以下、図1〜12を参照して、本発明を具体化した補助冷却装置の一実施形態について説明する。
図1は補助冷却装置1と空気調和機の室外機40との構成を示す概略図である。補助冷却装置1は、複数台の室外機40におけるそれぞれの熱交換器に対して水を間欠噴霧し、熱交換器を補助的に冷却するものである。補助冷却装置1は、各室外機40の運転状態に応じた所定の噴霧パターンにより間欠噴霧を行う噴霧ユニット10と、噴霧される水を各噴霧ユニット10に供給する給水設備20と、各噴霧ユニット10と通信可能に接続される通信アダプタ30とを備える。
噴霧ユニット10は、各室外機40に設けられるとともに、室外機40の熱交換器に対して水を間欠噴霧する。間欠噴霧は、水の噴霧を行う噴霧期間と水の噴霧を休止する乾燥期間とが一定の周期をもって交互に繰り返される所定の噴霧パターンによって行われる。図2は噴霧ユニット10を搭載した室外機40の概略断面図である。室外機40は、ビルの屋上等に配置されるとともに、図示しない室内機に連絡配管を介して接続されている。室外機40は、ケーシング41内に配置された熱交換器42と、この熱交換器42に対向するように配置されたファン43とを備えている。空気調和機の運転時には、ファン43の回転によって熱交換器42側から外気を吸入する。熱交換器42は、複数のフィン44に複数の冷媒管45を貫通させて構成され、冷房運転時にはファン43により吸い込まれた空気と熱交換を行い、冷媒管45内を流通する冷媒を冷却する。なお、噴霧ユニット10が搭載される室外機40は、熱交換器42及びファン43が異なる形態で配置されるものであってもよい。
噴霧ユニット10は、熱交換器42に対して水を噴霧するノズル11と、水の噴霧態様を制御する噴霧制御部12とを備える。ノズル11は、取付枠13により室外機40に取り付けられるとともに、噴霧制御部12を介して水が供給される配管14に接続されている。噴霧制御部12は、室外機40の上面に配置され、その内部に、噴霧制御を司る制御基板15と、配管14上に設けられた電磁弁16と、外気温度を検出するサーミスタ17とを備えている。制御基板15は、室外機40に搭載された圧縮機の吐出管の温度を検出する吐出管サーモ(図示せず)と接続されている。制御基板15は、吐出管の温度に基づいて、圧縮機が作動状態にあるか否かを検出して、空気調和機が運転中であるか否かを判断する。
電磁弁16は、開弁状態と閉弁状態との間で切り換えられる切換弁であり、制御基板15によって開閉駆動される。電磁弁16の開弁時には、配管14を介してノズル11に水が供給され、ノズル11から熱交換器42に対して水が噴霧される。
サーミスタ17の検出信号は制御基板15に入力される。制御基板15は、サーミスタ17の検出信号により外気温度が所定の温度以上になったことを検出すると、冷房負荷が大きくなっていると判断する。すなわち、制御基板15は、空気調和機が運転中である旨判断し、且つ外気温度が所定の温度以上になったことを検出すると、空気調和機の冷房負荷が大きくなったと判断して、水の間欠噴霧を開始する。ノズル11から熱交換器42に対して水が噴霧されると、噴霧された水の顕熱及び蒸発潜熱によって、熱交換器42が冷却され、冷房能力が増大する。
給水設備20は、図1に示すように、既設の給水栓21から水を取り出し、各噴霧ユニット10に給水配管22を通じて水が供給されるように構成される。給水配管22には、給水弁23と加圧装置24とが設けられている。給水弁23は、その開閉によって、各噴霧ユニット10への給水可能状態と給水停止状態とを切り換える。加圧装置24は、給水栓21における水圧が不足している場合に設置され、ポンプにより水圧を増加させて給水量を確保する。給水配管22は、下流側で分岐され、各噴霧ユニット10の噴霧制御部12に接続される。
通信アダプタ30は、各噴霧ユニット10の間欠噴霧を統括制御する制御手段としてのコントローラ31を有する。コントローラ31と各噴霧ユニット10の制御基板15とは、ケーブル32によってシリアル接続され、これによりコントローラ31と制御基板15との間で通信が行われる。各噴霧ユニット10の制御基板15には、それぞれ固有のアドレスが設定されている。コントローラ31は、アドレスに対応したデータを送受信することで、各噴霧ユニット10の間欠噴霧を制御する。
また、通信アダプタ30には、デマンドコントローラ33からの信号が入力される。デマンドコントローラ33は、電力会社との契約によって定められた所定時間内(例えば30分)における平均使用電力が、所定電力以上とならないように警報を発する装置である。通信アダプタ30のコントローラ31には、補助冷却装置1が装着されている空気調和機の電力を少なくとも含む使用電力が、所定時間内に設定値を超える可能性のあるときに、その旨の信号が入力される。
図3は、前記所定時間T内における、時間と電力の積算値との関係を示したものである。実線Aは、現時点Taまでに実際に使用された電力の積算値の一例を示したものであり、破線Bは、目標電力の積算値を示している。目標電力の積算値は、電力会社との契約によって定められた契約電力Cを、各時間毎に略均等に消費した場合の積算値を示している。デマンドコントローラ33は、所定時間T経過時に、使用電力の最終積算値Dが目標電力の最終積算値E超えないように警報を発する。
また、デマンドコントローラ33は、平均使用電力が設定値を超える可能性の高低に応じて複数ステップの信号を発するように構成されている。本実施形態のデマンドコントローラ33では、前記可能性の低い場合には注意信号が発せられ、前記可能性の高い場合には警告信号が発せられる。例えば、注意信号は、現時点における使用電力の積算値が目標電力の積算値以上となる場合、すなわち実線Aが破線Bを上回る場合(時点Tbのような状態)に発せられ、警告信号は、現時点における使用電力の積算値が目標電力の積算値よりも所定電力値以上となる場合(時点Tcのような状態)に発せられる。
通信アダプタ30のコントローラ31は、デマンドコントローラ33から注意信号又は警告信号を受け取ると、間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10の噴霧パターンを、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加される噴霧パターンへと変更する。そして、変更された噴霧パターンに基づいて各噴霧ユニット10の間欠噴霧を統括制御し、空気調和機における冷房負荷をより軽減させる。これにより、空気調和機の使用電力を低下させ、使用電力の最終積算値Dが目標電力の最終積算値Eを超えないような制御を行う。
次に、補助冷却装置1における通信アダプタ30と各噴霧ユニット10との接続形態を具体例を用いて説明する。図4は、その接続形態の一例を示したブロック図である。通信アダプタ30には、16台の噴霧ユニット10a,10b,10c…10pがシリアル接続されている。各噴霧ユニット10は、対応する空気調和機の出力に応じた個数のノズル11を有している。6台の噴霧ユニット10a,10f,10h,10j,10m,10pは空気調和機の出力が6馬力(HP)であり、これに対応して各噴霧ユニットがそれぞれ1.6個のノズル数を有している。また、4台の噴霧ユニット10c,10e,10k,10nは空気調和機の出力が16HPであり、これに対応して各噴霧ユニットがそれぞれ4.8個のノズル数を有している。また、3台の噴霧ユニット10d,10g,10oは空気調和機の出力が30HPであり、これに対応して各噴霧ユニットがそれぞれ12個のノズル数を有している。また、3台の噴霧ユニット10b,10i,10lは空気調和機の出力が60HPであり、これに対応して各噴霧ユニットがそれぞれ24個のノズル数を有している。各噴霧ユニット10のノズル数は、通信アダプタ30のコントローラ31に入力される。なお、ここで用いるノズル数は、ノズル11の噴霧容量を各噴霧ユニット10間で整合性をとるように設定しているため、小数点以下の数値を含むノズル数として表記している。
また、16台の噴霧ユニット10a,10b,10c…10pには、間欠噴霧が行われるときの優先順位を示す優先噴霧順位が予め設定されている。例えば、冷房能力の確保が不可欠で冷房負荷の低減が強く求められるような空気調和機がある場合には、その室外機40に設けられる噴霧ユニット10の優先噴霧順位は上位に設定される。図4の補助冷却装置1では、噴霧ユニット10a,10b…の順に優先噴霧順位が1位,2位…となるように設定されている。各噴霧ユニット10の優先噴霧順位は、通信アダプタ30のコントローラ31に入力される。
次に、このように構成される補助冷却装置1において、噴霧ユニット10に水を供給する給水配管22の選定方法について説明する。給水設備20には、一般的に各噴霧ユニット10で同時に噴霧が行われる場合の水量をある程度確保できるような給水能力を有する給水配管22が選定されている。本実施形態では、後述する通信アダプタ30のコントローラ31の制御によって、各噴霧ユニット10間で間欠噴霧時における噴霧期間の整合がとられるため、供給可能な水量を極力小さくした給水配管22が選定されている。これにより、給水設備20を小容量化して、設備費用や工事費用を低減するようにしている。以下に、図4の構成例を用いて、給水配管22の具体的な選定方法について説明する。
給水配管22の選定を行うときには、まず補助冷却装置1に設けられている全体ノズル数Naを求める。全体ノズル数Naは、16台の噴霧ユニット10のノズル数を足し合わせることで求められ、この場合には136.8個となる。
次いで、全ての噴霧ユニット10の中で、最も小さいグループ数Gnを求める。グループ数とは、ある噴霧ユニット10における間欠噴霧の1周期の間に、その噴霧ユニット10の噴霧期間が重ならないように何グループの噴霧期間を設けることができるかを表す数である。図5(a)は各噴霧ユニット10の噴霧期間の標準時間と乾燥期間の標準時間との一例、及びグループ数を示したものである。各噴霧ユニット10の噴霧期間及び乾燥期間は、同図に示すように、装着される空気調和機の出力によって時間が異なるため、そのグループ数も各噴霧ユニット10間で異なってくる。例えば、6HPの空気調和機に装着される噴霧ユニット10においては、間欠噴霧の1周期が16.5秒であり、図5(b)に示すように、3グループの噴霧期間を順次設けることができるため、グループ数は3となる。また、同様の手順でグループ数を求めると、16HPの空気調和機に装着される噴霧ユニット10のグループ数は3となり、30HP及び60HPの空気調和機に装着される噴霧ユニット10のグループ数は4となる。このため、最も小さいグループ数Gnとして3が求められる。
次いで、各噴霧ユニット10をグループ数Gnにグループ分けして各グループのノズル数が均等になるようにした場合の噴霧ノズル数Nbを求める。噴霧ノズル数Nbは、ノズル数が均等割されたグループ毎に噴霧を行うと仮定した場合に、同時に噴霧される最大のノズル数を示すものである。噴霧ノズル数Nbは、全体ノズル数Naをグループ数Gnで除することで求められ、図4の構成では45.6個となる。
次いで、噴霧ノズル数Nbに基づいて給水配管22の配管径を求める。図5(c)は、同時に噴霧される最大のノズル数と、そのときに必要な給水配管22の配管径との関係を示す表である。この表は、ノズル1個当たりの噴霧量が73.5(リットル/時)の場合の、ノズル数と配管径との関係を示している。図4の構成では、噴霧ノズル数Nbが45.6個であることから、30Aの配管径が選定される。すなわち、給水設備20の給水配管22として30A以上の配管径を選定しておくと、各噴霧ユニット10で間欠噴霧が同時に行われる際にも供給水量が確保され得ることになる。
そして、通信アダプタ30のコントローラ31には、選定された給水配管22の配管径から算出される最大ノズル数Ncが設定される。最大ノズル数Ncは、選定された給水配管22が同時に水を供給することができる最大のノズル数を示すものである。図3の構成では、給水配管22の配管径は30Aであるため、図5(c)の30Aにおけるノズル数の最大値、すなわち57.1個が最大ノズル数Ncとなる。
次に、デマンドコントローラ33からの注意信号又は警告信号が入力されたときに、通信アダプタ30のコントローラ31が行う、各噴霧ユニット10の間欠噴霧の統括制御について説明する。コントローラ31は、注意信号又は警告信号が入力されたときに、各噴霧ユニット10の稼動状態を取得して、間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10の噴霧パターンを、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加される噴霧パターンへと変更する。このときに、コントローラ31は、使用電力が設定値を超える可能性が高くなるほど各噴霧ユニットの噴霧量が増加されるように噴霧パターンを変更する。すなわち、警告信号が入力されたときに変更される噴霧パターンは、注意信号が入力されたときに変更される噴霧パターンよりも、噴霧量が増加されるような噴霧パターンとなる。
コントローラ31は、噴霧パターンを変更するときに、間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10の噴霧期間を、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるように順序立てて設定する。各噴霧ユニット10の噴霧期間を設定する際には、噴霧期間が重なる噴霧ユニット10のノズルの数を合計した総ノズル数が最大ノズル数Ncを超えないようにし、これにより供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるようにする。
最初に、コントローラ31にデマンドコントローラ33から注意信号が入力された場合の制御について説明する。注意信号が入力されると、コントローラ31は、各噴霧ユニット10毎に設定されている噴霧パターンを、それぞれ噴霧量が多くなるような噴霧パターンに変更する。図6は噴霧パターンの変更態様を示したものである。図6(a)は、注意信号が入力される前、すなわち通常噴霧状態における噴霧パターンを示すものであり、図6(b)は、注意信号の入力によって変更される噴霧パターンを示すものである。いずれの噴霧パターンも、噴霧期間T1,T4と乾燥期間T2,T5とが一定の周期T3,T6をもって交互に繰り返されるが、図6(b)における繰り返し周期に対する噴霧期間の割合T4/T6は、図6(a)における繰り返し周期に対する噴霧期間の割合T1/T3よりも高く設定される。このため、図6(a)の噴霧パターンから図6(b)の噴霧パターンへの変更によって、間欠噴霧の噴霧量が増加される。このように、コントローラ31は、注意信号が入力されたときに間欠噴霧を行っている噴霧ユニット10の全てにおいて、噴霧パターンを噴霧量が増加される噴霧パターンへと変更する。
図7は、図4の構成においてデマンドコントローラ33からの注意信号が入力されたときに、コントローラ31により設定された各噴霧ユニット10の噴霧順序を示すタイムチャートである。図7では、16台の全ての噴霧ユニット10が稼動状態、すなわち間欠噴霧が行われている状態にある場合の噴霧例を示している。また、図中の枠で囲われた範囲に対応する時間が、各噴霧ユニット10の噴霧期間を示しており、枠内には優先順位、出力、噴霧時間、ノズル数を記載している。
コントローラ31は、デマンドコントローラ33から注意信号が入力されたとき(図7の時間が0のとき)を基準として16台の噴霧ユニットにおける噴霧期間の設定を行い、まず噴霧パターンが変更された後に最初に行われる初回噴霧の噴霧期間の設定を行う。このときに、コントローラ31は、同時に間欠噴霧が行われる噴霧ユニット10をグループ分けして、噴霧ユニット10のグループ毎に順次噴霧が実行されるように初回噴霧の噴霧期間を設定する。噴霧ユニット10のグループ分けは、各噴霧ユニット10に設定されている優先噴霧順位に基づいて行われる。すなわち、コントローラ31は、優先噴霧順位が上位の噴霧ユニット10が、先に噴霧されるグループに属するようにグループ分けを行う。
コントローラ31は、図7に示すように、噴霧ユニット10a,10b,10c,10d,10e,10f,10h,10j,10kを第1グループとして選出し、噴霧ユニット10g,10i,10m,10n,10o,10pを第2グループとして選出し、噴霧ユニット10lを第3グループとして選出する。そして、第1グループ、第2グループ、第3グループの順に噴霧期間が設けられるようにし、このグループ順に噴霧を実行させる。下段の総ノズル数Ndは、各時間において噴霧が実行されているノズルの総和をとったものである。上記のような噴霧期間の設定によって、噴霧量が増加される噴霧パターンに変更された場合においても、総ノズル数Ndがいずれの時間においても最大ノズル数Ncを超えないように順序立てて噴霧が行われる。
コントローラ31は、初回噴霧を実行させた後、各噴霧ユニット10毎の変更された噴霧パターンにより、各噴霧ユニット10に噴霧を行わせる。図7に示すように、各噴霧ユニット10は、各々の噴霧パターンで2回目以降の噴霧を行う。
図8は、このような間欠噴霧が行われるときに、コントローラ31によって行われる制御を示した噴霧実行ルーチンのフローチャートである。この噴霧実行ルーチンは、コントローラ31にデマンドコントローラ33から注意信号が入力されたときに実行される。注意信号が入力されて噴霧実行ルーチンが開始されると、コントローラ31は、各噴霧ユニット10の稼動状態を取得する(ステップS110)。各噴霧ユニット10は、対応する空気調和機が運転中であり、且つ外気温度が所定の温度以上となっているときに間欠噴霧を行う。コントローラ31は、全ての噴霧ユニットのうち、どの噴霧ユニット10が間欠噴霧を実行しているかを取得する。そして、間欠噴霧が実行されている全ての噴霧ユニット10の噴霧を一時的に停止し(ステップS120)、予め設定されている最大ノズル数Ncを確認する(ステップS130)。
次いで、コントローラ31は、間欠噴霧が実行されていた各噴霧ユニット10の噴霧パターンを、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加される噴霧パターンに変更する(ステップS140)。間欠噴霧が実行されていた各噴霧ユニット10において各々個別に噴霧量が増加されると、給水設備20の給水能力範囲を超えて噴霧ユニット10に水を供給しなければならないといった状況が生じ得る。このため、コントローラ31は、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加されるように、最大ノズル数Ncに基づいて各噴霧ユニット10の噴霧パターンを変更する。すなわち、噴霧パターンが変更された場合の時間当たりの平均使用水量に相当するノズル数が、最大ノズル数Ncを超えないように各噴霧ユニット10の噴霧パターンを変更する。
そして、コントローラ31は、変更された噴霧パターンに基づいて、各噴霧ユニット10の噴霧時期を設定し、各噴霧ユニット10に噴霧を行わせる。コントローラ31は、最大ノズル数Ncに基づいて、間欠噴霧が実行されていた噴霧ユニット10の中から、初回噴霧する第1グループの噴霧ユニット10を選出し、選出された噴霧ユニット10に噴霧を行わせる(ステップS150)。次いで、コントローラ31は、最大ノズル数Ncに基づいて、ステップS150で噴霧されなかった噴霧ユニットの中から、初回噴霧する第2グループの噴霧ユニット10を選出し、選出された噴霧ユニット10に噴霧を行わせる(ステップS160)。そして、同様の手順をもってグループ毎に噴霧を行わせ、グループ分けされた最後の第nグループの噴霧ユニット10を選出して噴霧を行わせることで(ステップS170)、間欠噴霧が実行されていた全ての噴霧ユニット10の初回噴霧を終了させる。
初回噴霧が終了した後には、各噴霧ユニット10毎に変更された噴霧パターンにより、各噴霧ユニット10に噴霧を継続して行わせる(ステップS180)。そして、デマンドコントローラ33からの注意信号が解除されたとき、又はデマンドコントローラ33から新たに警告信号が入力されたときに、この噴霧実行ルーチンを終了する。
ここで、噴霧実行ルーチンのステップS150〜S170で処理される噴霧ユニット10の選出について説明する。図9は、これらのステップで噴霧ユニット10を選出するときに、コントローラ31によって実行される噴霧ユニット選出ルーチンのフローチャートである。噴霧ユニット選出ルーチンが開始されると、コントローラ31は、選出対象となる噴霧ユニット10の中で、優先順位が最も上位の噴霧ユニットを選出する(ステップS210)。例えば、図7のように全ての噴霧ユニットが間欠噴霧を行う状態にある場合に、噴霧実行ルーチンのステップS150で第1グループの噴霧ユニットを選出するときには、優先順位が1位の噴霧ユニット10aが選出される。また、図7の第1グループが噴霧を行った後に、噴霧実行ルーチンのステップS160で第2グループの噴霧ユニットを選出するときには、優先順位が7位の噴霧ユニット10gが選出される。
次いで、コントローラ31は、最大ノズル数Ncと積算ノズル数Neとを比較する(ステップS220)。積算ノズル数Neとは、このステップが処理されるまでに、コントローラ31が選出した噴霧ユニット10の全てのノズル数を合計した値である。例えば、噴霧ユニット10aのみが選出されている場合には、積算ノズル数Neが1.6になり、噴霧ユニット10aと噴霧ユニット10bとが選出されている場合には、積算ノズル数Neが25.6となる。
積算ノズル数Neが最大ノズル数Ncよりも小さいとき(ステップS220でNe<Nc)には、噴霧ユニット10に供給される水量に対して、給水設備20の給水能力に余裕があることを示している。従って、Ne<Ncの場合には、コントローラ31は、給水設備20の給水能力を有効に利用するため、給水能力範囲内でより多くの噴霧ユニット10を同時に噴霧させるように、グループに追加する噴霧ユニット10の選定を行う。
コントローラ31は、こうした選定に先立って、他に選出対象となる噴霧ユニット10が残されているか否かを判定する(ステップS230)。他に選出対象となる噴霧ユニット10が残されているとき(ステップS230でYES)には、選出対象として残された噴霧ユニット10のうち、優先順位が最も上位の噴霧ユニットを追加選出し(ステップS240)、ステップS220に戻る。一方、他に選出対象となる噴霧ユニット10が残されていないとき(ステップS230でNO)には、それまでに選出された噴霧ユニット10を1つのグループとして決定し(ステップS250)、この噴霧ユニット選出ルーチンを終了する。
また、積算ノズル数Neが最大ノズル数Ncよりも大きいとき(ステップS220でNe>Nc)には、噴霧ユニット10に供給される水量が、給水設備20の給水能力を超えていることを示している。従って、Ne>Ncの場合には、コントローラ31は、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるように、既に選定されている噴霧ユニット10をグループから除外する又はノズル数のより少ない他の噴霧ユニット10に置き換える。
このため、コントローラ31は、既に選定されている噴霧ユニット10のうち、優先順位が最も下位の噴霧ユニットをグループから除外する(ステップS260)。そして、他に選出対象となる噴霧ユニット10が残されているか否かを判定する(ステップS270)。他に選出対象となる噴霧ユニット10が残されているとき(ステップS270でYES)には、選出対象として残された噴霧ユニット10のうち、優先順位が最も上位の噴霧ユニットを追加選出し(ステップS280)、ステップS220に戻る。一方、他に選出対象となる噴霧ユニット10が残されていないとき(ステップS270でNO)には、それまでに選出された噴霧ユニットを1つのグループとして決定し(ステップS250)、この噴霧ユニット選出ルーチンを終了する。
また、積算ノズル数Neが最大ノズル数Ncと等しいとき(ステップS220でNe=Nc)には、噴霧ユニット10に供給される水量が、給水設備20の給水能力と同等であることを示している。このときには、新たな噴霧ユニット10をグループに追加、又は既に選出されている噴霧ユニット10をグループから除外する必要がないため、それまでに選出された噴霧ユニット10を1つのグループとして決定し(ステップS250)、この噴霧ユニット選出ルーチンを終了する。
以上のように、噴霧ユニット選出ルーチンでは、積算ノズル数Neと最大ノズル数Ncとを比較することにより、優先順位を考慮しながら噴霧ユニット10のグループへの追加、及び噴霧ユニット10のグループからの除外を順次判断し、同時に噴霧されるグループを決定する。
例えば、図7で初回噴霧される第1グループを選出する場合においては、ステップS210で噴霧ユニット10aが選出された後に、ステップS220〜S240の繰り返しにより、噴霧ユニット10b,10c,10d,10e,10f,10gがそれぞれ追加選出される。このとき、積算ノズル数Neが60.8個となって、最大ノズル数Ncの57.1個を超えるため、ステップS220でNe>Ncとなり、ステップS260〜S280で噴霧ユニット10gの除外と噴霧ユニット10hの追加選出が行われる。
そして、このときの積算ノズル数Neが50.4個となり、ステップS230,S240で噴霧ユニット10iの追加選出が行われ、これにより積算ノズル数Neが74.4個となるため、ステップS260〜S280で噴霧ユニット10iの除外と噴霧ユニット10jの追加選出が行われる。続いて、このときの積算ノズル数Neが52個となり、ステップS230,S240で噴霧ユニット10kの追加選出が行われ、これにより積算ノズル数Neが56.8個となるため、ステップS230,S240で噴霧ユニット10lの追加選出が行われる。
そして、その後にステップS220,S260〜S280の繰り返しによって、噴霧ユニット10lの除外及び噴霧ユニット10mの追加選出、噴霧ユニット10mの除外及び噴霧ユニット10nの追加選出、噴霧ユニット10nの除外及び噴霧ユニット10oの追加選出、噴霧ユニット10oの除外及び噴霧ユニット10pの追加選出が順次行われる。次いで、ステップS220を経てステップS260で噴霧ユニット10pが除外された後に、ステップS270で他に選出対象がなくなることから、ステップS250に進んでグループが決定される。このように、初回噴霧される第1グループには、噴霧ユニット10a,10b,10c,10d,10e,10f,10h,10j,10kの9台の噴霧ユニットが選出される。また、同様の手順をもって、第2グループ及び第3グループの選出も行われる。
このようにして、コントローラ31は、決定されたグループにおける積算ノズル数Ne、すなわち噴霧期間が重なる噴霧ユニット10のノズルの数を合計した総ノズル数Ndが、給水設備20の給水能力から換算された最大ノズル数Ncを超えないようにするとともに、総ノズル数Ndを最大ノズル数Ncに極力近づけるようにグループを設定する。
次に、噴霧実行ルーチンのステップS180で処理される噴霧ユニット10の2回目以降の噴霧について説明する。コントローラ31は、2回目以降の噴霧については、各噴霧ユニット10毎に設定された噴霧パターンにより噴霧を行わせる。このとき、図7のFに示すように、ある噴霧ユニットにおいて噴霧を開始すると、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲を超えてしまうような場合がある。このため、コントローラ31は、各噴霧ユニット10で2回目以降の噴霧が行われる際に、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるような制御を行う。
図10は、コントローラ31によって実行される噴霧時期制御ルーチンのフローチャートである。この噴霧時期制御ルーチンは、各噴霧ユニット10の噴霧期間が開始される直前に毎回実行される。噴霧時期制御ルーチンが実行されると、コントローラ31は、現在噴霧が行われている噴霧ユニットを検出する(ステップS310)。そして、直後に噴霧が開始されようとしている噴霧ユニット(以下、対象噴霧ユニットという)において噴霧が開始された場合の総ノズル数Ndと、最大ノズル数Ncとを比較する(ステップS320)。すなわち、現在噴霧が行われている噴霧ユニットのノズル数の総和に、対象噴霧ユニットのノズル数を足し合わせて総ノズル数Ndを算出し、この総ノズル数Ndと最大ノズル数Ncとを比較する。
総ノズル数Ndが最大ノズル数Nc以下のとき(ステップS320でNd≦Nc)には、対象噴霧ユニットの噴霧が開始された場合においても、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内にあることを示している。従って、Nd≦Ncの場合には、コントローラ31は、対象噴霧ユニットの所定の噴霧パターンに沿って噴霧を開始させ(ステップS330)、この噴霧時期制御ルーチンを終了する。
総ノズル数Ndが最大ノズル数Ncよりも大きいとき(ステップS320でNd>Nc)には、対象噴霧ユニットにおいて噴霧が開始されると、噴霧ユニット10に供給される水量が給水設備20の給水能力を超えることを示している。このため、Nd>Ncの場合には、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるようにする必要がある。そこで、コントローラ31は、対象噴霧ユニットが複数台であるか否かを判定する(ステップS340)。対象噴霧ユニットが1台である場合(ステップS340にてNO)には、その対象噴霧ユニットの噴霧期間を、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるまで遅延させて(ステップS350)、この噴霧時期制御ルーチンを終了する。
一方、対象噴霧ユニットが複数台である場合(ステップS340にてYES)には、優先順位順に給水設備20の給水能力範囲内で噴霧可能な対象噴霧ユニットを選出する(ステップS360)。例えば、対象噴霧ユニットが3台あり、優先順位が上位の2台だけの噴霧であれば給水設備20の給水能力範囲内となるようなときには、その2台の対象噴霧ユニットを選出する。そして、選出された対象噴霧ユニットの噴霧を開始させるとともに、他の対象噴霧ユニットの噴霧期間を供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるまで遅延させて(ステップS370)、この噴霧時期制御ルーチンを終了する。
以上のように、噴霧時期制御ルーチンでは、対象噴霧ユニットの噴霧期間開始前に総ノズル数Ndと最大ノズル数Ncとを比較することによって、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲を超えてしまうと判断される場合には、対象噴霧ユニットの噴霧期間を遅延させるようにしている。
例えば、図7のFで噴霧ユニット10gと噴霧ユニット10lとの噴霧期間が同時に開始される場合では、総ノズル数Ndが60個となるため、ステップS320においてNd>Ncとなる。また、対象噴霧ユニットは複数台であることからステップS340でYESとなり、ステップS360に進む。このときに、優先順位が上位の噴霧ユニット10gのみの噴霧であれば総ノズル数Ndが36個になるため、ステップS360で噴霧ユニット10gが選出される。そして、ステップS370で噴霧ユニット10gのみ噴霧が開始されて、噴霧ユニット10lの噴霧は遅延される。噴霧ユニット10lの噴霧は、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるとき、すなわち噴霧ユニット10iの噴霧期間が終了するときに開始される。
このように、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲を超えてしまうような場合には、対象噴霧ユニットの噴霧期間を一時的に変更して遅延させることで、供給水量の不足する期間が生じることを抑えている。また、対象噴霧ユニットが複数台ある場合には、優先順位に基づいて一部の対象噴霧ユニットのみを噴霧開始させるとともに、他の対象噴霧ユニットの噴霧期間を遅延させることで、極力多くの対象噴霧ユニットを噴霧パターン通りに噴霧させるようにしている。
以上のようにして、コントローラ31は、デマンドコントローラ33から注意信号が入力されたときに、各噴霧ユニット10の噴霧パターンを、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加される噴霧パターンに変更する。このため、空気調和機の冷房負荷が速やかに低減されて、デマンドコントローラ33からの警告信号が効率的に解除される。
次に、コントローラ31にデマンドコントローラ33から警告信号が入力された場合の制御について説明する。コントローラ31は、警告信号が入力された場合においても、注意信号が入力された場合と同様に、各噴霧ユニット10毎に設定されている噴霧パターンを、それぞれ噴霧量が多くなるような噴霧パターンに変更する。図11は変更される噴霧パターンの一例を示したタイムチャートである。警告信号が入力された場合には、間欠噴霧が実行されている噴霧ユニット10が、3つのグループにグループ分けされる。噴霧ユニット10のグループ分けは、各グループにおける全ての噴霧ユニット10のノズル数の総和が最大ノズル数Nc以下となるように行われる。そして、同グループの噴霧ユニット10が同じ噴霧パターンで同時に噴霧を行うように噴霧時期が制御される。
図11(a),(b),(c)は、それぞれ第1グループ、第2グループ、第3グループの噴霧パターン及び噴霧タイミングを示している。同図に示すように、各グループの噴霧パターンは同様に設定され、噴霧期間T7と乾燥期間T8とが一定の周期T9をもって交互に繰り返される。そして、第1グループ、第2グループ、第3グループ、第1グループ…の順に順次噴霧期間T7が設けられるように、噴霧タイミングが設定される。すなわち、警告信号が入力された場合には、全ての噴霧ユニット10の噴霧パターンが同一となり、グループ毎に順次噴霧が行われる。これにより、いずれの噴霧ユニット10も噴霧していないような期間が設けられることを防止して、給水設備20により供給される水を最大限利用できるような噴霧パターンとなるようにし、注意信号が入力されたときに変更される噴霧パターンよりも噴霧量が増加されるようにしている。
図12は、図4の構成においてデマンドコントローラ33からの警告信号が入力されたときに、コントローラ31により設定された各噴霧ユニット10の噴霧順序を示すタイムチャートである。図12では、16台の全ての噴霧ユニット10が稼動状態、すなわち間欠噴霧が行われている状態にある場合の噴霧例を示している。また、図中の枠で囲われた範囲に対応する時間が、各噴霧ユニット10の噴霧期間を示しており、枠内には優先順位、出力、噴霧時間、ノズル数を記載している。
コントローラ31は、デマンドコントローラ33から警告信号が入力されたとき(図12の時間が0のとき)を基準として16台の噴霧ユニットにおける噴霧期間の設定を行う。このときに、コントローラ31は、図11に示すような噴霧態様となるように、間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10をグループ分けして、噴霧ユニット10のグループ毎に順次噴霧が実行されるように初回噴霧、2回目噴霧…の噴霧期間を設定する。すなわち、全ての噴霧ユニット10は、噴霧期間T7が3秒で乾燥期間T8が6秒の噴霧パターンに設定され、グループ毎に順次噴霧が行われる。噴霧ユニット10のグループ分けは、各噴霧ユニット10に設定されている優先噴霧順位に基づいて行われるため、デマンドコントローラ33から注意信号が入力された場合と同様のグループ分けが行われる。下段の総ノズル数Ndは、各時間において噴霧が実行されているノズルの総和をとったものである。上記のような噴霧期間の設定によって、噴霧量が更に増加される噴霧パターンに変更された場合においても、総ノズル数Ndがいずれの時間においても最大ノズル数Ncを超えないように順序立てて噴霧が行われる。
また、このような間欠噴霧が行われるときに、コントローラ31によって行われる制御は、図8の噴霧実行ルーチンと同様の手順をもって実行される。すなわち、コントローラ31にデマンドコントローラ33から警告信号が入力されたときに、各噴霧ユニット10の噴霧パターンが噴霧量の増加する噴霧パターンに変更され、各グループの噴霧ユニット10の選出及び噴霧が順次実行される。そして、デマンドコントローラ33からの警告信号が解除されたときに、噴霧実行ルーチンが終了する。なお、各グループの噴霧ユニット10の選出についても、図9の噴霧ユニット選出ルーチンと同様の手順をもって実行される。
以上のようにして、コントローラ31は、デマンドコントローラ33から警告信号が入力されたときに、各噴霧ユニット10の噴霧パターンを、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加される噴霧パターンに変更する。変更される噴霧パターンは、注意信号の入力によって変更される噴霧パターンよりも噴霧量が増加するように設定されるため、空気調和機の冷房負荷がより速やかに低減されて、デマンドコントローラ33からの警告信号が効率的に解除される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、各室外機40の運転状態に応じた所定の噴霧パターンにより間欠噴霧を行う噴霧ユニット10は、通信アダプタ30と通信可能となるように接続される。また、通信アダプタ30には、使用電力が所定時間内に設定値を超える可能性のあるときにデマンドコントローラ33から注意信号又は警告信号が入力される。通信アダプタ30のコントローラ31は、注意信号又は警告信号が入力されたときに、各噴霧ユニット10の稼動状態を取得して、間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10の噴霧パターンを、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加される噴霧パターンへと変更する。このため、デマンドコントローラ33の信号入力により噴霧パターンが変更されるときに、給水設備20の給水能力範囲内で噴霧量が増加されるようにすることができる。従って、噴霧量が増加される噴霧パターンへの変更によって、各噴霧ユニット10に供給される水量が不足してしまうような状況を回避することができる。
(2)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、注意信号又は警告信号が入力されたときに、給水設備20の給水能力に基づいて噴霧量が増加される噴霧パターンへと変更するため、変更される噴霧パターンの噴霧量を、給水設備の給水能力限界に極力近づけるようにすることができる。このため、既存の給水設備20で供給され得る最大限の水を利用して熱交換器42の冷却を行い、空気調和機の冷房負荷を速やかに低減させることができるため、デマンドコントローラ33からの警報を効率的に解除することができる。従って、デマンドコントローラ33からの警報に対応するために給水設備20を大容量化しておく必要性がなくなり、給水配管22、加圧装置24、給水弁23等の設備の小型化及び使用数量削減を図ることができ、設備費用や工事費用等の負担を低減することができる。
(3)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、デマンドコントローラ33からの信号入力によって噴霧パターンを変更するときに、間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10の噴霧期間を、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるように順序立てて設定する。このため、同時に間欠噴霧が行われる複数の噴霧ユニット10間で噴霧期間の整合をとることができ、デマンドコントローラ33の信号入力によって変更される噴霧パターンを、より噴霧量を増加した噴霧パターンにすることが可能となる。これにより、既存の給水設備20で供給可能な水を時系列的に効率良く利用して熱交換器42の冷却を行うようにすることができるため、デマンドコントローラ33からの警報をより効率的に解除することができる。
(4)上記実施形態では、各噴霧ユニット10には、対応する空気調和機の出力に応じた個数のノズル11が設けられ、通信アダプタ30のコントローラ31は、噴霧期間が重なる噴霧ユニット10の総ノズル数Ndが、給水設備20の給水能力から換算された最大ノズル数Ncを超えないように、各噴霧ユニット10の噴霧期間を設定する。このため、各噴霧ユニット10の噴霧量と給水設備20の給水能力とをノズルの数に置き換えて容易に比較できるようにすることができ、こうした比較によって、各噴霧ユニット10に供給される水量が給水設備20の給水能力範囲を超えてしまうことを好適に防止することができる。
(5)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、注意信号又は警告信号が入力されたときに、同時に間欠噴霧が行われている噴霧ユニット10を第1グループ、第2グループ…にグループ分けして、グループ毎に順次噴霧が実行されるように各噴霧ユニット10の噴霧期間を設定する。このため、グループ毎の噴霧期間の設定によって、間欠噴霧の統括制御を容易にすることができる。また、グループ分けを行う際には、噴霧期間が重なる噴霧ユニット10の総ノズル数Ndを最大ノズル数Ncに極力近づけるようにグループを設定するため、給水設備20の給水能力を最大限に利用した噴霧態様にすることができる。
(6)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、各噴霧ユニット10に予め設定された優先噴霧順位に基づいて各噴霧ユニット10の噴霧期間を設定する。このため、例えば冷房能力の確保が不可欠で冷房負荷の低減が強く求められるような空気調和機がある場合には、その室外機40に設けられる噴霧ユニット10の優先噴霧順位を上位に設定することで、熱交換器42の冷却が優先的に行われるように噴霧期間を設定することができる。
(7)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、注意信号の入力により噴霧ユニット10の噴霧パターンが変更されたときに、対象噴霧ユニットの噴霧開始によって供給される水量が給水設備20の給水能力範囲を超えると判断した場合には、対象噴霧ユニットの噴霧期間を給水設備の給水能力範囲内となるまで遅延させる。このため、対象噴霧ユニットの噴霧パターンの噴霧期間を一時的に変更することによって、供給水量の不足する期間が発生してしまうことを抑えることができる。また、対象噴霧ユニットが複数台ある場合には、優先順位に基づいて一部の対象噴霧ユニットのみを噴霧開始させるとともに、他の対象噴霧ユニットの噴霧期間を遅延させることで、極力多くの対象噴霧ユニットを噴霧パターン通りに噴霧させることができる。
(8)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、警告信号が入力されたときに変更される噴霧パターンを、注意信号が入力されたときに変更される噴霧パターンよりも、噴霧量が増加されるような噴霧パターンにする。このため、空気調和機等の使用電力が設定値を超える可能性の高低に応じて、噴霧パターンを変更することができ、前記可能性が高くなり警告信号が入力されるような場合においても、デマンドコントローラ33からの警報を速やかに解除することができる。
(9)上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、各噴霧ユニット10にそれぞれ設定された固有のアドレスに対応したデータを送受信することで各噴霧ユニット10の間欠噴霧を制御するため、各噴霧ユニット10の噴霧パターン等の管理が容易となる。また、こうしたアドレス管理によって、噴霧ユニットが追加、削除された場合や、別仕様のものと交換された場合に、補助冷却装置1に設けられている噴霧ユニット10をコントローラ31が確実に認識できるようにすることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、通信アダプタ30には、デマンドコントローラ33から注意信号及び警告信号の2ステップの信号が入力されるように構成されているが、3ステップ以上の信号が入力されるように構成されていてもよいし、1ステップのみの信号が入力されるように構成されていてもよい。
・上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、各噴霧ユニット10の稼動状態等により間欠噴霧を制御するようにしているが、給水設備20を流通する水の流速又は流量を計測する計測手段を更に設けて、コントローラ31が、計測手段による計測結果に基づいて間欠噴霧をフィードバック制御するようにしてもよい。この場合、例えば図1に示すように、給水設備20の給水配管22に、流通する水の流速又は流量を計測する計測手段25を設け、計測手段25による計測結果がコントローラ31に入力されるようにすることができる。このようにすると、噴霧ユニット10からの噴霧状態や給水設備20の給水能力の余裕度等を実際の計測値により把握することができるため、噴霧パターンが変更されたときの噴霧期間の設定等、間欠噴霧の制御をより的確に行うことができる。
・上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、総ノズル数Ndと最大ノズル数Ncとの比較により、供給される水量が給水設備20の給水能力範囲内となるように制御しているが、噴霧ユニット10の配管14内における水の流量等、ノズル数以外の値を用いて、このような制御を行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、デマンドコントローラ33からの信号入力によって噴霧パターンを変更するときに、噴霧ユニット10のグループ毎に順次噴霧が実行されるように噴霧期間を設定しているが、グループ分けを行わずに、噴霧ユニット10の噴霧期間を個々に設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、各噴霧ユニット10に予め設定された優先噴霧順位に基づいて各噴霧ユニット10の噴霧期間を設定しているが、優先噴霧順位設定を用いずに噴霧期間の設定を行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31と各噴霧ユニット10の制御基板15とを、シリアル接続することで通信可能に構成しているが、コントローラ31と各制御基板15とをパラレル接続することで通信可能に構成してもよい。
・上記実施形態では、通信アダプタ30のコントローラ31は、各噴霧ユニット10に設定されているアドレスに対応したデータを送受信することで、各噴霧ユニット10の間欠噴霧を制御しているが、他の形式によって通信を行うようにしてもよい。また、各噴霧ユニット10に対するアドレスの設定は、コントローラ31が自動的に割り振るようにしてもよいし、噴霧ユニット10の室外機40への装着時に予め設定しておくようにしてもよい。
・上記実施形態では、各噴霧ユニット10は、制御基板15による電磁弁16の開閉駆動によって水の噴霧を行うが、電磁弁16を開度が変更できるように構成し、制御基板15による電磁弁16の開度調整によって、噴霧量を変更しながら噴霧を行うようにしてもよい。この場合、電磁弁16の開度調整を付加することにより、各噴霧ユニット10の間欠噴霧を様々な噴霧態様にすることができ、噴霧パターンが変更されたときの噴霧期間の設定自由度を大きくすることができる。
1…補助冷却装置、10…噴霧ユニット、11…ノズル、12…噴霧制御部、15…制御基板、16…電磁弁、20…給水設備、22…給水配管、23…給水弁、24…加圧装置、30…通信アダプタ、31…コントローラ、33…デマンドコントローラ、40…室外機、42…熱交換器。