JP4409719B2 - ゲーム装置および情報記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、仮想カメラから見たオブジェクト空間の画像を生成し、当該生成画像を表示させることにより、所与のゲームを実行するゲーム装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用のゲーム装置には、ビデオ端子の解像度が640×480ドットの家庭用のテレビを表示装置として利用するのが一般的である。このため、ゲーム装置は、1秒間に60フレームの画像を生成するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表示装置の解像度は一定のものであるため、生成・表示されるゲーム画面には次のような問題が発生していた。即ち、▲1▼オブジェクトの輪郭に生じるジャギーや、▲2▼連続パターンに生じるモアレ、▲3▼表示画面における大きさが1ピクセル以下となるオブジェクトの表示/非表示、などがそれである。
【0004】
さらに、ゲーム装置が1秒間に生成するフレーム数(画像数)は、上記の通り60フレームである。このため、例えば、レーシングゲームのように、オブジェクト空間内を仮想カメラが移動する(実際には、プレーヤキャラクタに追従して移動する。)場合には次のような問題が発生する。即ち、仮想カメラの動作速度が1/60秒の画面更新時間に同期してしまって、縁石等の縞模様が止まって表示されたり、実際の速度よりも遅く、また極端な場合には実際の動作方向とは逆方向に縞模様が流れるように表示される、といったことが生じる。
【0005】
なお、上記課題は、テレビを表示装置とする家庭用のゲーム装置に限られず、高解像度なモニターや、業務用のゲーム装置においても発生する問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示装置の解像度やリフレッシュレートの制約によって生じる不可思議な表示を簡便かつ効果的に低減させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、第1の発明は、仮想カメラから見たオブジェクト空間の画像を生成し、当該生成画像を表示させることにより、所与のゲームを実行するゲーム装置において、前記オブジェクト空間内の所与の位置からの距離に基づいて、前記オブジェクト空間内の所与のオブジェクト(例えば、図1の暈かしオブジェクト10)の画像を暈かすゲーム装置である。
【0008】
第10の発明は、仮想カメラから見たオブジェクト空間の画像を生成し、当該生成画像を表示させることにより、所与のゲームを実行するための情報を記憶した情報記憶媒体であって、前記オブジェクト空間内の所与の位置からの距離に基づいて、前記オブジェクト空間内の所与のオブジェクト(例えば、図1の暈かしオブジェクト10)の画像を暈かすための暈かし情報(例えば、図6のα値算出プログラム430)を含む情報記憶媒体である。
【0009】
この第1または第10の発明によれば、オブジェクト空間全体の画像を暈かすのではなく、一定のオブジェクトに対して暈かし処理を行うため、容易かつ高速に暈かし処理を実行することが可能である。またその暈かし処理は、所与の位置からの距離に基づいて行われるため、例えば、所与の位置が仮想カメラの位置であった場合には、遠方になるに従って目が細かくなるために生じる連続パターンのモアレや、表示されるオブジェクトの幅が狭まることによって生じる当該オブジェクトの変形といった不可思議な表示を効果的に抑制することが可能である。
【0010】
なお、ここで、暈かし処理は、所与のオブジェクト全体に対して均一に行うこととしてもよいし、画面上に表示される所与のオブジェクトのピクセル単位で行うこととしてもよい。
【0011】
また、第2の発明として、第1の発明のゲーム装置において、前記所与のオブジェクトは、下地を表現するための第1のオブジェクト(例えば、図1の下地オブジェクト20)と、当該第1のオブジェクト上の第1から第nの表面を表現する表面層を表すための第2のオブジェクト(例えば、図1の暈かしオブジェクト10)とから構成され、第2のオブジェクトの画像を暈かすことによって、第1のオブジェクトの画像を現出させるゲーム装置を構成することとしてもよい。
【0012】
また、第11の発明として、第10の発明の情報記憶媒体において、下地を表現するための第1のオブジェクトに係る情報(例えば、図6の下地オブジェクトデータ454)と、前記第1のオブジェクト上の第1から第nの表面を表現する表面層を表すための第2のオブジェクトに係る情報(例えば、図6の暈かしオブジェクトデータ452)と、前記第1のオブジェクト及び前記第2のオブジェクトによって、前記所与のオブジェクトを表すとともに、前記第2のオブジェクトの画像を暈かすことによって、前記第1のオブジェクトの画像を現出させるための情報(例えば、図6のα値算出データ456)と、を含む情報記憶媒体を構成することとしてもよい。
【0013】
ここで、nは自然数であって、“1”である場合も含む。即ち、nが“1”である場合には表面は1つであり、“2”である場合には表面は2つとなる。また、複数の表面によって第2のオブジェクトが構成される場合には、それぞれの表面毎に、画像を暈かすこととしてもよいし、全ての表面を一体的に暈かすこととしてもよい。
【0014】
この第2または第11の発明によれば、下地を表現する第1のオブジェクトの色彩・模様を、例えば、所与のオブジェクトの色調を落とした色彩・模様とすることによって、第2のオブジェクトが暈かされた場合であっても、違和感のないゲーム画像とすることができる。
【0015】
また、第3の発明として、第1または第2の発明のゲーム装置において、前記オブジェクト空間に存するオブジェクトの内、前記暈かし対象のオブジェクトを、前記所与のゲームのゲーム状況に応じて決定する(例えば、図6のオブジェクト特定部212による特定)ゲーム装置を構成することとしてもよい。
【0016】
また、第12の発明として、第10または第11の発明の情報記憶媒体において、前記オブジェクト空間に存するオブジェクトの内、前記暈かし対象のオブジェクトを、前記所与のゲームのゲーム状況に応じて決定するための情報を含む情報記憶媒体を構成することとしてもよい。
【0017】
ここで、ゲーム状況とは、例えば、所与のゲームがレースゲームであった場合には、プレーヤキャラクタ(追従して移動する仮想カメラであってもよい。)の移動速度や、レースコースの天候といったゲームの進行状況のことである。
【0018】
この第3または第12の発明によれば、暈かし対象オブジェクトであっても、必要な場合にのみ暈かし処理を実行する、といったことが可能である。
【0019】
また、第4の発明として、第1から第3のいずれかの発明のゲーム装置において、前記所与の位置は、前記仮想カメラの位置であるゲーム装置を構成することとしてもよい。さらにこの場合、第5の発明として、前記所与のオブジェクトに対する前記仮想カメラの視線角度に基づいて、前記所与のオブジェクトの画像を暈かすこととしてもよい。
【0020】
また、第13の発明として、第10から第12のいずれかの発明の情報記憶媒体において、前記仮想カメラの位置を前記所与の位置とするための情報を含む情報記憶媒体を構成することとしてもよい。さらにこの場合、第14の発明として、前記所与のオブジェクトに対する前記仮想カメラの視線角度に基づいて、前記所与のオブジェクトの画像を暈かすための情報を含むこととしてもよい。
【0021】
この場合、仮想カメラの視線角度に基づいて所与のオブジェクトを暈かすことができるため、例えば、連続パターン模様を斜め上空から見下ろすといった場合であっても、ジャギーやモアレ等を効果的に抑制することが可能となる。
【0022】
また、第6の発明として、第1から第3のいずれかの発明のゲーム装置において、前記所与のゲームのゲーム状況に応じた注視点を設定し、当該注視点を前記所与の位置とするゲーム装置を構成することとしてもよい。
【0023】
また、第15の発明として、第10から第12のいずれかの発明の情報記憶媒体において、前記所与のゲームのゲーム状況に応じて注視点を設定するための情報と、前記注視点を前記所与の位置とするための情報と、を含む情報記憶媒体を構成することとしてもよい。
【0024】
この第6または第15の発明によれば、被写界深度の一手法として本発明を適用することが可能となるため、プレーヤの注意を注視点に向けることができる。
【0025】
また、第7の発明として、第1から第6のいずれかの発明のゲーム装置において、前記所与のゲームはレースゲームであって、前記レースゲームのレースコースに係るオブジェクトの画像を暈かすゲーム装置を構成することとしてもよい。
【0026】
また、第16の発明として、第10から第15のいずれかの発明の情報記憶媒体において、前記所与のゲームがレースゲームである場合に、前記レースゲームのレースコースに係るオブジェクトの画像を暈かすための情報を含む情報記憶媒体を構成することとしてもよい。
【0027】
ここで、レースコースに係るオブジェクトとは、白線や縁石、看板、金網、ガードレールといったレースコースを設定する上で必要なオブジェクトのことである。
【0028】
この第7または第16の発明によれば、表示装置の解像度やリフレッシュレートの制約によって生じる不可思議な表示が、仮想カメラが種々の速度で移動するために発生し易いゲームである、レースゲームに対して本発明を適用することができるため、本発明の効果を顕著に享受することができる。
【0029】
また、第8の発明として、第1から第7のいずれかの発明のゲーム装置において、前記オブジェクト空間に存するオブジェクトの内、アンチエイリアシング、ミップマップ、またはLODの処理をしたオブジェクトの画像を暈かすゲーム装置を構成することとしてもよい。またさらに、第9の発明として、前記暈かしをオブジェクトに設定された透明度の変更に伴う画像合成処理としてもよい。
【0030】
また、第17の発明として、第10から第16のいずれかの発明の情報記憶媒体において、前記オブジェクト空間に存するオブジェクトの内、アンチエイリアシング、ミップマップ、またはLODの処理をしたオブジェクトの画像を暈かすための情報を含む情報記憶媒体を構成することとしてもよい。またさらに、第18の発明として、オブジェクトに設定された透明度の変更に伴う画像合成処理を行うことにより、前記暈かしを行うための情報を含むこととしてもよい。
【0031】
ここで透明度の変更に伴う画像合成処理とは、αアルゴリズムやαブレンディングに限定されるものではない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下では、バイクレースゲームを例にとって説明するが、本発明が適用されるものはこれに限られるものではない。
【0033】
まず、本発明の原理について説明する。本発明の原理は、図1(a)に示すように、暈かしオブジェクト10を、下地オブジェクト20と重ね合わせて、オブジェクト空間(ゲーム空間)に配置する。次いで、仮想カメラからの距離に基づいて、暈かしオブジェクト10の画像を暈かす。即ち、図1(b)に示すように、仮想カメラからの距離が離れるに従って、暈かしオブジェクト10の画像を見えなくし、反面、下地オブジェクト20の画像を現出させる。換言すると、仮想カメラから遠くにある場合には、下地オブジェクト20の画像のみが見えるが、近づくに従って、暈かしオブジェクト10の画像が現出されるものである。以下、暈かしオブジェクトと下地オブジェクトとを重ね合わせ、暈かし処理を施した画像を合成画像という。
【0034】
暈かす方法は、α値を用いた、以下の(1)式の画素値算出方法による。
C=αS+(1−α)×D ・・・(1)
ここで、Cは暈かしオブジェクト10と下地オブジェクト20とを合成した色を、Sは暈かしオブジェクト10の色を、Dは下地オブジェクト20の色を、αは0≦α≦1の範囲で変化する不透明率を示す。(1)式をRGB(赤緑青)それぞれの画素値毎に適用し、算出することにより、合成画像を決定する。
【0035】
また、αの値(本明細書を通じてα値という。)は、仮想カメラからの距離に応じて一義的に求めることができる関数(以下、暈かし関数という。)によって決定される。図2(a)に、暈かし関数の一例を示す。図2(a)に示す暈かし関数によれば、α値は、オブジェクト空間における仮想カメラからの距離が0mから10mまでは“1.0”から“0.5”へ直線的に変化し、10m以降100mまでは“0.5”から“0.0”へ直線的に変化する。即ち、仮想カメラからの距離が10mまでは不透明度が急激に低減し、10m以降は徐々に下がって、100m以降は透明になることを示している。図2(b)は、図2(a)の暈かし関数に従って表現された暈かしオブジェクト10および下地オブジェクト20の合成画像である。
【0036】
また、暈かし処理は、当該オブジェクトをレンダリングする際に、ピクセル単位で行う。即ち、暈かしオブジェクトを構成するポリゴンの頂点毎に、仮想カメラからの距離を計算し、(1)式を適用して表示画面上に表示する各ピクセル毎の色を決定する。従って、同一のオブジェクトであっても、仮想カメラからの距離が近い部分の色と遠い部分の色とが異なって表示される。図2(c)は、暈かしオブジェクト10の色と下地オブジェクト20の色とを、図2(a)の暈かし関数に従って合成した場合の色見本である。
【0037】
また、レースコースの白線オブジェクトに対して本発明を適用した画面例を図3に示す。図3において、画面手前(仮想カメラの位置)から遠ざかるに従って、白線がぼやけ、一定の距離以上離れた白線は表示されず、下地オブジェクトであるコースの路面のみが表されている。
【0038】
また、図4は、白線オブジェクトに対して本発明を適用する前後の、実際のゲーム画面例を示す図であり、図4(a)は適用前の画面、図4(b)は適用後の画面である。同図において、画面手前(仮想カメラの位置)から遠ざかるに従って、表示画面上に表示される白線の幅が狭まり、さらに、レースコースがカーブしているために、白線の表示幅が1ピクセルを超えるか超えないかの部分が生じる。このため、図4(a)の適用前の画面においては、遠方の白線が破線として表示されてしまい、違和感のあるゲーム画面となっている。また、近づくに従って、破線であった白線が直線となるため、本来着目しない白線に対してプレーヤの視線が集中し、違和感を一層抱かせるものとなっていた。
【0039】
しかし、本発明を適用することにより、遠方に生じていた破線が表示されなくなる。このため、白線が表示されない部分が生じ得るが、遠方の白線は本来着目され難いため、違和感のないゲーム画面を構成することが可能となる。また、下地オブジェクト(コースの路面)には、速度感を抱かせる流線模様が施されているため、白線オブジェクトが表示されない部分においても、違和感のない画像とすることが可能である。
【0040】
図5は、縞模様が施された縁石オブジェクトに対して本発明を適用する前後の、実際のゲーム画面例を示す図であり、図5(a)は適用前の画面、図5(b)は適用後の画面である。なお図5(b)において、下地オブジェクトには、縁石オブジェクトの色調を落とした模様が施されている。
【0041】
図5(a)に示すように、適用前の画面においては、縁石オブジェクトの縞模様によってモアレが発生し、画面手前(仮想カメラの位置)から遠方の縁石オブジェクトの模様が変形して表示されている。この現象は、仮想カメラが移動するゲーム画面中においては、さらに顕著に表れる。即ち、実際には単なる縞模様であるものが、モアレによって、模様が移動・変化するように表示される。このため、縁石であるはずのものが、他のオブジェクトのように表現されてしまう。
【0042】
しかし、本発明を適用することにより、縁石オブジェクトの縞模様の色調が徐々に落とされるため、図5(b)に示すようにモアレの生じない、違和感のない画像を生成することが可能である。
【0043】
このように、本発明の暈かし処理は、画面全体に対して行う処理ではなく、特定のオブジェクトに対する暈かし処理であるため、演算量が少なく、高速に実現することができる。即ち、画面上に表示される仮想カメラの視野(以下、この視野をビューボリュームという。)に存する全てのオブジェクトを対象とするのでは演算量が過大になるとともに、表示されなくなっては困るオブジェクト(例えば、キャラクタオブジェクト)も存在する。従って、ビューボリューム内のどのオブジェクトに対して暈かし処理を適用するのか、どのオブジェクトに対して暈かし処理を適用するのがゲーム上効果的なのか、という点が重要である。
【0044】
図6は、本実施の形態の機能ブロックの一例を示す図であり、本実施の形態の機能ブロックは、操作部100と、処理部200と、表示部300と、情報記憶媒体400とから構成される。
【0045】
操作部100は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、筐体などのハードウェアにより実現できる。また、ボタン等が押下された場合には、操作信号を処理部200に出力する。
【0046】
処理部200は、上記操作信号と、情報記憶媒体400に記憶されたバイクレースゲームを実行するためのゲームプログラム410等に基づいて、オブジェクト空間にオブジェクトや仮想カメラを配置する処理や、当該仮想カメラから見た画像を生成する処理等を行う。この処理部200の機能は、CPU(CISC型、RISC型)、DSP、ASIC(ゲートアレイ等)、メモリなどのハードウェアにより実現できる。
【0047】
処理部200には、ゲーム演算部210と画像生成部250とが含まれる。ゲーム演算部210は、ゲームの進行処理、仮想カメラの位置や視線方向を決める処理、暈かしオブジェクトおよび下地オブジェクトを含むオブジェクトをオブジェクト空間に配置する処理、ビューボリュームを決定するためのクリッピング処理等を行う。また、ゲーム演算部210には、ビューボリューム中に存する暈かしオブジェクトを特定するオブジェクト特定部212が含まれる。
【0048】
ここで、オブジェクト特定部212は、ゲームの進行状況に応じて、暈かしオブジェクトを特定することとしてもよい。即ち、例えば、白線オブジェクトを暈かしオブジェクトとして常に特定するのではなく、カーブにさしかかった場合にのみ特定することとしたり、晴天時のレースにのみ白線オブジェクトを暈かしオブジェクトとして特定する、といったこととしてもよい。
【0049】
画像生成部250は、ゲーム演算部210により配置・設定された仮想カメラに基づいて、ゲーム演算部210により設定されたオブジェクト空間の画像を生成する処理を行う。具体的には、ビューボリューム内のオブジェクト空間を透視投影変換し、Zバッファなどを利用した陰面消去を行いながら、フレームバッファ(不図示)内にオブジェクトを構成するポリゴンを描画する。
【0050】
尚、この際、オブジェクトデータ450等に基づいて、ポリゴンの色が決定されるが、暈かしオブジェクトと下地オブジェクトとが重なった合成画像の色は、次のように決定される。即ち、画像生成部250に含まれる合成画像生成部252が、オブジェクト特定部212によって特定された暈かしオブジェクトを構成するポリゴンの各頂点の仮想カメラからの距離(以下、奥行き情報という。)に基づいて、当該ポリゴンのα値を算出する。そして、算出したα値および(1)式に基づいて、1ピクセル毎に合成画像の色を決定する。
【0051】
画像生成部250により1フレーム分の画像がフレームバッファに書き込まれると、その画像は表示部300において表示される。
【0052】
情報記憶媒体400は、バイクレースゲームに係るゲームプログラム410の他、合成画像生成部252によって読み出されて実行される、暈かしオブジェクトのα値を算出するためのα値算出プログラム430や、暈かしオブジェクト及び下地オブジェクトを含むオブジェクトデータ450、ゲームのデフォルト値等のデータを記憶するものである。
【0053】
オブジェクトデータ450は、暈かしオブジェクトや下地オブジェクトを含む各オブジェクトのモデルを構成するポリゴンの配置位置や、各ポリゴンの色情報等を含むデータの他、α値算出データ456を含む。尚、特に、暈かしオブジェクトに係るオブジェクトデータを暈かしオブジェクトデータ452、下地オブジェクトに係るオブジェクトデータを下地オブジェクトデータ454という。また、α値算出データ456には、データテーブル456a(図7参照)と、暈かし関数とが含まれる。
【0054】
図7はデータテーブル456aの一例を示す図である。図7において、暈かしオブジェクトA、B、Cには、暈かし関数aが、暈かしオブジェクトDには、暈かし関数bが対応づけられている。このように、暈かしオブジェクト毎に暈かし関数を設定できるため、例えば、図2(a)に示した暈かし関数や、指数関数的に暈かすための図8に示すような暈かし関数を対応づける等、暈かしオブジェクトに応じて、暈かし具合を設定することが可能である。
【0055】
情報記憶媒体400の機能は、CD−ROM、ゲームカセット、ICカード、MO、FD、DVD、ハードディスク、メモリなどのハードウェアにより実現できる。処理部200は、この情報記憶媒体400から読み出すプログラム、データに基づいて種々の処理を行う。
【0056】
次に、処理部200によって実行される処理について、図9を参照して説明する。図9は、1フレーム分のゲーム画像の生成に係る処理部200の動作を示すフローチャートである。
【0057】
図9において、まず、ゲーム演算部210が、暈かしオブジェクトおよび下地オブジェクトを含むオブジェクトを、オブジェクト空間に設定するとともに、仮想カメラを配置する処理を行う(ステップS1)。次いで、ゲーム演算部210は、仮想カメラに基づいて、ビューボリュームを決定する処理を行うとともに(ステップS2)、オブジェクト特定部212がビューボリューム内に存在する暈かしオブジェクトを特定する処理を行う(ステップS3)。
【0058】
次いで、合成画像生成部252が、暈かしオブジェクトを構成するポリゴンの各頂点の奥行き情報からα値を算出し(ステップS4)、画像生成部250が、算出されたα値に基づいて暈かしオブジェクトを構成するポリゴンをレンダリングするとともに、他のオブジェクトに対してもレンダリングを実行して、1フレーム分のゲーム画像を生成する(ステップS5)。
【0059】
次に、本実施の形態を実現できるハードウェアの構成の一例について図10を用いて説明する。同図に示す装置では、CPU1000、ROM1002、RAM1004、情報記憶媒体1006、音生成IC1008、画像生成IC1010、I/Oポート1012、1014が、システムバス1016により相互にデータ入出力可能に接続されている。そして画像生成IC1010には表示装置1018が接続され、音生成IC1008にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1012にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1014には通信装置1024が接続されている。
【0060】
情報記憶媒体1006は、プログラム、表示物を表現するための画像データ、音データ、プレイデータ等が主に格納されるものであり、図6に示す情報記憶媒体400に相当するものである。例えば家庭用ゲーム装置ではゲームプログラム等を格納する情報記憶媒体としてCD−ROM、ゲームカセット、DVD等が用いられ、プレイデータを格納する情報記憶媒体としてメモリカードなどが用いられる。また業務用ゲーム装置ではROM等のメモリやハードディスクが用いられ、この場合には情報記憶媒体1006はROM1002になる。
【0061】
コントロール装置1022はゲームコントローラ、操作パネル等に相当するものであり、ユーザーがゲーム進行に応じて行う判断の結果を装置本体に入力するための装置である。
【0062】
情報記憶媒体1006に格納されるプログラム、ROM1002に格納されるシステムプログラム(装置本体の初期化情報等)、コントロール装置1022によって入力される信号等に従って、CPU1000は装置全体の制御や各種データ処理を行う。RAM1004はこのCPU1000の作業領域等として用いられる記憶手段であり、情報記憶媒体1006やROM1002の所与の内容、或いはCPU1000の演算結果等が格納される。
【0063】
更に、この種の装置には音生成IC1008と画像生成IC1010とが設けられていてゲーム音やゲーム画像の好適な出力が行えるようになっている。音生成IC1008は情報記憶媒体1006やROM1002に記憶される情報に基づいて効果音やバックグラウンド音楽等のゲーム音を生成する集積回路であり、生成されたゲーム音はスピーカ1020によって出力される。また、画像生成IC1010は、RAM1004、ROM1002、情報記憶媒体1006等から送られる画像情報に基づいて表示装置1018に出力するための画素情報を生成する集積回路である。また表示装置1018は、CRTやLCD、TV、プラズマディスプレイ、プロジェクター等を含む意である。
【0064】
また通信装置1024はゲーム装置内部で利用される各種の情報を外部とやりとりするものであり、他のゲーム装置と接続されてゲームプログラムに応じた所与の情報を送受したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受すること等に利用される。
【0065】
また、ゲームをはじめとする暈かし処理等の各種処理は、ゲームプログラム410や、α値算出プログラム430、オブジェクトデータ450を格納した情報記憶媒体1006と、該プログラムに従って動作するCPU1000、画像生成IC1010、音生成IC1008等によって実現される。なお画像生成IC1010、音生成IC1008等で行われる処理は、CPU1000あるいは汎用のDSP等によりソフトウェア的に行ってもよい。
【0066】
また、α値算出データ456である暈かし関数は、オブジェクトデータ450の一つとして説明したが、本発明をインプリメントするに当たっては次の手法が有効である。即ち、オブジェクトデータ450のインプリメントとしては、各オブジェクトに一定の記憶領域を割り付ける手法が一般的である。また、暈かし関数は暈かしオブジェクトと密接不可分の関係にある。このため、暈かしオブジェクトに割り付けられた一定の記憶領域内の情報、例えばテクスチャ情報の一つとして、暈かし関数を記憶させ、暈かしオブジェクト毎に暈かし関数を持たせる方法が有効である。
【0067】
次に、図11(a)に、本実施形態を業務用ゲームシステムに適用した場合の例を示す。プレーヤは、ディスプレイ1100上に映し出されたゲーム画像を見ながら、レバー1102、ボタン1104等を操作してゲームを楽しむ。内蔵されるシステムボード(サーキットボード)1106には、各種プロセッサ、各種メモリなどが実装される。そして、本発明を実行するための情報(プログラム、データ)は、システムボード1106上の情報記憶媒体であるメモリ1108に格納される。以下、この情報を格納情報と呼ぶ。
【0068】
図11(b)に、本実施形態を家庭用のゲームシステムに適用した場合の例を示す。プレーヤはディスプレイ1200に映し出されたゲーム画像を見ながら、ゲームコントローラ1202、1204を操作してゲームを楽しむ。この場合、上記格納情報は、本体システムに着脱自在な情報記憶媒体であるCD(DVD)1206、或いはメモリカード1208、1209等に格納されている。
【0069】
図11(c)に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300とネットワーク1302(LANのような小規模ネットワークやインターネットのような広域ネットワーク)を介して接続される端末1304−1〜1304−nとを含むシステムに本実施形態を適用した場合の例を示す。この場合、上記格納情報は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304−1〜1304−nが、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、ゲーム画像、ゲーム音を生成するためのゲームプログラムなどが端末1304−1〜1304−nに配信される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを端末1304−1〜1304−nに伝送することにより端末において出力することとなる。
【0070】
なお、図11(c)の構成の場合に、本発明の各処理を、ホスト装置(サーバ)と端末とで分散して実行するようにしてもよい。また、本発明の各処理を実行するための上記格納情報を、ホスト装置(サーバ)の情報記憶媒体と端末の情報記憶媒体に分散して格納するようにしてもよい。
【0071】
またネットワークに接続する端末は、家庭用ゲームシステムであってもよいし業務用ゲームシステムであってもよい。そして、業務用ゲームシステムをネットワークに接続する場合には、業務用ゲームシステムとの間で情報のやり取りが可能であると共に家庭用ゲームシステムとの間でも情報のやり取りが可能な携帯型情報記憶装置(メモリカード、携帯型ゲーム装置)を使用可能なよう構成してもよい。
【0072】
なお、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、被写界深度の一手法として、本発明を適用することとしてもよい。その一例を図12に示す。図12は、看板オブジェクトに対して本発明を適用する前後の、実際のゲーム画面例を示す図であり、図12(a)は適用前の画面、図12(b)は適用後の画面である。なお図12(b)において、下地オブジェクトには、看板オブジェクトの色調を落とした模様が施されている。
【0073】
図12(a)に示すように、適用前の画面においては、画面手前(仮想カメラの位置)からの距離に関わらず、全ての看板オブジェクトがはっきりと表示されている。実世界においては、焦点は1箇所にのみ合っているため、近方の看板に焦点が合っている場合には、遠方の看板は暈やけて見える。本発明を適用することにより、図12(b)に示すように、遠方の看板オブジェクトを暈かして表現することが可能となるため、リアル感のあるゲーム画像を生成することが可能となる。
【0074】
また、この際、仮想カメラの位置を基準に暈かし処理を施すのではなく、オブジェクト空間上に注視点を設定し、この注視点からの距離に応じて暈かし処理を施すこととしてもよい。その場合には、ゲームプレーヤに着目させたい位置に、注視点を設定させるといったことが可能となる。
【0075】
また、仮想カメラからの距離のみを基準に、暈かし処理を施すこととして説明したが、仮想カメラから見た暈かしオブジェクトへの俯角あるいは仰角といった視線角度に応じて、暈かし処理を施すこととしてもよい。
【0076】
また、上記説明においては、バイクレースゲームを例にとって説明したが、サッカーやバスケットといったスポーツゲームや、ロールプレイングゲーム、シューティングゲーム等、他のゲームにおいても適用が可能であることはいうまでもない。その場合、例えば、サッカーゲームであれば、サッカー場の白線に対して同様の処理を施したり、芝の目に対して暈かし処理を施すといった適用が可能である。
【0077】
また、本発明を単独で適用するのみならず、ミップマップやLOD、アンチエイリアシングといった機能と組み合わせて適用することとしてもよい。
【0078】
また、上記説明において、暈かしオブジェクトは1つであるとして説明したが、複数のオブジェクトから構成されるものであってもよい。即ち、図13に示すように、オブジェクト10−1と、オブジェクト10−2とによって暈かしオブジェクト10が構成されることとしてもよい。この場合、オブジェクト10−1に対してのみ暈かし処理を行うこととしてもよいし、オブジェクト10−1およびオブジェクト10−2に対して、同時に暈かし処理を行うこととしてもよい。また、暈かしオブジェクト10を構成する各オブジェクト毎に、異なる暈かし関数を設定することとしてもよい。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、表示装置の解像度およびリフレッシュレートの制約によって生じる不可思議な表示を簡便かつ効果的に低減させることができる。即ち、特定のオブジェクトに対して暈かし処理を行うことができるため、奥行き方向に対する画面全体に対して行う処理等と比べて、演算量の少ない、高速な処理を実現することができる。
【0080】
また、暈かし対象のオブジェクトは、下地のオブジェクトと重ねて配置されるため、暈かし処理が行われた場合であっても、違和感のないゲーム画像とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための図。
【図2】(a)は暈かし関数の一例を示す図。(b)は(a)の暈かし関数に従って表現される合成画像の一例を示す図。(c)は合成画像の色見本の一例を示す図。
【図3】白線オブジェクトに対して本発明を適用した画面例を示す図。
【図4】白線オブジェクトに対して本発明を適用する前後の、実際のゲーム画面例を示す図。
【図5】縞模様が施された縁石オブジェクトに対して本発明を適用する前後の、実際のゲーム画面例を示す図。
【図6】本実施の形態の機能ブロックの一例を示す図。
【図7】暈かしオブジェクトと暈かし関数とを対応づけた、α値算出データの一つであるデータテーブルを示す図。
【図8】暈かし関数の一例を示す図。
【図9】1フレーム分のゲーム画像の生成に係る処理部の動作を示すフローチャート。
【図10】本実施の形態を実現するハードウェアの構成の一例を示す図。
【図11】本実施の形態が適用される種々の形態のシステムの例を示す図。
【図12】看板オブジェクトに対して本発明を適用する前後の、実際のゲーム画面例を示す図。
【図13】複数のオブジェクトにより暈かしオブジェクトが構成される例を示す図。
【符号の説明】
10 暈かしオブジェクト
20 下地オブジェクト
100 操作部
200 処理部
210 ゲーム演算部
212 オブジェクト特定部
250 画像生成部
252 合成画像生成部
300 表示部
400 情報記憶媒体
410 ゲームプログラム
430 α値算出プログラム
450 オブジェクトデータ
456 α値算出データ
Claims (2)
- コンピュータに、縞模様の施された縁石オブジェクトがレースコースに沿って配置されたオブジェクト空間の画像を、前記レースコースに沿って移動制御する仮想カメラに基づいて生成させて所定のレースゲームを実行させるためのプログラムであって、
前記縁石オブジェクトとして、下地オブジェクトを配置するとともに、当該下地オブジェクトの上に重ねるようにして当該縁石オブジェクトの前記縞模様を表した暈かしオブジェクトを配置する配置手段、
前記下地オブジェクトに、前記縞模様の色調を落とした模様を施す下地オブジェクト模様着色手段、
前記仮想カメラと前記縁石オブジェクト間の距離が遠くなるほど前記暈かしオブジェクトの透明度を上げ、所定距離以上で透明にするように制御する透明度制御手段、
として前記コンピュータを機能させることで、前記仮想カメラからの距離が遠い縁石オブジェクトほど縞模様が暈けていき、前記所定距離以上で前記下地オブジェクトに施された色調の落ちた縞模様となる画像が生成されることを特徴とするプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。 - 縞模様の施された縁石オブジェクトがレースコースに沿って配置されたオブジェクト空間の画像を、前記レースコースに沿って移動制御される仮想カメラに基づいて生成して所定のレースゲームを実行するゲーム装置であって、
前記縁石オブジェクトとして、下地オブジェクトを配置するとともに、当該下地オブジェクトの上に重ねるようにして当該縁石オブジェクトの前記縞模様を表した暈かしオブジェクトを配置する配置手段と、
前記下地オブジェクトに、前記縞模様の色調を落とした模様を施す下地オブジェクト模様着色手段と、
前記仮想カメラと前記縁石オブジェクト間の距離が遠くなるほど前記暈かしオブジェクトの透明度を上げ、所定距離以上で透明にするように制御する透明度制御手段と、
を備え、前記仮想カメラからの距離が遠い縁石オブジェクトほど縞模様が暈けていき、前記所定距離以上で前記下地オブジェクトに施された色調の落ちた縞模様となる画像が生成されることを特徴とするゲーム装置。
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