JP4408508B2 - エレベーター引き戸の仮保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、かごの異常停止時、保守作業時等において出入口の戸を開閉行程中の適所に保持するエレベーター引き戸の仮保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5〜図7は、従来のエレベーター引き戸の仮保持装置を示す図で、図5はエレベーター乗場の正面図、図6は図5の横断平面図、図7は図6のA−A線断面拡大図である。図において、1はエレベーターの乗場、2は乗場1に設けられた三方枠で、戸当り柱3、戸袋板4の間に図1に示す幅Bの出入口5が形成されている。6は出入口5を開閉する高速引き戸、7は出入口5を開閉する低速引き戸で、図示が省略してあるが連動機構によって高速引き戸6に係合されて高速引き戸6の1/2の速度で動作し、また高速引き戸6の動作拘束によって高速引き戸6と共に動作が拘束される。
【0003】
8は出入口5の下縁部を形成する敷居で、高速引き戸6等の下端を案内する案内溝9が上面に長手に沿って設けられている。10は係止具で、敷居3の上面に載置され両端部がそれぞれ上方に屈折されてさらに外側へ水平に屈折され、この水平屈折部に構成されて鉤状をなし、戸当り柱3に嵌合する第一係止部11が一端に設けられ、高速引き戸6の戸当り側縁部に嵌合する第二係止部12が他端に設けられている。13は詳細な説明を省略するがエレベーターの昇降路内に設けられた巻上機の制動機を手動操作によって解放する手動解放ワイヤであり、操作部である端部が出入口5近くに配置される。
【0004】
従来のエレベーター引き戸の仮保持装置は上記のように構成され、例えば異常停止したエレベーターのかご(図示しない)内の乗客を救出する場合に、次に述べる作業が行われる。すなわち、図示が省略してあるがエレベーターの昇降路内に設けられた巻上機の制動機を手動解放し、かごを適宜な乗場1に対応する位置に移動させる必要がある。そして、このようなかごの移動作業時に図5に示すように高速引き戸6等を手動戸開して、手動解放ワイヤ13の端部が乗場1の床上に引き出される。
【0005】
また、この状態において次に述べるようにして乗場1で作業する作業員が昇降路に転落しないような戸開幅に、高速引き戸6等が開閉行程の途中位置に仮保持される。すなわち、適宜な戸開幅に高速引き戸6が配置されて状態で、係止具10が敷居8の上面に載置状態に配置される。そして、第一係止部11が戸当り柱3に嵌合され、第二係止部12が高速引き戸6の戸当り側縁部に嵌合される。これによって、適宜な戸開幅位置に配置され高速引き戸6が係止具10によって、その位置に仮保持されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のエレベーター引き戸の仮保持装置では、三方枠2の戸当り柱3の幅寸法、すなわち図6に示すC寸法が、三方枠2の構造、デザイン等によってエレベーターによって相違する。したがって、引き戸の仮保持を行うエレベーターの三方枠2に合わせた係止具10を準備する必要があり、費用が嵩み、また緊急救出作業時の対応しにくく、保守作業時の対応にも煩雑な手数が掛かるという問題点があった。
【0007】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、三方枠の形状の相違に関わらず、出入口を開閉する引き戸を適宜な戸開幅位置に容易に保持できるエレベーター引き戸の仮保持装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーター引き戸の仮保持装置においては、下部が敷居の案内溝に案内されてエレベーターの出入口を開閉する引き戸、上端側に引き戸に嵌合する係止部が設けられて下端が敷居の案内溝に挿入された係止保持体と、この係止保持体と重合状態に配置されて上端側が係止保持体に係合し下端は敷居の案内溝に挿入された押圧子と、ねじ部が係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて上記両者をそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧する押圧ボルトとが設けられ、上記押圧ボルトは、上記案内溝の鉛直上方の位置に配置されている。
【0009】
また、この発明に係るエレベーター引き戸の仮保持装置においては、互いに離れて平行に配置された案内溝を有する敷居が設けられて、敷居の案内溝の一方に係止保持体の下端が挿入され、また敷居の案内溝の他方に押圧子の下端が挿入される。
【0010】
また、この発明に係るエレベーター引き戸の仮保持装置においては、敷居の案内溝に係止保持体の下端が挿入されて案内溝の幅方向の一側に配置され、敷居の同じ案内溝に押圧子の下端が挿入されて案内溝の幅方向の他側に配置される。
【0011】
また、この発明に係るエレベーター引き戸の仮保持装置においては、高摩擦係数を有する物質によって製作されて、係止保持体及び押圧子における敷居の案内溝側壁との対向面に装着された摩擦片が設けられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図3は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1はエレベーター乗場の正面図、図2は図1の横断平面図、図3は図1のD−D線断面拡大図である。図において、1はエレベーターの乗場、2は乗場1に設けられて戸当り柱3、戸袋板4を有する三方枠で、戸当り柱3、戸袋板4の間に図1に示す幅Bの出入口5が形成される。
【0013】
6は出入口5を開閉する高速引き戸、7は出入口5を開閉する低速引き戸で、図示が省略してあるが連動機構によって高速引き戸6に係合されて高速引き戸6の1/2の速度で動作し、また高速引き戸6の動作拘束によって高速引き戸6と共に動作が拘束される。8は出入口5の下縁部を形成する敷居で、高速引き戸6等の下端を案内する後述する案内溝が上面に長手に沿って設けられている。
【0014】
13は詳細な説明を省略するがエレベーターの巻上機の制動機を手動によって解放する手動解放ワイヤで、端部が出入口5近くの乗場1床面寄りに配置される。14は係止保持体で、上端側に高速引き戸6の戸当り側縁部に嵌合する係止部15が設けられて、下端が敷居8の高速引き戸6に対応した高速案内溝91に挿入されている。16は押圧子で、係止保持体14と重合状態に配置されて上端側が係止保持体14に接し、下端は敷居8の低速引き戸7に対応した低速案内溝92に挿入されている。
【0015】
17は押圧ボルトで、押圧子16に挿通されて係止保持体14にねじ込まれ、係止保持体14及び押圧子16の両者の下端部をそれぞれ対向した敷居8の案内溝、すなわち対応した高速案内溝91又は低速案内溝92の側壁に押圧する。18は摩擦片で、ゴム等の高摩擦係数を有する物質からなり横断面が溝形に形成されて、その溝形により係止保持体14及び押圧子16それぞれの下端に嵌着され、敷居8の案内溝の側壁に対向して配置されている。
【0016】
上記のように構成されたエレベーター引き戸の仮保持装置において、例えば異常停止したエレベーターのかご(図示しない)内の乗客を救出する場合に、前述の図5〜図7のエレベーター引き戸の仮保持装置と同様に、高速引き戸6等を手動戸開して、手動解放ワイヤ13の端部が乗場1に引き出される。そしてこの状態において次に述べるようにして、高速引き戸6等が開閉行程の途中位置に配置され、乗場1で作業する作業員が昇降路に転落しないような戸開幅に仮保持される。
【0017】
すなわち、適宜な戸開幅に高速引き戸6が配置されて状態で、係止保持体14の係止部15が高速引き戸6の戸当り側縁部に嵌合され、また係止保持体14の下端が敷居8の高速案内溝91に挿入されて摩擦片18を介して高速案内溝91の側壁に接して配置される。そして、押圧子16の上端側が係止保持体14に接して配置され、下端は敷居8の低速案内溝92に挿入されて摩擦片18を介して低速案内溝92の側壁に接して配置される。
【0018】
次いで、押圧ボルト17が押圧子16に挿通されて挿通端が係止保持体14にねじ込まれる。これにより、係止保持体14は摩擦片18を介して高速案内溝91の側壁に押圧され、また押圧子16は摩擦片18を介して低速案内溝92の側壁に押圧されて、係止保持体14及び押圧子16が敷居8の長手の所定位置に装着される。これによって、係止保持体14の係止部15が高速引き戸6に嵌合されているので、高速引き戸6は開閉行程中における適宜な戸開幅の位置に仮保持される。
【0019】
そして、係止保持体14の係止部15による高速引き戸6の仮保持作用を、三方枠2の戸当り柱3の図6に示すC寸法、すなわち三方枠2の構造、デザイン等に関わらず、同じ部材である係止保持体14、押圧子16及び押圧ボルト17によって得ることができる。したがって、三方枠2の構造等に合わせて係止保持体14等の部材を準備する必要がなく費用を節減することができ、また緊急救出作業時、保守作業時に煩雑な手数が掛かる不具合を解消でき容易に対応することができる。
【0020】
また、係止保持体14等が摩擦片18を介して高速案内溝91の側壁に押圧される。このため、係止保持体14等を敷居8に対して少ない押圧力によって装着することができ、高速引き戸6の仮保持作用を確実化することができる。
【0021】
実施の形態2.
図4は、この発明の他の実施の形態の一例を示す図で、前述の図3相当図である。なお、図4の他は前述の図1〜図3の実施の形態と同様にエレベーター引き戸の仮保持装置が構成されている。図において、図1〜図3と同符号は相当部分を示す。
【0022】
19は係止保持体で、上端側に高速引き戸6の戸当り側縁部に嵌合する係止部15が設けられて下端が敷居8の高速引き戸6に対応した高速案内溝91の幅方向の一側に挿入されている。20は押圧子で、係止保持体19と重合状態に配置されて上端側が係止保持体19の上端部に把持状態に嵌合され、下端は敷居8の高速引き戸6に対応した高速案内溝91の幅方向の他側に挿入されている。
【0023】
21は押圧ボルトで、押圧子20にねじ込まれて挿通され、挿通端により係止保持体19を押圧し、係止保持体19及び押圧子20の両者をそれぞれ対向した敷居8の高速案内溝91の側壁に押圧する。
【0024】
上記のように構成されたエレベーター引き戸の仮保持装置においても、係止保持体19及び押圧子20が押圧ボルト21によって、それぞれ対向した敷居8の高速案内溝91の側壁に押圧されて、敷居8の長手の所定位置に装着される。また、係止保持体19の係止部15が高速引き戸6に嵌合されているので、高速引き戸6が開閉行程中の適宜な戸開幅の位置に仮保持される。したがって、詳細な説明を省略するが図4の実施の形態においても図1〜図3の実施の形態と同様な作用が得られる。
【0025】
【発明の効果】
この発明は以上に説明したように、下部が敷居の案内溝に案内されてエレベーターの出入口を開閉する引き戸、上端側に引き戸に嵌合する係止部が設けられて下端が敷居の案内溝に挿入された係止保持体と、この係止保持体と重合状態に配置されて上端側が係止保持体に係合し下端は敷居の案内溝に挿入された押圧子と、ねじ部が係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて上記両者をそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧する押圧ボルトとを設け、上記押圧ボルトは、上記案内溝の鉛直上方の位置に配置したものである。
【0026】
これによって、開閉行程中の適宜な戸開幅に引き戸が配置された状態で、係止保持体の係止部が引き戸に嵌合され、また係止保持体の下端が敷居の案内溝に挿入されて案内溝の側壁に接して配置される。また、押圧子の上端側が係止保持体に係合され下端は敷居の案内溝に挿入されて案内溝の側壁に接して配置される。そして、押圧ボルトのねじ部が係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて、上記両者がそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧される。これにより、上記両者が敷居に対して装着されて引き戸が出入口幅の適所に仮保持される。したがって、引き戸の仮保持のために係止保持体等の部材を三方枠の構造等に合わせて準備する必要がなく費用を節減することができ、また緊急救出作業時、保守作業時に容易に引き戸を仮保持することができてこれらの作業を容易化する効果がある。
【0027】
また、この発明は以上説明したように、互いに離れて平行に配置された案内溝を有する敷居を設け、敷居の案内溝の一方に係止保持体の下端を挿入し、敷居の案内溝の他方に押圧子の下端を挿入したものである。
【0028】
これによって、開閉行程中の適宜な戸開幅に引き戸が配置された状態で、係止保持体の係止部が引き戸に嵌合され、また係止保持体の下端が敷居の一方の案内溝に挿入されて案内溝の側壁に接して配置される。また、押圧子の上端側が係止保持体に係合され下端は敷居の他放の案内溝に挿入されて案内溝の側壁に接して配置される。そして、押圧ボルトのねじ部が係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて、上記両者がそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧される。これにより、上記両者が敷居に対して装着されて引き戸が出入口幅の適所に仮保持される。したがって、引き戸の仮保持のために係止保持体等の部材を三方枠の構造等に合わせて準備する必要がなく費用を節減することができ、また緊急救出作業時、保守作業時に容易に引き戸を仮保持することができてこれらの作業を容易化する効果がある。
【0029】
また、この発明は以上説明したように、敷居の案内溝に係止保持体の下端を挿入して案内溝の幅方向の一側に配置し、敷居の同じ案内溝に押圧子の下端を挿入して案内溝の幅方向の他側に配置したものである。
【0030】
これによって、開閉行程中の適宜な戸開幅に引き戸が配置された状態で、係止保持体の係止部が引き戸に嵌合され、また係止保持体の下端が敷居の案内溝に挿入されて案内溝の一側の側壁に接して配置される。また、押圧子の上端側が係止保持体に係合され下端は敷居の同じ案内溝に挿入されて案内溝の他側の側壁に接して配置される。そして、押圧ボルトのねじ部が係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて、上記両者がそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧される。これにより、上記両者が敷居に対して装着されて引き戸が出入口幅の適所に仮保持される。したがって、引き戸の仮保持のために係止保持体等の部材を三方枠の構造等に合わせて準備する必要がなく費用を節減することができ、また緊急救出作業時、保守作業時に容易に引き戸を仮保持することができてこれらの作業を容易化する効果がある。
【0031】
また、この発明は以上説明したように、高摩擦係数を有する物質によって製作されて、係止保持体及び押圧子における敷居の案内溝側壁との対向面に装着された摩擦片を設けたものである。
【0032】
これによって、開閉行程中の適宜な戸開幅に引き戸が配置された状態で、係止保持体の係止部が引き戸に嵌合され、また係止保持体の下端が敷居の案内溝に挿入されて摩擦片を介し案内溝の側壁に接して配置される。また、押圧子の上端側が係止保持体に係合され下端は敷居の案内溝に挿入されて摩擦片を介し案内溝の側壁に接して配置される。そして、押圧ボルトのねじ部が係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて、上記両者がそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧される。これにより、上記両者が敷居に対して装着されて引き戸が出入口幅の適所に仮保持される。したがって、引き戸の仮保持のために係止保持体等の部材を三方枠の構造等に合わせて準備する必要がなく費用を節減することができ、また緊急救出作業時、保守作業時に容易に引き戸を仮保持することができてこれらの作業を容易化する効果がある。
また、係止保持体等の下端が摩擦片を介して案内溝の側壁に接して配置されるので、係止保持体等を敷居に対して少ない押圧力によって装着でき、引き戸の仮保持を確実化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すエレベーター乗場の正面図。
【図2】 図1の横断平面図。
【図3】 図1のD−D線断面拡大図。
【図4】 この発明の実施の形態2を示す図で、前述の図3相当図。
【図5】 従来のエレベーター引き戸の仮保持装置を示すエレベーター乗場の正面図。
【図6】 図5の横断平面図。
【図7】 図6のA−A線断面拡大図。
【符号の説明】
5 出入口、6 高速引き戸(引き戸)、7 低速引き戸(引き戸)、8 敷居、91 高速案内溝(案内溝)、92 低速案内溝(案内溝)、14 係止保持体、15 係止部、16 押圧子、17 押圧ボルト、18 摩擦片、19係止保持体、20 押圧子、21 押圧ボルト。
Claims (4)
- 下部が敷居の案内溝に案内されてエレベーターの出入口を開閉する引き戸、上端側に上記引き戸に嵌合する係止部が設けられて下端が敷居の案内溝に挿入された係止保持体と、
この係止保持体と重合状態に配置されて上端側が上記係止保持体に係合し下端は敷居の案内溝に挿入された押圧子と、
ねじ部が上記係止保持体及び押圧子の両者の一方にねじ込まれ、他部は上記両者の他方に係合されて上記両者をそれぞれ対向した敷居の案内溝の側壁に押圧する押圧ボルトと、を備え、
上記押圧ボルトは、上記案内溝の鉛直上方の位置に配置されていることを特徴とするエレベーター引き戸の仮保持装置。 - 敷居を、互いに離れて平行に配置された案内溝が設けられたものとし、上記案内溝の一方に係止保持体の下端を挿入し、上記案内溝の他方に押圧子の下端を挿入したことを特徴とする請求項1記載のエレベーター引き戸の仮保持装置。
- 敷居の案内溝に係止保持体の下端を挿入して上記案内溝の幅方向の一側に配置し、上記案内溝に押圧子の下端を挿入して上記案内溝の幅方向の他側に配置したことを特徴とする請求項1記載のエレベーター引き戸の仮保持装置。
- 高摩擦係数を有する物質によって製作されて、係止保持体及び押圧子における敷居の案内溝側壁との対向面に装着された摩擦片を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載のエレベーター引き戸の仮保持装置。
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