JP4403347B2 - 情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びに通信システムおよび通信方法 - Google Patents

情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びに通信システムおよび通信方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びに通信システムおよび通信方法に関し、特に、携帯電話システムにおいて、基地局のスループットの向上と、ユーザに対する通信資源の公平な割り当ての両方を実現することができるようにする情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びに通信システムおよび通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、適応変調符号化通信方式(以下、適宜、AMCS(Adaptive Modulation and Coding)通信方式ともいう)が注目されている。適応変調符号化通信方式は、実データと、その実データに対する誤り訂正符号との割合を表す符号化率、および多値変調度数を、伝送路の品質に応じて変化させるもので、伝送路の品質が良い場合には、雑音耐久特性を犠牲にして、データの高速通信を可能とする。一方、伝送路の品質が悪い場合には、データレートを犠牲にして、雑音耐久特性を向上させる。
【0003】
AMCS通信方式は、例えば、GSM(Global Sytem for Mobile Communications)で用いられているEGPRS(Enhanced General Packet Radio Service)や、クアルコム(QUALCOMM)社が開発したHDR(High Data Rate)等の無線通信システムに導入されている。さらに、今後普及することが予測されるW-CDMA(Wide Band Code Division Multiple Access)方式においても、AMCS通信方式の導入が予定されている。
【0004】
図1は、AMCS通信方式を採用した、従来の通信システム(システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか否かは問わない)の一例の構成を示している。
【0005】
携帯端末11乃至13は、例えば、携帯電話機その他のPDA(Personal Digital Assistance)で構成され、基地局2との間で、AMCS通信方式による無線通信を行う。
【0006】
ここで、以下、携帯端末11乃至13を、特に区別する必要がない限り、携帯端末1と記述する。
【0007】
基地局2は、自身がカバーしている範囲(サービスエリア)内にある携帯端末1との間での、AMCS通信方式による無線通信の制御を行い、即ち、携帯端末1に対して、通信を行うための伝送帯域その他の通信資源を割り当て、これにより、例えば、他の基地局(図示せず)から送信されてくる他の携帯端末(図示せず)からのデータや、インターネットのWWW(World Wide Web)サーバからのWebページのデータ、メールサーバからのメール等を受信して、携帯端末1に送信する。あるいは、また、基地局2は、例えば、携帯端末1から送信されてくるデータを受信して、他の基地局や、インターネット等の所定のネットワークに送信する。
【0008】
携帯端末1と基地局2との間のAMCS通信は、例えば、図2に示すようなやりとりが行われることで実現される。
【0009】
即ち、いま、携帯端末1から基地局2へのデータ伝送を、「上り」というとともに、基地局2から携帯端末1へのデータ伝送を、「下り」というものとする。
【0010】
基地局2は、携帯端末1に対して、図2(A)に示すように、例えば、所定のフレーム単位で、適応変調符号化を行い、下りのあるチャンネルによって、データを送信する。AMCS通信では、フレーム単位で、符号化率や多値変調度数が変化するので、基地局2は、携帯端末1に対して、図2(B)に示すように、固定の符号化率と多値変調度数によって変調と符号化が行われる他の下りのチャンネルによって、直前のフレームの符号化率と多値変調度数を表す送信パラメータを送信する。携帯端末1は、この送信パラメータを受信することによって、次のフレームの符号化率と多値変調度数を認識し、基地局2から送信されてくる直後のフレームの復調および復号を行う。
【0011】
基地局2は、上述のように、適応変調符号化を行うが、この適応変調符号化は、携帯端末1における受信品質に基づいて行われる。
【0012】
このため、携帯端末1は、基地局2から送信されてくる信号の受信品質を求め、図2(C)に示すように、その受信品質を表す受信品質メッセージ(次データフレーム送信パラメータ要求メッセージ)を、上りのチャンネルによって、基地局2に送信する。基地局2は、この受信品質メッセージに基づいて、携帯端末1の現在の受信品質を認識し、その受信品質に対応する符号化率と多値変調度数のモード(以下、適宜、変調符号化モードという)を決定する。そして、基地局2は、図2(B)に示したように、その変調符号化モードを表す送信パラメータを、携帯端末1に送信し、さらに、直後のフレームを、その変調符号化モードに対応する符号化率と多値変調度数によって、携帯端末1に送信する。
【0013】
図3は、図1の基地局2の構成例を示している。
【0014】
分配部11には、例えば、他の基地局から送信されてくる、他の携帯端末等からのパケットデータが供給される。分配部11は、パケットデータを、その宛先となる宛先ユーザごとに分配し、バッファ12nに供給する。即ち、分配部11は、パケットデータの宛先ユーザに対して、N個のバッファ121乃至12Nの中で、誰にも割り当てられていないものの1つを割り当てる。そして、分配部11は、各宛先ユーザ宛のパケットデータを、その宛先ユーザに割り当てたバッファ12nに供給する。
【0015】
なお、バッファ12nは、そのバッファ12nに割り当てられた宛先ユーザとの通信リンクが切断されると、空きバッファとして解放され、他の宛先ユーザに割り当て可能な状態とされる。
【0016】
バッファ12nは、いわゆるFIFO(First In First Out)構造のバッファで、分配部11から供給されるパケットデータを順次記憶する。そして、バッファ12nに記憶されたパケットデータは、選択部13によって順次読み出される。
【0017】
即ち、選択部13は、制御部22の制御にしたがい、宛先ユーザに割り当てられているいずれか1つのバッファ12nを選択し、そのバッファ12nに記憶されているパケットデータを読み出し、適応変調符号化部14に供給する。
【0018】
適応変調符号化部14は、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがい、対応する符号化率の符号化方法によって、選択部13からのパケットデータを符号化し、さらに、その符号化データを、対応する多値変調度数の変調方法によって変調し、その結果得られる変調信号を、拡散部15に供給する。
【0019】
ここで、多値変調度数の異なる変調方法としては、例えば、図4に示すように、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)と16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などがある。
【0020】
QPSKの場合、図4(A)に示すように、符号化データの2ビットが、同相成分成分(I信号)と直交成分(Q信号)とで規定される平面上の4シンボルのうちの1シンボルにマッピングされる。また、16QAMの場合、符号化データの4ビットが、I信号とQ信号とで規定される平面上の16シンボルのうちの1シンボルにマッピングされる。
【0021】
従って、シンボルを送信するシンボルレートを一定にすると、単位時間あたりの送信データ量は、QPSKよりも、16QAMの方が多くなる。しかしながら、16QAMにおけるシンボルどうしの距離は、QPSKにおけるシンボルどうしの距離よりも短く、このため、雑音特性は、16QAMよりも、QPSKの方が良くなる。
【0022】
つまり、QPSKによれば、送信データ量は少ないが、雑音に対する耐性を強固にすることができ、16QAMによれば、雑音に対する耐性が弱くなるが、送信データ量を多くすることができる。
【0023】
一方、符号化率の異なる符号化方法としては、例えば、R=1/2と3/4のターボ符号化等がある。
【0024】
ここで、Rは、符号化率を表し、R=x/yとは、xビットのデータが、それに、y−xビットの冗長ビットが付加されることにより、yビットのデータに符号化されることを意味する。従って、R=1/2の符号化では、1ビットのデータに1ビットの冗長ビットが付加され、R=3/4の符号化では、3ビットのデータに1ビットの冗長ビットが付加される。
【0025】
その結果、R=1/2の符号化によれば、R=3/4の符号化の場合に比較して、データに対する冗長ビットが多いため、送信データ量(実データの量)は少なくなるが、誤り訂正能力が高くなる。一方、R=3/4の符号化によれば、R=1/2の符号化の場合に比較して、データに対する冗長ビットが少ないため、誤り訂正能力は低くなるが、送信データ量は多くなる。
【0026】
適応変調符号化部14では、以上の2種類の変調方法と、2種類の符号化方法とを適宜組み合わせて、例えば、図5に示すような3つの変調符号化モード#0,#1,#2が用意されている。
【0027】
即ち、変調符号化モード#0では、R=1/2の符号化方法で符号化され、QPSKで変調される。変調符号化モード#1では、R=1/2の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。変調符号化モード#2では、R=3/4の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。
【0028】
この場合、送信データ量は、変調符号化モード#0,#1,#2の順で多くなるが、雑音耐久特性は、その逆に、変調符号化モード#2,#1,#0の順で強固になる。
【0029】
従って、図3の制御部22は、伝送路の品質が良い場合には、雑音耐久特性を犠牲にして、データの高速通信を可能とする変調符号化モード#0を設定する。また、制御部22は、伝送路の品質が悪い場合には、データレートを犠牲にして、雑音耐久特性を向上させる変調符号化モード#2を設定する。さらに、制御部22は、伝送路の品質が良くもなく、悪くもない場合には、変調符号化モード#1を設定する。
【0030】
図6は、以上のような3つの変調符号化モードを有する適応変調符号化部14の構成例を示している。
【0031】
スイッチ31には、選択部13が出力するパケットデータが供給されるようになっており、スイッチ31は、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがって、端子31A乃至31Cのうちのいずれかを選択する。即ち、スイッチ31は、変調符号化モード#0乃至#2の場合、端子31A乃至31Cを、それぞれ選択する。
【0032】
端子31Aは、符号化器32Aに接続されており、従って、スイッチ31において、端子31Aが選択された場合には、選択部13が出力するパケットデータは、符号化器32Aにされる。符号化器32Aは、端子31Aから供給されるパケットデータを、R=1/2の符号化方法によって符号化し、その結果得られる符号化データを、変調器33Aに供給する。変調器33Aは、符号化器32Aからの符号化データをQPSK変調し、その結果得られる変調信号を、スイッチ34の端子34Aに供給する。従って、変調符号化モード#0の場合は、上述したように、パケットデータは、R=1/2の符号化方法で符号化され、QPSKで変調される。
【0033】
端子31Bは、符号化器32Bに接続されており、従って、スイッチ31において、端子31Bが選択された場合には、選択部13が出力するパケットデータは、符号化器32Bにされる。符号化器32Bは、端子31Bから供給されるパケットデータを、R=1/2の符号化方法によって符号化し、その結果得られる符号化データを、変調器33Bに供給する。変調器33Bは、符号化器32Bからの符号化データを16QAM変調し、その結果得られる変調信号を、スイッチ34の端子34Bに供給する。従って、変調符号化モード#1の場合は、上述したように、パケットデータは、R=1/2の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。
【0034】
端子31Cは、符号化器32Cに接続されており、従って、スイッチ31において、端子31Cが選択された場合には、選択部13が出力するパケットデータは、符号化器32Cにされる。符号化器32Cは、端子31Cから供給されるパケットデータを、R=3/4の符号化方法によって符号化し、その結果得られる符号化データを、変調器33Cに供給する。変調器33Cは、符号化器32Cからの符号化データを16QAM変調し、その結果得られる変調信号を、スイッチ34の端子34Cに供給する。従って、変調符号化モード#2の場合は、上述したように、パケットデータは、R=3/4の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。
【0035】
スイッチ34は、スイッチ31と同様に、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがって、端子34A乃至34Cのうちのいずれかを選択する。即ち、スイッチ34は、変調符号化モード#0乃至#2の場合、端子34A乃至34Cを、それぞれ選択する。
【0036】
従って、スイッチ34においては、変調符号化モードに応じて、その変調符号化モードで符号化と変調が行われることにより得られた変調信号が出力される。
【0037】
このように、適応変調符号化によれば、パケットデータが、伝送路の品質に応じた符号化率と変調度数で処理されるので、パケットデータを、効率良く伝送することができる。
【0038】
図3に戻り、以上のようにして、適応変調符号化部14が出力する変調信号は、拡散部15に供給される。
【0039】
拡散部15には、適応変調符号化部14が出力する変調信号の他、変調部27が出力する変調信号も供給される。
【0040】
即ち、他の基地局から、他の携帯端末等からの音声データが供給される場合には、その音声データは、符号化部25に供給され、符号化部25は、音声データを、固定の符号化率で符号化し、その結果得られる符号化データを、多重化部26に供給する。
【0041】
多重化部26は、符号化部25から供給される符号化データと、後述する符号化部24から供給される符号化データとを多重化し、その結果得られる多重化データを、変調部27に供給する。変調部27は、多重化部26からの多重化データを、固定の変調度数で変調し、その結果得られる変調信号を、拡散部15に供給する。
【0042】
拡散部15には、以上のようにして、適応変調符号化部14が出力する変調信号、および変調部27が出力する変調信号とともに、パイロット信号も供給される。拡散部15は、適応変調符号化部14が出力する変調信号、変調部27が出力する変調信号、およびパイロット信号を、それぞれ、異なる拡散符号によって、同一周波数帯域内に、スペクトル拡散し、その結果得られるスペクトル拡散信号を、送受信部16に供給する。
【0043】
送受信部16は、拡散部15からのスペクトル拡散信号に対して、増幅その他の必要な処理を施し、アンテナ17から、電波として送信する。
【0044】
また、アンテナ17は、携帯端末1から送信されてくる電波を受信し、その結果得られる受信信号を、送受信部16に供給する。送受信部16は、アンテナ17からの受信信号を増幅等し、スペクトル拡散信号を逆拡散部18に供給する。逆拡散部18は、スペクトル拡散信号をスペクトル逆拡散し、その結果得られる変調信号を、復調部19に供給する。
【0045】
復調部19は、逆拡散部18からの変調信号を復調し、パケットデータや音声データ等の各種のデータを得て出力する。復調部19において得られる各種のデータは、例えば、他の基地局等に送信される。
【0046】
また、復調部19が、復調を行うことにより得られるデータは、受信品質ビット抽出部20にも供給される。
【0047】
携帯端末1から送信されてくる信号には、図2で説明したように、受信品質メッセージが含まれており、受信品質ビット抽出部20は、復調部19からのデータに含まれる受信品質メッセージに対応するビットを抽出し、受信品質判定部21に供給する。
【0048】
受信品質判定部21は、受信品質ビット抽出部20からの受信品質メッセージに基づき、携帯端末1における、基地局2からの電波の受信品質、即ち、伝送路の品質を判定し、その判定結果を、制御部22に供給する。
【0049】
制御部22は、受信品質判定部21からの判定結果に基づき、変調符号化モードを設定し、適応変調符号化部14と制御データ生成部23に供給する。
【0050】
適応変調符号化部14は、以上のようにして、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがって、選択部13から供給されるパケットデータの適応変調符号化を行う。
【0051】
一方、制御データ生成部23は、制御部22からの変調符号化モードに対応する変調方法と符号化方法を表すメッセージ(上述の送信パラメータ)、その他の、携帯端末1の制御に必要な制御データを生成し、符号化部24に供給する。符号化部24は、制御データ生成部23からの制御データを、固定の符号化率で符号化し、その結果得られる符号化データを出力する。この符号化部24が出力する符号化データは、上述したように、多重化部26に供給され、符号化部25が出力する符号化データと多重化される。
【0052】
なお、制御部22は、選択部13の制御も行う。選択部13は、制御部22による制御にしたがい、図7に示すように、バッファ12nに記憶されているパケットデータを選択して読み出し、適応変調符号化部14に供給するので、選択部13において読み出されたパケットデータは、携帯端末1に送信されることになる。従って、選択部13での選択は、携帯端末1に対して、通信資源の割り当てることに対応するから、制御部22は、この通信資源の割り当て制御を行っているということができる。
【0053】
ここで、図7は、基地局2のパケットデータ伝送用の下り回線が、1チャンネルだけである場合に、携帯端末11乃至13のユーザ#1乃至#3それぞれ宛のパケットデータを送信するのに、携帯端末11乃至13それぞれに対して、通信資源が、時分割で割り当てられる様子を示している。
【0054】
次に、図8は、図1の携帯端末1の構成例を示している。
【0055】
基地局2からの電波は、アンテナ41で受信され、その受信信号は、送受信部42に供給される。送受信部42は、アンテナ41からの受信信号に対して、増幅その他の必要な処理を施し、逆拡散部43に供給する。逆拡散部43は、送受信部42からの受信信号としてのスペクトル拡散信号を、スペクトル逆拡散し、その結果得られるパイロット信号、適応変調符号化されたデータ(図3の適応変調符号化部14が出力するデータに対応する)、および固定の符号化率で、かつ固定の変調度数で変調されたデータ(図3の変調部27が出力するデータに対応する)を出力する。
【0056】
パイロット信号は、受信品質推定部50に供給され、適応変調符号化されたデータは、データ復調復号部49に供給される。また、固定の符号化率で、かつ固定の変調度数で変調されたデータは、復調部44に供給される。
【0057】
復調部44は、逆拡散部43が出力する、固定の符号化率で、かつ固定の変調度数で変調されたデータを復調し、その結果得られる符号化データを、制御データ分離部45に供給する。制御データ分離部45は、復調部44から供給される符号化データから、制御データの符号化データを分離し、制御データ復号部47に供給するとともに、残りの符号化データを、復号部46に供給する。復号部46は、制御データ分離部45からの符号化データを復号し、その結果得られる、例えば音声データを出力する。
【0058】
制御データ復号部47は、制御データ分離部45から供給される符号化データを、制御データに復号し、制御部48に出力する。制御部48は、制御データ復号部47からの制御データに含まれる変調方法と符号化方法を表すメッセージにしたがって、データ復調復号部49を制御する。
【0059】
即ち、データ復調復号部49は、制御部48からの制御にしたがった復調方法で、逆拡散部44が出力する適応変調符号化されたデータを復調し、さらに、その復調の結果得られるデータを、制御部48からの制御にしたがった復号方法で復号する。そして、データ復調復号部49は、その復号の結果得られるパケットデータを出力する。
【0060】
一方、受信品質推定部50は、逆拡散部43からのパイロット信号に基づいて、適応変調符号化されたデータの受信品質を推定し、その受信品質を表す受信品質メッセージを、受信品質ビット挿入部51に供給する。
【0061】
受信品質ビット挿入部51には、受信品質推定部50が出力する受信品質メッセージの他、携帯電話機1から送信すべきパケットデータや音声データ等の送信データが供給されるようになっており、受信品質ビット挿入部51は、その送信データの所定の位置に、受信品質メッセージに対応するビット列を挿入し、必要に応じて符号化して、変調部52に供給する。
【0062】
変調部52は、受信品質ビット挿入部51からのデータを、固定の変調度数で変調する。そして、変調部52は、その変調の結果得られる変調信号を、拡散部53に供給する。
【0063】
拡散部53は、変調部52からの変調信号をスペクトル拡散することにより、スペクトル拡散信号とし、送受信部42に供給する。送受信部42は、拡散部53からのスペクトル拡散信号に対して、増幅その他の必要な処理を施し、アンテナ41から、電波として送信する。
【0064】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図3の基地局2の制御部22による通信資源の割り当て制御のアルゴリズムとしては、例えば、次のような第1乃至第3の方法がある。
【0065】
即ち、第1の方法では、受信品質が良い携帯端末に対して、優先的に通信資源が割り当てられる。第2の方法では、携帯端末1の受信品質に関係なく、各携帯端末(基地局2のサービスエリア内に存在し、かつ基地局2との通信リンクが確立されている各携帯端末)に対して、均等に、通信資源が割り当てられる。第3の方法では、各携帯端末に対して、送信データ量(オーバーヘッドを含まない実データの量)が均等になるように、通信資源が割り当てられる。
【0066】
第1の方法によれば、受信品質が良い携帯端末、即ち、高データレートでのデータ送信が可能な携帯端末に対して、優先的に、通信資源が割り当てられるため、基地局2の処理効率(基地局2の送信データ量)(スループット)は最大となる。しかしながら、第1の方法では、受信品質が悪い携帯端末、即ち、例えば、基地局2から遠方に位置するユーザの携帯端末には、通信資源が割り当てにくくなり、ユーザに対して不公平となる。従って、この第1の方法は、最近多く採用されている定額制のサービスには、適用しにくい。
【0067】
第2の方法によれば、通信資源が、各携帯端末に、均等に割り当てられることから、データレートが一定の場合には、各ユーザに対する送信データ量は均等になり、ユーザ間の不公平は生じない。しかしながら、適応変調符号化通信方式を採用する場合には、主として、基地局2からの距離が影響する受信品質によって、データレートが変化するため、通信資源を、各携帯端末に、同一の時間だけ割り当てたとしても、各ユーザに対する送信データ量は、受信品質によって異なるものとなる。従って、ユーザ間の不公平さの程度は、第1の方法の場合よりも低くはなるが、それでも、まだ、相応の不公平さが残る。また、第2の方法では、受信品質に関係なく、通信資源の割り当てが行われるため、基地局2のスループットは、第1の方法の場合に比較して低下することとなる。
【0068】
第3の方法では、各携帯端末に対する送信データ量が均等になるように、通信資源が割り当てられることから、ユーザ間の不公平さは完全に解消されることになる。しかしながら、第3の方法では、受信品質の良い携帯端末に対応する送信データ量と、受信品質の悪い携帯端末に対する送信データ量とが均等になるようにするため、受信品質の悪い携帯端末に対して、多くの通信資源が割り当てられる。このため、適応変調符号化による伝送効率の向上という効果が薄れることになる。
【0069】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、適応変調符号化による伝送効率をなるべく維持しながら、ユーザに対してなるべく公平なデータ伝送を実現することができるようにするものである。
【0070】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報処理装置は、通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得手段と、通信装置から、受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報を取得する電力制御情報取得手段と、所定の区間において取得された電力制御情報について積算を行う積算手段と、通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定手段と、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値を演算する代表値演算手段と、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、受信品質推定手段により推定された通信装置における現在の受信品質とに基づいて、通信資源の割り当てを決定する決定手段とを備え、受信品質推定手段は、受信品質メッセージと、決定手段が受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間において積算手段で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値を求めることを特徴とする。
【0071】
本発明の情報処理方法は、通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得ステップと、通信装置から、受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報を取得する電力制御情報取得ステップと、所定の区間において取得された電力制御情報について積算を行う積算ステップと、通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値を演算する代表値演算ステップと、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、推定された通信装置における現在の受信品質とに基づいて、通信資源の割り当てを決定する決定ステップとを備え、受信品質推定ステップにおいて、受信品質メッセージと、決定ステップで受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値が求められることを特徴とする。
【0072】
本発明の記録媒体は、通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得ステップと、通信装置から、受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報を取得する電力制御情報取得ステップと、所定の区間において取得された電力制御情報について積算を行う積算ステップと、通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値を演算する代表値演算ステップと、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、推定された通信装置における現在の受信品質とに基づいて、通信資源の割り当てを決定する決定ステップとを備え、受信品質推定ステップにおいて、受信品質メッセージと、決定ステップで受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値が求められることを特徴とする。
【0073】
本発明の通信システムは、通信装置が、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、自身における受信品質を求め、その受信品質を表す受信品質メッセージを生成する受信品質メッセージ生成手段と、受信品質メッセージが、第1の間隔で送信されるように、受信品質メッセージを、情報処理装置への送信信号に挿入する受信品質メッセージ挿入手段と、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、情報処理装置の送信電力の調整を要求する電力制御情報を生成する電力制御情報生成手段と、電力制御情報が、第1の間隔よりも短い第2の間隔で送信されるように、電力制御情報を、送信信号に挿入する電力制御情報挿入手段とを備え、情報処理装置が、受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得手段と、通信装置から送信されてくる電力制御情報を取得する電力制御情報取得手段と、所定の区間において取得された電力制御情報について積算を行う積算手段と、通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定手段と、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値を演算する代表値演算手段と、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、受信品質推定手段により推定された通信装置における現在の受信品質とに基づいて、通信資源の割り当てを決定する決定手段とを備え、受信品質推定手段は、受信品質メッセージと、決定手段が受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間において積算手段で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値を求めることを特徴とする。
【0074】
本発明の通信方法は、通信装置における通信方法が、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、自身における受信品質を求め、その受信品質を表す受信品質メッセージを生成する受信品質メッセージ生成ステップと、受信品質メッセージを、情報処理装置への送信信号に挿入する受信品質メッセージ挿入ステップと、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、情報処理装置の送信電力の調整を要求する電力制御情報を生成する電力制御情報生成ステップと、電力制御情報が、第1の間隔よりも短い第2の間隔で送信されるように、電力制御情報を、送信信号に挿入する電力制御情報挿入ステップとを備え、情報処理装置における通信方法が、受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得ステップと、通信装置から送信されてくる電力制御情報を取得する電力制御情報取得ステップと、所定の区間において取得された電力制御情報について積算を行う積算ステップと、通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値を演算する代表値演算ステップと、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、推定された通信装置における現在の受信品質とに基づいて、通信資源の割り当てを決定する決定ステップとを備え、受信品質推定ステップにおいて、受信品質メッセージと、決定ステップで受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値が求められることを特徴とする。
【0075】
本発明の情報処理装置および情報処理方法、並びに記録媒体においては、通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージが取得され、通信装置から、受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報が取得され、所定の区間において取得された電力制御情報について積算が行われ、通信装置における現在の受信品質が推定される。また、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値が演算され、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージとに基づいて、通信資源の割り当てが決定される。そして、受信品質メッセージと、受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値が求められる。
【0076】
本発明の通信システムおよび通信方法においては、通信装置において、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、自身における受信品質が求められ、その受信品質を表す受信品質メッセージが生成されて、情報処理装置への送信信号に挿入され、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、情報処理装置の送信電力の調整を要求する電力制御情報が生成され、電力制御情報が、第1の間隔よりも短い第2の間隔で送信されるように、電力制御情報が、送信信号に挿入される。一方、情報処理装置では、受信品質メッセージが取得され、通信装置から送信されてくる電力制御情報が取得され、所定の区間において取得された電力制御情報について積算が行われ、通信装置における現在の受信品質が推定される。また、受信品質メッセージに基づいて、通信装置ごとに、受信品質の代表値が演算され、通信装置の受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージとに基づいて、通信資源の割り当てが決定される。そして、受信品質メッセージと、受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、通信装置における現在の受信品質の推定値が求められる。
【0077】
【発明の実施の形態】
図9は、本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0078】
図9の通信システムは、3台の携帯端末611乃至613と、基地局62とから構成されており、携帯端末611乃至613それぞれと、基地局62との間では、AMCS通信方式による通信が、例えば、W-CDMA方式によって行われるようになっている。
【0079】
携帯端末611乃至613は、例えば、図1の携帯端末1と同様に、携帯電話機その他のPDA(Personal Digital Assistance)で構成され、基地局62との間で、AMCS通信方式を採用したW-CDMA通信を行う。
【0080】
なお、図9では、3台の携帯端末611乃至613を示してあるが、携帯端末の数は、特に限定されるものではない。
【0081】
ここで、以下、携帯端末611乃至613を、特に区別する必要がない限り、携帯端末61と記述する。
【0082】
基地局62は、自身がカバーしている範囲内にある携帯端末61との間での、AMCS通信方式を採用したW-CDMA通信の制御を行い、即ち、携帯端末61に対して、通信を行うための伝送帯域その他の通信資源を割り当て、これにより、例えば、他の基地局(図示せず)から送信されてくる他の携帯端末(図示せず)からのデータや、インターネットのWWWサーバからのWebページのデータ、メールサーバからのメール等を受信して、携帯端末61に送信する。あるいは、また、基地局2は、例えば、携帯端末61から送信されてくるデータを受信して、他の基地局や、インターネット等の所定のネットワークに送信する。
【0083】
次に、図10は、携帯端末61と基地局62との間でやりとりされるデータフォーマットを示している。
【0084】
なお、ここでは、携帯端末61と基地局62との間で、W-CDMA方式による通信が行われるものとしており、図10は、W-CDMA方式について、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されているチャンネルのうちの一部だけを示している。
【0085】
携帯端末61から基地局62へのデータ伝送に用いられる上り回線は、図10(A)に示すように、DPDCH(Dedicated Physical Data Channel)チャンネルとDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)チャンネルを有している。
【0086】
DPDCHチャンネルおよびDPCCHチャンネルは、約0.667msの長さ(時間)のスロットを最小単位として構成され、例えば、5または15スロット(約3.33msまたは10ms)で、1フレームが構成される。
【0087】
DPDCHチャンネルは、データ部を有し、そのデータ部には、携帯端末61から基地局62に送信されるパケットデータや音声データ等の実データが配置される。さらに、DPDCHチャンネルのデータ部には、受信品質メッセージも配置される。
【0088】
DPCCHチャンネルは、パイロット部やTPC部などを有し、そのパイロット部には、パイロット信号が配置され、TPC(Transmit Power Control)部には、後述する電力制御情報が配置される。
【0089】
ここで、DPDCHチャンネルに配置されるデータは、I信号に割り当てられ、DPCCHチャンネルに配置されるデータは、Q信号に割り当てられる。
【0090】
基地局62から携帯端末61へのデータ伝送に用いられる上り回線は、図10(B)に示すように、DPCH(Dedicated Physical Channel)チャンネル、DSCH(Downlink Shard Channel)チャンネル、CPICH(Common PIlot Channel)チャンネルを有している。そして、DPCHチャンネル、DSCHチャンネル、およびCPICHチャンネルも、図10(A)で説明したDPDCHチャンネルおよびDPCCHチャンネルと同様に、約0.667msの長さのスロットを最小単位として構成され、例えば、5または15スロットで、1フレームが構成される。
【0091】
なお、上り回線のチャンネルで送信されるフレームと、下り回線のチャンネルで送信されるフレームとは、同一の数のスロットで構成されている必要はないが、ここでは、説明を簡単にするために、上り回線と下り回線のチャンネルで送信されるフレームは、同一数のスロットで構成されるものとする。即ち、上り回線と下り回線のフレーム長は、同一であるとする。
【0092】
DPCHチャンネルは、制御部とデータ部を有し、その制御部には、変調符号化モードその他の制御データが配置され、データ部には、音声データなどが配置される。なお、DPCHチャンネルの制御部には、制御データとして、パイロット信号も配置される。
【0093】
DSCHチャンネルは、データ部を有し、そのデータ部には、適応変調符号化されたデータが配置される。
【0094】
CPICHチャンネルは、パイロット部を有し、そのパイロット部には、パイロット信号が配置される。
【0095】
なお、CPICHチャンネルに配置されるパイロット信号は、DPCHチャンネルとは異なる拡散符号でスペクトル拡散されることにより、DPCHチャンネルのデータ部に配置されたデータと並列して送信される。これに対して、DPCHチャンネルの制御部に配置されるパイロット信号は、そのDPCHチャンネルのデータ部に配置されるデータと時間多重されて送信される。
【0096】
ここで、CPICHチャンネルに配置されるパイロット信号と、DPCHチャンネルの制御部に配置されるパイロット信号とを区別するために、以下、適宜、CPICHチャンネルに配置されるパイロット信号を、共通パイロット信号と、DPCHチャンネルの制御部に配置されるパイロット信号を、個別パイロット信号と、それぞれいう。前述の図3において(後述する図14においても同様)、拡散部15に入力されているパイロット信号が、共通パイロット信号である。
【0097】
次に、図11は、図9の携帯端末61の構成例を示している。なお、図中、図8の携帯端末1と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。即ち、図11の携帯端末61は、図8の携帯端末1に、個別パイロット分離部71、受信品質推定部72、電力制御ビット生成部73、電力制御ビット挿入部74が新たに設けられて構成されている。
【0098】
個別パイロット分離部71には、逆拡散部43が出力するDPCHチャンネルの信号が供給されるようになっており、個別パイロット分離部71は、そのDPCHチャンネルの信号を、復調部44に供給するとともに、そのDPCHチャンネルの信号から、個別パイロット信号を分離して、受信品質推定部72に供給する。
【0099】
受信品質推定部72は、個別パイロット分離部71からの個別パイロット信号に基づいて、DPCHチャンネルの信号の受信品質を、例えば、1スロットごとに推定する。
【0100】
即ち、例えば、いま、DPCHチャンネルの1スロットに含まれる個別パイロット信号のシンボルを、p[1],p[2],・・・,p[N]とすると、受信品質推定部72は、例えば、次式にしたがって、信号成分Sと干渉成分Iを求め、さらに、DPCHチャンネルの信号の受信品質SIRDPCHを求める。
【0101】
S=Pave 2
I=1/N×Σ(p[n]−Pave2
ave=1/N×Σp[n]
SIRDPCH=S/I
・・・(1)
【0102】
なお、式(1)におけるΣは、変数nを、1からNまでに変えてのサメーションを意味する。
【0103】
信号品質推定部72は、以上のようにして、DPCHチャンネルの信号の受信品質SIRDPCHを、1スロットごとに求めて、電力制御ビット生成部73に供給する。
【0104】
電力制御ビット生成部73は、受信品質推定部72からの受信品質SIRDPCHに基づき、基地局62のDPCHチャンネルの送信電力の調整を要求する電力制御情報を生成する。
【0105】
即ち、電力制御ビット生成部73は、受信品質SIRDPCHを、所定の閾値εと比較する。そして、電力制御ビット生成部73は、受信品質SIRDPCHが所定の閾値ε以上の場合(より大きい場合)、電力制御情報としての1ビットのフラグTPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB下げることを要求する情報として、例えば0をセットする。また、電力制御ビット生成部73は、受信品質SIRDPCHが所定の閾値ε未満(以下)の場合、電力制御情報としての1ビットのフラグTPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB上げることを要求する情報として、例えば1をセットする。
【0106】
電力制御ビット生成部73は、以上のようにして、電力制御情報TPCに値をセットすると、その電力制御情報TPCを、電力制御ビット挿入部74に供給する。
【0107】
電力制御ビット挿入部74には、電力制御ビット生成部73が出力する電力制御情報TPCの他、受信品質ビット挿入部51から送信データが供給されるようになっており、電力制御ビット挿入部74は、受信品質ビット挿入部51からの送信データの所定の位置に、電力制御情報TPCに対応する1ビットを挿入して、変調部52に供給する。即ち、電力制御ビット挿入部74は、図10(A)に示したDPDCHチャンネルおよびDPCCHチャンネルのうちのDPCCHチャンネルのTPC部に、電力制御情報TPCを配置して、変調部52に供給する
以上のように構成される携帯端末61では、基地局62からのデータを受信する受信処理と、基地局2にデータを送信する送信処理が行われる。
【0108】
即ち、受信処理では、アンテナ41において、基地局62からの電波が受信され、その受信信号が、送受信部42を介して、逆拡散部43に供給される。逆拡散部43は、そこに供給される受信信号に対して、スペクトル逆拡散処理を施し、これにより、DPCHチャンネル、DSCHチャンネル、およびCPICHチャンネルの信号を得る(図10(B))。
【0109】
そして、DPCHチャンネルの信号は、個別パイロット分離部71に供給され、DSCHチャンネルの信号は、データ復調復号部49に供給される。さらに、CPICHチャンネルの信号は、受信品質推定部50に供給される。
【0110】
個別パイロット分離部71は、逆拡散部43から供給されるDPCHチャンネルの信号から、個別パイロット信号を分離し、受信品質推定部72に供給する。また、個別パイロット分離部71は、逆拡散部43から供給されるDPCHチャンネルの信号を、復調部44に供給する。
【0111】
復調部44、制御データ分離部45、復号部46、制御データ復号部47、制御部48、データ復調復号部49では、図8の携帯端末1における場合と同様の処理が行われ、これにより、DSCHチャンネルの信号、即ち、適応変調符号化されたデータが、その変調符号化モードにしたがって復調および復号される。
【0112】
一方、送信処理では、携帯電話機61から送信すべきパケットデータや音声データ等の送信データが、受信品質ビット挿入部51に供給される。さらに、受信品質ビット挿入部51には、受信品質推定部50が、後述するDSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理を行うことにより得られる受信品質を表す受信品質メッセージが、例えば、フレームごとに供給される。
【0113】
受信品質ビット挿入部51は、送信データに、受信品質メッセージを挿入し、即ち、送信データとしてのDPDCHチャンネルのデータ部(図10(A))に、受信品質メッセージを配置し、必要に応じて、フレーム単位で符号化して、電力制御ビット挿入部74に供給する。
【0114】
電力制御ビット挿入部74は、受信品質ビット挿入部51からの送信データに、後述するDPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理が行われることにより、電力制御ビット生成部73から、例えば、スロットごとに供給される電力制御情報を挿入し、即ち、送信データとしてのDPCCHチャンネルのTPC部(図10(A))に、電力制御情報を配置し、変調部52に供給する。
【0115】
以下、変調部52、拡散部53、および送受信部42において、図8の携帯端末1における場合と同様の処理が行われることにより、送信データに対応する電波が、アンテナ41から基地局62に送信される。
【0116】
次に、図11の携帯端末61では、受信処理および送信処理の他、上述したように、DSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理と、DPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理が行われる。
【0117】
そこで、まず、図12のフローチャートを参照して、DSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理について説明する。
【0118】
DSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理では、まず最初に、ステップS1において、受信品質推定部50が、逆拡散部43から出力されるCPICHチャンネルに配置されている共通パイロット信号を取得する。そして、ステップS2に進み、受信品質推定部50は、共通パイロット信号に基づいて、DSCHチャンネルの信号の受信品質を推定する。
【0119】
即ち、例えば、いま、CPICHチャンネルの1フレームに含まれる共通パイロット信号のシンボルを、c[1],c[2],・・・,c[M]とすると、受信品質推定部50は、例えば、次式にしたがって、信号成分Sと干渉成分Iを求め、さらに、DSCHチャンネルの信号の受信品質SIRDSCHを求める。
【0120】
S=Cave 2
I=1/M×Σ(c[m]−Cave2
ave=1/N×Σc[m]
SIRDSCH=S/I×Poffset
・・・(2)
【0121】
なお、式(2)におけるΣは、変数mを、1からMまでに変えてのサメーションを意味する。また、Poffsetは、DSCHチャンネルの送信電力PDSCHと、CPICHチャンネルの送信電力PCPICHとの比PDSCH/PCPICHを表す。このPoffsetは、例えば、固定の値として、携帯端末61にあらかじめ設定しておくことが可能である。また、Poffsetは、例えば、携帯端末61と基地局2との間の通信リンクが確立された直後に、基地局2から携帯端末61に送信するようにすることも可能である。
【0122】
受信品質推定部50は、以上のようにして、DSCHチャンネルの信号の受信品質(の推定値)SIRDSCHを求め、受信品質ビット挿入部51に供給して、処理を終了する。
【0123】
受信品質推定部50は、図12のDSCHチャンネルの信号の受信品質の推定処理を、フレームごとに行うようになっており、受信品質ビット挿入部51は、受信品質推定部50からのDSCHチャンネルの受信品質SIRDSCを、DPDCHチャンネル(図10(A))のデータ部(の一部)に、受信品質メッセージとして配置する。従って、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージは、DPDCHチャンネルによって、フレームごとに、携帯端末61から基地局62に送信される。
【0124】
次に、図13のフローチャートを参照して、DPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理について説明する。
【0125】
DPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理では、まず最初に、ステップS11において、個別パイロット分離部71が、逆拡散部43から出力されるDPCHチャンネルのスロットから、個別パイロット信号を抽出し、受信品質推定部72に供給する。
【0126】
受信品質推定部72は、ステップS12において、個別パイロット分離部71から供給されるスロット単位の個別パイロット信号を用い、上述した式(1)にしたがって、DPCHチャンネルの受信品質SIRDPCHを求め、電力制御ビット生成部73に供給する。
【0127】
電力制御ビット生成部73は、ステップS13において、受信品質推定部72からの受信品質SIRDPCHを、所定の閾値εと比較し、その大小関係を判定する。
【0128】
ステップS13において、受信品質SIRDPCHが、所定の閾値ε未満であると判定された場合、ステップS14に進み、電力制御ビット生成部73は、電力制御情報TPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB上げることを要求する情報としての1をセットし、電力制御ビット挿入部74に供給して、処理を終了する。
【0129】
また、ステップS13において、受信品質SIRDPCHが、所定の閾値ε未満でないと判定された場合、ステップS15に進み、電力制御ビット生成部73は、電力制御情報TPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB下げることを要求する情報としての0をセットし、電力制御ビット挿入部74に供給して、処理を終了する。
【0130】
個別パイロット分離部71、受信品質推定部72、および電力制御ビット生成部73は、図13のDPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理を、スロットごとに行うようになっており、従って、電力制御情報TPCは、スロットごとに、携帯端末61から基地局62に送信される。
【0131】
即ち、いまの場合、携帯端末61から基地局62に対して、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージは、フレーム周期で送信されるが、DPCHチャンネルの電力制御情報TPCは、フレーム周期より短いスロット周期で送信される。
【0132】
なお、例えば、受信品質メッセージは、上述したように、符号化されて送信されるが、電力制御情報TPCは、符号化されずに送信される。
【0133】
次に、図14は、図9の基地局62の構成例を示している。なお、図中、図3における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。即ち、図14の基地局62は、電力制御ビット抽出部81、電力調整部82、電力制御ビットバッファ83、積算部84が新たに設けられているとともに、受信品質判定部21と制御部22に替えて、受信品質判定部85と制御部86がそれぞれ設けられている他は、基本的に、図3の基地局2と同様に構成されている。
【0134】
電力制御ビット抽出部81は、逆拡散部18が出力する信号を、復調部19に供給するとともに、その信号から、DPCCHチャンネルのTPC部(図10(A))に配置された電力制御情報TPCを抽出し、電力調整部82と電力制御ビットバッファ83に供給する。
【0135】
電力調整部82は、変調部27が出力する変調信号の送信電力を、電力制御ビット抽出部81が出力する電力制御情報TPCにしたがって調整し、拡散部15に供給する。即ち、電力調整部82は、電力制御情報TPCが1の場合、変調部27が出力する変調信号を、現在の増幅率より1dB高い値で電力増幅して、拡散部15に出力する。また、電力調整部82は、電力制御情報TPCが0の場合、変調部27が出力する変調信号を、現在の増幅率より1dB低い値で電力増幅して、拡散部15に出力する。
【0136】
ここで、基地局62において、電力調整部82において送信電力の調整された変調信号は、DPCHチャンネル(図10(B))で送信される。そして、携帯端末61は、上述したように、DPCHチャンネルの受信品質SIRDPCHに応じて、電力制御情報TPCを設定する。従って、基地局62では、DPCHチャンネルの信号は、携帯端末61で所定の受信品質SIRDPCHが得られるように、送信電力が調整されて送信される。
【0137】
電力制御ビットバッファ83は、電力制御ビット抽出部81が出力する1ビットの電力制御情報TPCを一時記憶する。ここで、電力制御ビットバッファ83は、少なくとも、後述する報告遅延時間の間に、携帯端末61から送信されてくる電力制御情報TPCを記憶することのできる記憶容量を有している。また、電力制御ビットバッファ83は、例えば、いわゆるリングバッファで構成されており、空き容量がなくなると、最新の電力制御情報を、最も古い電力制御情報に上書きする形で記憶する。
【0138】
積算部84は、受信品質判定部85の制御にしたがい、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報の一部または全部について、後述するような積算を行い、その積算値を、受信品質判定部85に供給する。
【0139】
受信品質判定部85は、積算部84を制御し、電力制御情報の積算値を取得する。さらに、受信品質判定部85は、受信品質ビット抽出部20から供給される受信品質メッセージと、積算部84からの電力制御情報の積算値を用いて、携帯端末61における現在のDSCHチャンネル(図10(B))の受信品質を精度良く推定し、その推定値を、制御部86に供給する。
【0140】
制御部86は、受信品質判定部85からの受信品質に基づき、変調符号化モードを決定し、適応変調符号化部14および制御データ作成部23に供給する。さらに、制御部86は、受信品質判定部85からの受信品質に基づき、後述するリソース(通信資源)割り当て処理を行うことによって、選択部13に選択させるバッファ12nを決定し、その決定にしたがって、選択部13を制御する。なお、制御部86には、バッファ121乃至12Nそれぞれのデータ蓄積量が供給されるようになっており、制御部86は、受信品質判定部85からの受信品質の他、バッファ121乃至12Nそれぞれのデータ蓄積量その他にも基づいて、リソース割り当て処理を行うようになっている。
【0141】
以上のように構成される基地局62では、携帯端末61にデータを送信する送信処理と、携帯端末61からのデータを受信する受信処理が行われる。
【0142】
即ち、送信処理では、例えば、他の基地局から送信されてくる、他の携帯端末等からのパケットデータが、分配部11を介して、所定のバッファ12nに供給されて記憶される。そして、選択部13が、後述するような制御部86の制御にしたがい、バッファ121乃至12Nのうちのいずれか1つのバッファ12nを選択し、そのバッファ12nに記憶されているパケットデータを読み出して、適応変調符号化部14に供給する。適応変調符号化部14は、制御部86から供給される変調符号化モードにしたがい、選択部13からのパケットデータを適応変調符号化し、さらに、その結果得られる変調信号を、拡散部15に供給する。
【0143】
一方、他の基地局から送信されてくる、他の携帯端末等からの音声データは、符号化部25を介して、多重化部26に供給される。また、制御データ生成部23が生成する制御データは、符号化部24を介して、多重化部26に供給される。
【0144】
多重化部26および変調部27は、音声データと制御データを、図3における場合と同様に処理する。そして、その結果得られる変調信号は、変調部27から電力調整部82に供給される。
【0145】
電力調整部82は、上述したように、変調信号の送信電力を、電力制御ビット抽出部81からの最新の電力制御情報にしたがって調整し、拡散部15に供給する。
【0146】
拡散部15には、適応変調符号化部14が出力する変調信号、および電力調整部82が出力する変調信号とともに、共通パイロット信号も供給されるようになっており、拡散部15は、適応変調符号化部14からの変調信号、電力調整部82からの変調信号、および共通パイロット信号を、それぞれ異なる拡散符号によって、同一周波数帯域内に、スペクトル拡散し、スペクトル拡散信号を得る。このスペクトル拡散信号は、送受信部16に供給され、アンテナ17から、電波として送信される。
【0147】
なお、適応変調符号化部14からの変調信号は、DSCHチャンネル(図10(B))で、電力調整部82が出力する変調信号は、DPCHチャンネルで、共通パイロット信号は、CPICHチャンネルで、それぞれ送信される。
【0148】
一方、受信処理では、アンテナ17で、携帯端末1から送信されてくる電波が受信され、受信信号が、送受信部16および逆拡散部18を介して、電力制御ビット抽出部81に供給される。
【0149】
電力制御ビット抽出部81は、逆拡散部18を介して供給される信号を、復調部19に供給するとともに、その信号から、DPCCHチャンネルのTPC部(図10(A))に配置された電力制御情報TPCを抽出し、電力調整部82と電力制御ビットバッファ83に供給する。
【0150】
電力調整部82は、上述の送信処理で説明したように、変調部27が出力する、DPCHチャンネルで送信される変調信号の送信電力を、電力制御ビット抽出部81が出力する最新の電力制御情報TPCにしたがって調整し、拡散部15に供給する。電力制御情報TPCは、上述したように、携帯端末61から、スロットに配置されて送信されてくるから、DPCHチャンネルで送信される変調信号は、スロットごとに、その送信電力が調整されて送信されることになる。
【0151】
電力制御ビットバッファ83は、電力制御ビット抽出部81が出力する1ビットの電力制御情報TPCを順次記憶する。ここで、この電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報TPCを用いて、後述する受信品質判定処理が行われ、これにより、携帯端末1における、DSCHチャンネルの受信品質が、精度良く推定される。
【0152】
一方、復調部19は、電力制御ビット抽出部81からの信号を復調し、パケットデータや音声データ等の各種のデータを得て出力する。また、復調部19が、復調を行うことにより得られるデータのうち、DPDCHチャンネル(図10(A))に配置されたデータは、受信品質ビット抽出部20にも供給される。
【0153】
上述したように、DPDCHチャンネルには、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージが、フレームごとに配置され、携帯端末61から基地局62に送信される。
【0154】
受信品質ビット抽出部20は、復調部19からのDPDCHチャンネル(図10(A))に配置されたデータに含まれる受信品質メッセージを抽出し、受信品質判定部85に供給する。
【0155】
受信品質判定部85は、受信品質ビット抽出部20から供給される受信品質メッセージと、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報との両方を用いて、受信品質判定処理を行うことにより、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIR(Signal to Interference Ratio)を、精度良く推定する。
【0156】
即ち、携帯端末61では、図15に示すように、CPICHチャンネル(図10(B))の1フレームを、DSCHチャンネルの受信品質を測定する区間(SIR測定区間)として、そのSIR測定区間における共通パイロット信号を観測することにより、式(2)にしたがい、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを求める。この受信品質受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージは、携帯端末1において、DPDCHチャンネルのデータ部(図10(A))に配置され、フレームごとに送信されてくるが、受信品質メッセージは符号化されているため、その復号が必要であり、さらに、その復号は、受信品質メッセージが配置されたフレームすべての受信が完了してからでないと行うことができない。
【0157】
このため、基地局2において、携帯端末61から送信されてきた受信品質メッセージだけから、DSCHチャンネルの受信品質を認識し、その受信品質に応じた変調符号化モードを選択して、その変調符号化モードによる適応変調符号化を行うと、図15に示すように、携帯端末61においてDSCHチャンネルの受信品質が観測された時点から、かなりの時間が経過したタイミングで、基地局2において、その受信品質に応じた変調符号化モードによる適応変調符号化が行われることになる。
【0158】
なお、図15は、携帯端末61においてDSCHチャンネルの受信品質が観測された時点から、4フレームに対応する遅延時間が経過してから、基地局2において、その受信品質に応じた変調符号化モードによる適応変調符号化が行われることを表している。即ち、図15は、いま、適応変調符号化を行おうとしているDSCHチャンネルのフレームを、注目フレームということとすると、その注目フレームについての変調符号化モードを決定するのに用いることのできる最新の受信品質メッセージが表す受信品質が、携帯端末61において、4フレームに対応する遅延時間だけ過去に求められたものであることを表している。
【0159】
ここで、注目フレームのタイミングと、注目フレームについての変調符号化モードを決定するのに用いる受信品質メッセージが表す受信品質が、携帯端末61において求められたタイミングとの時間差を、以下、適宜、報告遅延時間TDという。
【0160】
基地局2において、受信品質メッセージだけから、DSCHチャンネルの受信品質を認識する場合、上述したように、注目フレームの適応変調符号化が、報告遅延時間TDだけ過去に、携帯端末61で求められた受信品質に基づいて行われることとなる。従って、その報告遅延時間TDの間に、携帯端末61における現在の受信品質が変わった場合には、注目フレームについて、最適な適応変調符号化を行うことができず、その結果、伝送効率が劣化することとなる。
【0161】
そこで、受信品質判定部85は、DSCHチャンネルの受信品質を表す受信品質メッセージだけでなく、DPCHチャンネルの送信電力制御のための電力制御情報TPCをも用いて、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを、精度良く推定する。
【0162】
即ち、電力制御情報TPCは、上述したように、携帯端末61から、スロット単位、つまり、受信品質メッセージが送信されてくる周期よりも短い周期(図10に示したデータフォーマットによれば、受信品質メッセージが送信されてくる周期の1/5または1/15の周期)で送信されてくる。また、電力制御情報TPCは、符号化されずに送信されるので、スロットを受信すれば、そのスロットに配置されている電力制御情報TPCを即座に得ることができる。さらに、電力制御情報TPCは、携帯端末61におけるDPCHチャンネルの受信品質を維持するために、送信電力の調整を要求するものであるから、その値は、DPCHチャンネルの受信品質が、過去の受信品質に比較して、向上したのか、または低下したのかを表す。そして、DPCHチャンネルと、DSCHチャンネルとは、異なるチャンネルではあるが、同一周波数帯域にスペクトル拡散され、同時に伝送されるものであるから、DPCHチャンネルの受信品質の変化は、DSCHチャンネルの受信品質の変化として捉えても、基本的に問題はない。
【0163】
そこで、受信品質判定部85は、受信品質メッセージに基づいて、変調符号化モードを決定しようとしている注目フレームから、その受信品質メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点の間に受信した電力制御情報TPCの積算値を加味して、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを、精度良く推定する受信品質判定処理を行う。
【0164】
即ち、図16は、受信品質判定処理を説明するフローチャートである。
【0165】
受信品質判定部85は、まず最初に、ステップS21において、注目フレームから、最新の受信品質メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点の間に受信した電力制御情報TPCの積算値を求めるように、積算部84を制御する。
【0166】
これにより、積算部84は、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報TPCを用いて、次式にしたがい、積算値△SIR[dB]を求める。
【0167】
△SIR=Σ(1−2×TPC[k])
・・・(3)
【0168】
なお、式(3)において、TPC[k]は、注目フレームからkスロットだけ遡った時刻において受信された電力制御情報を表し、また、Σは、報告遅延時間TDに亘ってのサメーションを表す。
【0169】
そして、ステップS22に進み、受信品質判定部85は、次式にしたがって、最新の受信品質メッセージが表すDSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHと、積算値△SIRとを加算することにより、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定し、処理を終了する。
【0170】
SIR=SIRDSCH+α×△SIR
・・・(4)
【0171】
但し、式(4)において、αは、積算値△SIRに対する重み係数であり、0以上1以下の範囲内の実数値である。
【0172】
以上により、受信品質判定部85では、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRが、精度良く推定される。そして、この受信品質SIRは、制御部86に供給され、制御部86では、その精度の高い受信品質SIRに基づいて、注目フレームの変調符号化モードが決定される。従って、注目フレームについては、携帯端末61における、現在の受信品質に適した適応変調符号化が行われ、その結果、伝送効率を向上させることができる。
【0173】
ここで、報告遅延時間TDは、例えば、固定の時間として、あらかじめ設定しておくようにすることができる。また、報告遅延時間TDは、例えば、携帯端末61において、受信品質メッセージに、現在時刻を付加して送信するようにし、基地局62において、その受信品質メッセージに付加されている現在時刻に基づいて求めるようにすることも可能である。
【0174】
なお、上述の場合には、携帯端末61から、電力制御情報TPCを、スロット単位で送信するようにしたが、電力制御情報TPCは、数スロット単位で送信することも可能である。但し、この場合、電力制御情報TPCを、スロット単位で送信する場合に比較して、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRの推定精度が劣化することがある。
【0175】
また、電力制御情報TPCは、符号化されないから、誤りがある場合がある。そこで、受信品質判定部85では、例えば、次式にしたがい、ある程度のヒステリシスをもって、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定するようにすることが可能である。
【0176】
SIR=SIRDSCH+α×△SIR (但し、|△SIR|>thの場合)
SIR=SIRDSCH (但し、|△SIR|≦thの場合)
・・・(5)
【0177】
式(5)によれば、積算値の絶対値|△SIR|が、所定の閾値th以下(未満)の場合には、そのような小さな絶対値の積算値△SIRは誤差であるとして、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRの推定に加味されないことになる。
【0178】
次に、上述の場合には、携帯端末61において、フレームごとに、受信品質メッセージを送信するようにしたが、受信品質メッセージは、例えば、図17に示すように、所定のフレーム数おきに送信するようにすることが可能である。即ち、例えば、携帯端末61から基地局62への上り回線のリソースが不足している場合には、携帯端末61からの受信品質メッセージの送信頻度を少なくすることができる。ここで、図17は、携帯端末61から、受信品質メッセージが、3フレームごとに送信される様子を示している。
【0179】
但し、このように、受信品質メッセージが、数フレームごとに送信される場合、注目フレームによって、報告遅延時間が変化するので、その変化を考慮して、電力制御情報TPCを積算する区間を変更する必要がある。
【0180】
即ち、例えば、図17に示したように、受信品質メッセージが、3フレームごとに送信される場合、基地局62において、ある受信品質メッセージ#1が得られた後、次の受信品質メッセージ#2が得られるのは、その3フレーム分だけ後の時間である。従って、受信品質メッセージ#1が得られたタイミングの直後に送信されるのが、図17に示したように、第4フレームである場合には、受信品質メッセージ#2が得られるのは、第4フレームの3フレーム後の第7フレームが送信される直前である。
【0181】
以上から、第4フレームから、第7フレームの直前まで、即ち、第6フレームまでの3フレームについては、受信品質メッセージ#1を用いて、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定する必要がある。
【0182】
この場合、第4フレームについての報告遅延時間TD1は、図15における場合と同様に、報告遅延時間TDに等しくなる。しかしながら、第5フレームについての報告遅延時間TD2と、第6フレームについての報告遅延時間TD3は、報告遅延時間TDに等しくならない。即ち、第5フレームについての報告遅延時間TD2は、報告遅延時間TDに、1フレーム分の時間を加算した時間となり、第6フレームについての報告遅延時間TD3は、報告遅延時間TDに、2フレーム分の時間を加算した時間となる。
【0183】
従って、受信品質メッセージが、数フレームごとに送信される場合には、上述のように、注目フレームごとに、報告遅延時間を変えて、電力制御情報TPCを積算する必要がある(電力制御情報TPCを積算する区間を変える必要がある)。
【0184】
以上のように、上り回線のリソースに応じて、携帯端末61からの受信品質メッセージの送信頻度を変更する場合には、上り回線がリソース不足となる頻度を低減することができる。
【0185】
なお、携帯端末61から、受信品質メッセージを送信する周期は、固定ではなく、可変にすることが可能である。
【0186】
また、本実施の形態では、上り回線のフレームを構成するスロット数と、下り回線のフレームを構成するスロット数が同一であるとしたが、上り回線と下り回線のスロット数が異なる場合には、上述した場合と同様に、報告遅延時間を変えることで、フレームを送信するときにおける携帯端末61の受信品質を、精度良く推定することができる。
【0187】
次に、上述の場合には、最新の受信品質メッセージが表す受信品質SIRDSCHと、電力制御情報TPCの積算値△SIRとを加算することによって、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定するようにしたが、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRは、過去に受信された受信品質メッセージが表す受信品質SIRDSCHをも用いて、つまり、複数の受信品質メッセージを用いて推定することが可能である。
【0188】
即ち、例えば、図18に示すように、最新の受信品質メッセージ#0の他、その1フレーム前に受信された受信品質メッセージ#−1と、さらに、その1フレーム前に受信された受信品質メッセージ#−2を用いて、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定することが可能である。
【0189】
この場合、受信品質メッセージごとに、報告遅延時間を変えて、電力制御情報TPCを積算すれば良い。
【0190】
即ち、図18の実施の形態においては、最新の受信品質メッセージ#0については、図15における場合と同様に、報告遅延時間TDの区間に亘って、電力制御情報TPCの積算を行い、その積算値と、受信品質メッセージ#0が表す受信品質とを加算して、現在のDSCHチャンネルの第1の受信品質SIR[1]を求める。
【0191】
また、1フレーム前の受信品質メッセージ#−1については、報告遅延時間TDに、1フレーム分の時間TFを加えた区間に亘って、電力制御情報TPCの積算を行い、その積算値と、受信品質メッセージ#−1が表す受信品質とを加算して、現在のDSCHチャンネルの第2の受信品質SIR[2]を求める。さらに、2フレーム前の受信品質メッセージ#−2については、報告遅延時間TDに、2フレーム分の時間2TFを加えた区間に亘って、電力制御情報TPCの積算を行い、その積算値と、受信品質メッセージ#−2が表す受信品質とを加算して、現在のDSCHチャンネルの第3の受信品質SIR[3]を求める。
【0192】
そして、第1乃至第3の受信品質SIR[1]乃至SIR[3]の、例えば、平均値等の重み付け加算値を求め、それを、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRの推定値とする。
【0193】
いま、最新の受信品質メッセージから、Nフレーム前までの受信品質メッセージを用いて、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの最終的な受信品質SIRを推定することとした場合、その推定は、次式によって行うことができる。
【0194】
SIR=Σ(w[i]×(SIRDSCH[i]+α[i]△SIR[i])
・・・(6)
【0195】
但し、式(6)において、SIRDSCH[i]は、最新の受信品質メッセージからiフレーム前の受信品質メッセージが表す受信品質を示し、△SIR[i]は、その受信品質メッセージについての報告遅延時間に亘って積算された電力制御情報TPCの積算値を表す。また、α[i]は、積算値△SIR[i]に対する重み係数である。さらに、w[i]は、最新の受信品質メッセージからiフレーム前の受信品質メッセージが表す受信品質SIRDSCH[i]と積算値△SIR[i]から求められる、現在のDSCHチャンネルの受信品質に対する重み係数である。さらに、Σは、iを、0からNに変えてのサメーションを表す。
【0196】
ここで、重み係数w[i]は、iについてサメーションをとった場合に1となるものであり、さらに、例えば、式w[i]≦w[i-1]を満たすものであることが望ましい。
【0197】
なお、式(6)によれば、最新の受信品質メッセージから、Nフレーム前までの受信品質メッセージのすべてが用いられることとなるが、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRは、そのような連続する複数フレームそれぞれの受信品質ではなく、いわば飛び飛びの複数フレームの受信品質メッセージを用いて推定することも可能である。
【0198】
また、図18で説明したような受信品質の推定方法は、図17に示したように、携帯端末61から、数フレームおきに、受信品質メッセージが送信されてくる場合にも適用可能である。
【0199】
次に、図19は、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージのみから推定した場合と、図15で説明したように、受信品質メッセージと電力制御情報とから推定した場合のシミュレーション結果を示している。
【0200】
図19において、横軸は、DSCHチャンネルの受信品質を表しており、縦軸は、基地局62のスループットを正規化したものを表している。
【0201】
また、図19では、●印が、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージのみから推定した場合のスループットを表しており、▲印が、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージと電力制御情報から推定した場合のスループットを表している。なお、報告遅延時間TDは、4フレーム分の時間としてある。
【0202】
図19から、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージと電力制御情報とから推定することにより、受信品質メッセージのみから推定した場合に比較して、スループットが向上していることが分かる。
【0203】
なお、携帯端末61が、基地局62だけでなく、他の基地局とも通信しているような、いわゆるソフトハンドオーバ状態となっている場合には、DSCHチャンネルの受信品質は、電力制御情報を用いずに、あるいは、電力制御情報に対する重みを非常に小さくして推定するのが望ましい。これは、次のような理由による。
【0204】
即ち、制御データが送信されるDPCHチャンネルについては、ユーザに対する割り当てを規則的に行う必要があるため、ソフトハンドオーバ時には、携帯端末61において、複数の基地局からの信号を合成し(例えば、いわゆるフィンガ(finger)の出力を合成し)、これにより、受信品質を改善することが行われる。しかしながら、適応変調符号化されたパケットデータが送信されるDSCHチャンネルについては、ユーザに対する割り当てが不規則に行われるため、携帯端末61に対して、複数の基地局からデータ送信が可能であっても、1つの基地局のみからデータ送信が行われる。従って、ソフトハンドオーバ時には、そのことによって、DPCHチャンネルの受信品質は向上しても、DSCHチャンネルの受信品質は向上しない。
【0205】
また、携帯端末61において、DPCHチャンネルの信号が合成された場合、電力制御情報TPCは、その合成された信号に基づいて生成される。
【0206】
従って、この場合、電力制御情報TPCが表すDPCHチャンネルの受信品質の変化は、DSCHチャンネルの受信品質の変化として捉えることはできない。その結果、DSCHチャンネルの受信品質を、電力制御情報TPCを加味して推定したのでは、その推定精度が、却って悪化することがある。
【0207】
そこで、携帯端末61が、複数の基地局と通信している場合には、DSCHチャンネルの受信品質は、電力制御情報を用いずに、あるいは、電力制御情報に対する重みを非常に小さくして推定するのが望ましい。なお、このような推定は、式(4)における重み係数αを0とするか、または0に近い値とすることによって行うことができる。
【0208】
次に、図20は、図14の制御部86の構成例を示している。
【0209】
制御部86は、図14のバッファ121乃至12Nと同一の数であるN個の平均部921乃至92Nと演算器931乃至93N、並びに、1つのモード割り当て部91とリソース割り当て部94から構成されている。
【0210】
モード割り当て部91には、通信リンクが確立されているユーザの携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質(の推定値)が、受信品質判定部85から供給される。さらに、モード割り当て部91には、リソース割り当て部94において、後述するリソース割り当て処理が行われることにより得られるユーザ選択情報も供給されるようになっている。
【0211】
ここで、ユーザ選択情報は、通信リンクが確立されているユーザの携帯端末61のいずれに、DSCHチャンネルを割り当てるかを表すものであり、具体的には、例えば、ここでは、バッファ121乃至12Nのうち、DSCHチャンネルを割り当てるユーザ宛のバケットデータが記憶されているものを表す。
【0212】
モード割り当て部91は、ユーザ選択情報が表すバッファ12nに記憶されたパケットデータを、そのパケットデータの宛先となっているユーザの携帯端末61に送信するときの変調符号化モードを、そのユーザの携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質に基づいて決定し、その変調符号化モードを出力する。この変調符号化モードは、図14で説明したように、適応変調符号化部14と制御データ生成部23に供給される。
【0213】
通信リンクが確立されているユーザの携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質は、モード割り当て部91に供給される他、そのユーザに割り当てられているバッファ12nに対応する平均部92nにも供給される。
【0214】
平均部92nは、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61における受信品質について、例えば、その携帯端末61との通信リンクが確立されてからの平均値を、その携帯端末61における受信品質の代表値として計算し、演算器93nに供給する。
【0215】
なお、携帯端末61における受信品質は、受信品質判定部85から、例えば、フレーム単位で供給されるから、平均部92nは、そのようにフレーム単位で受信品質が供給されるごとに、新たに平均値を計算し直して、演算器93nに供給する。
【0216】
ここで、このように、平均部92nにおいて、携帯端末61における受信品質の、ある程度の期間に亘る平均値を計算することで、受信品質から、フェージング等の伝送路の品質の瞬時変動成分が除去されることになる。
【0217】
また、ここでは、携帯端末61における受信品質の代表値として、単純な平均値を計算することとしたが、その他、例えば、移動平均値や、重み付け平均値などを計算するようにすることも可能である。さらに、携帯端末61における受信品質の代表値として、重み付け平均値を計算する場合には、例えば、現在時刻に近い受信品質ほど、重みを大きくすることができる。
【0218】
演算器93nには、平均部92nから、対応するバッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61における受信品質の平均値が供給される他、その携帯端末61における最新の受信品質も供給されるようになっている。そして、演算器93nは、最新の受信品質と、受信品質の平均値との差分(以下、適宜、受信品質差分という)を演算し、リソース割り当て部94に供給する。
【0219】
リソース割り当て部94には、平均部921乃至92Nそれぞれから、受信品質差分が供給される他、バッファ121乃至12Nそれぞれに割り当てられたユーザの携帯端末61における最新の受信品質も供給されるようになっている。さらに、リソース割り当て部94には、バッファ121乃至12Nそれぞれから、そのデータ蓄積量(バッファ蓄積量ともいう)も供給されるようになっている。
【0220】
リソース割り当て部94は、以上の受信品質差分、最新の受信品質、およびバッファ蓄積量等に基づき、リソース割り当て処理を行い、DSCHチャンネルを割り当てる携帯端末61のユーザを決定する。そして、リソース割り当て部94は、そのユーザに割り当てられたバッファ12nを表すユーザ選択情報を、モード割り当て部91に供給するとともに、図14の選択部13に供給する。
【0221】
図14の選択部13では、このようにして、リソース割り当て部94から供給されるユーザ選択情報が表すバッファ12nが選択され、そこに蓄積されたパケットデータが読み出されて、適応変調符号化部14に供給される。
【0222】
次に、図21のフローチャートを参照して、図20のリソース割り当て部94で行われるリソース割り当て処理について説明する。
【0223】
リソース割り当て処理では、まず最初に、リソース割り当て部94は、ステップS31において、バッファ12nのバッファ蓄積量num_byteが0バイトより大であるかどうか、即ち、バッファ12nに、パケットデータが記憶されているかどうかを判定する。
【0224】
ステップ31において、バッファ12nのバッファ蓄積量num_byteが0バイトより大でないと判定された場合、即ち、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61に送信すべきパケットデータが存在しない場合、ステップS32に進み、リソース割り当て部94は、そのユーザに対してDSCHチャンネルを割り当てることを評価するための評価値evaに、0をセットし、ステップS38に進む。
【0225】
また、ステップS32において、バッファ12nのバッファ蓄積量num_byteが0バイトより大であると判定された場合、即ち、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61に送信すべきパケットデータが存在する場合、ステップS33に進み、リソース割り当て部94は、そのバッファ蓄積量num_byteを、評価値evaを計算するための第1の引数byte_evaにセットし、ステップS34に進む。
【0226】
ステップS34では、リソース割り当て部94は、現在時刻tから、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61に対してDSCHチャンネルを割り当てられた最新の時刻last_tを減算することにより、そのユーザに対するDSCHチャンネルの割り当て頻度として、DSCHチャンネルを使用するのに待っている待ち時間を求め、評価値evaを計算するための第2の引数t_evaにセットする。
【0227】
さらに、リソース割り当て部94は、ステップS35に進み、平均部92nからの受信品質差分delta_SIRを、評価値evaを計算するための第3の引数d_SIR_evaにセットして、ステップS36に進む。ステップS36では、リソース割り当て部94は、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61における最新の受信品質SIRを、評価値evaを計算するための第4の引数SIR_evaにセットし、ステップS37に進む。
【0228】
ステップS37では、リソース割り当て部94は、例えば、次式にしたがって、評価値evaを演算し、ステップS38に進む。
【0229】
eva=w1×t_eva+w2×d_SIR_eva+w3×SIR_eva+w4×byte_eva
・・・(8)
【0230】
但し、式(8)において、w1,w2,w3,w4は、重み係数である。
【0231】
リソース割り当て部94は、ステップS31乃至38の処理を、バッファ121乃至12Nに割り当てられたユーザすべてについて行い、各ユーザについて、式(8)の評価値evaを求める。
【0232】
そして、ステップS38に進み、リソース割り当て部94は、評価値evaが最大のユーザを求め、そのユーザに対して、DSCHチャンネルを割り当てることを決定する。さらに、リソース割り当て部94は、そのユーザに割り当てられているバッファ12nを表すユーザ選択情報を生成して出力する。
【0233】
なお、ここでは、DSCHチャンネルが1チャンネルだけ存在すると仮定している。DSCHチャンネルが、複数であるLチャンネルだけ存在する場合、ステップS38では、例えば、評価値evaが、上位L位以内のユーザを求め、そのL人のユーザに対して、DSCHチャンネルを割り当てることが決定される。但し、DSCHチャンネルがLチャンネル存在する場合であっても、評価値evaが最大のユーザだけを求め、そのユーザに、Lチャンネルを割り当てて、L倍のデータ転送レートを提供することが可能である。また、DSCHチャンネルが複数存在する場合には、複数のユーザに対して、複数のDSCHチャンネルを割り当てたり、あるユーザに対して、1のDSCHチャンネルを割り当てるとともに、他のユーザに対して、複数のDSCHチャンネルを割り当てること等も可能である。
【0234】
その後、ステップS39に進み、リソース割り当て部94は、直前のステップS38において、DSCHチャンネルを割り当てることを決定したユーザ(選択ユーザ)についての、上述の変数last_tを、現在時刻に更新し、リソース割り当て処理を終了する。
【0235】
なお、リソース割り当て処理は、例えば、DSCHチャンネルのフレーム単位で行われる。
【0236】
以上のように、どのユーザに対して、DSCHチャンネルを割り当てるかが、受信品質差分に基づいて決定されるので、基地局62のサービスエリア内に存在する携帯端末62に対して、DSCHチャンネルを、なるべく公平に割り当てるとともに、基地局62のスループットを、なるべく高いレベルで維持することができる。
【0237】
即ち、DSCHチャンネルを、受信品質差分に基づいて割り当てる場合には、どの携帯端末61に注目しても、DSCHチャンネルは、その注目携帯端末61における受信品質が、その平均値よりも大のときだけ割り当てられる。従って、この場合、基地局62から近い位置に存在し、受信品質の平均値が高いユーザも、基地局62から遠い位置に存在し、受信品質の平均値が低いユーザも、平等に扱われることになる。
【0238】
さらに、受信品質の平均値が高いユーザに注目した場合には、最新の受信品質が、その平均値よりも大のときに、DSCHチャンネルが割り当てられるから、データ伝送効率を大きく向上させることができる。また、受信品質の平均値が低いユーザに注目した場合には、最新の受信品質が、その平均値よりも大のときに、DSCHチャンネルが割り当てられるから、即ち、受信品質が悪い中でも、比較的良くなっているときに、DSCHチャンネルが割り当てられるから、最新の受信品質が、その平均値よりも小のときに割り当てられるときよりは、伝送効率を向上させることができる。
【0239】
なお、図21の実施の形態においては、受信品質差分だけでなく、バッファ蓄積量、待ち時間、最新の受信品質をも用い、それぞれに重みを付して、評価値evaを求め、その評価値evaに基づいて、DSCHチャンネルの割り当てを決定するようにしているので、その重みの設定の仕方によって、各種の目的(用途)にあったDSCHチャンネルの割り当てが可能となる。
【0240】
即ち、例えば、基地局62のスループットの向上に重点をおく場合には、受信品質差分と最新の受信品質の重みを大きくし、他の重みを小さくすれば良い。また、例えば、基地局62のサービスエリア内に存在するユーザに、公平にサービスを提供することに重点をおく場合には、受信品質差分と待ち時間の重みを大きくし、他の重みを小さくすれば良い。さらに、例えば、バッファ12nのオーバーフローを防止することに重点をおく場合には、受信品質差分とバッファ蓄積量の重みを多くし、他の重みを小さくすれば良い。
【0241】
また、受信品質差分、バッファ蓄積量、待ち時間、最新の受信品質それぞれに対する重みは、固定の値ではなく、可変の値とすることが可能である。この場合、重みは、基地局62の運用者が任意に変更することも可能であるし、場合に応じて、自動的に変更することも可能である。即ち、例えば、リアルタイム性の高いパケットデータが、バッファ12nに存在する場合には、そのようなパケットデータがバッファ12nに存在する間だけ、バッファ蓄積量に対する重みを大きい値に変更するようにすること等が可能である。
【0242】
なお、図20の実施の形態では、リソース割り当て部94において、リソース割り当て処理に用いる受信品質として、受信品質判定部85において求められた精度の高い受信品質を採用することとしたが、リソース割り当て処理には、受信品質メッセージだけから得られる受信品質を採用することも可能である。
【0243】
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0244】
そこで、図22は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0245】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
【0246】
あるいはまた、プログラムは、フロッピーディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体111に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0247】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部108で受信し、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。
【0248】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵している。CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されており、CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU102は、ハードディスク105に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部108で受信されてハードディスク105にインストールされたプログラム、またはドライブ109に装着されたリムーバブル記録媒体111から読み出されてハードディスク105にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。これにより、CPU102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、LCD(Liquid CryStal Display)やスピーカ等で構成される出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
【0249】
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0250】
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0251】
なお、本実施の形態においては、本発明を、W-CDMA方式による無線通信を行うシステムに適用した場合について説明したが、本発明は、W-CDMA方式以外の通信方式にも適用可能である。また、本発明は、無線通信の他、有線通信にも適用可能である。さらに、本発明が適用される端末は、携帯型のものに限定されるものではない。
【0252】
【発明の効果】
本発明の情報処理装置および情報処理方法、並びに記録媒体によれば、伝送効率の向上と、ユーザに対する通信資源の公平な割り当ての両方を実現することが可能となる。
【0253】
本発明の通信システムおよび通信方法によれば、情報処理装置における伝送効率の向上と、通信装置に対する通信資源の公平な割り当ての両方を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の通信システムの一例の構成を示す図である。
【図2】携帯端末1と基地局2との間でやりとりされるデータを示す図である。
【図3】基地局2の構成例を示すブロック図である。
【図4】QPSKと16QAMを説明する図である。
【図5】符号化変調モードを示す図である。
【図6】適応変調符号化部14の構成例を示すブロック図である。
【図7】通信資源が割り当てられている様子を示す図である。
【図8】携帯端末1の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図10】上り回線と下り回線のデータフォーマットを示す図である。
【図11】携帯端末61の構成例を示すブロック図である。
【図12】 DSCHチャンネルの受信品質推定処理を説明するフローチャートである。
【図13】 DPCHチャンネルの電力制御情報生成処理を説明するフローチャートである。
【図14】基地局62の構成例を示すブロック図である。
【図15】受信品質判定部85の処理を説明する図である。
【図16】受信品質判定処理を説明するフローチャートである。
【図17】受信品質判定部85の処理を説明する図である。
【図18】受信品質判定部85の処理を説明する図である。
【図19】シミュレーション結果を示す図である。
【図20】制御部86の構成例を示すブロック図である。
【図21】リソース割り当て処理を説明するフローチャートである。
【図22】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 分配部、 121乃至12N バッファ, 13 選択部, 14 適応変調符号化部, 15 拡散部, 16 送受信部, 17 アンテナ, 18逆拡散部, 19 復調部, 20 受信品質ビット抽出部, 23 制御データ生成部, 24,25 符号化部, 26 多重化部, 27 変調部, 41 アンテナ, 42 送受信部, 43 逆拡散部, 44 復調部, 45 制御データ分離部, 46 復号部, 47 制御データ復号部, 48 制御部, 49 データ復調復号部, 50 受信品質推定部, 51 受信品質ビット挿入部, 52 変調部, 53 拡散部, 611乃至613 携帯端末, 62 基地局, 71 個別パイロット分離部, 72 受信品質推定部, 73 電力制御ビット生成部, 74 電力制御ビット挿入部, 81 電力制御ビット抽出部, 82 電力調整部, 83 電力制御ビットバッファ,84 積算部, 85 受信品質判定部, 86 制御部, 91 モード割り当て部, 921乃至92N 平均部, 931乃至93N 演算器, 94 リソース割り当て部, 101 バス, 102 CPU, 103 ROM, 104 RAM, 105 ハードディスク, 106 出力部, 107 入力部, 108 通信部, 109 ドライブ, 110 入出力インタフェース, 111 リムーバブル記録媒体

Claims (15)

  1. 複数の通信装置に対して、通信資源を割り当てる情報処理装置であって、
    前記通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得手段と、
    前記通信装置から、前記受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報を取得する電力制御情報取得手段と、
    所定の区間において取得された前記電力制御情報について積算を行う積算手段と、
    前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定手段と、
    前記受信品質メッセージに基づいて、前記通信装置ごとに、前記受信品質の代表値を演算する代表値演算手段と、
    前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、前記受信品質推定手段により推定された前記通信装置における現在の受信品質とに基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する決定手段と
    を備え
    前記受信品質推定手段は、前記受信品質メッセージと、前記決定手段が前記受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間において前記積算手段で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、前記通信装置における現在の受信品質の推定値を求める
    ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記代表値演算手段は、前記通信装置における受信品質の代表値として、その通信装置から取得された複数の受信品質メッセージそれぞれが表す受信品質の平均値を演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記決定手段は、前記通信装置の前記受信品質の代表値と、
    その通信装置から取得される受信品質メッセージが表す受信品質との差に基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記決定手段は、前記通信装置に送信するデータの蓄積量にも基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  5. 前記決定手段は、前記通信装置に対する前記通信資源の割り当て頻度にも基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  6. 前記決定手段は、前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージが表す受信品質との差、並びに前記通信装置の前記受信品質の代表値、前記通信装置から取得される受信品質メッセージが表す受信品質、前記通信装置に送信するデータの蓄積量、または前記通信装置に対する前記通信資源の割り当て頻度のうちの1以上に基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  7. 前記決定手段は、前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージが表す受信品質との差に対して重み付けを行うとともに、前記通信装置の前記受信品質の代表値、前記通信装置から取得される受信品質メッセージが表す受信品質、前記通信装置に送信するデータの蓄積量、または前記通信装置に対する前記通信資源の割り当て頻度のうちの1以上に対して重み付けを行い、その重み付け結果に基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
  8. 前記受信品質メッセージ取得手段は、前記通信装置から、所定のフレームごとに送信されてくる前記受信品質メッセージを取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  9. 前記受信品質メッセージ取得手段は、前記通信装置から、所定のフレーム数おきに送信されてくる前記受信品質メッセージを取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  10. 前記通信装置との通信におけるデータレートを、前記通信装置における現在の受信品質の推定値に基づいて制御するデータレート制御手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  11. 前記データレート制御手段は、データの符号化方法または変調方法を変更することにより、前記データレートを制御する
    ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
  12. 複数の通信装置に対して、通信資源を割り当てる情報処理方法であって、
    前記通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得ステップと、
    前記通信装置から、前記受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報を取得する電力制御情報取得ステップと、
    所定の区間において取得された前記電力制御情報について積算を行う積算ステップと、
    前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、
    前記受信品質メッセージに基づいて、前記通信装置ごとに、前記受信品質の代表値を演算する代表値演算ステップと、
    前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、推定された前記通信装置における現在の受信品質とに基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する決定ステップと
    を備え
    前記受信品質推定ステップにおいて、前記受信品質メッセージと、前記決定ステップで前記受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、前記通信装置における現在の受信品質の推定値が求められる
    ことを特徴とする情報処理方法。
  13. 複数の通信装置に対して、通信資源を割り当てる情報処理を、コンピュータに行わせるプログラムが記録されている記録媒体であって、
    前記通信装置における受信品質を表す受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得ステップと、
    前記通信装置から、前記受信品質メッセージよりも短い間隔で送信されてくる、送信電力の調整を要求する電力制御情報を取得する電力制御情報取得ステップと、
    所定の区間において取得された前記電力制御情報について積算を行う積算ステップと、
    前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、
    前記受信品質メッセージに基づいて、前記通信装置ごとに、前記受信品質の代表値を演算する代表値演算ステップと、
    前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、推定された前記通信装置における現在の受信品質とに基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する決定ステップと
    を備え
    前記受信品質推定ステップにおいて、前記受信品質メッセージと、前記決定ステップで前記受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、前記通信装置における現在の受信品質の推定値が求められる
    プログラムが記録されている
    ことを特徴とする記録媒体。
  14. 複数の通信装置と、その複数の通信装置に対して、通信資源を割り当てる情報処理装置とからなる通信システムであって、
    前記通信装置は、
    前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、自身における受信品質を求め、その受信品質を表す受信品質メッセージを生成する受信品質メッセージ生成手段と、
    前記受信品質メッセージが、第1の間隔で送信されるように、前記受信品質メッセージを、前記情報処理装置への送信信号に挿入する受信品質メッセージ挿入手段と
    前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、前記情報処理装置の送信電力の調整を要求する電力制御情報を生成する電力制御情報生成手段と、
    前記電力制御情報が、前記第1の間隔よりも短い第2の間隔で送信されるように、前記電力制御情報を、前記送信信号に挿入する電力制御情報挿入手段と
    を備え、
    前記情報処理装置は、
    前記受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得手段と、
    前記通信装置から送信されてくる前記電力制御情報を取得する電力制御情報取得手段と、
    所定の区間において取得された前記電力制御情報について積算を行う積算手段と、
    前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定手段と、
    前記受信品質メッセージに基づいて、前記通信装置ごとに、前記受信品質の代表値を演算する代表値演算手段と、
    前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、前記受信品質推定手段により推定された前記通信装置における現在の受信品質とに基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する決定手段と
    を備え
    前記受信品質推定手段は、前記受信品質メッセージと、前記決定手段が前記受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間において前記積算手段で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、前記通信装置における現在の受信品質の推定値を求める
    ことを特徴とする通信システム。
  15. 複数の通信装置と、その複数の通信装置に対して、通信資源を割り当てる情報処理装置とからなる通信システムにおける通信方法であって、
    前記通信装置における通信方法は、
    前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、自身における受信品質を求め、その受信品質を表す受信品質メッセージを生成する受信品質メッセージ生成ステップと、
    前記受信品質メッセージを、前記情報処理装置への送信信号に挿入する受信品質メッセージ挿入ステップと
    前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、前記情報処理装置の送信電力の調整を要求する電力制御情報を生成する電力制御情報生成ステップと、
    前記電力制御情報が、前記第1の間隔よりも短い第2の間隔で送信されるように、前記電力制御情報を、前記送信信号に挿入する電力制御情報挿入ステップと
    を備え、
    前記情報処理装置における通信方法は、
    前記受信品質メッセージを取得する受信品質メッセージ取得ステップと、
    前記通信装置から送信されてくる前記電力制御情報を取得する電力制御情報取得ステップと、
    所定の区間において取得された前記電力制御情報について積算を行う積算ステップと、
    前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、
    前記受信品質メッセージに基づいて、前記通信装置ごとに、前記受信品質の代表値を演算する代表値演算ステップと、
    前記通信装置の前記受信品質の代表値と、その通信装置から取得される受信品質メッセージと、推定された前記通信装置における現在の受信品質とに基づいて、前記通信資源の割り当てを決定する決定ステップと
    を備え
    前記受信品質推定ステップにおいて、前記受信品質メッセージと、前記決定ステップで前記受信品質メッセージに基づいて通信資源の割り当てを決定しようとしているタイミングから、その受信品質メッセージに対応する所定時間だけ遡った時点までの間で積算された電力制御情報の積算値とに基づいて、前記通信装置における現在の受信品質の推定値が求められる
    ことを特徴とする通信方法。
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