JP4409893B2 - 微生物を用いた水素製造方法 - Google Patents

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本発明は、微生物による水素製造方法に係わり、さらに詳しくは有機性基質を炭素源とする嫌気性微生物による高効率な水素製造方法に関する。本発明の方法で製造される水素は燃料電池等の燃料として好適に使用することができる。
水素は化石燃料と異なり、燃焼しても炭酸ガスや硫黄酸化物など環境問題より懸念される物質を発生しない究極のクリーンエネルギー源として注目され、単位質量当たりの熱量は石油の3倍以上あり、燃料電池に供給すれば電気エネルギーおよび熱エネルギーに高い効率で変換できる。
水素の製造は従来より化学的製法として、天然ガスやナフサの熱分解水蒸気改質法などの技術が提案されている。この方法は高温高圧の反応条件を必要とすること、そして製造される合成ガスにはCO(一酸化炭素)が含まれるため燃料電池用燃料として使用する場合には燃料電池電極触媒劣化防止のため、技術的課題解決難度の高いCO除去を行うことが必要となる。
一方、微生物による生物的水素製造方法は常温常圧の反応条件であること、そして発生するガスにはCOが含まれないためその除去も不要である。
このような観点から、微生物による生物的水素製造は燃料電池用燃料供給方法としてより好ましい方法となる。
生物的水素製造方法がこのような優れた特長を有するにもかかわらず燃料電池用燃料供給方法としてこれまで大きな進展が無かったのは水素製造の生産性、特に単位容積当たりの水素発生速度(STY;Space Time Yield)が低く経済的に実用性が無かったためである。
生物的水素製造方法には大別して光合成微生物を使用する方法と非光合成微生物(主に嫌気性微生物)を使用する方法に分けられる。前者の方法は水素発生に光エネルギーを用いるため、その低い光エネルギー利用効率により広大な集光面積を要する水素発生装置の価格問題や維持管理の難しさ等解決しなければならない課題が多く実用的なレベルではない。
後者の嫌気性微生物を使用する従来の水素製造方法は、これら嫌気性微生物の分裂増殖に依存したものであることから、増殖が極めて遅く(特許文献1、非特許文献1)、そして嫌気性微生物の分裂増殖は他の微生物のそれに比して、その理由は明らかにされていないが、分裂増殖の際に必要な自由空間(培養に必要な「場」即ち反応器容積に比例する)がより大きく必要であるため、一定の大きさの培養の「場」における嫌気性微生物が水素発生に必要な嫌気条件の培養で到達できる定常状態の菌体濃度は他の微生物のそれに比較して絶対的に低い等の事により水素発生速度(STY)が十分ではなく、この点に関して一段の向上が求められている。
これまでに発明者らは、特願2003−046095において、蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物を好気的条件で培養し、得られた菌体を嫌気的条件で蟻酸類含有培養液中で培養した後、還元状態にある水素発生溶液を加え、該溶液に有機性基質を供給する生物的水素製造方法を提供した。本発明はさらに効率的な生物的水素製造方法を提供するものである。
また、生物的製造方法により製造される水素が一定の電気容量の燃料電池に供給される場合には、水素源となる有機性基質の水素発生反応容器への供給と電流の発生の迅速な応答が実用上必要である。この点に関しても本発明は実用上充分な迅速応答性を有する技術となる。
米国特許第5,834,264号 R.Nandi et al.、 Enzyme and Microbial Technology 19:20-25、1996
嫌気性微生物の分裂増殖に依存した従来の水素製造方法の上記の問題は、換言すれば、従来の技術では水素発生反応器内で高密度の嫌気性微生物の獲得及び嫌気性微生物の水素発生機能の獲得を短時間で同時に実現する方法を見出せなかったことによる。
この点に関して、本発明者らによる前記提案技術(特願2003−046095)は従来の嫌気性微生物による水素製造方法の課題を解決する有力な方法であるが、本発明は水素発生機能を有する嫌気性微生物をさらに効率的に獲得できる方法を
提案するものである。
すなわち、本発明は嫌気性微生物による水素製造方法に関するこれら技術的課題を解決することを目的として、前記米国特許公報に記載されているような実用上不十分な低い水素発生速度問題や嫌気性微生物が定常濃度に達するまでに200時間もの長時間の分裂増殖に依存しなければならない方法の問題を解決し、水素発生速度が反応初期から充分に高く、実用的レベルで燃料電池を稼動させることのできる方法を提供するものである。
嫌気性微生物内における水素発生に関する代謝経路は色々な経路が知られている(グルコースのピルビン酸への分解経路における代謝産物としての水素発生、ピルビン酸がアセチルCoAをへて酢酸が生成する経路での代謝産物としての水素発生そしてピルビン酸由来の蟻酸より水素が発生する経路等)。本発明は微生物細胞内の蟻酸より水素が生成する代謝経路を主として利用する生物的水素製造方法に関する。
従来より、嫌気性微生物の水素生成機能の発現には、嫌気的条件で培養して蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を発現させることが必要と考えられていたが、本発明者らは驚くべきことに、好気的培養条件でも蟻酸類が存在していれば嫌気性微生物が水素生成機能を発現することを見出し、本発明に到達した。
本発明により、嫌気的条件の遅い分裂増殖を多数回繰り返す必要が無く、分裂増殖の早い好気的条件下でも短期間で水素生成能力を発現することが可能となる。また、好気的条件下での培養のため、高密度の水素生成能力を有する微生物の獲得も可能となる。
好気的条件下で蟻酸類含有培養液中で培養し、その後、さらに付加的に嫌気的条件下で蟻酸類含有培養液中で培養すれば、水素発生能力が、一段と向上させることも可能である。
また、本発明の技術を用いて、燃料電池が実用的なレベルで稼働できる。
すなわち、本発明は
(1)蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物を、好気的条件下の蟻酸類含有培養液中で培養後、還元状態にある水素発生用溶液に加え、該溶液に有機性基質を供給することを特徴とする生物的水素製造方法、
(2)微生物が、好気的条件下で培養後、さらに嫌気的条件で蟻酸類含有培養液中で培養され、還元状態にある水素発生用溶液に加えられることを特徴とする上記(1)に記載の生物的水素製造方法、
(3)上記(1)、(2)のいずれかに記載の方法で製造される水素の燃料電池用燃料ガスとしての使用、
に関する。
本発明によって、例えば燃料電池を稼動させるのに有用な水素を有害なCOの発生を実質的に伴うことなく実用上十分な速度で工業的に有利に製造することができる。
本発明で使用される微生物は蟻酸脱水素酵素遺伝子(F.Zinoni,et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.83, pp4650-4654, July 1986 Biochemistry)およびヒドロゲナーゼ遺伝子(R.Boehm, et al., Molecular Microbiology (1990) 4(2), 231-243)を有する微生物で主として嫌気性微生物である。
本発明で使用される具体的な嫌気性微生物の例としては、エシェリキア(Escherichia)属微生物―例えばエシェリキア コリ(Escherichia coli ATCC9637、ATCC11775、ATCC4157等)、クレブシェラ(Klebsiella)属微生物―例えばクレブシェラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae ATCC13883、ATCC8044等)、エンテロバクター(Enterobacter)属微生物―例えばエンテロバクター アエロギネス(Enterobacter aerogenes ATCC13048、ATCC29007等)そしてクロストリジウム(Clostridium)属微生物―例えばクロストリジウム ベイエリンキイ(Clostridium beijerinckii ATCC25752、ATCC17795等)等が挙げられる。
これらの嫌気性微生物は先ず好気的条件で培養されるが、その意味で偏性嫌気性微生物より通性嫌気性微生物が好適に使用される。上記微生物の内ではエシェリキア コリ(Escherichia coli)、エンテロバクター アエロギネス(Enterobacter aerogenes)等が好適に使用される。
本発明では好気条件下の培養液に蟻酸類が含まれていることが必須の要件である。ここで蟻酸類とは、化学官能基〔HCOO〕を有する物質である。蟻酸、蟻酸亜鉛、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、蟻酸セシウム、蟻酸ニッケル、蟻酸バリウム、蟻酸カルシウム、蟻酸マンガン、蟻酸アンモニウムなどから選ばれる化合物である。水に対する溶解度の面から蟻酸、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、蟻酸カルシウム、および蟻酸アンモニウムが好ましい。さらに、蟻酸、蟻酸ナトリウムおよび蟻酸アンモニウムがより好ましい。蟻酸類は単独で用いてもあるいは複数種の蟻酸類混合培養液を使用してもよい。
蟻酸類含有溶液中の蟻酸類濃度は、1mM(ミリモーラ:ミリモル/リットル)以下では好気培養時の水素生成機能の発現が低く、また300mMを超えると水素生成機能の発現は可能であるが、分裂増殖速度が低下するために、培養時間が長くなる。高度の水素生成機能を発現するためには、10mMから300mMであることが好ましい。
好気的条件下の分裂増殖を蟻酸類含有培養液中で行うことにより、水素生成機能を発現でき、同時に高濃度の培養が可能となる。
好気的な菌体の培養方法としては、炭素源、窒素源、ミネラル源等を含む通常の栄養培地を用いて行うことが出来る。炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、廃糖蜜等を、窒素源としては、無機態窒素源では、例えばアンモニア、アンモニウム塩、硝酸塩等、有機態窒素源では、例えば尿素、アミノ酸類、タンパク質等をそれぞれ単独もしくは混合して用いることができる。無機態、有機態ともに同様に利用することが可能である。またミネラル源として、おもにK、P、Mg、Sなどを含む、例えばリン酸一水素カリウム、硫酸マグネシウム等を用いることができる。この他にも必要に応じて、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カザミノ酸、ビオチン、チアミン等各種ビタミン等の栄養素を培地に添加することもできる。
好気的培養の条件としては、通常、通気攪拌、振盪等の条件下、温度は、20℃〜45℃、好ましくは25℃〜40℃で培養を行うことが好ましい。PHは、PH5〜10、好ましくは6〜8の範囲で行うことが好ましい。同時にPHを制御することが好ましく、酸、アルカリを用いてPHの調整を行うことも可能である。温度域、PH域ともに、上記の範囲内が微生物にとって最適な温度域、PH域である。通常、培養開始時の炭素源濃度は0.1〜20%(W/V)が好ましく、さらに好ましくは1〜5%(W/V)である。また、培養期間は、0.5日〜7日間である。
蟻酸脱水素酵素およびヒドロゲナーゼからなる水素発生機能の発現のためには培養液中に微量の金属成分を含むことが好ましい。微量金属成分は微生物種により異なるが、鉄、モリブデン、セレン、ニッケル等が挙げられる。なお、これらの微量金属成分は酵母エキスなどの天然栄養源には相当程度含まれていることもあるため、そのような場合には必ずしも添加を必要とはしない。
好気的条件で培養された菌体をそのまま還元状態下の水素発生反応に供することも出来るが、好気的培養された菌体を一度分離し、還元状態の水素発生溶液に菌体を移すことが好ましい。分離の方法としては、遠心分離や膜分離等の方法を用いることができる。
また、分離した菌体を付加的に嫌気的条件でさらに培養後、水素発生反応に供することは、微生物の水素生成能力をさらに向上させることが出来るので好ましい方法となる。
付加的に実施される嫌気的条件下の培養液中には蟻酸類が存在していることが好ましいが限界的ではない。蟻酸類を使用する場合には、前記の好気的培養時に使用されるものと同様のものが使用される。嫌気的条件の培養液中に存在する蟻酸類の濃度は1〜100mMが好ましい。1mMより低い濃度では蟻酸類の存在効果が現れなく、100mMより高い濃度ではそれ以上の高濃度で実施することの効果が認められない。
菌体の水素生成能力を向上するために実施される嫌気条件下の培養時には微生物の分裂増殖が起こるが、好ましい分裂増殖の細胞数変化は適宜定めることが出来る。長時間の分裂増殖は水素生成機能を有する菌体の獲得に効率的ではなく、また短すぎる分裂増殖では効果がない。その時間はおよそ0.5時間〜6時間である。そのときの細胞数変化は菌体光学密度測定などにより容易に知ることができる。
微生物の菌体細胞が分裂増殖するには、炭素源も必要である。これにはグルコース等の糖類、有機酸、アルコール類等の通常の炭素源が用いられる。
好気的条件下の蟻酸類含有培養液中で培養され、あるいは、付加的に嫌気的条件で培養された本発明の微生物は還元状態にある水素発生用溶液に加えられ、有機性基質を供給することにより、水素を発生させる。
ここで云う還元状態とは、水素発生用溶液の酸化還元電位が−100mV(ミリボルト)〜−500mV(ミリボルト)で規定されるものであり、好ましくは−200mV〜−500mVで規定される還元状態である。本発明の還元状態を実現する方法としては、加熱処理や減圧処理することにより溶存ガスを除去する方法があげられる。具体的には水素発生溶液中の溶存ガス、特に溶存酸素の除去を行う方法として、約13.33×10Pa以下、好ましくは約6.67×10Pa以下、より好ましくは約4.00×10Pa以下の減圧下で約1〜60分間、好ましくは5〜60分間程度、処理することにより、還元条件の水素発生溶液を得ることができる。また、必要に応じて還元剤を水溶液に添加して還元状態の水溶液を調整することができる。用いる還元剤としては、チオグリコール酸、アスコルビン酸、システィン塩酸塩、メルカプト酢酸、チオール酢酸、グルタチオンそして硫化ソーダ等が挙げられる。これらの一種、あるいは数種類を組み合わせて用いることも可能である、
水素発生の方法としては、連続的にあるいは間欠的に有機性基質を供給することで実施される。有機性基質の供給方式としては、蟻酸類を直接に供給する方式(直接的供給方法)、あるいは菌体内代謝経路において蟻酸類に変換される糖類(例えば、グルコース、フラクース、キシロースやアラビノース等の単糖類そしてスクロース、マルトース等の二糖類および糖蜜である。)を供給すること方式(間接的供給方法)が挙げられる。直接的供給方法と間接的供給方法の併用も可能である。
有機性基質の供給速度としては、水素発生溶液のPHが5.0〜9.0の範囲で制御される限り特に制限はない。
水素の発生反応の反応温度は、用いる微生物種にもよるが、20℃〜45℃の条件が好ましく、さらに好ましくは30℃〜40℃の範囲である。
菌体濃度は、0.1%(w/w)〜80%(w/w)(湿潤状態菌体質量基準)濃度範囲で実施される。水素発生溶液の粘性が高くなるという観点から、菌体濃度は0.1%(w/w)〜70%(w/w)(湿潤状態菌体質量基準)が好ましい。さらに好ましくは、菌体濃度は10%(w/w)〜70%(w/w)(湿潤状態菌体質量基準)である。
本発明では水素発生速度が高いので、水素発生の際には、反応溶液中に消泡剤を加えることが好ましい。消泡剤については、公知なものが用いられる。具体的にはシリコーン系、ポリエーテル系の消泡剤が用いられる。
本発明で製造される水素は燃料電池用燃料ガスとして使用される。
本発明の微生物を用いた水素製造方法では主に水素と二酸化炭素からなるガスを生成する。一般的に、天然ガス等の分解ガスを固体高分子型燃料電池の燃料として用いる場合には、高価な電極触媒劣化防止の為、分解ガス中の一酸化炭素(CO)を除去するシステム(CO変成器、CO除去器等)を用いて、COは10ppm程度にまで低下させる必要がある。本発明の水素製造方法を燃料電池の燃料として用いたシステムでは、COを除去するシステムが不要であり、装置を簡易化することができる。また、本発明により得られる発生ガスは、天然ガス等の分解ガスがCO変性器を経たものと異なり、反応溶液中の蒸気を含んだ状態であるため、燃料電池の高分子電解質膜の燃料極側の特別の加湿を行うことが不要となる等本発明の水素製造方法を用いた燃料電池システムは優れたシステムを実現させることができる。
以下実施例により具体的に本発明を説明するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
エシェリキア コリ株(Escherichia coli W strain;ATCC9637)による生物的水素製造方法。
本菌株を下表1で示される組成の培養液500ml(ミリリットル)に加え、好気的条件下、37℃で一晩振盪培養(前培)を行った。
Figure 0004409893
次に好気的条件下、一晩振盪培養(前培)を行った培養液を一部採取し、蟻酸ナトリウムを含む下表2で示される組成の培養液に加え、37℃で12時間の振盪培養(本培)を行った。
Figure 0004409893
ついで、本培養液を遠心分離機にかけ(5000回転、15分)、上澄み液を除去し、水素発生機能を有する菌体を得た。
本菌体を遠心分離により分離後、下表3の組成で示される還元状態下の水素発生用溶液100mlに懸濁調製した(菌体濃度約40% 湿潤状態菌体質量基準)。
Figure 0004409893
水素発生用反応容器は、蟻酸供給ノズル、攪拌装置、pH調整装置、温度維持装置および酸化還元電位測定装置を備え付け、37℃に設定されている恒温水槽内に載置されている。
10M(モル)/L(リットル)濃度の蟻酸水溶液をマイクロポンプを用いて25ml/hrのフィード速度で連続的に反応容器に供給して発生するガス量を測定した。
蟻酸の供給と同時にガス発生が起こり、蟻酸の連続的供給の間(実験時間約6時間の間)ガス発生が継続した。捕集されたガスをガスクロマトグラフィーにより分析したところ、発生ガス中には50%の水素と残余の炭酸ガスを含んでいた。ガス流量計より測定された水素発生速度は実験時間の間、ほぼ一定の45L(H)/hr/L(反応容積)であった。
〔比較例1〕
実施例1における好気的培養培地に蟻酸ナトリウムが含まれていない(表2)ことを除いて、実施例1と同様の方法、条件により実験を行なったところ、水素発生溶液からはガスの発生は殆ど認められなかった。
実施例1、比較例1の結果により、好気的条件下で蟻酸類を含む培養液中培養することが水素生成機能を発現できる微生物の獲得に必須であることが明白である。
〔実施例2〕
実施例1と同様の条件、方法による好気的条件下での培養後、菌体を遠心分離機にかけ(5000回転、15分)、上澄み液を除去し、菌体を得た。この菌体を前記表2で示される実施例1で使用されたものと同一組成の嫌気的条件下にある誘導培地に懸濁した。
誘導培地溶液は、予め、120℃で10分間加熱後、直ちに減圧条件(〜約4.00×10Pa)にて20分間溶解している酸素の除去を行い、窒素雰囲気下にある攪拌装置、温度維持装置および酸化還元電位測定装置を備えた内容積10L(リットル)のガラス製容器に導入されている。
上記の分離した菌体の菌体濃度が2%(湿潤状態菌体質量基準)になるように懸濁調製を行い、6時間の嫌気条件下の誘導培養を行った(本発明の付加的な蟻酸類存在下の嫌気条件での水素発生機能発現の向上化)。培養後、遠心分離機にかけ(5000回転、15分)、上澄み液を除去し、菌体を得た。得られた水素発生機能を有する菌体を水素発生溶液に導入して実施例1と同様の条件、方法により水素発生機能を調べた。
実施例1と同様にして水素発生速度を測定したところ、55L(H2)/hr/L(反応容積)であった。
実施例1と実施例2の結果により、好気的条件下で培養した後に、さらに嫌気的条件下での誘導培養を行うことにより、微生物の水素生成機能の発現が向上し、反応容積あたりの水素発生速度が増大することが明らかとなった。
〔実施例3〜実施例7〕
エシェリキア コリ株(Escherichia coli W strain;ATCC9637)による生物的水素製造方法。
好気的条件下で培養を行う培地の蟻酸ナトリウムの濃度が、それぞれ0.5mM(実施例3)、1mM(実施例4)、100mM(実施例5)、300mM(実施例6)、500mM(実施例7)であること以外は、実施例2と同様の方法、条件により水素発生速度の測定を行った。これらの結果を図1に示した。
図1は、蟻酸類存在下の好気的水素生成機能発現方法に関して、蟻酸類濃度と水素発生速度の相関を示している。
蟻酸類濃度が1mM以上の濃度の好気的条件下で培養することで、水素発生速度が大きく向上することが明らかである。
また、蟻酸類濃度が高すぎても、濃度に比例した水素生成機能の発現効果が認められなくなることも示している。
本発明によって製造される水素は、例えば燃料電池を稼動させるクリーンエネルギーとして有用である。
好気的水素生成機能発現法での蟻酸類濃度と水素発生速度の関係。

Claims (2)

  1. 蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物を、好気的条件下の蟻酸類含有培養液中で培養後、還元状態にある水素発生用溶液に加え、該溶液に有機性基質を供給することを特徴とする生物的水素製造方法。
  2. 微生物が、好気的条件下で培養後、さらに嫌気的条件で蟻酸類含有培養液中で培養され、還元状態にある水素発生用溶液に加えられることを特徴とする請求項1に記載の生物的水素製造方法。
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