JP4404189B2 - 回折素子および光ヘッド装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光によって光記録媒体の情報の記録、再生を行う光ヘッド装置に用いられる回折素子およびその光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
同一の光ヘッド装置で、規格の異なる光ディスクであるCDおよびDVDを用いて、情報の記録・再生を行うために、CD/DVD互換光ヘッド装置が製品化されている。このようなCD/DVD互換光ヘッド装置の小型・軽量化にともない、光源として、CD用の波長780nm帯の光を出射する第1の半導体レーザとDVD用の波長660nm帯の光を出射する第2の半導体レーザとを集積した2波長光発振半導体レーザが用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−59746号公報
【特許文献2】
特開2002−92933号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような2波長光源を備えた光ヘッド装置には、一般に、CDのトラッキングに用いられる第1の回折格子と、DVD特にDVD−RAMのトラッキングに用いられる第2の回折格子とを有する回折素子が配設されている。
【0005】
前記回折素子は、前記第1の回折格子と前記第2の回折格子とが1枚の透明基板の両面にそれぞれ形成されているか、または、前記第1の回折格子が形成された第1の透明基板と、第2の回折格子が形成された第2の透明基板とを積層した構造が採られる。このため、前記第1および第2の回折格子の位置を調整する必要があり、工数の増加、歩留まり低下の原因になっていた。
【0006】
また、前記第1および第2の回折格子が、前記回折素子を構成する透明基板の少なくとも2つの面を占有しているため、素子数の削減、素子の小型化を妨げていた。
【0007】
本発明の目的は、複数の波長の光を回折する機能を有する回折素子において、小型化が可能で、容易にかつ歩留まりよく製造できる回折素子および光ヘッド装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基板と、前記透明基板の一つの面に形成された周期的な凹凸と、前記周期的な凹凸の凹部に充填された透明な充填材とを有してなる回折素子であって、前記周期的な凹凸は、波長λの光波が特定の方向に回折するとともに波長λ (λ ≠λ )の光波が直進するように形成された第1領域と、前記波長λの光波が特定の方向に回折するとともに前記波長λ の光波が直進するように形成された第2領域とを有する回折素子を提供する。
【0009】
また、前記第1領域と前記第2領域の少なくとも一方は、複数の領域に分割されている上記の回折素子を提供する。また、前記第1領域は面積Aを有し、前記第2領域は面積Bを有し、前記波長λ の光波に対する前記第1領域の±1次回折効率をη (±1)するときη (±1)×A/(A+B)で表わされる実効的な±1次回折効率および、前記波長λ の光波に対する前記第2領域の±1次回折効率をη (±1)するときη (±1)×B/(A+B)で表わされる実効的な±1次回折効率と、が調整された上記の回折素子を提供する。また、前記波長λ の光波に対する前記凹凸の0次回折効率η (0)と、前記実効的な±1次回折効率η (±1)×A/(A+B)との比と、前記波長λ の光波に対する前記凹凸の0次回折効率η (0)と、前記実効的な±1次回折効率η (±1)×B/(A+B)との比と、が略等しい上記の回折素子を提供する。
【0010】
また、前記周期的な凹凸の凸部は、前記透明基板に平行または略平行に配された光学多層膜により構成される上記の回折素子を提供する。
【0011】
また、複屈折性を有する有機薄膜または無機基板による複屈折層が積層されている上記の回折素子を提供する。
【0012】
また、前記透明基板が、複屈折性を有する無機基板により構成される上記の回折素子を提供する。また、前記波長λ は660nm帯であり、前記波長λ は780nm帯である上記の回折素子を提供する。
【0013】
本発明は、波長λおよび波長λの光波を出射する光源と、前記波長λおよび波長λの光波を光記録媒体に集光する対物レンズとを備え、光記録媒体に情報の記録と再生の少なくとも一方を行う光ヘッド装置であって、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、上記いずれかの回折素子が搭載されている光ヘッド装置を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
「第1実施態様」
図1は、本発明の第1実施態様となる回折素子の断面の概念的構成を示す断面図である。第1実施態様の回折素子は、透明基板3の一方の面(図中上面)に形成された周期的な凹凸4と、周期的な凹凸4の凹部4aに充填された透明な充填材5とを有して構成される。すなわち、周期的な凹凸4に透明な充填材5を充填して回折格子11を形成することになる。
【0015】
図2に、回折素子における周期的な凹凸4の透明基板3上の平面パターンの概念的構成の第1の例を示す。この第1の例の平面パターンは、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第1領域1と、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第2領域2とを有して構成される。これらの第1領域1および第2領域2は、周期的な凹凸4の全領域を1つの直線状の分割線で分割した状態でそれぞれ設けられる。周期的な凹凸4の高さおよび間隔は、回折する対象となる光波の波長に応じて適宜設定する。上記特定の方向に回折するとは、例えば、本発明の第1実施態様の回折素子を用いて、規格の異なる光ディスクであるDVDおよびCDのトラッキングを行う場合、DVDとCDではトラックピッチが異なっており、各々のトラックピッチにあわせて集光するように回折するということを意味している。
【0016】
上記回折素子を構成する透明基板3としては、ガラスや石英ガラスなどの光学的に等方である板状の透明材料が用いられる。周期的な凹凸4としては、透明基板3の表面を直接エッチング等で加工したものを用いることができ、また、透明基板3上に石英や酸化チタン等の誘電体を蒸着法やスパッタ法により成膜した誘電体膜をエッチング等で加工したものを用いてもよい。または、透明基板3上に、リフトオフ用の膜を成膜、パターニング後に、石英や酸化チタン等の誘電体を蒸着法やスパッタ法により成膜し、リフトオフ用の膜を取り除いたものを用いてもよい。また、金型を用いて樹脂を射出成形して形成してもよい。
【0017】
透明な充填材5は、石英、酸化チタン等の無機材料や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の有機材料を用いることができる。または、前記無機材料と有機材料とを組み合わせて用いてもよい。また、周期的な凹凸4および透明な充填材5上に、表面の平坦性向上のために、光学的に等方的な透明基板を積層してもよい(図示せず)。
【0018】
前記周期的な凹凸4の平面パターンは、図2に示したように、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第1領域1と、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第2領域2とに2分割した領域である必要はなく、種々の変形が可能である。図3に、回折素子における周期的な凹凸4の透明基板3上の平面パターンの第2の例を示す。この第2の例の平面パターンは、3つ以上の分割領域からなり、それら分割領域の複数で第1領域1を形成し、その他の分割領域で第2領域2を形成している。すなわち、周期的な凹凸4の全領域を1つの直線状の分割線で分割するとともに、この分割線と略直交する複数(図では7つ)の略並行な分割線で分割し、複数(図では16個)の領域において交互に第1領域1と第2領域2を形成したものである。このような平面パターンによっても同様の回折効果が得られる。
【0019】
上記のように分割形成した平面パターンを持つ回折格子11によって、波長λの光波は、第1領域1、および第2領域2を直進する0次光と、第1領域1にて偏向する±1次光、±2次光、±3次光等の回折光が得られ、一方、波長λの光波は、第1領域1、および第2領域2を直進する0次光と、第2領域2にて偏向する±1次光、±2次光、±3次光等の回折光が得られる。
【0020】
以下、波長λおよび波長λの光波の直進する0次光および偏向する±1次光を利用する場合について説明する。
【0021】
ここで、前記第1領域1の面積をA、前記第2領域2の面積をBとし、周期的な凹凸4と透明な充填材5とからなる回折格子11における波長λの光波の±1次回折効率をη(±1)とすると、本発明の第1実施態様の回折素子における実効的な±1次回折効率はη(±1)×A/(A+B)となる。同様に、回折格子11における波長λの光波の±1次回折効率をη(±1)とすると、本発明の第1実施態様の回折素子における実効的な±1次回折効率はη(±1)×B/(A+B)となる。すなわち、前記第1領域1および第2領域2の面積を調整することで、波長λの光波および波長λの光波に対する実効的な±1次回折効率を調整できる。
【0022】
上述したように、本発明の第1実施態様の回折素子は、透明基板の1面のみに形成した周期的な凹凸を用いて、異なる波長λおよび波長λの光波に対する回折格子を形成することができるので、一度のパターニングとエッチングまたはリフトオフにて作製できる。このため、従来必要であった複数の回折素子を位置調整する工程が不要となるので、容易にかつ歩留まりよく製造できる。
【0023】
「第2実施態様」
図4は、本発明の第2実施態様となる回折素子の断面の概念的構成を示す断面図である。第2実施態様の回折素子は、透明基板3の一方の面(図中上面)に形成された周期的な凹凸6と、周期的な凹凸6の凹部6aに充填された透明な充填材5とを有して構成される。
【0024】
前記周期的な凹凸6は、透明基板3に並行または略並行に配された光学多層膜の一例である誘電多層膜から構成される。この周期的な凹凸6は、透明基板3上に蒸着法やスパッタ法により成膜された誘電多層膜をパターニングした後にエッチングして形成するか、または、透明基板3上にリフトオフ用の膜を成膜、パターニング後に、誘電多層膜を蒸着法やスパッタ法より成膜し、リフトオフ用の膜を取り除いて形成してもよい。
【0025】
さらに、周期的な凹凸6の平面パターンは、本発明の第1実施態様の回折素子と同様に、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第1領域と、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第2領域とを有して構成される。なお、透明基板3および透明な充填材5は、本発明の第1実施態様の回折素子と同様のものを用いることができる。また、周期的な凹凸6および透明な充填材5上に、表面の平坦性向上のために、光学的に等方的な透明基板を積層してもよい(図示せず)。
【0026】
本発明の第2実施態様の回折素子によると、周期的な凹凸6として多層膜構造を用いることにより、回折効率および回折効率の波長依存性の設計自由度を増すことができる。さらに、第1実施態様の回折素子と同様に、周期的な凹凸6の平面パターンを変えることで、波長λの光波の利用効率と波長λの光波の利用効率とを調整できる。
【0027】
上述したように、本発明の第2実施態様の回折素子は、透明基板の1面のみに形成した多層膜からなる周期的な凹凸を用いて、異なる波長λおよび波長λの光波に対する回折格子を形成できるので、一度のパターニングとエッチングまたはリフトオフにて作製できる。このため、従来必要であった複数の回折素子を位置調整する工程が不要となるので、容易にかつ歩留まりよく製造できる。
【0028】
「第3実施態様」
図5および図6は、本発明の第3実施態様となる回折素子の断面の概念的構成を示す断面図である。第3実施態様の回折素子は、透明基板3の一方の面(図中上面)に形成された周期的な凹凸8と、周期的な凹凸8の凹部8aに充填された透明な充填材5と、複屈折性を有する有機薄膜または無機基板による複屈折層7とを有して構成される。前記複屈折性を有する有機薄膜または無機基板による複屈折層7は、図5に示す第1の例のように、透明な充填材5上に積層されていてもよいし、図6に示す第2の例のように、透明基板3の他方の面(図中下面)に積層されていてもよい。
【0029】
前記周期的な凹凸8は、透明基板3の表面を直接エッチング等で加工したもの、または透明基板3上に石英や酸化チタン等の誘電体の単層膜あるいは多層膜を蒸着法やスパッタ法により成膜した誘電体膜をエッチング等で加工したもの、または透明基板3上に、リフトオフ用の膜を成膜、パターニング後に、石英や酸化チタン等の誘電体の単層膜あるいは多層膜を蒸着やスパッタにより成膜し、リフトオフ用の膜を取り除いたものなどで構成される。
【0030】
また、周期的な凹凸8の平面パターンは、本発明の第1実施態様の回折素子と同様に、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第1領域と、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第2領域とを有して構成される。なお、透明基板3および透明な充填材5は、本発明の第1実施態様の回折素子と同様のものを用いることができる。
【0031】
前記複屈折層7としては、有機材料であるポリカーボネートを一軸延伸して複屈折性を誘起した有機薄膜、または無機基板である水晶の単板を薄く加工したものを用いることができる。また、複屈折層7上に、この複屈折層7の保護、または表面の平坦性向上のために、光学的に等方的な透明基板を積層してもよい(図示せず)。
【0032】
上述したように、本発明の第3実施態様の回折素子は、透明基板の1面のみに形成した周期的な凹凸と、複屈折性を有する有機薄膜または無機基板による複屈折層とを用いて、異なる波長λおよび波長λの光波を特定の方向に回折する回折格子による光波の偏向制御と、複屈折層による光波の偏光制御とを、一つの素子で実現できる。
【0033】
「第4実施態様」
図7は、本発明の第4実施態様となる回折素子の断面の概念的構成を示す断面図である。第4実施態様の回折素子は、複屈折性を有する無機基板10の一方の面(図中上面)に形成された周期的な凹凸9と、周期的な凹凸9の凹部9aに充填された透明な充填材5とを有して構成される。
【0034】
前記周期的な凹凸9は、複屈折性を有する無機基板10上に石英や酸化チタン等の誘電体の単層膜を蒸着法やスパッタ法により成膜した誘電体膜をエッチング等で加工したもの、または複屈折性を有する無機基板10上に、リフトオフ用の膜を成膜、パターニング後に、石英や酸化チタン等の誘電体の単層膜を蒸着やスパッタにより成膜し、リフトオフ用の膜を取り除いたもの、または透明基板3上に蒸着法やスパッタ法により成膜された誘電多層膜をパターニングした後にエッチング等で加工したもの、または複屈折性を有する無機基板10上にリフトオフ用の膜を成膜、パターニング後に、誘電多層膜を蒸着法やスパッタ法により成膜し、リフトオフ用の膜を取り除いたものなどで構成される。
【0035】
また、周期的な凹凸9の平面パターンは、本発明の第1実施態様の回折素子と同様に、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第1領域と、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第2領域とを有して構成される。なお、透明な充填材5は、本発明の第1実施態様の回折素子と同様のものを用いることができる。
【0036】
複屈折性を有する無機基板10としては、水晶またはニオブ酸リチウム等の透明な単板を用いることができる。また、周期的な凹凸9および透明な充填材5上に、表面の平坦性向上のために、光学的に等方的な透明基板を積層してもよい(図示せず)。
【0037】
上述したように、本発明の第5実施態様の回折素子は、複屈折性を有する無機基板の1面のみに形成した周期的な凹凸を用いて、異なる波長λおよび波長λの光波を特定方向に回折する回折格子による光波の偏向制御と、複屈折性を有する無機基板による光波の偏光制御とを、一つの素子で実現できる。
【0038】
「第5実施態様」
図8は、本発明の第5実施態様となる光ヘッド装置の光学配置を示す図である。第5実施態様の光ヘッド装置は、光記録媒体であるDVD37およびCD38の情報の記録・再生を行うCD/DVD互換光ヘッド装置であって、光源として、DVD用の波長λおよびCD用の波長λの光波を出射する2波長光発振半導体レーザ32を備えている。光源から出射する光波の光路中には、2つの波長の光波に対応する回折格子として機能する例えば第1実施態様の構成を有する回折素子31と、ビームスプリッタ33と、コリメートレンズ34と、対物レンズ36とが配設され、これらの光学系を通った光を受光する光検出器35を備えている。
【0039】
上記構成において、2波長光発振半導体レーザ32を出射した光波は、回折素子31に入射し、光ディスクのトラッキング用の光波(±1次光)と信号用の光波(0次光)とに分けられる(図示せず)。その後、ビームスプリッタ33、コリメートレンズ34、対物レンズ36を透過し、DVD37(またはCD38)の記録面上に集光する。DVD37(またはCD38)を反射した光波は、対物レンズ36、コリメートレンズ34を透過し、ビームスプリッタ33を反射して、光検出器35上に集光され、電気信号に変換される。
【0040】
上述のように、DVD37およびCD38のトラッキング用の光波を分割し、DVD37およびCD38の記録面上に集光するために、従来の光ヘッド装置では、DVDおよびCD用の2種の回折素子を用い、おのおの位置調整して組立てられていたが、本発明の第6実施態様の光ヘッド装置は、回折素子31のみの位置調整で組立てられるので、組立工程を簡素化できる。
【0041】
【実施例】
「例1」
本実施例(例1)は、図1に示す第1実施態様の回折素子の具体例である。石英ガラス製の透明基板3の一方の表面にフォトグラフィとエッチングの技術により矩形状の周期的な凹凸4を形成する。このとき、周期的な凹凸4の平面パターンとして、図3に示すように、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第1領域1と、波長λの光波が特定の方向に回折するように形成された第2領域2とを形成する。
【0042】
次に、周期的な凹凸4の凹部4aに、透明な充填材5として、ポリシラザンにアクリル樹脂と酸化チタンとを混合し、波長589nmの光波における屈折率が1.52になるように調整したものを充填する。また、透明基板3の周期的な凹凸4を形成した面とは反対の面、および透明な充填材5上に、反射防止膜を形成する(図示せず)。
【0043】
本実施例の回折素子による回折効率が、波長660nmの光波において、0次光の回折効率η(0)が63%、1次光の回折効率η(1)が30%、波長780nmの光波において、0次光の回折効率η(0)が70%、1次光の回折効率η(1)が24%になるように、周期的な凹凸4の高さを1.88μmとする。
【0044】
また、周期的な凹凸4の第1領域1と第2領域2の面積比を0.42:0.58とし、波長660nmの光波において、実効的な±1次回折効率が12.6%、波長780nmの光波において、実効的な±1次回折効率が13.9%になるように調整する。すなわち、両波長の光波に対して、実効的に利用される0次回折効率と±1次回折効率の比が共に5:1になるように調整する。このとき、本実施例の回折素子において、波長660nmおよび波長780nmの光波の利用効率は、それぞれ75.6%と83.9%である。
【0045】
図9および図10は、それぞれ波長660nm帯の光波と波長780nm帯の光波に対する利用効率を示したグラフである。図9、図10において、実線21、23は本実施例の回折素子における光波の利用効率であり、破線22、24は比較例である従来方式の回折素子における光波の利用効率を示している。比較例は、波長660nmの光波用の回折素子と波長780nmの光波用の回折素子とからなる一対の回折素子を使った場合の例で、評価した一対の回折素子は、波長660nmおよび波長780nmの光波において、実効的に利用される0次回折効率と±1次回折効率の比が共に5:1になるように調整したものである。
【0046】
この図9および図10に示したように、本実施例の回折素子による光波の利用効率は、比較例の回折素子による光波の利用効率よりも大きいことがわかる。このような一度のパターニングとエッチングで作製した本実施例の回折素子は、透明基板の1面のみに形成した周期的な凹凸を用いて、異なる波長λおよび波長λの光波に対する回折格子として機能させることができる。そして、従来必要であった複数の回折素子を位置調整する工程が不要であるので、容易にかつ歩留まりよく製造できるだけでなく、光波の利用効率も向上させることができる。
【0047】
次に、上述のように作製した本実施例の回折素子を、図8に示す光ヘッド装置の回折素子31の位置に搭載する。本実施例の回折素子をDVD37およびCD38のトラッキングに用いた場合、良好なトラッキング性能が得られ、DVD37およびCD38の情報の記録・再生特性も良好である。
【0048】
上述したように、本発明に係る回折素子は、透明基板の1面に平面パターンを2つの領域に分けた周期的な凹凸を有し、異なる波長λおよび波長λの両方の光波に対して機能する回折素子であり、前記周期的な凹凸は一度のパターニングとエッチングまたはリフトオフにて作製でき、従来必要であった複数の回折素子を位置調整する工程が不要なので、容易にかつ歩留まりよく製造できる。また、複数の波長の光波を用いて光記録媒体に情報の記録・再生を行う光ヘッド装置の組立て工程において、従来、それぞれ複数の波長に対応した複数の回折素子を、おのおの位置調整して組立てていたが、本発明に係る回折素子を用いた光ヘッド装置では、1つの回折素子のみの位置調整で組立てられるので、工程を簡素化できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の回折素子および光ヘッド装置によれば、複数の波長の光を回折する機能を有する回折素子において、小型化が可能で、容易にかつ歩留まりよく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様の回折素子の断面の概念的構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施態様の回折素子における周期的な凹凸の平面パターンの第1の例を示す図。
【図3】本発明の第1実施態様の回折素子における周期的な凹凸の平面パターンの第2の例を示す図。
【図4】本発明の第2実施態様の回折素子の断面の概念的構成を示す断面図。
【図5】本発明の第3実施態様の回折素子の断面の概念的構成の第1の例を示す断面図。
【図6】本発明の第3実施態様の回折素子の断面の概念的構成の第2の例を示す断面図。
【図7】本発明の第4実施態様の回折素子の断面の概念的構成を示す断面図。
【図8】本発明の第5実施態様の光ヘッド装置の光学配置を示す図。
【図9】本発明の第1実施態様を用いた実施例の回折素子および比較例である従来方式の回折素子における波長660nm帯の光波の利用効率を示すグラフ。
【図10】本発明の第1実施態様を用いた実施例の回折素子および比較例である従来方式の回折素子における波長780nm帯の光波の利用効率を示すグラフ。
【符号の説明】
1:第1領域(波長λの光波の回折機能)
2:第2領域(波長λの光波の回折機能)
3:透明基板
4、8、9:周期的な凹凸
5:透明な充填材
6:誘電体多層膜からなる周期的な凹凸
7:複屈折層(複屈折性を有する有機薄膜または無機基板)
10:複屈折性を有する無機基板
11:回折格子
31:回折素子
32:2波長光発振半導体レーザ
33:ビームスプリッタ
34:コリメートレンズ
35:光検出器
36:対物レンズ
37:DVD
38:CD

Claims (9)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板の一つの面に形成された周期的な凹凸と、
    前記周期的な凹凸の凹部に充填された透明な充填材とを有してなる回折素子であって、
    前記周期的な凹凸は、波長λの光波が特定の方向に回折するとともに波長λ (λ ≠λ )の光波が直進するように形成された第1領域と、前記波長λの光波が特定の方向に回折するとともに前記波長λ の光波が直進するように形成された第2領域とを有する回折素子。
  2. 前記第1領域と前記第2領域の少なくとも一方は、複数の領域に分割されている請求項1に記載の回折素子。
  3. 前記第1領域は面積Aを有し、前記第2領域は面積Bを有し、
    前記波長λ の光波に対する前記第1領域の±1次回折効率をη (±1)するときη (±1)×A/(A+B)で表わされる実効的な±1次回折効率および、前記波長λ の光波に対する前記第2領域の±1次回折効率をη (±1)するときη (±1)×B/(A+B)で表わされる実効的な±1次回折効率と、が調整された請求項1または請求項2に記載の回折素子。
  4. 前記波長λ の光波に対する前記凹凸の0次回折効率η (0)と、前記実効的な±1次回折効率η (±1)×A/(A+B)との比と、
    前記波長λ の光波に対する前記凹凸の0次回折効率η (0)と、前記実効的な±1次回折効率η (±1)×B/(A+B)との比と、が略等しい請求項3に記載の回折素子。
  5. 前記周期的な凹凸の凸部は、前記透明基板に平行または略平行に配された光学多層膜により構成される請求項1〜4いずれか1項に記載の回折素子。
  6. 複屈折性を有する有機薄膜または無機基板による複屈折層が積層されている請求項1〜5いずれか1項に記載の回折素子。
  7. 前記透明基板が、複屈折性を有する無機基板により構成される請求項1〜5いずれか1項に記載の回折素子。
  8. 前記波長λ は660nm帯であり、前記波長λ は780nm帯である、請求項1〜7いずれか1項に記載の回折素子。
  9. 波長λおよび波長λの光波を出射する光源と、前記波長λおよび波長λの光波を光記録媒体に集光する対物レンズとを備え、光記録媒体に情報の記録と再生の少なくとも一方を行う光ヘッド装置であって、
    前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、請求項1〜8いずれか1項に記載の回折素子が搭載されている光ヘッド装置。
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