以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明は、例えば図1に示すように構成されたシフト切換装置に適用される。
[シフト切換装置の構成]
このシフト切換装置は、所謂パートタイム4輪駆動車に搭載され、必要に応じて2輪駆動と4輪駆動との間で駆動状態(シフト)を切り換える動作をする。更に詳しくは、このシフト切換装置は、2輪駆動と4輪駆動の切換軸と4輪速度切換軸をアクチュエータにより選択的に駆動して、例えば後輪のみに走行トルクを伝達する2輪高速駆動状態(2H)、ハイギアを介して前輪及び後輪に走行トルクを伝達する4輪高速駆動状態(4H)、何れの車輪にも走行トルクを伝達しない4輪中立駆動状態(N)、ローギアを介して前輪及び後輪に走行トルクを伝達する4輪低速駆動状態(4L)の4つの駆動状態のうち、何れかの駆動状態に切り換えを行う。
このシフト切換装置は、図1に示すように、エンジンにより発生させた走行トルクを変速機を介して伝達されるトランスファ1、当該トランスファ1を駆動するアクチュエータ2、トランスファ1により切り換えたシフト位置を検出するシフト位置検出部3、アクチュエータ2の動作を制御するアクチュエータ制御用ECU(Electric Control Unit)4、アクチュエータ2を駆動させる電力を発生するバッテリ5、シフト切換に際してユーザに操作される操作スイッチ6を備える。
トランスファ1は、後輪出力軸及び後輪用差動機を介して後輪と接続され、前輪出力軸及び前輪用差動機を介して前輪と接続されている。このトランスファ1内には、図示しないが、被駆動軸として、2輪駆動状態と4輪駆動状態との切換軸及び4輪速度切換軸が備えられ、当該切換軸を軸方向に所定ストロークだけ移動させることにより、上記の4つの駆動状態間を遷移させる。このように、切換軸を軸方向に移動させるためのトルクは、アクチュエータ2により発生される。
このアクチュエータ2は、図2、図3及び図4に示すように構成されている。すなわちアクチュエータ2は、図2に示すように、通電により正回転又は逆回転するモータ11のアーマチュア軸12のウオーム13の回転により駆動ギア14が回転する。そして、このアクチュエータは、駆動ギア14が回転することにより、中央部に挿入された出力軸15を回転させ、当該出力軸15の回転トルクによって2輪駆動と4輪駆動の切換軸と4輪速度切換軸を軸方向に移動させる。
このようなアクチュエータ2では、その分解構成図を図3に示すように、駆動ギア14のギア本体14aの上面の同一円周上には、3つの凹状のスプリング収納部16を円弧状に且つ等間隔ごとにそれぞれ形成してある。この各スプリング収納部16には、コイルスプリングとしての円筒状の圧縮コイルスプリング17をそれぞれ収納してある。また、一方のスプリング収納部16の円周方向の両端面から他方のスプリング収納部16の円周方向の両端面間のそれぞれギア本体14aの上面から所定の深さに至るまでスリット18が形成してある。この各スリット18は、回転保持板19に設けた各スプリング押圧部19bとの干渉を防止する。
図4に示すように、回転保持板19の中央には、平面略小判状の出力軸15の取付孔19aを形成してあると共に、該回転保持板19の外周縁の下面には等間隔ごとに下方に向けてスプリング押圧部19bがそれぞれ一体突出形成してある。この各スプリング押圧部19bは、駆動ギア14の各スリット18内に位置している。
このアクチュエータ2の出力軸15及び回転保持板19は、通常、図3に示すように、モータ11のアーマチュア軸12のウオーム13の回転により駆動ギア14が回転する方向と同一方向に共に回転するようになっている。しかし、モータ11が通電され、出力軸15が回転している途中で拘束されて停止した場合には、モータ11の回転により駆動ギア14は回転を続行しようとする。このため、圧縮コイルスプリング17は、当該圧縮コイルスプリング17の一方の端部のスプリング押圧部19bにより回転が阻止されるが、当該圧縮コイルスプリング17の端部の他方がスプリング押圧部19bで押圧され、圧縮コイルスプリング17が圧縮状態となる。このように圧縮コイルスプリング17が圧縮状態となると、駆動ギア14は、拘束されて停止する。
このようなアクチュエータ2では、回転保持板19、駆動ギア14及び圧縮コイルスプリング17からなる機構を使用し、当該圧縮コイルスプリング17を圧縮状態に保持することにより、2輪駆動状態、4輪高速駆動状態、4輪中立状態、4輪低速駆動状態の切り換え動作がなされるまでの拘束状態の待ち機構として機能させる。
また、このアクチュエータ2は、回転保持板19の下方に、出力軸15を中心とした円盤状の回転位置センサ21が設けられている。この回転位置センサ21は、図5に示すように、その中心位置に出力軸15が挿入されて、当該出力軸15の動作に応じて回転する。この回転位置センサ21は、基板上に、円環状のアースパターン22と、各駆動状態に対応した電極23とが形成されている。この電極23は、2輪高速駆動状態に対応した電極23A(2H)、4輪高速駆動状態に対応した電極23B(4H)、4輪中立駆動状態に対応した電極23C(N)、4輪低速駆動状態に対応した電極23D(4L)が反時計回りの順に形成されている。また、この回転位置センサ21は、電極23として、電極23A(2H)と電極23B(4H)との間の2H−4H間電極24、電極23B(4H)と電極23C(N)との間の4H−N間電極25、電極23C(N)と電極23D(4L)との間のN−4L間電極26を備える。
この回転位置センサ21では、各駆動状態の使用頻度が高いほど各電極23の面積が大きくなるように設計されている。すなわち、この回転位置センサ21では、電極23A(2H)、電極23B(4H)の面積が大きく、当該電極23B(4H)よりも電極23D(4L)の面積が小さく、電極23C(N)の面積が最も小さくなっている。
このような回転位置センサ21では、電源と電極23D(4L)との間に抵抗R1が接続され、電極23D(4L)とN−4L間電極26との間に抵抗R2が接続され、N−4L間電極26と電極23C(N)との間に抵抗R3が接続され、電極23C(N)と4H−N間電極25との間に抵抗R4が接続され、4H−N間電極25と電極23B(4H)との間に抵抗R5が接続され、電極23B(4H)と2H−4H間電極24との間に抵抗R6が接続され、2H−4H間電極24と電極23A(2H)との間に抵抗R7が接続されている。ここで、各抵抗R1〜R7は、図6に示すようにそれぞれの抵抗値及び当該抵抗値の許容値が設定されて構成されている。
このような回転位置センサ21では、アクチュエータ2の回転保持板19及び出力軸15が回転することにより、アースパターン22と電極23〜電極26の何れかとが、一対の摺動接点(図示せず)により電気接続され、各抵抗値に応じた電圧値が位置センサ信号としてアクチュエータ制御用ECU4により読み込まれる。これにより、回転位置センサ21では、アクチュエータ2の回転状態をアクチュエータ制御用ECU4に認識させる。
すなわち、この回転位置センサ21では、図7に示すように、アクチュエータ2の回転位置が電極23A(2H)である場合にはアクチュエータ制御用ECU4により検出される電圧値が約3.88Vとなり、2H−4H間電極24、電極23B(4H)、4H−N間電極25、電極23C(N)、N−4L間電極26、電極23D(4L)となるに従って、アクチュエータ制御用ECU4により検出される電圧値(位置センサ信号)が段階的に小さくなる。
シフト位置検出部3は、トランスファ1の動作状態を検出して、アクチュエータ制御用ECU4に第1トランスファスイッチ信号、第2トランスファスイッチ信号及び第3トランスファスイッチ信号を出力する。このシフト位置検出部3は、トランスファ1の動作状態に応じて図8に示すようなマップデータを参照して、各トランスファスイッチ信号を生成する。
すなわち、このシフト位置検出部3は、トランスファ1が2輪高速駆動状態である場合には、第1トランスファスイッチ信号及び第2トランスファスイッチ信号を「OFF」、第3トランスファスイッチ信号を「ON」としてアクチュエータ制御用ECU4に送る。また、シフト位置検出部3は、トランスファ1が4輪高速駆動状態である場合には、第1トランスファスイッチ信号を「ON」、第2トランスファスイッチ信号及び第3トランスファスイッチ信号を「OFF」としてアクチュエータ制御用ECU4に送る。更に、シフト位置検出部3は、トランスファ1が4輪中立駆動状態である場合には、第1トランスファスイッチ信号及び第3トランスファスイッチ信号を「OFF」、第2トランスファスイッチ信号を「ON」としてアクチュエータ制御用ECU4に送る。更にまた、シフト位置検出部3は、トランスファ1が4輪低速駆動状態である場合には、第1トランスファスイッチ信号及び第2トランスファスイッチ信号を「ON」、第3トランスファスイッチ信号を「OFF」としてアクチュエータ制御用ECU4に送る。
操作スイッチ6は、車両の運転者から操作可能な位置に設けられ、トランスファ1の状態を2輪高速駆動状態と4輪高速駆動状態との間で切り換える2H/4H切換スイッチ6A、トランスファ1を4輪中立駆動状態とするN切換スイッチ6B、トランスファ1を4輪低速駆動状態とする4L切換スイッチ6Cを備える。このような操作スイッチ6の操作は、アクチュエータ制御用ECU4により読み込まれ、当該アクチュエータ制御用ECU4のモータ11に対する制御の開始を促す。
アクチュエータ制御用ECU4は、バッテリ5からの電力供給をうけ、当該電力をアクチュエータ2のモータ11に供給することによりモータ11を駆動制御する。すなわち、このアクチュエータ制御用ECU4は、バッテリ5の正端子と接続された電圧検出回路31、定電圧回路32、バッテリ5の負端子に接続された操作スイッチ6及び回転位置センサ21及びシフト位置検出部3と接続されたCPU(Central Processing Unit)33、バッテリ5及びモータ11と接続された第1リレー回路34及び第2リレー回路35、当該第1リレー回路34及び第2リレー回路35と接続された電流検出回路36を備える。なお、このアクチュエータ制御用ECU4では、後述のアクチュエータ駆動制御処理を行うためのプログラムデータが図示しないROM(Read Only Memory)等に記憶され、当該ROMに記憶されたプログラムデータをCPU33により読み込んで、実行する。
定電圧回路32は、CPU33と接続され、バッテリ5により印加されている電圧を変換することにより、CPU33の動作電圧にしてCPU33に印加する。これにより、定電圧回路32は、例えばバッテリ5の12V電源を、CPU33が動作する5V電源に変換して、CPU33を動作状態とする。
電圧検出回路31は、バッテリ5から第1リレー回路34及び第2リレー回路35を介してモータ11に供給する電圧値を検出する。この電圧検出回路31により検出される電圧値は、バッテリ5の供給電圧の変化を示し、CPU33により、後述するアクチュエータ駆動制御処理に使用される。
第1リレー回路34及び第2リレー回路35は、コイル及びスイッチ機構を備え、バッテリ5からモータ11への電流供給方向を切り換える。第1リレー回路34及び第2リレー回路35は、コイルの一方端がバッテリ5に接続され、コイルの他方端がトランジスタ37,38を介してCPU33に接続されている。
第1リレー回路34及び第2リレー回路35は、トランジスタ37,38がON状態とされることによりコイルを介してスイッチ機構がON状態、すなわちバッテリ5からの電圧をモータ11に印加する状態となり、トランジスタ37,38がOFF状態とされることによりコイルを介してスイッチ機構がOFF状態、すなわちバッテリ5からの電圧をモータ11に対して遮断する状態となる。
これにより、第1リレー回路34がON状態となり第2リレー回路35がOFF状態である場合にはモータ11に正方向の駆動トルクを発生させ、第1リレー回路34がOFF状態となり第2リレー回路35がON状態である場合にはモータ11に逆方向の駆動トルクを発生させる。このような第1リレー回路34及び第2リレー回路35は、モータ11の駆動トルクにより、アクチュエータ2の回転保持板19及び出力軸15を正方向又は逆方向に回転させる。
また、第1リレー回路34及び第2リレー回路35のバッテリ5に接続されていない端子には、電力用MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)39が接続されている。この電力用MOSFET39は、CPU33からのPWM(Pulse Width Modulation)信号によりオンオフ動作をする。これにより、電力用MOSFET39は、第1リレー回路34、第2リレー回路35及びモータ11と、アース端子との接続、非接続を切り換えて、モータ11にPWM信号に従ったパルス電圧を印加する。
電流検出回路36は、センサ41及び差動増幅器42からなり、モータ11に供給されている電流値を検出して、CPU33に送る。この電流検出回路36により検出された電流値は、CPU33から電力用MOSFET39に送るPWM信号を制御するアクチュエータ駆動制御処理にて使用される。
CPU33は、モータ11の駆動方向及び駆動力を制御することによりトランスファ1の駆動状態を切り換えて、車両の駆動状態を2輪高速駆動状態、4輪高速駆動状態、4輪中立駆動状態、4輪低速駆動状態の間で切り換えるアクチュエータ駆動制御処理を行う。以下、CPU33によって行われる第1アクチュエータ駆動制御処理〜第6アクチュエータ駆動制御処理についてそれぞれ説明する。
[第1アクチュエータ駆動制御処理]
第1アクチュエータ駆動制御処理は、トランスファ1を目標とする駆動状態とするに際して、各駆動状態の中間位置に設けられた回転位置センサ21の電極24,25,26を検出した場合に、モータ11をPWM制御して、モータ11の回転速度を低下させることを特徴とするものである。
具体的には、この第1アクチュエータ駆動制御処理では、電極面積が小さくなっている4輪中立駆動状態を検出する電極23C(N)とする場合において、当該電極23C(N)となる前にてモータ11の駆動力を低減させることにより、モータ11から回転保持板19及び出力軸15に与える駆動トルクを小さくして、回転速度を減速させる処理である。
CPU33は、駆動状態を2輪高速駆動状態から4輪低速駆動状態にまで遷移させるに際して、4輪高速駆動状態から4輪中立駆動状態となる間の4H−N間電極25を、モータ11の回転速度を低下させるPWM制御開始領域とする。
すなわち、CPU33は、図9に示すように、時刻t1において、第2リレー回路35をOFF状態に保持すると共に(図9(c−2))、第1リレー回路34をON状態とする(図9(c−1))。これにより、CPU33では、モータ11に正方向の電流を供給して正方向に駆動させるようにする。また、この時刻t1において、CPU33は、電力用MOSFET39をON状態にすることにより、モータ11に正方向に通電させて、回転保持板19及び出力軸15を正方向に回転させる。
これにより、回転位置センサ21では、時刻t2に位置検出の為の摺動接点(図示せず)が、2H−4H間電極24(時刻t2〜時刻t3)に移動し、さらに電極23B(4H)(時刻t3〜時刻t4)、4H−N間電極25(時刻t4以降)に移行される。そして、CPU33では、電極23C(N)に確実に出力軸15の回転位置を停止させるために、時刻t4〜時刻t5の4H−N間電極25において電力用MOSFET39にデューティ比を低下させたPWM信号(モータ駆動信号)を送り(図9(b))、モータ11の回転速度を低下させる。そして、CPU33では、以降のN−4L間電極26、電極23D(4L)では以前と同じPWM制御をせずに、モータ11を駆動させることになる。
これにより、CPU33では、例えば2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態から4輪中立駆動状態とする場合に、モータ11の回転速度を低下させて、4輪中立駆動状態に確実にモータ11の回転位置を停止させるようにする。
したがって、この第1アクチュエータ駆動制御処理を行うCPU33によれば、目標とする位置にてモータ11を停止させる場合に、モータ11の慣性力によって目標とする位置から行き過ぎてモータ11が回転することなく、確実に目標位置にモータ11を停止させることができ、モータ11の停止位置を高精度に制御することができる。
また、このCPU33によれば、各駆動状態の使用頻度に応じて例えば電極23C(N)のように電極面積を小さくしていても、確実にモータ11の回転位置を電極位置に停止させることができ、回転位置センサ21を小型化することができる。
[第2アクチュエータ駆動制御処理]
つぎに、第2アクチュエータ駆動制御処理について説明する。この第2アクチュエータ駆動制御処理では、回転位置センサ21から送られるトランスファ1の駆動状態を示す位置センサ信号と、シフト位置検出部3により検出される実際のトランスファ1の駆動状態を示すトランスファスイッチ信号とを比較して、トランスファ1の駆動状態を示す電極位置にてアクチュエータ2の動作を停止させるようにモータ11の動作を制御することを特徴とするものである。
すなわち、この第2アクチュエータ駆動制御処理では、図10に示すように、2輪高速駆動状態から4輪低速駆動状態に遷移させるに際して、4L切換スイッチ6CがON状態に操作されると(図10(b))、第1リレー回路34をON状態にすると共に、電力用MOSFET39をON状態にして、モータ11を正方向に回転開始させる(図10(c))。このとき、シフト位置検出部3では、第1トランスファスイッチ信号及び第2トランスファスイッチ信号がOFF状態、第3トランスファスイッチ信号がON状態であることを検出しており、CPU33では、当該第1トランスファスイッチ信号〜第3トランスファスイッチ信号によりトランスファ1が2輪高速駆動状態であることを検出している(図10(e))。
そして、時刻t11において出力軸15が電極23A(2H)から電極23B(4H)まで回転すると(図10(a))、当該時刻t11〜時刻t12までの間、モータ駆動信号の供給を停止して電力用MOSFET39をOFF状態とすると共に(図10(d))、トランジスタ37をOFF状態にすることにより第1リレー回路34をOFF状態とする(図10(c−1))。これにより、CPU33は、出力軸15を電極23B(4H)に相当する回転位置にて停止させる。
また、CPU33は、時刻t11〜時刻t12において、回転位置センサ21からの位置センサ信号と、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号とを比較して、センサ信号に基づいて出力軸15の回転が電極23B(4H)で停止しており、トランスファスイッチ信号に基づいてトランスファ1が4輪高速駆動状態となっていることを認識した後に、時刻t12において再度モータ11の駆動を開始する。
次に時刻t13において、出力軸15が電極23C(N)まで回転すると、当該時刻t13〜時刻t14までの間、モータ駆動信号の供給を停止して電力用MOSFET39をOFF状態とすると共に(図10(d))、トランジスタ37をOFF状態にすることにより第1リレー回路34をOFF状態とする(図10(c−1))。これにより、CPU33は、出力軸15を電極23B(4H)に相当する回転位置にて停止させる。そして、CPU33では、センサ信号に基づいて出力軸15の回転が電極23C(N)で停止しており、トランスファスイッチ信号に基づいてトランスファ1が4輪中立駆動状態となっていることを認識した後に、時刻t14において再度モータ11の駆動を開始して、出力軸15を電極23D(4L)まで回転させる。
これにより、CPU33では、アクチュエータ2の圧縮コイルスプリング17等からなる待ち機構の動作により、回転位置センサ21からのセンサ信号が示す駆動状態と、実際のトランスファ1の駆動状態との間に位相差が発生した場合であっても、各駆動状態となったときに位置センサ信号とトランスファスイッチ信号とを比較して、回転位置センサ21のセンサ位置が確実に各駆動状態に位置していることを検出することができる。
[第3アクチュエータ駆動制御処理]
つぎに、第3アクチュエータ駆動制御処理について説明する。この第3アクチュエータ駆動制御処理では、各駆動状態に相当する電極23の面積が小さいほど、各駆動状態に相当する電極間の電極におけるPWM制御のデューティ比を低く変化させることを特徴とするものである。
すなわち、この第3アクチュエータ駆動制御処理では、図11に示すように、アクチュエータ2を正方向に回転させて2輪高速駆動状態から4輪低速駆動状態に遷移させる場合について説明する(図11(a)、(c))。
このとき、CPU33では、2輪高速駆動状態から4輪高速駆動状態に変化させるときの2H−4H間電極24におけるデューティ比Aを高くし、4輪高速駆動状態から4輪中立駆動状態に変化させるときの4H−N間電極25におけるデューティ比Bを低くし、4輪中立駆動状態から4輪低速駆動状態に変化させるときのN−4L間電極26におけるデューティ比Cを高くする(図11(b))。
特に、この第3アクチュエータ駆動制御処理では、回転位置センサ21において各駆動状態に相当する電極面積を使用頻度に応じて変化させており、電極23C(N)の電極面積が他の電極面積と比較して小さくしているので、モータ11を正回転させた場合の4H−N間電極25でのデューティ比及びモータ11を逆回転させた場合のN−4L間電極26でのデューティ比を低くする。これにより、CPU33では、直流電圧又はデューティ比が高い電圧をモータ11に印加させている場合のモータ11の回転速度と比較して、4H−N間電極25及びN−4L間電極26でのモータ11の回転速度を低くする。
したがって、この第3アクチュエータ駆動制御処理によれば、各駆動状態に相当する電極面積を変化させた場合であっても、各電極面積によって各駆動状態とする前のデューティ比を変更することができ、モータ11のオーバランを確実に防止して、モータ11の回転位置を確実に各駆動状態に相当する電極位置内に停止させることができる。
[第4アクチュエータ駆動制御処理]
つぎに、第4アクチュエータ駆動制御処理について説明する。この第4アクチュエータ駆動制御処理では、電流検出回路36により検出されるモータ11に供給している電流(モータ電流)の変化に基づいて、モータ11をPWM制御するタイミングを制御することを特徴とするものである。
すなわち、この第4アクチュエータ駆動制御処理では、4輪低速駆動状態から4輪中立駆動状態に駆動状態を遷移させるに際して、図12(b)に示すように電力用MOSFET39にモータ駆動信号を供給してON状態にした場合に、モータ11にモータ電流を供給開始したときの突入電力によって、当該モータ電流が大きくなる(図12(a))。そして、モータ11に電流を供給開始し、第1リレー回路34をON状態(図12(d−1))、第2リレー回路35をオフ状態にしたことにより(図12(d−2))、モータ11の回転を開始させる(図12(c))。
ここで、モータ11がモータ電流を消費して回転開始すると、モータ電流が低下開始する。このとき、CPU33では、電流検出回路36により検出されている電流値に基づいて、モータ電流の最高値を記憶しておき、当該モータ電流の最高値からの低下幅Δiを検出する。そして、時刻t21において、当該モータ電流の低下幅Δiが予め設定しておいた所定電流低下幅irefとなった場合に、電力用MOSFET39にPWM信号を供給して、モータ11をPWM制御する(図12(b))。
これにより、バッテリ5からモータ11に供給される電流値は、急速に低下することになり(図12(a))、CPU33では、4H−N間電極25におけるモータ11の回転速度を低下させて、時刻t22において出力軸15を電極23C(N)にて停止させる(図12(b)、(d))。
このような第4アクチュエータ駆動制御処理を行うCPU33によれば、モータ11に供給している電流値が低下した後にPWM制御を開始するので、モータ11をデューティ制御した場合であってもモータ11を速やかに起動して、かつモータ11の回転を速やかに停止させることができる。
[第5アクチュエータ駆動制御処理]
つぎに、第5アクチュエータ駆動制御処理について説明する。この第5アクチュエータ駆動制御処理は、PWM制御を開始した後の所定時間経過後に、デューティ比を変化させて、モータ11の回転速度を制御することを特徴とするものである。
すなわち、この第5アクチュエータ駆動制御処理では、図13に示すように、駆動状態を4輪高速駆動状態から4輪中立駆動状態に遷移させる場合に、図13(b)に示すように電力用MOSFET39にモータ駆動信号を供給してオン状態にし、第1リレー回路34をON状態(図13(c−1))、第2リレー回路35をオフ状態にしたことにより(図13(c−2))、モータ11の回転を開始させる。
そして、CPU33では、出力軸15が電極23B(4H)から4H−N間電極25まで回転した所定時間経過前の時刻t31以前では、デューティ比D1にてモータ11をPWM制御し、出力軸15が電極23B(4H)から4H−N間電極25まで回転した所定時間経過御の時刻t31以後では、デューティ比D1よりも高いデューティ比D2にてモータ11をPWM制御する(図13(a)、(b))。このとき、CPU33では、図示しない内部タイマにより所定時間の経過を検出することになる。
このような第5アクチュエータ駆動制御処理を行うCPU33によれば、PWM制御を開始した後に所定期間が経過した時にデューティ比を高くするので、デューティ比D1で制御を続けた場合に比べ、制御に要する時間が短くなる。
なお、この第5アクチュエータ駆動制御処理は、上述の第1アクチュエータ駆動制御処理や第3アクチュエータ駆動制御処理及び第4アクチュエータ駆動制御処理のそれぞれと併用して行うこともできる。
[第6アクチュエータ駆動制御処理]
つぎに、第6アクチュエータ駆動制御処理について説明する。この第6アクチュエータ駆動制御処理は、バッテリ5からモータ11に供給される電圧値に応じて、電力用MOSFET39に供給するモータ駆動信号のデューティ比を変化させて、モータ11のPWM制御を行うことを特徴とするものである。
すなわち、この第6アクチュエータ駆動制御処理において、CPU33では、電圧検出回路31により検出されている電圧値に基づいて、図14に示すマップデータを参照することにより、電力用MOSFET39に供給するモータ駆動信号のデューティ比を決定する。ここで、図14に示すマップデータは、バッテリ5の電圧値が高いほど、デューティ比を低くするデータが、予め実験等により設定されている。
したがって、CPU33では、バッテリ5によりモータ11に印加される電圧値が高いほどデューティ比を低くして、バッテリ5の電圧値が不安定となり変化する場合であっても、常に一定の駆動電力をモータ11に印加する。
これにより、第6アクチュエータ駆動制御処理を行うCPU33によれば、出力軸15の回転を制御して各駆動状態を遷移させる場合に、バッテリ5の電圧値の変化に応じたデューティ比でモータ11をPWM制御することができ、バッテリ5の電圧値が変動する場合であってもモータ11の惰走量を一定にして、アクチュエータ2の動作を更に正確なものとすることができる。
なお、この第5アクチュエータ駆動制御処理は、上述の第1アクチュエータ駆動制御処理や第3アクチュエータ駆動制御処理及び第4アクチュエータ駆動制御処理のそれぞれと併用して行うこともできる。
[アクチュエータ駆動制御処理(全体)]
つぎに、上述した第1アクチュエータ駆動制御処理〜第6アクチュエータ駆動制御処理を行うCPU33において、モータ11を制御する全体の処理手順について図15〜図17のフローチャート、図18及び図19のタイミングチャートを参照して説明する。
このアクチュエータ駆動制御処理では、例えば車両が起動している時において所定期間ごとにステップS1以降の処理を行う。すなわち、このアクチュエータ駆動制御処理では、CPU33により、先ず、ステップS1において、入力処理として、電圧検出回路31により検出されているバッテリ5の電源電圧値を入力する処理(ステップS11)、操作スイッチ6から2H/4H切換スイッチ6A、N切換スイッチ6B又は4L切換スイッチ6Cからの信号を入力する監視処理(ステップS12)、回転位置センサ21から現在の出力軸15の回転位置を入力する監視処理(ステップS13)、シフト位置検出部3により検出している現在の各トランスファスイッチ信号を入力する監視処理(ステップS14)、電流検出回路36により検出しているモータ11に供給している電流値を入力する処理(ステップS15)を行う。なお、このステップS1では、ステップS11〜ステップS15の順序が入れ替わっても良い。
次のステップS2においては、CPU33により、ステップS1にて入力した各信号をパラメータとし、少なくとも上述の第1アクチュエータ駆動制御処理〜第6アクチュエータ駆動制御処理の何れかの処理を行う。
次のステップS3においては、CPU33により、ステップS2にて行ったアクチュエータ駆動制御処理の結果に基づいて、第1リレー回路34、第2リレー回路35及び電力用MOSFET39を制御するためにトランジスタ37,38をオンオフ制御する信号、モータ駆動信号を出力する出力処理を行う。これにより、CPU33では、モータ11に電流供給をして、出力軸15を回転させることによりトランスファ1を操作スイッチ6にて指定された駆動状態に切り換える。
次のステップS4においては、CPU33により、ステップS3にて行ったアクチュエータ2の制御時間によって次にアクチュエータ駆動制御処理を行う周期(制御周期)を調整して、ステップS1に処理を戻す。これは、CPU33の制御タイミングに対して、トランスファ1の切換に待ち時間が発生することがあり、当該待ち時間をCPU33で認識して制御タイミングを調整するためである。
このようなアクチュエータ駆動制御処理において、更に具体的には、CPU33は、図16及び図17に示す処理を行う。
図16によれば、先ず、ステップS21において、CPU33により、回転位置センサ21からの位置センサ信号や電流検出回路36からの電流値、又は自身の第1リレー回路34,第2リレー回路35及び電力用MOSFET39の制御状態を検出して、アクチュエータ2(ACTR)が作動中か否かを判定し、アクチュエータ2が作動中でない場合にはステップS22に処理を進め、アクチュエータ2が作動中である場合にはステップS37に処理を進める。
ステップS22〜ステップS36においては、CPU33により、操作スイッチ6のうち、2H/4H切換スイッチ6A、N切換スイッチ6B又は4L切換スイッチ6Cの何れが操作されたか否かを判定する(ステップS22、ステップS23、ステップS24)。なお、この処理は、図15におけるステップS12に相当する。
そして、CPU33では、2H/4H切換スイッチ6Aが操作されたと判定した場合には(ステップS22)、シフト位置検出部3からの第1〜第3トランスファスイッチ信号に基づいてトランスファ1の現ポジション(現在の駆動状態)が2輪高速駆動であるか否かを判定し(ステップS25)、2輪高速駆動であると判定した場合には目標とする駆動状態(ターゲットポジション)を4輪高速駆動状態に設定して(ステップS27)、ステップS37に処理を進める。一方、CPU33では、現ポジションが2輪高速駆動状態でない場合には(ステップS25)、現ポジションが4輪高速駆動状態であるか否かを判定し(ステップS26)、4輪高速駆動状態でない場合にはステップS37に処理を進め、4輪高速駆動状態である場合にはターゲットポジションを2輪高速駆動に設定して(ステップS28)、ステップS37に処理を進める。
また、CPU33では、N切換スイッチ6Bが操作されたと判定した場合には(ステップS23)、シフト位置検出部3からの第1〜第3トランスファスイッチ信号に基づいてトランスファ1の現ポジションが2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態であるか否かを判定し(ステップS29)、2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態であると判定した場合にはターゲットポジションを4輪中立駆動状態に設定して(ステップS31)、ステップS37に処理を進める。一方、CPU33では、現ポジションが2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態でない場合には(ステップS29)、現ポジションが4輪中立駆動状態であるか否かを判定し(ステップS30)、4輪中立駆動状態でない場合にはステップS37に処理を進め、4輪中立駆動状態である場合にはターゲットポジションを2輪高速駆動状態に設定して(ステップS32)、ステップS37に処理を進める。
更に、CPU33では、4L切換スイッチ6Cが操作されたと判定した場合には(ステップS24)、シフト位置検出部3からの第1〜第3トランスファスイッチ信号に基づいてトランスファ1の現ポジションが2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態であるか否かを判定し(ステップS33)、2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態であると判定した場合にはターゲットポジションを4輪低速駆動状態に設定して(ステップS35)、ステップS37に処理を進める。一方、CPU33では、現ポジションが2輪高速駆動状態又は4輪高速駆動状態でない場合には(ステップS33)、現ポジションが4輪低速駆動状態であるか否かを判定し(ステップS34)、4輪低速駆動状態でない場合にはステップS37に処理を進め、4輪低速駆動状態である場合にはターゲットポジションを4輪高速駆動状態に設定して(ステップS36)、ステップS37に処理を進める。
これにより、CPU33では、アクチュエータ2が作動していない場合に操作スイッチ6が操作されたことに応じて、トランスファ1の目標駆動状態を決定して、アクチュエータ2の制御目標を決定する。
次に、CPU33では、ステップS22〜ステップS36の処理を行うことにより設定されたターゲットポジションが、2輪高速駆動状態か否か(図16のステップS37)、4輪高速駆動状態か否か(図17のステップS50)、4輪中立駆動状態か否か(図17のステップS69)、4輪低速駆動状態か否かを判定する(図17のステップS88)。これにより、CPU33では、アクチュエータ2を作動開始した後のトランスファ1のターゲットポジションを認識した後に、現ポジションからターゲットポジションにトランスファ1の状態を遷移させる処理に進む。
CPU33では、ターゲットポジションが2輪高速駆動状態であると判定した場合(ステップS37)、次に、現ポジションが4輪高速駆動状態であるか否か(ステップS38)、現ポジションが4輪中立駆動状態であるか否かを判定する(ステップS44)。
CPU33では、ターゲットポジションが2輪高速駆動状態であり(ステップS37)、現ポジションが4輪高速駆動状態であると判定した場合には(ステップS38)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23A(2H)か否かを判定する(ステップS39)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23A(2H)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23B(4H)から電極23A(2H)に向かって作動させるようにモータ11を逆回転駆動させて(ステップS41)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23A(2H)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS40)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が2輪高速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS42)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が2輪高速駆動状態となっていない場合には、トランスファ1における駆動状態の切換動作が完了していない待ち状態であると判定して処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が2輪高速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを2輪高速駆動状態に更新して処理を終了する。
また、CPU33では、ターゲットポジションが2輪高速駆動状態であり(ステップS37)、現ポジションが4輪高速駆動状態及び4輪中立駆動状態の何れでもないと判定した場合には(ステップS38、ステップS44)、アクチュエータ2の回転位置が電極23D(4L)であると判定して電極23C(N)から電極23B(4H)に回転させるようにモータ11を制御して(ステップS47)、処理を終了する。
一方、CPU33では、現ポジションが4輪中立駆動状態であると判定した場合には(ステップS44)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)か否かを判定する(ステップS45)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23C(N)から電極23B(4H)に向かって作動させるようにモータ11を逆回転駆動させて(ステップS47)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS46)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS48)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていない場合には処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪高速駆動状態に更新して(ステップS49)、処理を終了する。なお、ステップS45,46,48,49は、上述した第2アクチュエータ駆動制御処理に相当する処理である。
このように、CPU33では、2H/4H切換スイッチ6Aが操作された後にステップS38〜ステップS49の処理を繰り返し行うことにより、モータ11を逆回転駆動してトランスファ1を2輪高速駆動状態とすることができる。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪高速駆動状態であると判定した場合(図17のステップS50)、次に、現ポジションが2輪高速駆動状態であるか否か(ステップS51)、現ポジションが4輪中立駆動状態であるか否か(ステップS52)、現ポジションが4輪低速駆動状態であるか否かを判定する(ステップS53)。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪高速駆動状態であり(ステップS50)、現ポジションが2輪高速駆動状態であると判定した場合には(ステップS51)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)か否かを判定する(ステップS54)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23A(2H)から電極23B(4H)に向かって作動させるようにモータ11を正回転駆動させて(ステップS58)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS57)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS59)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていない場合には、トランスファ1における駆動状態の切換動作が完了していない待ち状態であると判定して処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪高速駆動状態に更新して(ステップS60)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪高速駆動状態であり(ステップS50)、現ポジションが4輪中立駆動状態であると判定した場合には(ステップS52)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)か否かを判定する(ステップS55)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23C(N)から電極23B(4H)に向かって作動させるようにモータ11を逆回転駆動させて(ステップS62)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS61)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS63)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていない場合には、トランスファ1における駆動状態の切換動作が完了していない待ち状態であると判定して処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪高速駆動状態に更新して(ステップS64)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪高速駆動状態であり(ステップS50)、現ポジションが4輪低速駆動状態であると判定した場合には(ステップS53)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)か否かを判定する(ステップS56)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23D(4L)から電極23C(N)に向かって作動させるようにモータ11を逆回転駆動させて(ステップS66)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS65)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となったか否かを判定する(ステップS67)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていない場合には処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪中立駆動状態に更新して(ステップS68)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪高速駆動状態であり(ステップS50)、現ポジションが2輪高速駆動状態、4輪中立駆動状態及び4輪低速駆動状態の何れでもないと判定した場合には(ステップS51〜ステップS53)、現ポジションが4輪高速駆動状態であると判定して、処理を終了する。
このように、CPU33では、2H/4H切換スイッチ6Aが操作された後にステップS51〜ステップS68の処理を繰り返し行うことにより、モータ11を回転駆動してトランスファ1を4輪高速駆動状態とすることができる。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪中立駆動状態であると判定した場合(ステップS69)、次に、現ポジションが2輪高速駆動状態であるか否か(ステップS70)、現ポジションが4輪高速駆動状態であるか否か(ステップS71)、現ポジションが4輪低速駆動状態であるか否かを判定する(ステップS72)。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪中立駆動状態であり(ステップS69)、現ポジションが2輪高速駆動状態であると判定した場合には(ステップS70)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)か否かを判定する(ステップS73)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23A(2H)から電極23B(4H)に向かって作動させるようにモータ11を正回転駆動させて(ステップS77)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS76)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS78)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていない場合には処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪高速駆動状態に更新して(ステップS79)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪中立駆動状態であり(ステップS69)、現ポジションが4輪高速駆動状態であると判定した場合には(ステップS71)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)か否かを判定する(ステップS74)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23B(4H)から電極23C(N)に向かって作動させるようにモータ11を正回転駆動させて(ステップS81)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS80)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となったか否かを判定する(ステップS82)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていない場合には待ち状態であると判定して処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪中立駆動状態に更新して(ステップS83)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪中立駆動状態であり(ステップS69)、現ポジションが4輪低速駆動状態であると判定した場合には(ステップS72)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)か否かを判定する(ステップS75)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23D(4L)から電極23C(N)に向かって作動させるようにモータ11を逆回転駆動させて(ステップS85)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS84)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となったか否かを判定する(ステップS86)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていない場合には処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪中立駆動状態に更新して(ステップS87)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪中立駆動状態であり(ステップS69)、現ポジションが2輪高速駆動状態、4輪高速駆動状態及び4輪低速駆動状態の何れでもないと判定した場合には(ステップS70〜ステップS72)、現ポジションが4輪中立駆動状態であると判定して、処理を終了する。
このように、CPU33では、N切換スイッチ6Bが操作された後にステップS70〜ステップS87の処理を繰り返し行うことにより、モータ11を回転駆動してトランスファ1を4輪中立駆動状態とすることができる。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪低速駆動状態であると判定した場合(ステップS88)、次に、現ポジションが2輪高速駆動状態であるか否か(ステップS89)、現ポジションが4輪高速駆動状態であるか否か(ステップS90)、現ポジションが4輪中立駆動状態であるか否かを判定する(ステップS91)。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪低速駆動状態であり(ステップS88)、現ポジションが2輪高速駆動状態であると判定した場合には(ステップS89)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)か否かを判定する(ステップS92)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23A(2H)から電極23B(4H)に向かって作動させるようにモータ11を正回転駆動させて(ステップS96)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23B(4H)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS95)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS97)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていない場合には処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪高速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪高速駆動状態に更新して(ステップS98)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪低速駆動状態であり(ステップS88)、現ポジションが4輪高速駆動状態であると判定した場合には(ステップS90)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)か否かを判定する(ステップS93)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23B(4H)から電極23C(N)に向かって作動させるようにモータ11を正回転駆動させて(ステップS100)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23C(N)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS99)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となったか否かを判定する(ステップS101)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていない場合には待ち状態であると判定して処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪中立駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪中立駆動状態に更新して(ステップS102)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪低速駆動状態であり(ステップS88)、現ポジションが4輪中立駆動状態であると判定した場合には(ステップS91)、回転位置センサ21からの位置センサ信号を入力して、アクチュエータ2の回転位置が電極23D(4L)か否かを判定する(ステップS94)。
そして、CPU33では、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23D(4L)となっていない場合には、アクチュエータ2の回転位置を電極23C(N)から電極23D(4L)に向かって作動させるようにモータ11を逆回転駆動させて(ステップS104)、処理を終了する。一方、モータ11を駆動させてアクチュエータ2の回転位置が電極23D(4L)となった場合には、モータ11を停止させることによりアクチュエータ2の回転動作を停止し(ステップS103)、シフト位置検出部3からの各トランスファスイッチ信号の組み合わせによってトランスファ1の駆動状態が4輪低速駆動状態となったか否かを判定する(ステップS105)。そして、CPU33では、トランスファ1の駆動状態が4輪低速駆動状態となっていない場合には処理を終了し、トランスファ1の駆動状態が4輪低速駆動状態となっていると判定した場合には現ポジションを4輪低速駆動状態に更新して(ステップS106)、処理を終了する。
CPU33では、ターゲットポジションが4輪低速駆動状態であり(ステップS88)、現ポジションが2輪高速駆動状態、4輪高速駆動状態及び4輪中立駆動状態の何れでもないと判定した場合には(ステップS89〜ステップS91)、現ポジションが4輪低速駆動状態であると判定して、処理を終了する。
このように、CPU33では、4L切換スイッチ6Cが操作された後にステップS89〜ステップS106の処理を繰り返し行うことにより、モータ11を回転駆動してトランスファ1を4輪低速駆動状態とすることができる。
つぎに、上述した図15〜図17の処理を行うことにより実現されるシフト切換装置の動作のタイミングチャートについて図18を参照して説明する。
この図18では、トランスファ1が2輪高速駆動状態となっている場合に、時刻t31において4L切換スイッチ6Cが操作された時(図18(a))、CPU33は、第1リレー回路34をON状態、第2リレー回路35をOFF状態、電力用MOSFET39をON状態にして、モータ11を正方向に駆動開始させる(図18(b))。これにより、アクチュエータ2の出力軸15は正方向に回転開始して、出力軸15の回転位置が電極23A(2H)から時刻t32において電極23B(4H)となると(図18(c))、CPU33は、第1リレー回路34をOFF状態とすると共にモータ11に対する直流電流の供給を停止する(図18(b))。
次に、CPU33は、時刻t32以降にてシフト位置検出部3からのトランスファスイッチ信号からトランスファ1が4輪高速駆動状態となると(図18(d))、再度第1リレー回路34をON状態、直流電流の供給をON状態とする(図18(b))。また、CPU33は、時刻t33にて出力軸15の回転位置が電極23C(N)となった場合も、時刻t32と同様の処理を行う。
次に、CPU33は、出力軸15の回転位置がN−4L間電極26となると、時刻t34において、以前ではモータ11に直流電流の供給をしていたが、電力用MOSFET39をPWM制御して、間欠的に電圧をモータ11に印加してPWM制御を行う。これにより、CPU33では、モータ11の回転速度を低下させて出力軸15の回転速度を低下させる。そして、CPU33では、出力軸15の回転位置が電極23D(4L)となると第1リレー回路34及び電力用MOSFET39をOFF状態にして、モータ11の動作を停止させて、トランスファ1を4輪低速駆動状態とすることができる。
また、このシフト切換装置の動作としては、例えば図19に示すように、トランスファ1が2輪高速駆動状態となっている状態において、時刻t41にて2H/4H切換スイッチ6Aが操作された時(図19(a))、CPU33は、第1リレー回路34をON状態、第2リレー回路35をOFF状態、電力用MOSFET39をON状態にして、モータ11を正方向に駆動開始させる(図19(b))。これにより、アクチュエータ2の出力軸15は正方向に回転開始して、出力軸15の回転位置が電極23A(2H)から時刻t42において電極23B(4H)となり(図19(c))、その後、時刻t43にて再度2H/4H切換スイッチ6Aが操作された時(図19(a))、第1リレー回路34をOFF状態、第2リレー回路35をON状態にしてモータ11及び出力軸15を逆回転させて(図19(b)、(c))、時刻t44においてトランスファ1を2輪高速駆動状態とする(図19(d))。
次に、時刻t45にてN切換スイッチ6Bが操作された時(図19(a))、CPU33では、電極23C(N)が他の電極23よりも電極面積が小さいので、時刻46以前の4H−N間電極25においてモータ11をPWM制御する(図19(b))。これにより、CPU33では、確実に出力軸15の回転位置を電極23C(N)で停止させて、トランスファ1を確実に4輪中立駆動状態とすることができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。