JP4409827B2 - アーク発生装置、アーク水製造装置、アーク発生方法、アーク水製造方法及びアーク処理方法 - Google Patents

アーク発生装置、アーク水製造装置、アーク発生方法、アーク水製造方法及びアーク処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多相多電極を用いてアークを発生するアーク発生装置、前記アークを水中で発生させてアーク水を製造するアーク水製造装置、及び、前記アークを水中で発生させてアーク水を製造するアーク水製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多電極を用いるアーク発生装置や前記アークを水中で発生させてアーク水を製造する装置は、本件出願人によって提案されている。
そしてこの出願の発明に関連する先行技術文献情報として次のものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭57−177879号公報
【特許文献2】
特開平4−210291号公報
【0004】
特許文献1には、「複数個の電極をそれぞれ多相交流電源または直流電源あるいは単相交流電源の各相に接続し、被処理物をその中性点またはマイナス側に接続し、電極相互間及び各電極と被処理物間にアークを発生させて、両方のアークによって被処理物を高温で加熱,溶解等の処理を行うようにしたもの」が記載されている。
【0005】
特許文献2には、「多電極アーク発生装置を用いて水道水等の水を処理することにより、飲料に適したおいしい水を得ることのできるアーク処理装置」であり、また「複数の電極の各々を摺動自在に収容する複数の筒状ホルダーと、上記各筒状ホルダーにより支持される上記各電極の先端をこれらが近接して所定の位置関係となるよう保持する位置決め保持部材とを備え」ているので、「上記各電極の消耗に伴い該電極を送り出してその先端位置をアーク発生可能位置に維持すること」ができるアーク発生装置及びアーク水製造装置が記載されている。
【0006】
アークの発生は、電極間の距離と印加電圧との関係を所定の範囲とする必要がある。すなわち、電極間の距離が大きいと絶縁破壊せず、電極間の距離が小さいと電極間が導通状態となって、いずれもアークが発生しない。通常このアークが発生する電極の距離の範囲はごく狭い範囲である。
【0007】
一般的にアークの特徴として、アーク発生時には高電圧を必要とするが、アーク発生後には、高電圧でなく、低電圧でもアークを発生させ続けることができる。一方で、アークの発生後は、アークの発生時に比べて電流量が極めて急激に増大する。
このため、通常のアーク発生装置の電気回路には、アーク発生時には高電圧とし、アークが発生して電流値が大きくなると急激に電圧を低下させるような回路となっている。この様な特性は垂下特性と言われるものであり、過電流が流れることによる装置の破損の防止の点から必要である。通常、この垂下特性を付与するため、飽和磁束漏洩式のトランスが用いられる。
【0008】
しかしながら、この急激な電圧低下の際にノイズを発生させるので、このノイズ対策が必要であり、また、不十分の場合には、制御機器の誤作動を招くこととなっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
第1の問題点として、電極の消耗により電極間距離が変動し、この調整の問題があった。
すなわち、アークを発生させると電極が消耗するので、電極間の距離は、徐々に大きくなっていく。そして、アークが発生する限界の距離よりも電極間の距離が大きくなるとアークが発生しなくなる。したがって、アークを連続的に発生させるには、電極の消耗に対応して、電極の先端を接近させることが必要であった。そして、上記の従来技術では電極を移動して電極間の距離を調節していた。
【0010】
しかしながら、上記の調節は難しいものであった。すなわち、アークによる電極の消耗は不均一に起こり、また、電極間の距離を正確に測定できない。したがって、電極間のアークの出方等を確認しながら電極の位置の調整していた。また、電極を自動制御により移動させる方法では、高精度の制御ができる高価な装置が必要であり、このような高精度の制御ができる装置でも、安定的にアークを発生させることは難しかった。
【0011】
さらに、多相多電極のため、少なくとも3つの電極を有しているので、それぞれの電極間が複数(例えば、3電極の場合には3カ所)あり、これらの距離をアークが発生する電極間距離にする必要があった。したがって、特に調整が複雑となっていた。
【0012】
第2の問題点として、アーク発生装置から発生するノイズの問題があった。
上記のように、アーク発生後の急激な電圧降下は、装置保護の点から必要であるが、このためノイズが発生する。
そこで、本出願人は、アークを低電圧で発生するように、電極間の距離を小さくし、かつ、この状態を安定的に維持することができないかを検討した。アークを低電圧で発生させることができれば、アーク発生後の電圧を発生時と同じにしても装置の破損の心配はなく、したがって、垂下特性は不要である。しかしながら、低電圧になればなるほど、電極間の距離が短くなり、また、より精密に電極間の距離を制御する必要がありこの制御は非常に難しくなり、より高価な制御装置が必要となった。
【0013】
さらに加えて、アーク発生装置には、変圧のためにトランスを用いているが、トランスには巻線があるため、この巻線により位相のずれが発生する。したがって、力率の低下を招き、安定したアークが発生し難かった。また、進相コンデンサーを用いて、位相のずれを補償したのでは、装置が高価となり大きくなってしまう。この位相のずれを、トランス自体の構造で解決できれば、他の用途に用いることにより、効率が良くなり、また省エネにもなる。
【0014】
そこで、本発明は、電極の消耗があっても調整が容易であり、安価なアーク発生装置及びアーク水製造装置を提供し、前記装置を用いて製造するアーク水製造方法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、多相交流電源に接続された複数の電極を有し、前記電極は先端同士を離して配置されるものであり、導電性を有して前記電極の先端に移動可能である電極間部材が設けられ、前記電極間部材が前記電極の先端の間にある状態で、電極と電極間部材との間でアークを発生させ、前記電極は棒状であり、前記電極は先端側が下側であって、電極同士が先端側に向かう方向に漸近するも、電極の先端同士は離して配置されており、前記電極間部材は上部から位置調整可能に吊り下げられていると共に、前記電極の先端で支持されながら電極の先端の間に配置されるものであることを特徴とするアーク発生装置である。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、電極の先端同士の間に配置が可能である導電性を有する電極間部材が設けられ、前記電極に電圧を印加しつつ前記電極間部材を前記電極の先端の間に配置してアークを発生させることができるので、電極が消耗しても電極間移動部材の移動により、アークの発生が可能な所定の間隔とすることができ、電極を移動させずに、容易に調整することができる。
また、本発明のアーク発生装置を、水などの中で使用した場合には、電極間部材が電極の先端に無い状態で電極に電圧を印加させることにより、電極間に電流が流れ、回転磁界などを発生させることができる。
【0017】
また、請求項に記載の発明によれば、棒状の電極の配置を、先端側を下側として、電極同士が先端側に向かう方向に漸近しながら電極の先端同士を離して配置して、前記電極間部材は電極の先端で支持が可能なので、電極間部材の保持が容易であり、装置の構造がより単純となる。また、アークが発生する電極と電極間部材との間は不完全接触となり、この状態は電極間部材の重力等によりほぼ一定とすることができる。したがって、高度な制御装置を必要とせずにアークを安定的に発生させることができ、この不完全接触では低電圧でアークを発生することができるので垂下特性は不要となる。
【0018】
さらに、請求項に記載の発明によれば、前記電極間部材は上部から位置調整可能に吊り下げられているので、電極間部材を電極の先端への配置する際や、位置の調整の際の作業が容易にできる。
また、前記電極間部材の先端の形状を円錐状又は円弧状として、電極との接触がエッジとならないようにすることもできる。
【0019】
請求項に記載の発明は、前記電極は、電極の先端同士の距離が離れる方向に移動可能であって、電極の先端同士の距離が近づく方向に付勢されていることを特徴とする請求項に記載のアーク発生装置である。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、電極の先端同士の距離が離れる方向に移動可能であり、電極の先端同士の距離が近づく方向に付勢されているので、電極間部材を下ろす際に、誤って勢いよく下ろした場合や、大きな力で下ろした場合などでも、電極が移動して電極の破損し難い。また、電極間部材が重いなどの理由により、電極と電極間部材との接触力が大きくなりすぎる場合でも、電極側が適度に移動して、電極と電極間部材との距離を自動的に調整することができる。
【0021】
請求項に記載の発明は、前記電極は3本であって、3相交流電源を用いてアークを発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載のアーク発生装置である。
【0022】
請求項に記載の発明によれば、電極は3本であって、3相交流電源を用いてアークを発生させるので、一般の電源を用いてアークを発生させることが可能となる。また、電極は3本であるので、電極間部材を電極により保持しながら不完全接触させる場合に、接触状態が安定する。
また、電極を6本としたアーク発生装置を用いて、アークを発生させることもできる。
【0023】
請求項に記載の発明は、前記電極と電源の間にトランスを有するアーク発生装置であって、前記トランスは巻線の有する誘導成分の位相のずれを補償するための容量成分を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアーク発生装置である。
ここで、「位相のずれを補償する」とは、誘導成分による位相の遅れを、誘導成分とほぼ同じくらいの容量成分により進ませることである。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、巻線の有する誘導成分の位相のずれを補償する容量成分を有しているので、アークの発生が安定し、ノイズが発生しにくくなる。
【0025】
請求項に記載の発明は、前記トランスは、板状の巻線を板面が対向するように巻かれているものであり、巻線間に容量成分を持っていることを特徴とする請求項に記載のアーク発生装置である。
【0026】
請求項に記載の発明によれば、トランス自体に容量成分を持っているので、進相用コンデンサを用いることなく、位相のずれを補償することができる。そして、より周波数特性に優れたトランスとすることができる。
【0027】
請求項に記載の発明は、前記電極及び前記電極間部材のいずれか一方又は両方が、炭素電極であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアーク発生装置である。
【0028】
本発明は、請求項に記載の発明のように、アーク発生によって消耗しやすい炭素電極を用いた場合に特に有効である。
【0029】
請求項に記載の発明は、前記電極は、先端同士が接近する方向に移動可能であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアーク発生装置である。
【0030】
請求項に記載の発明によれば、電極は、先端同士が接近する方向に移動可能であるので、電極の先端の距離の調整が可能である。そして、電極と電極間部材との間でアークを発生させた後に、電極間でアークを発生させることが可能となる。
【0031】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のアーク発生装置を用いるアーク発生方法であって、前記電極間部材が前記電極の先端の間にある状態で、電極と電極間部材との間でアークを発生させた後に、前記電極の先端同士を接近させ、電極間でアークを発生させることを特徴とするアーク発生方法である。
【0032】
請求項に記載の発明によれば、電極と電極間部材との間でアークを発生させた後に、前記電極の先端同士を接近させ、電極間でアークを発生させることができるので、電極と電極間部材との間でアークが発生させて、アークが安定した状態で、電極間同士を接近させることにより、電極間でアークを発生させることが出来る。また、その後、電極間部材を電極から遠ざけても電極間でアークを発生させることができる
【0033】
請求項に記載の発明は、前記電極間部材は筒状であり、前記電極間部材の一方の開口は電極の先端付近に位置していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアーク発生装置である。
【0034】
請求項に記載の発明によれば、前記電極間部材は筒状であり、前記電極間部材の一方の開口は電極の先端付近に位置しているので、電極の先端で発生しているアークに被処理物等を供給してアーク処理を行うことができる。
【0035】
請求項10に記載の発明は、請求項に記載のアーク発生装置を用いるアーク処理方法であって、電極間部材の他方の開口から一方の開口に向けて、被処理物を供給することを特徴とするアーク処理方法である。
ここで、「アーク処理」とは、アーク発生部分に被処理物を供給することにより、被処理物を変化させることである。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、筒状の電極間部材の他方の開口から一方の開口に向けて、被処理物を供給することにより、容易に被処理物のアーク処理を行うことができる。
【0037】
また、上記したアーク製造装置をアーク水製造装置に用いることができる。
すなわち、請求項11に記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載のアーク発生装置と、水槽とを有し、前記電極の先端は水槽の内部に位置して、水中でアーク水を発生することを特徴とするアーク水製造装置である。
ここで、「水」とは純水に限られるものでなく、水道水や多少の添加物や不純物等が混ざっている水も含まれる。
【0038】
請求項12に記載の発明は、水槽内の水位を検知する水位検知手段を有し、水位検知手段によって所定の水位以下と判断された場合には前記電極に対する電圧の印加を阻止することを特徴とする請求項11に記載のアーク水製造装置である。
【0039】
請求項12に記載の発明によれば、水槽内の水位を検知する水位検知手段を有しているので、水槽内に水のないときには電圧の印加することがないので、無駄な電気の使用を防止する。
【0040】
また、本発明のアーク水製造装置で製造した水は、飲料などに優れるおいしい水である。すなわち、請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載のアーク水製造装置を用いて製造することを特徴とするアーク水製造方法である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態におけるアーク水製造装置の側方断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態におけるアーク水製造装置の蓋部を取り除いた状態における上面図である。図3及び図4は、本発明の第1の実施形態におけるアーク発生装置の電極部分を拡大した側面図である。図5は、本発明の第1の実施形態におけるアーク発生装置の配線状態を示した模式図である。図6は、本発明の第1の実施形態におけるアーク発生装置に用いる電源の電圧波形を示す図である。図7は、本発明の第1の実施形態におけるトランスの外観を示した斜視図である。図8は、本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板の配置を示した斜視図である。図9は、本発明の第1の実施形態におけるトランスの鉄心を示した斜視図である。図10は、本発明の第1の実施形態におけるトランスに使用する枠状板の正面図である。図11は、本発明の変形例における枠状板の正面図である。図12は、本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の配線状況を示した正面図である。図13、図15及び図16は、本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の配線状況を示した図である。図14は、本発明の変形例におけるアーク発生装置の電極部分を拡大した側面図である。図15は、本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の、第2の方法による配線状況の枠状板の配置を示した正面図である。図16は本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の、第2の方法による配線状況を示した図である。図17は、本発明のアーク発生装置の電極の先端付近を拡大した側面図である。図18は、本発明の変形例におけるアーク発生装置の電極の先端付近を拡大した側面図である。図19は、本発明の変形例におけるアーク発生装置の電極の先端付近を拡大した側面図である。図20は、本発明の変形例におけるアーク水製造装置の配線状態を示した模式図である。
【0042】
本発明の第1の実施形態におけるアーク水製造装置1は、図1に示されるものであり、水槽10とアーク発生装置11を有している。水槽10は、水などの液体を入れておくことができる容器で、本体部12と蓋部13を有している。
【0043】
アーク発生装置11は、3本の電極15と、電極間部材16と、電極保持部17を有している。電極15の先端15a側は炭素電極が用いられている。電極間部材16は先端16aが炭素電極であり、電気を導通することができるものである。また、電極15は棒状であり、電極15の給電部15b及び電極間部材16の根元側16bはステンレス製であり、導電性で適当な強度を有している。
【0044】
電極保持部17は、図1に示されるように、水槽10の内部であり上端付近に位置している。なお、電極保持部17の固定方法は図示していないが、下端側が水槽10の底に接触している数本の脚が設けられて、この脚により水槽10に固定されている。また他の方法として、電極保持部17を水槽10の本体部12に連結、接着、溶接などにより直接固定してもよい。また、電極保持部17は、図2に示されるように三方に延びており、120°ごとに放射するような形状である。
【0045】
そして、3本の電極15は給電部15bを介して電極保持部17に固定され、また電極間部材16は、電極保持部17に固定された吊し部材18により吊り下げられている。電極15と電極間部材16の配置は、図1、図2に示されているが、これを概観すると、頂点を下側とした状態の三角錐において、3つの電極15は頂点を含む辺に配置され、先端15a側が頂点方向であり、電極間部材16は前記三角錐の底面から頂点に向かって吊り下げられて、頂点付近に配置されている。したがって、電極15の先端15a付近の間隔が、電極15同士の間隔に比べて最も近い。
なお、電極間部材16の全体の比重は、水などの処理される液体等よりも比重が大きく、電極間部材16は沈んで吊り下げることができる。
【0046】
電極15の電極保持部17への固定は、以下のように行われる。
図1に示されるように、電極15は給電部15bに固定され、給電部15bは電極保持部17により、支点20を中心に回転可能に保持されている。また、支点20よりも下側には引っ張りばねからなる付勢部材21が設けられ、電極15は、付勢されている。一方、支点20の上側には電極15の外側への移動を規制する移動規制部材22が設けられている。移動規制部材22はねじ状であり、移動規制部材22を回転すると電極15の当接部分の位置を変更することができ、規制する位置を変更することができる。
【0047】
このように電極15が給電部15bを介して電極保持部17に固定されているので、電極15の先端15aは、外側や下側に向かって前記付勢部材21の付勢力に打ち勝つ力が加わると電極15の先端15aは互いに広がる方向に移動する。また、逆に、内側や上側に向かう方向に力が加わっても移動しない。また電極15に荷重がかかっていない場合には、前記付勢部材21の付勢力によって移動規制部材22に接触することとなり、移動規制部材22に接触した状態で保持されている。
また、移動規制部材22を回転させて、電極15の当接部分の位置を変更することができるので、電極15の先端15a同士を離れる方向にも接近させる方向にも移動させることができ、この移動はアーク発生装置11の使用中にも可能である。
【0048】
そして、3つの電極15の位置を、移動規制部材22を調整して、電極15の先端15a同士が接触しないよう調整する。電極15の先端15a同士の好ましい間隔は10mm程度である。この調整は厳密にする必要はなく、おおよそ合わせればよい。また、電極15の先端15a同士の間隔は、電極間部材16の先端16a付近の大きさよりもやや小さくするように調整する。なお、電極15等の絶縁は、必要に応じて行う。
【0049】
電極15の傾斜角αは特に限定されるものではないが、30°〜45°であることが望ましい。この傾斜角αは、図17に示されるように、垂直線と電極15とが交わる角度であり、全ての電極15の傾斜角αがほぼ同じであることが望ましい。傾斜角αが大きすぎると電極15と電極間部材16との接触部分でアークが発生しにくくなる。また、傾斜角αが小さいとアークは発生しやすくなるが、傾斜角αより小さいと、広い面積でアークが発生して電極15の温度が上昇しすぎることとなり、熱量の無駄が発生して電力のロスとなる。
また、電極間部材16の太さD2は、電極15の太さD1の2倍以上であることが望ましい。かかる場合には、図17に示されるように、電極間部材16の先端16aが徐々に消耗して、偏った消耗が発生しにくい。電極間部材16の外形は円形であることが望ましく、かかる場合には、電極15のへの接触状態が均等となりやすい。また、電極間部材16の先端16aの形状は円錐状や、球状が望ましく、かかる場合には電極15との接触状態が安定する。
【0050】
また、アーク水製造装置1には浮き部材30が設けられている。浮き部材30は、水に浮くものであり、水槽10内の水位に対応して上下して水位を検知して、水位検知手段となる。
【0051】
また電極間部材16の固定は、吊し部材18により行われる。そして、電極保持部17に固定された吊し部材18により電極間部材16は吊り下げられている。吊し部材18はひも状部25、巻き取り部26及び固定部27からなる。
固定部27は、電極保持部17に固定されており、巻き取り部26を回転可能に保持している。巻き取り部26は、ひも状部25を巻き取り及び送り出しすることができる。そして、ひも状部25は、電極保持部17の中心開口29に挿通されて、水槽10の下側に向かって延びており、さらにひも状部25の先に電極間部材16が接続している。吊し部材18はこのように構成されているので、巻き取り部26によるひも状部25の巻き取りや送り出しにより、電極間部材16の位置を調整することができる。巻き取り部26による巻き取りや送り出しは、手動で行っても良く、モータなどにより自動で行っても良い。
【0052】
そして、アークを発生させるときには、吊し部材18により調整して、電極間部材16の位置を、図4に示されるように、電極15の先端15a付近の位置となるようにし、さらに、電極15の先端15aの上側で電極間部材16を軽く接触させるようにする。本実施形態では、電極15の先端15aの間隔が電極間部材16の大きさよりも小さいので、電極間部材16が電極15間を通り越してしまうことがない。また三方から支えることができるので容易に保持することができ、電極間部材16と電極15との接触状態が安定する。
【0053】
アーク発生装置11の電極15は、図5のような配線がなされる。
電源は、図6に示されるような電圧波形を持つ3相交流電源が用いられている。そして、本実施形態では、一般の3相電源をトランス70に接続し、トランス70と3本の電極15とを接続して行っている。
【0054】
そして、トランス70の二次側の電圧は、25〜33Vであり低電圧であり、トランス70には垂下特性を有していない。したがって、本実施形態のアーク発生装置11は、アーク発生時に、垂下特性による電圧降下の際に発生するノイズは発生しない。
【0055】
トランス70の外観は図7に示されている。トランス70は、容量成分を持ったものである。そして、トランス70は、銅板を枠状として、内側には空間部77が設けられ、また、枠の一部が切れており、切れ目71aが設けられた、図10に示されるような枠状板71を巻線として用いている。そして、図8、図9に示されるように、空間部77をトランス70の脚部80に入れて、枠状板71を鉄心75に巻き付けるようにして、複数の枠状板71をスパイラル状につないでトランス70のコイル73とする。このとき、枠状板71同士の間には図12に示されるように、絶縁部材72を挿入しながら組み立てられる。
【0056】
本実施形態のトランス70の巻線は、板状コイル73であり、板状コイル73は、板状の枠状板71を板面が対向するように巻かれて構成されているので、隣接する枠状板71同士の間に、容量成分を有している。したがって、トランス70はトランス70の誘導成分の位相のずれを補償することができる。
そして、本実施形態のトランス70は、トランス70の二次巻線による誘導成分を補償する容量成分を持たせているので、位相のずれがほとんどなく、また、電流と電圧の位相差がほとんどなく、使用の際には力率が100%に近いものとなる。
【0057】
また、トランス70の鉄心75は、図9に示されるように、継ぎ目がない鉄心であり、略「日」型の形状をしており、2つの開口82と、3つの脚部80を有し、脚部80は両側部と中央に三本有している。鉄心75は、略「日」型の形状の鋼板を打ち抜き加工などにより形成した鉄心用板75aを重ね合わせて製作される。鉄心75の材質は、珪素鋼板を使用している。そして、鉄心用板75aの面に対してコイル73の軸が平行となるようにして、3つの脚部80に3相交流の各相に対応するコイル73を巻く。
【0058】
そして、トランス70の巻線であるコイル73に電流が流れると、この電流によって生じる磁界は、鉄心75を通す。この磁界の通る方向は、鉄心用板75aの面に対して平行である。トランス70では、磁界の通る方向は鉄心用板75aの面上を通るのでつぎ目がなく、トランス70を使用するの際にロスが少ない。また、鉄心用板75a間では磁界は通しにくく、2次側に伝達されない磁束を減少できるので、効率の良いトランス70となる。
【0059】
図12は、枠状板71の切れ目71a付近の配線の一部を示した図である。そして枠状板71の配線は、枠状板71の切れ目71a付近の一方の端部71bと、枠状板71の他方の端部71cを接続板71dで接続する。接続板71dは、一方の端部71bと別の枠状板71の他方の端部71cとを接続してコイル73を形成していく。コイル70の短絡を防止するため、絶縁部材72を挟む。枠状板71の端部71b、71c付近には貫通孔76が設けられており、貫通孔76にロッド79を挿通してコイル73を固定する。なおこのロッド79は、絶縁されてコイル73の短絡を防止している。
【0060】
本実施形態のコイル73は同じ脚部80に一次側(電源側)のコイル73と二次側(電極側)のコイル73を互い違いに同方向に巻き、二条巻のコイルの部分を有している。そして、これらのコイル73は独立しており、それぞれ、一次側(電源側)のコイル73と二次側(電極側)のコイル73として使用される。
【0061】
具体的な接続方法を、図13、図15、図16を用いて説明する。
まず第1の方法としては、図13に示されている。枠状板71の一方の端部71bと他方の端部71cの組み合わせが、図13における、S2とT2、S3とT3、S4とT4、S5とT5、S6とT6であり、これらの間は、図13で図示しない枠状板71により、鉄心75の脚部76を回って接続されている。そして、接続板71dにより、S1とT3、S2とT4、S3とT5、S4とT6、S5とT7をつないでいる。その結果、S1からT3、S3、T5、S5を経てT7につながるコイル73と、T2から、S2、T4、S4、T6を経てS6につながるコイル73が形成される。
第2の方法としては、図15に示すように、枠状板71の切れ目71aの位置を交互に配置し、それぞれの位置で接続板71dを用いて図16(a)、(b)の様に、それぞれの位置に置いて配線を行うものである。
【0062】
なお、トランス70の、コイル73の巻数(一次側、二次側)、鉄心75及び枠状板71の形状、大きさなどは、使用する電源やアーク発生装置11の能力などによって変更可能である。
【0063】
そして、図5のように、配線して使用する。すなわち、トランス70の一次側の3つのコイル73の同相側を短絡してスター接続し、他方を一次電源に接続する。またトランス70の二次側の3つのコイル73の同相側を短絡してスター接続し、他方を電極15側に接続する。
【0064】
次に、アーク水製造装置1を用いて、アーク水を製造する方法について説明する。
まず、水槽10に水を入れる。そうすると、浮き部材30が水位と共に上昇し、水位を検知する。そして、水位が電極15の先端15aよりも上にある所定の水位に到達すると電極15に電源を入れる。なお、水が所定の位置まで貯まっておらず、浮き部材30により所定の水位を検知しない場合には、アーク水製造装置1に組み込まれた電圧印加阻止手段(図示せず)により、アークの発生することはない。
【0065】
そして、電極間部材16を巻き取り部26より引き上げた状態で、電源を入れて電極15間に電圧を印加する。トランス70の2次側の電圧は、25〜33Vであり低電圧である。
電極15間に電圧を印加している状態であっても、電極間部材16同士は離れているとアークが発生することはないが、水が導電性であるので電極16間には回転磁界を伴う微電流が流れ、電磁振動が発生する。
【0066】
次に、巻き取り部26を操作して、ひも状部25を繰り出して、図3の様な状態から電極間部材16を徐々に降下させる。そして電極間部材16が電極15の先端15a付近に達し、図4の様な状態となる。電極間部材16と電極15との接触は、電極間部材16が吊り下げられて電極15に接触し、不完全な接触状態となる。このとき、電極間部材16は、電極15の先端15a付近で電極15によって保持することができる。すなわち、3本の電極15により、電極間部材16は支えられて保持される。
電極間部材16を急激に落下させても電極15の先端15aは外側に向かって移動可能であるので、電極15及び電極間部材16の破損のおそれが少ない。また、付勢部材21により、電極15と電極間部材16との接触力を調整することもできる。
【0067】
そして、電極15と電極間部材16との電位差により、電極15と電極間部材16との間の絶縁破壊を起こすほど接近した場合に、アークが発生する。
【0068】
一旦、アークが発生すると、発生中のアークにより、他の電極15におけるアークが誘発されるので、アークが途切れにくい。本実施形態では、3相交流電源を使用しているので、いずれかの2つの電極15間の電位差が0Vまたは0Vに近い値となった場合には、他の電極15間では電位差は大きい。したがって、電位差が0Vまたは0Vに近い電極15間で、電圧が再度上昇する際のアークの発生は、他の電極15間で発生しているアークにより誘発されるので、連続してアークが発生し、アークが途切れにくい。
さらに、電極間部材16を図20に示すように、二次側の3つのコイル73の同相側を短絡してスター接続した部分に結線してもよい。かかる場合には、電極間部材16といずれかの電極15に確実に電位差ができるので、安定的にアークが発生する。さらに、二次側の3つのコイル73の同相側を短絡してスター接続した部分を接地してアースしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、電極間部材16を吊すだけで、電極15と電極間部材16を不完全接触させアークを連続的に安定的に発生させることができるものであるが、さらに、自動制御等により、アークの発生状況を確認しながら、電極間部材16の位置を調整するようにし、より安定的にアークを発生させるようにすることもできる。この場合、従来技術のように、電極15自体を移動させることがないので、容易に行うことができる。
【0070】
また、本実施形態では、トランス70によって電流と電圧との位相差が小さく、力率が100%に近いので、アークの発生が安定して、ノイズが発生しにくく、また、垂下特性の不要な回路を用いて安定したアークを発生することができる。
すなわち、位相差が大きいと電極15や電極間部材16でアークによる発熱が小さいのでアークが安定しにくい。また、通常、アークの発生は不安定であり、アークの発生によるノイズの発生が大きくなりやすいが、本発明のアーク発生装置11では、位相差が小さいので、ノイズの発生が殆どない。
【0071】
そして、アーク発生装置11の電極15間の電圧は低電圧であるので、垂下特性を有する回路を用いなくてもよく、これによってノイズの発生の低下をすることができる。
【0072】
連続してアークを発生させると、アークが発生する部分(電極15と電極間部材16との間)が消耗する。本実施形態では、電極間部材16が吊り下げられているので、その消耗に応じて降下して不完全な接触とし、かつ、この接触状態は安定しているので、いちいち調整することなく、連続してアークを発生させることができる。
また、電極15間の消耗が少々不均一であっても、電極間部材16を吊して接触させる構造であるので、ほぼ均等な接触状態とすることができる。したがって、アーク発生装置11には、従来技術のような高価な制御装置は不要である。
さらに、3電極以上でも、容易に調整が可能である。すなわち、従来技術では不均一に電極15が消耗すると、その電極15の消耗に応じて、極めて高級精密な調整をする必要があったが、本実施形態では、そのような調整は不要であり、電極間部材16の調整のみで調整できる。
【0073】
また、本実施形態では電極間部材16を引き上げることにより、アークの発生を容易に止めることができる。
すなわち、所定の時間の間、アークを発生させた後、電極間部材16を引き上げる。そうすると電極15と電極間部材16との不完全接触が解消され、アークが発生しなくなる。しかし、電極15間に電圧がかかっている限り、回転磁界や電磁振動が起こるので、水が改質される。
【0074】
また、アークの発生が安定するとアークの発生する電極間の距離の範囲が広がるので、電極間部材16を引き上げる前に電極15の先端15aを接近させることにより、電極間部材16を引き上げても継続的にアークを発生させることができる。すなわち、上述したように電極間部材16が無いと、アークを発生させることは難しいのであるが、一旦アークが発生すると、電極15の温度が上がり、電極表面が活性化され、発生したアークにより誘発される等の理由により、アークが発生しやすくなり、アークが発生可能な電極間の距離の範囲が広がる。
具体的方法として、上記した方法により電極15と電極間部材16との間でアークを発生させ、その後、電極15を先端15a同士を接近させて、電極15同士の間にアークを発生させる。この状態では上記理由により、精密な制御がなくてもアークが発生する。そうして、電極間部材16を引き上げると、電極15間でアークが発生し続けることができる。
なお、電極15が新品の場合には、電極間部材16との接触部分が角張って、接触状態が不安定となりやすいが、電極15間でアークを発生させることにより、前記角でアークが発生して、角での消耗が大きくなり、角が取れてアークの発生が安定する。
【0075】
そして、水槽10の排出部35などからアーク水を排出する。また、必要に応じてアーク水を別途設けられた濾過装置に通して濾過しても良い。
【0076】
上記の実施形態はアーク水製造装置1であったが、アーク発生装置11のみを単独で使用することができる。したがって、水中でなく、空気中やその他の媒体中でもアークを安定的に発生させることができる。
【0077】
上記した実施形態では、電極間部材16は電極15の先端15aの間付近に上側から吊すものであったが、これに限られず、導通性を有し、電極15の先端15aの間に位置することができ、電極15と不完全な接触ができれば良く、例えば、図14に示されるように、上側が平面状であって電極15の下側にするような電極間部材86を用いることができる。
さらに、図18に示されるように、第1の実施形態のアーク発生装置11を上下を反対として、電極間部材16を下側から上向きに押し当てても良い。この場合には電極間部材16をばねである付勢部材50を介してモータ51により、上下させる構成とすることにより、簡単な構造で安定的にアークを発生させることができる。かかる方法によれば、水中でアークを発生させ、水素ガス、酸素ガスなどを採取する場合には、電極間部材16が邪魔にならず、採取しやすい。
【0078】
また、図19に示されるようなアーク発生装置55により、発生しているアークの中に被処理物を流出させ、被処理物のアーク処理を可能とすることができる。すなわち、電極間部材56は筒状であって、一方の開口57及び他方の開口58が設けられており、一方の開口57は電極の先端付近に位置している。そして、上記した実施形態と同様にアークを発生させ、図19の矢印の方向に、被処理物を他方の開口58から投入して一方の開口57から供給する。そうすると、電極15と電極間部材56との間でアーク中に被処理物を容易に供給することができ、被処理物のアーク処理が可能である。被処理物は、気体、液体、粉体等の固体など、電極間部材56の内部を通過することが可能なものであればどのようなものでも良い。
図19に示される、アーク発生装置55を用いることにより、有害な物質などをアーク処理して無害化することができ、また、この無害化された物質は炭化物となり、熱エネルギーとして再利用することもできる。なお、アーク発生装置55は、水中で使用しても良く、空気中で使用しても良い。
なお、電極間部材56の材質が炭素電極である場合には、電極間部材56は太い方が加工性がよいので望ましい。
【0079】
上記した実施形態のトランス70では、枠状板71は一枚で鉄心75を一周して1ターンとするものであったが、これを分割し、図11に示されるような2枚で鉄心75を一周して1ターンとし、1枚で半ターンとするする枠状板81を用いてもよい。このような、枠状板81を用いることにより、トランス70のきめ細かい調整をすることが可能である。特に、大型のトランス70では、銅板が厚くなるので枠状板71の変形が難しいので、鉄心75に巻き付ける際に変形させることなく容易にトランス70の製作が可能である。
【0080】
本実施形態では、3相交流電源を用い、3本の電極を用いるものであったが、多相であれば3相以上でもよい。また4本以上の電極を用いることができる。
【0081】
また、本実施形態で用いたトランス70は、アーク発生装置11,55だけでなく、他の用途にも用いることができる。すなわち、トランス70の板状コイル73が板状の枠状板71を板面が対向するように巻かれて構成されているので、隣接する枠状板71同士の間に、容量成分を有している。そのため、トランス70は誘導成分の位相のずれを補償することができる。したがって、トランス70の2次側にモーターなどの機器を接続しても、この機器を効率良く作動させることができる。例えば、トランス70をスポット溶接機やアーク溶接機に用いた場合には、力率が改善され、低容量で効率がよく、省エネにもなる。
本発明のトランス70によれば、巻線は板面が対向するように巻かれて巻線間に容量成分を持っており、前記容量成分は前記巻線の有する誘導成分の位相のずれを補償することができるので、進相コンデンサーなどの機器を用いることなく、力率の改善ができる。
【0082】
また、トランス70は3相3脚タイプであったが、単相タイプのものにも板状コイル73を用いることができる。例えば、スポット溶接機に、誘導成分の位相のずれを補償したトランス70を用いた場合には、発熱が大きく、効率よく溶接することができる。
【0083】
さらに、トランス70の容量成分を増やし、トランス70の二次巻線による誘導成分よりも大きい容量成分を持たせてより進相としたトランスも有用である。すなわち、2次側の回路に、モーターのコイルなどの誘導成分が含まれている場合には、トランス70の容量成分だけでは、回路全体としての位相が遅れることとなる。しかしながら、このようなトランスを用いることによって、回路全体の位相のずれを補償することが可能となり、効率が良く、省エネにもつながる。
すなわち、本発明の上記トランスによれば、巻線は板面が対向するように巻かれて巻線間に容量成分を持っており、前記容量成分は前記巻線の有する誘導成分よりも大きいので、モータに用いられるコイルなどの誘導成分を有する機器に使用しても、進相コンデンサーなどを用いることなく力率の改善が可能となる。
【0084】
また、トランス70の巻線を、切れ目を有する枠状板と、接続板とを接続して構成し、1次側の巻線と2次側の巻線を互い違いに同方向に巻くこともでき、かかるトランス70では、1次側の巻線と2次側の巻線とを近づけることができ、トランス70の効率を良くすることができる。
【0085】
そして、前記枠状板71の切れ目付近と接続板71dには貫通孔76を設け、前記貫通孔76にロッド79を挿通して固定したトランスでもよく、位置あわせの作業や、固定作業が容易となり、容易に製作することができる。
【0086】
さらに、2枚で1ターンとなる枠状板81を用いたトランス70でもよく、かかる場合にはトランス70の2次側電圧などの調整が容易となる。また特に大型トランス等に用いられる厚い枠状板の場合には変形が難しいが、容易にトランス70の製作をすることができる。
【0087】
そして、鉄心75は、鋼板を重ね合わせて形成されるものであり、巻線に流れる電流によって生じる磁界を通す磁路にはつぎ目がないトランス70をもちいてもよく、かかる場合には、磁気抵抗が減少し、また、2次側に伝達されない磁束を減少できるので、効率の良いトランス70となる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、電極の消耗があっても調整が容易であり、安価であるアーク発生装置及びアーク水製造装置を提供し、また、前記装置を用いて製造するアーク水製造方法を提供することができる。
また、本発明のトランスは、進相コンデンサーなどの機器を用いることなく、力率の改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態におけるアーク水製造装置の側方断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態におけるアーク水製造装置の蓋部を取り除いた状態における上面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態におけるアーク発生装置の電極部分を拡大した側面図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態におけるアーク発生装置の電極部分を拡大した側面図である。
【図5】 本発明の第1の実施形態におけるアーク水製造装置の配線状態を示した模式図である。
【図6】 本発明の第1の実施形態におけるアーク発生装置に使用する電源の電圧の波形図である。
【図7】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの外観を示した斜視図である。
【図8】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板の配置を示した斜視図である。
【図9】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの鉄心を示した斜視図である。
【図10】 本発明の第1の実施形態におけるトランスに使用する枠状板の正面図である。
【図11】 本発明の変形例における枠状板の正面図である。
【図12】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の配線状況を示した正面図である。
【図13】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の、第1の方法による配線状況を示した正面図である。
【図14】 本発明の変形例におけるアーク発生装置の電極部分を拡大した側面図である。
【図15】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の、第2の方法による配線状況の枠状板の配置を示した正面図である。
【図16】 本発明の第1の実施形態におけるトランスの枠状板と接続板の、第2の方法による配線状況を示した図であり(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図17】 本発明のアーク発生装置の電極の先端付近を拡大した側面図である。
【図18】 本発明の変形例におけるアーク発生装置の電極の先端付近を拡大した側面図である。
【図19】 本発明の変形例におけるアーク発生装置の電極の先端付近を拡大した側面図である。
【図20】 本発明の変形例におけるアーク水製造装置の配線状態を示した模式図である。
【符号の説明】
1 アーク水製造装置
11、55 アーク発生装置
15 電極
15a 先端
16、56 電極間部材
30 浮き部材(水位検知手段)
57 開口
58 開口
70 トランス

Claims (13)

  1. 多相交流電源に接続された複数の電極を有し、前記電極は先端同士を離して配置されるものであり、導電性を有して前記電極の先端に移動可能である電極間部材が設けられ、前記電極間部材が前記電極の先端の間にある状態で、電極と電極間部材との間でアークを発生させ、前記電極は棒状であり、前記電極は先端側が下側であって、電極同士が先端側に向かう方向に漸近するも、電極の先端同士は離して配置されており、前記電極間部材は上部から位置調整可能に吊り下げられていると共に、前記電極の先端で支持されながら電極の先端の間に配置されるものであることを特徴とするアーク発生装置。
  2. 前記電極は、電極の先端同士の距離が離れる方向に移動可能であって、電極の先端同士の距離が近づく方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のアーク発生装置。
  3. 前記電極は3本であって、3相交流電源を用いてアークを発生させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアーク発生装置。
  4. 前記電極と電源の間にトランスを有するアーク発生装置であって、前記トランスは巻線の有する誘導成分の位相のずれを補償するための容量成分を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアーク発生装置。
  5. 前記トランスは、板状の巻線を板面が対向するように巻かれているものであり、巻線間に容量成分を持っていることを特徴とする請求項4に記載のアーク発生装置。
  6. 前記電極及び前記電極間部材のいずれか一方又は両方が、炭素電極であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアーク発生装置。
  7. 前記電極は、先端同士が接近する方向に移動可能であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアーク発生装置。
  8. 請求項7に記載のアーク発生装置を用いるアーク発生方法であって、前記電極間部材が前記電極の先端の間にある状態で、電極と電極間部材との間でアークを発生させた後に、前記電極の先端同士を接近させ、電極間でアークを発生させることを特徴とするアーク発生方法。
  9. 前記電極間部材は筒状であり、前記電極間部材の一方の開口は電極の先端付近に位置していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアーク発生装置。
  10. 請求項9に記載のアーク発生装置を用いるアーク処理方法であって、電極間部材の他方の開口から一方の開口に向けて、被処理物を供給することを特徴とするアーク処理方法
  11. 請求項1〜7、9のいずれかに記載のアーク発生装置と、水槽とを有し、前記電極の先端は水槽の内部に位置して、水中でアーク水を発生することを特徴とするアーク水製造装置。
  12. 水槽内の水位を検知する水位検知手段を有し、水位検知手段によって所定の水位以下と判断された場合には前記電極に対する電圧の印加を阻止することを特徴とする請求項11に記載のアーク水製造装置。
  13. 請求項11又は12に記載のアーク水製造装置を用いて製造することを特徴とするアーク水製造方法。
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