次に図面を参照するが、同じ構成要素は、複数の図面で用いられている場合でも同じ参照番号が付されている。まず、図1ないし図3Bを参照してほしい。図1には、本発明によって設計された装置10の断面図が示されている。装置10は、この説明を通じて複数の時点において電気モータ又は発電機と称されることになるが、装置10は、それ自体が用いられている応用例での要求に応じて、モータ、発電機、オルタネータ(alternator:例えば、同期発電機)、再生モータなどの形態をとりうることを理解すべきである。ここでの説明の目的のために、再生モータという用語は、電気モータ又は発電機のいずれかとして動作させることができる装置を意味する。また、装置10は、ほとんどの場合に、DCブラシレス・モータとして説明されるが、非常に様々な他のタイプのモータ及び/又は発電機の形態を取ることができ、それでも依然として本発明の範囲に属することを理解すべきである。これらの他のタイプのモータ及び/又はオルタネータ/発電機には、限定はされないが、DC同期装置、可変リラクタンス又は切り換え型リラクタンス装置、誘導型モータなどを含む。
図1に最もよく示されているように、装置10は、シャフト14と、ロータ構成部(rotor arrangement)16と、ステータ構成部(stator arrangement)18と、装置ハウジング20とを含む。装置ハウジング20は、ベアリング22を用いることによって、シャフト14の長軸を中心として回転できるようにシャフト14を支持しており、又、シャフトを回転可能に支持するための容易に提供可能な任意の他の適切な構成部を支持している。ロータ構成部16は、シャフト14の長手方向の回転軸を中心としてシャフト14と共に回転できるようにシャフト14に固定されている。ステータ構成部18は、装置ハウジング20によって支持され、このステータ構成部18が、ロータ構成部16の回転経路に隣接して位置するようになっている。
次に図2を参照すると、ロータ構成部16のある好適実施例の平面図が示されている。以下では、ロータ構成部16について、より詳細に説明する。この実施例では、ロータ構成部16は、ディスク又は軸タイプのロータであって、半径方向に離間した永久超磁石24a−f(例えば、コバルト希土類磁石)を6つ含んでおり、それぞれが、N極及びS極を画定する対向端部を有している。磁石24a−fは、ロータ・ディスク26又は任意の他の適切な構成によってシャフト14の軸を中心として回転できるように支持されており、磁石24a−fの磁極は、シャフトの軸の周囲にありロータ構成部に隣接する2つの所定の回転経路に沿ってアクセス可能である。磁極は相互に対して方向決めされており、ロータ・ディスクのそれぞれの側において、図2に示すように、磁石が交互にN極及びS極を与えている。
磁石24a−fは永久超磁石として説明されているが、これは必須ではない。そうではなく、磁石は、他の磁気材料でもかまわないし、場合によっては、電磁石でもよい。また、ロータ構成部をディスク又は軸タイプのロータとして説明したが、これも必須ではない。代わりに、ロータが、磁石がその外周部に配置されている樽又は軸タイプのロータなど
、広い範囲の特定の構成を有していてもかまわない。ロータは、6つの磁石を含むものとして説明されたが、いくつの磁石を含むこともでき、その場合でも本発明の範囲に属することを理解されたい。そして最後に、ロータ構成部は磁石を含むものとして説明されたが、これも必須ではない。例えば、誘導モータの場合には、ロータ構成部16は磁石24a−gを含むことはない。その代わりに、当業者であれば理解することであろうが、ロータ・ディスク26を鉄ベースの材料又は何らかの他の磁気材料から構築し、ステータ構成部のスイッチングによって生じる回転磁界によって駆動される磁気ロータ磁心を形成することができる。
図1に最もよく示されているように、今説明している実施例では、ステータ構成部18は、2つのステータ・ハウジング28a及び28bを含み、これらのステータ・ハウジングは、ロータ構成部16の対向する側に隣接して配置される。ステータ・ハウジング28a及び28bは、相互に鏡像(ミラーイメージ)関係にあるので、ステータ・ハウジング28aだけを詳細に説明することにする。ステータ・ハウジング28aは、これに限定されるわけではないが、高強度の複合又はプラスチック材料などの誘電材料(絶縁材料)から形成される。誘電性があってステータ構成部18を構成しているすべての関連する構成要素を適切に支持することができれば、任意の適切な材料を用いてステータ・ハウジングを形成することが可能である。
本発明によると、ステータ・ハウジング28aは、複数の開口を有している。前記複数の開口は、ハウジングの中に形成され動的に付勢及び消勢可能な電磁石アセンブリ34を支持する磁心片開口30とコイル開口32とを含む。電磁石アセンブリ34は、全体がアモルファス金属である磁心36とコイル・アレイ38とを含む。コイル・アレイ38は、コイル開口32において支持される。また、本発明によると、全体がアモルファス金属である磁心36は、個別的に形成されたアモルファス金属磁心片(core pieces)36a−gが複数集まって構成されており、その磁心片のいくつかは、図3Aに最もよく示されているように、磁極片(magnetic pole pieces)を形成している。ステータ・ハウジング28aは、電磁石アセンブリ34を支持しており、この電磁石アセンブリの磁極片は、図2に最もよく示されているように、ロータ構成部上の磁石24a−fの磁極の所定の回転経路の1つに隣接して保持されている。
図3Aは、図1に示されている特定の実施例のための全体がアモルファス金属磁心36の特定の構成を図解している。個々の磁心片36a−gは、それぞれが、連続的なリボン形状のアモルファス金属材料を所望の形状に巻くことによって形成されている。磁心片36a−fの場合には、磁心片の形状はほぼ円柱状であり、これらの磁心片それぞれの対向する連続的なエッジは、磁心片の対向する端部37a及び37bを画定している。しかし、磁心片36gの場合には、磁心片の形状は、トロイダル・リング状の磁心片36gを形成するように巻かれている連続的なアモルファス金属のリボンの一方の連続的なエッジによって画定される環状の面40を有するトロイダル・リングである。いずれの場合でも、この実施例においては、連続的なアモルファス金属のリボンは、切断、エッチング又はそれ以外の機械加工等はなされず、最初に、所望の磁心片の形状を形成するのに必要な所望の長さに切断されるだけである。円柱状の磁心片36a−fは、それぞれが、全体としての磁心36の磁極片を形成し、それぞれの円柱状の磁心片の一端37aはトロイダル・リング状の磁心片36gの環状面40に接するように配置され、他方の端部37bは環状面40から外に向かって突出する。トロイダル・リング状の磁心片36gは、磁気ヨークをして作用することにより、磁束の漏れを阻止し、円柱状の磁心片36a−fのそれぞれを磁気結合する。
図3Bは、図3Aの磁心36とは離れたものとして、ステータ・ハウジング28aを図解している。ただし、ステータ・ハウジング28aは、磁心36を含むように設計されて
いる。特に、複数の磁心片開口30とコイル開口32とに注意してほしい。ステータ・ハウジング28aは、また、冷却剤(coolant)開口39と、ワイヤ・レースウェイ開口41とを有している。冷却剤(coolant)開口39を用いて、冷却用の流体をステータ・ハウジング28aを通過して循環させ、ステータ・ハウジング28a、コイル・アレイ28a及び磁心36における過剰な発熱を回避する。冷却剤開口は、ステータ・ハウジングないの任意の適切な位置に形成し、装置を冷却することができる。ワイヤ・レースウェイ開口41は、コイル・アレイ38を相互接続するワイヤを敷設するのに用いられる。図3Bには図3Aに図解されている磁心片を囲むように設計されたステータ・ハウジングのある特定の構成が図解されているが、ステータ・ハウジングには様々な構成がありうるのであって、その構成は特定の磁心の設計に応じて変動しうることを理解されたい。
図1、図3A及び図3Bに最もよく示されているように、個別的に形成された磁心片36a−gは、ステータ・ハウジング28aの磁心片開口30の内部で支持され、相互に対して一定の位置に保持されている。磁心片開口30は、ステータ・ハウジング28aの中に形成されて、個別的に形成された磁心片36a−fのそれぞれを支持する適切な形状を有しているので、磁心片36a−fを、リボン状のアモルファス金属材料を、巻線の層(layers of the winding)を積層することなく巻くことによって形成することができる。これによって、個別的に形成された各磁心片が熱膨張したり及び/又は磁気飽和によって膨張したりすることが可能となり、それによって、磁心全体の内部において又は個別的に形成された磁心片のいずれかの内部において内部的な応力を生じさせずに、巻線のコイルを僅かに逆方向に解放させる(slightly uncoil)。この構成によって、従来技術の説明において述べた磁気歪みによって生じる問題が実質的に緩和される。また、この構成によると、磁心片を積層する必要がなくなるので、磁心全体の中で積層材料が占める空間の体積も除去される。このために、より多くの量のアモルファス金属材料を与えられた体積の中に配置することが可能になり、それによって、磁心が磁束を方向付ける又は合焦させることができる効率が向上する。同時に、各ステータ・ハウジングが、磁極片36a−fをヨーク36gと直接的に接するように保持するから、磁心全体が、機能的に見て、単一の一体的に形成された磁心に類似することになる。また、ステータ・ハウジング28aは、アモルファス金属の磁心36の全体を完全に包囲して密封された囲い(enclosure)を形成し、それによって、磁心片の腐食が回避される。
図1に示された実施例では、磁心片36a−gによって満たされていない磁心片開口30における空洞は、すべてが誘電性のオイル42によって充填され、磁心片開口30は密封されて、オイルは空洞の内部に維持される。磁心片開口のこのオイルによる充填は、クッションとして作用し、モータに関連する大きな変動する磁気力を受けたときに、アモルファス金属材料への損傷を回避するのに役立つ。また、このオイルの充填は、ステータ構成部を熱的に等化するのにも役立ち、装置全体の熱散逸特性を向上させるのにも用いることができる。更に、アモルファス金属の磁心片36a−gは、オイル含浸性を有している。これによって、アモルファス金属磁心片の巻線が、アモルファス金属材料の磁気飽和や熱膨張によって更に容易に膨張することが可能となり、磁気歪みを生じさせうる応力を更に減少させる。しかし、上述の磁心片開口はオイルが充填され磁心片はオイル含浸性を有しているが、これは必須ではない。本発明は、開口がオイルで充填されているかどうか、また、磁心片がオイル含浸性であるかどうかとは関係なく、ハウジングの開口において支持されている個別的に形成されたアモルファス金属の磁心片から作られた磁心を用いる装置には、等しく応用できるのである。
装置10は、ブラシレスレスの同期式装置であって、ステータ・ハウジング28a内の電磁石コイル・アレイ38を構成しているコイルがすべて電気的に接続され、同時に付勢及び消勢されるようになっている。図1に示されている実施例では、コイル・アレイ38は磁極片コイルを6つ含んでおり、その中の2つが図1にコイル38a及び38dとして
示されている。コイル・アレイ38は、エポキシ樹脂を用いて又はそれ以外の手段でしかるべき位置に固定され、ステータ構成部の全体的な構造的一体性に追加されている。各コイルは、磁心片36a−fの対応する1つの周囲に位置決めされ、その中の2つが図1にコイル36a及び36dとして示されている。コイル・アレイ38は、磁心片36a−fによって形成された磁極片の突出端部が、コイル・アレイ38が付勢されると交互にN極及びS極を形成するように、巻かれている。トロイダル・リング状の磁心片36gは磁気ヨークとして作用し、トロイダル・リング状の磁心片36gに隣接する磁心片36a−fの端部に関連する磁束を、逆の極性の隣接する磁極片の方向に向きを変更する。この装置が電気モータとして動作されるときには、コイル・アレイ38を流れる電流の向きを切り換える(スイッチングする)ことによって、電磁石アセンブリ34の磁極片それぞれの極性が反転される。後でより詳細に説明するが、発電機の場合には、電磁石が負荷に接続されている態様を切り換えることにより、発電機が生じる電気の電力出力及び状態が制御される。この構成によって、ステータ構成部18の電磁石アセンブリ34の交互に配置されたN極及びS極は、ロータ構成部16の永久磁石24a−fの交互に配置されたN極及びS極と制御可能な態様で相互作用する。
また、装置10は、コイル・アレイ38を、極性が反転するように付勢及び消勢する制御構成部44を含む。制御構成部44は、適切で容易に提供することができ極性が変動するように電磁石アセンブリ34を動的に付勢及び消勢することができる任意のコントローラを含む。好ましくは、コントローラ46は、従来型の電気モータ及び発電機において典型的になされているよりもはるかに高速で電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢することができるプログラマブルなコントローラである。磁界がアモルファス金属の磁心において切り換えられ得る固有の速度のために、この装置の各デューティ・サイクルに対して、装置10は、コントローラ46が、複数の付勢及び消勢パラメータの任意の組合せを用いて装置10の回転速度、パワー及びトルク出力を制御することを可能にしている。ここでの説明のためには、1デューティ・サイクルとは、すでに述べたように、ロータの特定の点の、ステータ構成部の1つの電磁石磁極片に隣接する或るステータの地点からステータ構成部の次の連続する電磁石磁極片に隣接する或る地点までの移動として定義される。
更に図1を参照すると、制御構成部44は、更に、各デューティ・サイクルに対する或る与えられた時点において、ステータ構成部18に対するロータ構成部16の位置と回転速度とを決定し、対応する信号を生じる位置検出器構成部48を含む。検出器構成部48は、ロータ構成部16と共に回転するようにシャフト14上に支持されているエンコーダ・ディスク50を含む。また、検出器構成部48は、エンコーダ・ディスクに隣接して位置決めされている光センサ52のアレイを含む。
エンコーダ・ディスク50の平面図である図4に図解されているように、エンコーダ・ディスク50は、複数の同心円状のトラック54を含み、各トラックには位置を指示する開口56が形成されている。この実施例では、ディスク50は、6つの同心円状のトラック54a−fを含んでいる。ディスク50は、3つの120度の弧(アーク)であるパイ状のセクション58に分割され、これらのセクションは、相互に同一である。各セクション58には、特定の極性を有する第1のロータ磁石上の或る地点から同じ極性を有する次の連続する磁石上の対応する地点まで(すなわち、1つのS極からN極を1つ通り越して次のS極まで)伸長しているロータ構成部のパイ状のセクションが関連している。内側のトラック54aは、各セクション58において、トラック54aの長さの半分(60度の弧)だけ伸長している長い1つの開口56aを有している。この場合には、これらの開口56aは、それぞれが、装置の1デューティ・サイクルに対応し、3つの開口が、6つのロータ磁石の中の1つおきのロータ磁石と整列している(すなわち、これらの3つの磁石は、ロータ・ディスクのそれぞれの与えられた側で同じ極性を有する)。各セクション内では、それぞれの連続するトラックは、それよりも内側のトラックにおける開口と比較し
て、長さが半分の開口を2倍有している。すなわち、トラック54bは、各セクションにおいて2つの開口56bを有し、トラック54cは4つの開口56cを有する、ということである。そして、外側のトラックは32個の開口を有し、それぞれは、(1+7/8)度の弧(arc of one and seven eighth of a degree)を有している。
光センサ・アレイ52は、6つの光センサを含み、それぞれのセンサはエンコーダ・ディスク50上の同心円状のトラックの1つに対応しそれと光学的に整列するように位置決めされている。アレイ52は、エンコーダ・ディスク50に隣接して位置決めされ、光センサが開口56の存在を検出するようになっている。光センサのそれぞれが1ビットの情報を提供するので、アレイ52は、コントローラ46に、2度の弧よりも小さな範囲でロータ構成部の位置を識別するバイナリ・ワード(1バイト)を提供することができる。最上位ビット、すなわち、トラック54aと関連するセンサを用いると、コントローラ46は、磁石の交互に配列されたN極及びS極の位置を決定することもできる。というのは、トラック54aの開口56aは、すでに述べたように、ロータ・ディスク上の1つおきの磁石に対応するからである。
また、コントローラ46は、時間単位でインクリメントして(増やして)カウントすることができるカウンタ構成部49を含んでいる。このインクリメントによって、この装置が所定の最大速度で回転しているときに、各デューティ・サイクル(60度の弧)を、例えば1デューティ・サイクル当たり1600カウントなどの、複数の時間周期すなわちカウントに分割することが可能になる。これは、各開口56fに対する100カウント、又は言い換えれば、エンコーダ・ディスクによって提供される分解能の100倍に対応する。説明のために例を挙げると、2万RPMで動作することができる高速モータの場合には、このためには、毎秒320万カウント、すなわち3.2MHzで動作することができるカウンタ構成部又はクロックが必要となる。ただ1つの特定のクロック速度についてだけ詳細に説明したが、本発明は、カウンタ構成部の特定のクロック速度とは関係なく、等しく応用できることを理解してほしい。
また、コントローラ46は、カウンタ構成部49の任意の所定のカウントで電磁石アセンブリ34を付勢又は消勢することができるように構成されている。これによって、電磁石の付勢及び消勢を極めて正確に制御することができるようになる。2万RPMという動作速度を例に用いているが、これは上限を意味しないことを理解すべきである。アモルファス金属のステータ構成部の極めて高速のスイッチング性能と上述した制御構成部によって提供される電磁石の正確な付勢及び消勢制御とによって、本発明に従って設計されたモータ及び発電機装置は、5万RPMから更には10万RPMを超えるほどの極めて高速の装置を提供することができる。本発明は、また、このような極めて高速の装置によって発生される極めて大きな遠心力に耐えることができるステータ構成部及びロータ構成部を提供する。
コントローラ46がエンコーダ・ディスク50における複数のトラックの開口の存在を離散的に検出できるようにするために、複数のトラックにおける開口は相互に僅かにずれており、アレイ52の異なる光センサが正確に同じ時刻において異なるトラックに対する開口の開始の検出を指示しようとすることがないようになっている。この符号化の方式は、通常、グレイ・コード(gray code)と称され、開口を指示する位置が本の僅かに不正確であることによってコントローラがエラーを生じてしまうことを回避するための方式である。
再び図1を参照するが、これまでに装置10を構成している様々な構成要素については説明したので、次に、様々なモードにおけるこの装置の動作を詳細に説明する。アモルファス金属の磁心材料はその磁界を非常に高速にスイッチングすることができ、また、制御
構成部44は極めて正確な時刻において電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢することができるので、本発明による制御構成部44によれば、コントローラ46は、電磁石アセンブリの複数の付勢及び消勢パラメータの任意の組合せを用いて、この装置の速度、効率、トルク及びパワーを制御することができる。これらのパラメータには、限定的ではないが、デューティ・サイクルの付勢時間、デューティ・サイクル付勢時間の開始/停止(start/stop)点、デューティ・サイクル付勢時間の変調などが含まれる。付勢及び消勢パラメータは、図5A−Cを参照しながら後でより詳細に説明する。図5A−Cは、2つの連続するデューティ・サイクルD1及びD2に対する電磁石アセンブリ34の付勢/消勢状態を示すグラフである。
電磁石アセンブリは、この電磁石アセンブリを構成する磁極片それぞれに対してN及びSの極性が交互に生じるように付勢される。任意の所定のステータ磁極片に対して、デューティ・サイクルD1は、ロータ・アセンブリが、ロータ磁石の1つのN極がこの所定のステータ磁極片と隣接し中心が完全に一列になった(lined up top dead center with)時から、次の連続するロータ磁石のS極がこの所定のステータ磁極片と隣接し中心が完全に一列になる時まで回転するのに要する時間に対応する。参照記号Nを用いて指示されているように、電磁石アセンブリは、デューティ・サイクルD1の間、前記所定のステータ磁極片がN極として作用するように付勢される。デューティ・サイクルD2は、ロータ・アセンブリが、ロータ磁石の1つのS極がこの所定のステータ磁極片と隣接し中心が完全に一列になった時から、次の連続するロータ磁石のN極がこの所定のステータ磁極片と隣接し中心が完全に一列になる時まで回転するのに要する時間に対応する。参照記号Sを用いて指示されているように、電磁石アセンブリは、デューティ・サイクルD2の間、前記所定のステータ磁極片がS極として作用するように付勢される。
図5Aに示されているように、デューティ・サイクル付勢時間は、ステータ構成部の電磁石アセンブリ34が或る所定のデューティ・サイクルの間付勢されている連続的な継続時間である。図5A−Cでは、デューティ・サイクル付勢時間は、文字Tによって指示されている。デューティ・サイクル付勢時間の開始/停止点とは、デューティ・サイクルの間に、ロータの回転位置に対して、デューティ・サイクル付勢時間が開始する(参照番号60で示されている)及び停止する(参照番号62で示されている)時点である。図5Bに図解されているように、開始/停止点は、デューティ・サイクル付勢時間Tを一定に保ちながら変更することができるし、同時に、デューティ・サイクルの付勢時間Tの長さを変化させながら変更することもできる。そして最後に、デューティ・サイクル付勢時間の変調は、デューティ・サイクル付勢時間Tの開始点と停止点との間の電磁石アセンブリ34のパルス幅変調である。図5Cに図解されているように、これは、そうでなければ連続的であるデューティ・サイクル付勢時間Tの間に電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢することによってなされる。パルス幅変調は等しいON及びOFFパルスとして示されているが、ONパルスとOFFパルスとは継続時間が異なっていてもよい。更に、パルスのそれぞれの組は、その間で変動して時間Tの間に所望の全体付勢時間を与えることもできる。本発明によると、装置10の速度、効率、パワー及びトルク入力/出力は、制御構成部44を用いて制御することができ、これらのパラメータの任意の組合せ、又は、これ以外の任意の所定の付勢及び消勢パラメータを何らかの組合せで用いて、電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢することができる。
装置10が停止すると、コントローラ46は、エンコーダ・ディスク50と光センサ52とを用いて、ステータ構成部18に対するロータ構成部16の相対的な位置を決定する。電気モータの場合には、コントローラ46は、この位置情報を用い、磁極片36が所望の方向へのモータの回転を開始させるのに適切な極性を有するように電磁石アセンブリ34を付勢することによって、ロータ構成部の回転を開始させる。コントローラ46は、電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢して、各磁極片の極性が連続的なデューティ・サイク
ルそれぞれに対して反転するようにする。モータが十分な速度で回転していると、コントローラ46は、エンコーダ・ディスク50の外側のトラックを用いるだけで、ステータ・アセンブリに対するロータ・アセンブリの回転速度を決定してカウンタ構成部49を較正する。コントローラ46は、カウンタ構成部49とエンコーダ・ディスク50が生じる信号とを用いることによって装置10の制御を継続し、コントローラ46にプログラムされている又はそれ以外の態様でコントローラ46に提供される所定の装置制御設定を選択して用い、電磁石アセンブリ34の付勢及び消勢を制御する。制御構成部44がカウンタ構成部49の任意の1つのカウントにおいて電磁石アセンブリ34を付勢又は消勢することができるので、制御構成部44は、上述した付勢及び消勢パラメータの任意の組合せを用いて、装置10の速度、効率、トルク及びパワーを非常に正確に制御することができる。
制御構成部44の正確さ、速度及び融通性のために、本発明に従って設計された装置を非常に広範囲に応用することが可能になる。また、ロータ・アセンブリとアモルファス金属の磁心とにおいて超磁石を用いることによって、この装置は、従来型の電気モータや発電機と比較して非常に高い出力密度と非常に高い回転速度とを有することが可能となる。これらの効果により、本発明に従って設計された装置を、従来型の装置を用いた場合にはこれまで不可能又は実際的ではなかったような態様で用いることが可能となる。
第1の例では、本発明の好適実施例は、同じスピンドルとチャックとを用いて複数のツールが駆動されるような数値制御マシン・ツールの応用例で用いられる電気モータである。電気モータがスピンドルを直接に駆動し、モータとスピンドルとが作業面上での移動のために支持されているような場合には、スピンドルとツール全体とは、モータが軽量であり出力密度が高いために、必ずしもそれほど重く作られることがなくなる。また、モータの制御構成部が融通性を有するために、モータを広い範囲の特定の動作を実行するようにプログラムすることが可能となる。例えば、ツールを、最初は、例えば2万RPMで回転する高速で比較的低出力のモータとして用いることができる。次に、このモータを反対方向に駆動することによって、モータとスピンドルとを非常に迅速に停止させ、それにより、異なるツールをチャックの中に自動的に挿入することができる。例えば、次の動作が低速であるが高出力が要求されるドリル動作である場合には、モータの制御構成部を、所望の速度、効率、パワー及びトルク出力を提供するようにプログラムすることができる。本発明によるモータを用いると、従来型のモータと比較して、はるかに広い範囲の速度、パワー及びトルクの設定を得ることができる。
図6に図解されている別の応用例では、装置10は、風車100によって駆動される発電機として用いられている。この状況では、制御構成部44は、電磁石アセンブリ34が付勢及び消勢される態様を切り換え、風車100から得られるパワー入力に応じて装置10が発生するパワーを変動することができるように構成されている。この構成により、発電機は、従来の発電機を用いた場合に可能であったよりもはるかに広い範囲で動作することが可能となる。
典型的には、風車発電機は、所定の電気的出力を有するように構成される。風を受ける場合でも、発電機は、風速が最低の動作速度に到達するまでは動作することができない。典型的な風車は設置されている地域での平均風速に近い点で動作するように設計されているので、これは、風が風車の最低動作速度未満であるときには、風車が全く出力を生じないということを意味する。風が設計された動作速度を超えるまで強まると、風車は、フェザリングされるすなわちブレーキ機構を備えることによって風のエネルギの一部を浪費し、風車が過剰速度で回転することを回避しなければならない。場合によっては、風が非常に強い状況では、風車を完全に停止させ、ブレーキ機構の損傷又は過熱を防止しなければならない。従って、風が強い又は非常に強い状況では、風車発電機はその所定の電気的出力を発生することしかできないので、入手可能である風力エネルギのかなり又はすべてが
浪費されてしまう。
本発明によると、装置10は、平均的な風力エネルギよりも、風車に利用される高い風力エネルギにより従った最大パワー出力を有するように設計することができる。この状況では、風速が平均値であるときには、制御構成部44は、装置10がその最大パワー出力よりも実質的に低いパワー出力を有するように電磁石アセンブリ34を接続及び切断する。実際、風が弱い場合には、装置10は、風車を始動させるための電気モータとして用いることができる。適切な速度で回転するようになると、装置10は、非常に低いパワー出力を有する発電機として動作することができる。風が平均風速よりも高速となるように強まると、制御構成部44は、単純に、パワー出力が風のエネルギ入力に一致するまで上昇するように、電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢する。風力エネルギが装置10の最大パワー出力を超えるほどの非常に強風の場合には、装置10を、風車を反対の方向に駆動してブレーキとして作用する電気モータとして、前記時間のうちある一定の割合の時間だけ動作させることができる。このような全体的な構成によって、風車を、従来の発電機を用いた場合に可能であったよりもはるかに広い範囲の風の条件下でも出力を生じるように動作させることができるようになる。
装置10のパワー出力は、以上で説明したように電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢することによって制御される。デューティ・サイクル付勢時間、デューティ・サイクル付勢時間の開始/停止点、デューティ・サイクル付勢時間の変調などを含む付勢及び消勢パラメータの任意の組合せを用いて、装置10のパワー出力を制御することができる。これらの付勢及び消勢パラメータを制御することによって、任意の与えられたサイズの装置に対して、非常に広範囲のパワー出力を達成することができる。また、装置10は、その動作の間に所望の時間配分で適切な極性を有するように電磁石アセンブリ34を付勢することによって、電気モータとしていずれの方向にでも駆動することができるので、この装置を発電機として回転させるのに要求される力の大きさを縮小又は増大させることが可能である。従って、この装置は、極めて広範囲のパワー出力を備えた発電機として機能することができる。
装置10が発電機として機能しているときには、制御構成部44によって与えられる融通性によって、追加的なパワー調整装置を用いることを要求されずに、装置10を、それ自体のパワー出力を調整することができるように構成することができる。上述した図6に図解されている風車の応用例を用いると、制御構成部44は、電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢することによって、装置10のパワー出力を制御することができる。このために、制御構成部44は、風車が動作する速度を制御することができる。また、制御構成部44は、すでに述べたように、付勢及び消勢パラメータを制御することもできる。これによって、電磁石アセンブリ34を付勢及び消勢して、装置10の出力が追加的な電力調整装置を用いることを必要とせずに所望の電気的出力に調整されるように、制御構成部44を構成することが可能となる。これは、前記装置の速度を制御することによって、また、電磁石アセンブリを適切な時だけ付勢及び消勢することによって、なされ、これにより、所望の電気的出力に調節された電気的出力を発生することができる。バッテリを充電する場合のように出力がパルス化された直流である場合には、Hブリッジ・コントローラがこの装置の交流出力をパルス化された直流に変換することができる。これは、「能動整流」(active rectification)として知られている。
図7に図解されているように、本発明による装置が非常に適している別の応用例は、ガス・タービン駆動の発電機という応用例である。タービン・エンジンの極めて高い速度のために、従来型の発電機は、発電機がタービン・エンジンによって駆動される回転速度を実質的に減速させる減速ギアを用いてタービン・エンジンに接続されているのが典型的である。この減速ギア構成は、システム全体のコストを上昇させ、組合せの全体的な効率を
低下させるエネルギの損失を生じさせる。本発明によると、既に述べたように設計された発電機は、減速ギアを用いることなく、あるいは、タービン・エンジンが発電機を駆動する回転速度を減速させるそれ以外のどのような構成を用いることなく、ガス・タービンによって直接的に駆動される。図7に示されているように、装置10は、タービン・エンジン200によって直接的に駆動される。装置10は、タービン・エンジンのための始動モータとしても用いることができる。やはりすでに述べたように、装置10のアモルファス金属磁心は磁界の変化に極めて高速で応答することができるので、また、制御構成部44は極めて高速のスイッチング速度を有しているので、装置10は、極めて高い回転速度で効率的に動作することができる。これによって、装置10は、タービン・エンジン200によって直接的に駆動することができ、どのような減速ギアも、あるいは、タービン・エンジンが装置10を駆動する回転速度を減速させるどのような構成も必要なくなる。
以上で述べたディスク又は軸タイプの装置構成は、極めて大きな遠心力にも耐えるように設計することが可能なコンパクトな全体パッケージを提供する。これによって、この構成の装置を極めて高速で動作させ、従って、与えられたサイズの装置にとっては極めて高いパワー出力を供給することが可能となる。或る特に興味深い応用例では、この装置を、冷却ユニットのターボ・コンプレッサを極めて高い回転速度で直接的に駆動する電気モータとして用いられるものと考えることができる。この回転速度は、5万から10万RPM又はそれ以上でありうる。ターボ・コンプレッサをこのような回転速度で動作させることによって、コンプレッサの効率は実質的に向上する。これよりもはるかに低速で動作する従来型の電気モータを用いると、高速ターボ・コンプレッサに付随する効率ゲインのほとんど又はすべては、失われて、高速を達成するのに必要なギアリング(gearing)に付随する機械的な損失となってしまう。本発明によって設計された高速モータを用いてコンプレッサを直接的に駆動することによって、従来型のギア・アセンブリに伴う効率の損失は消滅する。これによって、従来型の構成よりも実質的に効率のよい全体的構成がえられる。
装置10のアモルファス金属磁心36の全体を、図3Aに図解されているように、リングの環状面の1つから突出している突極を備えたトロイダル・リングの全体的形状を有するように以上では説明してきたが、これは、必須ではない。その代わりに、アモルファス金属磁心の全体は、任意の所望の形状を有することが可能であって、その場合でも、全体的なアモルファス金属磁心が、個別的に形成された複数のアモルファス金属磁心片から作られており、これらのアモルファス金属磁心片が磁心ハウジングによって互いに隣接するように支持されている限りは、本発明の範囲に属するのである。
図8を参照すると、全体的なアモルファス金属磁心は、全体がU状のアモルファス金属磁心となっている。或る特定の実施例では、3つの別々のU状磁心全体300が、図3Aに示されているトロイダル・リングの代わりに用いられる。各磁心300は、個別的に形成された3つのアモルファス金属磁心片300a−cで構成されている。磁心片300a及び300bは、図3Aの磁心片35a−fと同様の円柱状の磁心片である。しかし、磁心片300cは、細長い長円形状の断面の形状を有する磁心片である。この実施例では、ステータ・ハウジングは、磁心片開口を有しているが、これらの磁心片開口は、磁心片300a及び300bの各対が、磁心片300cの対応する1つに隣接して保持されるように、配列されている。この実施例の電磁石コイル・アレイは、装置10に対する上述のものと同様である。トロイダル・リング状の磁心片を用いた上述の構成とU状の構成との唯一の相違点は、トロイダル・リング構成は磁心片36a−fによって形成された磁心片の6つ全部を磁気的に結合させるのに対して、U状の構成では、磁心片300a及び300bによって形成された磁心片のそれぞれの関連する対だけが磁気的に結合されるという点である。
図9は、本発明の磁心を与える別の可能な構成を図解している。すでに述べたように、図1の装置10は、アモルファス金属磁心全体36を含むステータ構成部を2つ含んでおり、ロータ構成部16の各側に1つずつ配置されている。図9は、ほぼC状のアモルファス金属磁心全体400を図解しており、個別的に形成されたアモルファス金属磁心片400a−eを5つ含んでいる。図1の2つのトロイダル・リング状の磁心全体は、ロータ構成部の周囲に半径方向に位置決めされた全体が6つのアモルファス金属磁心400と交換することができる。この実施例では、6つの磁心片400aが、ロータ構成部の一方側の磁極片36a−fと類似する磁極を形成している。磁心片400bは、ロータ構成部の他方側に位置決めされた対応する磁極片を形成している。C状のアモルファス金属磁心全体400それぞれに対して、磁心片400c−eは、それに関連する磁心片400a及び400bを磁気的に結合させる磁気ヨークを形成する。また、この実施例では、ステータ・ハウジングは、複数の磁心片すべてをそれぞれの位置に支持して6つのC状磁心全体を形成するように構成されうる。U状の磁心に関してすでに述べたように、この実施例と図1の実施例との唯一の相違点は、ロータ構成部の一方側にある磁極すべてがトロイダル・リング状の磁心片によって磁気的に結合されるのではなく、ロータ構成部の両側にある関連する磁心片400a及び400bによって形成された磁極片の各対が磁気的に結合されているという点である。
図10は、本発明による磁心を提供する更に別の可能な構成を図解している。この場合には、装置は、ディスク又は軸タイプの装置ではなく、樽(バレル)又はラジアル・タイプの装置という形状となる。この構成では、ロータ・アセンブリ500は、ディスク状ではなく樽状となる。この例では、装置がDCブラシレス・タイプのモータである場合には、ロータ・アセンブリ500は、このロータ・アセンブリの外周のエッジに取り付けられた6つのロータ磁石502を含む。あるいは、装置が誘導タイプのモータである場合には、磁石502は含まれず、ロータ・アセンブリ500は、適切な形状の鉄ベースの材料又はそれ以外の磁気材料の磁心から構成される。
この樽タイプの実施例のステータ構成部は、ほぼ管状(tubular shaped)の全体アモルファス金属磁心504の形状の、ただ1つの全体アモルファス金属磁心を含む。磁心504は、管状で個別的に形成されたアモルファス金属の磁心片504aが1つと、個別的に形成されたアモルファス金属の磁心片又は歯504b−gが6つとで構成されている。磁心片504aは、所望の幅を有するアモルファス金属材料の連続的なリボンを巻いて所望の直径の管状にすることによって形成される。磁心片504b−gは、アモルファス金属材料の個別的なストリップをスタック状にして所望の磁心片の形状を形成するか、又は、連続的なアモルファス金属のリボンを巻いて大変に細長いオーバル状(長円形状)にするか、のいずれかによって形成することができる。この実施例では、ステータ・ハウジング506は、磁心片b−gのそれぞれが磁心片504aの内側表面に隣接して保持されるように配列された磁心片開口を有している。この実施例の電磁石コイル・アレイは、装置10についてすでに述べたものと類似している。トロイダル・リング状の磁心片を用いる上述の構成とこの樽又はラジアル状の構成との唯一の相違点は、樽状の構成の場合には、コイルが、ロータ・アセンブリの軸と平行に長軸方向に向いている非常に伸びたコイルであり、磁心片又は歯504b−gの周囲に配置されているという点である。
以上では様々な磁心片を特定の断面の形状を有するものとして説明してきたが、本発明は、このような特定の断面の形状には限定されないことを理解すべきである。そうではなく、図11A−Fに図解されているように、個別的に形成された磁心片は、円、オーバル(長円形)、卵形、トロイダル・リング、角が丸められた三角形、角が丸められた台形など、図11A−Fの磁心片510、512、514、516、518、520によって図解されたように、任意の断面図の形状を有する磁心片として個別的に形成することができる。
磁心片はアモルファス金属材料の連続的なリボンを巻くことによって作られると以上では説明されているが、これは必須の構成ではない。そうではなく、磁心片は、アモルファス金属からなる個別的に形成されたストリップや断片をスタック状にして(すなわち、積み重ね)、図11Gや11Hに図解されているように、矩形磁心片522や台形磁心片524の断面の形状を有するものなど、所望の形状の磁心片を形成することができる。これらの図に図解されているように、個別的なストリップを、相互の上にスタック状に配置(すなわち、相互に積み重ねて配置)し、図11Gに示されているように、それぞれの断片が同じサイズであり同じ形状となるようにすることができる。あるいは、ここのストリップを横方向に相互にスタック状にして、図11Hに図解されているように、複数の個別的な断片が異なるサイズ及び形状を有するようにすることもできる。これらの様々なアプローチによって、様々な形状が形成されるのである。
当業者であれば知っているように、アモルファス金属材料は、製造される際には、それに沿って磁束が最も効率的に向けられる特定の方向を有しているのが典型的である。リボン状のアモルファス金属材料では、この方向は、典型的には、リボンの長さに沿っているか、又は、リボンの幅方向である。上述した適切なアプローチを用いて全体アモルファス金属磁心の磁心片それぞれを形成することによって、磁束を最も効率的に方向付けるアモルファス金属材料の方向に沿って磁束が磁心片の中を通過するように、アモルファス金属を常に方向決めするように、個別的な磁心片を形成することができる。例えば、図3Aの実施例のトロイダル・リングの場合には、リボンの長さに沿って整合された最も効率的な磁束の方向を有するアモルファス金属のリボンを巻くことによって、トロイダル・リング状の磁心片36gを作ることができる。しかし、磁極片36a−fは、それぞれを、リボンの幅方向に整合された最も効率的な磁束の方向を有するアモルファス金属のリボンを巻くことによって、形成することができる。この構成によって、磁束を最も効率的に方向付ける材料の方向に沿って磁束が磁心を通過して方向付けられるように、アモルファス金属材料が整合することになる。
本発明は、ステータ・アセンブリのすべての電磁石が同期的に付勢される単相の装置として説明してきたが、これは、必須の構成ではない。当業者には明らかなように、本発明による装置は、多相装置の形態をとることもできる。図12には、多相の電気モータ600を提供する1つのアプローチが図解されている。この実施例では、装置10に対して以上で説明したように設計された3つの装置10a−cが共通のシャフト上に並んで設置されている。装置10a−cの各々は、先の装置に対して20度だけ回転して配置されている。換言すると、装置10bは、装置10aに対して20度回転しており、装置10bのステータ構成部の磁極片のそれぞれが、装置10aのステータ構成部の対応する磁極片よりも20度進んだ位置に固定されている。同じことが、装置10bに対する装置10cについてもいえる。装置10a−cのデューティ・サイクルはすでに述べたように60度延長することができるので、この構成によると、前記3つの装置は、デューティ・サイクルの3分の1だけ相互に位相がずれることになる。従って、これら3つの装置10a−cは、全体として3相の装置として動作させることができ、装置10a−cのそれぞれが1つの位相に対応する。
あるいは、図13に図解されているように、個別的に形成された複数の磁心片と3つの別々に制御可能なコイル・アレイとによって構成される電磁石アセンブリ700を有するステータ構成部を含む装置を構築することによって、3相装置を与えることもできる。この例では、ロータ・アセンブリ(図13には図示されていない)は、図1の装置10の場合と同じように、6つのロータ磁石を依然として有している。同様に、この装置は、図1に示された装置10の場合のように、ロータ構成部のそれぞれの側に1つずつ配置された2つのステータ構成部を含んでいる。しかし、電磁石アセンブリ700の平面図である図
13に示されているように、この電磁石アセンブリは、個別的に形成された19個のアモルファス金属磁心片702a−sから構成された全体アモルファス金属磁心702を含む。これら19の磁心片の第1の磁心片702aは、図3に最もよく示されている磁心片36gと同様のトロイダル・リング状の自身片である。18個の磁心片702b−sは、一端がトロイダル・リング状の磁心片702aに隣接して配置されており従って18個の磁極の突出を形成する個別的に巻かれた磁心片である。電磁石アセンブリ700は、また、別々に制御可能な3つのコイル・アレイ704a−cを含んでいる。これらの別々に制御可能なコイル・アレイは、それぞれが、図1のコイル・アレイ38に類似しており、それぞれのアレイが、磁心片702b−sのうち連続する3つ目の磁心片の周囲に巻かれたコイルを含んでいる。この構成により、各コイル・アレイは、3相装置の1つの位相に対応することになる。
以上では装置を3相の装置として説明したが、2相の装置として提供することもできることを理解すべきである。その場合には、全体アモルファス金属磁心702は、19の磁心片ではなく13の磁心片を含み、12の磁心片が磁極片を形成し、1つの磁心片がすでに述べた磁気ヨークとして作用する。また、この2相の装置は、個別的に制御可能なコイル・アレイを2つだけ含むことになる。更に、この多相装置は上述したトロイダル・リング状の磁心構造には限定されないことを理解すべきである。そうではなく、磁心構成は、広範囲な構成をとることができ、その場合でも依然として本発明の範囲に属するのである。
以上では特定の向きを有する様々な構成要素との関係で実施例を説明したが、本発明は、広範囲な位置及び相互の向きで配置された様々な構成要素を備えた広範囲な特定の構成をとることができ、その場合でも依然として本発明の範囲に属することを理解すべきである。例えば、装置10の各ステータ構成部を6つの磁極片を有するものとして説明し、ロータを6つの磁石を有するものとして説明したが、これは、必須の構成ではない。そうではなく、ステータ構成部は任意の数の磁極片を有することができるし、ロータは任意の数の磁石を有することができ、その場合でも依然として本発明の範囲に属する。
更に、本発明は、この装置のステータ構成部が、誘電性のハウジングによって所定の位置に支持されている個別的に形成された磁心片から作られた全体のアモルファス金属磁心を含んでいる限りは、広範囲の電気モータ及び発電機に等しく応用することができる。これらの様々な発電機やモータには、限定的ではないが、DCブラシレス・タイプ、DC同期式タイプ、可変リラクタンス又は切り換え式リラクタンス・タイプ、誘導タイプのモータ及び発電機や、それ以外のタイプの発電機、モータ、オルタネータが含まれる。従って、ここでの例は、例示的なものであり限定を意味するものではないと考えられるべきであり、本発明は、ここで与えた詳細には限定されず、冒頭に掲げた特許請求の範囲の範囲内で修正することが可能である。