JP4411358B2 - 色覚補正コンタクトレンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、色盲、色弱を有する色覚異常者に正常な色覚の識別能力を与えることができる色覚補正コンタクトレンズの製造方法に関する。
色覚異常には、先天色覚異常と後天色覚異常とが有り、後天色覚異常は、眼や脳の病気に伴って起こるものであり、視力低下等他の障害が強く現れることが多い。先天性色覚異常は、遺伝によるものであって、通常、色盲色弱といわれるものであり、未だ有効な治療方法が見つかっていない。
人間の眼の視細胞には、桿状体視細胞と錐状体視細胞の2種類があり、桿状体視細胞は、明るさや暗さに対する感覚だけを持ち、錐状体視細胞は、すべての色感覚をつくり出すために必要な3光線を感じる働きをする。錐状体視細胞は3種類あり、それぞれ、長波長側より赤錐状体視細胞、緑錐状体視細胞、青錐状体視細胞と呼称されている。この3種類の視細胞がそれぞれの刺激を受け、その刺激される強さの組み合わせによって特定の色として知感される。
いわゆる色覚異常は、これらの3種類の視細胞のうちいずれかが不完全異常であるか、欠如しているために起こるものである。赤錐状体視細胞に障害のあるものを第1色覚異常、緑錐状体視細胞に障害のあるものを第2色覚異常、青錐状体視細胞に障害のあるものを第3色覚異常と呼ぶ。第3色覚異常は、その頻度は著しくまれであり、臨床上ほとんど問題にならない。
この色覚異常の矯正方法に関して、特開昭47−25990号公報、特開昭59−148027号公報、米国特許4300819号、3877797号、特開平6−18819号公報等に開示されている。
特開昭47−25990号公報には矯正する有効な分光特性が示されていないために、暗視野における吸収帯が付与されていないと、特に長波長の補色が視神経に届きにくくなり、色の認識がされにくい。また、特開昭59−148027号公報、米国特許4300819号は、レンズの一部を着色し、物体を見る目の動きと残像を利用して矯正している。また、米国特許3877797号は、光学フィルターにより、発光物体または反射物体が放つスペクトルを眼に到達する前に変更させ矯正している。
特開平6−18819号公報には、300例の色覚異常患者についてコンピュータ検測を行った結果、色盲患者の大多数は三色型色覚で、赤、緑、青の三原色を識別できるが、ただ、ある波長範囲内の色に対して区別する能力が相当に劣っているだけであるとし、3種類の錐状体視細胞の刺激値比例を変換し、これら3種類の錐状体視細胞が刺激される割合を正常者に近づけることにより、色盲を矯正できるとしている。これに基づき、4種類32等級の色覚矯正スペクトル特性曲線とパラメータが得られている。そして、色盲が4種類32等級の色覚矯正スペクトルのいずれかに分類でき、色盲の処方に対応した色覚矯正スペクトル特性を有する眼鏡レンズを掛けることにより、色盲を補正できることを見出している。
この特開平6−18819号公報では、真空蒸着法により眼鏡レンズに部分反射膜の多層膜を形成して色覚矯正スペクトル特性を備える色覚補正眼鏡レンズを作製している。
しかしながら、色覚補正用の眼鏡レンズは、通常の着色した眼鏡レンズと異なる例えば濃い赤色などの特異なスペクトルを備え、眼鏡レンズは顔面上で大きな面積を占めることから、色覚異常者であることが一目で認識されてしまうという問題がある。このことは、色覚異常者にとっては大きな問題であり、できる限り目立たないで色覚補正できることが要望されている。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、色覚異常であることが分かり難い色覚補正コンタクトレンズの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記間題点に鑑み鋭意研究を行った結果、コンタクトレンズの特性、すなわち、運動時の便利さや強度の近視や乱視への適応性、視野の広さ、そして何よりも色盲・色弱者であることの目立ち難さへの要求の強さ、更にはファションとしてカラーコンタクトレンズの浸透等の背景から、色覚異常であることが分かり難い色覚補正用具として、コンタクトレンズヘの適用を図った。
この場合、着色によるフィルター効果又は部分反射膜によって色覚矯正スペクトルを得ることができる。
また、目立ち難くするために、色覚矯正スペクトル特性を備える部位(以下、色覚補正部位という)を、コンタクトレンズ全体ではなく、眼球の虹彩の中に収まり、白目部分にはみ出さない大きさとすることにより、日本人では黒色である虹彩の色に色覚補正部位の特異な色調が隠されて、色覚矯正スペクトルを目立たなくすることができる。
色覚補正部位を目立たなくするために、できる限り小さくすることが有効であり、本発明者の実験では、明るい環境下では直径が0.5mmの大きさの色覚補正部位でも十分に矯正効果があることが認められた。
また、人間の眼球の構造に注目して、色覚補正部位の大きさを検討した。眼球の網膜の色を感じる錐体は、眼底の中心、つまり中心窩とその周辺の楕円形状に集中しており、その範囲は視角10゜に相当する部分である。この視角10゜に相当する角膜表面の半径は1.058mmであるため、直径2.1mm程度の大きさの色覚補正部位であれば十分に色覚矯正ができることになる。一方、中心窩の周辺の視角20°〜30゜に相当する部分より遠い部分にはほとんど錐体が存在しなくなる。視角20°に相当する角膜表面の直径は4.2mm、視角30゜に相当する角膜表面の直径は6.3mmとなり、これより色覚補正部位を大きくしてもほとんど意味がなくなる。その結果、色覚補正部位の大きさは直径又は長軸が0.5〜6.3mm、好ましくは0.5〜4.2mmの円形乃至楕円形の範囲で十分であることを見い出した。
色覚補正部位は、全体が均一な色覚矯正スペクトルを備えている必要はなく、例えば散点状の模様で色覚矯正スペクトルを備えている部分を構成することで、も十分に色覚矯正が可能であることを見い出した。
また、人体の角膜に直接接するコンタクトレンズは、生体適合性が要求され、着色剤や無機膜で構成される反射防止膜が角膜や涙に直接接するのは好ましくないため、色覚補正部位を樹脂被膜で被覆することが好ましい。
この場合、用いる樹脂被膜は、生体適合性、基材となるコンタクトレンズとの接着性、更には酸素透過性から、樹脂被膜は、コンタクトレンズを構成する樹脂と同一乃至同系統の樹脂であることが好ましい。
さらに、色覚補正部位として、コンタクトレンズとは別体の色覚補正部品で構成し、この色覚補正部品をコンタクトレンズと一体化することによっても色覚補正コンタクトレンズを構成できることを見い出した。
そこで、本発明は、角膜に装着するコンタクトレンズであって、色覚異常者の網膜の3種の錐状体視細胞のそれぞれの刺激値比例を変換して色覚正常者の3種の錐状体視細胞のそれぞれの刺激値比例に近づけるような色覚矯正スペクトル特性を備える色覚補正コンタクトレンズを製造する方法であって、前記色覚矯正スペクトル特性を備える部位を直径又は長軸が0.5mm〜6.3mmの範囲の円形ないし楕円形の色覚補正部品とし、この色覚補正部品をコンタクトレンズ成型用の成形型の中心部に形成した吸引口を塞ぐようにセットし、前記吸引口を真空源に接続して前記色覚補正部品を固定し、その状態で前記成形型にコンタクトレンズ用の樹脂材料を流し込むインサート成形を行う色覚補正コンタクトレンズの製造方法を提供する。
本発明によれば、従来の色覚補正眼鏡の外観上の問題点や煩わしさを解決し、装用者が色盲・色弱者であることが目立ち難くく、より快適に色覚補正を行うことができる色覚補正コンタクトレンズを製造できる。
以下、本発明の色覚補正コンタクトレンズの実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に限定されるものではない。
本発明の色覚補正コンタクトレンズは、上述したように、色覚異常者の網膜の3種の錐状体視細胞のそれぞれの刺激値比例を変換して色覚正常者の3種の錐状体視細胞のそれぞれの刺激値比例に近づけるような色覚矯正スペクトル特性を備える部位を有する。
現在認められている色覚矯正スペクトル特性曲線は、特開平6−18819号公報に記載されている4種類32等級とやや異なり、特にBタイプのものは大幅に変更されている。その各タイプの特定の波長での吸収率を表1に示す。また、それぞれのスペクトル特性曲線を図1〜図4に示す。
Figure 0004411358
色盲あるいは色弱の色覚異常はこれらの4種類32等級に分類でき、色覚異常者は、自分に適合した色覚矯正スペクトル特性を有するコンタクトレンズを角膜に装着することにより、3種類の錐状体視細胞の刺激値比例が正常者に近づけるように変換され、色覚異常が矯正される。
特開昭63−282883号公報には、色覚異常患者についてコンピュータグラフィック画像により、色覚異常の種類、程度判定を行い、補正スペクトルを被験者毎にえて、着色のパラメータを得ている。
そこまで厳密でなければ、石原式色盲表や干渉フィルター式アノマロスコープ等と実際に作り込まれた幾つもの水準のフィルターにより、検眼し適正な補正レンズを選択することができる。
このような色覚矯正スペクトルをコンタクトレンズに与えるには、着色剤によりコンタクトレンズを着色する方法及び/又は部分反射膜を設ける方法がある。
なお、本発明の色覚補正コンタクトレンズは、色覚矯正を目的としたものであるから、視力補正用の通常のコンタクトレンズと異なり、屈折力を必要としない場合がある。したがって、レンズではない場合があるが、本発明においては、このような屈折力がないものも含むものとする。視力補正用コンタクトレンズに前述した色覚矯正スペクトル特性を与えることが一般的であろう。視力補正用コンタクレンズとしては、近視用、遠視用の単焦点レンズ、多焦点レンズなどの通常のコンタクトレンズが基本になる。
着色剤は、コンタクトレンズを着色し、特定の波長の光線を吸収させて透過率を弱めるフィルター効果により前述した色覚矯正スペクトル特性曲線を得るものである。例えば、コンタクトレンズの重合前にモノマー原料に着色剤を配合しておく練り混み方法、あるいはコンタクトレンズ表面を着色剤で染色する方法がある。
本発明で用いることができる着色剤としては、染料及び顔料を用いることができる。染料としては、反応性染料、油溶染料、分散染料、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料等が使用できる。この場合、反応性染料以外の染料はコンタクトレンズから溶出のおそれがあるため、後述する樹脂被膜を用いて染色したコンタクトレンズの部位の表面を被覆することが好ましい。
反応性染料は、コンタクトレンズを構成するモノマーあるいはポリマー中の水酸基やアミノ基等と共有結合を形成できる染料である。共有結合であるから、他の染料と比較してコンタクトレンズから溶出し難いため、コンタクトレンズの着色剤として優れており、後述する樹脂被膜を形成しなくともよい場合がある。
反応性染料でコンタクトレンズを着色するには、着色成分として反応性染料をモノマー原料中に含有させておき、これを重合させる練り込み方法と、反応性染料を水、有機溶剤等の溶媒に希釈した溶液中にコンタクトレンズを浸漬して付着させる方法がある。完全に染着させるために、各方法とも、アルカリ溶液に浸漬させることが好ましい。
使用できる反応性染料としては、例えばリアクティブ・イェロー・17、リアクティブ・イエロー・85、リアクティブ・ブルー・19、リアクティブ・ブルー・27、リアクティブ・ブルー・28、リアクティブ・ブルー・115、リアクティブ・バイオレット・5、リアクティブ・バイオレット・26、リアクティブ・バイオレット・27、リアクティブ・ブラウン・23、リアクティブ・ブラウン・24、リアクティブ・ブラック・5、リアクティブ・ブラック・14、リアクティブ・レッド・116、リアクティブ・レッド・119、リアクティブ・レッド・120、リアクティブ・レッド・133、リアクティブ・レッド・135、リアクティブ・レッド・162、リアクティブ・レッド・164等が挙げられる。
油溶染料としては、ソルベント・イエロー・102、ソルベント・イエロー・104、ソルベント・イエロー・117、ソルベント・イエロー・157、ソルベント・オレンジ・68、ソルべント・オレンジ・72、ソルベント・オレンジ・79、ソルベント・グリーン・26、ソルベント・バイオレット・33、ソルベント・バイオレット・39、ソルベント・ブラウン・46、ソルべント・ブラック・36、ソルべント・ブラック・50、ソルべント・ブルー・97、ソルべント・ブルー・99、ソルべント・レッド・160、ソルべント・レッド・175、ソルべント・レッド・180、ソルべント・レッド・216等を例示することができる。
また、分散染料としては、ディスパーズ・イエロー・54、ディスパーズ・イエロー・122、ディスパーズ・イエロー・124、ディスパーズ・イエロー・128、ディスパーズ・イエロー・134、ディスパーズ・イエロー・140、ディスパーズ・オレンジ・5、ディスパーズ・オレンジ・37、ディスパーズ・オレンジ・93、ディスパーズ・オレンジ・103、ディスパーズ・オレンジ・112、ディスパーズ・オレンジ・134、ディスパーズ・オレンジ・370、ディスパーズ・グリーン・7、ディスパーズ・バイオレット・61、ディスパーズ・バイオレット・63、ディスパーズ・ブラウン・1、ディスパーズ・ブラウン・13、ディスパーズ・ブルー・27、ディスパーズ・ブルー・54、ディスパーズ・ブルー・56、ディスパーズ・ブルー・176、ディスパーズ・ブルー・182、ディスパーズ・ブルー・193、ディスパーズ・レッド・146、ディスパーズ・レッド・199、ディスパーズ・レッド・202、ディスパーズ・レッド・204、ディスパーズ・レッド・207、ディスパーズ・レッド・291等を例示することができる。
湯溶染料や分散染料を用いてコンタクトレンズを染色する方法としては、分散染料を熱湯に分散させたり、油溶染料を有機溶剤に溶かしたりした溶液中にコンタクトレンズを浸漬する方法が一般的である。また、湯溶染料を着色成分としてモノマー原料中に含有させておき、これを重合させる練り込み方法も採用することができる。
この場合、目的とする色覚矯正スペクトル特性を得るために、上述した染料又は顔料の1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
一方、部分反射膜は、ミラーコート、選択透過膜とも呼ばれるもので、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等でコンタクトレンズの表面に成膜することができる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。なお、蒸着時にチャンバー内のガス圧を上げることによって、膜密度を低下させることができる。また、膜構成としては、単層又は多層のどちらを用いてもかまわない。
部分反射膜を構成できる無機物としては、例えば、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、Ta2O5、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3、Crなどを例示することができ、これらの無機物を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。特に、コンタクトレンズ用としては、蒸着温度を低くすることができるZrO2、SiO2、TiO2、Crが好ましく使用できる。
部分反射膜を形成する際には、基材の表面処理を行うことが望ましい。この表面処理の具体例としては、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、アルゴンもしくは酸素雰囲気中での高周波放電によるプラズマ処理、アルゴンや酸素もしくは窒素などのイオンビーム照射処理などが挙げられる。
このような部分反射膜で色覚補正部位が形成された色覚補正コンタクトレンズは、床などにコンタクトレンズを落下させてしまった場合に、反射光を頼りに見つけ出しやすいという利点もある。
部分反射膜は無機材料で構成されるため、角膜や涙に対して悪影響を及ぼすおそれがあり、また、部分反射膜が剥離するおそれがある。そのため、部分反射膜は角膜に接しない凸面側に設けることが好ましい。また、樹脂被膜で覆って涙が部分反射膜に接しないようにすることが好ましい。
なお、上述した着色剤による着色と、部分反射膜を併用してもよいことは勿論である。
上記着色剤を用いてコンタクトレンズを着色する方法と部分反射膜を設ける方法以外に、例えば、予め着色された樹脂フィルムあるいは樹脂シート等の色覚補正部品を用い、コンタクトレンズに接着剤などを用いる接着方法、熱や超音波を用いる溶着方法、インサート技術等により、張り合わせて一体化することにより、色覚補正部位をコンタクトレンズに形成することができる。また、着色剤を含有する塗料を用いて刷毛塗り、スプレーコート、スピンコート等により塗装する方法、あるいは着色剤を含有するインクを用いたインクジェット、シルク印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷などの各種の印刷方法により、色覚補正部位を形成してもよい。
なお、色覚補正部位は、角膜に直接接しないコンタクトレンズの凸面側に設けることが好ましいが、特に制限されるものではない。
本発明の色覚補正コンタクトレンズにおいては、コンタクトレンズの全面を染色したり、又はコンタクトレンズ内に着色剤を含有させることにより、コンタクトレンズ全体を着色剤で着色したり、あるいはコンタクトレンズの凸面側全面に反射防止膜を形成し、コンタクトレンズの一面側からみて光が透過する全部の面積に色覚補正部位を形成することができる。
しかし、本発明の色覚補正コンタクトレンズの好ましい形態によれば、色覚補正部位をできる限り目立たなくするために、色覚補正部位を眼球の虹彩の中に収まるような大きさのスポット状色覚補正部位とすることが好ましい。また、色覚補正部位を部分反射膜で構成した場合は、色覚補正部位を小面積とすることにより、酸素透過性を確保できるという利点もある。
人間の眼球の水平断面図を図5に示す。角膜を通過した光は、瞳孔を通過して毛様体の調整によりレンズとして機能する水晶体を介して網膜に結像する。そのため、虹彩より色覚補正部位を大きくしても意味がなく、むしろ虹彩より色覚補正部位が大きいと、いわゆる白目の部分に色覚補正部位が位置してしまい、色覚補正部位の特異な色彩が白目の白地で目立ってしまうため、好ましくない。眼球の虹彩は、日本人の場合いわゆる黒目の部分であり、この虹彩の部分に色覚補正部位があっても、虹彩の黒地のためにそれほど目立たない。このような見地から、色覚補正部位の面積を眼球の虹彩より小さな面積とすることが好ましい。
図6は、スポット状色覚補正部位を有する色覚補正コンタクトレンズ1を眼球の角膜に装着したときの虹彩とスポット状色覚補正部位20の配置を示した概念図である。スポット状色覚補正部位20はコンタクトレンズ10の幾何学中心に形成されている。コンタクトレンズ10の外径は虹彩より大きく、コンタクトレンズ10のスポット状色覚補正部位20の直径Rは、虹彩の直径より小さくなっていて、虹彩が下地になっている。これにより、虹彩の黒地にスポット状色覚補正部位20の例えば濃い赤色が隠されてスポット状色覚補正部位20が外側から視認し難くなり、色覚異常者であることが分かり難くなる。
本発明者は、このスポット状色覚補正部位の大きさの最適範囲について検討した。スポット状色覚補正部位は、目立たなくするという見地からできる限り小さい方が好ましいため、どこまで小さくすることが可能であるかを検討した。
十分に明るい環境では、人間の瞳孔は1mm程度まで小さくなる。また、読書やディスプレーを見るとき、製品の検査作業などの特に1点を注視するようなときには、人間はその視野の中心部だけに意識を集中させる傾向にある。従って、このような場合には、瞳孔の直径よりもっと狭い範囲でも補正効果が期待できる。
本発明者の実験によれば、労働基準法の300ルクスを上回る400ルクスの照度の下では、0.5mmの直径のスポット状色覚補正部位でも石原式色盲表やアノマロスコープテストをクリアすることができた。したがって、スポット状色覚補正部位の最低限必要な直径Rは0.5mmである。
また、人間の眼球の構造から、スポット状色覚補正部位の好適な大きさについて検討した。図5に示した眼球の水平断面図において、中心窩は、眼底の中心であり、健常者の固視点になる。光を受ける網膜には2種類の視細胞があり、色を感じる錐体と明るさや暗さに対する感覚だけを持つ桿体である。中心窩は錐体のみからなり、これより周辺に向かって急激に減少し、視角10°に相当する部分から密度は変わらなくなり、この中心窩を中心とした黄斑部と呼ばれる楕円の範囲がもっとも視力が高い部分である。したがって、色覚補正部位は、少なくともこの黄斑部を覆う範囲であれば十分に色覚矯正ができることになる。
図7に模式眼を示す。水晶体の中心から角膜の外面までの距離Lは約6mmであり、中心窩の視角θ゜に相当する角膜における半径rは、r=Ltanθとなる。視角θが10゜とすると、rは1.058mmとなる。すなわち、直径Rは2.1mmである。色覚補正部位は最低限この直径の円形又はこの長軸の楕円形であれば、暗い環境下での使用や、スポーツなどの視線が大きく動く場合にも十分な補正効果が得られる。しかも、虹彩より十分小さい径であり、目立ち難い。
また、桿体は、眼底部の周辺部に多く、視角20°〜30゜に相当する部分で最大となる。すなわち、錐体はこの部分より周辺部にはあまり存在しなくなる。そのため、この範囲を超えた視角に相当する角膜の部分に色覚補正部位があってもほとんど機能しないことになる。上記の視角20°〜30゜は、上記の計算から視角20°のとき、直径Rは4.2mm、視角30゜のとき、直径Rは6.3mmとなる。したがって、色覚補正部位の直径Rは角膜の中心から4.2〜6.3mmで十分であることになる。
このように、色覚補正部位の直径Rは、コンタクトレンズ装用時の角膜の中心から0.5mm〜6.3mm、好ましくは0.5〜4.2mm、さらに好ましくは2.1〜4.2mmの範囲の円形又は楕円形のスポット状色覚補正部位とすることが、目立ち難さという点で好ましい。
このようなスポット状色覚補正部位、あるいはコンタクトレンズ全面に色覚補正部位を形成する場合、均一な色覚補正部位とする必要はなく、模様で色覚補正部位を構成することも可能である。例えば、図8に示す色覚補正コンタクトレンズ1−8は、梨子地状の色覚補正部位20−8、図9に示す色覚補正コンタクトレンズ1−9は、メッシュ状の色覚補正部位20−9、図10に示す色覚補正コンタクトレンズ1−10は、散点状の色覚補正部位20−10、図11に示す色覚補正コンタクトレンズ1−11は、ストライプ状の色覚補正部位20−11をそれぞれ備える。
また、図12に示すような色覚補正コンタクトレンズ1−12は、文字Aの形状のスポット状色覚補正部位20−12を備える。このように、種々の模様の色覚補正部位とすることが可能である。
このような模様形状のスポット状色覚補正部位は、スポット状色覚補正部位からコンタクトレンズを通して虹彩を確認できる。また、スポット状色覚補正部位の外側にある虹彩もコンタクトレンズを通して確認できる。
模様形状のスポット状色覚補正部位とすることにより、より目立ち難くすることができる他、ファッション性を与えることができる。
上記スポット状色覚補正部位を得るには、例えば、レジストを用いる方法がある。この方法は、スポット状色覚補正部位を形成するコンタクトレンズの部分を除いてコンタクトレンズ全体をレジストで被覆し、スポット状色覚補正部位を形成するコンタクトレンズの部分を露出させる。この場合、模様形状のスポット状色覚補正部位の形状にするには、スポット状色覚補正部位の部分を模様形状にレジストをパターニングする。そして、コンタクトレンズ全体又は一面側に、上述した浸漬法、着色剤を含有する塗料を用いて刷毛塗り、スプレーコート、スピンコート等により塗装する方法、印刷法等による着色を行い、あるいは真空蒸着等による部分反射膜を成膜する。その後レジストを剥離することにより、部分反射膜の場合はいわゆるリフトオフ法でレジストの上の部分反射膜を剥離してスポット状色覚補正部位を作製することができる。また、部分反射膜の場合は、マスクを用いて選択的に部分反射膜を成膜する方法も採用することができる。
また、上述した、例えば、予め着色された樹脂フィルムあるいは樹脂シート等の色覚補正部品を用い、コンタクトレンズに、接着剤などを用いる接着方法、熱や超音波を用いる溶着方法、インサート技術等により、張り合わせて一体化することにより、スポット状色覚補正部位をコンタクトレンズに形成することができる。また、着色剤を含有するインクを用いたインクジェット、シルク印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷などの各種の印刷方法により、選択的にスポット状色覚補正部位を形成してもよい。
上述した着色による色覚補正部位を形成した場合、着色に用いた染料又は顔料がコンタクトレンズから溶出するおそれがある。また、部分反射膜により色覚補正部位を形成した場合、部分反射膜を角膜に直接接しないコンタクトレンズの凸面側に形成したときでも、瞼や涙が部分反射膜に接してしまう。
このようなことを防止してコンタクトレンズの生体適合性を高めるために、少なくとも色覚補正部位を生体適合性や酸素透過性のよい樹脂被膜で被覆することが好ましい。色覚補正部位はコンタクトレンズの凸面側に設けられることが好ましいため、樹脂被膜はコンタクトレンズの凸面側全面に形成することが一般的である。
このような樹脂被膜の材料としては、元になるコンタクトレンズと同一又は同系統の樹脂原料を用いることが好ましい。例えばコンタクトレンズの原料モノマーを用いてコンタクトレンズにディッピング、スピンコート、刷毛塗り、印刷、スプレーコート等の方法を用いて塗膜を形成し、この塗膜を重合させる塗装方法、あるいは同じコンタクトレンズ原料を用いてフィルムを形成し、このフィルムをコンタクトレンズに接着剤、熱溶着、超音波溶着、インサート技術等を用いて張り合わせる張り合わせ方法を採用することができる。
このような樹脂被膜で色覚補正部位を被覆することにより、着色剤が溶出したり、部分反射膜が眼球に悪影響を及ぼすことや、部分反射膜が剥離することを防止することができる。その上、着色剤として、反応性染料以外の染料や顔料を用いることや、部分反射膜を用いることが可能となるため、色覚補正部位を形成する材料を自由に選べるようになる。そのため、種々の組み合わせを選択して色覚矯正スペクトルを正確に形成することができ、色覚補正機能を高めることができると共に、製造コストを低減させることができる。また、コンタクトレンズは眼球に接触させるため、滅菌や洗浄を日常的に必要とするが、そういった処理による劣化の防止にも有効である。
<参考例1>
40℃の純水1リットルに、リアクティブ・バイオレット・26を0.2g、リアクティブ・イェロー・85を0.01g及び無水硫酸ナトリウム2gを溶解させ染色液を調整した。特開平6−18819号公報に記載されたB類の色盲矯正スペクトル特性曲線のB2を得るため、ソフトコンタクトレンズを20分間浸漬させた後、5%炭酸水素ナトリウム溶液に60分問浸漬し、レンズの着色を行った。
このレンズの可視光における分光透過率を図13に示す。
<参考例2>
(1)レンズの着色
反応性染料C.I.Reactive Violet・26を40.7g、C.I.Reactive Ye11ow・85を2.3g、無水硫酸ナトリウム0.2g、およびSILWET L−7604(シリコン系界面活性剤、日本ユニカー(株)製)0.05gを水4gに分散溶解させる。これに別途水30gにアルギン酸ナトリウム2gを溶かしてつくった増粘剤を4g加えて染色液とした。
膨潤状態のソフトコンタクトレンズを取り出し、表面の水分をよく拭き取った後、コンタクトレンズの幾何学中心と、捺染用スクリーンの染着部位の中心とが合致するように貼り付けた。これに使用したスクリーンは厚さ64μm、網目の開き270メッシュ、オープニングエリア33%のポリエステル製のスクリーンである。
次に、厚さ1mmのガラス板でソフトコンタクトレンズを挟んで固定し、スクリーンの染着部位に染色液を塗布した後、室温で1分間放置した。
スクリーンよりソフトコンタクトレンズを剥がし、1%NaOH溶液へ約10分問浸漬した。レンズを取り出し、水洗した後、生理食塩水中で30分間煮沸処理した。得られたソフトコンタクトレンズには、スポット状色覚補正部位がレンズの幾何学中心に3.5mm径に形成された。
得られた色覚補正コンタクトレンズは、図9に示したメッシュ状のスポット状色覚補正部位20−9を有するコンタクトレンズ1−9である。このレンズの色覚補正部位における可視光の分光透過率を図14に示す。
<参考例3>
(1)レンズの着色
92℃の純水1リットルに、ディスパーズ・レッド・73を1.5g、ディスパーズ・ブルー・56を0.1g及びディスパーズ・オレンジ・5を0.3gを分散させ、更にベンジルアルコール10ccをキャリヤーとして添加し染色液を調整した。
三色型第一異常者の補正スペクトル特性曲線を作り出すために、ハードコンタクトレンズ(セイコーエプソンコンタクトレンズ(株)製、セイコーハードEX1コンタクトレンズ生地)をレジスト液をスクリーン印刷機で染色部分はレジストを塗らずに他の所はべ一スカーブ側もレジストを塗布し紫外線を照射し、染色用コンタクトレンズとした。本コンタクトレンズを染色液に10分聞浸漬させレンズの着色を行ったその後、レジスト剥離液を用いてレジストを除去した。
(2)ミラーコート膜の形成
得られたコンタクトレンズのフロントカーブ面を酸素ガスによるイオンビーム照射処理(加速電圧500V×60秒)を行った後、前記レンズ着色部と同径の穴をあけた金属マスク(レンズ着色部にコートされる様にエッチングにより孔あけしたもの)を被せ、基板から大気に向かって順にZrO2,Cr,SiO2の3層からなるミラーコートを真空蒸着法(真空器械工業(株)製:BMC−1000)にて形成を行った。各層の膜厚はZrO2を光学的膜厚でλ/4となるように、次のCrは可視光域での透過率がおおよそ40から50%となるような膜厚に、更にSiO2を光学的膜厚でλ/4となるように形成した。なお、設計波長λは520nmとした。
(3)オーバーコート液の調整
トリス(トリメチルシロキシ)シリルメタクリレート40wt%、メチルメタクリレート20wt%、イソプロピル3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルフマレート15wt%、メタクリル酸5wt%、アリルメタクリレート4wt%、シリコン系界面活性剤0.06wt%、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.94wt%(全量200g)を窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、2.5パスカルで5分間攪拌脱気して、オーバーコート液とした。
(4)塗布および硬化
このようにして得られた塗液でスピンコーターにて塗布を行なった。その後LabostarーバキュウムーオーブンLHV−110(タバイ製)に窒素ガスを導入し、110℃まで2時間かけ昇温し、オーバーコート層を硬化した。コート層の厚みは0.15μmであった。エッジ部分のオーバーコート液の盛り上がりを、切削と研磨で整え、その後、エチルアルコール溶液中に70℃で3時間浸漬し、界面活性剤を抽出し製品とした。
得られた色覚補正コンタクトレンズの断面図を図15に示す。この色覚補正コンタクトレンズ1−15は、元になるコンタクトレンズ10の凸面側の幾何学中心に、染料による着色と部分反射膜とを併用したスポット状色覚補正部位20−15が形成され、コンタクトレンズの凸面側が厚さ0.15ミクロンの樹脂被膜30で覆われている構造を有する。この時の色覚補正部位の可視光における分光透過率を図16に示す。
<参考例4>
本参考例では、スポット状色覚補正部位を形成したコンタクトレンズに樹脂被膜を張り付ける例を示す。
(1)圧着用カラーコンタクトレンズ(半完成)形成
参考例3で用いたセイコーハードEX−1コンタクトモノマーを攪拌混合し、キャストモールド法によリ膜厚0.1mmのトリカーブドレンズ(半完成)を成形した。また、トリカーブドレンズの相手方となる同材質の中心厚0.07mmの均一厚のコンタクトレンズ形状のフィルムを同様に成形した。
(2)着色
トリカーブドレンズの凸面とフィルムの凹面を酸素ガスによるイオンビーム照射処理(加速電圧500V×60秒)を行った後、前もって準備したカラーインク(EX−1用モノマー液に、光開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドと赤の分散染料(三井東圧染料(株)製FAST−RUBIN)0.2WT%添加混合したもの)をインクジェットプリンター用のカートリッジに脱気工程を経て充填し、5℃にインクカートリッジを保持して図8に示したような梨子地状のスポット状色覚補正部位20−8を印刷した。
次に、オーク制作所製UVスポット照射装置(HMW−623)で硬化した後、実施例3と同様に金属マスクを用いてミラーコートを基板から大気に向かって順に、ZrO2,Cr,SiO2の3層からなる選択透過膜を真空蒸着法(真空器械工業(株)製:BMC−1000)にて形成を行った。各層の膜厚はZrO2を光学的膜厚でλ/4となるように、次のCrは可視光域での透過率がおおよそ40から50%となるような膜厚に、更にSiO2を光学的膜厚でλ/4となるように形成した。なお、設計波長λは520nmとした。
(3)貼り付け
蒸着終了後、100℃〜102℃に保たれた硬質クロムメッキされた圧着型を使用し図17に示すごとく、熱溶着し製品とした。
得られた色覚補正コンタクトレンズ1−17は、図17に示したように、トリカーブドレンズ10の凸面にコンタクトレンズ形状のフィルム30−17の凹面が熱溶着で接着されており、これらの間の幾何学中心にスポット状色覚補正部位20−17が介在している構造を有する。この構造では、フィルム30−17が樹脂被膜を構成して、色覚補正部位20−17を覆い、色覚補正部位20−17の着色剤と部分反射膜が直接人体に接触しないようになっている。
このコンタクトレンズ1−17の色感覚補正部位20−17の可視光における分光透過率は略参考例3と同じであった。
<参考例5>
本参考例では、色覚補正部品をコンタクトレンズに張り付ける例を示す。
(1)レンズの着色
2−ヒドロキシエチルメタクリレート99.55wt%、エチレングリコールメタクリレート0.45wt%(架橋剤)に重合開始剤として、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)300ppm、油溶性染料スダンIII、化学名1−パラ−フェニルアゾフェニルアゾ−2−ナフトールを450PPm添加し、ガラス容器で脱気攪拌を2時間行い、共重合体モノマーとした。その後5mm内径のパイレックス(登録商標)チューブにモノマーを注ぎいれ、内部を窒素置換し、溶封した。この封管を40℃の温水恒温槽中で24時間静置し、さらに100℃2時間加熱し重合させた。
得られた重合物は、切断した後切削研磨し、図18に示す様に、小玉用コンタクト40−18とした。この時の小玉40−18の外径は4mmとした。
(2)コンタクトレンズの作製
前記したスダンIII染料を含有しない同様モノマーを、内径10mmのパイレックス(登録商標)チューブを使用して小玉作成と全く同様な手法で丸棒を製作した。その後切断し、切削研磨してコンタクトレンズを作製した。図18に示す小玉のはいる溝部10aは、最終仕上げに、ダイヤモンド刃具を用いてダイヤカット面として溝部10aを有するコンタクトレンズ10−18を作製した。
(3)接合
小玉40−18と溝部10aの嵌め合い公差は小玉を+0.02〜0.003mmとした。小玉の接合は超音波ウエルダーのホーン上で行い、超音波ウエルダーにより、完全熔着した。
<実施例>
本実施例は、色覚補正部品をインサート成形によりコンタクトレンズに張り付ける方法で色覚補正コンタクトレンズを得た。
(1)成形型の作製
図19に示す様に、ポリプロピレン樹脂で射出成形により上型190、下型191を4個取り金型で予め製造した。下型191は中心部にφ1mmの貫通孔191aを設けた。貫通孔191aは真空ポンプにつながり、吸引口の役割を持つ。
(2)インサート部品の作製
ヒドロキシエチルメタクリレート1991g、ジメタクリル酸エチレングリコ一ル9g(架橋剤)、重合開始剤0.6g〔2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〕を実施例5と同様な方法で小玉用丸棒を作製した。但し100℃での保持時間は30分とし、重合度合いは、概ね70%に止めた。フロントカーブは切削研磨、ベースカーブ側と小玉立ち上がりは、ダイヤモンドバイトによるカット加工し、小玉レンズ40−19を作製した。このときの最外径は、2.5mmとした。
(3)インサート成形
加工済み小玉レンズ40−19を下型191の中心部にセットし真空バルブを開き固定した。その状態を維持しながら、定量吐出ポンプで脱気済みの小玉用丸棒原料と同一モノマーを0.17cc吐出し、上部より上型190を嵌め込み、恒温槽で30℃スタートし2時間で70℃まで昇温し2時間保持した後、15分で100℃まで昇温して2時間保持した後、15分で40℃まで強制冷却し、上型190、下型191をレンズより離型し、色覚補正用のコンタクトレンズを得た。
Aタイプの色覚矯正スペクトル特性曲線を示すグラフである。 Bタイプの色覚矯正スペクトル特性曲線を示すグラフである。 Cタイプの色覚矯正スペクトル特性曲線を示すグラフである。 Dタイプの色覚矯正スペクトル特性曲線を示すグラフである。 眼球の水平断面図である。 本発明の色覚補正コンタクトレンズにおける色覚補正部位の配置と大きさを示す概念図である。 眼球の模式図である。 本発明の色覚補正コンタクトレンズにおけるスポット状色覚補正部位の模様の一例を示す概念図である。 本発明の色覚補正コンタクトレンズにおけるスポット状色覚補正部位の模様の一例を示す概念図である。 本発明の色覚補正コンタクトレンズにおけるスポット状色覚補正部位の模様の一例を示す概念図である。 本発明の色覚補正コンタクトレンズにおけるスポット状色覚補正部位の模様の一例を示す概念図である。 本発明の色覚補正コンタクトレンズにおけるスポット状色覚補正部位の模様の一例を示す概念図である。 参考例1で得られた色覚補正コンタクトレンズの可視光における分光透過率を示すグラフである。 参考例2で得られた色覚補正コンタクトレンズの可視光における分光透過率を示すグラフである。 参考例3で得られた色覚補正コンタクトレンズの断面図である。 参考例3で得られた色覚補正コンタクトレンズの色覚補正部位の可視光における分光透過率を示すグラフである。 参考例4で得られた色覚補正コンタクトレンズを示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。 参考例5の色覚補正コンタクトレンズを得る方法を説明する説明図である。 実施例の色覚補正コンタクトレンズをインサート法で得るための成形型を示す断面図である。
符号の説明
1…色覚補正コンタクトレンズ
10…コンタクトレンズ
20…色覚補正部位
190…上型
191…下型
191a…貫通孔(吸引口)
40−19…小玉レンズ(色覚補正部品)

Claims (1)

  1. 角膜に装着するコンタクトレンズであって、色覚異常者の網膜の3種の錐状体視細胞のそれぞれの刺激値比例を変換して色覚正常者の3種の錐状体視細胞のそれぞれの刺激値比例に近づけるような色覚矯正スペクトル特性を備える色覚補正コンタクトレンズを製造する方法であって、
    前記色覚矯正スペクトル特性を備える部位を直径又は長軸が0.5mm〜6.3mmの範囲の円形ないし楕円形の色覚補正部品とし、この色覚補正部品をコンタクトレンズ成型用の成形型の中心部に形成した吸引口を塞ぐようにセットし、前記吸引口を真空源に接続して前記色覚補正部品を固定し、その状態で前記成形型にコンタクトレンズ用の樹脂材料を流し込むインサート成形を行う色覚補正コンタクトレンズの製造方法。
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