JP4404886B2 - 車両用操舵制御装置および車両用操舵制御方法 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1に開示された技術では、低い車速時のハンドル中立点学習の停止は考慮されているが、路面状態や運転者の操作によって自動車の挙動(即ち、走行状態)が不安定になった場合にもハンドルの中立点の学習が行われてしまい、大きな誤差を生じてしまう可能性があるという課題がある。
即ち、特許文献2に開示された技術では、車輪間の回転速度偏差ΔVの値が閾値ε以下か否かを判定することでハンドルの中立位置を特定している。
しかし、車輪間の回転速度偏差ΔVの値が閾値ε以下か否かを判定することでは、ホイールアライメントの調整誤差や路面状態によって誤った中立位置を学習する可能性があるという課題がある。
また、従来技術には車輪間の回転速度偏差ΔVの値が閾値ε以下か否かを判定することでハンドルの中立位置を特定しているが、ホイールアライメントの調整誤差や路面状態によって誤った中立位置を学習する可能性があるという課題があった。
また、ホイールアライメントの調整誤差や路面状態によって左右されず、精度よくハンドルの中立点を得ることができる車両用操舵制御装置および車両用操舵制御方法を提供することを目的とする。
自動車の不安定走行状態を検出した場合に、中立点学習ステップにおける中立点学習条件を変更する学習条件変更ステップと、前記中立点学習ステップにおいて抽出した中立点学習信号と前記電動機のモータ回転方向に応じた極性符号と前記学習条件変更ステップにおける出力に応じて、前記ハンドルの左操舵時中立点および右操舵時中立点としてそれぞれ演算および保存し、演算および保存した前記左操舵時中立点および右操舵時中立点を演算して前記ハンドルの中立点学習値として出力する学習値演算ステップとを備えたものである。
自動車の不安定走行状態量を検出した場合に、中立点学習手段(ステップ)の中立点学習条件を変更する学習条件変更手段(ステップ)と、
中立点学習手段(ステップ)が抽出した中立点学習信号と電動機のモータ回転方向に応じた極性符号と学習条件変更手段(ステップ)の出力に応じて、ハンドルの左操舵時中立点および右操舵時中立点としてそれぞれ演算および保存し、演算および保存した左操舵時中立点および右操舵時中立点を演算してハンドルの中立点学習値として出力する学習値演算手段(ステップ)を備えているので、ハンドル中立点の抽出において大きな誤差が生じることを防ぐことが可能となる。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による車両用操舵制御装置が適用される電動パワーステアリングシステムの全体構成を示す図である。
図に示すように、車両用操舵制御装置8は、車両のパワーステアリング機構(操舵機構とも称す)9に取り付けられる。
ステアリング機構9は、ハンドル1、ステアリング軸2、ステアリングギアボックス3、トルクセンサ4、アシストモータ5(以下単にモータとも称す)、ラックとピニオン機構6、タイヤ7を含んでいる。
トルクセンサ4はステアリング軸2に結合され、操舵トルクに応じた操舵トルク検出信号を発生する。
アシストモータ5は電動モータであり、このアシストモータ5もステアリング軸2に図示しない減速ギアを介して結合され、操舵トルクをアシストするアシストトルクをステアリング軸2に与える。
ステアリング軸2に与えられる操舵トルクとアシストトルクとを加え合わせた合成トルクは、ステアリングギアボックス3を通じて数倍にされ、ラックとピニオン機構6を通じて、タイヤ7を操作する。
車両用操舵制御装置8は、運転者がハンドル1を切った時の操舵トルクをトルクセンサ4で操舵トルク検出信号として検出し、検出した操舵トルク検出信号に応じて操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる機能を有する。
なお、アシストトルクを発生させる機能(動作)に関しては自明であるので、ここではこれらの動作についての説明は省略する。
電動パワーステアリングシステムの動作について簡単に説明すると、力学的には、操舵トルクThdlとアシストトルクTassistの和が、路面反力トルクTalignとステアリング機構に発生する摩擦トルクTfricの和であるステアリング軸反力トルクTrtssに抗してステアリング軸2を回転させる。
また、ハンドル1を回転させるときは、アシストモータ5の慣性項も作用するので、ステアリング軸反力トルクTrtssは次式(1)で与えられる。
Trtss = Thdl + Tassist - J・dω/dt ・・・・・ (1)
ただし、アシストモータ5の慣性トルクをJ・dω/dtとする。
Tassist = Ggear・Kt・Imtr ・・・・・ (2)
ただし、Ggearはアシストモータ5とステアリング軸2との間の減速ギアの減速ギア比である。また、Ktはアシストモータ5のトルク定数、Imtrはアシストモータ5の電流である。
またステアリング軸反力トルクTrtssは、路面反力トルクTalignとステアリング機構9内の摩擦トルクTfricとの和であることから、次式(3)で与えられる。
Trtss = Talign + Tfric
= Talign + (Ggear・Tmfric + Tfrp) ・・・・・ (3)
ただし、Tmfricはアシストモータ5における摩擦トルク、Tfrpはステアリング機構9の摩擦トルクからTmfricを除いたもので、“Tmfric・Gger + Tfrp = Tfric”となる。
また、ハンドル1のハンドル角Theta_hdlとモータ5のモータ回転角Theta_mtrの関係は次式(4)で与えられる。
Theta_hdl = Theta_mtr/ Ggear ・・・・・ (4)
車両用操舵制御装置8は、車速検出手段20と、ステアリング軸反力トルク検出手段21と、モータ角度検出手段22と、回転方向検出手段23と、回転速度検出手段24と、路面反力検出手段25と、路面反力トルク比演算装置26と、車両不安定走行状態検出手段27と、学習条件変更手段28と、中立点学習手段29と、学習値平均手段210とで構成されている。
この他にも車両用操舵制御装置8には電動パワーステアリングシステムとして運転者の操舵トルクをアシストする機能など様々な機能を有するブロックがあるが、簡単化のために省略する。
車速検出手段20は、車速V_spd(t)を受けて車速信号V_spd(s)を出力する。
ステアリング軸反力トルク検出手段21は、ステアリング軸反力トルクTrtss(t)を受けてステアリング軸反力トルク検出信号Trtss(s)を出力する。
モータ角度検出手段22は、モータ角度Theta_mtr(t)を受けてモータ角度信号Theta_mtr(s)を出力する。
なお、出力符号信号Theta_dr(s)は、例えば、モータの回転方向が、右であれば“+”、左であれば“−”のように、“+”または“−”の極性符号の信号である。
回転速度検出手段24は、モータ回転速度信号Theta_vel(t)を受けて回転速度信号Theta_vel(s)を出力する。
路面反力トルク検出手段25は、路面反力トルクTalign(t)を受けて路面反力トルク検出信号Talign(s)を出力する。
路面反力トルク比演算装置26は車速信号V_spd(s)、路面反力トルク検出信号Talign(s)、回転速度信号Theta_vel(s)を受けて路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)を出力する。
車両不安定走行状態検出手段27は、不安定走行状態量として路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)を受けて車両不安定走行状態検出信号Unstable(s)を出力する。
学習条件変更手段28は車両不安定走行状態検出信号Unstable(s)を受けて学習条件変更信号Chng_cndtn(s)を出力する。
学習値平均手段210は、中立点信号Er_learn(s)、出力符号信号Theta_dr(s)を受けて中立学習値Theta_learn(s)を出力する。
ステアリング軸反力トルク検出手段21の検出手段は、例えばステアリング軸2に設けられるロードセルなどの検出手段であり、ステアリング軸反力トルクTrtss(t)を受けてそれに比例するステアリング軸反力トルク信号Trtss(s)を出力する。
また、制御ユニット8を構成するマイクロコンピューターにて(1)式よりステアリング軸反力トルクを演算することも可能である。
モータ角度検出手段22は、例えばブラシレスモータを制御するために用いられる相対角度センサなどの検出手段であり、一般的にレゾルバ信号などから演算される。
なお、レゾルバとはブラシレスモータを制御するために用いられる相対角度センサのことであり、レゾルバ信号とはモータの回転に関する相対角度信号である。
回転速度検出手段24は、モータ回転速度信号Theta_vel(t)を受けてモータ角度の時間微分値を演算することにより回転速度信号Theta_vel(s)を出力する。
路面反力トルク検出手段25は、例えば路面反力トルクセンサなどの検出手段であり、Talign(t)を受けてそれに比例する路面反力トルク信号Talign(s)を出力する
路面反力トルク比演算手段26は、例えば予め自動車に定められた車速V_spd(s)に応じて定めるハンドル角に対する路面反力トルク勾配値と回転速度信号Theta_vel(s)によって規範路面反力トルク微分信号を演算する。
また、路面反力トルク比演算手段26は、路面反力トルク微分演算手段を有しており、路面反力トルク検出手段25の出力である路面反力トルク信号Talign(s)を路面反力トルク微分演算手段において時間微分して路面反力トルク微分信号を出力し、規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の比である路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)を出力する。
車両不安定走行状態検出手段27は、例えば、車両の不安定走行状態量として路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)を受けて、車両の挙動(走行状態)が不安定な状態であるか若しくは車両の挙動(走行状態)を不安定にするような操作状態であるかを判断し、そのような状態の場合には車両不安定走行状態検出信号Unstable(s)を出力する。
本実施の形態において、中立点学習手段29における動作ロジックが精度良く成立する範囲は、路面反力トルクとハンドル角が線形な関係にあるときである。
路面状態や特殊な操舵パターンにより路面反力トルクとハンドル角が線形な関係にない場合に誤差が発生すると考えられる。
従って、規範路面反力トルク微分演算手段の出力である規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分演算手段の出力である路面反力トルク微分信号から規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の差を演算する路面反力トルク差演算手段を備えて、自動車の不安定走行状態量の一つとして自動車の規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の差を用いてもよい。
このように、規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の比あるいは規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の差を不安定走行状態量の一つとすることで、路面反力トルクとハンドル角が線形な関係にあるかどうか判断可能となる。
まず、規範路面反力トルクTalign_refは車両に応じて予め定められた路面反力トルク勾配Kalign(特許文献3参照)とハンドル角θとから次式(5)で与えられる。
Talign_ref = Kalign・θ ・・・・・ (5)
しかし、ハンドル角θは、学習結果(即ち、学習値平均手段210から出力される中立学習値Theta_learn(s)が決定した状態)から得られるので、実際には車両の不安定走行状態の判断に用いることはできない。
規範路面反力トルクTalign_refの時間微分値は次式(6)で与えられる。
dTalign_ref/dt = Kalign・dθ/dt = Kalign・ω ・・・・・ (6)
ここで、dθ/dtをモータ角速度ωとして置き換えることができる。
また、路面反力トルク検出手段25から路面反力トルク信号Talignが得られる。
路面反力トルクTalignの時間微分値は、次式(7)で与えられる。
dTalign /dt =(dTalign /dθ)・(dθ/dt)
= (dTalign /dθ)・ω ・・・・・ (7)
そこで、規範路面反力トルクTalign_refの時間微分値と路面反力トルクTalignの時間微分値の比は、次式(8)で与えられる。
(dTalign_ref/dt)/(dTalign /dt) = (Kalign・ω)/ {(dTalign/dθ)・ω}
=Kalign/(dTalign /dθ) ・・・・・ (8)
図3に示すように、ハンドル角を増加していくと、ある部分からハンドル角を増加しても規範路面反力トルクTalign_refに対して路面反力トルクTalignが増加しない部分が現れる。
この部分における規範路面反力トルク微分値と路面反力トルク微分値にも差が生じることがわかる。
この規範路面反力トルク微分値と路面反力トルク微分値の比が所定の値以上となる場合に、路面反力トルクとハンドル角との関係が線形でなくなり、車両の走行状態が不安定として判定を行う。
学習条件変更手段28について、図4に基づいて説明する。学習条件変更手段28は、学習可否判定手段41と学習停止手段42とを含んでいる。
学習可否判定手段41では、車両不安定走行状態検出信号Unstable(s)から現在の車両走行状態において、ハンドルの中立点を学習をしても良い状態なのか、若しくは学習をしてはならない状態なのかを判断し、学習状態信号Learning_cndtn(s)を出力する。
学習停止手段42は、学習状態信号Learning_cndtn(s)に基づいて、ハンドルの中立点を学習をしてはならない状態の場合には所定時間学習を停止する学習条件変更信号Chng_cndtn(s)を出力する。
図5は、車速が一定である場合のステアリング軸反力トルクとハンドル角の時間波形である。
ステアリング系に作用する摩擦トルクの影響のため、ステアリング軸反力トルクのゼロ点とハンドル角のゼロ点は一致しない。
しかし、同一車速における左操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角1(図中に表示)と、右操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角2(図中に表示)を算術平均して、その結果を中立学習値とすれば、摩擦トルクの影響はキャンセルでき、ハンドル角中立点の学習が求まる。
次に、図6に基づいて、車両用操舵制御装置8がハンドル角中立点の学習をするときの動作について説明する。
まず、ステップS101では、車両用操舵制御装置8を構成するマイクロコンピューターのメモリ(図示せず)に車速V_spd(s)を読み込み記憶する。
なお、このマイクロコンピューターのメモリは、以下では読み込みメモリと称することとする
ステップS102では、ステアリング軸反力トルク信号Trtss(s)を読み込みメモリに記憶する。
ステップS103では、モータ角度信号Theta_mtr(s)を読み込みメモリに記憶する。
ステップS104では、出力符号信号Theta_dr(s)を読み込みメモリに記憶する。
ステップS105では、回転速度信号Theta_vel(s)を読み込みメモリに記憶する。
ステップS106では、路面反力トルク信号Talign(s)を読み込みメモリに記憶する。
ステップS107では、車速V_spd(s)、回転速度信号Theta_vel(s)、路面反力トルク信号Talign(s)を読み込み路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)を出力する。
ステップS109では、車両不安定走行状態検出信号Unstable(s)を読み込み学習条件変更手段28において学習条件変更信号Chng_cndtn(s)を出力する。
ステップS110では、車速V_spd(s)、ステアリング軸反力トルク信号Trtss(s)、モータ角度信号Theta_mtr(s)、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)とを読み込み中立点信号Er_learn(s)を出力する。
ステップS111では、中立点信号Er_learn(s)、モータの出力符号信号Theta_dr(s)を読み込み、中立学習値Theta_learn(s)を出力する。
このようにして、本実施の形態の車両用操舵制御装置8は、ハンドル角中立点の学習を行うことが可能となる。
読み込んだ学習条件変更信号Chng_cndtn(s)によって、車両が学習可能状態であるかを判断する。
学習可能状態の場合に、読み込んだ車速V_spd(s)が所定値の範囲内にあるかどうかを判断する。更に、ステアリング軸反力信号Trtss(s)がゼロであるかどうかを判断する。
ステアリング軸反力信号Trtss(s)がゼロである場合に、モータ角度信号Theta_mtr(s)を中立点信号Er_learn(s)として出力する。
学習可能状態でなかった場合、車速V_spd(s)が所定値の範囲内になかった場合やステアリング軸反力信号Trtss(s)がゼロでなかった場合には学習を行わない。
中立点学習手段29の動作を図7に基づいて説明する。
まず、ステップS201では、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)が学習可能状態であるかを判断する。学習可能状態でなかった場合にはステップS205へ進み学習を行わない。
ステップS202では、車速V_spd(s)が所定値の範囲内であるかどうかを判断する。
所定値の範囲内になかった場合にはステップS205へ進み学習を行わない。
ステップS203では、ステアリング軸反力トルク信号Trtss(s)がゼロであるかどうかを判断する。ゼロでなかった場合にはステップS205へ進み学習を行わない。
ステップS204では、モータ角度信号Theta_mtr(s)を中立点信号Er_learn(s)として出力する。
学習値平均手段210は、読み込んだ出力符号信号Theta_dr(s)により左操舵時、右操舵時、非操舵時であるかを判断し、非操舵時であれば学習を行わない。
右操舵時であった場合、中立点信号Er_learn(s)を右操舵時の学習中立ハンドル角1として読み込み、メモリに記憶する。
左操舵時であった場合、中立点信号Er_learn(s)を左操舵時の学習中立ハンドル角2として読み込み、メモリに記憶する。
次に、右操舵時の学習中立ハンドル角1と左操舵時の学習中立ハンドル角2を平均して中立学習値Theta_learn(s)を出力する。
図8(a)は、ステアリング軸反力トルクとハンドル角の時間波形を示している。
また、図8(a)は、右操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角1(図中に表示)と、左操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角2(図中に表示)を示している。
図8(b)は、路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)の時間波形を示している。
図8(c)は、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)の時間波形を示しており、学習可否を表している。
図8(d)は、車両走行状態が不安定な場合には学習を行わない本実施の形態における学習誤差の時間波形と、車両走行状態が不安定な場合でも学習を行う場合の従来装置における学習誤差の時間波形と示している。
路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)が大きくなると、学習ロジックの精度が低下するため、誤差を生じやすくなる。
図8に示すように、路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)が所定の範囲Aを超えた場合には、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)に基づいて、所定の時間は学習を行わない。
本実施の形態においては、車両の状態を不安定と判断した場合には学習を行わないため、図8(d)に示すように、学習誤差が発生しない。
そのため、正確なハンドルの中立点を学習することが可能となる。
本実施の形態では、車両不安定走行状態検出に規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の比である路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)を用いたが、その他の不安定走行状態検出実現手段としてモータ回転速度、モータ加速度を車両不安定走行状態検出に用いることも可能である。
例えば、モータ回転速度信号において、一般的な運転者の操舵は0.5〜5.0 rad/sの範囲で行われており、5.0rad/s以上の操舵は緊急回避などの特殊な操舵パターンが考えられる。これに対して、0.5 rad/s以下では運転者が操舵をしていない状態とみなすことができる。
その他にも車両の横滑り角、ヨーレート、横加速度を車両不安定走行状態検出に用いることも可能である。なお、ヨーレートとは、自動車の回転運動時における回転速度のことである。
また、例えば横加速度において一般的な運転者の操舵は0.2g以内の範囲で行われており、0.2g以上の操舵は緊急回避などの特殊な操舵パターン(即ち、車両不安定走行状態)であるとみなすことができる。
このように、特殊な操舵パターンを検出する構成とすることにより、車両の不安定走行状態検出を行うことが容易となる。
また、車輪加速度、サイドブレーキ使用信号、バック走行信号を車両不安定走行状態検出に用いることも可能である。
例えば、バック走行時には基本的な車両特性が変わるため、運転者の特殊な操作としてみなすことができる。
このような構成とすることで、運転者の特殊な操作の検出を行うことが容易となる。
電動機の回転角を検出するモータ角度検出手段22と、ステアリング軸2に作用するステアリング軸反力トルクを検出するステアリング軸反力トルク検出手段21と、自動車の車速を検出する車速検出手段20と、電動機の回転方向を検出し、検出した回転方向に応じて異なる極性符号を出力する回転方向検出手段23と、自動車の走行状態を示す走行状態量から自動車の不安定走行状態若しくは自動車の不安定走行状態を引き起こす可能性のある運転者の操作状態を検出する車両不安定走行状態検出手段27と、モータ角度検出手段22が検出するモータ角度とステアリング軸反力トルク検出手段21が検出するステアリング軸反力トルクと車速検出手段20が検出する車速とから、現在の走行状態におけるハンドルの中立点を学習する中立点学習手段29と、車両不安定走行状態検出手段27が自動車の不安定走行状態量を検出した場合に、中立点学習手段29の中立点学習条件を変更する学習条件変更手段28と、中立点学習手段29が学習した中立点学習信号と回転方向検出手段23の出力である極性符号と学習条件変更手段28の出力に応じて、ハンドルの左操舵時中立点および右操舵時中立点としてそれぞれ学習し、学習した左操舵時中立点および右操舵時中立点を演算してハンドルの中立点学習値として出力する学習値演算手段(例えば、学習値平均手段210)とを備えている。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、ホイールアライメントの調整誤差や路面状態によって誤学習することなく、ハンドル角中立点を得ることができる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、電動機の回転加速度を検出する回転加速度検出手段を備え、検出した回転加速度を自動車の不安定走行状態量の一つとして用いる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、自動車の車速に応じて予め定めるハンドル角に対する路面反力トルク勾配値と回転速度検出手段24が検出する回転速度とから規範路面反力トルク微分値を演算する規範路面反力トルク微分演算手段、前記自動車のタイヤに発生する路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段、前記路面反力トルク検出手段の出力である路面反力トルク信号を微分して路面反力トルク微分値を出力する路面反力トルク微分演算手段を有し、前記規範路面反力トルク微分演算手段の出力である規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分演算手段の出力である路面反力トルク微分信号とから前記規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分信号の比を演算する路面反力トルク比演算手段26を備え、自動車の不安定走行状態量の一つとして、規範路面反力トルク微分信号と路面反力トルク微分信号の比を用いる。
微分信号の比を用いることで、車両の条件に左右されずにハンドル角と路面反力トルクが比例関係にならない箇所が検出できる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、自動車の横滑り角を検出する横滑り角検出手段を備え、検出した横滑り角を自動車の不安定走行状態量の一つとして用いる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、自動車の車輪加速度を検出する車輪加速度検出手段を備え、検出した車輪加速度を自動車の不安定走行状態量の一つとして用いる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、自動車のヨーレートを検出するヨーレートセンサを備え、検出した自動車のヨーレートを自動車の不安定走行状態量の一つとして用いる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、自動車のサイドブレーキ使用を検出するサイドブレーキ使用検出手段を備え、検出したサイドブレーキの使用結果を自動車の不安定走行状態量の一つとして用いる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、自動車のバック走行を検出するバック走行検出手段を備え、検出したバック走行結果を自動車の不安定走行状態量の一つとして用いる。
また、本実施の形態による車両用操舵制御装置は、車両不安定走行状態検出手段が不安定走行状態量を検出すると、学習値演算手段は、学習条件変更手段の出力に応じて所定時間学習を停止する。
図9は、実施の形態2における車両用操舵制御装置の構成を示すブロック図である。
前述の実施の形態1による車両用操舵制御装置8では、図2に示したように、学習条件変更手段28からの出力である学習条件変更信号Chng_cndtn(s)を中立点学習手段29に入力していた。
しかし、本実施の形態による車両用操舵制御装置81では、後述するように、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)を学習値平均手段211に入力し、学習値平均手段211は、所定時間右データ保存手段1001、所定時間左データ保存手段1003を用いて車両の不安定走行状態を検知すると、所定の時間は前のデータを使用しないことを特徴とする。
なお、所定時間右データ保存手段1001、所定時間左データ保存手段1003は、時間遅れを利用したフィルタや記憶メモリなど、どのような保存手段を用いても構わない。
図10を用いて学習値平均手段211の詳細について説明する。
本実施の形態における学習値平均手段211は、中立点学習手段29からの中立点信号Er_learn(s)と回転方向検出手段から出力信号であるモータの出力符号信号Theta_dr(s)を読み込み、スイッチ手段1000において、左右操舵の判定をする。
スイッチ手段1000は、右操舵時の場合には右操舵時中立点信号Er_learn_r(s)を出力する。左右における動作は全く同じであるので、右操舵時のみの場合について説明する。
まず、所定時間右データ保存手段1001において、右操舵時中立点信号Er_learn_r(s)を所定時間保存する。
次に、学習条件変更手段28から出力された学習条件変更信号Chng_cndtn(s)が学習可能状態であるかを判断する。学習可能状態の場合、所定時間保存したデータを右保存データStr_r(s)として出力する。学習可能状態でない場合には所定の時間保存していたデータをクリアする。
次に、右学習誤差平均手段1002において、右保存データStr_r(s)の平均を取り、右平均値Ave_r(s)を出力する。左操舵時の場合も右操舵時の場合と同様に行う。
左右平均手段1005において、右平均値Ave_r(s)と左平均値Ave_l(s)の平均を取り、中立学習値Theta_learn(s)を出力する。
図11に基づいて、学習値平均手段211の動作を説明する。
まず、ステップS301では、中立点学習手段29から出力された中立点信号Er_learn(s)、回転方向検出手段23から出力されたモータの出力符号信号Theta_dr(s)を読み込み、スイッチ手段1000において、左右操舵判定を行う。右操舵時ではステップS302からS306へ進み、左操舵時ではステップS307からS311へ進む。
まず、右操舵時の場合では、ステップS302では所定時間右データ保存手段1001において、右操舵時中立点信号Er_learn_r(s)を所定時間保存する。
次のステップS303では、学習条件変更手段28から出力された学習条件変更信号Chng_cndtn(s)が学習可能状態であるかを判断する。学習可能状態の場合はステップS304へ進み、学習可能状態でない場合はステップS305へ進む。
ステップS304では、所定時間保存したデータを右保存データStr_r(s)として出力する。
ステップS305では、所定の時間保存していたデータをクリアする。
ステップS306では、右学習誤差平均手段1002において、右保存データStr_r(s)を平均し、右平均値Ave_r(s)を出力する。
ステップS308では、学習条件変更手段28から出力された学習条件変更信号Chng_cndtn(s)が学習可能状態であるかを判断する。学習可能状態の場合はステップS309へ進み、学習可能状態でない場合はステップS310へ進む。
ステップS309では、所定時間保存したデータを左保存データStr_l(s)として出力する。
ステップS310では、所定の時間保存していたデータをクリアする。
ステップS311では、左学習誤差平均手段1004において、左保存データStr_l(s)を平均し、左平均値Ave_l(s)を出力する。
ステップS312では、左右平均手段1005において、右平均値Ave_r(s)と左平均値Ave_l(s)の平均を中立学習値Theta_learn(s)として出力する。
図12(a)は、ステアリング軸反力トルクとハンドル角の時間波形を示している。
また、図12(a)は、右操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角1と、左操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角2を示している。
図12(b)は、路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)の時間波形を示している。
図12(c)は、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)の時間波形を示しており、学習可否を表している。
図12(d)は、車両走行状態が不安定な場合になると所定時間前のデータを使わない本実施の形態における学習誤差の時間波形と、車両走行状態が不安定な場合でも学習を行う場合の学習誤差の時間波形を示している。
なお、図12において、“T”は所定時間を表している。
一方、本実施の形態2における学習誤差結果は、車両の走行状態が不安定になった場合に、所定時間前の学習誤差結果を使用しないため、新たに誤差は発生しない。
図12において、路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)が所定の範囲Aを超えた場合には、不安定走行状態へなり始める所定時間前の学習誤差結果を使用しない。そのため、正確なハンドルの中立点を学習することが可能となる。
図13は、実施の形態3における車両用操舵制御装置に用いられる学習値平均手段212の構成を示すブロック図である。
なお、実施の形態3による車両用操舵制御装置の基本的な構成は、実施の形態2と同じである。
本実施の形態による車両用操舵制御装置は、不安定走行状態量を検出すると、学習値平均手段は学習条件変更手段からの学習条件変更信号に応じて左操舵時中立点信号および右操舵時中立点信号に対して所定の割合で学習することにより、学習誤差を抑えることが特徴である。
図13を用いて、学習値平均手段212の詳細について説明する。
まず、重み付加手段1300において、学習条件変更手段28から出力された学習条件変更信号Chng_cndtn(s)が学習可能状態であるかを判断し、学習可否に応じた所定の重みαを出力する。
右操舵時の場合、乗算器1301において右操舵時中立点信号Er_learn_r(s)と重みαの積である重み付右操舵時中立点信号W_r(s)を算出する。
次に、右学習誤差平均手段1002において、重み付右操舵時中立点信号W_r(s)と重みαを読み込み右平均値Ave_r(s)を出力する。
左操舵時の場合も同様に、乗算器1302において左操舵時中立点信号Er_learn_l(s)と重みαの積である重み付左操舵時中立点信号W_l(s)を算出する。
次に、左学習誤差平均手段1004において、重み付左操舵時中立点信号W_l(s)と重みαを読み込み左平均値Ave_l(s)を出力する。
次に、左右平均手段1005において、右平均値Ave_r(s)と左平均値Ave_l(s)を読み込み、中立学習値Theta_learn(s)を出力する。
まず、ステップS401では、重み付加手段1300において、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)に応じた重みαを出力する。
ステップS402では、中立点学習手段29から出力された中立点信号Er_learn(s)、回転方向検出手段23から出力されたモータの出力符号信号Theta_dr(s)を読み込み、スイッチ手段1000において、左右操舵判定を行う。右操舵時にはステップS403からS404へ進み、左操舵時にはステップS405からS406へ進む。
ステップS403では、乗算器1301において、右操舵時中立点信号Er_learn_r(s)と重みαの積である重み付右操舵時中立点信号W_r(s)を出力する。
ステップS404では、右学習誤差平均手段1002において、重み付右操舵時中立点信号W_r(s)と重みαを読み込み、右平均値Ave_r(s)を出力する。
左操舵時の場合も同様に、ステップS405では、乗算器1302において、左操舵時中立点信号Er_learn_l(s)と重みαの積である重み付左操舵時中立点信号W_l(s)を出力する。
ステップS406では、左学習誤差平均手段1004において、重み付左操舵時中立点信号W_l(s)と重みαを読み込み、右平均値Ave_l(s)を出力する。
ステップS407では、左右平均手段1005において、右平均値Ave_r(s)と左平均値Ave_l(s)の平均を中立学習値Theta_learn(s)として出力する。
図15(a)は、ステアリング軸反力トルクとハンドル角の時間波形を示している。
また、図15(a)は、右操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角1(図中に表示)と、左操舵時のステアリング軸反力トルクゼロ点で学習した学習中立ハンドル角2(図中に表示)を示している。
図15(b)は、路面反力トルク比信号Talign_ratio(s)の時間波形を示している。
図15(c)は、学習条件変更信号Chng_cndtn(s)の時間波形を示しており、学習可否を表している。また、図15(c)には、学習条件変更信号に応じた重みαの時間波形も示している。
図15(d)は、車両走行状態が不安定な場合になると重みを変化して学習誤差を抑える本実施の形態と車両走行状態が不安定な場合でも学習を行う場合の学習誤差の時間波形を示している。
車両走行状態が不安定な場合にハンドル角中立点の学習を行うと、図15(d)における3回目の学習結果のとおり、学習誤差が発生する。
数値例で説明すると、例えば、ハンドルの中立点真値をθ1 = 5 deg、車両が不安定時ハンドルの中立点値をθ2 = 3 degと仮定する。
また、学習可能時の重みをα1 = 1、学習可能でない場合の重みをα2 = 0.3と仮定する。
3回目の学習の際に車両が不安定になるとすると、平均値は次式(9)で与えられる。
(α1θ1+α1θ1+α2θ2) / (α1+α1+α2) = (5 + 5 +0.9) / (1 + 1 + 0.3)
=10.9 / 2.3 = 4.74 ・・・ (9)
それに対して、車両が不安定時にもそのままの割合であると平均値は次式(10)で与えられる。
(α1θ1+α1θ1+α1θ2) / (α1+α1+α1) = (5 + 5 +3) / (1 + 1 + 1)
=13 / 3 = 4.33 ・・・ (10)
このように車両の状態が不安定になった場合に重みを減らすことで、学習誤差を抑えることができる。
そのため、誤差の小さいハンドルの中立点を学習することが可能となる。数値例で用いた重みは一例であり、どのような値でも構わない。
3 ステアリングギアボックス 4 トルクセンサ
5 アシストモータ 6 ラックとピニオン機構
7 タイヤ
8、81 車両用操舵制御装置
9 ステアリング機構 20 車速検出手段
21 ステアリング軸反力トルク検出手段 22 モータ角度検出手段
23 回転方向検出手段 24 回転速度検出手段
25 路面反力トルク検出手段
26 路面反力トルク比演算手段
27 車両不安定走行状態検出手段 28 学習条件変更手段
29 中立点学習手段
210、211、212 学習値演算(平均)手段
41 学習可否判定手段 42 学習停止手段、
1000 スイッチ手段
1001 所定時間右データ保存手段
1002 右学習誤差平均手段
1003 所定時間左データ保存手段
1004 左学習誤差平均手段
1005 左右平均手段
1300 重み付加手段
1301、1302 乗算器
Claims (16)
- 自動車の操向車輪に連結されたステアリング軸を操作するハンドルに、電動機を用いて補助トルクを加える電動パワーステアリングシステムに用いられる車両用操舵制御装置であって、
前記電動機の回転角を検出するモータ角度検出手段と、
前記ステアリング軸に作用するステアリング軸反力トルクを検出するステアリング軸反力トルク検出手段と、
前記自動車の車速を検出する車速検出手段と、
前記電動機の回転方向を検出し、検出した回転方向に応じて異なる極性符号を出力する回転方向検出手段と、
前記自動車の走行状態を示す検出および演算に基づく走行状態量から前記自動車の不安定走行状態若しくは前記自動車の不安定走行状態を引き起こす可能性のある運転者の操作状態を検出する車両不安定走行状態検出手段と、
前記モータ角度検出手段が検出するモータ角度と前記ステアリング軸反力トルク検出手段が検出するステアリング軸反力トルクと前記車速検出手段が検出する車速から、現在の走行状態におけるハンドルの中立点を抽出する中立点学習手段と、
前記車両不安定走行状態検出手段が前記自動車の不安定走行状態を検出した場合に、前記中立点学習手段の中立点学習条件を変更する学習条件変更手段と、
前記中立点学習手段が抽出した中立点学習信号と前記回転方向検出手段の出力である極性符号と前記学習条件変更手段の出力に応じて、前記ハンドルの左操舵時中立点および右操舵時中立点としてそれぞれ演算および保存し、演算および保存した前記左操舵時中立点および右操舵時中立点を演算して前記ハンドルの中立点学習値として出力する学習値演算手段とを備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 前記学習値演算手段は、演算および保存した前記左操舵時中立点および右操舵時中立点を平均する学習値平均手段であることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
自動車の車速に応じて予め定めるハンドル角に対する路面反力トルク勾配値と前記回転速度検出手段が検出する回転速度とから規範路面反力トルク微分値を演算する規範路面反力トルク微分演算手段、前記自動車のタイヤに発生する路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段、前記路面反力トルク検出手段の出力である路面反力トルク信号を微分して路面反力トルク微分値を出力する路面反力トルク微分演算手段を有し、前記規範路面反力トルク微分演算手段の出力である規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分演算手段の出力である路面反力トルク微分信号とから前記規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分信号の比を演算する路面反力トルク比演算手段を備え、
前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして、前記規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分信号の比を用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。 - 前記規範路面反力トルク微分演算手段の出力である規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分演算手段の出力である路面反力トルク微分信号とから前記規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分信号の差を演算する路面反力トルク差演算手段を備え、前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして前記自動車の規範路面反力トルク微分信号と前記路面反力トルク微分信号の差を用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記回転速度検出手段が検出した回転速度を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記電動機の回転加速度を検出する回転加速度検出手段を備え、検出した回転加速度を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記自動車の横滑り角を検出する横滑り角検出手段を備え、検出した横滑り角を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記自動車の車輪加速度を検出する車輪加速度検出手段を備え、検出した車輪加速度を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記自動車のヨーレートを検出するヨーレートセンサを備え、検出したヨーレートを前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記自動車の横加速度を検出する横加速度センサを備え、検出した横加速度を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記自動車のサイドブレーキ使用を検出するサイドブレーキ使用検出手段を備え、検出したサイドブレーキの使用結果を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記自動車のバック走行を検出するバック走行検出手段を備え、検出したバック走行結果を前記自動車の不安定走行の検出に使用する状態量の一つとして用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記車両不安定走行状態検出手段が不安定走行状態と検出すると、前記学習値演算手段は、前記学習条件変更手段の出力に応じて所定時間演算および保存を停止することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記車両不安定走行状態検出手段が不安定走行状態と検出すると、前記学習値演算手段は、前記学習条件変更手段の出力に応じて所定時間前の演算および保存データを使用しないことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記車両不安定走行状態検出手段が不安定走行状態と検出すると、前記学習値演算手段は、前記学習条件変更手段からの学習条件変更信号に応じて左操舵時中立点信号および右操舵時中立点信号に対して所定の割合で演算および保存することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置。
- 自動車の操向車輪に連結されたステアリング軸を操作するハンドルに、電動機を用いて補助トルクを加える電動パワーステアリングシステムに用いられる車両用操舵制御方法であって、
自動車の不安定走行状態若しくは前記自動車の不安定走行状態を引き起こす可能性のある運転者の操作状態を検出する車両不安定走行状態検出ステップと、
電動機のモータ角度とステアリング軸反力トルクと車速から、現在の走行状態におけるハンドルの中立点を抽出する中立点学習ステップと、
自動車の不安定走行状態を検出した場合に、中立点学習ステップにおける中立点学習条件を変更する学習条件変更ステップと、
前記中立点学習ステップにおいて抽出した中立点学習信号と前記電動機のモータ回転方向に応じた極性符号と前記学習条件変更ステップにおける出力に応じて、前記ハンドルの左操舵時中立点および右操舵時中立点としてそれぞれ演算および保存し、演算および保存した前記左操舵時中立点および右操舵時中立点を演算して前記ハンドルの中立点学習値として出力する学習値演算ステップとを備えたことを特徴とする車両用操舵制御方法。
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