JP4405607B2 - スキャニングプローブ、走査装置、露光装置、および近接場顕微鏡 - Google Patents

スキャニングプローブ、走査装置、露光装置、および近接場顕微鏡 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノメートルオーダの微細パターン構造の露光あるいは観測に用いられるスキャニングプローブに関し、例えば分子原子オーダの分解能を持つ顕微鏡や、半導体素子製造用の露光装置に於いて、物体面上に形成されている微細な電子回路パターンを逐次作成する際に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、走査されるスキャニングプローブを用いた、ナノメートルオーダの分解能を持つ顕微鏡として、STM(走査型トンネリング顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)や近接場光顕微鏡が注目を集めており、そのなかで、物質の物性を評価できる近接場光顕微鏡が中でも注目を集めている。
【0003】
また、微細加工に於いては光ステッパや電子ビーム露光装置がある。光ステッパでは光の回折限界を少しでもカバーする為に補助パターンや、変形照明等を行なったり、露光波長の短波長化を行なってきた。波長248nmのKrFエキシマレーザから波長193nmのArFエキシマレーザがその候補とされている。
【0004】
また、電子ビーム露光装置ではスループットを向上させる為に電流密度を上げる為の装置改良がなされてきた。
【0005】
さらに、このような微細パターンを作成するには高精度な位置決め(アライメント)が必要であり、従来より、高精度な位置検出装置においては、物体上にアライメント用のマークを設け、それの光学像をTVカメラで検出し、画像処理をほどこし、物体の位置を検出する方法が一般的である(特願平1−198261号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例の光ステッパでの光学的像のぼけを生じさせない微細パターンは、波長の半分程度が限界であり、ナノメートルオーダの微細パターンの露光は不可能であった。また、電子ビーム露光装置に於いてもクーロン効果によるぼけで、ナノメートルオーダの微細パターンの露光は困難であった。さらに、ナノメートルオーダの露光には、ナノメートル以下の精度にパターンを位置決めして露光することが必要であるが、従来のアライメント方式では精度が足りず、所望の微細パターンを所望の位置に形成することも困難であった。
【0007】
また、上記近接場光顕微鏡や近接場露光装置等の近接場光システムに於いては、近接場光ビームの照射手段であるスキャニングプローブに、試料や雰囲気中の有機物が付着し、長時間使用すると性能が低下してしまう問題があった。
【0008】
そこで本発明は、ナノメートル以下の微細構造パターンの評価や形成が長期間良好に行えるスキャニングプローブ、該スキャニングプローブを用いた走査装置、露光装置、および近接場顕微鏡提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のスキャニングプローブは、試料の表面を走査するスキャニングプローブにおいて、スキャニングプローブの少なくとも先端部を被覆する光触媒の膜が形成されており、光触媒の膜は、紫外線と光触媒反応を起こす性質を有し、光触媒の膜の下に金属膜が形成されていることを特徴とする
【0010】
上記の通り構成された本発明のスキャニングプローブは、スキャニングプローブの少なくとも先端部を被覆する光触媒の膜が形成されている。このため、光触媒として、清浄効果を有する紫外線等に反応するものを用いることで、紫外線清浄を行うことができる。
【0011】
また、本発明のスキャニングプローブは、試料の表面を走査するスキャニングプローブにおいて、スキャニングプローブの少なくとも先端部を被覆する光触媒の膜が形成されており、光触媒の膜の下に金属膜が形成されていることを特徴とする。
【0012】
金属膜は、光ファイバの表面に形成され、該光ファイバの先端面から近接場光を滲み出させるものでもよいし、また、金属膜は、光ファイバの表面に形成され、光を試料に照射させることで生じた近接場光内に、光ファイバの先端部を挿入することで生じた散乱光を光ファイバへ導光させるものであってもよい。
【0013】
本発明のスキャニングプローブは、光源から照射された光を試料に照射させることで生じた近接場光内において、微小粒子をトラップするための光を照射するトラップ用光源から照射されたトラップ光により、トラップされることで散乱光を発生させ、かつ、光触媒機能を有する微小粒子からなるものでもよい。
【0014】
本発明の走査装置は、本発明のスキャニングプローブと、本発明のスキャニングプローブ及び試料の表面を相対的に走査させる走査手段とを有するものであり、スキャニングプローブに紫外線を照射する紫外線照射手段を有するものであってもよい。
【0015】
本発明の露光装置は、位置決めのためのアライメントマークが設けられた被露光物のアライメントマークに光を照射する光照射手段と、被露光物を露光するための露光光を発生させる露光光発生手段と、光照射手段、露光光発生手段及び試料の表面を相対的に走査させる走査手段とを有する露光装置において、光照射手段は、本発明のスキャニングプローブを位置決め用プローブとして有することを特徴とする
【0016】
また、本発明の露光装置は、位置決めのためのアライメントマークが設けられた被露光物のアライメントマークに光を照射する光照射手段と、被露光物を露光するための露光光を発生させる露光光発生手段と、光照射手段、露光光発生手段及び試料の表面を相対的に走査させる走査手段とを有する露光装置において、露光光発生手段は、本発明のスキャニングプローブを露光用プローブとして有することを特徴とする
【0017】
本発明の近接場顕微鏡は、試料に光を照射させることで近接場光を生じさせる励起光照射手段と、試料の表面を観察するための観察手段と、観察手段と試料の表面とを相対的に走査させる走査手段とを有する近接場顕微鏡において、観察手段は、本発明のスキャニングプローブを有することを特徴とする
【0023】
【発明の実施の形態】
近年、アライメント光の波長限界によって突き当たる、像のぼけによる精度限界を超える技術として、コンフォーカル系を用いたアライメント方法が提案されている。このコンフォーカル系とは、試料に対する照明領域を微小スポットとし、また、受光側にも微小開口を設けることで回折による広がりをカットして受光がなされるもので、試料をスキャンすることにより、2次元的な像を得るものである。
【0024】
通常のコンフォーカル系は、伝播する光を用いているが、更に微細な構造を見たり、作成するには、近接場という物質近傍にまとわりつき、通常は伝播しないが、近傍に微小物体を挿入することにより生じる散乱光を検出する手法を用いる。
【0025】
図1に、この近接場を利用した近接場光露光装置による、近接場光を用いた露光の原理図を示す。
【0026】
この近接場光露光装置は、物質から波長オーダで広がる伝搬しない近接場光108を露光に利用するものである。
【0027】
近接場光露光装置は、露光光を発生させる露光光源151と、ステージ駆動系113と、シアフォース制御用検出光源117と、圧電素子119と、ステージ駆動系113に駆動可能に設けられたステージ112と、圧電素子119に接続された露光用プローブ155とを有する。
【0028】
上記の露光光源151と、ステージ駆動系113と、シアフォース制御用検出光源117と、圧電素子119とは、全体制御系107により制御される。
【0029】
以上の構成により、露光光源151より出射された露光光は、ファイバ152を通り、ファイバ152の先端部である、エッチングの施された露光用プローブ155へと導かれ、露光用プローブ155の先端のナノメートルオーダの微小開口からしみ出した近接場光108をウエハ105上のレジスト133にナノメートルオーダで近づけることによりレジスト133を露光する。そして、露光用プローブ155とウエハ105を相対的に移動させながら、近接場光108の強度を制御することにより、ウエハ105上に所望のパターンを形成することができる。
【0030】
露光の際のウエハ105面に対する露光用プローブ155の微小位置駆動は、露光用プローブ155の支持部に設けられた圧電素子119により行われる。なお、圧電素子119は、ウエハ105面のスキャンだけでなく、以下に説明するシアフォース検出に必要な露光用プローブ155の微小振動も兼ねて行うことができるものである。
【0031】
露光用プローブ155とウエハ105間の距離制御には、シアフォース制御用検出光源117と位置検出器118とで構成されるシアフォース検出系により行う。
【0032】
シアフォース検出とは、圧電素子119により微小振動がなされている露光用プローブ155がウエハ105に近づくと、露光用プローブ155とウエハ105との間の原子間力により露光用プローブ155の微小振動が抑制されることで生じる、共振周波数のずれ量を検出するものである。このずれ量の検出はシアフォース制御用検出光源117からの検出光135を露光用プローブ155に照射し、露光用プローブ155の両端を通過した光を位置検出器118で検出することにより行う。
【0033】
以下に説明する本発明の実施形態は、この近接場技術を用いたものであり、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0034】
(第1の実施形態)
図2に本実施形態の近接場露光装置の主要構成図を示す。
【0035】
本実施形態の近接場露光装置は、ステージ駆動系73と、アライメント測定系140と、露光系141と、紫外線照射手段86とを有し、これらは全体制御系67aにより制御される構成となっている。
【0036】
ステージ駆動系73は、全体制御系67aからの制御命令に応じてステージ72を駆動する。ステージ72上にはレジスト33が塗布されたウエハ65が載置されるとともに、アライメント用プローブ62及び露光用プローブ95に紫外線を照射する紫外線照射手段86が設置されている。また、ウエハ65にはアライメントマーク61が形成されている。
【0037】
アライメント測定系140は、圧電素子79aによりレジスト33面のスキャンがなされるアライメント用プローブ62と、ファイバ87を導光してきた光を検出する検出器137と、シアフォース検出に用いられるシアフォース制御用検出光源77a及び位置検出器78aと、ステージ72上に載置されたウエハ65上のアライメントマーク61に対して光を照射する励起光照射手段71とを有する。
【0038】
アライメント用プローブ62の先端形状は、図3に示すように端部が微小開口30であるファイバ27に、金28及び光触媒29とが被覆されたものである。
【0039】
このアライメント用プローブ62は、ファイバ27の先端をエッチング処理により尖らせた後、その周囲を金28で覆い、次いでその先端部を約10nmの領域のみ金28を剥ぐことにより微小開口30を設け、さらにその外部に光触媒29であるTiO2で覆うことにより形成されたものである。
【0040】
露光前のアライメント時には、物質に光が照射されたとき、物質表面近傍に波長オーダの範囲に広がる分極の場に、微小物体を近づけることにより、散乱光を生じさせ、物体の光学情報分布を得ることにより、分子オーダの分解能を持つ位置検出系を構成し、そのアライメント信号をもとに位置決めを行なう。
【0041】
近接場光68を利用したアライメント系の分解能はアライメント波長によらず、アライメント用プローブ62の開口部の大きさで決まるため、波長よりはるかに小さいものまで分解できる光学系を構成することが可能である。このようなナノメートルオーダのファインアライメント系では、その計測レンジ内での操作を行う前におおまかな位置決めを行うためのプリアライメント系も搭載することにより、ナノメートル以下のアライメント精度を持つ実用的な露光装置が提供できる。
【0042】
また、ウエハ65を置くステージ72上には紫外線照射手段86が配置され、アライメント及び露光終了後、ステージ72を移動させ、紫外線照射手段86の真上にアライメント用プローブ62がくるように構成されている。
【0043】
図4(a)にアライメント時に用いるプリアライメント用マーク81とアライメントマーク61を、また図4(b)にアライメントマーク61の拡大図をそれぞれ示す。
【0044】
図4(a)に示すように、幅2μmの外周縁部からなる20μm角の正方形領域内の、幅2μmの十字マークがプリアライメント用マーク81であり、その十字マークが交差する領域の中央部の、100nmのドットパターンが十字状に配列されたものがアライメントマーク61である。
【0045】
プリアライメント用マーク81は、近接場光アライメントを行なう前の大まかな位置決めのために用いる。近接場光アライメントに於いては同一マークの中央のドットパターンを用いている。
【0046】
ウエハ65上には、アライメントマーク61が複数形成されているが、プリアライメント用マーク81が付いているアライメントマーク61は2ヵ所のみで、その他は全て、ドットパターンからなるアライメントマーク61である。
【0047】
次に、アライメント測定系140によるアライメントに関して説明する。
【0048】
光照射手段71より照射された照射光74はアライメントマーク61によって回折、散乱、あるいは吸収され、一部は物質近傍にまとわりつく近接場光68となる。この領域にアライメント用プローブ62を挿入することによって、アライメント用プローブ62と近接場光68とが相互作用することで新しい場が形成され、その変化に伴い散乱されて生じた散乱光(不図示)はファイバ87内へと導光される。そして、この散乱光はファイバ87を介して検出器137まで導光され、検出器137により画像信号として全体制御系67aの画像処理系67bへと出力され、ここで画像処理される。
【0049】
なお、本実施形態では、励起光照射手段71からの照射光74の波長は1550nmを用いた。これは、レジスト33の厚さは約0.5μmであり、レジスト33の下のアライメントマーク61からの近接場の領域がレジスト33の表面上近傍まで広がるように、レジスト33厚より長波長の照射光74を用いたものである。シアフォース制御用検出光源77aからの検出光75aの波長は630nmの半導体レーザ光を用いた。
【0050】
また、近接場光検出では不図示の近接場光68の波長のみ透過するフィルタを用いることにより近接場信号へのノイズ低減をはかっている。近接場光68の画像としての分解能はアライメント用プローブ62の微小開口30の大きさにより決定される。本実施形態では、微小開口30の開口径は約10nmであるが、これによって得られる位置精度は1nmである。
【0051】
このようにして所定のアライメントマーク61を用い、アライメントが完了した後、近接場光露光を行なう。
【0052】
露光系141は、図2に示すように、露光光を発生させる露光光源91と、近接場光を発する露光用プローブ95と、露光光源91から露光用プローブ95へと露光光を導くファイバ92と、シアフォース検出用の圧電素子79bと、シアフォース制御用検出光源77bと、検出光75bを検出する位置検出器78bとで構成される。
【0053】
露光光源91としてはKrFエキシマレーザを用い、露光光の波長は248nmである。露光される最小線幅はおよそ開口の大きさであり、10nmである。露光光源91より出射された露光光はファイバ92を通り、露光用プローブ95へと導かれ、露光用プローブ95の先端の微小開口からしみ出した近接場光98によりレジスト33を露光する。露光用プローブ95とウエハ65を相対的に移動させながら、近接場光98の強度を制御することにより、ウエハ65上に所望のパターンを形成することができる。1回の露光領域は10μm角である。その際の露光用プローブ95とウエハ65との相対高さの調整は、アライメント系と同様、すなわち、第1の実施形態と同様のシアフォース検出による。
【0054】
露光が完了したら、ステージ72をステージ駆動系73により駆動し、次に露光すべき露光領域のアライメントマーク61によりアライメントを行った後、露光する。
【0055】
なお、露光系の露光用プローブ95の構造はアライメント用プローブ62と同様であり、シアフォース検出方法についてもアライメント測定系140と同様であるので説明は省略する。
【0056】
このように、順次露光を繰り返しながら、ウエハ65全体を露光する。露光領域88とアライメントマーク61の配置の概略は図5に示す。左端の四角形の中の大きな十字マークがプリアライメントと近接場光アライメントマークを兼ねたもので、マトリクス状の各四角形領域が1回の露光領域88である。各露光領域88の隅にはアライメントマーク61が配置されている、アライメントマーク配置領域89が形成されている。
【0057】
以上のようにして、アライメント及び露光終了後、ステージ72を駆動させることでアライメント用プローブ62を紫外線照射手段86の位置まで移動させ、紫外線を照射することによりアライメント用プローブ62の清浄を行う。
【0058】
アライメント用プローブ62はアライメントが終了した後、紫外線を照射し、開口部を光触媒反応により清浄する。
【0059】
所定のタイミングでこの紫外線をアライメント用プローブ62に照射させることによって光触媒反応が促進させるようにしている。
【0060】
露光用プローブ95は露光時に紫外線が光触媒で構成されている開口に照射されるので紫外線照射を別途行なわなくてもよい。但し、しばらく露光を行なわない場合は、適宜光触媒反応が促進されるよう、アライメント用プローブ62同様の操作で紫外線照射を行なってもよい。
【0061】
以上により、アライメント用プローブ62及び露光用プローブ95は常に良好な状態となるため、本実施形態の近接場露光装置の性能も長期間にわたり維持されることとなる。
【0062】
次に、本実施形態の露光シーケンスを図2及び図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0063】
まず、ステージ72上にウエハ65を搭載する(ステップ301)。
【0064】
次に、アライメント用プローブ62を紫外線照射により、洗浄する必要があるかどうかを判断し(ステップ302)、もし必要があるなら、紫外線照射手段86により紫外線を照射して洗浄を行う(ステップ303)。
【0065】
また、露光用プローブ95についても紫外線照射により、洗浄する必要があるかどうかを判断し(ステップ304)、もし、必要があるなら、紫外線照射手段86により紫外線を照射して洗浄を行う(ステップ305)。
【0066】
次に、励起光照射手段71より照射された照射光74を、図4及び図5に示したプリアライメント用マーク81に照射することで生じた近接場光68中にアライメント用プローブ62を挿入する。これにより、アライメント用プローブ62と近接場光68とが相互作用することで新しい場が形成され、その変化に伴い散乱されて生じた散乱光(不図示)をファイバ87内へと導光することでプリアライメントを行う(ステップ306)。
【0067】
プリアライメント終了後、露光用プローブ95が図5に示す露光領域88に来るように、ステージ72をステージ駆動系73により移動させる(ステップ307)。
【0068】
次に、アライメントマーク61を用いて、アライメント用プローブ62でアライメントを行う(ステップ308)。
【0069】
アライメント終了後、露光用プローブ95の先端の微小開口からしみ出した近接場光98により、ウエハ65の表面に塗布されたレジスト33を露光する(ステップ310)。
【0070】
以上のようにして、近接場光を用いた露光が行われる。
【0071】
今回用いた露光用プローブ95の開口は約10nmのものであり、最小線幅は10nmであったが、さらに開口を小さくすることにより1nmオーダの最小線幅の露光も可能である。
【0072】
なお、アライメント用プローブ62の紫外線照射は、適宜シーケンスと並行して行なうことによりスループットの低下は避けることができる。
【0073】
また、紫外線照射手段26はステージ72上に配置する必要はなく、別途プローブ近傍に配置してもよい。
【0074】
(第2の実施形態)
図7に本実施形態の近接場光プローブ2を用いた近接場顕微鏡の主要構成図を示す。
【0075】
本実施形態の近接場顕微鏡は、ステージ駆動系13と、励起光照射手段11と、シアフォース制御用検出光源17と、圧電素子19と、紫外線照射手段26とを制御し、かつ、検出光35を検出する位置検出器18と、検出器57とからの信号を処理する画像処理系7bを有する全体制御系7aと、ステージ駆動系13に駆動可能に設けられた、紫外線照射手段26を有するステージ12と、検出器57に接続された近接場光プローブ2とを有する。
【0076】
以上の構成により、ステージ12上に載置された試料5上の試料評価領域1を、励起光照射手段11と、近接場光プローブ2と、検出器57とで構成される近接場光学系で近接場光学像を検出する。
【0077】
上述の通り、本実施形態の近接場顕微鏡は、第1の実施形態のアライメント測定系140と基本的に同様の構成であり、観察する対象がウエハ65上のアライメントマーク61に対して、試料5上の試料評価領域1となった点のみ異なる。
【0078】
よって、近接場光プローブ2の構造、試料評価領域1の観察方法、シアフォース検出及び紫外線照射による近接場光プローブ2の清浄に関する説明は省略する。
【0079】
なお、本実施形態では、励起光照射手段11からの照射光34の波長は1550nmで、シアフォース制御用検出光源17からの検出光35の波長は630nmの半導体レーザ光を用いた。
【0080】
また、近接場光8の画像としての分解能は近接場光プローブ2の微小開口30の大きさにより決定される。本実施形態では、微小開口30の開口径は約10nmであるが、これよりさらに小さくすることで数nmの高分解能の像も得ることができる。
【0081】
次に、本実施形態の近接場光顕微鏡の作動シーケンスを図7及び図8を用いて説明する。
【0082】
まず、試料5をステージ12上にセットする(ステップ311)。
【0083】
次に近接場プローブ2が試料5の試料評価領域1に来るように、ステージ12をステージ駆動系13により移動させる(ステップ312)。
【0084】
そして、励起光照射手段11より照射された照射光34を、試料評価領域1に照射することで生じた近接場光8中に近接場プローブ2を挿入する。これにより、近接場プローブ2と近接場光8とが相互作用することで新しい場が形成され、その変化に伴い散乱されて生じた散乱光(不図示)をファイバ27内へと導光することで近接場画像計測を行う(ステップ313)。
【0085】
近接場画像計測終了後、近接場プローブ2を紫外線照射により、洗浄する必要があるかどうかを判断し(ステップ314)、もし必要があるなら、紫外線照射手段26により紫外線を照射して洗浄を行う(ステップ315)。
【0086】
以上のようにして、近接場画像の計測が行われる。
【0087】
本実施形態の近接場顕微鏡も、第1の実施形態と同様の方法、すなわち、近接場光プローブ2に付着した試料5や雰囲気中からの有機物を紫外線照射手段26からの紫外線により清浄、除去するので近接場光プローブ2は常に良好な状態となるため、本実施形態の近接場顕微鏡の性能も長期間にわたり維持されることとなる。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態である、アライメント系に於ける近接場光を用いた位置検出装置に関して説明する。
【0089】
図9はアライメント系に於ける、近接場光を用いた位置検出装置の原理図である。この位置検出装置は、画像データ処理系を有する全体制御手段207により制御される、ステージ212を駆動させるステージ駆動系213と、励起光照射手段211、近接場光学像を検出するための、プローブ202と、集光レンズ203と、検出器204とで構成される近接場光学系210とで構成される。アライメントマーク201の形成されたウエハ205はステージ212上に載置される。
【0090】
近接場検出光学系210と通常の光学顕微鏡との違いは、アライメントマーク201の上に微小散乱体であるプローブ202が存在することである。従来の光学系と同様に、励起光照射手段211より照射された励起光206はアライメントマーク201によって回折、散乱、あるいは吸収される。プローブ202はこの回折場208と相互作用し、新しい場を形成する。このようにして、変化した場による散乱光209をレンズ203を通して検出器204で検出するものである。この為、レンズ203にはプローブ202から散乱される光を集めるだけで、結像機能の必要性はない。分解能は通常の光学系とは異なり、プローブ202の大きさや、そのアライメントマーク201からの距離等で決まり、レンズ203の像性能にはよらない。この近接場光学系210により得た画像データを全体制御装置207の画像処理系により解析し、アライメントマーク201の位置を求めることによりウエハ205の位置を検出するものである。
【0091】
このようにして、近接場光ビームを用いた方法により位置決めされた後、近接場光ビームによりウエハ205を露光することにより、ナノメートルオーダの微細パターンがウエハ205上に形成される。
【0092】
次に、図10に本実施形態の近接場検出光学系410を示す。本実施形態は、第1の実施形態のアライメント測定系140に対応するものである。
【0093】
本実施形態の近接場検出光学系410は、微粒子プローブ402の位置を制御する為の光トラップ光学系430と、検出器404と、照射光406を照射する励起光照射手段411とで構成され、光トラップ光学系430は、光トラップ光源制御手段423と、光トラップ光源422と、第2のレンズ421と、ハーフミラー420と、第1のレンズ403とで構成される。
【0094】
本実施形態は微粒子をプローブとして用い、この微粒子プローブ402を第1の実施形態のアライメント用プローブ62と同様にアライメントマーク61からの近接場光408中に置くことにより、変化した場による散乱光409を第1のレンズ403を通して検出器404で検出する。
【0095】
光トラップ光源422としてNd:YAGレーザ(1.06μm:100mW)を用いた。光トラップ光源422から出射された光トラップビーム424は第2のレンズ424により集光され、ハーフミラー420で第1のレンズ403の方向に反射され、この第1のレンズ403を介し、微粒子プローブ402に照射される。微粒子プローブ402としては、酸化チタン20nm径の球を用いた。
【0096】
この酸化チタンは光触媒機能を持ち、表面に付着した有機物はアライメントをしていないときに適宜、紫外線照射手段426より紫外線を受け、分解される。
【0097】
なお、光トラップされる微粒子は酸化チタンに限定されるものではなく、光触媒反応を示すものであればよい。また、表面が光触媒でコーティングされている微粒子でもよい。
【0098】
図11に光トラップ光束424と、微粒子プローブ402に働く力の方向Aを示す。
【0099】
集光された光トラップ光束424は微粒子プローブ402によって散乱され、微粒子プローブ402自身はビーム電場分布の中心であるビームフォーカス位置431に引き寄せられ、矢印Aの方向に動き、粒子安定位置402aで安定する(レーザ研究第24巻第11号1139頁〜1147頁1996年参照)。
【0100】
ビームフォーカス位置431に一致する、ビームウエストの位置が微粒子プローブ402の中心よりやや下方にくるように不図示のフォーカス位置調整手段により調整すると、微粒子プローブ402はアライメントマーク401の表面上にわずかに押しつけられる。その結果、微粒子プローブ402とアライメントマーク401との表面間の距離をゼロに保つことができる。こうして位置制御された微粒子プローブ402を用い、フォーカス位置制御手段で画角100nmのスキャンを行なうことにより、ナノメートルオーダの精度でアライメントマーク401の画像を得ている。
【0101】
ウエハ405を大まかな所定の位置にセッティングする前は微粒子プローブ402は、フォーカス位置制御手段によりウエハ405がセットされる位置よりわずかに上方に待機するようにすることで、微粒子プローブ402とウエハ405との干渉を避ける装置構成となっている。
【0102】
なお、上述の第1ないし第3の実施形態は近接場プローブについて実施したものであるが、光触媒によるプローブの洗浄はこれに限定されるものではない。STM(走査型トンネリング顕微鏡)やAFM(原子間力顕微鏡)のプローブの先端部に光触媒を設け、このプローブにも別途設けた紫外線照射手段より、適宜紫外線を照射することにより、プローブを洗浄することができる。
【0103】
また、第2、第3の実施形態の近接場顕微鏡は、第1の実施形態で説明したアライメント測定系140と基本的構成は同様であるため、試料の観察のみに限定されるものではなく、位置決めを目的としたアライメントシステムとしての適用も可能である。
【0104】
次に上記説明した露光装置を利用した半導体デバイスの製造方法の実施形態を説明する。図12は半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、あるいは液晶パネルやCCD等)の製造フローを示す。ステップ501(回路設計)では半導体デバイスの回路設計をおこなう。ステップ502(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。
【0105】
一方、ステップ503(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ504(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ505(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ504によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。
【0106】
ステップ506(検査)ではステップ505で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査をおこなう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これがステップ7(出荷)される。
【0107】
図13は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ511(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ512(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。
【0108】
ステップ513(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ514(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ515(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ516(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。
【0109】
ステップ517(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ518(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ519(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返しおこなうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0110】
本実施形態の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを容易に製造することができる。
【0111】
なお、第1の実施形態で示した露光装置は半導体デバイスの製造に限定されるものではなく、微細構造素子の製造にも適用可能である。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、スキャニングプローブの少なくとも先端部を被覆する光触媒の膜が形成されているため、光触媒として、清浄効果を有する紫外線等に反応するものを用いることで紫外線清浄を行うことができる。これにより、スキャニングプローブを常に良好な状態で維持できるため、近接場光による露光やアライメント用のプローブ、あるいは走査型トンネリング顕微鏡や原子間力顕微鏡のプローブとして用いることで、ナノメートル以下の微細構造パターンの評価や形成が長期間良好に行える。
【0113】
また、このようなナノメートルオーダの微細加工の量産が可能となりナノメートルの構造で機能を発揮する微細構造素子の作成が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の近接場光露光の原理を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の近接場露光装置の主要構成図である。
【図3】近接場プローブ先端部構成を説明する図である。
【図4】プリアライメント用マーク及びアライメントマークを示す図である。
【図5】露光領域とアライメントマーク配置領域を示す図である。
【図6】第1の実施形態の近接場露光装置による露光シーケンスを説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の近接場顕微鏡の主要構成図である。
【図8】第2の実施形態の近接場顕微鏡の作動シーケンスを説明する図である。
【図9】本発明の、微小プローブを用いた位置検出の原理を説明する図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の近接場検出光学系の主要構成図である。
【図11】微粒子プローブに働く力を説明する図である。
【図12】デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
【図13】図11に示したウエハプロセスの詳細な工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 試料評価領域
2 近接場プローブ
5 試料
7a、67a、107、207 全体制御系
7b、67b 画像処理系
8、68、98、108、408 近接場光
11、71、117、211、411 励起光照射手段
12、72、112、212 ステージ
13、73、113、213 ステージ駆動系
17、77a、77b、117 シアフォース制御用検出光源
18、78a、78b、118 位置検出器
19、79a、79b、119 圧電素子
26、86、426 紫外線照射手段
27、87、92、152 ファイバ
28 金
29 光触媒
30 微小開口
33、133 レジスト
34、74、206、406 照射光
35、75a、75b、135 検出光
57、137、204、404 検出器
61、201、401 アライメントマーク
62 アライメント用プローブ
95、155 露光用プローブ
65、105、205、405 ウエハ
81 プリアライメント用マーク
88 露光領域
89 アライメントマーク配置領域
91、151 露光光源
140 アライメント測定系
141 露光系
202、402 微粒子プローブ
203 レンズ
208 回折場
209、409 散乱光
210、410 近接場検出光学系
402a 粒子安定位置
403 第1のレンズ
420 ハーフミラー
421 第2のレンズ
422 光トラップ光源
423 光トラップ光源制御手段
424 光トラップ光束
430 光トラップ光学系
431 ビームフォーカス位置

Claims (9)

  1. 試料の表面を走査するスキャニングプローブにおいて、
    前記スキャニングプローブの少なくとも先端部を被覆する光触媒の膜が形成されており、
    前記光触媒の膜は、紫外線と光触媒反応を起こす性質を有し、
    前記光触媒の膜の下に金属膜が形成されていることを特徴とするスキャニングプローブ。
  2. 試料の表面を走査するスキャニングプローブにおいて、
    前記スキャニングプローブの少なくとも先端部を被覆する光触媒の膜が形成されており、
    前記光触媒の膜の下に金属膜が形成されていることを特徴とするスキャニングプローブ。
  3. 前記金属膜は、光ファイバの表面に形成され、該光ファイバの先端面から近接場光を滲み出させる請求項2に記載のスキャニングプローブ。
  4. 前記金属膜は、光ファイバの表面に形成され、光を前記試料に照射させることで生じた近接場光内に、前記光ファイバの先端部を挿入することで生じた散乱光を前記光ファイバへ導光させる請求項2に記載のスキャニングプローブ。
  5. 光源から照射された光を試料に照射させることで生じた近接場光内において、微小粒子をトラップするための光を照射するトラップ用光源から照射されたトラップ光により、トラップされることで散乱光を発生させ、かつ、光触媒機能を有する前記微小粒子からなることを特徴とするスキャニングプローブ。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスキャニングプローブと、
    前記スキャニングプローブ及び前記試料の表面を相対的に走査させる走査手段とを有することを特徴とする走査装置。
  7. 位置決めのためのアライメントマークが設けられた被露光物の前記アライメントマークに光を照射する光照射手段と、
    前記被露光物を露光するための露光光を発生させる露光光発生手段と、
    前記光照射手段、前記露光光発生手段及び試料の表面を相対的に走査させる走査手段とを有する露光装置において、
    前記光照射手段は、請求項3に記載のスキャニングプローブを位置決め用プローブとして有することを特徴とする露光装置。
  8. 位置決めのためのアライメントマークが設けられた被露光物の前記アライメントマークに光を照射する光照射手段と、
    前記被露光物を露光するための露光光を発生させる露光光発生手段と、
    前記光照射手段、前記露光光発生手段及び試料の表面を相対的に走査させる走査手段とを有する露光装置において、
    前記露光光発生手段は、請求項4に記載のスキャニングプローブを露光用プローブとして有することを特徴とする露光装置。
  9. 試料に光を照射させることで近接場光を生じさせる励起光照射手段と、
    前記試料の表面を観察するための観察手段と、
    前記観察手段と前記試料の表面とを相対的に走査させる走査手段とを有する近接場顕微鏡において、
    前記観察手段は、請求項3または5に記載のスキャニングプローブを有することを特徴とする近接場顕微鏡。
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