JP4404701B2 - 敷設用ブロック - Google Patents

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Description

本発明は、例えばインターロッキングブロックや平板ブロックのように、とくにあまり高い耐荷重性能が要求されない歩道や公園内道路等に対して好適に敷設使用されるブロックに関する。
コンクリートやアスファルトを多用して整備された都市では、夏季におけるヒートアイランド現象が問題となっている。ヒートアイランド現象の主な原因としては、都市への人口集中による各種エネルギー使用量・排熱量が増加していることや、高層建造物などの壁面によって生ずる多重反射により構造物自体が加熱されやすくなっていることに加えて、アスファルト舗装された道路が昼間の太陽の熱射で深層まで高温となる一方、夜間になってからも地中に蓄積された熱の放出が続くこと、緑地面積が少ないために植物や地表からの水分蒸発量が少なく、熱がこもりやすくなっていること等が挙げられている。
しかるに、ヒートアイランド現象を緩和する対策としては、先ずは排出される熱量を抑制し、省エネルギー化を図ることが最も効果的とされているが、加えて、屋上緑化や道路沿線の緑化などにより緑地面積を増加して保水性や水分蒸発に伴う放熱効果を高めることも重要であるとされている。そこで、近年では、アスファルトやコンクリートに代えて、歩道等の舗装材として木製ブロック(非特許文献1)を敷設したり、表層面に木板又は樹皮片を固化した板材を貼着したコンクリートブロック(特許文献1又は2)、あるいは木片を混合した表層面を有するコンクリートブロック(特許文献3)を敷設する試みがなされている。これらのコンクリートブロックでは、路面の弾力性を高めて歩行感の向上を図ることを主眼としており、ヒートアイランド現象の緩和を直接的な目的とするものではないが、コンクリート等に比して表面温度の上昇率が低いというブロックの特性がヒートアイランド現象の緩和に寄与するものと考えられる。
他方、アスファルト等によって舗装整備された従来の道路は、水密性高く形成することにより表面排水を促すことに主眼がおかれていたため、大都市のように地表面が覆い尽くされた場合には大量の降雨によって水溜まりができたり冠水してしまうなど、透水性のみならず排水性の点においてもむしろマイナスに作用していた。そこで、近年では逆に、ポーラスな材料を使用して雨水を路盤・路床に浸透、保水させる透水性舗装が注目されている。こうした透水性舗装では、降雨による水溜まりが生じにくいほか、街路樹などへの給水がよくなり植生が改善される、地下水が貯留される、といった効果によって、ひいてはヒートアイランド現象の緩和も期待されている。
登録実用新案第3054101号公報(実用新案登録請求の範囲、図1) 実開平6−56103号公報(実用新案登録請求の範囲、図7) 特開平10−110401号公報(請求項5) 小木曽建設株式会社、"ウッディーロッキング"、[online]、[平成16年5月20日検索]、インターネット<URL:http://www.ogiken.co.jp/wood.html>
しかしながら、木製ブロックはコスト高であり、また、腐食・劣化・摩耗等が進行しやすく耐久性に乏しいという欠点があるし、表層面に木片等を用いたコンクリートブロックであってもやはり耐摩耗性や強度に劣るという欠点があった。他方、ポーラスな材料を用いた前記透水性舗装では、雨水の透過性に優れているが故に、舗装材自体の保水性は低いという欠点があった。
そこで、本発明では、こうした従来の舗装材の長所短所を改善し、保水性や透水性を確保しながら路面舗装材として求められる耐摩耗性(すりへり抵抗性)や強度を向上した敷設用ブロックの提供を課題とするものである。
前記所期の課題解決を図るため、本発明に係る敷設用ブロックでは、基層に木片コンクリート、表層に透水性コンクリートを用いた複層構造とした。木片コンクリートの保水性を活かしながら、表層側に用いた透水性コンクリートによって耐摩耗性やブロック全体としての強度の確保を図ったのである。
基層に用いる木片コンクリートとしては、ヒノキ等の木チップを粒度10mm以下、好ましくは1〜5mm程度に調整したものにセメント、コンクリート混和材料、水を混合したものが用いられる。混合する木片が大きくなると、離型後に木片の弾性によってブロック全体が膨張し寸法変動が大きくなる欠点がある一方、あまり小さい木片を用いたのでは所要の透水性が確保できないからである。そして、木片による保水性を活かしながらもブロック全体としての曲げ強度を確保するために、ブロック形成に用いる型枠の容積を100容積部とした場合の木片コンクリート中の木片絶対容積は20〜60容積部、好ましくは40〜50容積部に調整され、型枠投入容積比率は60〜140容積部、好ましくは85〜105容積部に調整され、水セメント質量比は25〜80質量部、好ましくは50〜60質量部に調整される。
また、表層に用いる透水性コンクリートとしては、基層やブロック全体とのバランスに応じて、0.6〜5mm程度の粒度からなる道路用砕石を骨材としたものが用いられる。
そして、こうした複層ブロックにおける複層割合としては、表層を10〜90容積部の範囲で設定する一方、基層を90〜10容積部の範囲で設定することができるが、木片コンクリートからなる基層の割合を高く設定すればするほどに、保水性は向上するものの曲げ強度が低下するので、好ましくは基層を25〜75容積部の範囲で設定するとよい。その結果、ブロック製造時においては表層の透水性コンクリートを「押さえ板」として機能させ、基層の木片コンクリートの膨張を抑制して十分な結合を得るとともに、設置後においてブロック表面に荷重が加わった際にも表層の存在によって基層の拡幅を抑制させて引張応力が働きにくくさせるようにできたのである。
透水性コンクリートのみを単層で用いた従来の敷設用ブロックでは保水量に乏しかったが、本発明に係る敷設用ブロックでは、木片コンクリートを単層で用いたブロックに劣らない保水量を確保することができるため、透水性コンクリート単層ブロックに比してブロックの表面温度を5〜10℃低減することができ、都市のヒートアイランド現象緩和に有効な舗装資材とすることができる。
また、表層に透水性コンクリートを用いることにより、木片コンクリートのみを単層で用いた敷設用ブロックでは乏しかった曲げ強度やすり減り抵抗性を高めることができたので、舗装資材として好適に用いることができるようになった。
さらに、透水性コンクリートに比して軽量な木片コンクリートを基層に用いたために、敷設用ブロック全体としての質量を透水性コンクリート単層で用いた従来の敷設用ブロックに比して約半分程度にまでも低減することができるようになった。
以下、本発明に係る敷設用ブロックの実施形態を説明する。代表的な敷設用ブロックである汎用インターロッキングブロックは、幅98mm、長さ198mm、厚さ60mmであり、四方の側壁面に目地キープ用の突条を縦方向に立設したもので、ブロック1個あたりの容積は1.17リットルである。本発明は、こうした大きさ・形状に代表されるブロックの基層側に木片コンクリート、表層側に透水性コンクリートを用いた複層の敷設ブロックとしたものであるから、以下は前記インターロッキングブロックを例に説明する。
[使用原料]
セメント:普通ポルトランドセメント(略記号「C」で示す)密度3.15g/cm
水:水道水(略記号「W」で示す)密度1g/cm3
木片コンクリート用骨材:岡山県産ヒノキ粒度調整済み木片(略記号「Gw」で示す)5.0〜1.0mm、表乾密度0.46g/cm、実積率49.5%、吸水率28.33%;
透水性コンクリート用骨材:岡山県産道路用採石7号(略記号「Gg」で示す)5.0〜2.5mm、表乾密度2.67g/cm3、実積率59.8%、吸水率0.73%;
コンクリート用混和剤:ナフタリン系高性能減水剤(略記号「Ad」で示す)
[試験方法]
強度試験:JISA5371附属書2推奨仕様2−3「インターロッキングブロック(案)」透水性ブロック 曲げ強度試験(単位:N/mm2、規格値:3.0以上);
透水性試験:JISA5371附属書2推奨仕様2−3「インターロッキングブロック(案)」透水性ブロック 透水性試験簡易法(透水係数:cm/sec、規格値:0.01以上);
保水量試験:東京都建設局基準保水量測定試験(kg/m2、規格値:10以上)
木片コンクリートと透水性コンクリート、それぞれの配合割合を次表1に示すように設定し、基層側に木片コンクリート、表層側に透水性コンクリートを配してインターロッキングブロックを製造した(実施例1)。比較例として、透水性コンクリートのみからなるインターロッキングブロック(比較例1)、木片コンクリートのみからなるインターロッキングブロック(比較例2)、および実施例1とは逆に、基層側に透水性コンクリートを配する一方表層側に木片コンクリートを配したインターロッキングブロック(比較例3)をそれぞれ製造し、前記試験方法により対比した。対比結果を次表2に示す。なお、実施例1及び比較例3のいずれも、表層又は基層のいずれかに用いる木片コンクリート層の層厚割合を全体の75%とした。
以上から、木片コンクリート単層としたインターロッキングブロック(比較例2)では所要の保水量、透水性を確保できても規定の曲げ強度を得ることは困難である一方、透水性コンクリート単層としたインターロッキングブロック(比較例1)では保水量が規格以下になってしまうことが再確認された。また、木片コンクリートの表層又は基層のいずれかを透水性コンクリートで置換することによって強度の増加は図られるが、木片コンクリート層の割合が同じであっても、木片コンクリートを表層側に用いるか(比較例3)、基層側に用いるか(実施例1)によって強度差が生じることがわかった。
そこで、木片コンクリート層部分の強度を可能な限り高めるために、設計空隙率と強度との関係を求めた。強度試験は、木片コンクリート単層で製作したブロックで、材齢7日のものを用い、水セメント比(W/C)を50%、木片絶対容積を49.5%として行った。この強度試験の結果を図1に示す。この試験結果により、設計空隙率の低下に伴って曲げ強度が増大することが判明したが、いずれも透水性インターロッキングブロックの規格値である3N/mm2を達成することはできなかった。
ところで、木片コンクリートでは、即時脱型する場合、木のもつ弾性によって脱型直後にブロック全体に膨らみが生じ、強度低下を引き起こすことが考えられる。そこで、型枠投入容積比率(型枠の容積に対して詰めるコンクリート容積の百分率)が強度におよぼす影響を検討した。図2に型枠投入容積比率と曲げ強度の関係を示す。試験は、木片コンクリート単層で製作したブロックで、材齢7日のものを用いて行った。この結果より、型枠投入容積比率85〜105%の範囲でもっとも高い強度が得られることが判明した。
さらに、水セメント比および骨材として用いた木片の絶対容積が強度に及ぼす影響を検討した。図3に水セメント比・骨材(木片)絶対容積と曲げ強度の関係、図4に水セメント比・骨材絶対容積と保水量・透水量の関係を示す。いずれの試験も、木片コンクリート単層で製作したブロックで、材齢7日と28日のものを用いて行った。この結果より、骨材としての木片絶対容積が49.5%のとき、木片コンクリートの最適な水セメント比は50%〜60%の範囲にあり、規格には達しなかったが最も高い曲げ強度1.5N/mm2を得ることができた。このとき、保水量と透水量についてはいずれも規格を満足していた。また、骨材として用いる木片の絶対容積を下げ、セメントペースト量を増やすことによって強度を上げることが可能であるといえるが、骨材絶対容積40%では透水係数が規格を下回ったので、最適な骨材絶対容積は45%付近であることが判明した。
また、木片コンクリートと透水性コンクリートの複層構造とした場合、前記表2に示されるように、各層の割合が同じであっても、木片コンクリートを表層側に用いるか、基層側に用いるかの違いによってブロックの強度に差が見られる。そこで、木片コンクリートの層厚割合を変えながら測定した、各層の構成と曲げ強度の関係を図5に、各層の構成と保水量・透水量の関係を図6にそれぞれ示す。
図5に示されるように、表層に木片コンクリートを用いた場合、木片コンクリート層を25%に設定した場合を除き、強度は規格に達しなかったが、表層に透水性コンクリートを用いた場合には、所要の曲げ強度3N/mm2が得られた。これは、表層に用いた透水性コンクリートが基層の木片コンクリートの膨張を抑制し、木片コンクリートの結合が十分に行われたためと考えられる。また、表層に透水性コンクリートを用いたブロックは、保水量および透水量についても規格を満たしている。
以上より、基層に木片コンクリート、表層に透水性コンクリートを用いて複層としつつ、基層をなす木片コンクリートにおける木片粒度を10mm以下とし、骨材絶対容積を40〜50容積部、型枠投入容積比率を85〜105容積部、水セメント質量比を50〜60質量部として、基層側を25〜75容積部に設定すれば、保水量、透水性、強度のいずれについても規格を満たしたしたインターロッキングブロックを得ることができたのである。
木片コンクリート単層ブロックにおける設計空隙率と曲げ強度の関係を示したグラフである。 木片コンクリート単層ブロックにおける型枠投入容積比率と曲げ強度の関係を示したグラフである。 木片コンクリート単層ブロックにおける水セメント比・骨材絶対容積と曲げ強度の関係を示したグラフである。 木片コンクリート単層ブロックにおける水セメント比・骨材絶対容積と保水量・透水量の関係を示したグラフである。 木片コンクリートと透水性コンクリートの複層ブロックにおいて、各層の構成と曲げ強度の関係を示したグラフである。 木片コンクリートと透水性コンクリートの複層ブロックにおいて、各層の構成と保水量・透水量の関係を示したグラフである。

Claims (3)

  1. 基層に木片コンクリート、表層に透水性コンクリートを用いて複層としてなる敷設用ブロック。
  2. 基層が、木片粒度10mm以下であり、ブロック形成に用いる型枠の容積を100容積部とした場合の木片絶対容積が40〜50容積部、型枠投入容積比率が85〜105容積部であって、かつ、水セメント質量比が50〜60質量部である請求項1記載の敷設用ブロック。
  3. 表層と基層の複層割合を、基層側が25〜75容積部となるようにしたことを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の敷設用ブロック。
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