子の場合、生体分子の機能を保持したまま活性等を測定あるいは分子を分離する手段が必要である。
たとえば、DNAアレイは研究手法として期待され既に確立された技術になりつつあり、医療診断への応用が期待されている。これに対してタンパク質やペプチドはより直接的で的確な生体内情報をもたらすと考えられているものの、DNAにくらべて構造が複雑なため、官能基を用いる固定化法(化学結合)、ゲルへの包括固定などは活性を失いやすいことが知られている(非特許文献2)。
このためタンパク質やペプチドのアレイ化(チップ化)はこれまで十分な成功を収めていない。このようにペプチドや酵素といった生体分子をその機能を保持したまま固定化させるマトリックス材料の開発が望まれている。
またたとえば、タンパク質の構造変化やタンパク質−タンパク質相互作用などの変化をリアルタイムで測定するために、FRET法を応用した蛍光検出が行われている(非特許文献3、4)。FRETはタンパク質の動態を生きた細胞内でリアルタイムに見ることができるとされているが、ドナーとアクセプターの距離や向きにより検知できないことが問題である。
週間ナノテクウィークリー(産業タイムズ社) 創刊準備2号(6月16日号) Analytical Sciences 2001, 17, pages269-272 Developmental Cell、Volume 4, Issue 3 , pages. 295-305 Cytometry Part A Volume 55A, Issue 2, 2003. pages 71-85
本発明は、数ナノレベルの大きさの微小構造を有する構造物の製造方法を提供することを課題とする。さらに、このような微小構造を有する構造物であって、たとえば生体分子の機能を失活させることなく、該生体分子を測定あるいは分離できる構造物の製造方法を提供することを課題とする。
本件発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、パターニングしたプラズマ重合膜(a)を有する基板表面に、これと異なるプラズマ重合膜(b)を被覆し、エッチング速度の違いによりプラズマ重合膜(a)を除去することにより、高速かつ簡便に、ナノレベルの流路を有する3次元構造物を製造することができることを見出した。また、プラズマ重合膜(a)の形成を特定の方法により実施することによって、ナノレベルの傾斜流路を有する3次元構造物を形成することができることを見出し本件発明を完成するに至った。
すなわち本件発明は、以下を含む。
〔1〕(1)基板上に、プラズマ重合膜(a)をパターニングする工程(工程1)、
(2)前記プラズマ重合膜(a)をパターニングした側の基板表面に、プラズマ重合膜(b)を形成する工程(工程2)、および
(3)工程2の後、プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、前記プラズマ重合膜(b)のエッチング速度よりも大きな値を示すエッチング媒体を用いて、前記基板をエッチング処理し、プラズマ重合膜(a)を除去する工程(工程3)
を含むことを特徴とする微小構造の製造方法。
〔2〕前記工程3のエッチング処理における前記プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、前記プラズマ重合膜(b)のエッチング速度の2倍以上であることを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記工程1が、前記基板表面または基板に積層された最外層の表面にプラズマ重合膜(c)が被覆され、該プラズマ重合膜(c)上にプラズマ重合膜(a)をパターニングする工程であり、
前記工程3のエッチング処理における前記プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、前記プラズマ重合膜(c)のエッチング速度より大きいことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記工程2において、プラズマ重合膜(b)の形成前に、プラズマ重合膜(a)のパターニングの一部がプラズマ重合膜(b)で被覆されないように該パターニングの一部をマスキングして、前記基板表面にプラズマ重合膜(b)を形成させることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕前記工程1において、プラズマが発生している中心部位から基板に向けての最短距離方向に対して、前記基板を垂直に配置して、プラズマ重合膜(a)を形成することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記工程1において、プラズマが発生している中心部位から基板に向けての最短距離方向と該基板表面との間の角度が、前記最短方向に対して0度以上90度未満になるように前記基板を配置して、傾斜を有するプラズマ重合膜(a)を形成することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕前記角度が0度〜60度であることを特徴とする〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記角度が0度であることを特徴とする〔6〕または〔7〕に記載の方法。
〔9〕基板表面上にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)と基板とで囲まれる少なくとも一つの流路を有するキャピラリーであって、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に流路となる空洞が存在し、
(ii)前記基板表面からの流路の平均高さが0.1〜500nmであることを特徴とするナノ流路キャピラリー。
〔10〕基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が被覆され、さらに、該プラズマ重合膜(c)表面にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)とプラズマ重合膜(c)とで囲まれる少なくとも一つの流路を有するキャピラリーであって、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に前記流路となる空洞が存在し、
(ii)前記プラズマ重合膜(c)表面からの流路の平均高さが0.1〜500nmであることを特徴とするナノ流路キャピラリー。
〔11〕基板表面上にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)と基板とで囲まれる少なくとも一つの流路を有するキャピラリーであって、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に流路となる空洞が存在し、
(ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化していることを特徴とするナノ傾斜流路キャピラリー。
〔12〕基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が被覆され、さらに、該プラズマ重合膜(c)表面にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)とプラズマ重合膜(c)とで囲まれる少なくとも一つの流路を有するキャピラリーであって、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に前記流路となる空洞が存在し、
(ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化していることを特徴とするナノ傾斜流路キャピラリー。
〔13〕入口の流路の最小幅が500nm以下であり、出口の流路の最小幅が0.1nm以上であることを特徴とする〔11〕または〔12〕に記載のナノ傾斜流路キャピラリー。
〔14〕前記〔9〕または〔10〕に記載のナノ流路キャピラリーを用いる物質の分離方法。
〔15〕前記〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載のナノ傾斜流路キャピラリーを用いる物質の分離方法。
<微小構造の製造方法>
本発明に係る微小構造の製造方法は、
(1)基板上に、プラズマ重合膜(a)をパターニングする工程(工程1)、
(2)前記プラズマ重合膜(a)をパターニングした側の基板表面に、プラズマ重合膜(a)と異なるプラズマ重合膜(b)を形成する工程(工程2)、および
(3)工程2の後、プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、前記プラズマ重合膜(b)のエッチング速度よりも大きな値を示すエッチング媒体を用いて、前記基板をエッチング処理し、プラズマ重合膜(a)を除去する工程(工程3)
を含むことを特徴としている。
以下詳説する。
(パターニング法)
工程1における基板上へのプラズマ重合膜(a)のパターニング方法に特に限定はないが、たとえば、フォトリソグラフィー法が挙げられる。
「フォトリソグラフィー法」は、フォトレジストの薄膜をコーティングした基板を、マスク(通常「フォトマスク」という。)を通して光で露光し、マスクの形状に応じたパタンを、基板上に形成する方法である。
光としては、通常、紫外光(UV)などを用いる。(フォトリソグラフィー法として、たとえば「Richard C. Jaeger、Introduction to Microelectronic Fabrication Volume V (Second Edition)(出版社:Prentice Hall Upper Saddle River, New Jersey、 ISBN 0-201-44494-1」記載の方法が挙げられる。)。また、光の代わりに、電子線を用いる電子線描画法、X線などによる露光方法も採用できる。
フォトリソグラフィー法を用いてプラズマ重合膜をパターニングする方法としては、たとえば下記の方法が挙げられる。
まずフォトレジストの薄膜を基板表面にコーティングし、マスク(通常「フォトマスク」という。)を通して光等で露光し、基板表面に所望の前記フォトレジストパタンを形成する。ついで、該フォトレジストパタンを有する側の基板表面の、該フォトレジストパタンによって覆われていない部分にプラズマ重合膜(a)を形成する。次に該フォトレジストパタンをリストオフ(除去)することにより、前記フォトマスクに対応した、凸状のプラズマ重合膜(a)をパターニングすることができる。
フォトリソグラフィー法は紫外線等の光を照射することによりフォトマスクのパターンを基板に転写したが、電子線描画は電子線を照射することによりパターンを描く。電子線描画法によればフォトリソグラフィーを用いる手法と比較してより微小なパターンを描くことができる。
(基板)
本発明で用いることのできる基板を構成する素材は特に限定されず、少なくとも、基板表面がプラズマ重合によって変質せず、一定の物理強度を有し、電気泳動等に用いたときに一定の耐熱性を有していればよい。
このような基板としては具体的には、たとえば、ガラスやプラスチックなどが挙げられる。
プラスチックとしては、たとえば、PMMA(Poly methyl methacrylate)や、シリコーン樹脂(PDMS:polydimethylsiloxane)などが挙げられる。
基板の形状は、板状の平面基板が好ましい。基板の厚さは限定されないが、たとえば、好ましくは0.1〜20mm程度の範囲である。
(プラズマ重合膜(a))
工程1で基板上にパターニングするプラズマ重合膜(a)は、基板の存在下、モノマーをプラズマ重合して形成する。
具体的には、真空中でモノマー物質をプラズマ励起によって直接支持体表面に成膜を行う。モノマー物質の成分を換えることによって、さまざまな特徴を持つプラズマ重合膜を得ることができる。プラズマ重合では原理的にはどのようなモノマーを用いても、重合が可能である。通常のポリマーを得るためには二重結合の開裂が必要となるのに対して、プラズマ中ではモノマー物質がばらばらになり多くの活性種を介した重合反応が起きるためである。
本発明におけるプラズマ重合膜(a)のためのモノマー物質は、基板表面へのパタン形成が可能で、何らかのエッチングガスによりエッチングが可能であればよく、限定されない。
プラズマ重合膜(a)を与えうるモノマー物質としては、たとえば、下記の化合物が挙げられる。これらのモノマー物質は、1種単独で、または複数を混合して用いることができる。
アルカン、またはシクロアルカンとして、次の化合物を示すことができる。
メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、2,2,3−トリメチルブタン、オクタン、ノナン、デカン、メタン−d1、メタン−d2、メタン−d3、メタン−d4、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、cis−デカリン、およびtrans−デカリン。
アルケン、アルキン、あるいはシクロアルケンとしては、次の化合物を示すことができる。
エチレン、プロピレン、1−ブテン、(Z)−2−ブテン、(E)−2−ブテン、2−メチルプロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、(E)−2−ヘキセン、(E)−3−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、(E)−2−オクテン、1−デセン、1,3−ブタジエン、(Z)−1,3−ペンタジエン、(E)−1,3−ペンタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ヘキサジエン、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、3−メチル−1−ブチン、ビニルアセチレン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘプタジエン、およびシクロオクタテトラエン。
アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、あるいはエステルとしては次の化合物を示すことができる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、アリルアルコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−エポキシ−1−プロパノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アクリルアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、2,3−ブタンジオン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、アクリル酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸s−ブチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、酢酸ビニル、および酢酸アリル。
エーテル、アミン、あるいはその他のモノマー物質として利用可能な化合物を以下に示す。
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、メチルビニルエーテル、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、へキシルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリプロピルアミン、ジブチルアミン、アリルアミン、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタンチオール、エタンチオール、硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジプロピル、二硫化ジメチル、二硫化ジエチル、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、1−ニトロブタン、2−ニトロブタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、ヘキサメチルジシロキサンなどが挙げられる。
また、次のようなハロゲン化物をモノマー物質に利用することができる。
フルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロホルム、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)、フッ化ビニル、1,1−ジフルオロエチレン、(Z)−1,2−ジフルオロエチレン、(E)−1,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1,1,4,4−テトラフルオロブタジエン、ペルフルオロブタジエン、2−フルオロエタノール、トリフルオロ酢酸、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノン、ペルフルオロアセトン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン(四塩化炭素)、クロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、クロロシクロプロパン、1,1−ジクロロシクロプロパン、塩化ビニル、1,1−ジクロロエチレン、(Z)−1,2−ジクロロエチレン、(E)−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、3−クロロプロペン、1,3−ジクロロプロペン、クロロアセチレン、ジクロロアセチレン、1−クロロプロピン、2−クロロエタノール、クロロアセトアルデヒド、クロロアセトニトリル、ジクロロアセトニトリル、トリクロロアセトニトリル、ブロモメタン、ジブロモメタン、ブロモホルム、テトラブロモメタン(四臭化炭素)、ブロモエタン、1,1−ジブロモエタン、1,2−ジブロモエタン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1,4−ジブロモブタン、1−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−ブロモビシクロ[2.2.2]オクタン、臭化ビニル、3−ブロモプロペン、1,3−ジブロモプロペン、ブロモアセチレン、ジブロモアセチレン、1−ブロモプロピン、2−ブロモエタノール、ヨードメタン、ジヨードメタン、ヨードホルム、テトラヨードメタン(四ヨウ化炭素)、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、2−ヨード−2−メチルプロパン、1−ヨードペンタン、3−ヨードプロペン、ヨードアセチレン、ジヨードアセチレン、2−ヨードエタノール、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチレン、1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン、1−ブロモ−2−クロロアセチレン、1−クロロ−2−ヨードアセチレン、および1−ブロモ−2−ヨードアセチレン。
更に、以下のような芳香族炭化水素がモノマー物質として利用できる。
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、スチレン、フェニルアセチレン、(E)−1−プロペニルベンゼン、(E)−1−フェニルブタジエン、2−フェニルブタジエン、ビフェニル、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ナフタセン、クリセン、およびペンタセン。
加えて、次のベンゼン誘導体等も本発明のモノマー物質に有用である。
フェノール、ベンズアンデヒド、アセトフェノン、アニソール、ベンジルメチルエーテル、アニリン、ペンジルアミン、チオフェノール、ベンゾニトリル、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、トリフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、o−フルオロトルエン、m−フルオロトルエン、p−フルオロトルエン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、o−ヨードトルエン、m−ヨードトルエン、p−ヨードトルエン、p−クロロフルオロベンゼン、およびo−クロロヨードベンゼン。
また、次のような複素環式化合物がモノマー物質として利用できる。
ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、ピリジンN−オキシド、2−メチルピリジンN−オキシド、3−メチルピリジンN−オキシド、4−メチルピリジンN−オキシド、2,6−ジメチルピリジンN−オキシド、フラン、メチルフラン、テトラヒドロフラン、ピロール、ピロリジン、チオフェン、および2−クロロチオフェン。
その他、トロポンやトロポロンのようなトロポノイド化合物、またテトラメチルシラン、テトラメチルスズ、テトラメチル鉛に代表される有機金属化合物をモノマー物質に用いることもできる。
これらのうち、プラズマ重合膜(a)を誘導するモノマーとしては、前記工程3における前記プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、前記プラズマ重合膜(b)のエッチング速度より大きくなるものを選択する。また、プラズマ重合膜(c)を基板表面または基板に積層された最外層の表面にコーティングする場合は、前記工程3における前記プラズマ重合膜(a)のエッチングレートが前記プラズマ重合膜(c)のエッチングレートより大きくなるものを選択する。
(プラズマ重合膜の形成方法)
前記モノマー物質によってプラズマ重合膜を成膜する方法は公知である。具体的には、プラズマ重合反応の再現性に影響を与える主な要因として、たとえば流速、放電電力、放電時間、そして圧力といった条件が重要であるとされている。プラズマ重合においては、装置やモノマーに合わせて最適な重合条件を設定する必要がある。W/FM(ここでWは放電電力、Fは流速、Mはモノマーの分子量)が同じであれば、膜質はほぼ同じであるとする報告(Yasuda, Plasma Polymerization, Academic Press, New York,1985)がある。
利用するモノマー物質や、最終的に必要なプラズマ重合膜の膜厚等を考慮して、これらの条件を適宜調整することができる。また文献的にも各種のパラメーターがプラズマ重合膜の性質に及ぼす影響は明らかにされている(Surface and Coatings Technology 82:1-15,1996, Polymer Engineering and Science 37/7:1188-1194,1997)。
たとえば、ヘキサメチルジシロキサンでプラズマ重合膜を作製または製膜するには、たとえば次のような範囲のもとで最適な条件を選択することにより、0〜500nmのプラズマ重合膜を形成することができる。
流速:好ましくは0.1〜100cm3/min.、さらに好ましくは0.1〜50cm3/min.
放電電力:好ましくは15〜500W、さらに好ましくは100〜200W
圧力:好ましくは1.0×10-7Torr〜1.0×10-3 Torr、さらに好ましくは1.0×10-6Torr〜5.0×10-4 Torr
放電時間:好ましくは0.1〜120分、さらに好ましくは0.5〜60分
温度:好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは4〜37℃
このようにして得られるプラズマ重合膜は、極めて均質な膜であり、ピンホールの発生が著しく抑制されている。
またプラズマ重合によれば、プラズマ重合膜を任意の形状の基板表面に形成させることができる。
本発明では、プラズマ重合膜(a)の形成において、基板表面へプラズマを照射する角度を変化させることにより、平面層あるいは傾斜層を有するプラズマ重合膜(a)を形成させることができる。
すなわち、前記工程1において、プラズマが発生している中心部位から基板に向けての最短距離方向と該基板表面との間の角度が、前記最短方向に対して0度以上90度以下になるように前記基板を配置して、プラズマ重合膜(a)を形成することができる。
本発明では、プラズマ重合膜(a)は工程3においてエッチング除去され、キャピラリーの流路となるため、一定の高さまたは傾斜を有する流路を形成することができる。
以下(1)基板が90度に配置されている場合、(2)前記角度が0度に配置されている場合について、プラズマ重合方法をそれぞれ説明する。
(1)平面状のプラズマ重合膜(a)の形成方法
たとえば、前記工程1における凸状のプラズマ重合膜(a)の形成において、プラズマが発生している中心部位から基板に向けての最短距離方向に対して、前記基板を垂直に配置(前記角度が90度に配置)すると、平面層からなるプラズマ重合膜(a)の層を形成することができる。
このようなプラズマ重合膜は、極めて均一である。
このようなプラズマ重合膜(a)の膜厚は、適宜調整でき、たとえば、好ましくは0.1nm〜500nm、さらに好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは1nm〜50nmの範囲に調整することができる。
このようなプラズマ重合膜(a)は、工程3においてエッチング除去され、流路を形成するので、プラズマ重合膜(a)の膜厚に依存したナノオーダーの超微細な流路であって、均一な高さを有する流路が少なくとも1以上存在するキャピラリーを任意に形成することができる。
(2)傾斜状のプラズマ重合膜(a)の形成方法
前記工程1において、プラズマが発生している中心部位から基板に向けての最短距離方向と該基板表面との間の角度が、前記最短方向に対して0度以上90度未満になるように前記基板を配置して、プラズマを照射すると、傾斜を有するプラズマ重合膜(a)を形成することができる。
このような傾斜は、たとえば、前記角度が好ましくは0度〜60度、さらに好ましくは0度〜30度、より好ましくは0度である。基板を最短方向に対して平行(角度が0度)に近いほど、効率的に傾斜を形成することができる。
すなわち、この様な方法を採ると、プラズマ重合装置に近い位置では、膜厚の厚いプラズマ重合層が形成され、プラズマ重合装置からの距離が離れるに従い形成されるプラズマ重合膜の膜厚が連続的に減少する。結果として、プラズマ重合膜(a)は、プラズマ重合装置に最も近い基板端部から傾斜的かつ連続的に膜厚が減少するように形成される。
このような傾斜的で連続的なプラズマ重合膜(a)は、極めて均質であり、また、プラズマ重合装置との距離、基板の大きさ、プラズマ重合条件を適宜設定することにより、任意の膜厚、任意の傾斜角を有するプラズマ重合膜(a)を、ナノオーダーレベルで適宜調整できる。
プラズマ重合膜(a)の膜厚は、適宜調整でき、たとえば、膜厚の最も大きい端部は、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、膜厚の最も薄い端部は、好ましくは0.1nm以上、さらに好ましくは1nm以上であるように調整できる。
このような膜厚に調整することにより、流路の幅が連続的に変化したナノ傾斜流路キャピラリーを製造することができる。
すなわち、形成された該プラズマ重合膜(a)を工程3においてエッチング除去することにより、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に流路となる空洞が存在し、
(ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化しているキャピラリーを任意に製造することができる。
以下、プラズマ重合膜(b)、(c)は、前記プラズマ重合膜(a)とは、用いるモノマー物質の種類が異なるが、上記(1)平面状のプラズマ重合膜の製造方法と同様の方法により形成させることができる。
(プラズマ重合膜(b))
プラズマ重合膜(b)は、前記基板の前記パターニングした側の表面に形成する膜であり、プラズマ重合膜(a)と異なるプラズマ重合膜である。
このようなプラズマ重合膜(b)は、前記パターニングした側の表面に均一な膜厚で形成させることが好ましい。
この場合、工程3において、プラズマ重合膜(a)をエッチングして選択的に除去するため、プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、プラズマ重合膜(b)のエッチング速度よりも大きくなるように設計する。エッチング速度は、プラズマ重合膜の種類と、エッチングガスとの組み合わせにより決定される。
工程3において行うエッチング処理では、プラズマ重合膜(a)のエッチング速度(nm/分)は、プラズマ重合膜(b)のエッチング速度(nm/分)に対して、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは10倍以上、より好ましくは100倍以上、特に好ましくは1000倍以上である。
プラズマ重合膜(b)は、パターニング全体、または、パターニングの一部にコーティングすることができる。
このうち、パターニングの一部にコーティングすることが好ましい。
すなわち、プラズマ重合膜(a)のパターニングの一部に、プラズマ重合膜(b)をコーティングする場合、プラズマ重合膜(b)の形成前に、プラズマ重合膜(a)のパターニングの一部がプラズマ重合膜(b)で被覆されないように該パターニングの一部をマスキングして、前記基板表面にプラズマ重合膜(b)を形成させることが好ましい。
マスクで被覆するパターニングの場所としては、好ましくは、プラズマ重合膜(a)のパターニング端末が存在する基板端部側である。
マスキングの種類は限定されず、プラズマ重合形成条件下において安定に被覆できるものであればよい。マスキングの大きさは、プラズマ重合膜(a)のパターニング末端の一部が少しでも露出すればよく、特に限定されないが、たとえば、プラズマ重合膜(a)のパターニング末端の長さが、1μm〜1mm程度の範囲で被覆されることが好ましい。
このようにマスキングしておくと、プラズマ重合膜(a)の一部がプラズマ重合膜(b)で被覆されずに露出されるため、工程3におけるプラズマ重合膜(a)のエッチング除去を、効率よく実施することができる。
プラズマ重合膜(b)の膜厚は特に限定されないが、プラズマ重合膜(b)により形成される層中に、プラズマ重合膜(a)をエッチング除去して得られる流路となる空洞が存在できる膜厚であることが必要である。したがって、プラズマ重合膜(a)の膜厚に依存するが、たとえば、10〜300nmの範囲に設定することができる。
(プラズマ重合膜(c))
本発明では、前記基板表面または基板に積層された最外層の表面には、プラズマ重合膜(a)をパターニングする側の表面に予め、プラズマ重合膜(a)と異なるプラズマ重合膜(c)がコーティングされていてもよい。
基板に積層された層は、特に限定されず、単に基板表面には複数の他の化合物が被覆されていてもよく、基板に積層された最外層は、その層の最外層を意味する。
この場合、工程3において、プラズマ重合膜(a)をエッチングして選択的に除去するため、プラズマ重合膜(a)のエッチング速度が、プラズマ重合膜(c)のエッチング速度よりも大きくなるように設計する。エッチング速度は、プラズマ重合膜の種類と、エッチングガスとの組み合わせにより決定される。
工程3において行うエッチング処理では、プラズマ重合膜(a)のエッチング速度(nm/分)は、プラズマ重合膜(c)のエッチング速度(nm/分)に対して、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは10倍以上、より好ましくは100倍以上、特に好ましくは1000倍以上である。
このようなプラズマ重合膜(c)の膜厚は特に限定されないが、たとえば、10〜200nmの範囲に設定することができる。
基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が存在すると、基板表面または基板に積層された最外層の表面を均一にすることができる。このため、流路がプラズマ重合膜(b)と該プラズマ重合膜(c)とで囲まれるため、本発明の微小構造の製造方法により得られるキャピラリーを用いる場合に、物質の計測精度、分離精度を向上させることができる。特に、本発明では、ナノメートルオーダーの流路、穴を形成するため、プラズマ重合膜(c)を予めコーティングすることが好ましい。基板として用いる材料は、通常表面を研磨して使用するが、たとえば、シリコン基板は表面を研磨したものを使用するが、研磨しても平坦にすることは不可能で、通常入手可能なシリコン基板は、基板の厚さに対して±10%程度の凹凸があることが知られている。
このようなプラズマ重合膜(c)は、均一な膜厚を有していることが好ましい。
(エッチング)
工程3で実施するエッチングの方法は、特に限定されないが、たとえば、エッチング媒体による方法が挙げられる。
エッチング媒体としては、たとえば酸素、窒素、水素、フッ素などが挙げられる。エッチング媒体は、1種単独でまたは複数を混合して用いることができる。
また、エッチング媒体は、N2、O2、CO、CO2、Ar、F2、He、Neなどの希釈ガスを含有していてもよい。さらに、プラズマ重合膜(b)やプラズマ重合膜(c)などのモノマーガスを含有している混合ガスであってもかまわない。
前記プラズマ重合膜(a)は、エッチング速度が、前記プラズマ重合膜(b)、(c)のエッチング速度より大きいことが必要である。
このようなエッチング速度は、通常、活性イオンエッチング(RIE)装置内に設置し、酸素プラズマを発生させる前後の膜厚の差により決定することができる。エッチングレートは消失した薄膜を時間で割った値である。
エッチング媒体に対するプラズマ重合膜(a)、(b)、あるいは(c)のエッチング速度をそれぞれ測定、比較し、エッチング媒体と、プラズマ重合膜(a)を形成するモノマーと、プラズマ重合膜(b)、(c)を形成するモノマーとの好ましい組み合わせを適宜に決定することができる。
たとえば、エッチング媒体がO2の場合、プラズマ重合膜(a)を形成するモノマーと、プラズマ重合膜(b)、(c)を形成するモノマーとの好ましい組み合わせは、たとえば以下のものが挙げられる。
プラズマ重合膜(a):アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、またはこれらの混合物
プラズマ重合膜(b)、(c):HMDSなど
なお、前記プラズマ重合膜(b)、(c)は、互いに独立であり、同一であっても、異なっていてもよい。
プラズマ重合膜(b)、(c)は、プラズマ重合膜(a)をエッチング除去または改質するガスを透過する膜(プラズマ重合膜の気体透過性を利用する)を選択することもできる。
たとえば、HMDSはO2を透過させることができる。
エッチング媒体を用いる場合のエッチングは、たとえば、RIE装置中で、エッチング媒体のプラズマを発生させ、該プラズマにより、工程2で製造した基板中のプラズマ重合膜をエッチングする。プラズマ重合膜(a)は、プラズマ重合膜(b)、さらには(c)と比較してエッチングレートが大きいので、該エッチングレートの差を利用して、プラズマ重合膜(a)をより速く除去することができる。
用いるエッチング媒体、プラズマ重合膜の種類にもよるが、たとえば、下記の条件でエッチングを実施できる。
エッチングガスの流速:好ましくは5〜100cm3/min.
放電電力:100〜500W
圧力:10−6〜10 Torr
放電時間10分〜60分
温度:10〜100℃
<ナノ流路キャピラリー、ナノ傾斜流路キャピラリー>
本発明に係るナノ流路キャピラリーは、基板表面上にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)と基板とで囲まれる少なくとも1つの流路を有するキャピラリーであって、(i)該プラズマ重合膜(b)層中に流路となる空洞が存在し、
(ii)前記基板表面からの流路の平均高さ(基板からプラズマ重合膜(b)の内壁面までの距離)が0.1〜500nmであり、好ましくは1nm〜100nm、さらに好ましくは1nm〜50nmである。
前記ナノ流路キャピラリーは、前記基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が被覆されていることが好ましい。
この場合、キャピラリーは、さらに基板表面または基板に積層された最外層の表面上にコーティングしたプラズマ重合膜(c)表面にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)とプラズマ重合膜(c)とで囲まれる少なくとも1つの流路を有していてもよい。
前記流路の平均高さは、プラズマ重合膜(c)の表面からのプラズマ重合膜(b)の内壁面までの高さである。
本発明に係るナノ傾斜流路キャピラリーは、基板表面上にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)と基板とで囲まれる少なくとも1つの流路を有するキャピラリーであって、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に流路となる空洞が存在し、
(ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化している。
平均高さは、基板からプラズマ重合膜(b)の内壁面までの距離である。
前記ナノ傾斜流路キャピラリーは、前記基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が被覆されていることが好ましい。
すなわち、この場合、前記基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が被覆され、さらに、該プラズマ重合膜(c)表面にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)とプラズマ重合膜(c)とで囲まれる少なくとも1つの流路を有するキャピラリーであって、
(i)該プラズマ重合膜(b)層中に前記流路となる空洞が存在し、
(ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化している。
平均高さは、プラズマ重合膜(c)からプラズマ重合膜(b)の内壁面までの距離である。
このような入口の流路の最小幅は、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、出口の流路の最小幅は、好ましくは0.1nm以上、さらに好ましくは1nm以上である。
上記流路の入口幅の好ましい値と、出口幅の好ましい値とは、任意に組み合わせることができるが、たとえば、好ましくは入口の流路の最小幅が500nm以下、出口の流路の最小幅が0.1nm以上、さらに好ましくは入口の流路の最小幅が100nm以下、出口の流路の最小幅が0.1nm以上、より好ましくは入口の流路の最小幅が50nm以下、出口の流路の最小幅が0.1nm以上である。
<ナノ流路キャピラリー、ナノ傾斜流路キャピラリーの用途>
本件発明を用いることにより、ナノレベルの流路を有するキャピラリーを迅速かつ簡便に製造することができる。
このような本発明に係る流路キャピラリーを用いることにより、タンパク質などの微小物質の分離を行うことができる。
また本発明に係る微小構造の製造方法によれば、ナノレベルでの微小な3次元構造物を製造することができることから、固体高分子型燃料電池(PEFC:polymer Electrolyte Fuel Cells)などの製造法への応用も考えられる。さらに、バイオ分子のナノマシンやナノセンサーなどナノバイオテクノロジー分野に活用できる。
本発明に係るナノ傾斜流路キャピラリーは、傾斜を有するナノレベルの流路を有しているため、物質の大きさに依存した分離が可能である。このため、たとえば、タンパク質の立体構造変化、タンパク質−タンパク質相互作用を解析する方法として用いることができる。図5に示すように、本発明に係るナノ流路キャピラリーを用いると、傾斜を有する流路中に大きさの異なるタンパク質あるいは立体構造の異なるタンパク質を導入し、タンパク質の大きさ(立体構造)に依存したタンパク質の分離が可能となる。
また、このようなナノ傾斜流路キャピラリーによれば、酵素やタンパク質の本来の機能を損なうことなく、極少量づつ目的とする位置に該酵素やタンパク質を固定化することができる。
したがって、タンパク質を固定化するマトリクスとして利用することができる。
たとえば、タンパク質やペプチドを、所望の位置に固定してアレイ化したチップはポストゲノム時代の重要課題であるタンパク質機能解析(プロテオームの基盤技術:タンパク質機能解析や生体内ネットワークの解析、疾病診断などの研究)としてこの領域の研究に大きく寄与する。
また、バイオリアクターで用いる酵素を繰り返し活用することがあるが、本発明のナノ傾斜流路キャピラリーによれば、酵素を固定化するマトリックスとして適用することもできる。バイオリアクターは、酵素が持つ特異性を応用した分解や反応に関与する反応器であるが、酵素は生物から単離あるいは遺伝子組換えをして精製するため、少量でも非常に高価であり、高価な酵素を繰り返し使う要求は高い。
ナノ傾斜流路キャピラリー中のどの位置に物質が移動したか判断することでスイッチングデバイスとしての利用が可能である。たとえば、タンパク質はリン酸化などの影響を受けると立体構造を変えることが知られている。
ナノ傾斜流路キャピラリーは、ノズル(噴射孔)として利用することができる。たとえば、プリンターヘッドやDNAスポッターなどのノズルなどが挙げられる。
またナノ傾斜流路キャピラリーは、微生物、植物、ホ乳類などの培養細胞、バクテリオファージ、各種ウィルスなどを保持・固定化・分離する目的として利用することができる。また、フィルター素子としての機能を持たせることができる。
<微小構造の製造方法例>
以下に、図面を参照して本発明に係る微小構造の製造方法の一例を説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
図1の(a)〜(j)は、本発明に係る微小構造の製造方法の一例を説明する工程における、基板の断面図((h)、(j)は平面図)を示したものである。
同図において、まず、図1(a)、(b)に示すように、基板1の表面にフォトレジスト2(図1ではポジ型フォトレジストを例示)を塗布する。このフォトレジスト塗布基板をプリベークした後、フォトマスク3を介して紫外線4を密着照射し、露光する(図1(c)、(d))。露光した基板をレジスト現像液を用いて現像し、マスクパタンをレジストに転写したレジストパタン5を形成する(図1(e))。
次に、図3にも示すように、この基板をプラズマの照射方向に垂直になるように、プラズマ重合装置中に配置し、プラズマ重合膜(a)6を形成する(図1(f))。さらに、フォトレジスト5をアセトン等の溶媒中で剥離し、プラズマ重合膜(a)7により、フォトマスク3に対応するパタンが形成された基板を得る(図1(g))。
この基板の端部にマスキングテープ8あるいはマスク8を貼り付ける(図1(h))。ついで、この基板をプラズマの照射方向に垂直になるように、プラズマ重合装置中に配置し、プラズマ重合膜(b)9を形成する(図1(i))。プラズマ重合膜(b)9は、プラズマ重合膜(a)7のパタンを被覆するようにコーティングするが、前記マスク8が存在している領域にはコーティングされない(図1(j))。
さらに、プラズマ重合膜(a)7を酸素プラズマ等でエッチングして除去し、プラズマ重合膜(b)と基板とで規定された微小な流路10を形成することができる(図1(k))。
図2の(a)〜(j)は、本発明に係る微小構造の製造方法の一例を説明する工程における、基板の断面図((f)、(g)、(k)は平面図)を示したものである。
図2(a)〜(e)は図1(a)〜(e)と同様にして実施し、フォトレジスト5がパターニングされた基板を得る(図2(e))。
次に、図4−1にも示すように、この基板をプラズマの照射方向と平行になるように、プラズマ重合装置中に配置し、プラズマ重合膜(a)11を形成する(図2(f))。基板を照射方向と平行になるように照射することにより、傾斜のあるプラズマ重合膜を形成することができる(図4−2)。プラズマ重合膜(a)は、プラズマに近い位置で膜厚が厚く、プラズマから遠ざかるに従って、連続的に膜厚が薄くなる(図2(f))。
さらに、フォトレジスト5をアセトン等の溶媒中で剥離し、傾斜を有するプラズマ重合膜(a)12により、フォトマスク3に対応するパタンが形成された基板を得る(図2(g))。
さらに、図2(h)〜(j)を図1(h)〜(j)と同様にして実施して、プラズマ重合膜(b)をコーティングし、さらにプラズマ重合膜(a)12を酸素プラズマ等でエッチングして除去し、プラズマ重合膜(b)13と基板1とで規定された、傾斜を有する微小な流路14を形成することができる(図2(k))。
以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
プラズマ重合装置
プラズマ重合膜の重合方式として、RF電源、外部電極方式によるAfter glow方式を使用した。種々のユニットを追加して、流量、圧力、およびパワーマッチングを自動で制御可能な装置を作製した。装置の構成を図6に示す。
(1)反応器(チャンバー):石英またはパイレックス(登録商標)製の円筒形チャンバー
(2)試料ステージ:チャンバー下部温度調整器付き
(3)試料ステージは上下可動機能付き
(4)排気系:ファイファー社製ターボ分子ポンプ+エドワーズ社製ロータリーポンプ
(5)RF電源:周波数:13.56MHz、出力:300W(可変式)
(6)マッチング:オートマッチング方式(Creative Design社製:神奈川県川崎市)
(7)圧力コントロール:MKS社製バラトロン真空計からの圧力をVAT社製オートマチックプレッシャーコントロール(APC)バルブユニットで自動制御
(8)ガス導入系:試料モノマー、アルゴン、酸素ラインをSTEC社製電磁弁とマスフローコントローラー(MFC)ユニットで自動制御
エッチング装置
SAMCO社製、RIE(Reactive Ion Etching)装置
〔試験例1〕
エッチングレートの測定
図6に示す装置を用いて、流速:0.5cm3/min、RF:200Wの条件下で5分間、シリコン基板上にHMDSをモノマーとして用いてプラズマ重合膜を製膜した。エリプソメーター(ULVAC社製、Laser Ellipsometer、ESM-1AT)を用いて膜厚を測定した結果、膜厚は81.7nmであった。
アセトニトリルは、流速:20cm3/min、RF:200Wの条件下で3分間プラズマ重合膜をシリコン基板上に製膜した。上記と同様、エリプソメーターを用いて膜厚を測定したところ膜厚は153.5nmであった。
エタノールは、チャンバー内圧力が1.0×10-2Torrになるように流速を調整した後、RF:200Wの条件下でプラズマ重合膜をシリコン基板上に製膜した。エリプソメーターを用いて膜厚を測定したところ膜厚は22.0nmであった。
イソプロパノールは、チャンバー内圧力が1.2×10-2Torrになるように流速を調整した後、RF:200Wの条件下で5分間プラズマ重合膜をシリコン基板上に製膜した。エリプソメーターを用いて膜厚を測定したところ膜厚は11.1nmであった。
プラズマ重合膜を製膜した後、RIE装置中で酸素プラズマを発生させ、酸素プラズマで30分間エッチングを行った。RIEの条件は、40Pa、酸素ガスフローレート50sccm、RF250Wであった。
酸素エッチング前後のプラズマ重合膜の膜厚はエリプソメーター(ULVAC社製、Laser Ellipsometer、ESM-1AT)により測定した。以下同じ方法で膜厚を測定した。
エッチングレートは、RIE装置内に設置し、酸素プラズマを発生させる前後の膜厚の差により決定した。エッチングレートは消失した薄膜を時間で割った値である。
RIE装置を用いて酸素プラズマを発生させる条件は、チャンバー内圧力:40Pa、流速O2:50cm3/min、RF:250Wであった。
結果を表1に示す。
これらの結果から、HMDSのエッチングレートは0.49nm/minであることがわかった。アセトニトリル、エタノール、イソプロパノールをモノマーとしたプラズマ重合膜のエッチングレートはこの実験からは、最小値を得た。
アセトニトリル膜のエッチングレートを測定するために、流速:15cm3/min、RF:200W、3分間の条件で、136nmの薄膜をシリコン基板上に形成した。続けて上記条件で酸素プラズマを10分間発生させ、74nmの膜厚を得た。この結果、アセトニトリルのエッチングレートは6.2nm/minであった。
なお、フォトレジストをリフトオフする際アセトン中に基板を浸漬するが、アセトンにより膜のエッチングに与える影響は認められなかった。
一例を挙げると、アセトンに入れる前のアセトニトリルプラズマ重合膜は129.1nm、135.4nmだったが、アセトンに71分間浸漬した後それぞれの膜厚を測定したところ、132.3nm、135.7nmであった。これらの結果からアセトンにアセトニトリルプラズマ重合膜を浸漬しても変化がないことが確認された。また、アセトンに浸漬したアセトニトリルプラズマ重合膜のエッチングレートは約6.2nm/minであることを確認した。
〔実施例1〕
微小キャピラリーの製造
まず、スライドガラス基板(厚さ1.1mm×縦76mm×横25mm)1をプラズマ重合装置の試料ステージ上に、ステージと平行になるように配置した。ついで基板の表面に、RF:201W、流速:0.5mm3/min、時間:5minの条件下、HMDSをモノマーとして、HMDSをモノマーとしてプラズマ重合膜(c)を製膜した。プラズマ重合膜(c)の厚さは63.6nmであった。
次に、このプラズマ重合膜がコーティングされた基板表面に、スピンコーターを用いて、フォトレジスト(S-1818(SHIPLEY社製))をコートした。
このフォトレジスト塗布基板を、乾燥器内で80℃、30分の条件でプレべークした。ついで、図8に示すフォトマスクを用いて150秒間、基板に紫外線光を密着露光した。露光した基板は、レジスト現像液MF-319(SHIPLEY社製)中で約60秒間現像を行い、水洗、乾燥後、フォトマスクのパタンに対応するフォトレジストを形成した。
次に、この基板を、プラズマ重合装置の試料ステージ上に、フォトレジストパタンのある面にプラズマ重合膜が形成されるようにステージと平行に配置した。前記基板表面に、RF:200W、流速:20mm3/min、時間:5minの条件下、アセトニトリルをモノマーとしてプラズマ重合膜(a)を製膜した。プラズマ重合膜(a)の厚さは約118nmであった。次に、室温でアセトン中に約30分間浸漬し、表面を工業用綿棒(TX705、アズワン社)でフォトレジストを剥離した。これにより、アセトニトリルのプラズマ重合膜(a)により、フォトマスクに対応するパタンが形成された基板を得た。
この基板の端部に、幅12.7mmにカプトンテープ(難燃性テープ:Permacel社)を用いてマスキングテープを貼り付けた。ついで、この基板をプラズマの照射方向に垂直になるように、プラズマ重合装置中に配置し、(230mm/5rpm、MassFlow:0.5sccm、RF:200W、3分、1.7×10-5Torr)の条件下、HMDSをモノマーとしてプラズマ重合膜(b)を形成した。プラズマ重合膜(b)の厚さは54nmであった。プラズマ重合膜(b)は、プラズマ重合膜(a)のパタンを被覆するようにコーティングされていたが、前記マスキングテープが存在している領域にはコーティングされなかった。
次に、(MassFlow:100sccm、RF:300W、30分、40Pa)の条件下、アセトニトリルのプラズマ重合膜(a)を酸素プラズマ等でエッチングして除去し、プラズマ重合膜(b)とプラズマ重合膜(c)とで規定された微小流路を形成した。
ナノ流路の蛍光測定
上記方法で製造したナノ流路キャピラリーを、2mMの蛍光物質(FITC)を含む溶液に、キャピラリーの流路が存在する片方のサイドを、室温(25℃)で30分間浸漬した。
浸漬後、基板を取り出し、基板表面を蒸留水で洗い流した。
得られた基板に蛍光を照射し、蛍光物質の存在の有無を確認した。
蛍光測定は、共焦点レーザースキャナー(Perkinelmer社Scan Array)を用いて行った。結果を図7に示す。図7−1は基板表面のパターンを示した(Gain95%)の場合の写真であり、図7−2は基板表面の蛍光物質の存在位置(Gain50%)の場合を示す。
その結果、アセトニトリルプラズマ重合膜が製膜された位置にのみ蛍光が観測された。表面を蒸留水で洗ったにもかかわらず蛍光が存在していることから、HMDSのプラズマ重合膜が形成されていることが確認できる。すなわち、上部にHMDSプラズマ重合膜が存在しない場合、蛍光物質も洗い流される。さらに、アセトニトリルのプラズマ重合膜が形成された位置以外には、蛍光が観測されないことから、HMDSのプラズマ重合膜(b)は基板に密着していることが確認できる。
したがって、アセトニトリルプラズマ重合膜(a)は、酸素プラズマによってエッチングされ、HMDSプラズマ重合膜(b)の穴(キャピラリー)ができている。
〔実施例2〕
傾斜薄膜の製造
プラズマ重合装置の試料ステージ上に、ステージと平行になるようにガラス基板(厚さ1.1mm×縦76mm×横25mm)を配置した。プラズマ発生装置からの距離を変化させて、プラズマ重合膜の膜厚を測定した。
モノマーとしてHMDS(ヘキサメチルジシロキサン)またはアセトニトリルを用いた。
基板はシリコーンを用いた。HMDSをモノマーとしてプラズマ重合膜を製膜する条件は、RF:200W、流速:0.5mm3/min、時間:3minで行った。また、アセトニトリルをモノマーとした時の製膜条件は、RF:200W、流速:5.0mm3/min、時間:3minであった。膜厚測定は、エリプソメーターで行い、図9−1、図10−1に示すように、それぞれの試料ステージの位置(高さ)における膜厚を求めた。
結果を図9−2(HMDS)、図10−2(アセトニトリル)に示す。
この結果から、プラズマが発生している領域に近くなるほど膜厚が厚く、遠くなれば膜厚は薄くなることが確認された。したがって、モノマーガスの種類にかかわらず、一回の工程で連続的に膜厚を変化させることができることが確認された。従って、この用法を適用して、傾斜を有するナノ流路キャピラリーを製造することができる。
本発明に係る微小構造の製造方法によれば、高速かつ簡便に、ナノレベルの微小流路を有する3次元構造物を製造することができる。また、プラズマ重合膜の形成を特定の方法により実施することによって、傾斜のあるナノレベルの微小流路を有する3次元構造物を製造することができる。
このような、ナノ流路キャピラリー、ナノ傾斜流路キャピラリーは、タンパク質等の生体分子の分離、固定化に適用することができる。
図1は、本発明に係る微小構造の製造方法の一例を示す図である。 図2は、本発明に係る傾斜流路を有する微小構造の製造方法の一例を示す図である。 図3は、プラズマ重合膜の形成方法の一例を示す模式図である。 図4−1は、プラズマ重合膜の形成方法の一例を示す模式図である。 図4−2は図4−1中のA−A’断面を示す模式図である。 図5は、ナノ傾斜流路キャピラリーを用いる物質の分離方法の一例を示す模式図である。 図6は、プラズマ重合装置の構成の一例を示す模式図である。 図7は、共焦点レーザースキャナーを用いて蛍光測定を行った写真である。図7−1は基板表面のパターンを示した(Gain95%)の場合の写真であり、図7−2は基板表面の蛍光物質の存在位置(Gain50%)の場合である。 図8は、フォトマスクの一例を示す写真である。 図9−1は、プラズマ重合膜を製膜する場合の装置中の試料ステージの高さと膜厚との関係を示す。 図9−2はモノマーとしてHMDSを用いた場合の試料ステージの位置と膜厚との関係の例を示すグラフである。 図10−1は、プラズマ重合膜を製膜する場合の装置中の試料ステージの高さと膜厚との関係を示す。 図10−2はモノマーとしてアセトニトリルを用いた場合の試料ステージの位置と膜厚との関係の例を示すグラフである。
符号の説明
1 基板
2 フォトレジスト膜
3 フォトマスク
4 紫外線
5 フォトレジストパタン
6 プラズマ重合膜(a)
7 プラズマ重合膜(a)のパタン
8 マスキングテープまたはマスク
9 プラズマ重合膜(b)
10 流路
11 プラズマ重合膜(a)
12 プラズマ重合膜(a)のパタン
13 プラズマ重合膜(b)
14 流路
15 プラズマ発生装置

Claims (4)

  1. 基板表面上にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)と基板とで囲まれる少なくとも一つの流路を有するキャピラリーであって、
    (i)該プラズマ重合膜(b)層中に流路となる空洞が存在し、
    (ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化していることを特徴とするナノ傾斜流路キャピラリー。
  2. 基板表面または基板に積層された最外層の表面上にプラズマ重合膜(c)が被覆され、さらに、該プラズマ重合膜(c)表面にプラズマ重合膜(b)が被覆され、該プラズマ重合膜(b)とプラズマ重合膜(c)とで囲まれる少なくとも一つの流路を有するキャピラリーであって、
    (i)該プラズマ重合膜(b)層中に前記流路となる空洞が存在し、
    (ii)流路の一方の開口部(入口)の平均高さが、他方の開口部(出口)の平均高さより大きく、前記入口から出口に向けて、流路が傾斜状に変化していることを特徴とするナノ傾斜流路キャピラリー。
  3. 入口の流路の最小幅が500nm以下であり、出口の流路の最小幅が0.1nm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のナノ傾斜流路キャピラリー。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のナノ傾斜流路キャピラリーを用いる物質の分離方法。
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