JP4406970B2 - 有機物処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物の酸化や油化や低分子化などの処理を該有機物を含む流体を高圧に加圧した後に高温に加熱することによって行い、かつ、この流体を連続的に流通させて処理を行う有機物処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水分中に多量の有機物を含む下水汚泥の処理や工場から排出される有機物を含む排水やPCB,ダイオキシン等の有害有機物の処理に関して、流体の臨界条件(水の場合には、圧力22MPa,温度374℃)を超える温度と圧力にまで加圧及び加熱を行って酸化処理する技術が開発されている。
【0003】
また、この下水汚泥の処理では、臨界条件以下の温度と圧力で汚泥の油化を行う技術が知られている。
【0004】
更に、廃プラスチックのリサイクル方法として、高分子化合物であるプラスチックを超臨界流体中で分解反応させ、低分子の原料として回収する技術も開発されている。
【0005】
これらの技術では、共通して、流体を高圧に加圧した後に加熱して処理を行うといった工程になる。有機物を含む流体を高圧に加圧する手段として、高圧用のスラリーポンプの使用が考えられるが、この高圧用のスラリーポンプは、特殊なポンプであるために高価になる。これに代わる加圧手段として、特開平5−111695号公報には、汚泥油化装置における汚泥圧入装置として、水用の高圧ポンプを使用する装置が記載されている。
【0006】
この汚泥圧入装置の概略を図14を用いて説明する。この汚泥圧入装置は、先ず、弁14を閉じ、弁13,18を開いて汚泥ポンプ1を駆動してスラリータンク9内の汚泥をシリンダ3の下部に充填する。次に、弁13,18を閉じ、弁17を開いて水用の高圧ポンプ33を駆動して作動水タンク10内の作動水をシリンダ3の上部に圧入してピストン5に圧力を掛けて汚泥を加圧する。シリンダ3内の圧力が充分に高まった後に弁14を開き、シリンダ3内の高圧汚泥を予熱器6に供給する。このとき、予熱器6に供給される高圧汚泥の流量と高圧ポンプ33の吐出流量は同じになる。この方法は、高圧ポンプ33に水用のものを使用することができるために、安価に構成することができる。
【0007】
一方、スラリーを高圧で供給するための動力を低減する方法として、文献〔「パイプラインシステムによる連続式オートクレーブの開発」山崎仲道他、水熱化学実験所報告、Vol.3、1−4(1979)〕に記載された方法がある。
【0008】
この方法を図15を用いて説明する。チェック弁群42は、クランク軸43に連動するカム群48との連動で開閉する。スラリータンク9内のスラリーは、チェック弁群42を通過してシリンダ3に充填される。次に、シリンダ3内のピストン49が上昇して高圧スラリーが押出され、チェック弁群42を通過して予熱器6に供給されて加熱される。高温高圧スラリーは、その後、反応器7を通過して反応し、予熱器6で熱交換した後にチェック弁群42を通過してシリンダ4に導入される。シリンダ4に高圧で流入する高圧流体は、このシリンダ4内のピストン50を押すことになる。このピストン50が押されることにより、コネクティングロッドを介してクランク軸43に回転動力が付加される。このクランク軸43には、コネクティングロッドを介して、シリンダ3のピストン49が連動するようになっている。このために、全体として見ると、処理後の高圧流体の圧力を用いて処理前の流体を加圧することができる。しかし、それだけではクランク軸43を回転するための動力が不足するために、このクランク軸43には歯車51を介してモータ32を接続して動力を付加している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、有機物の超臨界水中での酸化や汚泥の油化,プラスチックの低分子化等の処理では、処理流体を高圧に加圧して供給するために、多大なポンプ動力が必要になる。
【0010】
前記文献「パイプラインシステムによる連続式オートクレーブの開発」では、反応系内の流体の圧力をピストンの背圧にかけることでポンプ駆動力を低減して、スラリーと別系統の第2の流体を高圧系内に注入する手段が記載されている。しかし、この方法では、シリンダ内の第2の流体を注入し終わると、それ以上注入を続けることができないため、連続処理に用いることができなかった。
【0011】
また、超臨界水中での酸化処理では、高圧に加圧した酸素ガスを有機物を含む高圧の流体に混合させる必要があるが、このとき、有機物を含む流体の流量が変動すると流体と酸素ガスの混合割合が変動し、有機物の酸化反応にむらが発生する。また、酸化処理以外の処理においても、供給流量が変動すると、予熱器や反応器での滞留時間が変動して反応の進み具合にむらが生じる。このために、有機物を含む流体の高圧供給では、供給流量の変動を極力押さえる必要がある。
【0012】
図15に示した方法を用いて処理流体の高圧供給を行う場合には、クランク機構が介在するためにピストンの移動速度が大きく変動する。このために、高圧で供給する流体の流量が大きく変動することになる。そして、供給流量に変動が生じると、前述したように、処理反応に問題を引き起こす。代わりに、高圧用のスラリーポンプを用いる場合や、図14に示すの圧入装置を用いる場合には、供給流量の変動は抑えることができるものの、多大なポンプ動力を必要とするという問題ある。
【0013】
図15に示した手法を図14に示した装置に適用してポンプ動力の低減を図ろうとするときには、図14に示した装置における処理後の高圧流体をシリンダ3の上部から流入させるようにすることが考えられる。しかし、その場合は、高圧ポンプ33の吐出流体が処理後の流体側に流れ込むだけになってしまい、ポンプとして成立しなくなる。
【0014】
また、実際には、処理後の流体の量は、処理前の流体の量と完全に一致するわけではない。処理後の流体の量は、処理前の流体の成分によって変動する。従って、このような処理後の高圧流体をそのまま加圧動力源として使用すると、図10の方法やピストンの背面に圧力をかける方法の場合には、加圧動作が不安定になる。
【0015】
従って、本発明の1つの目的は、有機物を含む流体の加圧供給に要する動力(エネルギー)を低減し、かつ、安定に動作する加圧供給装置を備えた高温高圧の流体を利用する有機物処理システムを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、有機物処理システムにおける加圧供給装置を比較的安価な手段を使用して構成することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、処理後の高圧流体の圧力をシリンダの中のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段とを備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、前記処理後の高圧流体のエネルギーを背圧弁を用いて低減した後に前記第1の駆動手段におけるシリンダに導入するようにした。
【0018】
また、処理後の高圧流体の圧力をシリンダの中のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段と、処理前の流体をシリンダに導入してピストンで加圧供給する加圧手段を備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、処理後の高圧流体を導入するシリンダの行程容積を処理前の流体を導入するシリンダの行程容積よりも小さくし、処理後の高圧流体の一部を背圧弁を通して外部に放出しつつ残りの高圧流体を前記第1の駆動手段のシリンダに導入するようにした。
【0019】
また、処理後の高圧流体の圧力をシリンダの中のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段と、処理前の流体をシリンダに導入してピストンで加圧供給する加圧手段を備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、処理後の高圧流体を導入するシリンダの行程容積を処理前の流体を導入するシリンダの行程容積よりも大きくし、処理後の高圧流体を背圧弁を通して減圧して前記第1の駆動手段のシリンダに導入することにより駆動エネルギーとして利用するようにし、前記第2の駆動手段は、高圧ポンプで加圧した流体を前記減圧した処理後の流体と共に第1の駆動手段のシリンダに導入するようにした。
【0020】
このようにすれば、有機物を含む流体の加圧供給に要する動力(エネルギー)を低減し、かつ、安定に動作する加圧供給装置を実現することができる。
【0021】
そして、具体的には、前記第1の駆動手段と加圧手段は、処理後の高圧流体を導入する一次側シリンダと、処理前の有機物を含む流体を導入する二次側シリンダと、一次側シリンダ内のピストンと二次側シリンダ内のピストンを連結するピストンロッドとを備え、前記第2の駆動手段は、この連結されたピストンに駆動力を付加するように構成する。
【0022】
また、前記二次側シリンダのピストンロッド側の端を該ピストンロッドを水密状態に貫通させるように閉じて該二次側シリンダ内に該ピストンによって仕切られたピストンロッド側空間を形成し、前記第2の駆動手段は、加圧した流体を前記ピストンロッド側空間に供給することにより駆動力を付加するようにする。
【0023】
また、前記第2の駆動手段は、前記ピストンロッドにモータの動力を伝達する手段を取付け、モータの動力を駆動力として付加するようにする。
【0024】
また、1つのシリンダ内をピストンによって仕切ることによって処理後の高圧流体を導入して加圧駆動力を発生する第1の室と処理前の流体を導入して加圧供給する第2の室を形成し、第2の駆動手段は、前記ピストンに連結したピストンロッドを介して前記ピストンに駆動力を付加するようにし、前記処理後の高圧流体は、シリンダ内のピストンロッド側の室に導入し、処理前の流体は、他側の室に導入するようにする。
【0025】
また、処理前の流体を加圧するシリンダとピストンを複数対設け、1対のシリンダとピストンで高圧にした処理前の流体を供給している間に他のピストンとシリンダの対に処理前の流体を充填して高圧に加圧しておくようにする。
【0026】
また、本発明は、処理後の高圧流体の圧力をシリンダ内のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段を備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、前記第1の駆動手段のシリンダーとピストンにより形成される排出流体室へ開閉弁を介して処理後の高圧流体を導入する背圧ラインと、この背圧ラインの圧力が設定圧力を越えたときには該背圧ラインから処理後の高圧流体を流出させて該背圧ラインの圧力が設定圧力を越えないようにする背圧ライン保圧弁と、この背圧ライン保圧弁から流出した処理後の高圧流体を開閉弁を介して排出流体室へ導入する排出流体室予圧ラインと、この排出流体室予圧ラインの圧力が設定圧力を越えたときには該排出流体室予圧ラインから処理後の高圧流体を流出させて該排出流体室予圧ラインの圧力が設定圧力を越えないようにする排出流体室予圧ライン保圧弁を設け、前記排出流体室を大気圧から高圧へ予圧するときは、背圧ラインの開閉弁を閉じ、排出流体室予圧ラインの開閉弁を開くことにより、背圧ライン保圧弁を流出して排出流体予圧ラインを流れる処理後の高圧流体で前記排出流体室を大気圧から高圧へ予圧し、処理前のスラリーを供給するときは、排出流体室予圧ラインの開閉弁を閉め、背圧ラインの開閉弁を開くことにより処理後の高圧流体の圧力を処理前のスラリーの加圧に使用するようにした。
【0027】
そして、具体的には、更に、処理物が反応する反応系の圧力を決める反応系保圧弁を設け、この反応系保圧弁を流出した処理後の流体が前記背圧ラインに流入するようにした。
【0028】
また、前記背圧ラインに該背圧ラインの圧力変動を軽減するアキュムレータを設けた。
【0029】
また、前記第2の駆動手段は、シリンダーとピストンからなり、加圧ポンプで加圧された作動流体の圧力で駆動するようにした。
【0030】
また、排出流体室予圧ライン保圧弁から流出した処理後の高圧流体を開閉弁を介して第2の駆動手段のシリンダーとピストンで形成される作動流体室に導入する作動流体室予圧ラインと、設定圧力が前記作動流体室の通常運転圧力に設定され、作動流体室予圧ラインの圧力が前記設定圧力を越えたときには作動流体室予圧ラインから処理後の高圧流体を流出させて前記設定圧力を越えないようにする作動流体室予圧ライン保圧弁を設け、作動流体室を大気圧から作動流体室の通常運転圧力へ予圧するときは、作動流体室予圧ラインの開閉弁を開くことにより、前記排出流体室予圧ライン保圧弁を流出して作動流体室予圧ラインを流れる処理後の高圧流体で作動流体室を予圧するようにした。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を用いて詳述する。
【0032】
図1は、水に有機物が含まれるスラリーを高温高圧にして酸化処理する本発明の第1の実施の形態である有機物処理システムである。
【0033】
一次側シリンダ4L,4Rには、弁15L,15Rを介して処理済み高圧水25を流入させ、弁16L,16Rを介して大気圧の作動流体26として作動流体タンク10に流出させる。また、二次側シリンダ3L,3Rには、弁13L,13Rを介して処理前のスラリー22を流入させ、高圧に加圧した高圧スラリー23を弁14L,14Rを介して供給する。更に、二次側シリンダ3L,3Rのピストンロッド5L,5R側には、流量制御用ポンプ2から弁17L,17Rを介して作動流体28を流入させ、弁18L,18Rを介して作動流体タンク10に流出させる。
【0034】
図1に示す状態は、スラリーポンプ1を駆動し、弁13Lを開き、弁14Lを閉じることで、スラリータンク9内のスラリー22をシリンダ3Lに充填している状態である。これにより、ピストン52Lが上昇し、弁17Lを閉じ、弁18Lを開くことで、このシリンダ3Lのピストンロッド5L側の作動流体28が作動流体タンク10に押戻される。また、弁15Lを閉じ、弁16Lを開くことで、シリンダ4Lは大気圧状態になり、ピストン53Lの上昇に伴ってシリンダ4L内の作動流体26は作動流体タンク10に放出される。
【0035】
一方、右側のシリンダ3Rに関しては、流量制御用ポンプ2を駆動し、弁17Rを開き、弁18Rを閉じることにより、作動流体28がシリンダ3Rのピストンロッド5R側に流入する。これにより、ピストン52Rが下降し、弁13Rを閉じ、弁14Rを開くことで、シリンダ3R内のスラリーが加圧されて高圧スラリー23として予熱器6に供給される。このとき、弁15Rを開き、弁16Rを閉じることで、処理済み高圧水25がシリンダ4Rに流入し、ピストン53Rに背圧を掛ける。これにより、ピストンロッド5Rで連結されたピストン52Rは、処理済み高圧水25の圧力により押される力と作動流体28の圧力により押される力を合計した力によって駆動されて高圧スラリー23を生成することになる。また、ピストン52Rの変位は、シリンダ3Rに流入した作動流体28の流量によって決まるために、流量制御用ポンプ2の吐出流量によって高圧スラリー23の供給流量を制御することができる。
【0036】
供給された高圧スラリー23は、予熱器6で加熱された後に高圧に加圧された酸素29と混合されて反応器7で酸化反応する。この酸化反応により処理された反応済み流体は、予熱器6に送って反応前の流体と熱交換することで温度を下げてから固気液分離器8に送る。
【0037】
固気液分離器8は、反応済み流体に含まれている排ガス30と灰31を分離して排出する。
【0038】
灰と排ガスが除去されて水のみになった処理済み高圧水24は、反応系保圧弁11を通り、背圧保持弁12が維持する圧力に減圧される。減圧された処理済み高圧水25の一部は背圧保持弁12を通して処理排水27として放出するが、大部分はシリンダ4Rに流入して加圧に利用される。処理排水27としての放出量は、固気液分離器8によって処理済み高圧水24から分離される灰31の量が高圧スラリー23の有機物含有量によって変動し、更に、処理済み高圧水25の流量が変動し、これによってシリンダ4L,4Rへの流入量が変動するのを防止するような値とする。
【0039】
反応系保圧弁11は、予熱器6から固気液分離器8までの圧力を一定に保つためのものであるが、これがない場合でも、背圧保持弁12を保圧弁の目的で使用することによりシステムは成立する。しかし、その場合には、弁15L,15Rを操作する際に生じる処理済み高圧水25の圧力変動が反応系全体に伝播して脈動の原因となるために、反応系保圧弁11は取り付けた方が良い。
【0040】
反応系保圧弁11を取り付けた場合には、この反応系保圧弁11を有効に作動させるために、この反応系保圧弁11の前後に圧力差を付ける必要がある。ただし、処理済み高圧水25の圧力を下げるとピストン53L,53Rの駆動力が小さくなるために、その分、作動水28の圧力を上げる必要がある。作動水28の圧力を上げると流量制御用ポンプ2に要する動力が増すために、背圧保持弁12と反応系保圧弁11との圧力差は必要以上に大きくとらない方が良い。
【0041】
二次側シリンダ3L,3R内にあるピストン52L,52Rと一次側シリンダ4L,4R内にあるピストン53L,53Rは同じストロークで動くために、シリンダ4Rに流入する流量とシリンダ3Rから流出(供給)する流量は完全に対応する。このために、処理済み高圧水25の流量が変化してもシリンダ4Rに流入する流量が変わらないようにしておく必要がある。このための手段として、通常の運転では、背圧保持弁12を通してある程度の処理済み高圧水を処理排水27として捨てておくようにしている。このようにすることで、処理済み高圧水25の流量が変化しても、この変化分は、背圧保持弁12から流出する処理排水27の流量が変化することで吸収することができる。また、瞬間的な圧力変動は、アキュムレータ34によって吸収するようにする。
【0042】
一次側シリンダに流入させる流体の体積流量により一次側シリンダの断面積が決まる。シリンダ4Rに流入させる流体の体積流量が高圧スラリー23の体積流量より少ない場合には、一次側シリンダの断面積が二次側シリンダの断面積より小さくなる。一次側シリンダの断面積が小さくなると、ピストンの駆動力が小さくなるために、その分、作動水28の圧力を上げる必要がある。このために、背圧保持弁12から流出させる処理排水27の流量の設定値は極力抑えるのが望ましい。
【0043】
また、システム全体を起動するときには、初期加圧ポンプ35を用いて系全体の加圧を行う。この加圧を終えた後は、初期加圧ポンプ35は停止して弁36を閉じておく。
【0044】
図2を参照して、シリンダ3Lにスラリー22を充填した後の動作について説明する。スラリー22の充填に伴ってピストン52Lが上昇して行くと、上死点に達した時点で検知器19Lがそれを検知して制御盤21に上死点検出信号を送る。制御盤21は、この上死点検出信号を受け取ると、スラリーポンプ1を停止させる。次に、弁13L,16Lを閉じ、シリンダ3L,4Lに圧力を掛けられるようにする。
【0045】
次に、制御盤21は、弁15Lを開いて処理済み高圧水25の圧力がピストン53Lに掛かるようにする。弁15Lを開く前のシリンダ4Lは大気圧状態であるために、弁15Lを開いた瞬間には処理済み高圧水25の圧力が低下する。このときの圧力低下が大きいと、ピストン53Rの駆動力の低下も大きくなり、供給流量の脈動の原因になる。このときの処理済み高圧水25の圧力変動は、アキュムレータ34によって軽減する。
【0046】
アキュムレータ34は、上部に高圧ガスを充填し、下部に処理済み高圧水25を導入する構成である。弁15Lが開いて処理済み高圧水25の圧力が低下すると、アキュムレータ34内にある高圧ガスが膨張して内部の処理済み高圧水25を押出すために系の圧力低下は非常に小さい量で済み、脈動を抑えることができる。
【0047】
処理済み高圧水25の圧力がピストン53Lに掛かると、シリンダ3Lに充填されたスラリー22が高圧に加圧される。これにより、シリンダ3L内のスラリー22の供給開始の準備が整う。シリンダ3Rからの高圧スラリー23の供給が進み、ピストン53Rが下死点に到達すると、検知器20Rがそれを検知して下死点検出信号を制御盤21に送る。制御盤21は、この下死点検出信号を受け取ると、弁14Lを開き、弁17L〜18Rを逆転させてシリンダ3Lからの高圧スラリー供給を開始する。
【0048】
図3は、このような運転サイクルを示している。先ず、シリンダ3Rから高圧スラリー23を供給している間に、シリンダ3Lにスラリー22を充填し、充填したスラリー22を高圧に加圧しておく。そして、シリンダ3Rからの高圧スラリー23の供給が終ると、直ちに、シリンダ3Lからの高圧スラリー23の供給を開始する。このとき、シリンダ3Rからの供給停止よりも若干早めにシリンダ3Lからの供給を開始して両方のシリンダ3L,3Rから並行して供給する時間を設けると、切り替えが滑らかになる。また、このような切り替えのための弁の切り替えを行っている間も、流量制御用ポンプ2は一定の流量で運転を継続すれば良く、これにより高圧供給される高圧スラリー23の流量は一定に保つことができる。
【0049】
なお、検知器19Rは、ピストン5Rが上死点に到達したことを検出して上死点検出信号を発生し、検知器20Lは、ピストン5Lが下死点に到達したことを検出して下死点検出信号を発生する。そして、制御盤21は、これらの検出信号を参照して前記運転サイクルを繰り返し制御する。
【0050】
制御盤21による高圧スラリー供給流量制御は、前述したような弁制御に加えて、流量制御用ポンプ2からシリンダ3L,3Rに供給する作動水28の流量を流量検出器54で検出し、この流量が所望の高圧スラリー供給量に対応する値となるように流量制御用ポンプ2を制御することによって行う。この作動水28の流量計測を行う検出器54は、比較的容易に構成することができる。この流量制御は、一次側シリンダ4L,4Rに流入する処理済み高圧水25の流量を計測するようにしても同様に実現することができる。
【0051】
図4は、本発明の第2の実施の形態を示している。この実施の形態における有機物処理システムは、流量制御用ポンプを用いずに、モータを用いてピストンに駆動力を付加する構成が第1の実施の形態と相違する。前述した実施の形態と共通の構成手段には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
シリンダ3L,3Rは、ピストンロッド5L,5R側が開いた構造のものを使用する。そして、ピストンロッド5L,5Rにラック55L,55Rを取り付け、モータ32L,32Rの回転軸に取り付けたピニオン56L,56Rの回転をピストン52L,52Rに伝達して直進駆動を補助する。ピストン52Lとピストン52Rは独立に駆動するために、32L,32Rモータはそれぞれのピストン52L,52Rに対して必要になる。その代わりに、モータ32L,32Rは、ピストン52L,52Rを上昇させることもできるので、スラリーポンプを省略すことができる。
【0053】
図4に示すように、モータ32Lでピストン52Lを上昇させることにより、スラリー22をシリンダ3Lに充填することができる。このとき、スラリー22は負圧になるために、空気の混入を防止するためには、スラリータンク9はシリンダ3L,3Rよりも高い位置に置くことが望ましい。
【0054】
モータ32L,32Rの回転動力をピストン52L,52Rの直進動力に変換する手段としては、この他にも、ピストン52L,52Rのピストンロッド5L,5Rをねじ軸にして、すべりねじ伝動方式やボールねじ伝動方式を用いることができ、更には、ピストンロッド5L,5Rをリニアモータにすることで動力を付加するもできる。
【0055】
そして、制御盤21による高圧スラリー供給流量制御は、ピストン52L,52Rの移動量と高圧スラリー押出し流量の関係を把握しておき、モータ32L,32Rの回転速度を回転速度検出器57L,57Rで検出し、高圧スラリー押出し流量が所望の流量となるようにピストンロッド5L,5R(ピストン52L,52R)の駆動速度を制御することによって行う。また、前記実施の形態と同様に、シリンダ4L,4Rに流入する処理済み高圧水25の流量検出に基づいて行うようにすることもできる。
【0056】
図5は、本発明の第3の実施の形態である有機物処理システムにおけるスラリー加圧装置を示している。この実施の形態における、第2の実施の形態との違いは、一次側シリンダのピストンと二次側シリンダのピストンを連動させるピストンロッドを分割し、その間に歯車を介在させたことにある。
【0057】
ピストン46L,46R,47L,47Rにそれぞれ接続している各ピストンロッド58L,58R,59L,59Rにはラック60L,60R,61L,61Rを取り付け、これらのラック60L〜61Rと歯車62L,62R,63L,63Rを介して、一次側シリンダ4L,4Rのピストン47L,47Rで得られた動力を二次側シリンダ3L,3Rのピストン46L,46Rに伝達する構成である。このような構成によれば、ラック間に介在する歯車62L,62Rは、モータ32L,32Rの動力を伝達する歯車として兼用することができる。
【0058】
また、一次側シリンダ4L,4Rで得られた動力を、一旦回転動力に変換して二次側シリンダ3L,3Rの動力へ伝達するが、回転動力への変換をラックとピニオン機構で行うために、ピストンの移動速度と歯車の回転速度が比例する。このために、図15に示したようなクランク機構を用いる場合に生じるピストンの移動速度の変動が起こらない。このために、高圧スラリー23を一定流量で供給することが可能になる。
【0059】
なお、その他の構成は、前述した実施の形態と同様に構成することができるので、図示説明を省略する。
【0060】
図6は、本発明の第4の実施の形態である有機物処理システムを示している。この実施の形態における、第1の実施の形態との違いは、シリンダ4L,4Rの断面積をシリンダ3L,3Rの断面積よりも大きくしたことと、高圧ポンプ33から吐出する作動水を処理済み高圧水25に混合させるようにしたことにある。前述した実施の形態と共通の構成手段には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
【0061】
ピストンが受ける力は、作用する流体の圧力と断面積の積によるために、処理済み高圧水25の圧力を高圧スラりー23の圧力より低くしても、シリンダ4L,4Rの断面積をシリンダ3L,3Rより大きくした効果が上回れば、ピストン5L,5Rに掛かる力は、スラリーを加圧する側の力が上回り、加圧供給のために駆動することが可能になる。このため、シリンダ3L,3Rの中にあるピストンに背圧を掛ける必要がなくなり、シリンダ3L,3Rのピストンロッド側は、開いた構造にすることができる。
【0062】
また、高圧ポンプ33の吐出圧力は、処理済み高圧水25の圧力と等しくこの高圧水25の圧力は、高圧水24の圧力よりも低いために、高圧ポンプ33の吐出水が処理済み高圧水24の側に流れ込むようなことはことはない。
【0063】
また、この実施の形態の場合は、処理済み高圧水25の流量が変化した場合も、高圧スラリー23の供給流量が変化することで収まるために、背圧保持弁は不要になる。高圧スラリー23の供給流量を変化させないようにするためには、ピストン5L,5Rの移動速度を流量検出器64L,64Rの流量に置き換えて検出し、これが一定になるように制御盤21によって高圧ポンプ33の吐出流量を制御する。
【0064】
また、この実施の形態では、高圧ポンプ33を用いているために、初期加圧ポンプは不要になる。
【0065】
図7および図8は、本発明の更に他の実施の形態を示している。これらの各実施の形態における、第1〜第4の実施の形態との違いは、処理済み高圧水25を、処理前のスラリー22を導入するシリンダ40L,40Rに流入させるようにしたことである。すなわち、シリンダ40L,40Rには、下側からスラリー22を導入し、上側から処理済み高圧水25を流入させる。
【0066】
図7は、本発明の第5の実施の形態である有機物処理システムを示している。この実施の形態は、流量制御用ポンプ37の作動流体39をシリンダ41L,41Rに流入させることで、ピストンロッド5L,5Rの駆動を補助する構成である。
【0067】
この実施の形態は、図1に示した実施の形態と異なり、作動流体39がスラリー22と接触することによって汚染されることがないために、作動水の代りに作動油を用いることが容易になる。図7は、作動油を用いた有機物処理システムを示しており、作動油タンク38を備える。
【0068】
シリンダ41L,41Rの断面積は自由に設定することができ、流量制御用ポンプ37の吐出圧力と流量の関係で、都合の良い流量に合わせればよい。
【0069】
処理済み高圧水25の流路を制御する弁15〜16および作動油の流路を制御する弁17〜18の操作手順は、図1に示した実施の形態と同じで良い。
【0070】
なお、前述した実施の形態と共通の構成手段には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
【0071】
図8は、本発明の第6の実施の形態におけるスラリー加圧装置を示している。この実施の形態における、第5の実施の形態との違いは、流量制御用ポンプを用いずにモータを用いることである。また、前述した実施の形態と共通する構成手段は、その一部の図示説明を省略する。
【0072】
ピストンロッド5L,5Rにはラック55L,55Rを取り付け、モータ32L,32Rの回転軸に取り付けたピニオン56L,56Rの回転をラック55L,55Rに伝達してピストン52L,52Rの駆動を補助する。
【0073】
また、ピストン52L,52Rの上死点および下死点への到達の検知にはピストンロッド5L,5Rを利用する。
【0074】
図9は、本発明の第7の実施の形態である有機物処理システムを示している。この実施の形態は、処理済み高圧水をスラリー加圧に利用するときの該処理済み高圧水ラインの圧力変動を一層軽減することができるように工夫した実施の形態である。前述した実施の形態と共通の構成手段には同一の参照符号を付して重複する説明を一部省略する。
【0075】
一次側シリンダー4L,4Rと一次側ピストン53L,53Rにより作動流体室67L,67Rを形成する。作動流体室67L,67Rには、流量制御用ポンプ2から弁17L,17Rを介して作動流体28を流入させる作動流体供給ライン74と、弁18L,18Rを介して作動流体タンク10に流出させる作動流体排出ライン75を接続する。
【0076】
二次側シリンダー3L,3R内には、二次側シリンダー3L,3Rと二次側ピストン52L,52Rにより、それぞれ2つづつの空間を形成する。ピストンロッド5L,5R側の空間は排出流体室66L,66Rであり、ピストンロッド5L,5Rと反対側の空間は供給流体室65L,65Rである。
【0077】
一次側ピストン53L,53Rと二次側ピストン52L,52Rを接続するピストンロッド5L,5Rは、3点支持における芯ずれによる応力発生を防止するために、途中を切り離して当接するようにしておくことが望ましい。
【0078】
排出流体室66L,66Rには、固気液分離器8を流出して反応系保圧弁11および背圧ライン保圧弁(背圧保持弁)12を通過した処理済み高圧水を弁61L,61Rを介して流入させる排出流体室予圧ライン71と、弁15L,15Rを介して固気液分離器8を流出して反応系保圧弁11を通過した処理済み高圧水を流入させる背圧ライン73と、排出流体室66L,66Rを弁16L,16Rを介して大気圧側に開放する排出流体室排出ライン76を接続する。
【0079】
弁61L,61Rは、排出流体室66L,66Rを大気圧から高圧に加圧する加圧工程のときに開き、弁15L,15Rは,処理前のスラリーを予熱器6へ供給するときに開く。弁16L,16Rは排出流体室66L,66Rを高圧から大気圧まで減圧する減圧工程と、処理前のスラリー22をスラリーポンプ1を使って供給流体室65L,65Rに充填する充填工程のときに開く。弁の開閉手順の詳しい説明は後述する。
【0080】
ここで、スラリーポンプ1の吐出圧は、スラリー22を供給流体室65L,65Rへ流入させるだけの吐出圧で良く、従って、比較的小さな吐出圧のポンプで良い。また、ここでは、スラリーポンプを使用しているが,処理する対象物である被処理流体が液体であるときは、液体用のポンプで良い。
【0081】
供給流体室65L,65Rには、弁13L,13Rを介して処理前のスラリー22を流入させて加圧し、加圧されて高圧になったスラリーを弁14L,14Rを介して予熱器6へ供給する。
【0082】
図9は、スラリーポンプ1を駆動し、弁13Lを開き、弁14Lを閉じることにより、スラリータンク9内の処理前のスラリー22を左側の二次側シリンダ3Lの供給流体室65Rに充填する状態(充填工程)を示している。このとき、弁61Lと弁15Lを閉じ、弁16Lを開くことにより、ピストン52Lの上昇に伴って、排出流体室66Lの処理流体が処理済み流体タンク45に排出される。また、弁17Lを閉じ、弁18Lを開くことにより、ピストン53Lの上昇に伴って、作動流体室67Lの中の作動流体は作動流体タンク10に排出される。
【0083】
一方、右側のシリンダに関しては、流量制御用ポンプ2を駆動し、弁17Rを開き、弁18Rを閉じることにより、作動流体28を一次側シリンダ4Rの作動流体室67Rに流入させている(供給工程)。このとき、弁15Rを開き、弁16Rを閉じることにより、一次側シリンダ3Rの排出流体室66Rに処理済み高圧水を流入させてピストン52Rに背圧をかける。更に、このとき、弁13Rを閉じ、弁14Rを開いておくことにより、ピストン52R,53Rが下降して供給流体室65Rの中の処理前のスラリーを予熱器6に供給する。
【0084】
ピストン52Rは、排出流体室66Rの中の流体の圧力により押される力と、作動流体室67Rの中の流体の圧力により押される力を合計した力によって駆動されて、処理前の高圧スラリー23を供給する。ピストン52R,53Rの変位は、作動流体が作動流体室67Rに流入した流量により決まるために、流量制御用ポンプ2の吐出流量を制御することにより、処理前の高圧スラリー23の供給流量を制御することができる。
【0085】
試作した装置では、供給流体室65Rの圧力を25MPa、排出流体室66Rの圧力を25MPa、作動流体室67Rの圧力を3MPaとして動作させることができ、処理前のスラリー22を25MPaに加圧して供給するのに3MPaの圧力で済んでいることから省エネルギー化が図られていることが判る。
【0086】
作動流体供給ライン調圧弁(安全弁)84は、作動流体供給ライン74を調圧し、作動流体供給ラインアキュムレータ94は、弁17L,17Rの開閉時等の圧力の脈動を抑える。ピストン52Rは、排出流体室66R内の流体の圧力により押される力があるために、作動流体室67R内の流体の圧力はそれほど大きな圧力でなくて良いことから、保圧弁とアキュムレータは、耐圧の比較的小さなもので良い。
【0087】
供給される処理前の高圧スラリー23は、予熱器6で加熱した後に高圧に加圧した酸素29と混合し、反応器7で酸化反応させる。酸化反応により処理された反応済み流体は予熱器6に送って反応前の流体と熱交換することで温度を下げてから固気液分離器8に送る。
【0088】
固気液分離器8は、反応済み流体に含まれている排ガス30と灰31を分離して排出する。
【0089】
ここでは、反応器7を酸化反応を例に用いて説明したが、加水分解反応では、酸素を供給しない。また、反応後の流体が液体のみの場合は、固気液分離器8は不要となる。
【0090】
灰と排ガスが除かれて水のみになった処理済み高圧水は、反応系保圧弁11と背圧ライン保圧弁12と排出流体室予圧ライン保圧弁81を通過して処理済み流体タンク45に排水するが、その一部は、反応系保圧弁11と背圧ライン保圧弁12の間から背圧ライン73と弁15L,15Rを介して二次側シリンダ3L,3Rの排出流体室66L,66Rに供給し、背圧ライン保圧弁12と排出流体室予圧ライン保圧弁81の間から排出流体室予圧ライン71と弁61L,61Rを介して排出流体室66L,66Rに供給する。
【0091】
ここで、排出流体室66Rへ流入する処理済み高圧水の流量は、ピストン52Rの下降する速さで決まる。また、背圧ライン保圧弁12を通過する処理済み高圧水の流量は、この背圧ライン保圧弁12の前側の圧力が該背圧ライン保圧弁12の設定圧力以下になるように制御される。
【0092】
背圧ライン保圧弁12を通過した処理済み高圧水は、排出流体室予圧ライン71へ流入する。排出流体室予圧ライン71の圧力は、排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力を超えると排出流体室予圧ライン保圧弁81を通って処理済み流体タンク45に流出するようになっており、排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力以下になるようになっている。排出流体室予圧ライン71は、排出流体室66R,66Lを大気圧から高圧に予圧するときに使う。詳しい説明は弁の開閉手順で説明する。そして、排出流体室予圧ライン保圧弁81を通過した余剰の処理済み高圧水が処理済み流体タンク45に流入する。
【0093】
反応系保圧弁11と背圧ライン保圧弁12と排出流体室予圧ライン保圧弁81を直列に接続することにより、排出流体室予圧ライン71または背圧ライン73の圧力変動してもその上流の圧力が変動しないようにしている。弁61Lあるいは弁61Rを開いて排出流体室66Lあるいは排出流体室66Rを大気圧から高圧に予圧するときに、排出流体室予圧ライン71の圧力が落ちるが、背圧ライン73およびそれより上流の固気液分離器8,反応器7,予熱器6の圧力は変動しない。
【0094】
また、弁15Rあるいは弁15Lを開くときは、排出流体室66Rあるいは排出流体室66Lは高圧に予圧されているので、弁15Rあるいは弁15Lを開いたときの背圧ライン73の圧力変動は少ないが、反応系保圧弁11によって上流の固気液分離器8,反応器7,予熱器6の圧力は一定に維持することができる。
【0095】
ここで、弁15Rあるいは弁15Lを開いたときのは背圧ライン73の圧力変動は少ないために、反応系保圧弁11を省略することも可能である。
【0096】
背圧ラインアキュムレータ34は、背圧ライン73の圧力変動を小さくするために設置している。この背圧ラインアキュムレータ34は、高圧容器であるために、容積が大きいと著しく高価になる。従って、反応系保圧弁11を省略し、更に、固気液分離器8,反応器7,予熱器6の容積が大きくてそれほど大きな圧力変動が起きない場合には、コスト低減の観点から、この背圧アキュームレータ34を省略することも可能である。
【0097】
排出流体室予圧ラインアキュムレータ91は、弁61L,61Rが閉まっているときの圧力のエネルギーを蓄積する目的で設置しており、排出流体室66R,66Lの加圧時間を短縮するために付加している。しかし、この排出流体室予圧ラインアキュムレータ91も高圧容器であるために、容積が大きいほど高価である。このために、コスト低減の観点から、省略することも可能である。
【0098】
このシステム全体を起動するときには、初期加圧ポンプ35を運転し、弁36を開いて作動水タンク10内の作動水を処理系全体に供給して該系の加圧を行う。この加圧を終えた後は、初期加圧ポンプ35を停止し、弁36を閉じておく。
【0099】
次に、図10を参照して立ち上げのときの弁の開閉手順の一例を説明する。
【0100】
初期状態は、弁16R,16L,18R,18Lが開、弁13L,13R,14L,14R,15L,15R,17L,17R,61L,61L,36が閉の状態で、供給流体室65R,65L、排出流体室66R,66L、作動流体室67R,67Lの圧力は大気圧の状態である。
【0101】
先ず、弁36を開き、初期加圧ポンプ35を運転して作動水により処理系を加圧する。次に、反応器7のヒータを動作させ所定の温度まで上昇させる。
【0102】
そして、処理系が所定の圧力,所定の温度になったならば、処理前のスラリーを流し始める。先ず、弁13Lを開き、次に、スラリーポンプ1を動作させてスラリータンク9内の処理前のスラリー22を供給流体室65Lに充填する。供給流体室65L内への処理前の流体の充填に伴ってピストン52L,53Lが上昇する。ピストン52L,53Lが上限に到達した時点で、検知器19Lがそれを検知して制御盤21に上限検出信号を送る。制御盤21は、この上限検出信号を受け取ると、スラリーポンプ1を停止する。次に、弁13L,16L,18Lを閉じる。
【0103】
次に、弁61Lを開くことにより、排出流体室予圧ライン71の高圧の処理済み高圧水を排出流体室66Lに流し込んで該排出流体室66Lの圧力を上昇させていく。弁61Lを開いたときは排出流体室予圧ライン71の圧力が低下するが、処理済みの高圧水が徐々に背圧ライン保圧弁12を通過して排出流体室予圧ライン71に流入するために、排出流体室予圧ライン71と排出流体室66Lの圧力は、排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力まで上昇していく。また、弁61Lを開いたときは、排出流体室予圧ライン71の圧力は低下するが、背圧ライン保圧弁12があるために該背圧ライン保圧弁12より上流の背圧ライン73の圧力は変動せず、更にその上流には反応系保圧弁11があるために固気液分離器8,反応器7,予熱器6の圧力は変動しない。ここで、背圧ライン保圧弁12と排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力は略同じにしておくことにより、排出流体室予圧ライン保圧弁81と排出流体室66Lの圧力は、背圧ライン保圧弁12の直前の圧力と略同じ圧力になる。また、排出流体室66Lの圧力が上昇するのに伴ってピストン52Lは若干下降し、供給流体室65Lの圧力も上昇していく。
【0104】
排出流体室66Lの圧力が背圧ライン保圧弁12の直前の圧力と略同じ圧力にまで上昇したならば、弁61Lを閉じ、次に、弁15Lを開く。このときも反応系保圧弁11より上流の予熱器6,反応器7,固気液分離器8の圧力は低下しない。また、弁61Lを閉じて弁15Lを開くタイミングは、予熱器6の圧力を計測して制御しても良いし、予め排出流体室66Lの圧力が上昇する時間を計測しておき、余裕を加えた時間で制御しても良い。
【0105】
次に、弁15Lを開き、流量制御ポンプ2を動作させて作動流体室67Lに作動流体タンク10内の作動流体28を供給して該作動流体室67Lを加圧していく。作動流体室67L内の圧力は、作動流体供給ライン調圧弁84の設定圧力まで上昇していき、この作動流体供給ライン調圧弁84の設定圧力を越えると作動流体は該作動流体供給ライン調圧弁84を通って作動流体タンク10に還流する。このために、作動流体室67Lの圧力は、作動流体供給ライン調圧弁84の設定圧力を越えることはない。
【0106】
次に、弁14Lを開くことにより、供給流体室65L内の加圧されたスラリーを処理前の高圧スラリー23として予熱器6に供給するようにする。高圧スラリー23が予熱器6に供給され始めたならば、初期加圧ポンプ35を止め、弁36を閉める。
【0107】
次に、弁13Rを開き、スラリーポンプ1を動作させることにより、スラリータンク9内の処理前のスラリー22を供給流体室65Rに充填する。処理前のスラリー22の供給流体室65Rへの充填に伴ってピストン52R,53Rは上昇する。ピストン52R,53Rが上限に達達した時点で検知器19Rがそれを検知して制御盤21に上限検出信号を送る。制御盤21は、この上限検出信号を受け取ると、スラリーポンプ1を停止させ、次に、弁13R,16R,18Rを閉じる。
【0108】
次に、弁61Rを開いて排出流体室予圧ライン71の処理済み高圧水を排出流体室66Rに供給することにより排出流体室66R,供給流体室65Rの圧力を上昇さる。排出流体室66Rの圧力が排出流体室予圧ライン保圧弁81の直前の圧力と同じ圧力にまで上昇したならば弁61Rを閉じ、次に、弁15Rを開いて待機する。以降は、定常状態の操作になる。
【0109】
次に、図11を参照して定常状態の弁の開閉手順の一例を説明する。
【0110】
右側のシリンダ3R,4Rは、ピストン52Rが略上限の位置にあり、供給流体室65R,排出流体室66Rが加圧されている状態で、更に、弁15Rが開き、弁13R,14R,61R,16R,17R,18Rが閉じた状態で待機している。
【0111】
また、左側のシリンダ3L,4Lは、弁14L,15L,17Lが開き、弁13L,61L,16L,18Lが閉じて供給流体室65Lから処理前の高圧スラリー23を予熱器6へ供給している状態であり、ピストン52Lが徐々に下降する。そして、ピストン52Lが下限に達すると、検知器20Lがそれを検知して下限検出信号を制御盤21に送る。
【0112】
制御盤21は、この下限検出信号を受け取ると、弁14Rを開き、弁14Lを閉め、弁15Lを閉めた状態にする。これにより、処理前の高圧スラリー23の供給は右側のシリンダ3Rに変わる。左側のシリンダ3Lからの供給停止よりも若干早くに右側のシリンダ3Rからの供給を開始して両方のシリンダ3L,3Rにより供給を行う時間を設けると、切り替えが滑らかになる。また、これらの弁の切り替えを行っている間も流量制御用ポンプ2は一定の流量で運転を継続するだけで良く、このような制御により、供給される処理前の高圧スラリー23の流量は一定となる。
【0113】
処理前の高圧スラリー23の供給が右側のシリンダ3Rに変わったならば、弁18Lを開いて作動流体室67Lの圧力を大気圧まで減圧し、次に、弁16Lを開いて排出流体室66Lの圧力を大気圧まで減圧する。先に弁18Lを開き、その後に弁16Lを開くのは、順序を逆にして弁16Lを先に開き、弁18Lをその後に開くと、圧力差によりピストンロッド5Lに急激に大きな力がかかるのを避けるためである。
【0114】
次に、弁13Lを開く。次に、スラリーポンプ1を動作させてスラリータンク9内の処理前のスラリー22を供給流体室65Lに充填する。処理前のスラリー22の供給流体室65Lへの充填に伴ってピストン52L,53Lが上昇する。ピストン52L,53Lが上限に達達した時点で検知器19Lがそれを検知して上限検出信号を制御盤21に送る。
【0115】
制御盤21は、この上限検出信号を受け取るとスラリーポンプ1を停止させる。次に、弁13L,16L,18Lを閉じる。次に、弁61Lを開いて排出流体室予圧ライン71から排出流体室66Lに処理済み高圧水を流入させることにより該排出流体室66L,供給流体室65Lの圧力を上昇させる。排出流体室66Rの圧力が排出流体室予圧ライン保圧弁71の直前の圧力と略同じ圧力にまで上昇したならば弁61Lを閉じ、次に、弁15Lを開いて待機する。
【0116】
処理前の高圧スラリー23の供給を右側のシリンダ3Rから左側のシリンダ3Lに切り替える制御は、左側のシリンダ3Lから右側のシリンダ3Rへの切り替えと同様であるので説明を省略する。このようにして処理前スラリーの供給を左右交互に行って処理運転を連続的に継続する。
【0117】
そして、このようにすれば、特殊な高圧用スラリーポンプを使用することなく、有機物を含む流体を高圧に加圧することができる。また、高温高圧で処理が行われた後の流体を処理前の流体を高圧供給するためのエネルギー源として利用するために、高圧供給に必要とするエネルギーを大幅に低減することができる。
【0118】
また,背圧ライン保圧弁12の下流に排出流体室予圧ライン71を設けて予圧工程を付加していることにより、弁15R,15Lを開いたときに排出流体室66R,66Lが高圧になっているために、予熱器6,反応器7,固気液分離器8の圧力変動を抑えることができる。
【0119】
図12は,本発明の第8の実施の形態を示している。この実施の形態における有機物処理システムは、第7の実施の形態に対して作動流体室予圧ライン72を付加している点が新しい。前述した実施の形態と共通の構成手段には同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0120】
作動流体室予圧ライン72は、作動流体室67L,67Rの圧力を大気圧から処理前のスラリー供給時の圧力まで予圧するために用いる。作動流体室予圧ライン72の圧力は、作動流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力により制御し、作動流体室予圧ライン72の圧力が作動流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力を超えないようにしている。作動流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力は、処理前のスラリー供給時の作動流体室67L,67Rの圧力と略同じ圧力に設定しておく。例えば、処理前のスラリー供給時の作動流体室67L,67Rの圧力が3MPaの場合には、作動流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力も3MPaに設定し、作動流体室予圧ライン72の圧力が3MPaを越えないようにする。
【0121】
作動流体室予圧ラインアキュムレータ92は、弁62L,62Rが閉まっているときの圧力のエネルギーの蓄積の目的で設置しており、作動流体室67L,67Rの加圧時間を短縮するために付加している。しかし、コスト低減の観点から省略することも可能である。
【0122】
弁の開閉手順の一例を図13を参照して説明する。第7の実施の形態における弁制御手順との相違点は加圧工程にあるので、ここでは、加圧工程のみを説明する。また、左右のシリンダについては、同様であるので、右側のシリンダを例にとって説明する。
【0123】
加圧工程において、先ず、弁62Rを開くことにより、作動流体室予圧ラインアキュムレータ92に蓄積された処理済み高圧水を作動流体室67Rに供給して該作動流体室67Rの圧力を上昇させる。このときの圧力上昇は、作動流体室予圧ラインアキュムレータ92の容積が大きいほど早くなる。
【0124】
次に、弁61Rを開くことにより、排出流体室予圧ラインアキュムレータ91に蓄積された処理済み高圧水を排出流体室66Rに供給して該排出流体室66Rの圧力を上昇させる。このときの上昇圧力は、排出流体室予圧ラインアキュムレータ91の容積が大きいほど早くなる。そして、時間の経過に伴って、排出流体室66Rの圧力は、背圧ライン弁12を通過した処理済み高圧水により排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力まで上昇する。
【0125】
排出流体室66Rの圧力が排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力以下のときには、排出流体室予圧ライン保圧弁81には処理済み高圧水は流れないが、排出流体室66Rの圧力が排出流体室予圧ライン保圧弁81の設定圧力を越えると、排出流体室予圧ライン保圧弁81を処理済み高圧水が流れ始めるために作動流体室67Rの圧力は排出流体室予圧ライン保圧弁81を通過した処理済み高圧水によって作動流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力まで上昇する。作動流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力は、処理前のスラリー供給時の作動流体室67Rの圧力と略同じ圧力に設定しておくことにより、弁17Rを開くときには、作動流体室67Rの圧力が流体室予圧ライン保圧弁82の設定圧力まで予圧されているので、弁17Lを開いても作動流体の圧力変動はほとんどない。従って、処理前のスラリーの供給流量の変動はほとんど起こらない。
【0126】
以上に説明した各実施の形態は、有機物を水に混合させたスラリーの処理を例示したが、他の液体に混合したスラリーの処理システムも同様に実施することができる。
【0127】
また、固気液分離器によって分離して排出する生成物である灰は、処理対象物と処理形態によって変化する。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、特殊な高圧用スラリーポンプを使用することなく、通常の低粘度流体用のポンプで供給する作動流体もしくはモータと歯車による機構と、高温高圧で処理が行われた後の流体の圧力を併用することにより、少ない動力エネルギーで、処理前の有機物を含む流体を高圧に加圧して所望の安定した流量で供給することができる。
【0129】
しかも、有機物の含有量の変化に影響されずに安定した動作を実現することができる。
【0130】
また、有機物を含んだ流体を充填した後に加圧して供給する複数対のシリンダとピストンを設置し、一対のシリンダから高圧にした処理前の流体を供給している間に他の対のシリンダに処理前の流体を充填して高圧に加圧しておくようにすることで、高圧流体の供給を行うシリンダとピストンの対を切り替えるときの脈動を軽減して連続して安定な供給を続けることができる。
【0131】
このように、供給流量の脈動を抑えることにより、反応器に供給される流量が一定になって反応が安定し、システムの有機物処理能力が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した第1の実施の形態における加圧・供給状態を示すブロック図である。
【図3】図1に示した第1の実施の形態における運転サイクルを示すタイムチャートである。
【図4】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第2の実施の形態を示すシブロック図である。
【図5】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第3の実施の形態におけるスラリー加圧装置を示すブロック図である。
【図6】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第4の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第5の実施の形態を示すブロック図である。
【図8】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第6の実施の形態におけるスラリー加圧装置を示すブロック図である。
【図9】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第7の実施の形態を示すブロック図である。
【図10】図9に示した第7の実施の形態における有機物処理システムの立ち上げのときの弁の開閉手順を示すタイムチャートである。
【図11】図9に示した第7の実施の形態における有機物処理システムの定常状態のときの弁の開閉手順を示すタイムチャートである。
【図12】本発明になる高温高圧の流体を利用した有機物処理システムの第8の実施の形態を示すブロック図である。
【図13】図9に示した第8の実施の形態における有機物処理システムの加圧工程のときの弁の開閉手順を示すタイムチャートである。
【図14】従来の汚泥圧入装置を示すブロック図である。
【図15】従来の連続水熱反応プロセスを示すブロック図である。
【符号の説明】
1…スラリーポンプ、2…流量制御用ポンプ、3L,3R…二次側シリンダ、4L,4R…一次側シリンダ、5L,5R…ピストンロッド、6…予熱器、7…反応器、8…固気液分離器、9…スラリータンク、10…作動流体タンク、11…反応系保圧弁、12…背圧保持弁(背圧ライン保圧弁)、13〜18,36…弁、19〜20…検知器、21…制御盤、22,23…スラリー、24〜25…処理済み高圧水、26,28…作動流体、29…高圧酸素、30…排ガス、31…灰、32L,32R…モータ、33…高圧ポンプ、34…アキュムレータ、35…初期加圧ポンプ。
Claims (15)
- 処理後の高圧流体の圧力をシリンダの中のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段とを備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、前記処理後の高圧流体のエネルギーを背圧弁を用いて低減した後に前記第1の駆動手段におけるシリンダに導入するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 処理後の高圧流体の圧力をシリンダの中のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段と、処理前の流体をシリンダに導入してピストンで加圧供給する加圧手段を備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、処理後の高圧流体を導入するシリンダの行程容積を処理前の流体を導入するシリンダの行程容積よりも小さくし、処理後の高圧流体の一部を背圧弁を通して外部に放出しつつ残りの高圧流体を前記第1の駆動手段のシリンダに導入するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 処理後の高圧流体の圧力をシリンダの中のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段と、処理前の流体をシリンダに導入してピストンで加圧供給する加圧手段を備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、処理後の高圧流体を導入するシリンダの行程容積を処理前の流体を導入するシリンダの行程容積よりも大きくし、処理後の高圧流体を背圧弁を通して減圧して前記第1の駆動手段のシリンダに導入することにより駆動エネルギーとして利用するようにし、前記第2の駆動手段は、高圧ポンプで加圧した流体を前記減圧した処理後の流体と共に第1の駆動手段のシリンダに導入するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項2において、前記第1の駆動手段と加圧手段は、処理後の高圧流体を導入する一次側シリンダと、処理前の有機物を含む流体を導入する二次側シリンダと、一次側シリンダ内のピストンと二次側シリンダ内のピストンを連結するピストンロッドとを備え、前記第2の駆動手段は、この連結されたピストンに駆動力を付加するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項4において、前記二次側シリンダのピストンロッド側の端を該ピストンロッドを水密状態に貫通させるように閉じて該二次側シリンダ内に該ピストンによって仕切られたピストンロッド側空間を形成し、前記第2の駆動手段は、加圧した流体を前記ピストンロッド側空間に供給することにより駆動力を付加するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項4において、前記第2の駆動手段は、前記ピストンロッドにモータの動力を伝達する手段を取付け、モータの動力を駆動力として付加するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項2において、1つのシリンダ内をピストンによって仕切ることによって処理後の高圧流体を導入して加圧駆動力を発生する第1の室と処理前の流体を導入して加圧供給する第2の室を形成し、第2の駆動手段は、前記ピストンに連結したピストンロッドを介して前記ピストンに駆動力を付加するようにし、前記処理後の高圧流体は、シリンダ内のピストンロッド側の室に導入し、処理前の流体は、他側の室に導入するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項7において、前記第2の駆動手段は、前記ピストンロッドに連結したピストンと、このピストンに加圧された流体の圧力を作用させるシリンダを備えたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項7において、前記第2の駆動手段は、前記ピストンロッドに駆動力を付加するモータを備えたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項1〜9の1項において、処理前の流体を加圧するシリンダとピストンを複数対設け、1対のシリンダとピストンで高圧にした処理前の流体を供給している間に他のピストンとシリンダの対に処理前の流体を充填して高圧に加圧しておくようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 処理後の高圧流体の圧力をシリンダ内のピストンで受けて処理前の流体を加圧するための力として伝達する第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段に駆動力を付加する第2の駆動手段を備え、有機物を含む流体を高温高圧にして連続的に処理する有機物処理システムにおいて、前記第1の駆動手段のシリンダーとピストンにより形成される排出流体室へ開閉弁を介して処理後の高圧流体を導入する背圧ラインと、この背圧ラインの圧力が設定圧力を越えたときには該背圧ラインから処理後の高圧流体を流出させて該背圧ラインの圧力が設定圧力を越えないようにする背圧ライン保圧弁と、この背圧ライン保圧弁から流出した処理後の高圧流体を開閉弁を介して排出流体室へ導入する排出流体室予圧ラインと、この排出流体室予圧ラインの圧力が設定圧力を越えたときには該排出流体室予圧ラインから処理後の高圧流体を流出させて該排出流体室予圧ラインの圧力が設定圧力を越えないようにする排出流体室予圧ライン保圧弁を設け、前記排出流体室を大気圧から高圧へ予圧するときは、背圧ラインの開閉弁を閉じ、排出流体室予圧ラインの開閉弁を開くことにより、背圧ライン保圧弁を流出して排出流体予圧ラインを流れる処理後の高圧流体で前記排出流体室を大気圧から高圧へ予圧し、処理前のスラリーを供給するときは、排出流体室予圧ラインの開閉弁を閉め、背圧ラインの開閉弁を開くことにより処理後の高圧流体の圧力を処理前のスラリーの加圧に使用することを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項11において、処理物が反応する反応系の圧力を決める反応系保圧弁を設け、この反応系保圧弁を流出した処理後の流体が前記背圧ラインに流入するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項12において、前記背圧ラインに該背圧ラインの圧力変動を軽減するアキュムレータを設けたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項11〜13の1項において、前記第2の駆動手段は、シリンダーとピストンからなり、加圧ポンプで加圧された作動流体の圧力で駆動するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
- 請求項14において、排出流体室予圧ライン保圧弁から流出した処理後の高圧流体を開閉弁を介して第2の駆動手段のシリンダーとピストンで形成される作動流体室に導入する作動流体室予圧ラインと、設定圧力が前記作動流体室の通常運転圧力に設定され、作動流体室予圧ラインの圧力が前記設定圧力を越えたときには作動流体室予圧ラインから処理後の高圧流体を流出させて前記設定圧力を越えないようにする作動流体室予圧ライン保圧弁を設け、作動流体室を大気圧から作動流体室の通常運転圧力へ予圧するときは、作動流体室予圧ラインの開閉弁を開くことにより、前記排出流体室予圧ライン保圧弁を流出して作動流体室予圧ラインを流れる処理後の高圧流体で作動流体室を予圧するようにしたことを特徴とする有機物処理システム。
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