JP4405125B2 - 複数のエピトープと融合した組換えタンパク質の精製 - Google Patents

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、タンパク質タグ、および種々の組換えDNA技術に用いるタンパク質精製法に関する。より詳細には、本発明は、新規同定ポリペプチド、およびタンデムに連結した複数の抗原性ドメインを含有する新規同定ポリペプチドをコードするDNAベクターを指向するものである。そのような同定ポリペプチドを用いて標的ペプチドを精製する方法、ならびに新規同定ポリペプチドをコードするDNAベクター、および標的ペプチドと連結した同定ポリペプチドをコードするDNA発現ベクターの構築方法も提供する。
【0002】
(発明の背景)
タンパク質様分子、例えば酵素、ホルモン、貯蔵タンパク質、結合タンパク質、輸送タンパク質、およびシグナル変換タンパク質は、種々の組換えDNA技術を用いて製造および精製してよい。例えば、選択したタンパク質をコードするDNA断片を、リボソーム結合部位およびプロモーターの適切なDNA配列とともにプラスミドベクターに連結する。プラスミドを宿主原核または真核細胞中に挿入する。形質転換宿主細胞を同定し、単離し、次いで培養してタンパク質様分子を発現させる。ハイブリッドポリペプチドを精製するのに用いる1つの方法は、ハイブリッドペプチドを陽イオン樹脂を用いて選択的に精製するポリアルギニン系である。Sassenfeld, H. M.およびBrewer, S. J. BioTechnologv, 2: 76 (1984); 米国特許4,532,207参照。SassenfeldおよびBrewerは、標的タンパク質と融合した5個のアルギニン残基のカルボキシ末端伸張を報告した。この基本的ポリアルギニン伸張によりSP-Sephadex樹脂を用いてハイブリッドポリペプチドを精製することができた。類似タンパク質の発現および精製系では、ハイブリッドポリペプチドのアミノまたはカルボキシ末端のいずれかにポリヒスチジン領域(tract)またはタグを用いる。融合タンパク質はNi2+金属アフィニティ樹脂を用いるクロマトグラフィーにより精製される。Porath, J., Protein Expression and Purification, 3: 7995 (1992)参照。さらに、融合タンパク質の単離を容易にするため、一般に種々のアフィニティ精製プロトコールが用いられている。アフィニティクロマトグラフィーは、リガンドと特異的かつ非共有結合的に結合するタンパク質の能力に基づく。単独で用いることにより、連続イオン交換およびゲルカラムクロマトグラフィーで可能なよりも精製度が高くなるだけでなく、活性の有意な損失なしに非常に複雑な混合物からタンパク質を単離することができる。典型的には、アフィニティマトリックスと高い特異性で結合することができるリガンドを融合パートナーに選ぶ。例えば、p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシジル-スクシニルジアミノヘキシル-セファロースはβ-ガラクトシダーゼと選択的に結合し、β-gal融合タンパク質を精製することができる。Germinoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 6848 (1983)参照。融合タンパク質のアフィニティ精製が可能な他の発現系には、グルタチオン-S-トランスフェラーゼを用いて作製される融合タンパク質が含まれ、これはグルタチオン-アガロースを用いて選択的に回収される。Smith, D. B.およびJohnson, K. S. Gene 67: 31 (1988)参照。IgG-セファロースを用いてブドウ球菌のプロテインAを含む融合タンパク質をアフィニティ精製することができる。Uhlen, M.ら、Gene 23: 369 (1983)参照。E. coliのmalE遺伝子由来のマルトース結合タンパク質ドメインを融合パートナーに用い、アミロース樹脂を用いて融合タンパク質をアフィニティ精製することができる。
【0003】
タンパク質の検出および単離に用いる別の方法はエピトープタグを用いることによる。エピトープ標識(タグづけ)ではゲストペプチドに対する抗体を用いて細胞レベルおよび細胞下レベルでのタンパク質の局在を試験する。Kolodziej, P. A.およびYoung, R. A., Methods Enzvmol., 194: 508-519 (1991)参照。組換えDNA技術を用い、エピトープをコードするヌクレオチド配列をクローン化遺伝子のコーディング領域中に挿入し、形質転換のような方法によりハイブリッド遺伝子を細胞内に導入する。ハイブリッド遺伝子が発現すると、ゲストペプチドとしてエピトープを含むキメラタンパク質が生じる。タンパク質表面上にエピトープが露出すると、エピトープ特異的抗体により認識させることができ、研究者は免疫蛍光や他の免疫学的技術を用いて細胞内のタンパク質を観察することができる。さらに、そのようなエピトープタグで標識した融合タンパク質はアフィニティ精製技術を用いてタンパク質を精製するのに用いられることが多い。
【0004】
このように、エピトープタグづけは発現タンパク質の検出および精製のための強力な手段となってきた。Kolodziej, P. A.およびYoung, R. A., Methods Enzymol., 194: 508-519 (1991)参照。多くのタイプのタグが用いられており、c-mycおよびFLAG(登録商標)タグが用いられる最も人気のある2つのエピトープである。Evanら, Mol Cell Biol. 5: 3610-3616 (1985)参照。一般に、これらエピトープは発現タンパク質のアミノまたはカルボキシ末端と融合し、検出用抗体を該タンパク質により接近しやすくし、重大な構造的または機能的不安を生じることが少ないようである。
【0005】
アミノ末端にFLAG(登録商標)オクタペプチド:
Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号1)
を有する融合タンパク質は、該オクタペプチドに特異的な抗体を含む免疫アフィニティ樹脂を用いてアフィニティ精製することができる。Hopp, T. P.ら、Biotechnology, 6:1204 (1988); Prickett, K. S.,ら, BioTechniques, 7:580 (1989); および米国特許4,851,341参照。FLAGS(登録商標)エピトープタグは、哺乳動物および細菌系においてタンパク質を検出および精製するのに有効に用いられてきた。最初のFLAG(登録商標)配列は2つの抗体M1およびM2により認識され、イニシエーターメチオニンが結合したFLAG(登録商標)配列は第三抗体、M5により認識される。FLAG(登録商標)配列の最後の5アミノ酸はプロテアーゼエンテロキナーゼの認識部位であり、FLAG(登録商標)エピトープを除去することができる。FLAG(登録商標)エピトープは、ヘテロローガスなタンパク質を検出および精製するための種々の発現系、例えばE. coli (Brizzardら, BioTechniques, 16: 730-735 (1994))、 Saccharomyces cerevisiae (Leeら, Nature, 372: 739-746 (1994); Prickettら, BioTechniques, 7: 580-589 (1989))、Drosophila (Xuら, Development, 117: 1223-1237 (1993))、Baculovirus (Dentら, Mol. Cell Biol, 15: 4125-4135 (1995); Ritchieら, Biochem Journal, 338: 305-10 (1999))、および哺乳動物系(Overholtら, Clin. Cancer Res., 3: 185-191 (1997); SchulteおよびEschら, Biochemistry, 38: 2248-2258 (1999)) で用いられてきた。しかしながら、多くの哺乳動物発現系ではタンパク質発現レベルが低く、確立された方法を用いて発現した外来タンパク質を効果的に検出するのが難しいことがある。
したがって、組換えタンパク質の検出と感度を増大させるエピトープタグ、およびそのようなエピトープタグを用いる発現系が求められている。
【0006】
発明の要約
本発明は、組換えタンパク質を高収率で産生するのに使用できる方法およびビークルを提供することにより1またはそれ以上の前記問題に取り組むものである。したがって、本発明の多くの目的のうち、新規同定ポリペプチド、新規同定ポリペプチドと融合した標的ペプチドを含むハイブリッド分子、およびそれをコードする組換えDNAベクターが注目されよう。単一リガンドまたは複数リガンド、好ましくは抗体を用いて、抗原性があるかないかに関わらず形質転換宿主細胞により発現したすべてのタンパク質分子を実質的に単離および精製することができる標的ペプチドの精製方法も提供する。本発明のさらなる目的は、アフィニティクロマトグラフィー法が可能でないものを含む、組換えDNA法で生成したあらゆるタンパク質分子を高度に精製するのに使用できる方法を提供することである。
【0007】
したがって、簡単には、本発明は、タンデムに連結した抗原性ドメインの複数コピーを含む同定ポリペプチドを指向するものである。同定ポリペプチドは、個々の抗原性ドメイン中に位置しないかまたはそれらの間に挿入されていない、標的ペプチドと隣接して位置する開裂可能な部位を含むリンキング配列を含んでいてよい。各抗原性ドメインは抗原反応を誘導することができ、リガンド、好ましくは抗体により結合し得る。さらに、各抗原性ドメインは、少なくとも2、好ましくは3またはそれ以上の異なるアミノ酸の組み合わせからなる。
【0008】
標的ペプチドと融合した新規同定ポリペプチドを含む本発明の融合タンパク質も提供される。同定ポリペプチドは、配列特異的タンパク質分解剤を用いることにより、標的ペプチドに隣接した特定アミノ酸残基で開裂可能であることを特徴とするリンキング配列を含有する。そのような開裂可能な部位は、標的ペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかに隣接して位置し、好ましくは標的ペプチドのアミノ末端の直近に位置する。理想的には、該開裂可能な部位のアミノ酸配列はユニークであり、タンパク質分解剤が標的ペプチドを開裂する可能性を最小限にする。好ましい態様において、該開裂可能な部位は、エンテロキナーゼ、トロンビン、またはXa因子に特異的なアミノ酸を含む。
【0009】
融合タンパク質のこの独特な構成により、標的ペプチドをアフィニティクロマトグラフィー技術により単離することができよう。すなわち、本発明の目的は、標的ペプチドの精製方法を提供することである。これは同定ポリペプチドの抗原性ドメインに特異的な固定化リガンドを有するアフィニティカラムを構築して融合タンパク質を結合させることにより達成される。本発明では、単一抗体または複数抗体を用いて同定ポリペプチドの複数の抗原性ドメインを含む個々の抗原性ドメインと結合させてよいことは認識されよう。次に、結合した融合タンパク質をカラムから遊離させ、同定ポリペプチドを適切なタンパク質分解剤で開裂させ、次いで精製された標的ペプチドを放出させることができる。好ましい態様において、標的ペプチドを同定ポリペプチドから開裂させるのに用いるタンパク質分解剤はエンテロキナーゼ、トロンビン、およびXa因子からなる群から選ばれる。
【0010】
本発明のさらなる目的は、同定ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えクローニングベクターを提供することである。同定ポリペプチドをコードするベクターは、当業者が所望のあらゆるタンパク質をコードするあらゆる数のDNA配列を挿入することができるように、抗原性ドメインのいずれかの側または抗原性ドメイン間に位置する複数の制限酵素部位からなる複数のクローニング部位をコードするDNA配列も含む。このDNA配列は、適切な制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いてクローニングベクター、例えばプラスミドに挿入することができよう。組換えプラスミドを用いて、プラスミドの複製およびハイブリッドアフィニティドメイン/タンパク質分子の発現に適合する原核性または真核性宿主細胞を形質転換する。理想的には、該プラスミドは、形質転換宿主細胞を同定および単離するための表現型マーカー遺伝子を有する。好ましい態様において、分泌シグナルペプチドをコードするDNA配列をDNAベクターまたはプラスミドと連結することにより形質転換宿主細胞を容易に同定し、形質転換していない細胞から分離することができる。
他の目的および特徴は一部が明らかであり、一部を後述する。
【0011】
略号および定義
本発明の理解を促すために、多くの用語を以下に定義する。
ヌクレオチド塩基は本明細書では以下のように略す:Aはアデニンを表す。Cはシトシンを表す。Gはグアニンを表す。Tはチミンを表す。Uはウラシルを表す。
【0012】
本明細書ではアミノ酸残基は一文字標記に従って略す:Aはアラニンを表す。Rはアルギニンを表す。Nはアスパラギンを表す。Dはアスパラギン酸を表す。Cはシステインを表す。Qはグルタミンを表す。Eはグルタミン酸を表す。Gはグリシンを表す。Hはヒスチジンを表す。Iはイソロイシンを表す。Lはロイシンを表す。Kはリジンを表す。Mはメチオニンを表す。Fはフェニルアラニンを表す。Pはプロリンを表す。Sはセリンを表す。Tはトレオニンを表す。Wはトリプトファンを表す。Yはチロシンを表す。Vはバリンを表す。
本明細書で用いている用語「組換えDNA分子」は、組換えDNA技術により一緒に連結されたDNA断片を含むDNA分子を表す。
【0013】
本明細書で用いている用語「発現ベクター」は、特定の宿主生物において機能性に連結したコーディング領域の発現に必要な適切な核酸配列および所望のコーディング配列を含む核酸配列を表す。原核生物中で発現させるのに必要な核酸配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、開始コドン、終止コドン、所望によりオペレーター配列、およびおそらく他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、Kozak配列、およびしばしばエンハンサー、およびポリアデニル化シグナルを利用する。原核細胞はShine Dalgarnoリボソーム結合部位も利用する。本発明は、あらゆる生存能力のある宿主細胞を組換えDNA発現ベクターで形質転換するためのビークルとして使用できるベクターまたはプラスミドを含む。
【0014】
本明細書で用いている用語「FLAG」は、米国特許4,703,004、4,782,137、4,851,341、および5,011,912(この内容は本明細書の一部を構成する)に記載のDYKDDDDK (配列番号1)の合成ペプチド配列からなる広く使用されるFLAG(登録商標)エピトープタグを表す登録商標である。
【0015】
用語「親水性」は、アミノ酸について用いるとき、極性および/または荷電側鎖を有するアミノ酸を表す。親水性アミノ酸には、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパータイト(すなわち、アスパラギン酸)、グルタメート(すなわち、グルタミン酸)、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。
【0016】
用語「疎水性」は、アミノ酸について用いるとき、非極性側鎖を有するアミノ酸を表す。疎水性アミノ酸には、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、およびメチオニンが含まれる。3つの疎水性アミノ酸は芳香族側鎖を有する。したがって、用語「芳香族(の)」は、アミノ酸について用いるとき、3つの芳香族疎水性アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンを表す。
【0017】
用語「開裂可能な部位」は、選択的タンパク質分解剤によりこの配列を含むタンパク質またはペプチドを開裂させることができる定義されたアミノ酸配列を表す。
【0018】
本明細書で用いている用語「融合タンパク質」は、少なくとも2つの異なるタンパク質由来のタンパク質ドメインを含むハイブリッドポリペプチドを表す。標的ペプチドは、融合タンパク質のアミノ末端部分やカルボキシ末端タンパク質に局在し、それぞれ「アミノ末端融合タンパク質」または「カルボキシ末端融合タンパク質」を形成してよい。
【0019】
本明細書で用いている用語「標的ペプチド」は、ハイブリッドポリペプチド内で発現することが望ましいペプチドを表す。本発明のハイブリッドポリペプチドにおいて、標的ペプチドはハイブリッドポリペプチドのアミノまたはカルボキシ末端部分のいずれかを含んでいてよい。
【0020】
本明細書で用いている用語「エンドプロテアーゼ」または「エンドペプチダーゼ」は、ポリペプチドの内部ペプチド結合を末端結合(すなわち、末端アミノ酸のペプチド結合)以外の箇所で加水分解することができるプロテアーゼを表す。
【0021】
用語「コーディング(をコードする)核酸分子」、「コーディングDNA配列」、および「コーディングDNA」は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を表す。これらデオキシリボヌクレオチドの順序は、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序を決定する。すなわち、DNA配列はアミノ酸をコードする。
【0022】
本明細書に記載のすべてのヌクレオチドおよびアミノ酸配列について、配列の機能に影響を及ぼすことなく配列内を同等のヌクレオチドおよびアミノ酸で置換することができると理解される。そのような置換は当業者の能力内である。
核酸の分子操作を含む本明細書に記載の方法は当業者に知られている。一般的には、Fredrick M. Ausubelら (1995),「Short Protocols in Molecular Biology」, John Wiley and Sons、およびJoseph Sambrookら (1989),「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press(これらの内容は本明細書の一部を構成する)参照。
【0023】
詳細な説明
本発明は、組換えDNA技術を用いて製造される標的ペプチドの精製および検出感度が増大した同定ポリペプチドを提供する。さらに、組換えDNA技術により製造され、1またはそれ以上のリガンドを用いるアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製される標的ペプチドおよび同定ポリペプチドからなるハイブリッドポリペプチド分子を提供する。したがって、同定ポリペプチドおよび所望の標的ペプチドをコードするDNAの断片を含むDNA発現ベクターも提供される。
【0024】
本発明によれば、標的ペプチドは形質転換宿主細胞中で発現することができるあらゆるタンパク質様物質を含んでよい。同定ポリペプチドの抗原性の増大は、タンデムになった抗原性ドメインの複数コピーが存在することにより生じる。同定ポリペプチドは、同定ポリペプチドと標的ペプチドを結合してハイブリッドポリペプチドを生成する開裂可能なリンキング配列も含む。DNAクローニングベクターは複製されてよく、同定ポリペプチドと標的ペプチドからなるハイブリッドポリペプチドはは該ベクターで形質転換された原核または真核細胞中で発現する。形質転換細胞を単離し、次いで、培養または当該分野で知られた他の手段を用いて増殖させる(expand)。
【0025】
本発明のハイブリッドポリペプチド分子はアフィニティクロマトグラフィーで精製してよい。同定ポリペプチドおよび標的ペプチドを含むハイブリッドポリペプチド分子は、同定ポリペプチドの抗原性ドメインと結合するアフィニティ樹脂を用いて精製してよい。一般的には、同定ポリペプチドタグの抗原性ドメインに特異的なリガンドはビーズカラムまたは他のタイプのマトリックスに固定される。培養から得た宿主細胞の抽出物をカラムに適用し、次いで、カラムに結合するポリペプチドを溶出する。次に、同定ポリペプチドを適切なタンパク質分解剤で標的ペプチド分子から開裂させ、標的ペプチドを高度に精製された状態で放出させる。
【0026】
ポリペプチドの同定
本発明の同定ポリペプチドは、標的ペプチドのアミノまたはカルボキシ末端と側面を接するアミノ酸残基の配列である。一般的には、同定ポリペプチドは、それぞれ、抗体、抗原性ドメインと標的ペプチドを連結する開裂可能なリンキング配列、および所望により1またはそれ以上のスペーサーを結合することができる抗原性ドメインの複数コピーを含む。
【0027】
検出感度を増大させるには、同定ポリペプチドは抗原性ドメインの複数コピー、すなわち、抗原性ドメインの少なくとも2コピー、好ましくは抗原性ドメインの少なくとも3コピー、そしていくつかの態様では抗原性ドメインの4コピーまたはそれ以上を含むことが好ましい。例えばカラムまたは他のマトリックス上に固定化された抗体と結合する複数抗原性ドメイン配列の能力は標的ペプチドの単離および精製を可能にする。
【0028】
複数抗原性ドメイン配列の各抗原性ドメインは、全体で、好ましくはわずか約20アミノ酸残基、より好ましくはわずか15アミノ酸残基、さらにより好ましくは10アミノ酸残基、さらにより好ましくはわずか約6アミノ酸残基を含む。さらに、各抗原性ドメインは、好ましくは親水性および芳香族アミノ酸から選ばれる、好ましくは少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個の異なるアミノ酸残基を含む。非芳香族、疎水性アミノ酸残基を抗原性ドメインから排除する必要はないが、抗原性ドメインを構成するアミノ酸残基の少なくとも1/2が親水性および芳香族アミノ酸から選ばれることが一般的に好ましく、抗原性ドメインを構成するアミノ酸残基の少なくとも1/2が親水性アミノ酸であることがさらに好ましく、抗原性ドメインを構成するアミノ酸残基の少なくとも3/4が親水性アミノ酸残基であることがさらに好ましい。ある好ましい態様において、抗原性ドメインを構成するアミノ酸残基は親水性アミノ酸が1/2で、芳香族アミノ酸が1/2である。別の好ましい態様において、抗原性ドメインを構成するアミノ酸残基は親水性アミノ酸から選ばれる。
【0029】
本発明のある好ましい態様において、各抗原性ドメインは、少なくとも1つが芳香族アミノ酸の群から選ばれ、少なくとも1つが親水性アミノ酸の群から選ばれ、また親水性アミノ酸残基の数が抗原性ドメインを定義するアミノ酸残基の総数の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%を構成する少なくとも3つの異なるアミノ酸残基を含む一連の約6〜約10アミノ酸残基により定義される。Hopp T. P. and Woods K. R., Proc. Natl. Acad. Sci., 78: 3824-3828 (1981)参照。所望により、この配列は1またはそれ以上の非芳香族、疎水性残基を含んでいてよい。
【0030】
本発明の別の態様において、各抗原性ドメインのアミノ酸は荷電または極性アミノ酸残基から選んでよい。Jinらは、ヒト成長ホルモン(hGH)の機能的エピトープにおいてアルギニン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、およびイソロイシンのアミノ酸側鎖が主な役割を果たすことを示した。Jinら, J. Mol. Biol. 116: 851-865 (1992)(この内容は本明細書の一部を構成する)参照。さらに、Jinらは、該エピトープのモノクローナル抗体との結合がエピトープ中の少数のアミノ酸側鎖により特徴づけられ、しばしば荷電または極性アミノ酸側鎖であることを示した。Jinら、上記参照。したがって、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、およびイソロイシンから選ばれるアミノ酸残基を用いる抗原性ドメインを設計し、同定ポリペプチドの表面接近性を増大させてよい。Benjaminら, Annu. Rev. Immunol. 2: 101 (1984); Novotnyら, Proc. Nat. Acad. Sci., 83: 226-230 (1986); Alzaiら, Annu. Rev. Immunol. 6: 555-580 (1988); Daviesら, Annu. Rev. Biochem., 59: 439473 (1990)参照。
【0031】
同定ポリペプチドは抗原性ドメインの配列を標的ペプチドと連結する開裂可能なリンキング配列を含む。一般的には、リンキング配列を含むアミノ酸残基は、抗原性ドメイン配列を標的ペプチドと結合するのを助けるあらゆるアミノ酸配列を含む。さらに、該リンキング配列は、配列特異的タンパク質分解剤を用いて開裂することができるユニークなアミノ酸配列を含む開裂部位を含む。同定ポリペプチドおよび標的ペプチドからなるハイブリッドポリペプチドを培養抽出物から精製したら、開裂部位のアミノ酸に特異的なタンパク質分解剤で消化して同定ポリペプチドを標的ペプチドから開裂させることが好ましい。あるいはまた、当該分野で知られた方法を用いる化学的開裂により標的ペプチドから同定ポリペプチドを除去してよい。
【0032】
一般的に、開裂可能な部位は標的ペプチドのアミノまたはカルボキシ末端に位置してよい。好ましくは、開裂可能な部位は標的ペプチドを同定ポリペプチドから分離することができるように標的ペプチドの直近にある。この開裂可能な部位は、抗原性ドメインまたは存在する場合は同定ポリペプチドのスペーサードメインに存在しないか、それらの間に挿入されないことが好ましい。好ましい態様において、開裂可能な部位は標的ペプチドのアミノ末端に位置する。開裂可能な部位が標的ペプチドのアミノ末端に位置し、タンパク質分解剤で開裂した後に標的ペプチド上に異質のアミノ酸が残っている場合は、エンドペプチダーゼ、例えばトリプシン、クロストロパイン、またはフリンを用いてこれらの残留アミノ酸を除去し、高度に精製された標的ペプチドを得てよい。
【0033】
ハイブリッドポリペプチドがアフィニティ樹脂と結合したままでタンパク質分解剤を用いる消化が生じるか、またはアフィニティ樹脂からハイブリッドペプチドを溶出し、次いでタンパク質分解剤で消化してさらに標的ペプチドを精製してよい。組換え標的ペプチドのタンパク質分解剤によるかもしくは化学的開裂の効率は抗原性ドメインと標的ペプチドの配列間に挿入されたリンキング配列のアミノ酸配列によって決定される。
理想的には、開裂部位のアミノ酸配列はユニークであり、タンパク質分解剤が標的ペプチドを開裂する可能性を最小限にする。好ましい態様において、開裂可能な部位はエンテロキナーゼ、トロンビン、またはXa因子開裂部位のためのアミノ酸を含む。
【0034】
エンテロキナーゼはいくつかの配列を認識する: Asp-Lys; Asp-Asp-Lys; Asp-Asp-Asp Lys (配列番号2);およびAsp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号3)。Matsushimaら, J. Biochem 125: 947-51 (1999)参照。ウシエンテロキナーゼおよびある酵母タンパク質の天然の基質であるタンパク質トリプシノーゲンを用いてAsp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号3)が天然に生じることが知られているのみである。したがって、標的ペプチドのアミノ末端と抗原性ドメイン配列の間に開裂可能な部位としてアミノ酸配列Asp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号3)を含むリンキング配列を挿入することにより、標的ペプチド自身のいかなる部分も開裂する可能性が非常に低いウシエンテロキナーゼを用いて同定ポリペプチドから標的ペプチドを遊離させることができる。
【0035】
トロンビンはアルギニンのカルボキシ末端部位で以下の配列を開裂する:Leu-Val-Pro-Arg-Gly-X (配列番号4)(ここで、Xは非酸性アミノ酸である)。Chang, Eur. J. Biochem., 151: 217 (1985)参照。Xa因子プロテアーゼ(すなわち、X因子の活性化型)は、下記配列のArgの後を開裂する: Ile-Glu-Gly-Arg-X (配列番号5)、Ile-Asp-Gly-Arg-X (配列番号6)、およびAla-Glu-Gly-Arg-X (配列番号7)(ここで、Xはプロリンまたはアルギニンを除くあらゆるアミノ酸である)。cIIタンパク質の31アミノ末端残基、Xa因子開裂部位、およびヒトβ-グロビンを含む融合タンパク質はXa因子により開裂し、真正なβ-グロビンを生じることが示された。Nagai, K.およびThogersen, H. C., Nature, 308: 810-812 (1984)参照。Xa因子ベースの融合系の限界は、Xa因子がXa因子認識配列中に存在しないアルギニン残基を開裂すると報告されている事実があることである。Nagaiら, Prot. Expr. and Purif., 2: 372 (1991)参照。
【0036】
あまり好ましくはないが、他の開裂可能な部位のための他のユニークなアミノ酸配列を本発明の精神や範囲から離れることなくリンキング配列に用いるてもよい。例えば、リンキング配列は一部塩基性アミノ酸(すなわち、Lys、Arg、またはHis)対を含むことができる。この配列は腺酵素のカリクレインにより開裂される。また、酵素トロンビンはArgのあとにGlyが続くときにArgの後を開裂することが知られているので、リンキング部分は一部Arg-Glyからなることができる。さらに、抗原性ドメインと開裂可能な部位は互いに排他的である必要はない。エンテロキナーゼの開裂可能な部位Asp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号3)の部分を認識するFLAG(登録商標)モノクローナル抗体M2を用いる場合のように、抗体は開裂可能な部位にみられるアミノ酸と結合することができる。
【0037】
一般的に、各抗原性ドメインが別の抗原性ドメインの直近にあることが好ましいが(すなわち、介在配列なし)、抗原性ドメインはスペーサードメインにより互いに分離されてよい。スペーサードメインがリンキング配列と抗原性ドメインの複数コピーの間に挿入されてもよい。スペーサードメインの挿入は、同定ポリペプチドの抗原性ドメイン間に開裂可能な部位の第二コピーの挿入をもたらさないことが好ましい。好ましくは、各スペーサードメイン中のアミノ酸残基の数が最小、好ましくは長さがわずか10アミノ酸、より好ましくはわずか約6アミノ酸残基、さらにより好ましくは2またはちょうど1アミノ酸残基からなることが好ましい。
【0038】
スペーサードメインを用いる場合は、同定ポリペプチドに1またはそれ以上の所望の特性を与えるよう設計してよい。ある態様において、スペーサードメインのアミノ酸は同定ポリペプチドの親水性を増大するように親水性アミノ酸から選ばれる。あるいはまた、スペーサードメインのアミノ酸は、同定ポリペプチドに所望のホールディングをもたらして抗体に対する接近性を増加させるように選んでよく、例えば、スペーサードメインは、抗体に対する接近性を改善するタンパク質のホールディング構造を生じるグリシン残基を含んでいてよい。Danら, J. Bio. Chem. 271: 30717-30724 (1996); Borjigin, J.およびNathans, J., J. Biol. Chem. 269: 14715-147622 (1994)参照。
ある種のアミノ酸残基、例えばヒスチジンが固定化金属イオンを結合またはキレートする親和性を有することが当該分野でよく知られている。したがって、スペーサードメイン中に複数または交互ヒスチジン残基を含む金属キレーティング配列を有する同定ポリペプチドを設計するかまたは抗原性ドメインの配列のいずれかの側面に位置することにより、ハイブリッドポリペプチドは樹脂または他のマトリックス上に固定した金属イオンと結合することができる。好ましい態様において、抗原性ドメインの複数コピーと側面を接するか、またはスペーサードメイン中の金属キレーティング配列は、少なくとも1個のヒスチジン残基、少なくとも1個のグリシン残基、または式:-(His-X) m-(ここで、mは1〜6であり、Xは、Gly、His、Tyr、Trp、Val、Leu、Ser、Lys、Phe、Met、Ala、Glu、Ile、Thr、Asp、Asn、Gln、Arg、Cys、およびProからなる群から選ばれる。)で示される交互または複数ヒスチジン残基の組み合わせを含んでいてよく、これをNi2+結合金属樹脂を用いるアフィニティ精製技術に用いることができる。例えば、米国特許4,569,794、5,310,663、5,284,933、および5,594,115参照(この内容は本明細書の一部を構成する)。好ましくは、スペーサードメインのアミノ酸は本明細書に記載の開裂可能な部位の第2コピーを含まない。ハイブリッドポリペプチドが金属樹脂と結合したら、その付随金属イオン結合リガンドのプロトン化によりハイブリッドポリペプチドを放出させることができる。解離は、結合タンパク質を溶出するための当該分野で知られた一般的方法である、周囲緩衝媒質のpHを下げることにより達成される。
【0039】
本発明のある態様において、同定ポリペプチドは、単一エンテロキナーゼ開裂部位を含むリンキング配列と結合するFLAT(登録商標)ペプチド配列と一般的に対応する抗原性ドメインの複数コピーを含む。そのような同定ポリペプチドは一般的には下記配列に対応する。
X20-(X1-Y-K-X2-X3-D-X4)n-X5-(X1-Y-K-X7-X8-D-X9-K)-X21
[ここで、D、Y、およびKはその代表的アミノ酸である。
X20およびX21は独立して水素または結合である。
X1およびX4は独立して結合であるか、または結合でない場合は少なくとも1個のアミノ酸残基、好ましくは芳香族アミノ酸残基および親水性アミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも1個の親水性アミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも1個のアスパラギン酸残基である。
X2、X3、X7、およびX8は、それぞれ独立してアミノ酸残基、好ましくは芳香族アミノ酸残基および親水性アミノ酸残基からなる群から選ばれるアミノ酸残基、より好ましくは親水性アミノ酸残基、さらにより好ましくはアスパラギン酸残基である。
X5は結合、または結合でない場合は好ましくはヒスチジン残基、グリシン残基、またはHis-Gly-Hisまたは-(His-X)m-(ここで、mは1〜6であり、XはGly、His、Tyr、Trp、Val、Leu、Ser、Lys、Phe、Ala、Glu、Ile、Thr、Asp、Asn、Gln、Arg、Cys、およびProからなる群から選ばれる)を含む複数もしくは交互ヒスチジン残基の組み合わせを含むスペーサードメインである。
X9は結合またはDである。
nは少なくとも2である。]
【0040】
この態様において、アミノ酸配列、X20-(X1-Y-K-X2-X3-D-X4)nは、リンキング配列(X1-Y-K-X7-X8-D-X9-K)と連結するタンデムに連結した抗原性ドメイン-X1-Y-K-X2-X3-D-の複数コピーを表す。X4が結合であり、所望によりX4は抗原性ドメインの複数コピー間に挿入されたスペーサー基であってよいときは、抗原性ドメインは互いに直近にあってよい。リンキング配列は、配列:-X7-X8-D-X9-K(ここでX7およびX8はアミノ酸残基または結合であり、X9は結合またはアスパラギン酸残基である)で示される単一エンテロキナーゼ開裂部位を含む。好ましい態様において、X7、X8およびX9はそれぞれ独立してエンテロキナーゼで開裂可能な部位DDDDK (配列番号3)を生じるアスパラギン酸残基であり、これは標的ペプチドのアミノ末端の直近に位置することが好ましい。X5が結合であり、所望によりX5がリンキング配列と抗原性ドメインの間に挿入されたスペーサードメインであってよい場合は、抗原性ドメインの複数コピーはリンキング配列の直近にあってよい。X4およびX5がそれぞれ独立してスペーサードメインである場合は、各X4およびX5のアミノ酸残基は、同定ポリペプチドに1またはそれ以上の所望の特性をもたらすことが好ましく、例えば、スペーサードメインのアミノ酸は同定ポリペプチドに所望のホールディングをもたらすことにより抗体に対する接近性を増大させるように選ぶことができる。別の好ましい態様において、スペーサードメインX4およびX5のアミノ酸は、樹脂または他のマトリックス上の固定化金属イオンとキレーティングすることができる複数または交互ヒスチジン残基の組み合わせのような所望の親和性特性をもたらすように選択してよい。さらに、これら所望の特性を同定ポリペプチドの他の領域内に設計してよく、例えばX2およびX3で示されるアミノ酸は、アフィニティ精製に用いるための所望のペプチドホールディングまたは所望のアフィニティ特性をもたらすように選んでよい。
【0041】
より好ましい態様において、同定ポリペプチドは抗原性ドメインの複数コピー、単一エンテロキナーゼ開裂部位を含むリンキング配列を含み、一般的には下記配列に対応する。
X20-(D-Y-K-X2-X3-D)n-X5-(D-Y-K-X7-X8-D-X9-K)-X21
[ここで、D、Y、およびKはその代表的アミノ酸である。
X20およびX21は独立して水素または結合である。
X2、X3、X7、およびX8は、それぞれ独立してアミノ酸残基、好ましくは芳香族アミノ酸残基および親水性アミノ酸残基からなる群から選ばれるアミノ酸残基、より好ましくは親水性アミノ酸残基、さらにより好ましくはアスパラギン酸残基である。
X5は結合、または結合でない場合は少なくとも1個のアミノ酸、好ましくはヒスチジン残基、グリシン残基、またはHis-Gly-Hisまたは-(His-X)m-(ここで、mは1〜6であり、XはGly、His、Tyr、Trp、Val、Leu、Ser、Lys、Phe、Met、Ala、Glu、Ile、Thr、Asp、Asn、Gln、Arg、Cys、およびProからなる群から選ばれる)を含む複数もしくは交互ヒスチジン残基の組み合わせを含むスペーサードメインである。
X9は結合またはアスパラギン酸残基である。
nは少なくとも2である。]
【0042】
この態様において、アミノ酸配列X20-(D-Y-K-X2-X3-D)nは、リンキング配列(D-Y-K-X7-X8-D-X9-K)と連結するタンデムに並んだ抗原性ドメインD-Y-K-X2-X3-Dの複数コピーを表す。この態様において、ある抗原性ドメインは別の抗原性ドメインの直近にあり(すなわち、介在スペーサードメインがない)、X5が結合であるときは、抗原性ドメインの複数コピーはリンキング配列の直近にある。リンキング配列は、配列-X7-X8-D-X9-K(ここで、X7およびX8は結合またはアミノ酸残基、好ましくはアスパラギン酸残基であり、X9は結合またはアスパラギン酸残基である)で示される単一のエンテロキナーゼで開裂可能な部位を含む。好ましい態様において、X7、X8、およびX9はそれぞれ独立してアスパラギン酸残基であり、好ましくは標的ペプチドのアミノ末端の近傍にあるエンテロキナーゼで開裂可能な部位DDDDK (配列番号3)を生じる。所望により、X5が少なくとも1個のアミノ酸残基であるときは、抗原性ドメインの複数コピーはスペーサーX5によりリンキング配列と連結する。X5がスペーサードメインであるときは、X5のアミノ酸残基が同定ポリペプチドに1またはそれ以上の所望の特性をもたらすことが好ましく、例えば、スペーサードメインのアミノ酸は、同定ポリペプチドに所望のホールディングをもたらすことにより抗体に対する接近性が増大するように選んでよい。別の好ましい態様において、スペーサードメインのアミノ酸は、樹脂または他のマトリックス上の固定化金属イオンとキレーティングすることができる複数または交互ヒスチジン残基の組み合わせのような望ましいアフィニティ特性をもたらすように選んでよい。さらに、これら所望の特性は同定ポリペプチドの他の領域中に設計してよく、X2およびX3で示されるアミノ酸は、アフィニティ精製に用いるための望ましいペプチドホールディングまたは所望のアフィニティ特性をもたらすように選んでよい。
【0043】
同定ポリペプチドが標的ペプチドのアミノ末端に位置するときは、イニシエーターのメチオニンが存在するように同定ポリペプチドのアミノ酸配列を設計することが望ましい。したがって、本発明の好ましい態様において、同定ポリペプチドは抗原性ドメインの複数コピー、単一エンテロキナーゼ開裂部位を含むリンキング配列を含み、一般に以下の配列に対応する。
X20-X10-(D-Y-K-X2-X3-D)n-X5-(D-Y-K-X7-X8-D-X9-K)-X21
[ここで、D、Y、およびKはその代表的アミノ酸である。
X20およびX21は独立して水素または結合である。
X10は結合またはアミノ酸であり、結合でないときはメチオニン残基であることが好ましい。
X2、X3、X7、およびX8は、それぞれ独立してアミノ酸残基、好ましくは芳香族アミノ酸残基および親水性アミノ酸残基からなる群から選ばれるアミノ酸残基、より好ましくは親水性アミノ酸残基、さらにより好ましくはアスパラギン酸残基である。
X5は結合、または結合でない場合は少なくとも1個のアミノ酸、好ましくはヒスチジン残基、グリシン残基、またはHis-Gly-Hisまたは-(His-X)m-(ここで、mは1〜6であり、XはGly、His、Tyr、Trp、Val、-Leu、-Ser、-Lys、-Phe、-Met、Ala、Glu、Ile、Thr、Asp、Asn、Gln、Arg、Cys、およびProからなる群から選ばれる)を含む複数もしくは交互ヒスチジン残基の組み合わせを含むスペーサードメインである。
X9は結合またはアスパラギン酸残基である。
nは少なくとも2である。]
【0044】
この態様において、アミノ酸配列、X20-(D-Y-K-X2-X3-D)nは、リンキング配列(D-Y-K-X7-X8-D-X9-K)およびイニシエーターアミノ酸X10、好ましくはメチオニンと側面を接する縦に一列に並んだ抗原性ドメインD-Y-K-X2-X3-Dの複数コピーを表す。イニシエーターのメチオニンを有する抗原性ドメインD-Y-K-X2-X3-DはM5抗体により認識される。この態様において、ある抗原性ドメインは別の抗原性ドメインの直近にあり(すなわち、介在スペーサードメインなし)、X5が結合であるとき、抗原性ドメインの複数コピーはリンキング配列の直近にある。リンキング配列は、アミノ酸配列-X7-X8-D-X9-K(ここで、X7およびX8は結合またはアミノ酸残基、好ましくはアスパラギン酸残基であり、X9は結合またはアスパラギン酸残基である)で示されるエンテロキナーゼで開裂可能な部位を含む。好ましい態様において、X7、X8、およびX9はそれぞれ独立してアスパラギン酸残基であり、好ましくは標的ペプチドのアミノ末端近傍にあるエンテロキナーゼで開裂可能な部位 DDDDK (配列番号3)を生じる。所望により、X5が少なくとも1個のアミノ酸残基であるとき、抗原性ドメインの複数コピーはスペーサードメインX5によりリンキング配列と連結する。X5がスペーサードメインであるときは、X5のアミノ酸残基は同定ポリペプチドに1またはそれ以上の所望の特性をもたらすことが好ましく、例えばスペーサードメインのアミノ酸は同定ポリペプチドに所望のホールディングをもたらすことにより抗体に対する接近性を増大させるように選んでよい。別の好ましい態様において、スペーサードメインのアミノ酸は樹脂または他のマトリックス上の固定化金属イオンとキレーティングすることができる複数または交互ヒスチジン残基の組み合わせのような所望のアフィニティ特性をもたらすように選んでよい。さらに、これら所望の特性は同定ポリペプチドの他の領域中に設計してよく、X2およびX3で示されるアミノ酸はアフィニティ精製に用いるための望ましいペプチドホールディングまたは所望のアフィニティ特性をもたらすように選んでよい。
【0045】
本発明の別の態様において、同定ポリペプチドは抗原配列の複数コピー、単一エンテロキナーゼ開裂可能部位を含むリンキング配列を含み、一般的に配列に対応する:
X20-(D-X11-Y-X12-X13)n-X14-(D-X11-Y-X12-X13-D-X15-K)-X21
[ここで、D、Y、およびKはその代表的アミノ酸である。
X20およびX21は独立して水素または結合である。
各X11は結合、またはアミノ酸残基、好ましくはLである。
各X12は、好ましくは芳香族アミノ酸残基および親水性アミノ酸残基からなる群から選ばれるアミノ酸、より好ましくは親水性アミノ酸残基、さらにより好ましくはアスパラギン酸残基である。
各X13は結合、または結合以外であるときは好ましくは芳香族アミノ酸残基および親水性アミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1個のアミノ酸、より好ましくは親水性アミノ酸残基、さらにより好ましくはアスパラギン酸残基である。
X14は結合、または結合以外であるときは好ましくはヒスチジン残基、グリシン残基、またはHis-Gly-Hisまたは-(His-X)m-(ここで、mは1〜6であり、XはGly、His、Tyr、Trp、Val、Leu、Ser、Lys、Phe、Met、Ala、Glu、Ile、Thr、Asp、Asn、Gln、Arg、Cys、およびProからなる群から選ばれる)を含む複数もしくは交互ヒスチジン残基の組み合わせを含むスペーサードメインである。
X15は結合またはアスパラギン酸残基である。
nは少なくとも2である。]
【0046】
この態様において、アミノ酸配列X20-(D-X11-Y-X12-X13)nはリンキング配列(D-X11-Y-X12-X13-D-X15-K)と連結したタンデムに並ぶ抗原性ドメインD-X11-Y-X12-X13の複数コピーを表す。さらに、1つの抗原性ドメインは別の抗原性ドメインの直近にあり(すなわち、介在スペーサードメインなし)、そしてX14が結合であるときは、抗原性ドメインの複数コピーはリンキング配列の直近にある。該リンキング配列は、配列:-X12-X13-D-X15-K(ここで、X12およびX13は結合またはアミノ酸残基、好ましくはアスパラギン酸残基であり、X15は結合またはアスパラギン酸残基である)で示される単一エンテロキナーゼ開裂可能な部位を含む。好ましい態様において、X12、X13、およびX15はそれぞれ独立してアスパラギン酸残基であり、好ましくは標的ペプチドのアミノ末端の近傍にあるエンテロキナーゼで開裂可能な部位 DDDDK (配列番号3)を生じる。所望により、抗原性ドメインの複数コピーは、X14が少なくとも1個のアミノ酸残基であるときはスペーサーX14によりリンキング配列と連結する。X14がスペーサードメインであるときは、X14のアミノ酸残基は同定ポリペプチドに1またはそれ以上の所望の特性をもたらし、例えば、スペーサードメインのアミノ酸は同定ポリペプチドに所望のホールディングをもたらし、抗体に対する接近性を増大させるように選んでよい。別の好ましい態様において、スペーサードメインX14のアミノ酸は所望のアフィニティ特性、例えば樹脂または他のマトリックス上で固定化金属イオンとキレーティングすることができる複数または交互ヒスチジン残基の組み合わせをもたらすように選んでよい。
【0047】
標的ペプチド
本発明によれば、標的ペプチドは形質転換宿主細胞中に発現することができるあらゆるタンパク質様物質を含んでいてよい。したがって、本発明は、形質転換宿主細胞中でベクターにより発現させることができるあらゆる原核性もしくは真核性の単純もしくはコンジュゲートタンパク質を実質的に生成するのに好都合に用いてよい。そのようなタンパク質には酵素、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、またはリガーゼが含まれる。
【0048】
本発明は、貯蔵タンパク質、例えばフェリチンもしくは卵白アルブミン、または輸送タンパク質、例えばヘモグロビン、血清アルブミンもしくはセルロプラスミンの生成も予期させる。収縮および運動系に作用するタイプのタンパク質、例えばアクチンおよびミオシンも含まれる。
【0049】
本発明は、防御または防衛機能に役立つタンパク質、例えば血液タンパク質フィブリノーゲンの生成も予期する。他の防御タンパク質には、結合タンパク質、例えば抗原と結合して中和する抗体または免疫グロブリンが含まれる。
【0050】
本発明により産生されるタンパク質には、種々のホルモン、例えばヒト成長ホルモン、ソマトスタチン、プロラクチン、エストロン、プロゲステロン、メラノサイト、サイロトロピン、カルシトニン、ゴナドトロピン、およびインスリンも含まれてよい。他のそのようなホルモンには、免疫系に関与する同定されたもの、例えばインターロイキン1、インターロイキン2、コロニー刺激因子、マクロファージ活性化因子、およびインターフェロンが含まれる。
【0051】
本発明は毒性タンパク質、例えばトウゴマ由来のリシン、または綿亜麻仁由来のゴシピンの生成にも応用できる。
【0052】
構造的要素として役立つタンパク質を本発明により生成してよく、そのようなタンパク質には繊維性タンパク質コラーゲン、エラスチン、およびα−ケラチンが含まれる。他の構造タンパク質には糖タンパク質、ウイルスタンパク質、およびムコタンパク質が含まれる。
【0053】
上記天然タンパク質に加えて、本発明は、あらゆる非天然のアミノ酸配列として一般的に定義される合成タンパク質を生成するのに用いてよい。
【0054】
先に同定された種々のタイプのタンパク質をコードする遺伝子は、種々の原核性または真核性供給源、例えば植物もしくは動物細胞または細菌細胞から得てよい。該遺伝子は標準的なよく知られた技術を用いてこれら細胞の染色体物質または原核細胞のプラスミドから単離することができる。多くの種々のタンパク質分子をコードする遺伝子を有する種々の天然および合成のペプチドについては種々の供給源からの市販品を利用できない。所望のDNAは、酵素逆転写酵素を用いてmRNAから生成することもできる。この酵素はRNAの鋳型からDNAの合成を可能にする。
【0055】
DNA発現ベクターの製造
本発明によれば、標的ペプチドをコードする遺伝子が単離もしくは合成されるか、または他の方法で得られたら、同定ポリペプチドをコードする合成DNA断片と連結する。
同定ポリペプチド遺伝子はよく知られた技術により合成してよい。同定ポリペプチドの選択した組成物について、同定ポリペプチドの所望のアミノ酸をコードするDNAオリゴマーは、当該分野でよく知られた方法で、市販の自動DNA合成装置を用いて合成してよい。DNAを合成するための技術および装置は当該分野で一般的で知られており、これを実施するための説明および詳細は本明細書に完全には記載しない。実質的に、本方法は、合成オリゴヌクレオチド対を得、それを適切な制限エンドヌクレアーゼで消化することを含む。これにより同定ポリペプチドタグをコードする正しいヌクレオチド配列が生成される。消化後、コーヘシブな(cohesive)、すなわち「突出末端」を有する種々のDNA断片が形成される。そのような構築を行うには多くの方法があるが、好ましい態様にはタンデムに並ぶ複数FLAG(登録商標)エピトープ配列またはその変形物が含まれる。
【0056】
同定ポリペプチドの構築に用いるオリゴヌクレオチド対は天然であるかまたは合成的に生じるものであってよい。特異的なオリゴヌクレオチド対は、所望の同定ポリペプチドタグのアミノ酸配列を生成するように合成的に生成されたものが一般的に好ましい。各オリゴヌクレオチドの鎖を一緒にアニールし、適切な制限エンドヌクレアーゼ、例えばEcoRIおよびHind IIIで消化する。ヌクレオチドカセットを消化および作製後、DNAシーケンシングにより配列を確認する。
【0057】
後述するように、同定ポリペプチドをコードする合成DNAオリゴマーを所望のタンパク質をコードするDNA配列と結合させ、次いで結合DNA断片を適切な発現ベクターと結合させて適切な宿主細胞に形質転換するためのクローニングビークルを形成させてよい。
【0058】
標的ペプチド遺伝子および同定ポリペプチド遺伝子に加えて、必要であればハイブリッドDNA断片は宿主細胞中で高レベルにタンパク質を翻訳するためのリボソーム結合部位、翻訳開始コドン(ATG)、およびプロモーターを含んでいてよい。
【0059】
一般的に、標的ペプチドおよび同定ポリペプチドをコードする遺伝子は、理想的には適切な制限酵素で処理されるか、または他の方法で、互いのそしてプラスミドもしくは他のタイプのクローニングベクターとのライゲーションを促がすために突出末端を有するように操作される。クローニングベクターは、好ましくは外来遺伝子と結合する前に外来遺伝子に相補的な突出(cohesive)末端(すなわち、「突出(sticky)末端」を形成させるのに用いるのと同じ制限エンドヌクレアーゼで消化される。あるいはまた、ある種の制限酵素(例えばPvu II、Bal I)を用いることにより、一般的には「スクウェア(square)」または「平滑末端」と呼ばれる相補的な突出配列を持たない末端を形成してよい。プラスミドのスクウェア末端を適切なリガーゼを用いて外来遺伝子と連結することができる。さらに、種々の技術を用いて平滑末端の核酸を操作して突出末端を形成するか、例えばリンカー分子を用いてヌクレオチド塩基を加えるか、または適切な酵素を用いてフラッシュ末端からヌクレオチド塩基を除去してよい。これを達成するための方法と物質(材料)は当該分野でよく知られている。
【0060】
PCRは既知遺伝子(平滑または突出部位内の)をクローニングするのに有効な道具でもある。プライマーは25〜40塩基の既知配列をコードすることができ、得られたPCR生成物を、T4 DNAポリメラーゼを用いてあらゆる考えられる3'側のオーバハングを除去することにより平滑末端を有する消化ベクターにクローンすることができる。PCR反応を用いて配列を連結する別の方法は、増幅DNAの末端に制限部位を生成することである。この制限部位は増幅に用いるプライマーの5'末端に容易に付加される。精製PCR生成物の消化により適合性末端を有する他のDNAと結合するための末端が生じる。
【0061】
制限エンドヌクレアーゼで選択されたプラスミドを消化することにより2またはそれ以上のDNA断片が形成されることは予期されよう。クローニングベクターを形成するのに用いる断片、すなわち表現型的に同一な遺伝子、レプリコンおよび他の所望の成分を有する断片を、ゲル電気泳動のようなよく知られた技術により同定することができよう。
【0062】
得られるクローニングベクターを用いて宿主微生物を形質転換する。形質転換体を単離し、外来遺伝子の存在と、該遺伝子がベクター内で適切な方向にあるかについて分析する。次に、形質転換体を培養中で増殖させ、ベクターを複製させて求めるハイブリッドポリペプチドを高レベルの発現を得る。さらに、クローニングベクターを用いてヘテロローガスなハイブリッドポリペプチドを大規模に産生するために選択した他の宿主系または他のタイプの宿主を形質転換してよい。組換えベクターを作製し、該ベクターで宿主細胞を形質転換し、該ベクターを複製し、ポリペプチドおよびタンパク質を発現させる種々の手順および方法はOldおよびPrimrose, Principles of Gene Manipulation, (第2版、1981)に記載されている。
【0063】
本発明を実施するには種々のクローニングベクターを利用してよい。プラスミドを用いるのが好ましいが、ベクターはバクテリオファージやコスミッドであってよい。哺乳動物または宿主細胞中でクローニングを行う場合はウイルスをベクターに用いてよい。プラスミドを用いる場合は天然の供給源から得るか、または人工的に合成してよい。選択した特定のプラスミドは、宿主として用いる特定の細胞、Escherichia coli (E. coli)のような細菌、酵母、または他の単細胞微生物と適合性でなければならない。プラスミドは選択した特定の宿主細胞のための適切な複製起点(レプリコン)を持たなければならない。
【0064】
さらに、プラスミドのサイズは標的ペプチドと同定ポリペプチドの両方をコードするハイブリッド遺伝子を保持するのに十分で、可能な限り低分子でなければならない。低分子はせん断による損傷に対してより抵抗性であり、宿主細胞からより容易に単離される。天然の供給源から得る場合は、通常複数コピーとして存在するので、単離が容易になる。低分子量プラスミドは制限エンドヌクレアーゼに対する複数の基質部位を持つ可能性も低い。
【0065】
プラスミドクローニングベクターに対する別の必要条件は、レプリコンの不活化を生じることなく続いて外来遺伝と結合させるために適切な制限酵素でプラスミドを開裂することができるような制限部位が存在することである。このためにはプラスミドが多数の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の基質部位を有することが有用であろう。
【0066】
上記のごとく、同定ポリペプチドの複数抗原性ドメイン間にはアミノ酸スペーサードメインが介在していてよい。これらスペーサードメインの設計において特定のアミノ酸を示すトリプレットDNA配列(すなわちコドン)を変化させることにより、コードされる同定ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなくその設計された配列を認識し、開裂させる酵素に対する複数の制限酵素部位を作製することが可能である。複数の制限部位がDNAベクターと標的ペプチドをコードするDNA配列の両方に存在する可能性を減らすために、認識部位中に最小6塩基を有する制限酵素に対する認識部位をコードする配列を用いることが好ましい。
【0067】
同様に、リンキング配列を用いて、標的ペプチドをコードするDNA配列を同定ポリペプチドの複数の抗原性ドメインをコードするDNA配列と結合する。リンキング配列の設計において特定のアミノ酸を示すトリプレットDNA配列を変化させることにより、コードされた同定ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなく設計したそれらの配列を認識し、開裂させる酵素に対する制限部位を作製することができる。制限部位に最小6塩基を有する制限酵素の認識部位をコードする配列を使用するのが好ましく、これにより複数の制限酵素開裂可能部位がベクターと標的ペプチドをコードする配列の両方に存在する可能性が減少する。さらに、プラスミドは、形質転換宿主細胞が形質転換されていない細胞から簡単に同定および分離できるように表現型的特性を持つ必要がある。そのような表現型的選択遺伝子には、成長阻害物質、例えば抗生物質に対する耐性をもたらす遺伝子を含めることができる。種々の抗生物質、例えばテトラサイクリン、ストレプトマイシン、サルファ剤、ペニシリン、およびアンピシリンに耐性な遺伝子を含むプラスミドは広範には利用可能ではない。宿主細胞がこれら抗生物質の1つを含む培地中で増殖すると、適切な抗生物質耐性遺伝子を有する形質転換体のみが生存するであろう。
【0068】
形質転換宿主細胞を同定するのに成長阻害化合物に対する耐性遺伝子を利用する以外に、表現型選択遺伝子は、宿主細胞に必要な成長因子を欠く培地中で形質転換細胞が増殖できるように成長因子をもたらす遺伝子を含むこともできる。例えば、酵母栄養要求体のためのそのような成長因子にはトリプトファンやロイシンが含まれる。
【0069】
あるいはまた、シグナルペプチドをコードするDNA配列が同定ポリペプチドおよび標的ペプチドをコードする配列と連結することが好ましい。分泌シグナル配列を用いることにより、形質転換宿主細胞を容易に同定し、形質転換されていない細胞から分離することもできよう。分泌シグナルはほとんどの種で比較的短く、一般に16〜40アミノ酸を含む。さらに、細菌または真核性遺伝子由来のシグナル配列は機能が高度に保存されている。これらシグナルペプチドをコードするDNA配列は高度に保存されているが、これらシグナル配列の多くは互換性であることが示された。Grey, G. L.ら, Gene 39: 247 (1985)参照。
【0070】
組換えプラスミドの形質転換
所望のハイブリッドポリペプチドをコードする適切なDNAベクターが構築されたら、ベクターを所望の宿主細胞内に導入する。宿主細胞はあらゆる適切な原核細胞または真核細胞であってよいが、よく定義された細菌、例えばE. coliや酵母株が好ましい。そのような両宿主は容易に形質転換され、発酵培養中で急速に増殖することができる。E. coliの代わりに、他の単細胞微生物、例えば真菌および藻類を用いることができる。さらに、E. coliを、サルモネラや肺炎球菌のような他の形の細菌に置き換えてもよい。どんな宿主を選ぶにせよ、組換えプラスミドを開裂する制限酵素を含まず、表現型を発現するのに必要な生化学的経路、およびハイブリッドポリペプチドを適切に発現させるための他の機能を有する制限酵素を含まない宿主であるべきである。
【0071】
DNA分子を当該分野で知られた標準的プロトコールを用いて原核性および真核性宿主にトランスフェクトする。簡単には、原核性宿主細胞を塩化カルシウム溶液で処理してコンピテントにする(コンピテント細菌細胞は市販のものを利用でき、実験室でも容易に作製される)。この処理は細菌細胞によるDNAの取込みを可能にする。細菌細胞にDNAを導入する別の手段は、電気パルスを用いて細菌細胞によるDNAの取込みを可能にするエレクトロポーレーションである。同様に、酵母および高等真核生物を含む真核性宿主にDNA分子を導入するには、通常、標準的プロトコール、例えばリン酸カルシウム-DNA共沈殿、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、エレクトロポーレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染、粒子衝撃(例えばバイオリスティクス(biolistics))を用いる。
【0072】
形質転換プロトコールでは細胞によるプラスミドの取込みが限られるため宿主細胞の小部分のみが実際に形質転換される。すなわち、形質転換体を単離する前に、典型的には形質転換プロトコールに用いる宿主細胞を適切な培地中で増殖させる。実際に形質転換された細胞は、抗生物質のような表現型同定物質を含む適切な成長培地を含む寒天平板上に元培養を接種することにより同定することができる。適切な耐性遺伝子を有する該細胞のみが生存するであろう。生存するコロニーの細胞を溶解し、次いで溶解物からプラスミドを単離することができる。このようにして単離したプラスミドは、同時に統合された遺伝子が正しい方向に結合しているかを決定するために、制限エンドヌクレアーゼで消化し、次いでゲル電気泳動するか、または両方の他の標準的方法により特徴付けることができる。形質転換細胞が同定されたら、確立された技術、例えば発酵により増殖させることができる。さらに、回収したクローン化組換えプラスミドを用いて、他の細菌株や他の種類の宿主細胞を形質転換し、ハイブリッドポリペプチドを大規模に複製および発現させることができる。
【0073】
ハイブリッドポリペプチドの精製
形質転換宿主細胞により発現したハイブリッドポリペプチド分子は、好ましくはアフィニティクロマトグラフィー法により培養液、他の細胞物質などから単離される。このためには、カラムマトリックスに用いるための、ハイブリッドポリペプチドの同定ポリペプチドの抗原性ドメインに対する抗体を作製する必要がある。そのような抗体を作製するには、最初に同定ポリペプチドを合成し、次いでこれを用いて適切な動物を免疫して同定ポリペプチドに対する抗体を産生する。そのような抗体産生方法は米国特許4,851,341に開示されている(この内容は本明細書の一部を構成する)。抗体は酵素免疫測定法(ELISA)または他の適切なアッセイにより同定することができる。次に、ハイブリドーマ技術によりモノクローナルを作製することができる。好ましい抗体はFLAG(登録商標)モノクローナル抗体M1、M2、およびM5である。精製後、抗体をカラムマトリックスに結合させ、次いで形質転換宿主細胞由来抽出物をカラムにかけてハイブリッドポリペプチドを単離する。例えば、遊離同定ポリペプチドからの競合によりハイブリッドポリペプチドをカラムから溶出する。
【0074】
さらに、同定ポリペプチドがヒスチジン、グリシン、または複数もしくは交互ヒスチジン残基の組み合わせを含む場合は、Immobilized Metal Ion Affinity Chromatography(固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、IMAC)を別の標的ペプチドの単離および精製法として用いる。標的ペプチドおよび同定ポリペプチドを含むハイブリッドポリペプチドを生成し、固定化金属イオンを含むカラムを通すと、ハイブリッドポリペプチドは固定化金属イオンとキレートするであろう。該ハイブリッドポリペプチドが他の物質から単離されるように十分な時間、該ハイブリッドポリペプチドを固定化金属イオンとキレートさせるべきである。ハイブリッドポリペプチドが金属イオン樹脂と結合したら、ハイブリッドポリペプチドを、それが結合した金属イオン結合リガンドのプロトン化により放出させてよい。結合タンパク質を溶出するための当該分野で知られた一般的方法である周囲緩衝媒質のpHを低下させることにより解離を達成する。次に、標的ペプチドをさらに本明細書に記載のごとく同定ポリペプチドから開裂させてよい。
【0075】
他の方法を用いて標的ペプチドを検出、モニター、または単離してよい。そのような方法には、「Principles and Practice of Immunoassay」、PriceおよびNewman編, Stochton Press, 1991に記載の免疫沈降法やウエスタンブロッティングが含まれる。タンパク質混合物中の標的抗原を検出および定量するための鋭敏で特異的な技術として免疫沈降法を用いることは当業者に知られている。Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Maniatis, T.ら編 (1989) Cold Spring Harbor Press参照。簡単には、同定ポリペプチドの抗原性ドメインと結合することができる抗体、好ましくはFLAG(登録商標)モノクローナル抗体、M1、M2、またはM5を用いる免疫沈降試験を用いて該タンパク質を検出してよい。既述したように、細胞を同定ポリペプチドで形質転換し、培養液中で増殖させ、次いで溶解させて細胞が産生した標識タンパク質様物質溶液を得る。この溶液をモノクローナル抗体溶液とインキュベーションし、細胞中に形成された同定ポリペプチド標識タンパク質と抗体とのあらゆる複合体を沈降により検討する。次に、タンパク質/抗体複合体を沈降物から単離することができる。次いで、標識タンパク質の存在を通常の分析法、例えばタンパク質/抗体複合体の解離条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動および蛍光間接撮影法を用いて確認する。
【0076】
さらに、ウエスタンブロッティングは標的ペプチドを検出するのに用いる別のイムノアッセイ技術である。一般的に、少量の標的ペプチドをポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、次いでポリマーシートまたは膜に移す(ブロッティングによる)。次に、膜を、同定ポリペプチドの抗原性ドメインと結合する抗体、好ましくはFLAG(登録商標)モノクローナル抗体とインキュベーションする。次に、抗体-抗原を含む膜を第一抗体と特異的な第二標識抗体とインキュベーションする。同定ポリペプチドで標識したタンパク質をオートラジオグラフィのような知られた方法により検出および可視化してよい。
【0077】
精製ハイブリッド同定ポリペプチド/タンパク質分子からの成熟タンパク質の分離
アフィニティカラムまたはマトリックスと結合したまま除去しないかぎり、同定ポリペプチドをタンパク質分子から開裂させ、該タンパク質分子を同定ポリペプチドから分離し、次いで精製タンパク質を得てよい。これは、最初にハイブリッド同定ポリペプチド/タンパク質分子を緩衝液に懸濁することにより達成される。次いで、同定ポリペプチドのリンキング部分を含むアミノ酸残基に特異的なタンパク質分解酵素または他の化学的タンパク質分解剤を懸濁液に加える。精製物溶液に酵素が混入するのを防ぐために酵素をゲルマトリックスとカップリングさせてよい。既述のごとく、タンパク質分解酵素や化学的タンパク質分解剤は、同定ポリペプチドとタンパク質分子のリンキング部分の近傍アミノ酸残基間のハイブリッドポリペプチドを開裂させる。さらに既述のごとく、非限定的例として、該リンキングアミノ酸は配列:Asp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号3)を含んでいてよい。この特定のアミノ酸配列は、ウシ粘膜エンテロキナーゼの基質であるタンパク質トリプシノーゲン中に天然に生じることが知られているだけである。すなわち、この特定アミノ酸配列を用いるハイブリッド同定ポリペプチドタンパク質分子の酵素開裂がタンパク質分子自身の開裂も生じるとは非常に考えにくい。
【0078】
インキュベーション後、所望のタンパク質を以下のごとく精製する。タンパク質分解剤がゲルマトリックスに結合した酵素であれば、懸濁液を遠心し、ペレット(酵素-ゲルコンジュゲートを含む)を捨てる。上清は、緩衝剤の塩と、タンパク質生成物、開裂同定ポリペプチド、およびおそらく少量の非開裂ペプチド/タンパク質分子のみを含む。化学的開裂剤の場合は、ゲル遠心工程がなく、該溶液は、タンパク質生成物、同定ポリペプチド、および少量の非開裂ペプチド/タンパク質分子に加えて、残留化学物質および該化学物質の副産物を含むであろう。
【0079】
上記混入物質のほとんどはタンパク質生成物よりはるかに小さく、単純な方法、例えばゲルろ過や透析により効率的に除去することができる。そのような工程後には非開裂同定ポリペプチド/タンパク質分子のみがタンパク質生成物に混入したままであろう。タンパク質生成物からポリペプチド/タンパク質分子を除去するには、最初の生成培地からペプチド/タンパク質分子を除去するのに用いたのと同じ同定ポリペプチドに特異的な抗体が結合した第二アフィニティカラムに混合物を通す。抗体は不必要なポリペプチド/タンパク質分子を結合し、カラムからの溶出液はすべての夾雑(混入)物を含まず所望の生成タンパク質のみを含む。
【0080】
タンパク質分解による開裂に可溶性酵素を用いる場合は、タンパク質生成物は少量の酵素を含むことがあり、これは、溶液を酵素の固定化基質を含むアフィニティカラムを通すことにより除去することができる。それによって酵素はカラムに結合し、所望のタンパク質分子は通過する。
【0081】
既述のごとく、いくらかのタンパク質生成物は、まだ同定ポリペプチドが結合しており、所望の酵素活性を有するであろう。結果として、同定ポリペプチドはタンパク質分子から開裂する必要はなく、上記の開裂とそれに続く精製工程を行う必要がない。
さらに、同定ポリペプチドがタンパク質分子と結合したままの状況では同定ポリペプチドのリンキング部分は必要ない。その代わり、同定ポリペプチドは抗原性ドメインのみを含むことができる。この状況下では上記DNA発現ベクターの構築および製造方法を適切に修飾することができる。
以下の実施例は例示のためであって本発明を何ら限定するものではない。
【0082】
(実施例)
実施例1 : p3XFLAG-CMV-7の構築
材料と方法
P3XFLAG-CMV-7の構築
P3XFLAG-CMV-7を哺乳動物発現ベクターpCMV-5から構築した。トリプレットFLAG配列を2対の相補的オリゴヌクレオチドから構築した。最初のオリゴヌクレオチド対を以下のごとく合成した:
5'GAAGAATTCACCATGGACTACAAAGACCATGACGGTGATTATAAAGATCATGAT3' (配列番号8)、および
5'ATCATGATCTTTATAATCACCGTCATGGTCTTTGTAGTCCATGGTGAATTCTTC3' (配列番号9)。
第二対は以下の配列を用いて合成した:
5'GAAGATATCGATTACAAGGATGACGATGACAAGCTTGGG3'(配列番号10)、および
5'CCCAAGCTTGTCATCGTCATCCTTGTAATCGATATCTTC3' (配列番号11)。
第一オリゴヌクレオチド対を一緒にアニールし、EcoR Iで消化した。第二オリゴヌクレオチド対を一緒にアニールし、EcoR VおよびHind IIIで消化した。2対の消化ヌクレオチドカセットをCMV-5中に連結し、これをEcoR IおよびHind IIIで二重に消化した。配列をDNAシーケンシングにより確認した。
【0083】
pFLAG-CMV7-BAPの構築
成熟酵素のリーダー配列とN末端の4アミノ酸が欠失してるF. coli pho A遺伝子の修飾バージョンをベクターp3XFLAG-CMV-7中にサブクローンした。修飾配列をHind IIIおよびBgl IIによる二重消化によりpFLAG-ATS-BAPから切り出した。次に、断片をHind IIIおよびBam HIで二重消化したp3XFLAG CMV-7中にクローンし、p3XFLAG CMV-7-BAPを得た。phoAコーディング領域のN末端のヌクレオチド配列を確認した。
【0084】
トリプレットFLAG-ATS-BAPの構築
トリプレットFLAG配列のセンスおよびアンチセンス鎖をコードするオリゴヌクレオチドを合成し、T4ポリヌクレオチドキナーゼで5'リン酸化し、一緒にアニールした。pFLAG-ATS-BAPをNde IおよびHind IIIで消化し、ベクターをゲル電気泳動で精製した。アニールしたカセットを、T4 DNAリガーゼで二重消化したpFLAG-ATS-BAPベクターと結合させ、反応を一夜、16℃で16時間行った。Nru I消化により結合を強化し、次いで E. coli DH5α中に形質転換した。クローンを単離し、シーケンシングにより確認した。
【0085】
結果
出願人は、タンデムに並んだ3XFLAG配列を含むFLAG発現系の修飾バージョンを用いて哺乳動物宿主細胞中でタンパク質を発現させるためのベクターを構築した(図1)。この構築物は哺乳動物宿主細胞中で発現したタンパク質の検出限界を改善するために設計した。最初の2flagペプチドは修飾FLAG配列である。最初のFLAG(登録商標)エピトープはAsp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys (配列番号1)であり、最初の2flag認識配列は2配列間にGlyまたはIleスペーサー配列を有する Asp-Tyr-Lys Asp-His-Asp (配列番号12)である。これら交互配列は、種々の結合モチーフを決定するファージ表現試験から生じる。Miceliら, J. Immunological Methods 167: 279-287 (1994)参照。これにより、余分なエンテロキナーゼ認識/開裂可能部位を付加することなくさらなるFLAG抗体結合部位を導入することができる。
【0086】
p3XFLAG-CMV-7発現ベクターは、多くの哺乳動物細胞系中でクローン化遺伝子を構成性に発現させるのに必要なヒトサイトメガロウイルスプロモーター領域を含む。Kozakコンセンサス配列は、種々のクローニング戦略を可能にする複数クローニング部位と共に該ベクター中に提供される。複数クローニング部位は他に存在するCMV哺乳動物発現ベクターと適合性である。さらに、発現ベクターは、効率的な高レベルの一時的発現のためのSV40の複製起点と転写終止配列とポリアデニル化シグナルを含むヒト成長ホルモン由来のDNA断片を含む。p3XFLAG CMV-7は、E. coli中のプラスミドを選択するためのβ-ラクタマーゼ遺伝子を含む。
【0087】
実施例2: p3XFLAG-ATS-BAPの細菌における発現とタンパク質の精製
材料と方法
E. coli BL21 (DE3)を、実施例1の方法に従って作製したトリプレットFLAG BAP構築物を含む発現プラスミドで形質転換した。細胞を37℃で攪拌しながら100 μg/mlアンピシリン含有のテリフィックブロス中で増殖させた。培養をOD600= 4.0まで増殖させ、次いで最終濃度1mMのIPTGで誘導した。細胞培養をさらに37℃で3時間増殖させ、次いで遠心して回収した。細胞ペレットを50mM Tris-HCl(pH 8.0)に再懸濁し、細胞を超音波処理して破壊し、次いで遠心して細胞屑を除去した。上清を、50mM Tris-HCl pH 8.0, 150mM NaCl (TBS)で平衡化したM2アフィニティゲルに適用した。樹脂を20ベッド容量のTBSで洗浄し、次いでトリプレットFLAG BAPを5カラム容量の0.1 Mグリシン pH 3.5で溶出した。溶出タンパク質をプールし、1.0 M Tris-HCI pH 8.0でpH7.5に調整した。タンパク質含量をBradfordおよびε280=0. 7ml/mgを用いる吸光度の両方により決定した。
【0088】
ウエスタンブロット
精製3XFLAG-BAPおよびN-BAPを2X Laemlli緩衝液を用いて分離させ、5分間沸騰させ、次いで氷上に置いた。試料をLaemlli (Laemli, V., Nature, 227: 680-685 (1970))の方法を用い15% SDS-PAGEで分析し、次いでニトロセルロース膜に移した。膜を3%無脂肪乾燥ミルクを含むリン酸緩衝生理食塩水で1時間ブロックし、次いでTBS, 0.05% Tween 20 (TBS-T)で3回リンスした。膜をTBS-T中の最終濃度10μg/mlのM2抗体とインキュベーションし、次いでTBS-Tで3回リンスした。次に、膜をTBS-Tで1:10,000に希釈したヤギ抗ウサギIgG(全分子)ホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)と30分間インキュベーションし、次いでTBS-Tで3回洗浄した。FLAG標識タンパク質をHRPコンジュゲートで検出し、露出時間1〜30分間で製造業者の指示書に従ってECL (Amersham)およびKodak X-Omat MRフィルムを用いる化学ルミネッセンス検出法により可視化した。
【0089】
結果
トリプレットFLAG融合タンパク質が伝統的FLAT(登録商標)エピトープより鋭敏な反応を誘導するかどうかを検討するため、細菌性アルカリホスファターゼのトリプレットFLAGバージョンをE. coli中で発現させるために構築した。材料と方法に記載のごとく、ベクターp3XFLAG-ATS-BAPをE. coli中に形質転換し、次いで3XFLAG-BAPを発現させ、精製した。さらに伝統的FLAGS(登録商標)エピトープ:DYKDDDDK (配列番号1)を含むN-FLAG-BAPも発現させ、精製した。単一対トリプレットFLAG-BAP の感度の比較は、上記ウエスタンブロット分析により示した。図4は、M2抗FLAG抗体でプローブし、化学ルミネセンスで検出した精製1本鎖およびトリプレットflagのウエスタンブロットを示す。結果は、単一FLAG-BAP融合タンパク質と比べてトリプレットFLAG-BAPの検出限界が10倍増加することを明確に示している。出願人は、わずか1分間の暴露により精製3X Flag細菌アルカリホスファターゼの500 pgを検出できた。暴露時間が増すと、100pgの低さの検出が達成されたが、バックグラウンドが増加した。出願人は、ドットブロットおよびELISAアッセイにおいて少なくとも10倍検出が増大することも示した。
【0090】
実施例3: COS-7細胞中の3X細菌性アルカリホスファターゼの発現
材料と方法
COS-7細胞のp3XFLAG-CMV-7-BAPによるトランスフェクション
COS-7細胞を、10%ウシ胎児血清、4mM L-グルタミン、5μg/mlゲンタマイシンを含むDulbeccoの改良Eagles培地(DME)を用い35mm2プレート上で培養した。細胞を、5%CO2の加湿CO2インキュベーター中で37℃で増殖させた。p3XFLAG-CMV7-BAPプラスミドのトランスフェクションを、製造業者の指示書に従ってLipofectamine (Life Technologies Inc., Gaithersburg MD.)を用いて達成した。ベクターDNA 2μgをトランスフェクションに用いた。免疫染色をトランスフェクションの72時間後に行った。
【0091】
免疫染色
誘導の72時間後、細胞を50mM Tris-HCl pH 7.4, 150mM NaCl (TBS)で洗浄した。細胞を1:1 (v/v)メタノール-アセトン混合物で1分間固定した。固定した細胞をTBSで4回洗浄し、次いでTBS中の10μg/ml M2抗体-HRPコンジュゲートで1時間インキュベーションした。細胞をTBSで5回洗浄し、M2抗体-HRPコンジュゲートを新たに調製したTBS中の0.01 mg/ml o-ジアニシジン、0.015%過酸化水素で可視化した。細胞を約15分間染色した。
【0092】
結果
p3XFLAG-CMV-7-BAP (図2)を、材料と方法に記載のごとくCOS-7細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションして72時間後に、細胞を、抗FLAG M2 HRPコンジュゲートを用いる免疫染色により分析した。細胞の光学顕微鏡検査でM2抗体を検出し、図3に示すようにo-ジアニシジンで可視化した。
【0093】
考察
出願人は、検出感度が増大し、細胞内で発現するように設計された、タンデムに並ぶ複数FLAG(登録商標)エピトープを含む哺乳動物発現プラスミドp3XFLAG CMV-7を作製した。このベクターはCOS-7細胞中で効率的に発現するためのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびSV40複製起点を含む。さらに、E. coliから発現し、精製したトリプレットFLAG標識BAPの検出を単一FLAG標識BAPと比較した。
【0094】
哺乳動物および細菌系でタンパク質を検出および精製するためにFLAG(登録商標)エピトープタグを有効に用いた。出願人は、3つのFLAGエピトープの存在が精製細菌性アルカリホスファターゼの検出限界を有意に増大させることを示した。さらに、3X FLAG-BAPは、最初のFLAG(登録商標)ペプチドとの競合により抗FLAG M2アフィニティゲルで溶出することができない。しかしながら、3XFLAG BAPおよび1XFLAG-BAPは、3X FLAGペプチドを用いて抗FLAG M2アフィニティゲルから競合的に溶出することができる。p3XFLAG-CMV-7ベクターは哺乳動物細胞中でヘテロローガスなタンパク質を発現させ、検出するために設計され、存在するpFLAG-CMVベクターと適合性であり、単一FLAGおよびトリプレットFLAGを含むベクター間で容易にサブクローンすることができる。免疫染色の結果は、COS-7細胞中のpho A遺伝子の発現は3X FLAG配列を加えても有意には混乱しないことを示す。
【0095】
M2抗体は3X FLAG配列中の交互FLAGと反応する。反対に、M5抗体はM2抗体が示す感度の増大を示さなかった。ファージ表現を用いる最近の結果は、M2結合およびM5結合のための重要な残基がわずかに異なることを示した。M2抗体は配列: Asp-Tyr-Lys-XXX-XXX-Asp-XXX-XXX (配列番号13)を好むが、M5は、Asp-Tyr-XXX-XXX-Asp-Asp-XXX-XXX (配列番号14)を好む。トリプレットFLAG配列:Asp-Tyr-Lys-Asp-His-Asp (配列番号12)はM2抗体の結合においてM5抗体またはM1抗体の結合より明らかに好ましい。
【0096】
実施例4: 複数FLAGエピトープに対するFLAG M2抗体の結合分析
材料と方法
FLAGエピトープと結合するM2抗体の熱力学的分析を、OMEGA熱量計(Microcal)を用いる等温滴定測定法により測定した。すべての試料を0.05%アジ化ナトリウムを含むPBSに対して透析し、測定前に脱気した。すべての測定は25℃で行った。M2抗体の濃度は用いる試料に応じて15〜50μMであった。滴定剤の濃度は、1X BAPについては605μM、1X FLAGペプチドについては1110μM、3X BAPについては400μM、および3X FLAGペプチドについては580μMであった。4〜11μLの範囲の注入容量でベースラインが達成されるのに十分なように2.5〜3.0分毎に注入を行った。注入は、400rpmで攪拌しながら4〜10秒かけて行った。
【0097】
データ分析および適合はMicroCal供給のOriginソフトウエアを用いて行った。データの数値積分および希釈回数(ヒート)を引くことによりエンタルピーを得た。適合過程中エンタルピーのみを一定に保った理論曲線にデータを適合させて結合部位数、Ka値を求めた。
【0098】
結果および考察
1X FLAG系の場合、Kaは、値rが<1000(ここでr = KaMt(0)であり、Mt(0)は細胞中のM2抗体の初期濃度である)となるように十分小さかった。3X FLAG系については、Kaはタイトな結合系を示すr>1000となるよう十分大きく、Kaに関する正確な測定値は求めることができなかった。
出願人は、3つのエピトープをタンデムに並べることにより、表1に示すように1つのエピトープより等級のオーダーが十分大きな結合定数の増大をもたらすことを示した。
【0099】
表1
Figure 0004405125
【0100】
単一エピトープペプチドおよび単一エピトープBAPのKa値は同様であり、結合メカニズムが同等であることを示唆した。3エピトープ系については、ペプチドエピトープとBAP上のエピトープ両方のKa値も同等のメカニズムであることを示唆した。トリプルFLAG系で観察された検出レベルの増加は主として結合定数の増加による。
【0101】
本発明の他の特徴、目的および利点は当業者に明らかであろう。本明細書に記載の説明および例示は、当業者に本発明、その原理、およびその実用的応用を知らせるためのものである。当業者は、本発明を特定使用の必要性に最も適するように多くの形に適合させ、応用することができよう。したがって、本明細書に記載した本発明の特定の態様は本発明を網羅もしくは限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 3XFLAG-CMV-7複数クローニング部位およびFLAG配列のDNAおよびタンパク質配列を示す。
【図1B】 CMVプロモーター、ヒト成長ホルモン転写終止およびポリアデニル化部位、SV40複製起点、Col E1複製起点、およびβ-ラクタマーゼ遺伝子を示すp3XFLAG-CMV-7のプラスミドマップである。
【図2A】 p3xflag-CMV-7内へのphoAコーディング領域の挿入を示すp3xFLAG-CMV-7-BAPのベクターマップである。
【図2B】 pFLAG-ATS-BAP内へのphoAコーディング領域の挿入を示すp3XFLAG-ATS-BAPのベクターマップである。
【図3】 抗FLAG M2抗体を用いる精製3XFLAG-BAP (A)およびN-FLAG-BAP (B)のウエスタンブロットである。レーン(1) 0.5ng; (2) 1.0ng; (3) 2.0ng; (4) 5.0ng; および(5) 10ng。示した量はトランスファー前にゲルにロードした量である。
【配列表】
Figure 0004405125
Figure 0004405125
Figure 0004405125
Figure 0004405125
Figure 0004405125
Figure 0004405125

Claims (7)

  1. アミノ酸配列:
    X20-(D-Y-K-X2-X3-D-X4)n-X5-(D-Y-K-X7-X8-D-X9-K)-X21
    [ここで、X20およびX21は独立して水素または結合である。
    X4はそれぞれ独立して結合であるか、または芳香族アミノ酸残基、グリシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンからなる群から選ばれるアミノ酸残基である。
    X2、X3、X7、およびX8は、それぞれ独立して芳香族アミノ酸残基、 リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンからなる群から選ばれるアミノ酸残基である。
    X5は結合、またはイソロイシン、少なくとも1個のヒスチジン残基、少なくとも1個のグリシン残基、またはHis-Gly-Hisまたは-(His-X)m-(ここで、mは1〜6であり、XはGly、His、Tyr、Trp、Val、Leu、Ser、Lys、Phe、Met、Ala、Glu、Ile、Thr、Asp、Asn、Gln、Arg、Cys、およびProからなる群から選ばれる)を含む複数もしくは交互ヒスチジン残基の組み合わせを含むスペーサードメインである。
    X9は結合またはアスパラギン酸残基である。
    nは少なくとも2である。
    ここで、配列X7-X8-D-X9-Kで示される開裂部位は、抗原性ドメインD-Y-K-X2-X3-D中にないか、またはその複数コピー間に挿入されておらず、抗原性ドメインD-Y-K-X2-X3-Dは、アミノ酸配列D-Y-K-D-D-D-D-Kに特異性を有する抗体と結合することができる。]
    を含む標的ペプチド分子を精製するのに用いる同定ポリペプチド。
  2. アミノ酸配列:
    M-D-Y-K-D-H-D-G-D-Y-K-D-H-D-I-D-Y-K-D-D-D-D-K-X21
    [式中、X21は水素または結合である。]
    を含む請求項1記載の同定ポリペプチド。
  3. X21が水素である請求項1または2に記載の同定ポリペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の同定ポリペプチドをコードするDNA断片。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の同定ポリペプチドおよび標的ペプチドを含むハイブリッドポリペプチドをコードするDNAを含むDNA発現ベクター。
  6. a.請求項5記載のDNA発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、
    b.該形質転換宿主細胞から該標的ペプチドを取り出すことにより該標的ペプチドを単離および同定し、
    c.該同定ポリペプチドのリガンドアフィニティ特性を用いることにより標的ペプチドを精製することを含む標的ペプチドの製造方法。
  7. 標的ペプチドが免疫沈降法およびウエスタンブロッティングにより単離および同定される請求項6記載の方法。
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