JP4405597B2 - ヒト受容体型チロシンキナーゼkdr - Google Patents

ヒト受容体型チロシンキナーゼkdr Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、ヒト内皮細胞で発現されるヒト受容体型チロシンキナーゼKDRをコードする単離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。この受容体は、VEGFにより活性化され、分裂誘発シグナルを媒介する。また、本発明は、ヒトKDRをコードするDNA断片を含有する組換えベクターおよび組換え宿主、KDRの細胞内部分をコードするDNA断片、膜アンカー配列の存在下または不存在下にKDRの細胞外部分をコードするDNA断片、実質的に精製された形態の関連ヒトKDRおよびヒト突然変異形態のKDRに関する。
発明の背景
血管内皮細胞は、血管系の全体にわたり内腔非凝塊形成性単層を形成している。マイトジェンは、これらの細胞における胚血管発生、増殖、修復および血管新生を促進する。血管新生は、内皮細胞を載せる基底膜のタンパク質分解、およびそれに続く、新たな毛細血管分枝の持続的な成長を維持するためのこれらの細胞の走化性遊走および有糸分裂を伴う。血管内皮細胞に選択的なマイトジェンの1つのクラスには、血管内皮増殖因子(VEGFまたはVEGF-Aと称される)およびホモログである胎盤増殖因子(PlGF)、VEGF-BおよびVEGF-Cが含まれている。
ヒトVEGFは、206アミノ酸、189アミノ酸(米国特許第5,240,848号を参照されたい)、165アミノ酸(米国特許第5,332,671号を参照されたい)および121アミノ酸(米国特許第5,332,671号を参照されたい)を含有する4つの成熟プロセシング化形態(最も優勢なのは、165アミノ酸形態である)の1つのグリコシル化ホモ二量体として存在する。ヒトVEGFの該206アミノ酸形態および189アミノ酸形態はそれぞれ、ヘパリン(および恐らく、細胞表面上および細胞外マトリックス内のヘパリンプロテオグリカン)に対する強固な結合を促進する高度に塩基性の24アミノ酸のインサートを含有している(Ferraraら, 1991, J. Cell. Biochem. 47:211-218)。
また、ヒトPlGFは、タンパク質レベルでVEGFと46%の相同性を共有するグリコシル化ホモ二量体である。ヒトPlGF mRNAの特異的(differential)スプライシングは、170または149アミノ酸残基の前駆体を与え、これらはタンパク質分解によりプロセシングされて、それぞれ152または132アミノ酸残基長の成熟形態となる(Maglioneら, 1993, Oncogene 8:925-931; BayneおよびThomas, 1992, EPO公開第0 506477 A1号;HauserおよびWeich, 1993, Growth Factors 9:259-268)。
VEGF-Bは既に単離され、特徴づけられている(Grimmondら, 1996, Genome Research 6:124-131; Olofssonら, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:2576-2581)。該完全長ヒトcDNAは、188および207アミノ酸残基の前駆体をコードし、そのNH2末端部分は、タンパク質分解によりプロセシングされて、167および186アミノ酸残基長の成熟形態となる。ヒトVEGF-Bの発現は、ジスルフィド結合したホモ二量体として、心臓および骨格筋において優勢に見出されている。一方、ヒトVEGF-Bはまた、VGEFとヘテロ二量体を形成することが可能である(同誌、@2580)。
また、VEGF-Cも既に単離され、特徴づけられている(Joukovら, 1996, EMBO J. 15:290-298)。VEGF-CをコードするcDNAは、ヒト前立腺腺癌細胞系から入手された。32kDaの前駆体タンパク質は、タンパク質分解によりプロセシングされて、23kDaの成熟形態を与え、これは、受容体型チロシンキナーゼFlt-4に結合する。
VEGFおよびそのホモログは、血管内皮細胞原形質膜に伸長するチロシンキナーゼ受容体に結合することにより活性を付与し、ついでそれは細胞内分裂誘発シグナルを活性化する。KDR受容体ファミリーは、VEGFにより開始される分裂誘発シグナルを伝達する主要なチロシンキナーゼ受容体である。
Shibuyaら(1990, Oncogene 5:519-524)は、ヒト受容体型チロシンキナーゼ遺伝子fltを開示しており、これは、グリコシル化細胞外ドメイン、膜伸長領域および推定チロシンキナーゼドメインを含む1338アミノ酸のタンパク質をコードする4.2Kbのオープンリーディングフレームを含む。
Pajusolaら(1992, Cancer Res. 52:5738-5743)は、ヒト受容体型チロシンキナーゼ遺伝子を開示しており、これは、前記のとおり、ヒトVEGF-Cに結合する。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、高親和性膜伸長チロシンキナーゼ受容体KDRおよびFlt-1に結合する。細胞培養および遺伝子不活化実験は、各受容体が、異なる態様の血管新生に寄与していることを示している。KDRは、VEGFの分裂誘発作用を媒介し、一方、Flt-1は、非分裂誘発作用(例えば、細胞接着に関連したもの)を調節するらしい。したがって、KDRの阻害は、分裂誘発性VEGF活性のレベルを有意に減少させる。
網膜における血管増殖は、視力低下を招き、最終的には失明を引き起こす。糖尿病性網膜症における網膜またはその付近で生じる血管新生活性のほとんどは、VEGFによりもたらされる。眼VEGF mRNAおよびタンパク質は、血管新生を招く霊長類における網膜静脈閉塞、マウスにおけるpO2レベルの減少などの状態で上昇する。抗VEGFモノクローナル抗体またはVEGF受容体免疫融合体のいずれかの眼内注射は、げっ歯類および霊長類モデルにおいて眼血管新生を抑制する。ヒト糖尿病性網膜症におけるVEGFの誘導の原因とは無関係に、眼VEGFの阻害は該疾患の治療に有用である。
また、VEGFの発現は、壊死領域に隣接した動物およびヒトの腫瘍の低酸素領域において有意に増加する。モノクローナルおよびポリクローナル抗VEGF抗体は、ヌードマウスにおいてヒトの腫瘍の増殖を抑制する。これらの同じ腫瘍細胞は、培養内でVEGFを発現し続けるが、該抗体は、血管内皮細胞そのもの以外の細胞に由来する全てではなくともほとんどの腫瘍細胞の有糸分裂速度を減少させない。したがって、腫瘍由来のVEGFは、ほとんどの腫瘍に関してオートクリン(自己分泌)分裂誘発因子として機能しない。したがって、VEGFは、そのパラクリン(傍分泌)血管内皮細胞の走化性活性および分裂誘発活性を介して血管新生を促進することによりインビボにおいて腫瘍増殖に寄与するのである。また、これらのモノクローナル抗体は、無胸腺マウスにおいて、典型的には十分に血管が分布していないヒト結腸癌の増殖を抑制し、接種された細胞から生じる腫瘍の数を減少させる。細胞質チロシンキナーゼドメインを除去し膜アンカーを保有するように切り取られたマウスKDR受容体ホモログFlk-1のVEGF結合構築物のウイルス発現は、おそらく膜伸長内皮細胞VEGF受容体とのヘテロ二量体形成のドミナントネガティブ的メカニズムにより、マウスにおける移植可能な神経膠芽細胞腫の増殖を実質的に阻止する。胚幹細胞は、通常はヌードマウスにおいて固形腫瘍として増殖するが、両方のVEGF対立遺伝子を不活化した場合には、検出可能な腫瘍を産生しない。総合すると、これらのデータは、固形腫瘍の増殖におけるVEGFの役割を示している。KDRおよびFlt-1は、病的なネオ血管新生(neoangiogenesis)に関与しており、これらの受容体のインヒビターは、ネオ血管新生が全体的な病理の一部となる疾患(例えば、糖尿病性網膜血管新生、種々の形態の癌、ならびに種々の形態の炎症、例えば慢性関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎および過敏症反応)の治療に有用である。
Termanら(1991, Oncogene 6:1677-1683; 1992, Biochem. Biophys. Res. Commun. 187:1579-1586)は、KDRの一形態をコードする完全長cDNAを開示している。しかしながら、このTermanらの開示は、受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRのヒト形態をコードする最適な新規核酸断片を同定していない。最適化された形態のヒトKDRをコードするヒトcDNA配列を同定し単離することは有益であろう。ヒトKDRタンパク質を発現する核酸分子は、このタンパク質のタンパク質キナーゼドメインのモジュレーターとして作用する化合物に関するスクリーニングにおいて有用であろう。そのような化合物は、血管内皮細胞上のVEGFおよびVEGF関連タンパク質の分裂誘発シグナルの調節に有用であろう。また、機能的リガンド結合部分および膜アンカー部分を含有するがチロシンキナーゼ活性を有さないKDRタンパク質の一部をコードするKDR核酸配列は、遺伝子治療に有用かもしれない。また、該KDRタンパク質の全部または一部は、VEGFアンタゴニストに関するスクリーニングに有用である。Flt-1の不存在下での機能の分析のために、該KDR核酸配列を細胞内にトランスフェクション導入することができる。また、該KDRタンパク質は、リガンドおよび/またはインヒビターの存在下または不存在下でのX線構造解析に有用である。本発明は、これらの要求に向けられており、従前に開示されているKDRより高い活性および機能を有するらしいことがコンピューターモデルにより示されているヒトKDRの一形態を発現する単離された核酸断片を開示することにより、それらの要求を満たすものである。
発明の概要
本発明は、新規ヒト受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRをコードする単離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本明細書は、ヒト内皮細胞で発現される受容体型チロシンキナーゼKDRコードする最適化された新規DNA分子を開示する。
また、本発明は、新規ヒト受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRを発現するmRNAをコードする配列番号1の生物学的に活性な断片または突然変異体を開示する。そのような生物学的に活性な断片および/または突然変異体はいずれも、配列番号2に記載のヒトKDRタンパク質のものに類似した少なくとも細胞内または細胞外キナーゼドメインを含むタンパク質またはタンパク質断片をコードする。そのようないずれのポリヌクレオチドも、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切り離しおよびカルボキシ末端切り離しを含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない(これらの突然変異は、診断用、治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を発現するmRNAをコードし、それらは、KDR機能についてのアゴニストおよび/またはアンタゴニストに関するスクリーニングに有用であろう)。
本発明の単離された核酸分子には、デオキシリボ核酸分子(DNA)、例えばゲノムDNAおよび相補的DNA(cDNA)[これは一本鎖(コード鎖または非コード鎖)または二本鎖であることが可能である]、ならびに合成DNA、例えば合成された一本鎖ポリヌクレオチドを含めることが可能である。また、本発明の単離された核酸分子には、リボ核酸分子(RNA)を含めることが可能である。
また、本発明は、本明細書の全体にわたって開示する実質的に精製された核酸分子を含有する組換えベクターおよび組換え宿主(原核性および真核性の両方)に関する。
また、本発明は、本発明の核酸を含む組換え宿主細胞(原核性および真核性の両方、ならびに安定に及び一過性に形質転換された細胞)の細胞下(subcelluar)膜画分に関する。これらの細胞下膜画分は、野生型のレベルを実質的に上回るレベルで野生型またはヒト突然変異型のKDRを含み、したがって本明細書の全体にわたって記載する種々のアッセイにおいて有用であろう。
本発明の好ましい態様を、図1Aおよび図1Bおよび配列番号1(新規受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRをコードするヒトcDNA)に開示する。
また、本発明は、図2に開示し配列番号2に記載する実質的に精製された形態の受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRに関する。
また、本発明は、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切り離しおよびカルボキシ末端切り離し(必ずしもこれらに限定されるものではない)を含む、最初に配列番号2に記載するKDRタンパク質の生物学的に活性な断片および/または突然変異体に関する(これらの突然変異は、診断用、治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を与え、それらは、KDR機能についてのアゴニストおよび/またはアンタゴニストに関するスクリーニングに有用であろう)。
本発明の好ましい態様(新規受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRのアミノ酸配列)を、図2に開示し、配列番号2に記載する。
また、本発明は、本明細書に開示するヒト形態のKDRに対して産生させたポリクローナルおよびモノクローナル抗体、またはその生物学的に活性な断片に関する。
また、本発明は、野生型ヒトKDR活性を調節する化合物を同定するためのアッセイにおいて有用な融合タンパク質を発現する融合構築物である単離された核酸分子に関する。本発明のこの形態の好ましい態様には、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)-KDR融合構築物が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの融合構築物には、GST遺伝子のカルボキシ末端におけるインフレーム融合体としてのヒトKDRの細胞内チロシンキナーゼドメイン、または当業者に公知の方法により免疫グロブリン遺伝子と融合させた細胞外リガンド結合ドメインのいずれかが含まれるが、これらに限定されるものではない。可溶性組換えGST-キナーゼドメイン融合タンパク質は、バキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T, Pharmingen)を使用してスポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)などの種々の発現系内で発現させることができる。
また、本発明は、細胞内KDRドメインの一部を含むヒトKDRタンパク質断片をコードする単離された核酸分子に関する。該タンパク質断片は、野生型ヒトKDR活性を調節する化合物を同定するためのアッセイにおいて有用である。本発明のこの形態の好ましい態様には、アミノ酸約780〜795からアミノ酸約1175〜1386のヒトKDRの細胞内部分をコードする核酸構築物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
したがって、本発明は、細胞外KDRドメインの一部を含むヒトKDRタンパク質断片をコードする単離された核酸分子に関する。これらの単離された核酸タンパク質は、ヒトKDRの膜貫通ドメインを同様にコードするヌクレオチド配列を含んでいても含んでいなくてもよい。これらのKDRの細胞外ドメインおよび/またはKDRの細胞外-膜貫通ドメインタンパク質断片は、VEGF結合を阻害する化合物に関するスクリーニングに、およびこれらの単離された核酸の、VEGF媒介分裂誘発活性を阻害するための遺伝子治療ベクターとしての利用に有用であろう。KDRの可溶性形態(細胞外)または膜結合形態(細胞外-膜貫通)の発現は、インビボでのVEGF/KDR媒介血管新生を阻害するであろう。
したがって、本発明は、受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRおよび生物学的等価体(本明細書で開示するもの)の発現方法、これらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子を使用するアッセイ、これらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子を発現する細胞、およびこれらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子および発現されたヒトKDRタンパク質の使用により同定された化合物(すなわち、VEGFに誘導される血管新生に関連した正常な細胞内シグナルの伝達に拮抗するKDR受容体の適当な二量体形成、あるいはヒトKDRに対するVEGFの結合を妨げる化合物、またはヒトKDRのキナーゼドメインとの直接的接触を介して同定された、ヒトKDR依存性キナーゼの1以上のモジュレーターを含む化合物)に関する。
また、本発明は、特に、ヒトKDRの可溶性細胞外タンパク質断片をコードする核酸断片に関する遺伝子治療用途に関する。そのような方法が、種々の腫瘍および糖尿病性網膜症の治療に特に有用であることを、本発明において開示する。
新規形態のヒトKDR、ヒトKDR断片およびKDR突然変異体(これらは、配列番号2の誘導体であり、好ましくは、848位のValを保有し、特に好ましくは、848位のVal、498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLysおよび1347位のSerを保有する)をコードする単離された核酸分子を提供することが、本発明の目的である。そのようないずれのポリヌクレオチドも、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切り離しおよびカルボキシ末端切り離しを含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない(これらの突然変異は、診断用、治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を発現するmRNAをコードし、それらは、KDR機能についてのアゴニストおよび/またはアンタゴニストに関するスクリーニングに有用であろう)。
前段落に記載の核酸分子にコードされるヒトKDRタンパク質またはタンパク質断片を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
好ましくは848位のValを保有し特に好ましくは848位のVal、498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLysおよび1347位のSerを保有する、配列番号2に記載のヒトKDRタンパク質のものに類似した細胞内キナーゼドメインを含むヒトKDRの生物学的に活性な断片または突然変異体を提供することも、本発明の目的である。
ヒトKDRまたはその生物学的等価体をコードする核酸配列を含む組換えベクターおよび組換え宿主細胞を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
配列番号2に記載の実質的に精製された形態の受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRを提供することが、本発明の目的である。
アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切り離しおよびカルボキシ末端切り離し(これらの突然変異は、診断用、治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を与える)を含む(必ずしもこれらに限定されるものではない)、KDRタンパク質(例えば、配列番号2に記載のもの)の生物学的に活性な断片および/または突然変異体を提供することが、本発明の目的である。
また、KDRに基づくインフレーム融合構築物、受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRおよび生物学的等価体(本明細書で開示するもの)の発現方法、関連アッセイ、これらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子を発現する組換え細胞、およびこれらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子および発現されたヒトKDRタンパク質の使用を介して同定されたアゴニストおよび/またはアンタゴニスト化合物を提供することも、本発明の目的である。
本発明で用いる「VEGF」または「VEFG-A」は、血管内皮増殖因子を意味する。
本発明で用いる「KDR」または「FLK-1」は、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体を意味する。
本発明で用いる「FLT-1」は、fms様チロシンキナーゼ受容体を意味する。
本発明で用いる「哺乳動物宿主」なる語は、ヒトを含む任意の哺乳動物を意味する。
【図面の簡単な説明】
図1Aおよび図1Bは、配列番号1に記載のとおりの、ヒトKDRをコードするヌクレオチド配列を示す。
図2は、配列番号2にも記載されているヒトKDRのアミノ酸配列を示す。下線を付したアミノ酸残基は、既に開示されている形態のヒトKDRと比較した場合の相違を表す。
図3Aは、結合AMP-PCPとのKDR V848E突然変異相同性モデルからのATP結合ドメインを示す。E848の側鎖は、AMP-PCPからのアデニンと接触している。AMP-PCPのγリン酸は認められない。そのタンパク質の炭素αのトレースはパイプ状に、該AMP-PCPは棒状に、E848側鎖は空間補充的(space filling)に示されている。該N末端ローブは、青で着色されている(あるいは白丸で表示されている)。ただし、グリシンリッチフラップは、緑で着色されている(あるいは線領域として表示されている)。該C末端ローブは、赤で着色されている(あるいは黒丸で表示されている)。
図3Bは、結合AMP-PCPとのKDR相同性モデルからのATP結合ドメインを示す。V848の側鎖は、AMP-PCPからのアデニンとの疎水性接触を形成する。AMP-PCPのγリン酸は認められない。そのタンパク質の炭素αのトレースはパイプ状に、該AMP-PCPは棒状に、V848側鎖は空間補充的(space filling)に示されている。該N末端ローブは、青で着色されている(あるいは白丸で表示されている)。ただし、グリシンリッチフラップは、緑で着色されている(あるいは線領域として表示されている)。該C末端ローブは、赤で着色されている(あるいは黒丸で表示されている)。
図4Aおよび4Bは、精製されたGST-KDRcytE848が1-mM ATP存在下で自己リン酸化する能力を有さないが1mM ATPの存在下の12ngのGST-KDRcytV484は自己リン酸化を引き起こしたこと(図4A)、および120ngのGST-KDRcytE848および12ngのGST-KDRcytV848の両方が抗KDR抗体と反応すること(図4B)を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒトKDRを代表する単離された核酸およびタンパク質形態に関する。本明細書は、ヒト内皮細胞で発現される受容体型チロシンキナーゼであるヒトKDRをコードするDNA分子を開示する。該受容体は、血管内皮増殖因子(VEGF)により活性化され、分裂誘発シグナルを媒介する。この活性化およびそれに続く有糸分裂生起は、インビボにおける血管新生反応を招く。本明細書に配列番号1として開示する核酸分子は、公開されている配列(Termanら, 1992, Biochem. Biophys. Res. Commun. 187:1579-1586, Termanら, 国際PCT出願第WO 92/14748号,国際出願第PCT/US92/01300号)に対して6アミノ酸の相違を有するヒトKDRタンパク質(配列番号2)をコードする。これらの変化は、498位(AlaからGlu)、772位(ThrからAla)、787位(GlyからArg)、835(AsnからLys)、848位(GluからVal)および1347(ThrからSer)におけるものである。これらの6アミノ酸の変化は、該受容体の活性に影響を及ぼす。Val 848は、チロシンキナーゼファミリーのほとんどにわたって保存されており、コンピューターモデルから推測されるとおりKDR受容体キナーゼに対するATPの結合(そしておそらくATP競合性インヒビターの結合)に重要であるらしい。この位置におけるGluへの変化は、ATP結合を損なうことにより、非機能的なキナーゼを与える。その他の変化も、活性の相違を引き起こす可能性がある。
また、本発明は、新規ヒト受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRを発現するmRNAをコードする配列番号1の生物学的に活性な断片または突然変異体に関する。そのような生物学的に活性な断片および/または突然変異体はいずれも、配列番号2に記載のヒトKDRタンパク質のものに類似した少なくとも細胞内キナーゼドメインを含むタンパク質またはタンパク質断片(好ましくは、848位にValを保有する)をコードする。また、細胞内ドメインに基づく他のKDRドメインは、野生型細胞内ドメインの構造および機能を模擬する可溶性タンパク質断片を与えると予想される。そのようなタンパク質断片はいずれも、例示されるGST-KDR融合体などの融合タンパク質であることが可能であり、あるいはCOOH末端領域における欠失の増加に伴ってKDR細胞内ドメインのみからなることが可能である。このドメインがそれぞれのタンパク質またはタンパク質断片を含む場合には、以下のアミノ酸が保有されていることが、特に好ましい:848位のVal、498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLysおよび1347位のSer。したがって、そのようないずれのポリヌクレオチドも、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切り離しおよびカルボキシ末端切り離しを含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない(これらの突然変異は、診断用、治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を発現するmRNAをコードし、それらは、KDR受容体活性のモジュレーターの同定に有用である)。
本発明の単離された核酸分子には、デオキシリボ核酸分子(DNA)、例えばゲノムDNAおよび相補的DNA(cDNA)[これは一本鎖(コード鎖または非コード鎖)または二本鎖であることが可能である]、ならびに合成DNA、例えば合成された一本鎖ポリヌクレオチドを含めることが可能である。また、本発明の単離された核酸分子には、リボ核酸分子(RNA)を含めることが可能である。
あるペプチドをコードするDNA配列を、その天然に存在するペプチドとは異なる特性を有するペプチドをコードするように改変しうることが公知である。DNA配列の改変方法には、部位特異的突然変異誘発が含まれるが、これに限定されるものではない。改変される特性には、例えば、基質に対する酵素の又はリガンドに対する受容体の親和性の変化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる「精製(された)」および「単離(された)」は、問題の核酸、タンパク質またはそれらのそれぞれの断片が、そのインビボ環境から実質的に取り出されていて、それが当業者により種々の手段(例えば、核酸断片に関するヌクレオチドの配列決定、制限消化、部位特異的突然変異誘発および発現ベクター中へのサブクローニング、ならびにポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の産生の機会を与える純粋な相当量のタンパク質またはタンパク質断片の入手、アミノ酸の配列決定およびペプチドの消化が挙げられるが、これらに限定されるものではない)で操作されうることを表すために互換的に使用する。したがって、本発明で特許請求する核酸は、全細胞中または細胞ライセート中または部分的に精製された若しくは実質的に精製された形態中に存在することが可能である。核酸は、それが周囲の混入物から精製されている場合に、実質的に精製されているとみなされる。したがって、細胞から単離された核酸配列は、標準的な方法により細胞成分から精製されている場合には、実質的に精製されているとみなされ、一方、化学合成された核酸配列は、その化学前駆体から精製されている場合には、実質的に精製されているとみなされる。
また、本発明は、本明細書の全体にわたって開示する実質的に精製された核酸分子を含有する組換えベクターおよび組換え宿主(原核性および真核性の両方)に関する。
また、本発明は、本発明の核酸を含む組換え宿主細胞(原核性および真核性の両方、ならびに安定に及び一過性に形質転換された細胞)の細胞下(subcelluar)膜画分に関する。これらの細胞下膜画分は、野生型のレベルを実質的に上回るレベルで野生型またはヒト突然変異型のKDRを含み、したがって本明細書の全体にわたって記載する種々のアッセイにおいて有用であろう。
本発明の好ましい態様は、図1Aおよび図1Bおよび配列番号1(新規受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRをコードするヒトcDNA)に開示されており、以下のとおり開示される:
Figure 0004405597
Figure 0004405597
また、本発明は、以下に開示するとおり、498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLys、848位のValおよび1347位のSerを含む、図2に開示し配列番号2に記載するKDRアミノ酸配列を含む受容体型チロシンキナーゼ遺伝子の実質的に精製された形態に関する:
Figure 0004405597
また、本発明は、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切り離しおよびカルボキシ末端切り離し(必ずしもこれらに限定されるものではない)を含む、最初に配列番号2に記載するKDRタンパク質の生物学的に活性な断片および/または突然変異体に関する(これらの突然変異は、診断用、治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を与え、それらは、KDR機能についてのアゴニストおよび/またはアンタゴニストに関するスクリーニングに有用であろう)。
本発明の好ましい態様(新規受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRのアミノ酸配列)を、図2に開示し、配列番号2に記載する。
また、本発明は、野生型ヒトKDR活性を調節する化合物を同定するためのアッセイにおいて有用な融合構築物である単離された核酸分子に関する。本発明のこの形態の好ましい態様には、GST-KDR融合構築物が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの融合構築物は、GST遺伝子のカルボキシ末端におけるインフレーム融合体としてのヒトKDRの細胞内チロシンキナーゼドメインを含む。可溶性組換えGST-キナーゼドメイン融合タンパク質は、バキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T, Pharmingen)を使用してスポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)などの種々の発現系内で発現させることができる。
本発明は、KDR細胞内または細胞外ドメインの可溶性部分をコードする単離された核酸分子に関する。特に好ましいのは、野生型ヒトKDR活性を調節する化合物を同定するためのアッセイにおいて有用なCOOH末端欠失KDRタンパク質断片をコードする核酸分子である。そのような核酸はいずれも、ヒトKDRのキナーゼドメインなどのそれぞれのドメイン内のKDR野生型活性を模擬するKDRタンパク質断片をコードする。これらの発現された可溶性タンパク質断片は、ヒトKDRの又は異種配列のアミノ末端領域の一部を含有していても含有していなくてもよい。これらの核酸は、当業者に利用可能な多数の発現系のいずれかにおいて発現させることができる。本発明のそのような細胞内部分に基づくKDR構築物はいずれも、遺伝子治療用(例えば、野生型に伴うキナーゼ活性、膜結合キナーゼ活性の可溶性アゴニストまたはアンタゴニストとして作用させることにより)に使用することができる。
したがって、本発明は、細胞内KDRドメインの一部を含むヒトKDRタンパク質断片をコードする単離された核酸分子に関する。該タンパク質断片は、野生型ヒトKDR活性を調節する化合物を同定するためのアッセイにおいて有用である。本発明のこの形態の好ましい態様には、ヒトKDRの細胞内部分(アミノ酸約780〜795からアミノ酸約1175〜1386)をコードする核酸構築物が含まれるが、これらに限定されるものではない。実施例3に例示するデータは、KDRの可溶性細胞内部分のCOOH末端の欠失によりキナーゼ活性が現れることを示している。
また、本発明は、細胞外KDRドメインの一部を含むヒトKDRタンパク質断片をコードする単離された核酸分子に関する。これらの単離された核酸タンパク質は、ヒトKDR膜貫通ドメインを同様にコードするヌクレオチド配列を含んでいても含んでいなくてもよい。これらのKDR細胞外ドメインおよび/またはKDR細胞外-膜貫通ドメインタンパク質断片は、VEGF結合を阻害する化合物に関するスクリーニングにおいて、およびVEGF媒介分裂誘発活性を阻害するための遺伝子治療ベクターとしてのこれらの単離された核酸の利用において有用であろう。KDRの可溶性形態(細胞外)または膜結合形態(細胞外-膜貫通)の発現は、VEGF/KDR媒介血管新生を阻害するであろう。本発明のこの形態の好ましい態様には、KDRのアミノ末端からのIG様細胞外ドメインの少なくとも6個をコードする単離された核酸分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなタンパク質断片は、少なくとも、ヒトKDRの開始メチオニン付近からアミノ酸約644まで(配列番号2)を含むであろう。本発明のこの形態のもう1つの好ましい態様には、KDRのアミノ末端からの全7個のIG様細胞外ドメインをコードする単離された核酸分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなタンパク質断片は、少なくとも、開始メチオニン付近からアミノ酸約763までを含むであろう。追加的な好ましい実施形態には、配列番号2に記載するKDRの最初の約785〜795アミノ酸をコードする細胞外-膜貫通構築物が含まれるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいのは、配列番号2に記載のアミノ酸約791における切り離しを有するKDRのアミノ末端部分をコードする単離された核酸分子構築物である。
したがって、本発明は、受容体型チロシンキナーゼ遺伝子KDRおよび生物学的等価体(本明細書で開示するもの)の発現方法、これらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子を使用するアッセイ、これらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子を発現する細胞、およびこれらの受容体型チロシンキナーゼ遺伝子および発現されたヒトKDRタンパク質の使用により同定されたアゴニストおよび/またはアンタゴニスト化合物(すなわち、ヒトKDRに対するVEGFの結合を妨げたり又は受容体の二量体形成および/または活性化を妨げたり若しくは促進して、VEGFに誘導される血管新生に関連した正常な細胞内シグナルの伝達を誘導または拮抗する化合物、またはヒトKDRのキナーゼドメインとの直接的接触を介して同定された、ヒトKDR依存性キナーゼの1以上のモジュレーターを含む化合物)に関する。
本発明で用いる、野生型ヒトKDRの「生物学的に活性な等価体」または「機能的誘導体」は、野生型ヒトKDRの生物活性と実質的に類似した生物活性を有する。「機能的誘導体」なる語は、野生型ヒトKDRタンパク質の「断片」、「突然変異体」、「変異体」、「縮重変異体」、「類似体」および「ホモログ」または「化学誘導体」を包含する意である。「断片」なる語は、野生型ヒトKDRの任意のポリペプチドサブセットを意味する。「突然変異体」なる語は、野生型形態と実質的に類似していることがあるが異なる生物学的特徴を有する分子を意味する。そのような改変された特徴には、改変された基質結合性、改変された基質アフィニティー、およびヒトKDRまたはヒトKDR機能的誘導体の生物活性に影響を及ぼす化合物に対する改変された感受性が含まれるが、これらに限定されるものではない。「変異体」なる語は、構造および機能において全野生型タンパク質またはその断片に実質的に類似している分子を意味する。ある分子が野生型ヒトKDR様タンパク質と「実質的に類似」しているのは、両方の分子が、実質的に類似した構造を有する場合、または両方の分子が、類似した生物活性を有する場合である。したがって、それらの2つの分子が、実質的に類似した活性を有する場合には、それらの分子の一方の構造が他方において見出されない場合であっても、あるいはそれらの2つのアミノ酸配列が同一でない場合であっても、それらは変異体であるとみなされる。「類似体」なる語は、完全長ヒトKDRタンパク質または生物学的に活性なその断片と機能において実質的に類似している分子を意味する。
ヒトKDRをクローニングするためには、種々の方法のいずれかを用いることが可能である。これらの方法には、以下の(1)〜(6)の技術が含まれるが、これに限定されるものではない。(1)RACE PCRクローニング技術(Frohmanら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8998-9002)。完全長cDNA配列を得るために、5′および/または3′RACEを行なうことができる。この方法は、ヒトKDR cDNAのPCR増幅用の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーの使用を伴う。これらの遺伝子特異的プライマーは、公に入手可能な多数の核酸およびタンパク質データベースを検索することにより同定されたEST(発現しているタグ配列)ヌクレオチド配列の同定を介して設計する。(2)適当な発現ベクター系におけるヒトKDR含有cDNAライブラリーの構築後のヒトKDR cDNAの直接機能発現。(3)ヒトKDRタンパク質のアミノ酸配列から設計した標識縮重オリゴヌクレオチドプローブによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築されたヒトKDR含有cDNAライブラリーのスクリーニング。(4)ヒトKDRタンパク質をコードする部分cDNAによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築されたヒトKDR含有cDNAライブラリーのスクリーニング。この部分cDNAは、該ヒトKDRタンパク質に関連した他のキナーゼに関して公知のアミノ酸配列からの縮重オリゴヌクレオチドプライマーの設計による、ヒトKDR DNA断片の特異的PCR増幅により得られる。(5)ヒトKDRタンパク質をコードする部分cDNAによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築されたヒトKDR含有cDNAライブラリーのスクリーニング。また、この方法は、前記のとおりにESTとして同定されたヒトKDR cDNAのPCR増幅用の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーの使用を伴うことがある。(6)鋳型として配列番号1を使用することによる、5′および3′遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの設計。それにより、完全長cDNAを公知RACE技術により作製するか、あるいは該コード領域の一部を、これらの同じ公知RACE技術により作製して、cDNAおよび/またはゲノムライブラリーの多数の型の1つをスクリーニングするためのプローブとして使用するコード領域の一部を作製し単離して、ヒトKDRをコードするヌクレオチド配列の完全長形態を単離することが可能である。
ヒトKDRをコードするDNAまたはヒトKDRホモログを単離するためには、他の型のライブラリーおよび他の細胞型または種型から構築したライブラリーが有用かもしれないことが、当業者には容易に認められる。他の型のライブラリーには、ヒト細胞または組織以外の細胞または細胞系(例えば、マウス細胞、げっ歯類細胞またはヒトKDRをコードするDNAを含有しうる他の任意の脊椎動物宿主)に由来するcDNAライブラリーが含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、ヒトKDR遺伝子およびホモログは、脊椎動物ゲノムライブラリー、例えば(以下に限定されるものではない)ヒトゲノムライブラリー、マウスゲノムライブラリーおよびげっ歯類ゲノムライブラリーならびに付随するヒトゲノムDNAライブラリーの、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに基づくハイブリダイゼーションスクリーニングにより単離することが可能である。
KDR活性を有する細胞または細胞系から適当なcDNAライブラリーを調製しうることは、当業者には容易に認められる。ヒトKDRをコードするcDNAの単離用のcDNAライブラリーの調製に使用するための細胞または細胞系の選択は、まず、細胞関連KDR活性を測定する(これは、そのような目的に利用可能な公知の任意のアッセイを用いて行なうことができる)ことにより行なうことができる。
cDNAライブラリーの調製は、当技術分野でよく知られた標準的な技術により行なうことができる。よく知られたcDNAライブラリー構築技術は、例えば、Sambrookら, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載されている。また、相補的DNAライブラリーは、Clontech Laboratories, Inc.およびStratagentを含む多数の商業的起源から入手することができる。
また、ヒトKDRをコードするDNAは、適当なゲノムDNAライブラリーからも単離されうることが、当業者には容易に認められる。ゲノムDNAライブラリーの構築は、当技術分野でよく知られた標準的な技術により行なうことができる。よく知られたゲノムDNAライブラリー構築技術は、前記Sambrookらに記載されている。
好ましい方法の1つによりヒトKDR遺伝子をクローニングするためには、ヒトKDRまたは相同タンパク質のアミノ酸配列またはDNA配列が必要かもしれない。これを達成するために、KDRタンパク質または相同タンパク質を精製し、自動シークエネーターにより部分アミノ酸配列を決定することができる。全アミノ酸配列を決定することは必ずしも必要でないが、部分ヒトKDR DNA断片のPCR増幅のために、6〜8アミノ酸の2つの領域の直鎖配列を決定することが可能である。適当なアミノ酸配列を同定したら、それらをコードしうるDNA配列を合成する。遺伝暗号は縮重性であるため、特定のアミノ酸をコードするのに2以上のコドンが使用されることがある。したがって、該アミノ酸配列は、類似したDNAオリゴヌクレオチドの任意のセットによりコードされうる。該セットの1つのメンバーだけが、ヒトKDR配列と同一になる。しかし、該セットのその他のメンバーは、ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドの存在下であっても、ヒトKDR DNAにハイブリダイズすることが可能となる。そのミスマッチDNAオリゴヌクレオチドは、それでもなお、ヒトKDRをコードするDNAの同定および単離を可能にするのに十分な程度にヒトKDR DNAにハイブリダイズしうる。あるいは、利用可能な1以上のゲノムデータベースを検索することにより、発現される配列の領域のヌクレオチド配列を同定することができる。cDNAライブラリーまたはcDNA集団から、関心のあるcDNAのPCR増幅を行なうためには、遺伝子特異的プライマーを使用することができる。前記のとおり、PCRに基づく方法で使用するための適当なヌクレオチド配列は、配列番号1から得ることが可能であり、これらを使用して、重複する5′および3′RACE産物を単離し、ヒトKDRをコードする完全長配列を作製したり、あるいはヒトKDRをコードするヌクレオチド配列の一部を単離して、cDNAまたはゲノムに基づくライブラリーの1以上をスクリーニングするためのプローブとして使用して、ヒトKDRまたはヒトKDR様タンパク質をコードする完全長配列を単離することが可能である。
例示する方法においては、プライマーKDR-A: 5′-GGAATTCCATCCAAGCGGCAAATGTGTC-3′(配列番号3)およびKDR-B: 5′-GGAATTCCGAGTCTTCTACAAGGGTCTC-3′(配列番号4)を使用することにより調製した576塩基対のKDR特異的DNAプローブでヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)λファージcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、本発明のヒトKDR完全長cDNAを得た。ユニークインサートを含有するλファージクローンを、3ラウンドの再プレーティングにより単離し、ついで特徴づけた。単離されたクローンのいずれにおいても呈示されない3′側の110塩基対を、プライマーKDR-C: 5′-TTATGACAACACAGCAGG-3′(配列番号5)およびKDR-D: 5′-TTGGATCCTCGAGTTGGGGTGTGGATGC′3′(配列番号6)を使用して前記と同じライブラリーからPCRによりクローニングした。重複クローンを使用して、プラスミドベクターpGEM7Z中に完全長KDR遺伝子を作製した。該遺伝子は、5′末端にXhoI部位を含有していた。それを、まずXhoIで切断し、ついでDNAポリメラーゼで平滑末端を形成させ、オリゴヌクレオチドBamHIリンカーを連結させることにより、BamHI部位に変え、最終的にBamHI/BamHI断片としてpGEM7Z中に再クローニングした。該遺伝子を、ABI Prism自動シークエンサー(モデル番号377)上で配列決定した。また、それとは別に、チロシンキナーゼ活性を含有するKDRの細胞質ドメインを、バキュロウイルス発現ベクター中にGST遺伝子融合体としてクローニングして、チロシンキナーゼ活性を特徴づけた。
哺乳類細胞中で組換えヒトKDRを発現させるためには、種々の哺乳類発現ベクターを使用することができる。発現ベクターは、本発明では、適当な宿主におけるクローン化DNAの転写およびそれらのmRNAの翻訳に必要なDNA配列と定義される。そのようなベクターを使用して、細菌、藍藻類、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞などの種々の宿主中で真核性DNAを発現させることができる。特別に設計されたベクターは、細菌−酵母または細菌−動物細胞などの宿主間のDNAの往復(シャトル)を可能にする。適切に構築された発現ベクターは、宿主細胞内での自律複製のための複製起点、選択マーカー、一定数の有用な制限酵素部位、潜在的な高コピー数および活性なプロモーターを含有すべきである。プロモーターは、RNAポリメラーゼがDNAに結合しRNA合成を開始するのを指令するDNA配列と定義される。強力なプロモーターは、mRNAの高頻度の開始をもたらすものである。発現ベクターには、クローニングベクター、修飾されたクローニングベクター、特別に設計されたプラスミドまたはウイルスを含めることができるが、これらに限定されるものではない。
組換えヒトKDR発現に適している可能性がある商業的に入手可能な哺乳類発現ベクターには、pcDNA3.1(Invitrogen)、pLITMUS28、pLITMUS29、pLITMUS38およびpLITMUS39(New England Bioloabs)、pcDNAI、pcDNAIamp(Invitrogen)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO-pSV2-neo(ATCC37593)、pBPV-1(8-2)(ATCC37110)、pdBPV-MMTneo(342-12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2-dhfr(ATCC37146)、pUCTag(ATCC37460)およびλZD35(ATCC37565)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
細菌細胞中で組換えヒトKDRを発現させるためには、種々の細菌発現ベクターを使用することができる。組換えヒトKDR発現に適している可能性がある商業的に入手可能な細菌発現ベクターには、pCR2.1(Invitrogen)、pET11a(Novagen)、ラムダgt11(Invitrogen)およびpKK223-3(Pharmacia)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
真菌細胞中で組換えヒトKDRを発現させるためには、種々の真菌細胞発現ベクターを使用することができる。組換えヒトKDR発現に適している可能性がある商業的に入手可能な真菌細胞発現ベクターには、pYES2(Invitrogen)およびピチア(Pichia)発現ベクター(Invitrogen)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
昆虫細胞中で組換え受容体を発現させるためには、種々の昆虫細胞発現ベクターを使用することができる。ヒトKDRの組換え発現に適している可能性がある商業的に入手可能な昆虫細胞発現ベクターには、pBlueBacIIIおよびpBlueBacHis2(Invitrogen)、およびpAcG2T(Pharmingen)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
組換え宿主細胞中でのヒトKDRの発現のためには、ヒトKDR様タンパク質をコードするDNAを含有する発現ベクターを使用することができる。組換え宿主細胞は、原核性または真核性であることが可能であり、それらには、大腸菌(E. coli)などの細菌、酵母などの真菌細胞、ヒト、ウシ、ブタ、サルおよびげっ歯類由来の細胞系を含む(これらに限定されるものではない)哺乳類細胞、およびショウジョウバエ(Drosophila)およびカイコに由来する細胞系を含む(これらに限定されるものではない)昆虫細胞が含まれる。商業的に入手可能であり適している可能性がある哺乳類種に由来する細胞系には、L細胞L-M(TK-)(ATCC CCL1.3)、L細胞L-M(ATCC CCL1.2)、Saos-2(ATCC HTB-85)、293(ATCC CRL 1573)、Raji(ATCC CCL 86)、CV-1(ATCC CCL 70)、COS-1(ATCC CRL 1650)、COS-7(ATCC CRL 1651)、CHO-K1(ATCC CCL 61)、3T3(ATCC CCL 92)、NIH/3T3(ATCC CRL 1658)、HeLa(ATCC CCL 2)、C127I(ATCC CRL 1616)、BS-C-1(ATCC CCL 26)、MRC-5(ATCC CCL 171)およびCPAE(ATCC CCL 209)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
該発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合およびエレクトロポレーションを含む(これらに限定されるものではない)多数の技術のいずれか1つにより宿主細胞中に導入することができる。該発現ベクター含有細胞を個々に分析して、それらがヒトKDRタンパク質を産生するか否かを判定する。ヒトKDRを発現する細胞の同定は、抗ヒトKDR抗体との免疫反応性、標識リガンドの結合性および宿主細胞関連ヒトKDR活性の存在の判定を含む(これらに限定されるものではない)いくつかの手段により行なうことができる。
前記の方法により得たクローン化ヒトKDR cDNAを、適当なプロモーターと他の適当な転写調節要素とを含有する発現ベクター(例えば、pcDNA3.1、pCR2.1、pBlueBacHis2およびpLITMUS28)中への分子クローニングにより組換え的に発現させ、原核性または真核性宿主細胞中に導入して、組換えヒトKDRを産生させることができる。そのような操作のための技術は、Sambrookら(前掲)に記載されており、実施例の節において詳細に記載されており、当業者によく知られており容易に利用されうる。
また、ヒトKDR DNAの発現は、インビトロで得た合成mRNAを使用して行なうことができる。合成mRNAは、コムギ胚芽抽出物および網状赤血球抽出物を含む(これらに限定されるものではない)種々の無細胞系中で効率的に翻訳されることが可能であり、また、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションを含む細胞に基づく系内で効率的に翻訳されることが可能であり、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションが好ましい。
最適レベルのヒトKDRを与えるヒトKDR cDNA配列を決定するために、以下のものを含む(これらに限定されるものではない)cDNA分子を構築することができる:該タンパク質の特異的ドメインまたは該タンパク質の再編成ドメインだけをコードするcDNA部分を含有する種々の構築物およびヒトKDRの完全長オープンリーディングフレームを含有するcDNA断片。すべての構築物は、ヒトKDR cDNAの5′および/または3′非翻訳領域の全部または一部を含有するように或いはそれらを全く含有しないように設計することが可能である。ヒトKDRの発現レベルおよび活性は、これらの構築物を単独で又は組合せて適当な宿主細胞中に導入した後に決定することができる。一過性アッセイにおいて最適な発現を与えるヒトKDR cDNAカセットを決定した後、このKDR cDNA構築物を、哺乳類細胞、植物細胞、昆虫細胞、卵母細胞、細菌および酵母細胞用の発現ベクターを含む(これらに限定されるものではない)種々の発現ベクター(組換えウイルスを含む)に導入する。
宿主細胞中のヒトKDRのレベルは、イムノアフィニティーおよび/またはリガンドアフィニティー技術を含む(これらに限定されるものではない)種々の技術により定量する。KDR特異的アフィニティービーズまたはKDR特異的抗体を使用して、35S-メチオニン標識または未標識KDRを単離する。標識KDRタンパク質は、SDS-PAGEにより分析する。未標識KDRタンパク質は、KDRタンパク質特異的抗体および/または抗ホスホチロシン抗体を使用するウエスタンブロット法、ELISAまたはRIAアッセイにより検出する。
宿主細胞中でKDRを発現させた後、KDRタンパク質を回収して、活性形態のKDRタンパク質を得ることができる。いくつかのKDRタンパク質精製方法が利用可能であり、使用に適している。塩分別、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト吸着クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーの種々の組合せ又は単独の適用により、細胞ライセートおよび抽出物から、または馴らし培地から、組換えKDRタンパク質を精製することができる。
また、完全長KDRタンパク質に又はKDRタンパク質のポリペプチド断片に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体で作製されたイムノ-アフィニティーカラムの使用により、他の細胞タンパク質から組換えKDRタンパク質を分離することができる。さらに、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、配列番号2に記載の該タンパク質の一部に由来する合成ペプチド(通常、約9〜約25アミノ酸長)に対して産生させることができる。ヒトKDRに対する単一特異性抗体は、ヒトKDRに対して反応性の抗体を含有する哺乳類抗血清から精製したり、あるいはKohlerおよびMilstein(1975, Nature 256:495-497)の技術を用いてヒトKDRと反応性のモノクローナル抗体として調製する。本発明で用いる単一特異性抗体は、ヒトKDRに対して均一な結合特性を有する複数の抗体種または単一の抗体種と定義される。本発明で用いる均一な結合は、ある特定の抗原またはエピトープ(例えば、前記のヒトKDRに伴うもの)に該抗体種が結合しうることを意味する。ヒトKDR特異的抗体は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマなどの動物を、免疫アジュバントの存在下または不存在下で、適当な濃度のヒトKDRタンパク質またはヒトKDRの一部から作製した合成ペプチドで免疫することにより産生させる。
初回免疫の前に、免疫前血清を集める。各動物に、許容される免疫アジュバントと共に約0.1μg〜約1000μgのヒトKDRタンパク質を投与する。そのような許容されるアジュバントには、フロイント完全、フロイント不完全、アルミ(alum)沈殿物、油中水型エマルション(コリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)およびtRNAを含有するもの)が含まれるが、これらに限定されるものではない。初回免疫は、好ましくはフロイント完全アジュバント中のヒトKDRタンパク質またはそのペプチド断片を複数部位において皮下(SC)、腹腔内(IP)またはその両方に投与することよりなる。各動物から一定間隔で(好ましくは毎週)採血して、抗体力価を測定する。初回免疫後、該動物は、ブースター注射を受けても受けなくてもよい。ブースター注射を受ける動物には、一般には、フロイント不完全アジュバント中の等量のヒトKDRを同一経路で与える。ブースター注射は、最大力価が得られるまで約3週間間隔で行なう。各ブースター免疫の約7日後、または単回免疫後にほぼ毎週、該動物から採血し、血清を集め、アリコートを約−20℃で保存する。
ヒトKDRと反応性のモノクローナル抗体(mAb)は、近交系マウス、好ましくはBalb/cをヒトKDRタンパク質で免疫することにより調製する。約0.5mlのバッファーまたは食塩水中の約1μg〜約100μg、好ましくは約10μgのヒトKDRタンパク質を等量の許容される前記アジュバント中に含むもので、該マウスをIPまたはSC経路により免疫する。フロイント完全アジュバントが好ましい。該マウスは、0日に初回免疫を受け、約3〜約30週間休ませる。免疫化マウスには、リン酸緩衝食塩水などのバッファー溶液中の約1〜約100μgのヒトKDRのブースター免疫を静脈内(IV)経路により1回以上行なう。当技術分野で公知の標準的な方法により免疫化マウスから脾臓を摘出することにより、抗体陽性マウスからリンパ球、好ましくは脾リンパ球を得る。安定なハイブリドーマの形成を許容する条件下で該脾リンパ球と適当な融合相手(好ましくは、骨髄腫細胞)とを混合することにより、ハイブリドーマ細胞を産生させる。融合相手には、マウス骨髄腫P3/NS1/Ag4-1、MPC-11、S-194およびSp2/0(これらに限定されるものではない)を含めることが可能であり、Sp2/0が好ましい。該抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを、約30%〜約50%の濃度で分子量約1000のポリエチレングリコール中で融合させる。当技術分野で公知の方法により、融合ハイブリドーマ細胞を、ヒポキサンチン、チミジンおよびアミノプテリンで補足されたダルベッコ変法イーグル基礎培地(DMEM)中での増殖により選択する。上清流体を、約14、18および21日の増殖陽性ウェルから集め、該抗原としてヒトKDRを使用する固相イムノラジオアッセイ(SPIRA)などのイムノアッセイにより抗体産生に関してスクリーニングする。また、該培養流体をオクタロニー沈降アッセイにおいて試験して、該mAbのアイソタイプを決定する。抗体陽性ウェルからのハイブリドーマ細胞を、MacPherson(1973, Soft Agar Techniques, Tissue Culture Methods and Applications, KruseおよびPaterson編, Academic Press)の軟寒天技術などの技術によりクローニングする。
初回抗原刺激の約4日後に約2×106〜約6×106ハイブリドーマ細胞を、プリスチンの初回抗原刺激を受けたBalb/cマウスに注射(約0.5ml/マウス)することにより、モノクローナル抗体をインビボで産生させる。細胞導入の約8〜12日後に腹水を集め、該モノクローナル抗体を、当技術分野で公知の技術により精製する。
約2%ウシ胎仔血清を含有するDMEM中で該ハイブリドーマを増殖させることにより、抗ヒトKDR mAbのインビトロ産生を行なって、十分な量の該特異的mAbを得る。当技術分野で公知の技術により、該mAbを精製する。
腹水またはハイブリドーマ培養液の抗体力価を、沈降法、受身凝集反応、酵素結合抗体免疫吸着(ELISA)技術およびラジオイムノアッセイ(RIA)技術を含む(これらに限定されるものではない)種々の血清学的または免疫学的アッセイにより測定する。体液または組織および細胞抽出物中のヒトKDRの存在を検出するために、同様のアッセイを用いる。
単一特異的抗体を産生させるための前記方法を用いて、ヒトKDRペプチド断片または完全長ヒトKDRに特異的な抗体を産生させることが可能である、と当業者には容易に認められる。
例えば該抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合を形成するようにN-ヒドロキシスクシンイミドエステルで予め活性化されたゲル支持体であるAffigel-10(Biorad)に該抗体を加えることにより、ヒトKDR抗体アフィニティーカラムを作製する。ついで該抗体を、スペーサーアームでアミド結合を介して該ゲルに結合させる。ついで、残存する活性化エステルを1MエタノールアミンHCl(pH8)でクエンチする。該カラムを水、ついで0.23MグリシンHCl(pH2.6)で洗浄して、未コンジュゲート化抗体または外来タンパク質を除去する。ついで該カラムをリン酸緩衝食塩水(pH7.3)中で平衡化し、完全長ヒトKDRまたはヒトKDRタンパク質断片を含有する細胞培養上清または細胞抽出物を、該カラムにゆっくり通過させる。ついで、光学密度(A280)がバックグラウンドに低下するまで、該カラムをリン酸緩衝食塩水で洗浄し、ついで該タンパク質を0.23Mグリシン-HCl(pH2.6)で溶出する。ついで該精製ヒトKDRタンパク質を、リン酸緩衝食塩水に対して透析する。
本発明のヒトKDRタンパク質は、KDR活性を調節する化合物の同定のためのアッセイ法での使用に適している。本明細書中で検討するGST-KDR融合体などのKDR含有融合構築物は、KDR活性を測定するのに有用である。キナーゼ活性は、例えば、ポリグルタミン酸、チロシン、4:1(pEY)基質中への放射能標識リン酸の取込みにより測定する。リン酸化されたpEY産物を、フィルターメンブレン上に捕捉し、放射能標識リン酸の取込みをシンチレーション計数により定量する。可溶性組換えGST-キナーゼドメイン融合タンパク質を、バキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T, Pharmingen)を使用してSf21昆虫細胞(Invitrogen)中で発現させる。溶解バッファーは、50mM Tris(pH7.4)、0.5M NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.5%Triton X-100、10%グリセロール、それぞれ10μg/mlのロイペプチン、ペプスタチンおよびアプロチニンならびに1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(すべてSigma)である。洗浄バッファーは、50mM Tris(pH7.4)、0.5M NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.05%Triton X-100、10%グリセロール、それぞれ10μg/mlのロイペプチン、ペプスタチンおよびアプロチニンならびに1mMフェニルメチルスルホニルフルオリドである。透析バッファーは、50mM Tris(pH7.4)、0.5M NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.05%Triton X-100、50%グリセロール、それぞれ10μg/mlのロイペプチン、ペプスタチンおよびアプロチニンならびに1mMフェニルメチルスルホニルフルオリドである。10×反応バッファーは、200mM Tris(pH7.4)、1.0M NaCl、50mM MnCl2、10mM DTT、5mg/mlウシ血清アルブミン(Sigma)である。酵素希釈バッファーは、50mM Tris(pH7.4)、0.1M NaCl、1mM DTT、10%グリセロール、100mg/ml BSAである。10×基質溶液は、750μg/mlポリ(グルタミン酸、チロシン、4:1)(Sigma)、停止溶液は30%トリクロロ酢酸、0.2Mピロリン酸ナトリウム(共にFisher)、洗浄溶液は15%トリクロロ酢酸、0.2Mピロリン酸ナトリウムである。該フィルタープレートは、Millipore #MAFC NOB, GF/Cグラスファイバー96プレートである。
まず、Sf21細胞に、5ウイルス粒子/細胞の感染多重度で組換えウイルスを感染させ、該細胞を27℃で48時間増殖させる。後続のすべての工程は、4℃で行なう。感染細胞を、1000×gの遠心分離により収穫し、1/10容量の溶解バッファーで4℃で30分間細胞溶解し、ついで100,000×gで1時間遠心分離する。ついで該上清を、溶解バッファー中で平衡化したグルタチオン-セファロースカラム(Pharmacia)に通過させ、5容量の同じバッファー、ついで5容量の洗浄バッファーで洗浄する。組換えGST-KDRタンパク質を、洗浄バッファー/10mM還元グルタチオン(sigma)で溶出させ、透析バッファーに対して透析する。
該KDRアッセイは、以下の工程を含む。
1.5μlのインヒビターまたは対照を50%DMSO中のアッセイに加える。
2.5μlの10×反応バッファー、5μlの25mM ATP/10μCi[33P]ATP(Amersham)および5μlの10×基質を含有する35μlの反応混合物を加える。
3.酵素希釈バッファー中の10μlのKDR(25nM)を加えることにより反応を開始させる。
4.混合し、インキュベートする(室温(〜22℃)で15分間行なう)。
5.50μlの停止溶液を加えることにより停止させる。
6.4℃で15分間インキュベートする。
7.90μlのアリコートをフィルタープレートに移す。
8.吸引し、100μlの洗浄溶液で3回洗浄する。
9.30μlのシンチレーションカクテルを加え、プレートを密封し、Wallac Microbetaシンチレーションカウンター中で計数する。
KDRの調節には、VEGFの分裂誘発作用に影響を及ぼすキナーゼの阻害または活性化が含まれる。KDRを調節する化合物には、アゴニストおよびアンタゴニストが含まれる。
したがって、本発明のヒトKDRタンパク質は、ヒトKDRモジュレーターを同定するためのアッセイ法において使用するために、天然起源および組換え起源の両方から(完全長タンパク質、生物学的に活性なタンパク質断片または融合構築物として)得ることができる。一般に、ヒトKDRモジュレーターを同定するためのアッセイ法は、ヒトKDRの細胞内ドメインと、推定KDRキナーゼアゴニストまたはアンタゴニストを含有する試験化合物またはサンプルとを含むであろう。該試験化合物またはサンプルは、例えば、精製KDR、KDRキナーゼまたはGST-KDRキナーゼ融合体、KDR産生細胞(天然体であるか組換え体であるかには無関係である)の細胞下(subcellular)画分、ヒトKDR(天然体であるか組換え体であるかには無関係である)を発現する全細胞、細胞内KDRタンパク質断片およびそれぞれの欠失断片、および/または細胞外細胞内KDRタンパク質断片およびそれぞれの欠失断片上で直接的に試験することができる。該試験化合物またはサンプルを、既知ヒトKDR基質の存在下または不存在下にKDRに加えることができる。該試験化合物またはサンプルの調節活性は、例えば、該試験化合物またはサンプルがKDR細胞内ドメインに結合し、該タンパク質を活性化し、該タンパク質を阻害し、ヒトKDRに対する他の化合物の結合を抑制または増強し、VEGF受容体調節を修飾し、またはキナーゼ活性を修飾する能力を分析することにより測定することができる。
したがって、本発明はまた、本発明の核酸を含む組換え宿主細胞(原核性または真核性の両方の、安定または一過性に形質転換された細胞)の細胞下(subcellular)膜画分に関する。これらの細胞下膜画分は、野生型レベルを実質的に上回るレベルでヒトKDRを含むことになり、したがって、本明細書全体に記載の種々のアッセイにおいて有用であろう。
ヒトKDRモジュレーターの同定は、種々の病態の治療に有用であろう。例えば、網膜またはその付近における血管増殖は、視力低下を招き、最終的には失明を引き起こす。糖尿病性網膜症における網膜またはその付近で生じる血管新生活性のほとんどは、VEGFによりもたらされる。眼VEGF mRNAおよびタンパク質は、血管新生を招く霊長類における網膜静脈閉塞、マウスにおけるpO2レベルの減少などの状態で上昇する。また、VEGFの発現は、壊死領域に隣接した動物およびヒトの腫瘍の低酸素領域において有意に増加する。VEGFは、そのパラクリン(傍分泌)血管内皮細胞の走化性活性および分裂誘発活性を介して血管新生を促進することによりインビボにおいて腫瘍増殖に寄与する。KDRの阻害は、病的なネオ血管新生(neoangiogenesis)に関与しており、KDRの阻害を介してVEGFの分裂誘発活性を阻害する化合物は、ネオ血管新生が全体的な病理の一部となる疾患、例えば、糖尿病性網膜血管新生、種々の形態の癌および炎症(高レベルの遺伝子およびタンパク質の発現を示すもの)の治療に有用であろう。そのような癌には、例えば、脳、乳房、尿生殖路、リンパ系、胃、腸(結腸を含む)、膵臓、前立腺、喉頭および肺の癌が含まれる。これらには、組織球性リンパ腫、肺の腺癌、神経膠芽細胞腫および小細胞肺癌が含まれる。炎症には、例えば、慢性関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎および過敏症反応が含まれる。
本発明は、DNAベクターの遺伝子導入と、それに続く、細胞外可溶性形態のヒトKDR[好ましくは、配列番号2に記載のヒトKDRのアミノ酸約1からアミノ酸約644まで(最初の6個のIG様細胞外ドメインを含む)およびアミノ酸約763まで(全7個のIG様細胞外ドメインを含む)を含むもの]のインビボ発現とに関する。そのような遺伝子治療ベクターは、この可溶性形態のヒトKDRを発現し、これは、障害の限局部位またはその周囲のVEGFまたはVEGFホモログに結合する。sKDR/VEGF複合体の形成は、血管内皮細胞膜に伸長するKDRおよびFLT-1チロシンキナーゼ受容体に対するVEGFの結合を阻害し、それにより、血管新生を刺激するシグナル伝達の開始を妨げることとなる。さらに、sKDRの発現は、膜結合VEGR受容体に対する結合により治療効果を付与しうる。VEGF受容体は、二量体VEGFリガンドに結合することにより二量体を形成し、これにより今度は、受容体の細胞内チロシンキナーゼドメインが互いにリン酸基転移して、それに続く下流シグナル伝達タンパク質の結合および活性化を促進するリン酸化チロシン残基の生成が可能になると考えられている。可溶性KDRは、完全長VEGF受容体とヘテロ二量体を形成することが可能であり、sKDRは細胞内チロシンキナーゼ領域を欠くため、これは、受容体型チロシンキナーゼドメインのリン酸基転移反応、シグナル伝達の開始、およびVEGF誘導性分裂誘発および血管新生をドミナントネガティブに妨げる。当業者であれば、患者へ投与するための、KDR細胞外ドメインの種々の領域を発現する種々の遺伝子治療用構築物を作製することが可能であろう。患者は任意の哺乳動物宿主であることが可能であるが、好ましい治療はヒトに対するものである。そのようないずれの構築物も、ヒト内皮細胞上のVEGF/KDR会合体に関連した分裂誘発活性を有効に阻害するKDR断片を発現することとなる。本発明においては、この領域が、配列番号2に記載のアミノ酸約1〜アミノ酸約644および/またはアミノ酸約1〜アミノ酸約763をコードする単離された核酸分子を含むことが好ましい。
本発明のもう1つの好ましい実施形態は、前段落に記載のとおり遺伝子治療用途にも有用である細胞外-膜貫通KDRタンパク質断片をコードする核酸分子である。そのようないずれのDNA分子も、配列番号2に記載のKDRのアミノ酸約1〜最初の約785〜795アミノ酸をコードするDNA配列を含むことが好ましく、特に好ましいのは、配列番号2の記載においてアミノ酸約791にトランケート化を有するKDRのアミノ末端部分をコードする単離された核酸分子構築物である。
本発明のヒトKDR遺伝子およびタンパク質に関する1つの好ましい遺伝子治療用途は、開示している遺伝子治療方法を用いることにより固形腫瘍の血管新生および転移の抑制を促進することに関する。本発明のヒトKDR遺伝子およびタンパク質に関するもう1つの好ましい遺伝子治療用途は、本明細書中のどこかに記載されているとおり、糖尿病性網膜症の抑制を促進することに関する。導入されたsKDR核酸は、遺伝子導入後に、関心のある領域内で発現され、それにより、発現されたsKDRはVEGFに結合して、KDRおよびFLT-1チロシンキナーゼ受容体に対するVEGFの結合を妨げ、血管内皮細胞により誘導される腫瘍血管新生および糖尿病性網膜症に関連した正常な細胞内シグナルの伝達に拮抗する。
また、本発明は、ヒトKDRタンパク質をコードするDNAまたはRNAの発現を調節する化合物に関するスクリーニング方法に関する。これらの活性を調節する化合物は、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質または非タンパク質性有機分子であることが可能である。化合物は、ヒトKDRをコードするDNAまたはRNAの発現またはヒトKDRの機能を増強または減弱させることにより調節しうる。ヒトKDRをコードするDNAまたはRNAの発現またはその生物学的機能を調節する化合物は、種々のアッセイにより検出することができる。該アッセイは、発現または機能の変化が存在するか否かを判定するための単純な「イエス/ノー(yes/no)」アッセイであることが可能である。該アッセイは、試験サンプルの発現または機能を標準サンプルにおける発現または機能のレベルと比較することにより定量的なものにすることが可能である。ヒトKDR、抗ヒトKDR抗体または修飾KDRを含有するキットを、そのような使用のために公知方法により調製することができる。
本発明のDNA分子、RNA分子、組換えタンパク質および抗体を使用して、ヒトKDRのレベルをスクリーニングし測定することができる。該組換えタンパク質、DNA分子、RNA分子および抗体は、ヒトKDRの検出およびタイピング(typing)に適したキットの製剤化に有用である。そのようなキットは、少なくとも1つの容器を密閉的(close confinement)に収容するのに適した区画化された担体を含むことになろう。該担体は更に、試薬(例えば、組換えKDR、またはヒトKDRの検出に適した抗KDR抗体)を含むことになろう。また、該担体は、標識抗原または酵素基質などの検出手段を含有することが可能である。
ヒトKDRのモジュレーターを含む医薬上有用な組成物は、医薬上許容される担体との混合などの公知方法に従い製剤化することができる。そのような担体および製剤化方法の具体例は、Remington′s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。有効な投与に適した医薬上許容される組成物を形成するためには、そのような組成物は、該タンパク質、DNA、RNA、修飾KDR、またはKDRアゴニストまたはアンタゴニスト(チロシンキナーゼアクチベーターまたはインヒビターを含む)の有効量を含有することになる。
本発明の治療用または診断用組成物は、障害を治療または診断するのに十分な量で個体に投与する。該有効量は、個体の状態、体重、性別、年齢などの種々の因子によって様々となることが可能である。他の因子には、投与様式が含まれる。
該医薬組成物は、皮下、局所、経口、筋肉内などの種々の経路により個体に投与することができる。
「化学誘導体」なる語は、通常は該基礎分子の一部ではない追加的な化学的部分を含有する分子を意味する。そのような部分は、該基礎分子の溶解性、半減期、吸収性などを改善することが可能である。あるいは、該部分は、該基礎分子の望ましくない副作用を減弱させたり、あるいは該基礎分子の毒性を減少させることが可能である。そのような部分の具体例は、Remington′s Pharmaceutical Sciencesなどの種々の刊行物に記載されている。
本明細書に開示する方法に従い同定された化合物は、適当な用量で単独で使用することが可能である。あるいは、他の物質の同時投与または連続投与が望ましいかもしれない。
また、本発明は、本発明の新規治療方法において使用するための適当な局所、経口、全身および非経口医薬製剤を提供するという目的を有する。本発明に従い同定された化合物を有効成分として含有する組成物は、通常の投与用ビヒクル中の多種多様な治療用剤形で投与することができる。例えば、該化合物は、錠剤、カプセル剤(それぞれは時限放出(timed release)および徐放製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤などの経口剤形として又は注射により投与することができる。同様に、それらを、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、局所(閉塞(occlusion)の存在下または不存在下)または筋肉内形態として投与することも可能であり、それらはすべて、薬学分野の当業者によく知られた形態を用いることが可能である。
本発明の化合物を単独1日量で投与したり、あるいは合計1日量を、2、3または4分割量で毎日投与するのが有利かもしれない。さらに、本発明のための化合物は、適当な鼻腔内ビヒクルの局所的使用により鼻腔内形態で、または当業者によく知られた経皮皮膚パッチの形態を使用して経皮経路により投与することができる。もちろん、経皮デリバリーシステムの形態で投与する場合には、該投与量の投与は、該投与計画の全体にわたり、断続的なものではなく連続的なものとなるであろう。
別々の投与製剤中の2以上の活性剤と組合せる治療では、該活性剤を同時に投与することが可能であり、あるいはそれらのそれぞれを、別々にずらした時点で投与することが可能である。
本発明の化合物を使用する投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療する状態の重症度;投与経路;患者の腎および肝機能;および使用するその個々の化合物を含む種々の因子に応じて選択される。通常の技量を有する医師または獣医であれば、該状態の進行の予防、阻止または停止に必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することが可能である。毒性を伴うことなく効力を与える範囲内の薬物濃度を最適に正確に得るためには、標的部位に対する薬物のアベイラビリティーの速度論に基づく計画が必要である。これは、薬物の分布、平衡および排泄に関する考慮を含む。
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
ヒトKDRをコードするcDNAの単離
材料
ヒト臍静脈内皮細胞λファージcDNAライブラリーはClonetech(Cat. #HL1070b)から購入した。DNA修飾・制限酵素はPromegaから購入した。プラスミドpGEM7ZはPromega(Cat. #P2251)から購入した。TaqポリメラーゼはPerkin Elmer Cetus(パーツ番号N801-0055)から購入した。BamHIリンカーはNew England Biolabs(Cat. #1071)から購入した。[α-32P]dATPはAmersham(Cat. #PB10204)から購入した。RediprimeもAmersham(Cat. #RPN1633)から購入した。バキュロウイルス発現ベクターpAcG2TはPharmingen(Cat. #21414P)から購入した。
使用したPCRプライマーは以下のとおりである。
Figure 0004405597
方法:遺伝子のクローニング
576塩基対のKDR特異的DNAプローブで、Clonetechからのヒト臍静脈内皮細胞λファージcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、該KDR cDNAを単離した。該プローブは、プライマーKDR-A/KDR-BおよびTaqポリメラーゼを使用するPCRにより調製し、ランダムプライミングにより1×107cpm/ngの比活性になるまで標識した。ファージを、約50,000プラーク/プレートで播き、ハイブリダイゼーションを標準的なプロトコールにより行なった。合計1×106個のファージをスクリーニングした。ユニークインサートを含有するλファージクローンを、3ラウンドの再プレーティングにより単離し、ついで特徴づけた。単離されたクローンのいずれにおいても呈示されない3′側の110塩基対を、プライマーKDR-CおよびKDR-Dを使用して前記と同じライブラリーからPCRによりクローニングした。重複クローンを使用して、制限酵素消化、個々の遺伝子断片の単離およびpGEM7Z中への連結(制限酵素およびリガーゼはPromegaから入手した)により完全長KDR遺伝子を作製した。該遺伝子は、5′末端にXhoI部位を含有していた。それを、まずXhoIで切断し、ついでDNAポリメラーゼで平滑末端を形成させ、オリゴヌクレオチドBamHIリンカーを連結させることにより、BamHI部位に変え、最終的にBamHI/BamHI断片としてpGEM7Z中に再クローニングした。該遺伝子を、ABI Prism自動シークエンサー(モデル番号377)上で配列決定した。ヒトKDRのcDNA配列を、図1Aおよび1Bに示す。ヒトKDRの推定アミノ酸配列を、図2に示す。
実施例2
GST/KDR-1の構築
チロシンキナーゼ活性を含有するKDRの細胞質ドメインを、別々に、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)遺伝子融合体としてバキュロウイルス発現ベクター中にクローニングして、チロシンキナーゼ活性を特徴づけた。このGST融合体を構築するために、残基Gly800(GGGからGGC)およびLeu802(TTGからCTG)をコードするコドンを変化させることにより、KpnIクローニング部位を導入し、Asp807(GATからGAC)をコードするコドンを変化させることにより、存在するBamHI部位を除去した。これらの変化は、無意味な変化であり、該受容体のアミノ酸配列を変化させない。新たなBamHI部位を導入して、Ala792にGSTおよびKDRのカルボキシル末端を有するインフレーム融合体を形成させた。GSTおよびKDRの、BamHIで消化された断片を連結して、インフレームGST/KDR融合体を得た。活性なGST-KDRチロシンキナーゼタンパク質が昆虫細胞内で産生される。
実施例3
KDRコアキナーゼドメインの構築
KDRのキナーゼドメインの5′末端の既存のBamHI部位を使用し、終結コドンおよびそれに続くSalI部位を該キナーゼドメインの3′末端に導入して(Tyr 1175 TACをTAAに変化させた)、該キナーゼドメインをクローニングした。PCR反応において、プライマーKDR-E(5′-GGATCCAGATGAACTCCCATTG-3′[配列番号7])およびKDR-F(5′-GTCGACTTAGTCTTTGCCATCCTGCTGAGC-3′[配列番号8])と共に、KDR DNAを鋳型として使用した。得られたKDRコアキナーゼBamHI/SalI断片を、pBlueBacHis2B中にクローニングした。これにより、該ベクターのメチオニン開始コドンおよびポリヒスチジン配列と該KDRキナーゼドメインとのインフレーム融合体が得られる。また、このベクター(pBBH-KDR-1)は、タンパク質分解によりHisタグポリペプチドを除去するためのエンテロキナーゼ認識部位を与える。該KDRコアキナーゼタンパク質を、昆虫細胞中で発現させ、ニッケルキレートカラム上で精製した。精製されたKDRコアキナーゼは、本明細書に記載のキナーゼアッセイにおいて活性であった。
実施例4
ヒトKDRの分子モデリング
VEGF受容体の細胞質ドメインを、公開されている結晶構造(Mohammadi, M., Schlessinger, J.およびHubbard, S.R., 1996, Cell 86:577)から採用したFGFR1の配列に対して、機械を用いずに整列(アライメント)させた。該配列は、このアライメントにおいて〜60%同一である。ついでKDRキナーゼの相同性モデルを、FGFR1/AMP-PCP結晶構造からの座標を模倣することによりQuanta(version 4.1p)において作製した。該キナーゼ挿入領域(KDR中の残基933〜1006)は、該モデルに含まれていなかった。なぜなら、この領域に特有のコンホメーションが該結晶構造中に存在しなかったからである。ついでQuanta内でCHARMMを使用して該タンパク質バックボーンを束縛し側鎖を自由に移動させて、該相同性モデルを最小化した。
公開されているGluから配列番号2におけるValへのアミノ酸残基848の変化が、ATP結合ポケットの一部を形成するグリシンリッチフラップにおいて見出される。その高度に保存されているValは、他のキナーゼにおけるATPとの疎水性接触をもたらすことが判明しており、KDRにおいてこれらの同じ接触をもたらすように位置するらしい。この位置の荷電したGluが、ATPとの適切な接触をもたらすとは考えられない。これは、図3Aおよび図3Bに、コンピューターモデリングにより示されている。図3Aは、結合AMP-PCPとのKDR V848E突然変異相同性モデルからのATP結合ドメインを示す。E848の側鎖は、AMP-PCPからのアデニンと接触している。AMP-PCPからのγリン酸は認められない。そのタンパク質の炭素αのトレースはパイプ状に、該AMP-PCPは棒状に、E848側鎖は空間補充的(space filling)に示されている。該N末端ローブは、青で着色されている(あるいは白丸で表示されている)。ただし、グリシンリッチフラップは、緑で着色されている(あるいは線領域として表示されている)。該C末端ローブは、赤で着色されている(あるいは黒丸で表示されている)。図3Bは、結合AMP-PCPとのKDR相同性モデルからのATP結合ドメインを示す。V848の側鎖は、AMP-PCPからのアデニンとの疎水性接触を形成する。AMP-PCPのγリン酸は認められない。そのタンパク質の炭素αのトレースはパイプ状に、該AMP-PCPは棒状に、V848側鎖は空間補充的(space filling)に示されている。該N末端ローブは、青で着色されている(あるいは白丸で表示されている)。ただし、グリシンリッチフラップは、緑で着色されている(あるいは線領域として表示されている)。該C末端ローブは、赤で着色されている(あるいは黒丸で表示されている)。
実施例5
KDRcyt突然変異体のチロシンリン酸化
精製されたKDRcytE848およびKDRcytV848を、それぞれ12ngまたは120ngの濃度、あるいは1mM ATPの不存在下、37℃で10分間インキュベートした。該反応を、等容量の2×SDS-PAGEサンプルバッファーを加えることにより停止させ、5分間煮沸した。反応産物を、7.5%/SDS-PAGEにより分離し、抗ホスホチロシン抗体PY20(Transduction Laboratories、図4A)または抗KDR抗体(Santa Cruz Biotechnology、図4B)でプローブするウエスタンブロットにより分析し、ECL検出キットを使用して可視化し、デンシトメーター(Molecular Dynamics)でのスキャンにより定量した。図4Aは、精製されたGST-KDRcytE848が1mM ATPの存在下で自己リン酸化する能力を有さないが1mM ATPの存在下の12ngのGST-KDRcytV848は自己リン酸化を引き起こしたことを示している。図4Bは、120ngのGST-KDRcytE848および12ngのGST-KDRcytV848に関する抗KDR抗体に対するシグナルを示す。
配列表
(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:4071塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号1:
Figure 0004405597
Figure 0004405597
Figure 0004405597
(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1356アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号2:
Figure 0004405597
Figure 0004405597
Figure 0004405597
Figure 0004405597
Figure 0004405597
(2)配列番号3の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:28塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:他の核酸
(A)説明:/desc=「オリゴヌクレオチド」
(xi)配列:配列番号3:
Figure 0004405597
(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:28塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:他の核酸
(A)説明:/desc=「オリゴヌクレオチド」
(xi)配列:配列番号4:
Figure 0004405597
(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:18塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:他の核酸
(A)説明:/desc=「オリゴヌクレオチド」
(xi)配列:配列番号5:
Figure 0004405597
(2)配列番号6の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:28塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:他の核酸
(A)説明:/desc=「オリゴヌクレオチド」
(xi)配列:配列番号6:
Figure 0004405597
(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:他の核酸
(A)説明:/desc=「オリゴヌクレオチド」
(xi)配列:配列番号7:
Figure 0004405597
(2)配列番号8の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:30塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:他の核酸
(A)説明:/desc=「オリゴヌクレオチド」
(xi)配列:配列番号8:
Figure 0004405597

Claims (36)

  1. ヌクレオチド配列
    Figure 0004405597
    Figure 0004405597
    (配列番号1)において1個から数個のヌクレオチドの置換、欠失若しくは付加を含んでもよい、ヒトKDRタンパク質をコードする精製された核酸分子であって、該核酸分子が、ヒトKDRタンパク質またはその生物学的に活性な形態をコードしており、該タンパク質中には、848位にValが存在し、さらに498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLysおよび1347位のSerよりなる群から選ばれるアミノ酸残基が存在してもよい核酸分子。
  2. ヒトKDRをコードする精製されたDNA分子であって、該DNA分子が、アミノ酸配列
    Figure 0004405597
    (配列番号2においては3文字の略語で記載されている)において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいタンパク質をコードしており、該タンパク質は、848位にValを含有し、さらに498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLysおよび1347位のSerよりなる群から選ばれるアミノ酸残基を含有してもよいことを特徴とするDNA分子。
  3. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項1に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  4. 真核発現ベクターである、請求項3に記載の発現ベクター。
  5. 原核発現ベクターである、請求項3に記載の発現ベクター。
  6. 組換えヒトKDRタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項3に記載の発現ベクターを含有することを特徴とする宿主細胞。
  7. 組換えヒトKDRタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項4に記載の発現ベクターを含有することを特徴とする宿主細胞。
  8. 組換えヒトKDRタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項5に記載の発現ベクターを含有することを特徴とする宿主細胞。
  9. 該ヒトKDRタンパク質が該発現ベクターから過剰発現される、請求項6に記載の宿主細胞。
  10. 該ヒトKDRタンパク質が該発現ベクターから過剰発現される、請求項7に記載の宿主細胞。
  11. 該ヒトKDRタンパク質が該発現ベクターから過剰発現される、請求項8に記載の宿主細胞。
  12. 組換えヒトKDRタンパク質を含有することを特徴とする、請求項9に記載の宿主細胞から得た細胞下(subcellular)膜画分。
  13. 組換えヒトKDRタンパク質を含有することを特徴とする、請求項10に記載の宿主細胞から得た細胞下(subcellular)膜画分。
  14. 組換えヒトKDRタンパク質を含有することを特徴とする、請求項11に記載の宿主細胞から得た細胞下(subcellular)膜画分。
  15. ヌクレオチド配列
    Figure 0004405597
    Figure 0004405597
    Figure 0004405597
    (配列番号1として開示されている)よりなる精製されたDNA分子。
  16. アミノ酸配列
    Figure 0004405597
    (配列番号2においては3文字の略語で記載されている)において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよい精製されたヒトKDRタンパク質であって、848位はValであり、さらに498位のGlu、772位のAla、787位のArg、835位のLysおよび1347位のSerよりなる群から選ばれるアミノ酸残基を含有してもよいヒトKDRタンパク質。
  17. 配列番号2に記載されている、請求項16に記載の精製されたヒトKDRタンパク質。
  18. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための方法であって、
    (a)請求項3に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクション形質導入し、
    (b)該発現ベクターからのヒトKDRタンパク質の発現を許容する条件下で工程(a)の宿主細胞を培養することを含んでなる方法。
  19. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項15に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  20. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(848位はバリン残基である)を含むヒトKDRタンパク質の細胞内部分をコードする精製された核酸分子。
  21. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(772位はアラニン残基であり、787位はアルギニン残基であり、835位はリシン残基であり、848位はバリン残基であり、1347位はセリン残基である)を含むヒトKDRタンパク質の細胞内部分をコードする、請求項20に記載の精製された核酸分子。
  22. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項20に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  23. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項21に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  24. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(848位はバリン残基である)を含むヒトKDRタンパク質の細胞内部分である精製されたタンパク質断片。
  25. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(772位はアラニン残基であり、787位はアルギニン残基であり、835位はリシン残基であり、848位はバリン残基であり、1347位はセリン残基である)を含む、請求項24に記載の精製されたタンパク質断片。
  26. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、ヒトKDRのアミノ酸790からアミノ酸1356(848位はバリン残基である)を含む可溶性KDR融合タンパク質をコードする精製された核酸分子。
  27. 該KDR融合タンパク質が、配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(772位はアラニン残基であり、787位はアルギニン残基であり、835位はリシン残基であり、848位はバリン残基であり、1347位はセリン残基である)を含む、請求項26に記載の精製された核酸分子。
  28. GST-KDRをコードする、請求項27に記載の精製された核酸分子。
  29. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項26に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  30. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項27に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  31. 組換え宿主細胞におけるヒトKDRタンパク質の発現のための発現ベクターであって、請求項28に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  32. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(848位はバリン残基である)を含む、ヒトKDRタンパク質の細胞内部分により特徴づけられる精製されたKDR融合タンパク質。
  33. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1356(772位はアラニン残基であり、787位はアルギニン残基であり、835位はリシン残基であり、848位はバリン残基であり、1347位はセリン残基である)を含む、請求項32に記載の精製されたKDR融合タンパク質。
  34. GST-KDRである、請求項33に記載の精製されたKDR融合タンパク質。
  35. 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含んでもよいアミノ酸配列のうち、アミノ酸790からアミノ酸1175を含み、かつ848位がバリン残基であるヒトKDRタンパク質の細胞内部分をコードする単離された核酸分子。
  36. DNAベクターpBlueBacHis2B内に含有されている、請求項35に記載の単離された核酸。
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