JP4405064B2 - ポリエステル組成物成形体およびポリエステル組成物積層成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル組成物成形体およびポリエステル組成物積層成形体に関し、さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレートと特定の共重合ポリエステルとからなるポリエステル組成物からなる成形体および前記組成物からなる層を少なくとも1層有する積層成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、機械的強度、耐薬品性、耐油性、透明性などの性質に優れているため、フィルム、シート、トレイ、ボトル、カップ状容器などの成形体として広く用いられている。
これらの成形体は、用途によっては高いガスバリヤー性が要求される場合があり、ポリエステルに高いガスバリヤー性を付与する方法としては、例えば特定の共重合ポリエステルを用いて成形体を製造する方法などがある。
【0003】
ところで上記ガスバリヤー性の高い共重合ポリエステルからなる成形体を落としたりぶつけたりして割れた場合には脆性破壊を起こすことが多い。このとき成形体の脆性破壊を起こした部分や破片により怪我をすることがあり、危険であるため、このような容器は脆性破壊を起こしにくいことが望まれる。
本発明者らはこのような従来技術に鑑み、ガスバリヤー性に優れ、かつ脆性破壊をおこしにくいようなポリエステルについて鋭意検討した結果、ポリエチレンテレフタレートと特定の共重合ポリエステルとを特定の条件で溶融混練して得られたポリエステル組成物は上記のような要求を満たすことを見出して本発明を完成するに至った。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、ガスバリヤー性に優れ、かつ脆性破壊を起こし難いようなポリエステル組成物成形体およびポリエステル組成物積層成形体を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係るポリエステル組成物成形体は、
(A)ポリエチレンテレフタレート70〜95重量部と、
(B)イソフタル酸単位を80〜90モル%、テレフタル酸単位を20〜10モル%の割合で含むジカルボン酸成分単位と、エチレングリコール単位を35〜85モル%、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位を65〜15モル%の割合で含むジオール成分単位とを含む共重合ポリエステル30〜5重量部とを、
23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練してなるポリエステル組成物からなることを特徴としている。
【0006】
前記成形体としては、例えばシート、前記シートが熱成形されてなる成形体、射出成形体などが挙げられる。このような成形体の用途としては、例えば食品用容器がある。
本発明に係るポリエステル組成物積層成形体は、
(A)ポリエチレンテレフタレート70〜95重量部と、
(B)イソフタル酸単位を80〜90モル%、テレフタル酸単位を20〜10モル%の割合で含むジカルボン酸成分単位と、エチレングリコール単位を35〜85モル%、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位を65〜15モル%の割合で含むジオール成分単位とを含む共重合ポリエステル30〜5重量部とを、
23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練してなるポリエステル組成物からなる層(I)を少なくとも1層と、
熱可塑性樹脂(C)からなる層(II)を少なくとも1層有することを特徴としている。
【0007】
前記積層成形体としては、例えば積層シート、前記シートが熱成形されてなる積成形体、射出成形体などが挙げられる。このような積層成形体の用途としては、例えば食品用容器がある。
本発明に係るポリエステル組成物成形体およびポリエステル組成物積層成形体は、ガスバリヤー性に優れ、脆性破壊をすることが少ない。
【0008】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るポリエステル組成物成形体およびポリエステル組成物積層成形体について具体的に説明する。
本発明に係るポリエステル組成物成形体は、(A)ポリエチレンテレフタレートと(B)共重合ポリエステルとからなる。まずこれらのポリエステルについて説明する。
【0009】
(A)ポリエチレンテレフタレート
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート(A)は、従来知られているものであり、ジカルボン酸成分としてのテレフタル酸と、ジオール成分としてのエチレングリコールとを原料として、エステル化(またはエステル交換反応)、液相重縮合反応、次いで、必要に応じて固相重縮合反応させることによって製造される。
【0010】
このポリエチレンテレフタレート(A)は、そのジカルボン酸単位を100モル%とするとき、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分単位を20モル%以下、好ましくは、10モル%以下、さらに好ましくは、5モル%以下の割合で含有していてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレート(A)は、ジオール成分単位を100モル%とするとき、エチレングリコール以外の他のジオール成分単位を20モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下の割合で含有していてもよい。
【0011】
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分単位としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などから導かれる成分単位が挙げられる。これらのなかでは、イソフタル酸が好ましい。
【0012】
また、エチレングリコール以外のジオール成分単位として、例えばジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などから導かれる成分単位が挙げられる。これらのなかでは、ジエチレングリコールまたはシクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0013】
このようなポリエチレンテレフタレート(A)は、エチレンテレフタレート成分単位単独で、またはエチレンテレフタレート成分単位とジオキシエチレンテレフタレート成分単位がランダムに配列して、エステル結合を形成することによって、実質的に線状のポリエステルを形成している。ポリエチレンテレフタレートが実質的に線状であることは、ポリエチレンテレフタレートがo-クロロフェノールに完全に溶解することによって確認される。
【0014】
ポリエチレンテレフタレート(A)は、極限粘度[η](o-クロロフェノール中、25℃で測定した値、以下同じ。)は、通常0.6〜1.5dl/g、好ましくは、0.7〜1.2dl/gの範囲にある。また、融点は、通常210〜265℃、好ましくは、220〜260℃の範囲にある。ガラス転移温度は、通常、50〜120℃、好ましくは、60〜100℃の範囲にある。
【0015】
(B)共重合ポリエステル
本発明で用いられる共重合ポリエステル(B)は、イソフタル酸を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むジオール成分とを原料として上述したポリエチレンテレフタレート(A)と同様にして製造される。
共重合ポリエステル(B)は、ジカルボン酸成分単位を100モル%とするとき、イソフタル酸単位を50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%の割合で含有し、テレフタル酸単位を50〜0モル%、好ましくは30〜0モル%、より好ましくは20〜0モル%の割合で含有していてもよい。
【0016】
また共重合ポリエステル(B)は、ジオール成分単位を100モル%とするとき、エチレングリコール単位を15〜100モル%、好ましくは15〜99モル%、より好ましくは25〜99モル%、特に好ましくは35〜99モル%の割合で含有し、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位を85〜0モル%、好ましくは85〜1モル%、より好ましくは75〜1モル%、特に好ましくは65〜1モル%の割合で含有している。
【0017】
共重合ポリエステル(B)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位以外のジカルボン酸成分単位を例えば5モル%以下の量で含有していてもよく、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位以外のジカルボン酸成分単位としては、例えばo-フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などから導かれる成分単位が挙げられる。
【0018】
また共重合ポリエステル(B)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、エチレングリコール単位、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位以外のジオール成分単位を例えば5モル%以下の量で含有していてもよく、エチレングリコール単位、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位以外のジオール成分単位としては、例えばトリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香核を有するグリコール類;ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などから導かれる成分単位が挙げられる。
【0019】
さらに共重合ポリエステル(B)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、少なくとも3つのヒドロキシ基を有する多官能ヒドロキシ化合物または少なくとも3つのカルボキシル基を有する多官能カルボン酸を成分単位として有していてもよい。このような多官能ヒドロキシ化合物単位または多官能カルボン酸単位は、必要に応じて、ジカルボン酸100モル部に対して、0.05〜0.40モル部、好ましくは、0.1〜0.35モル部、さらに好ましくは、0.20〜0.35モル部の範囲で用いられる。
【0020】
上記多官能ヒドロキシ化合物としては、例えばグリセリン、1,1,1-トリメチロ−ルプロパン、1,1,1-トリメチロールエタンなどが挙げられるが、なかでも1,1,1-トリメチロールプロパンが好ましい。他方、多官能カルボン酸としては、例えば無水ピロメリット酸、トリメリット酸などが挙げられ。
共重合ポリエステル(B)は、極限粘度[η]が、通常0.5〜1.0dl/g、好ましくは0.65〜0.95dl/gの範囲にある。また、ガラス転移温度は、通常50〜75℃、好ましくは55〜70℃の範囲にある。
【0021】
組成物
ポリエステル組成物は、上記ポリエチレンテレフタレート(A)と上記共重合ポリエステル(B)とからなり、ポリエチレンテレフタレート(A)を70〜95重量部、好ましくは75〜95重量部、より好ましくは80〜95重量部、共重合ポリエステル(B)を30〜5重量部、好ましくは25〜5重量部、より好ましくは20〜5重量部(但し、(A)と(B)との合計量は100重量部である。)の量で溶融混練することにより製造することができる。
【0022】
ポリエチレンテレフタレート(A)と共重合ポリエステル(B)との溶融混練は、23℃で測定した延性破壊率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上となるように高混練する。なお延性破壊率は、厚さ0.5mmのシートについて後述する方法で測定する。
23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練する方法として具体的には、例えば樹脂に推進流が得られないような部位および/または樹脂に逆向きの推進流が発生するような部位を有するスクリューを有する押出機、シリンダとスクリューとの間隙が不均一な押出機、ニディングスクリューを多く有する押出機、あるいはこれらのスクリューを適宜組み合わせた押出機を用い、混練温度270〜315℃、好ましくは280〜310℃、混練時間60〜600秒、好ましくは70〜400秒の条件で溶融混練する方法が挙げられる。
【0023】
混練度の大体の目安は、リードスクリューの混練度を1とした場合、ニーディングスクリュー広巾は約2倍、ニーディングスクリュー正リードは約3倍、ニーディングスクリュー逆リードは約8倍の混練度となる。混練度が高くなる程、延性破壊率も高くなる傾向がある。よって前記目安を参考にしてスクリューアレンジメントを適宜工夫して延性破壊率を高めることが可能である。
【0024】
23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練しうる押出機の一例を図1に示す。図中(A)は、23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練しうる押出機のスクリューアレンジメントの一例を示す概略図であり、(B)は従来の押出機のスクリューアレンジメントの一例を示す概略図である。なお、図中1はホッパー、2はシリンダー、3ないし5および8はリードスクリュー、6はニーディングスクリュー広巾、7はニーディングスクリュー正リード、9はニーディングスクリュー逆リード、10はシールリングを示す。
【0025】
図1(A)に示すスクリューアレンジメントにおいて推進流が得られないような部位は6のニーディングスクリュー広巾の部位であり、また樹脂に逆向きの推進流が発生するような部位は9のニーディングスクリュー逆リードの部位および10のシールリングの部位である。
シート
ポリエステル組成物シートは、上記ポリエステル組成物を用い従来公知の方法で製造することができ、例えば単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用いて、溶融したポリエステル組成物をTダイなどから押し出すことにより成形することができる。
【0026】
このようにして得られたポリエステル組成物シートの厚さは、通常0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1.0mmの範囲にある。
本発明に係るポリエステル組成物シートは、脆性破壊を起こし難いため、破損した場合に、破損した部分や破片により怪我をすることが少ない。
積層シート
次に、本発明に係るポリエステル組成物積層シートについて説明する。
【0027】
本発明に係るポリエステル組成物積層シートは、上記ポリエステル組成物からなる層(I)と、後述するような熱可塑性樹脂(C)からなる層(II)とから構成されている。なお層(I)および層(II)は複数有していてもよい。
(C)熱可塑性樹脂
ポリエステル組成物積層シートを形成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル(上記ポリエステル組成物を除く。)、ポリアセタール、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドであることがより好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0028】
ポリオレフィンとしては、エチレン(共)重合体、アイソタクティックプロピレン(共)重合体が好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物がさらに好ましい。
このうちエチレン・酢酸ビニル共重合は、エチレン単位含量が15〜60モル%、好ましくは25〜50モル%であることが望ましく、また190℃で測定されるメルトフローレートが0.1〜500g/10分、好ましくは0.1〜400g/10分、さらに好ましくは1〜300g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0029】
エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物は、エチレン単位含量が15〜60モル%、好ましくは25〜50モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を、その鹸化度が50%以上、好ましくは90%以上になるように鹸化したものが望ましい。エチレン単位含量が上記のような範囲内にあると、熱分解しにくく、溶融成形が容易で、延伸性、耐水性に優れるとともに、耐ガス透過性に優れるため望ましい。また、鹸化度が50%以上であると、耐ガス透過性に優れるため望ましい。
【0030】
ポリエステル組成物積層シートでは、熱可塑性樹脂(C)からなる層(II)とポリエステル組成物からなる層(I)は、直接積層されていてもよく、各層の間に例えば無水マレイン酸をグラフト共重合したエチレン(共)重合体やプロピレン(共)重合体などの接着性樹脂からなる接着層を介在させてもよい。
本発明に係るポリエステル組成物積層シートを製造するには、ポリエステル組成物および熱可塑性樹脂を、それぞれ別個の押出機で溶融した後、二層構造のダイに供給し共押し成形する共押出し成形法、または予め、熱可塑性樹脂からなるシート、およびポリエステル組成物からなるシートを成形し、これらのシート間に接着性樹脂を溶融押出しするサンドイッチラミネート法などが採用できる。これらのうちでは、共押出し成形法が層間接着力に優れるため好ましい。
【0031】
接着層を有するポリエステル組成物積層シートを製造するには、ポリエステル組成物、接着性樹脂および熱可塑性樹脂を、それぞれ別個の押出機で溶融後、三層構造のダイに供給し、接着性樹脂が中間層となるように共押し成形する共押出し成形法、予め、ポリエステル組成物シートおよび熱可塑性樹脂シートを成形し、これらの両シート間に接着性樹脂を溶融押出しするサンドイッチラミネート法などが採用できる。
【0032】
共押出し成形法としてはフラット・ダイを用いるT−ダイ法とサーキュラー・ダイを用いるインフレーション法とがある。フラット・ダイはブラック・ボックスを使用したシングル・マニフォールド形式あるいはマルチ・マニフォールド形式のいずれを用いても良い。インフレーション法に用いるダイについてもいずれも公知のダイを用いることができる。
【0033】
このようなポリエステル組成物積層シートは、厚さが通常0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1.0mmの範囲にある。また各層の厚さは、用途に応じて適宜決定され得るが、ポリエステル組成物からなる層(I)は0.005〜1.5mm、好ましくは0.01〜1mm程度、熱可塑性樹脂からなる層(II)は0.005〜1.5mm、好ましくは0.01〜1mm程度であることが好ましい。
【0034】
接着層を設ける場合は、接着層の厚さは、通常0.005〜1.5mm、好ましくは0.01〜1mm程度である。
本発明に係るポリエステル組成物積層シートは、上記のような延性破壊率の高いポリエステル組成物シートを含んでいるので脆性破壊を起こし難い。
熱成形体
本発明に係る熱成形体は、上記ポリエステル組成物シートまたはポリエステル組成物積層シートを真空成形、圧空成形などの公知の方法で熱成形することにより製造することができる。成形時の成形条件については、公知の成形条件を採用することができる。このようにして得られた成形体において、熱成形によりほとんど延伸されていない部分は、熱成形前のポリエステル組成物シートと同様の延性破壊率を有している。
【0035】
このような成形体としては、トレイ、カップ状容器などの食品用容器が挙げられる。
射出成形体
本発明に係る射出成形体は、前記溶融混練方法により得られた組成物を用いて、射出成形することにより得られる。多層の射出成形の場合は、前記溶融混練方法により得られた組成物と、前記熱可塑性樹脂(C)を用いて、射出成形することにより得られる。射出成形の条件としては、従来公知の成形条件を採用することができる。例えば溶融成形の際の成形温度は、単層の場合260〜310℃、好ましくは280〜300℃、多層の場合は210〜310℃、好ましくは240〜280℃が好ましい。
【0036】
射出成形体が単層である場合、厚さが通常0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1.0mmの範囲にある。
射出成形体が多層である場合、厚さが通常0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1.0mmの範囲にある。各層の厚さは、用途に応じて適宜決定されるが、ポリエステル組成物からなる層(I)は、0.005〜1.5mm、好ましくは0.01〜1mm程度、熱可塑性樹脂(C)からなる層(II)は、0.005〜1.5mm、好ましくは0.01〜1mm程度であることが好ましい。なお層(I)および層(II)は複数有していてもよい。
【0037】
本発明に係る射出成形体は、前記のような延性破壊率の高いポリエステル組成物層を含んでいるので脆性破壊を起こしにくい。
このような成形体としては、トレイ、カップ状容器などの食品容器が挙げられる。
【0038】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物成形体およびポリエステル組成物積層成形体は、透明性、ガスバリヤー性に優れている。また脆性破壊を起こし難いので安全性に優れている。
【0039】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお極限粘度[IV]および酸素バリヤー性は以下のようにして測定した。
IV:135℃の混合溶液(フェノール/テトラクロロエタン)中に30分間溶解し、25℃まで冷却後同雰囲気下温度で測定した。
【0040】
酸素バリヤー性:JIS K7126のB法(透圧法)に準拠して測定した。
【0041】
【実施例1】
ポリエチレンテレフタレート(IV=1.3dl/g、以下「PET-1」という。)と、イソフタル酸90モル%と、テレフタル酸10モル%からなるジカルボン酸成分と、エチレングリコール85モル%と、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン15モル%とからなるジオール成分とから得られたポリエステル(以下「PEI」という。)とを重量比(PET-1/PEI)で90/10の割合で配合した原料を池貝社製PCM45二軸押出機(同方向回転、L/D=30)を用いて、シリンダー温度300℃、混練時間300秒で造粒した。このときスクリューは23℃で測定した衝撃試験の延性破壊率が80%以上となるような高混練タイプを用いた。具体的には、図1(A)に示すようなフィードゾーン以降の樹脂に推進流が得られないような部位および樹脂に逆向きの推進流が発生するような部位を有するスクリューを用いた。
【0042】
造粒後の原料を乾燥、冷却し、ステアリン酸マグネシウムを150ppm添加し、日立造船社製の単軸押出機(L/D=29)を用いて、成形温度310℃、ワイヤーピンニング方式で厚さ0.5mmのシートを形成した。
このシートを用いて以下のようにして延性破壊率を求めた。
得られたシートを50mm×50mmの四角形の板状に切削し、23℃に制御された試験室にデュポン衝撃試験機と、前記四角形に切削した測定用試料30枚を2時間放置した。その後、先端に一定の丸みを持つ撃ち型と、これに対応する形状の受台の間に測定用試料を1枚置き、0.5kgの試験荷重を1mの高さから撃ち型の上に自由落下させ衝撃を与えた。試料が割れると10cm低い90cmの高さから新たな測定用試料を受け台の間に置き、試験荷重は0.5kgのままで自由落下させた。割れなければまた10cm高い1mの高さから新たな測定用試料を受け台の間に置き、試験荷重は0.5kgのままで自由落下させた。こうして、10cm間隔のアップ・ダウン法により50%破壊に要するエネルギーを求めた。その後、割れた試料全破壊枚数と延性破壊した枚数から下記式により延性破壊率を求めた。結果を表1に示す。
【0043】
延性破壊率(%)=(延性破壊した枚数/全破壊枚数)×100
なお、シートが破壊した枚数とは、荷重一定で、10cm間隔のアップ・ダウン法により荷重を撃ち型の上に落下させ衝撃を与えたとき、その測定用試料が割れたり、ひび割れが入ったり、または光にかざしたときに光りが見える状態のものを意味し、延性破壊とは、シートがガラス状態またはひび割れ状態以外の破壊をしたことを意味する。
【0044】
【実施例2】
ポリエチレンテレフタレート(IV=0.85dl/g、以下「PET-2」という。)と、PEIとを重量比(PET-2/PEI)で90/10の割合で配合した原料を用い、成形温度を290℃としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ0.5mmのシートを成形し、実施例1と同様にして延性破壊率を求めた。結果を表1に示す。
【0045】
【比較例1】
ポリエチレンテレフタレート(IV=0.82dl/g、以下「PET-3」という。)を、乾燥、冷却し、ステアリン酸マグネシウムを150ppm添加し、日立造船社製の単軸押出機(L/D=29)を用いて、成形温度280℃、ワイヤーピンニング方式で厚さ0.5mmのシートを形成した。
【0046】
得られたシートを用い実施例1と同様にして延性破壊率を求めた。結果を表1に示す。
【0047】
【比較例2】
スクリューを標準混練タイプとし、成形温度を300℃としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ0.5mmのシートを成形した。具体的には、スクリューを図1(B)に示すような、フィードゾーン以降の樹脂は、比較的抵抗もなく推進流が得られるフルフライトを有するスクリューを用いた。
【0048】
得られたシートを用い実施例1と同様にして延性破壊率を求めた。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明で用いられる二軸押出機のスクリューアレンジメントの一例を示す概略図であり、(B)は従来の二軸押出機のスクリューアレンジメントの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 …ホッパー
2 …シリンダー
3〜5、8…リードスクリュー
6 …ニーディングスクリュー広巾
7 …ニーディングスクリュー正リード
9 …ニーディングスクリュー逆リード
10…シールリング
Claims (10)
- (A)ポリエチレンテレフタレート70〜95重量部と、
(B)イソフタル酸単位を80〜90モル%、テレフタル酸単位を20〜10モル%の割合で含むジカルボン酸成分単位と、エチレングリコール単位を35〜85モル%、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位を65〜15モル%の割合で含むジオール成分単位とを含む共重合ポリエステル30〜5重量部とを、
23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練してなるポリエステル組成物からなることを特徴とするポリエステル組成物成形体。 - 前記成形体は、厚さが0.05〜2mmの範囲にあるシートである請求項1に記載のポリエステル組成物成形体。
- 請求項2に記載のポリエステル組成物が熱成形されてなることを特徴とするポリエステル組成物成形体。
- 前記成形体は、射出成形体である請求項1に記載のポリエステル組成物成形体。
- 食品用容器である請求項1に記載のポリエステル組成物成形体。
- (A)ポリエチレンテレフタレート70〜95重量部と、
(B)イソフタル酸単位を80〜90モル%、テレフタル酸単位を20〜10モル%の割合で含むジカルボン酸成分単位と、エチレングリコール単位を35〜85モル%、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン単位を65〜15モル%の割合で含むジオール成分単位とを含む共重合ポリエステル30〜5重量部とが、
23℃で測定した延性破壊率が80%以上となるように高混練してなるポリエステル組成物からなる層(I)を少なくとも1層と、熱可塑性樹脂(C)からなる層(II)を少なくとも1層有することを特徴とするポリエステル組成物積層成形体。 - 前記成形体が、積層シートである請求項6に記載のポリエステル組成物積層成形体。
- 請求項7に記載の積層シートが熱成形されてなることを特徴とするポリエステル組成物積層成形体。
- 前記成形体は、射出成形体である請求項6に記載のポリエステル組成物積層成形体。
- 食品用容器である請求項6に記載のポリエステル組成物積層成形体。
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