JP4402632B2 - オーディオ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディスクリートフォーマットのオーディオデータを再生するオーディオ装置に関する。
最近では、DVD(デジタルバーサタイルディスク)プレーヤ等の普及により、臨場感のある音場を再現することができるマルチチャンネルによるサラウンドを実現するオーディオ装置が一般的になりつつある。例えば、ドルビーデジタル(登録商標)やDTS(登録商標)と称されるマルチチャンネル用のフォーマット(ディスクリートフォーマット)では、最大で6チャンネル分(5.1ch)のオーディオデータが別々に含まれており、オーディオ装置によって、それぞれのオーディオデータを用いて各チャンネルに対応するスピーカを駆動することにより、臨場感のある音楽の再生が可能になる。
特開2005−86486号公報(第7−12頁、図1−4)
ところで、特許文献1に開示されたオーディオ装置で用いられるディスクリートフォーマットのオーディオデータは、オーディオ音を出力する音響空間やオーディオ音の聴取位置によっては各チャンネルのオーディオ音がまとまってしまい、出力されたオーディオ音に広がりがなくなるという問題があった。例えば、車室内において5.1chのオーディオ装置を設置した場合を考えると、リア側の左右のスピーカから出力されるオーディオ音はフロント側の左右のスピーカから出力されるオーディオ音に比べると補助的に用いられるものであって、室内等での再生を考慮したオーディオデータの場合に特に広がり感を表現することが難しい。また、車室内では、運転席や運転席と助手席の間等に理想的な聴取位置が設定されているものとすると、後部座席の搭乗者にとってはフロント側の左右のスピーカやセンタースピーカからの距離が遠くなりすぎて、リア側の左右のスピーカから出力されるオーディオ音のみが強調されて不自然なオーディオ音となる。このような現象はディスクリートフォーマットのオーディオデータの場合に特に顕著になる。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、オーディオ音に広がり感を出すことができるとともにオーディオ音が不自然になることを防止することができるオーディオ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明のオーディオ装置は、入力されたディスクリートフォーマットのオーディオデータに対してデコード処理を行うことにより、少なくともフロント左右に対応するL信号およびR信号と、リア左右に対応するLS信号およびRS信号を復号化するデコード処理手段と、デコード処理手段から出力されたLS信号とRS信号とが入力され、RS信号の中のLS信号と相関の高い成分を抽出してLS信号から差し引くことにより第1のサラウンド信号を生成する第1のサラウンド信号生成手段と、LS信号の中のRS信号と相関の高い成分を抽出してRS信号から差し引くことにより第2のサラウンド信号を生成する第2のサラウンド信号生成手段とを備え、第1のサラウンド信号生成手段は、適応アルゴリズムを用いて適応フィルタのフィルタ係数を更新することにより、RS信号の中のLS信号と相関の高い成分の抽出を行い、第2のサラウンド信号生成手段は、適応アルゴリズムを用いて適応フィルタのフィルタ係数を更新することにより、LS信号の中のRS信号と相関の高い成分の抽出を行っている。これにより、ディスクリートフォーマットのリア側の左右のスピーカからLS信号とRS信号よりも互いの相関の低いオーディオ音を出力することが可能になり、広がり感を出すことができる。
また、上述した第1および第2のサラウンド信号生成手段を複数組備え、適応アルゴリズムを用いてフィルタ係数の更新を行う際に用いられるステップサイズパラメータμの値を複数組の各組において異ならせている。これにより、ディスクリートフォーマットのオーディオデータに含まれるチャンネルよりも多いチャンネル数のオーディオ音を生成することが可能になり、例えば、5.1chのオーディオシステムから7.1chのオーディオシステムなどへの拡張が容易となる。
また、上述した複数組の第1および第2のサラウンド信号生成手段には、それぞれから出力されるサラウンド信号を出力するサラウンドスピーカが接続されており、サラウンドスピーカの設置位置の並びの順番に対応させて、ステップサイズパラメータμの値を一方向に変化させることが望ましい。これにより、複数組のサラウンドスピーカを備える場合に、その配置に対応させて異なる音響効果を有するサラウンド音を出力することが可能になり、サラウンドスピーカを追加することによって音響空間に変化を持たせることができる。
また、上述したサラウンドスピーカに対応するステップサイズパラメータμの値を、L信号およびR信号のそれぞれを出力するスピーカから遠ざかるにしたがって大きな値に設定することが望ましい。これにより、サラウンドスピーカの配置と関連づけたサラウンド信号の生成が可能になり、オーディオ音全体が不自然になることをを防止することができる。
また、上述したLS信号に対して所定レベルのL信号を加算する第1の補正手段と、RS信号に対して所定レベルのR信号を加算する第2の補正手段とをさらに備え、第1および第2のサラウンド信号生成手段のそれぞれに入力するLS信号およびRS信号に代えて、第1および第2の補正手段による加算後の信号を入力することが望ましい。これにより、聴取位置がリア側のスピーカに近い場合などでも、LS信号やRS信号のみが強調されることがなく、リア側のオーディオ音にL信号やR信号を適度に含ませることにより、オーディオ音が不自然になることを防止することができる。
また、上述したデコード処理手段は、センターに対応するC信号を復号化して出力し、LS信号に対して所定レベルのL信号およびC信号を加算する第3の補正手段と、RS信号に対して所定レベルのR信号およびC信号を加算する第4の補正手段とをさらに備え、第1および第2のサラウンド信号生成手段のそれぞれに入力するLS信号およびRS信号に代えて、第3および第4の補正手段による加算後の信号を入力することが望ましい。これにより、聴取位置がリア側のスピーカに近い場合などでも、LS信号やRS信号のみが強調されることがなく、リア側のオーディオ音にL信号、R信号、C信号を適度に含ませることにより、オーディオ音が不自然になることを防止することができる。
以下、本発明を適用した一実施形態のオーディオ装置について、図面を参照しながら説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態のオーディオ装置の構成を示す図である。図1に示すオーディオ装置は、車両に搭載されており、デコード処理部100、オーディオ信号生成部200、オーディオ信号処理部300、8個(7.1ch)のスピーカ310、314、320、322、330、332、340、342を含んで構成されている。
デコード処理部100は、所定のチャンネル成分を有する符号化されたディスクリートフォーマットのオーディオデータが入力され、このオーディオデータをデコード処理する。
図2は、図1に示したデコード処理部100に入力されるオーディオデータのフォーマットを示す図であり、例えばドルビーデジタルに対応したフォーマットが示されている。図2に示すように、ドルビーデジタルのフォーマットを有するオーディオデータは、同期フレームの集まりとして構成されている。これらの各同期フレームは、「同期情報」、「ビットストリーム情報」、「オーディオ・ブロック」、「オグジャリデータ」、「CRC」によって構成されている。この中で、「ビットストリーム情報」は、オーディオデータのデータ属性情報を示すヘッダ情報である。「オーディオ・ブロック」には、ビットストリーム情報内のオーディオコーディングモードで示された複数チャンネル分のオーディオ成分に対応する符号化されたオーディオデータが含まれてる。例えば、5.1chのオーディオデータが含まれているものとすると、デコード処理部100によってこれら各チャンネルのオーディオデータに対してデコード処理が行われ、C信号、L信号、R信号、LS信号、RS信号、LFE信号が出力される。
オーディオ信号生成部200は、デコード処理部100から出力された5.1chの信号から7.1chの信号を生成する。このために、オーディオ信号生成部200は、SL信号生成部20、SR信号生成部30、BL信号生成部40、BR信号生成部50を備えている。SL信号生成部20は、デコード処理部100から出力されるLS信号およびRS信号を用いてサラウンドL信号(SL信号)を生成する。SR信号生成部30は、デコード処理部100から出力されるLS信号およびRS信号を用いてサラウンドR信号(SR信号)を生成する。BL信号生成部40は、デコード処理部100から出力されるLS信号およびRS信号を用いてバックL信号(BL信号)を生成する。BR信号生成部50は、デコード処理部100から出力されるLS信号およびRS信号を用いてバックR信号(BR信号)を生成する。これら各構成部の詳細については後述する。
オーディオ信号処理部300は、オーディオ信号生成部200から出力される7.1chのオーディオデータに対して各種の信号処理を行う。各種の信号処理には、ダウンミックス処理、ベースマネジメント処理、ディレイ処理、スピーカレベル調整処理等が含まれている。オーディオ信号処理部300から出力されるC信号、L信号、R信号、SL信号、SR信号、BL信号、BR信号、LFE信号のそれぞれは、センタースピーカとしてのスピーカ310、フロントLスピーカとしてのスピーカ320、フロントRスピーカとしてのスピーカ322、サラウンドLスピーカとしてのスピーカ330、サラウンドRスピーカとしてのスピーカ332、バックLスピーカとしてのスピーカ340、バックRスピーカとしてのスピーカ342、サブウーハースピーカとしてのスピーカ314から出力される。なお、オーディオ信号処理部300と各スピーカとの間には、オーディオ信号処理部300から出力されるデジタルのオーディオデータをアナログ信号に変換するデジタル−アナログ変換器と、このデジタル−アナログ変換器から出力されるアナログ信号に基づいてスピーカ310等を駆動するアンプ等が実際には接続されているが、図1ではこれらの構成は省略されている。
次に、オーディオ信号生成部200に備わった各構成部の詳細について説明する。図3は、SL信号生成部20およびSR信号生成部30の詳細構成を示す図である。図3に示すように、SL信号生成部20は、FIRフィルタ21、適応フィルタ(ADF)22、加算部23、LMSアルゴリズム処理部24を備えている。FIRフィルタ21は、遅延回路(遅延手段)として用いられており、入力されるLS信号をタップ数(例えば32タップ)に応じた時間だけ遅延して出力する。適応フィルタ22は、FIRフィルタと同じ構成を有しており、入力されるRS信号に対して所定のタップ係数Wを乗算して出力する。加算部23は、加算手段であって、FIRフィルタ21から出力されるLS信号から適応フィルタ22から出力される信号を減算し、エラー信号eを出力する。LMSアルゴリズム処理部24は、LMSアルゴリズム処理手段であって、LMSアルゴリズムを用いて、加算部23から出力されるエラー信号eのパワーが最小となるように適応フィルタ22のフィルタ係数を可変する。また、加算部23から出力されるエラー信号eは、そのままサラウンドL信号(SL信号)として取り出される。
図4は、適応フィルタ22の詳細構成を示す図である。図4に示すように、適応フィルタ22は、複数の遅延素子221と、それぞれの遅延素子221に保持された信号に対して可変のフィルタ係数を乗算する乗算部222と、それぞれの乗算部222の出力を加算する加算部223とを備えている。複数の乗算部222のそれぞれのフィルタ係数(乗数)の値は、LMSアルゴリズム処理部24によって更新される。
LMSアルゴリズム処理部24は、加算部23から出力されるエラー信号eのパワーが最小となるように適応フィルタ22のフィルタ係数の値を更新しており、適応フィルタ22では入力されたRS信号の成分の内のLS信号と相関の高い成分を抽出するようにフィルタ係数の値が更新される。すなわち、LMSアルゴリズム処理部24には、RS信号と加算部23から出力されるエラー信号eとが入力されており、これらのRS信号とエラー信号eがLMSアルゴリズムによって処理されることにより、LMSアルゴリズム処理部24から適応フィルタ22内の各乗算部222に対してフィルタ係数の更新指令が出力され、各遅延素子221に保持された信号に重畳されるフィルタ係数の値が変更される。
このように、適応フィルタ22によってRS信号の中のLS信号と相関の高い成分が抽出され、この成分が加算部23によってLS信号から減算されている。したがって、加算部23から出力されるエラー信号eは、LS信号の中でRS信号と相関の高くない成分のみが含まれることになり、これをサラウンドL信号として用いている。
ところで、LMSアルゴリズムは、瞬時自乗誤差を評価量としたアルゴリズムであり、LMSアルゴリズム処理部24は、以下の式にしたがってフィルタ係数Wの値を更新する。
W(n+1)=W(n)+2μ・e(n)・RS(n) …(1)
ここで、μはステップサイズパラメータであり、この値を大きく設定することによりフィルタ係数Wの収束が速くなり、反対にこの値を小さく設定することによりフィルタ係数Wの収束が遅くなる。
SR信号生成部30についても同様である。すなわち、SR信号生成部30は、FIRフィルタ31、適応フィルタ(ADF)32、加算部33、LMSアルゴリズム処理部34を備えている。FIRフィルタ31は、遅延回路として用いられており、入力されるRS信号をタップ数(例えば32タップ)に応じた時間だけ遅延して出力する。適応フィルタ32は、FIRフィルタと同じ構成を有しており、入力されるLS信号に対して所定のタップ係数Wを乗算して出力する。加算部33は、FIRフィルタ31から出力されるRS信号から適応フィルタ32から出力される信号を減算し、エラー信号eを出力する。LMSアルゴリズム処理部34は、LMSアルゴリズムを用いて、加算部33から出力されるエラー信号eのパワーが最小となるように適応フィルタ32のフィルタ係数を可変する。また、加算部33から出力されるエラー信号eは、そのままサラウンドR信号(SR信号)として取り出され、スピーカ332から出力される。
LMSアルゴリズム処理部34は、加算部33から出力されるエラー信号eのパワーが最小となるように適応フィルタ32のフィルタ係数の値を更新しており、適応フィルタ32では入力されたLS信号の成分の内のRS信号と相関の高い成分を抽出するようにフィルタ係数の値が更新される。すなわち、LMSアルゴリズム処理部34には、LS信号と加算部33から出力されるエラー信号eとが入力されており、これらのLS信号とエラー信号eがLMSアルゴリズムによって処理されることにより、LMSアルゴリズム処理部34から適応フィルタ32内の各乗算部に対してフィルタ係数の更新指令が出力され、各遅延素子に保持された信号に重畳されるフィルタ係数の値が変更される。
このように、適応フィルタ32によってLS信号の中のRS信号と相関の高い成分が抽出され、この成分が加算部33によってLS信号から減算されている。したがって、加算部33から出力されるエラー信号eは、RS信号の中でLS信号と相関の高くない成分のみが含まれることになり、これをサラウンドR信号として用いている。
ところで、LMSアルゴリズムは、瞬時自乗誤差を評価量としたアルゴリズムであり、LMSアルゴリズム処理部34は、以下の式にしたがってフィルタ係数Wの値を更新する。
W(n+1)=W(n)+2μ・e(n)・LS(n) …(2)
ここで、μはステップサイズパラメータであり、この値を大きく設定することによりフィルタ係数Wの収束が速くなり、反対にこの値を小さく設定することによりフィルタ係数Wの収束が遅くなる。
図5は、BL信号生成部40およびBR信号生成部50の詳細構成を示す図である。図5に示すように、BL信号生成部40は、FIRフィルタ41、適応フィルタ(ADF)42、加算部43、LMSアルゴリズム処理部44を備えている。また、BR信号生成部50は、FIRフィルタ51、適応フィルタ(ADF)52、加算部53、LMSアルゴリズム処理部54を備えている。BL信号生成部40、BR信号生成部50の各動作は、SL信号生成部20、SR信号生成部30と基本的に同じであり、以下では、相違点について説明を行う。
SL信号生成部20内のLMSアルゴリズム処理部24あるいはSR信号生成部30内のLMSアルゴリズム処理部34においてフィルタ係数の更新を行うために用いられるステップサイズパラメータμの値をμ1 とする。また、BL信号生成部40内のLMSアルゴリズム処理部44あるいはBR信号生成部50内のLMSアルゴリズム処理部54においてフィルタ係数の更新を行うために用いられるステップサイズパラメータμの値をμ2 とする。本実施形態では、SL信号生成部20およびSR信号生成部30において用いられるステップサイズパラメータμ1 とBL信号生成部40およびBR信号生成部50において用いられるステップサイズパラメータμ2 とが異なる値に設定されている。具体的に対応するスピーカ330、332、340、342がL信号およびR信号のそれぞれを出力するスピーカ320、322から遠ざかるにしたがってステップサイズパラメータμの値が大きくなるように、すなわち、μ1 <μ2 の関係を満たすように設定されている。
上述したデコード処理部100がデコード処理手段に、SL信号生成部20、BL信号生成部40が第1のサラウンド信号生成手段に、SR信号生成部30、BR信号生成部50が第2のサラウンド信号生成手段にそれぞれ対応する。
上述したように、SL信号生成部20から出力されるサラウンドL信号は、LS信号の中でRS信号と相関の高くない成分を主に含んでいる。同様に、SR信号生成部30から出力されるサラウンドR信号は、RS信号の中でLS信号と相関の高くない成分を主に含んでいる。したがって、SL信号生成部20とSR信号生成部30を用いることにより、入力されるLS信号とRS信号に対して互いに相関の高くないサラウンドL信号とサラウンドR信号を生成することができ、出力されるオーディオ音に広がりを持たせることが可能になる。
また、SL信号生成部20における適応フィルタ22等のフィルタ係数更新に用いられるステップサイズパラメータμの値を、SL信号生成部20、SR信号生成部30の組とBL信号生成部40、BR信号生成部50の組とで異ならせることにより、サラウンド信号の広がりを調整することができるため、サラウンド効果が異なる2組のサラウンド信号(サラウンドL信号とサラウンドR信号の組とバックL信号とバックR信号の組)を生成することができるため、5.1chから7.1chのシステムに拡張することが容易となる。特に、ステップサイズパラメータμの値を、L信号およびR信号のそれぞれを出力するスピーカ320、322から遠ざかるにしたがって大きな値に設定することにより、サラウンドスピーカの配置と関連づけたサラウンド信号の生成が可能になり、オーディオ音全体が不自然になることをを防止することができる。
〔第2の実施形態〕
図6は、第2の実施形態のオーディオ装置の構成を示す図である。図6に示すオーディオ装置は、図1に示したオーディオ信号生成部200をオーディオ信号生成部200Aに置き換えた構成を有している。このオーディオ信号生成部200Aは、オーディオ信号生成部200に対して、加算部60、70、アンプ61、62、71、72を追加した点が異なっている。
本実施形態では、デコード処理部100から出力されるLS信号をSL信号生成部20とBL信号生成部40に直接入力せずに、LS信号に対して所定レベル(例えば小レベル)のL信号を加算した後にSL信号生成部20とBL信号生成部40に入力している。具体的には、加算部60によって、アンプ61、62によってゲイン調整された後のLS信号とL信号とを加算する。例えば、LS信号が80%、L信号が20%の割合で加算される。そして、加算後の信号がSL信号生成部20とBL信号生成部40に入力される。
また、デコード処理部100から出力されるRS信号をSR信号生成部30とBR信号生成部50に直接入力せずに、RS信号に対して所定レベル(例えば小レベル)のR信号を加算した後にSR信号生成部30とBR信号生成部50に入力している。具体的には、加算部70によって、アンプ71、72によってゲイン調整された後のRS信号とR信号とを加算する。例えば、RS信号が80%、R信号が20%の割合で加算される。そして、加算後の信号がSR信号生成部30とBR信号生成部50に入力される。上述した加算部60、アンプ61、62が第1の補正手段に、加算部70、アンプ71、72が第2の補正手段にそれぞれ対応する。
このように、LS信号に対して小レベルのL信号を加算するとともに、RS信号に対して小レベルのR信号を加算することにより、聴取位置がリア側のスピーカ330、332、340、342に近い場合などでも、LS信号やRS信号のみが強調されることがなく、リア側のオーディオ音にL信号やR信号を適度に含ませることにより、オーディオ音が不自然になることを防止することができる。
〔第3の実施形態〕
図7は、第3の実施形態のオーディオ装置の構成を示す図である。図7に示すオーディオ装置は、図1に示したオーディオ信号生成部200をオーディオ信号生成部200Bに置き換えた構成を有している。このオーディオ信号生成部200Bは、オーディオ信号生成部200に対して、加算部80、90、アンプ81、82、83、91、92、93を追加した点が異なっている。
本実施形態では、デコード処理部100から出力されるLS信号をSL信号生成部20とBL信号生成部40に直接入力せずに、LS信号に対して所定レベル(例えば小レベル)のL信号とC信号を加算した後にSL信号生成部20とBL信号生成部40に入力している。具体的には、加算部80によって、アンプ81、82、83によってゲイン調整された後のLS信号、L信号、C信号を加算する。例えば、LS信号が80%、L信号が15%、C信号が5%の割合で加算される。そして、加算後の信号がSL信号生成部20とBL信号生成部40に入力される。
また、デコード処理部100から出力されるRS信号をSR信号生成部30とBR信号生成部50に直接入力せずに、RS信号に対して所定レベル(例えば小レベル)のR信号とC信号を加算した後にSR信号生成部30とBR信号生成部50に入力している。具体的には、加算部90によって、アンプ91、92、92によってゲイン調整された後のLR信号、R信号、C信号を加算する。例えば、RS信号が80%、R信号が15%、C信号が5%の割合で加算される。そして、加算後の信号がSR信号生成部30とBR信号生成部50に入力される。上述した加算部80、アンプ81、82、83が第3の補正手段に、加算部90、アンプ91、92、93が第4の補正手段にそれぞれ対応する。
このように、LS信号に対して小レベルのL信号、C信号を加算するとともに、RS信号に対して方レベルのR信号、C信号を加算することにより、聴取位置がリア側のスピーカ330、332、340、342に近い場合などでも、LS信号やRS信号のみが強調されることがなく、リア側のオーディオ音にL信号、R信号、C信号を適度に含ませることにより、オーディオ音が不自然になることを防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した各実施形態は、5.1chのサラウンドシステムを7.1chのサラウンドシステムに拡張するオーディオ装置について説明したが、チャンネル数を増加させずに5.1chのサラウンドシステムを維持するようにしてもよい。この場合には、BL信号生成部40、BR信号生成部50をオーディオ信号生成部200から削除すればよい。
また、上述した各実施形態では、2組のサラウンド音(SL信号、SR信号の組とBL信号、BR信号の組)を生成したが、3組以上のサラウンド音を生成するようにしてもよい。この場合には、追加する組のサラウンド音を生成するために、ステップサイズパラメータの値を変更したサラウンド信号生成回路を追加すればよい。
第1の実施形態のオーディオ装置の構成を示す図である。 図1に示したデコード処理部に入力されるオーディオデータのフォーマットを示す図である。 SL信号生成部およびSR信号生成部の詳細構成を示す図である。 適応フィルタの詳細構成を示す図である。 BL信号生成部およびBR信号生成部の詳細構成を示す図である。 第2の実施形態のオーディオ装置の構成を示す図である。 第3の実施形態のオーディオ装置の構成を示す図である。
符号の説明
20 SL信号生成部
30 SR信号生成部
40 BL信号生成部
50 BR信号生成部
100 デコード処理部
200 オーディオ信号生成部
300 オーディオ信号処理部
310、314、320、322、330、332、340、342 スピーカ

Claims (5)

  1. 入力されたディスクリートフォーマットのオーディオデータに対してデコード処理を行うことにより、少なくともフロント左右に対応するL信号およびR信号と、リア左右に対応するLS信号およびRS信号を復号化するデコード処理手段と、
    前記デコード処理手段から出力された前記LS信号と前記RS信号とが入力され、前記RS信号の中の前記LS信号と相関の高い成分を抽出して前記LS信号から差し引くことにより第1のサラウンド信号を生成する第1のサラウンド信号生成手段と、
    前記LS信号の中の前記RS信号と相関の高い成分を抽出して前記RS信号から差し引くことにより第2のサラウンド信号を生成する第2のサラウンド信号生成手段と、
    を備え、前記第1のサラウンド信号生成手段は、適応アルゴリズムを用いて適応フィルタのフィルタ係数を更新することにより、前記RS信号の中の前記LS信号と相関の高い成分の抽出を行い、前記第2のサラウンド信号生成手段は、適応アルゴリズムを用いて適応フィルタのフィルタ係数を更新することにより、前記LS信号の中の前記RS信号と相関の高い成分の抽出を行い、
    前記第1および第2のサラウンド信号生成手段を複数組備え、前記適応アルゴリズムを用いて前記フィルタ係数の更新を行う際に用いられるステップサイズパラメータμの値を前記複数組の各組において異ならせることを特徴とするオーディオ装置。
  2. 請求項1において、
    前記複数組の第1および第2のサラウンド信号生成手段には、それぞれから出力されるサラウンド信号を出力するサラウンドスピーカが接続されており、
    前記サラウンドスピーカの設置位置の並びの順番に対応させて、前記ステップサイズパラメータμの値を一方向に変化させることを特徴とするオーディオ装置。
  3. 請求項2において、
    前記サラウンドスピーカに対応する前記ステップサイズパラメータμの値を、前記L信号および前記R信号のそれぞれを出力するスピーカから遠ざかるにしたがって大きな値に設定することを特徴とするオーディオ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記LS信号に対して所定レベルの前記L信号を加算する第1の補正手段と、
    前記RS信号に対して所定レベルの前記R信号を加算する第2の補正手段と、
    をさらに備え、前記第1および第2のサラウンド信号生成手段のそれぞれに入力する前記LS信号および前記RS信号に代えて、前記第1および第2の補正手段による加算後の信号を入力することを特徴とするオーディオ装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記デコード処理手段は、センターに対応するC信号を復号化して出力し、
    前記LS信号に対して所定レベルの前記L信号および前記C信号を加算する第3の補正手段と、
    前記RS信号に対して所定レベルの前記R信号および前記C信号を加算する第4の補正手段と、
    をさらに備え、前記第1および第2のサラウンド信号生成手段のそれぞれに入力する前記LS信号および前記RS信号に代えて、前記第3および第4の補正手段による加算後の信号を入力することを特徴とするオーディオ装置。
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