JP4402493B2 - 車両用ドア開確保装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両へ衝突エネルギーが作用した後であっても、フロントドアやリヤドアを確実に開くことができるようにした、すなわち開扉性を確保した車両用ドア開確保装置の改良技術に関する。
例えば、車両に対して前方から衝突エネルギーが作用すると、衝突エネルギーの大きさに応じてフロントドアは後退し得る。これに対し、後退したフロントドアの後端部がリヤドアの前端部に噛み込むことを規制することにより、フロントドアやリヤドアの開扉性を確保するようにした、車両用ドア開確保装置が各種知られている(例えば、特許文献1−2参照。)。
特開平6−234325号公報(図1−2、図7) 特開平10−152069号公報(図1−2)
従来の車両用ドア開確保装置の例として、特許文献1〜2を次の図13に基づき説明する。図13(a)〜(c)は従来の車両用ドア開確保装置の模式図である。(a)は従来の車両を側方から見た構成を示す。(b)は特許文献1の車両用ドア開確保装置の概略の断面構成を示し、(a)のb−b線断面に対応させて表したものである。(c)は特許文献2の車両用ドア開確保装置の概略の断面構成を示し、(a)のb−b線断面に対応させて表したものである。
図13(a),(b)に示す車両用ドア開確保装置200(第1の従来技術)は、車両201において、フロントドア202の後端面202aにリヤドア203の前端面203aを対向させ、リヤドア203の前端部204をドアヒンジ205にてセンタピラー206の外側面206aに開閉自在に取付け、ドアヒンジ205のうち、センタピラー206に取付けたヒンジアーム207の前端を外側へ折り返し、その折り返し部208をフロントドア202の後端面202aに一定の隙間209を有して対向させたものである。
車両用ドア開確保装置200においては、車両201の前面201aに前方から大きい衝突エネルギーENが作用することで、フロントドア202は後方へ変形するとともに変位する。この結果、後端面202aは折り返し部208に当たる。折り返し部208は、フロントドア202の後端部211がリヤドア203の前端部204に噛み込むことを規制することになる。
一方、図13(a),(c)に示す第2の従来技術における車両201において、フロントドア301の後端部302は、内側面303から外側方へ延びる後面部304と、後面部304から後方へ延びる段差面部305と、段差面部305から更に外側方へ延びる後端面部306とからなる、平面視略L字状の部分である。
図13(c)に示す車両用ドア開確保装置300(第2の従来技術)は、段差面部305をセンタピラー311の外側面311aに被せ、センタピラー311のコーナ部312には後面部304並びに段差面部305へ向かってスイングするシーソー部材313を取付けた構成である。
車両用ドア開確保装置300においては、車両201の前面201aに前方から大きい衝突エネルギーENが作用することで、フロントドア301は後方へ変位する。フロントドア301の後面部304はシーソー部材313の前方腕部314を押す。シーソー部材313はスイングして、想像線にて示すように側方腕部315で段差面部305を外側方へ押し出す。この結果、フロントドア301の後端部302は、リヤドア321の前端部322よりも車幅方向の外寄りに開く。このようにして、フロントドア301の後端部302がリヤドア321の前端部322に噛み込むことを規制することができる。
ところで、図13(a)に示す車両201に対して、衝突エネルギーENが作用する位置や衝突エネルギーENの大きさは、一様ではない。このため、上記図13(b)に示すフロントドア202、リヤドア203、センタピラー206の各変形量や各変位量は、互いに大きく異なることが多い。例えば、フロントドア202の後端部211の一部だけが後方へ局部的に大きく変形、又は、センタピラー206が後方へ大きく変形することもあり得る。
このような場合であっても、図13(b)に示す車両用ドア開確保装置200においては、フロントドア202とリヤドア203との噛み込を十分に規制できることが求められる。車両201へ衝突エネルギーENが作用した後に、フロントドア202やリヤドア203を、より確実に開くことができるようにするには、更なる改良の余地がある。
上記図13(c)に示す車両用ドア開確保装置300についても同様である。
本発明は、車両へ衝突エネルギーが作用した後に、フロントドアやリヤドアを、より確実に開くことができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車両と衝突する衝突物を予知したときに予知信号を発する衝突予知手段と、車両のフロントドアを車体にロックするドアロック機構とを備え、このドアロック機構は、センタピラーの前面から前方へ延びるストライカと、このストライカにロックするべくフロントドアの後面部に取付けられたラッチ機構とからなり、このラッチ機構は、ストライカに対してロック・アンロックする方向に回転する略円盤状のラッチと、このラッチを回転可能に支持する第1の支軸と、ラッチに掛け止める掛止部材と、この掛止部材を回転可能に支持する第2の支軸とを備え、ラッチの外周面には、ストライカにロックする略U字状のロック溝と、ストライカに完全ロック状態のときに掛止部材を掛け止める第1止め段部と、ストライカに半ロック状態のときに掛止部材を掛け止める第2止め段部とが形成され、予知信号に応じてロントドアを全閉から一定量だけ開方向に変位させるべく、掛止部材を第2止め段部に掛けるドア半開駆動手段を備えた車両用ドア開確保装置である。
請求項2に係る発明は、衝突予知手段が、衝突物から車両へ作用する衝突エネルギーによって、フロントドアに所定の過大な変形や変位が発生し得ると推測したときに予知信号を発するように構成したことを特徴とする。
ここで、「フロントドアに所定の過大な変形や変位が発生し得る」とは、例えば、フロントドアとリヤドアとが噛み込む程度の変形や変位が発生し得ることや、フロントドアの交換が必要な程度の変形や変位が発生し得ることである。
請求項3に係る発明は、フロントドアは、後端部において内部にドア閉規制手段を備え、このドア閉規制手段は、前記ドア半開駆動手段によって開いたフロントドアの後端部が閉方向へ変位並びに変形することを規制すべく、フロントドアの後端面部から車両の後方へ向かって突出するロックピンからなることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、車両と衝突する衝突物があることを衝突予知手段が予知したときに、その予知信号を受けたドア半開駆動手段が、全閉状態のフロントドアを予め一定量だけ開方向に変位させた半開状態、いわゆる半ドア状態にして、実際に発生し得る衝突に備えることができる。この結果、フロントドアの後端部はリヤドアの前端部よりも車幅方向の外寄りに開くことになる。
その後、車両に作用した衝突エネルギーにより、フロントドアやリヤドアが変位並びに変形した場合であっても、フロントドアの後端部とリヤドアの前端部とが、互いに噛み込むことはない。従って、車両へ衝突エネルギーが作用した後に、フロントドアやリヤドアを、より確実に開くことができる。すなわち、フロントドアやリヤドアの開扉性を、より確実に確保することができる。このため、車両用ドア開確保装置の信頼性を大幅に高めることができる。
さらには、車両用ドア開確保装置は車両に衝突エネルギーが作用する前に、衝突を予知した時点で作動するものである。このため、衝突エネルギーによる衝撃や車体変形の影響が、車両用ドア開確保装置の作動に及ぼす心配は全く無い。従って、車両用ドア開確保装置の信頼性は大幅に高まる。
請求項2に係る発明では、衝突物から車両へ作用する衝突エネルギーによって、フロントドアに所定の過大な変形や変位が発生し得ると推測したときだけ、衝突予知手段から予知信号を発し、ドア半開駆動手段にて全閉状態のフロントドアを半ドア状態にすることができる。例えばバンパを交換する程度で済むような、軽度の衝突エネルギーが車両に作用する場合には、フロントドアを半ドア状態にして衝突に備える必要がなく、不要な作動を抑制することができる。
請求項3に係る発明では、ドア半開駆動手段によって半ドア状態に開かれたフロントドアの後端部が、閉方向に変位並びに変形することを、ドア閉規制手段によって規制することができる。この結果、車両に対して前方、後方、側方のどの方向から衝突エネルギーが作用した場合であっても、フロントドアの後端部とリヤドアの前端部とが互いに噛み込むことを、より効果的に防止することができる。従って、車両へ衝突エネルギーが作用する方向にかかわらず、衝突エネルギーが作用した後のフロントドアやリヤドアの開扉性を、より一層確実に確保することができる。
さらに請求項3に係る発明では、フロントドアの後端部を車幅方向の外寄りに開いた状態で、再び閉方向に変位並びに変形することを、ドア閉規制手段によって規制したので、フロントドアに側方から衝突エネルギーが作用したときに、車幅方向の外寄りに開いた分だけフロントドアを大きく変形させることができる。この結果、側方からの衝撃エネルギーを、より十分に吸収させることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、Upは上側、Dnは下側、CLは車幅中央(車体中心)を示す。
図1は本発明に係る車両用ドア開確保装置を搭載した車両の斜視図である。図2は本発明に係る車両用ドア開確保装置を搭載した車両の模式的側面図である。
図1に示すように車両10は、車体11に開閉可能に取付けた前側のフロントドア20及び後側のリヤドア30を備えた、例えば4ドア式自動車である。フロントドア20は前端部を車体11に上下のヒンジ12,12にて取付け、リヤドア30は前端部を車体11のセンタピラー13に上下のヒンジ14,14にて取付けることになる。
図1及び図2に示すように、車両10は車両用ドア開確保装置40を搭載したことを特徴とする。車両用ドア開確保装置40は、車両10へ衝突エネルギーが作用した後であっても、フロントドア20やリヤドア30を確実に開くことができるようにする、すなわち開扉性を確保する装置である。
このような車両用ドア開確保装置40は、自分の車両10(すなわち自車10)の周囲に存在する接近物を検出する複数の接近物検出手段41〜45と、車両10の走行速度を検出する車速検出手段51と、フロントドア20が半開状態であることを検出する半ドア検出手段55と、各検出手段41〜45,51,55から検出信号を受けて制御信号(予知信号Pr及びドア閉規制信号Cn)を発する制御部56と、制御部56から制御信号を受けて作動するドア半開駆動手段90並びに上下一対のドア閉規制手段100,100とからなる。なお、52はエンジン用スロットルバルブの開度を検出するアクセルセンサである。53,54は車両10に作用した加速度を検出する加速度センサである。
ここで「接近物」とは、自車10に対して接近する物体又は自車10が接近する物体のことを言う。
複数の接近物検出手段41〜45は、例えば超音波センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、可視光線センサ、レーザセンサ、レーダ式センサ、CCD等の撮像システム(カメラシステム)からなる、接近物検出センサである。
複数の接近物検出手段41〜45を詳しく説明する。第1の前方接近物検出手段41は、車両10の前方に存在する接近物を検出するために、車両10の前上部(例えば車室15の前上部)に取付けたセンサである。第2の前方接近物検出手段42は、車両10の前方に存在する接近物を検出するために、車両10の前下部(例えばフロントバンパ16)に取付けたセンサである。後方接近物検出手段43は、車両10の後方に存在する接近物を検出するために、車両10の後部(例えばリヤバンパ17)に取付けたセンサである。第1の側方接近物検出手段44は、車両10の側方に存在する接近物を検出するために、車両10の側部の前側(例えばフロントドア20)に取付けたセンサである。第2の側方接近物検出手段45は、車両10の側方に存在する接近物を検出するために、車両10の側部の後側(例えばリヤドア30)に取付けたセンサである。
図3は図1の3−3線断面図であり、センタピラー13、フロントドア20の後端部21、リヤドア30の前端部31周りの断面構造を示す。
図3に示すように、フロントドア20は、内側のインナパネル22と外側のアウタパネル23とを所定の間隔を有して組み合わせた、周知のドアである。
フロントドア20の後端部21は、インナパネル22をプレス成形することにより平面視略L字状に形成した部分であって、内側面22aの後端から外側方へ延びる後面部24と、後面部24の先端から後方へ延びる段差面部25と、段差面部25の後端から更に外側方へ延びる後端面部26と、後端面部26の先端から後方へ延びるフランジ27とからなる。フランジ27はアウタパネル23の縁と一体化する部分である。
一方、リヤドア30も、内側のインナパネル32と外側のアウタパネル33とを所定の間隔を有して組み合わせた、周知のドアである。
リヤドア30の前端部31は、インナパネル32をプレス成形することにより平面視略L字状に形成した部分であって、内側面32aの前端から外側方へ延びる前面部34と、前面部34の先端から前方へ延びる段差面部35と、段差面部35の前端から更に外側方へ延びる前端面部36と、前端面部36の先端から前方へ延びるフランジ37とからなる。フランジ37はアウタパネル33の縁と一体化する部分である。
センタピラー13を介して、フロントドア20の後面部24とリヤドア30の前面部34とを対向させることにより、フロントドア20の後端部21とリヤドア30の前端部31とは対向し合うことになる。センタピラー13は平面視略矩形状の閉断面体であり、前面13aと後面13bと外側面13cとの3面が、フロントドア20の後端部21及びリヤドア30の前端部31によって覆われる構成である。
センタピラー13の外側面13cにヒンジ14にてリヤドア30の前端面部36を取付けることができる。
フロントドア20の後端部21は、車体11にドアロック機構60にてロックするものである。ドアロック機構60は、センタピラー13の前面13aから前方へ延びるストライカ61と、ストライカ61にロックするためにフロントドア20の後面部24に取付けたラッチ機構71とからなる。ストライカ61は、丸棒を平面視略U字状に折り曲げ形成し、その開放側の先端をセンタピラー13の前面13aへ向けることで、平面視略ループ状にした部材である。
次に、ドアロック機構60の構成について説明する。図4は図3の4−4線断面図であり、ドアロック機構60の要部の構成を示す。
図4に示すようにラッチ機構71は、ストライカ61に対してロック・アンロックする方向に回転するラッチ72と、ラッチ72を回転可能に支持する第1の支持軸73と、ストライカ61に対してラッチ72をアンロックする方向(矢印X1方向)に弾発するラッチ用の弾発部材74と、ラッチ72に掛け止める掛止部材75と、掛止部材75を回転可能に支持する第2の支持軸76と、ラッチ72に対して掛止部材75を掛け止める方向(矢印Y1方向)に弾発する掛止部材用の弾発部材77と、これらの部材71〜77を収納するラッチ用ケース78と、からなる。
各弾発部材74,77は、例えば「ねじりばね」からなる。掛止部材75は、ストライカ61に対するラッチ72のロック状態を維持するためにラッチ72に掛止する施錠保持部材である。この掛止部材75は、解錠作手段81を操作したときには、ラッチ72から外れる方向(矢印Y1方向とは逆方向)に回転するものである。解錠作手段81は、フロントドア20のドアノブ等に備えた周知の機構である。
ラッチ72は略円板状のロック用ディスクであって、その外周面には、ストライカ61にロックする略U字状のロック溝72aと、ストライカ61に完全ロック状態のときに掛止部材75の爪部75aを掛け止める第1止め段部72bと、ストライカ61に半ロック状態のときに掛止部材75の爪部75aを掛け止める第2止め段部72cとを、形成したものである。
ドアロック機構60は上記ドア半開駆動手段90を備える。ドア半開駆動手段90は、フロントドア20を全閉から一定量だけ開方向に、強制的に変位させるものである。このようなドア半開駆動手段90は、ラッチ72に対して掛止部材75を解除する方向(矢印Y1方向とは逆方向)に駆動する半ドア駆動用アクチュエータ91と、半ドア駆動用アクチュエータ91に駆動電力を供給するバッテリ等の電源92と、電源92から半ドア駆動用アクチュエータ91へ電力を供給するハーネス等の電力供給ライン93と、電力供給ライン93を開閉するラッチ作動スイッチ94とからなる。ラッチ作動スイッチ94は、制御部56の予知信号Prによりオン作動する接点常開式スイッチである。
半ドア駆動用アクチュエータ91は、形状記憶効果を有した材料の素子95にて構成したものである。形状記憶効果(shape memory effeect)とは、材料の塑性変化が可逆的で、温度を変えると元の形状に戻る現象のことを言う。すなわち形状記憶効果とは、材料が、ある高温で記憶させた形状を覚えていて、常温で変形を与えていても一定温度以上に加熱すると元の形に戻る特性のことである。このような特性を有する材料としては、例えば形状記憶合金がある。
半ドア駆動用アクチュエータ91は、形状記憶効果を有した材料(以下、「形状記憶材料」と言う。)を用いたものであり、常温でバイアススプリングにより変形させておいた材料を、ある温度以上に加熱することによって、予め記憶処理しておいた元の形状に回復させ、このときの回復力を駆動力として用いる駆動源である。
形状記憶材料の素子95を加熱する加熱方式としては、電源92から素子95へ直接に電力を供給することによって、素子95自体のジュール熱を利用する直接加熱方式を採用した。
本実施例の半ドア駆動用アクチュエータ91の具体的な構成としては、形状記憶材料からなる線状の素子95をコイル状(螺旋状)に巻き、このコイルが収縮した形状を予め記憶処理しておいたものである。素子95は、掛止部材用の弾発部材77により引っ張られることで、伸張した状態でセットされることになる。すなわち、コイル状の素子95は、一端を掛止部材75のスイング端部75bに掛けるとともに、他端をラッチ用ケース78等の固定側に掛けることで、掛止部材75を介して弾発部材77で引っ張られ、伸張した状態にセットされる。素子95を加熱することで、素子95はコイルが収縮した元の形状に回復することになる。
次に、ドアロック機構60及びドア半開駆動手段90の作用について説明する。図5(a)〜(d)は本発明に係るドアロック機構及びドア半開駆動手段の作用図である。
図5(a)は、フロントドア20を閉じる過程を示した図である。ラッチ用の弾発部材74は、ストライカ61に対してラッチ72をアンロック(解錠)する方向、すなわち矢印X1方向に弾発している。一方、掛止部材用の弾発部材77は、ラッチ72に対して掛止部材75を掛け止める方向、すなわち矢印Y1方向に弾発している。ラッチ作動スイッチ94はオフ状態にある。素子95は掛止部材75を介して弾発部材77で引っ張られることで、コイルが伸張した状態にセットされている。
フロントドア20を矢印Z1方向へ移動させて閉じると、ラッチ72はロック溝72aの縁がストライカ61に当たるので、ロック(施錠)する方向、すなわち矢印X2方向へ回る。この結果、図5(b)に示すようにロック溝72aがストライカ61に掛け止まることで、ストライカ61に対してラッチ72は完全にロックする。その直後に、掛止部材用の弾発部材77の弾発力によって、第1止め段部72bに掛止部材75が掛かるので、ラッチ72が矢印X1方向へ回ってアンロックになることはない。
その後、図5(b)に示すように、ドアロック機構60が完全にロック状態にあるとき、ラッチ作動スイッチ94がオンになると、素子95は電源92から電力が供給されて発熱する。素子95は一定以上の高温になることで、予め記憶処理してあった元の収縮したコイル形状に回復し、この結果、回復力を発生する。素子95の回復力、すなわち駆動力は掛止部材用の弾発部材77の弾発力を上回るように設定されている。回復力によって掛止部材75は矢印Y2方向へ回ることで、図5(c)に示すように第1止め段部72bから外れる。この結果、ラッチ72はラッチ用の弾発部材74の弾発力によって矢印X1方向へ回る。
ラッチ72が回ることにより、ロック溝72aの位相も同方向に変位する。ストライカ61が車体に固定されているので、ストライカ61に掛かっているロック溝72aの変位に応じて、ラッチ72は矢印Z2方向へ水平移動する。この結果、ラッチ72を備えたフロントドア20も、ストライカ61から離れる矢印Z2方向へ移動して開く。
ところで、ラッチ作動スイッチ94のオン動作は一時的なものなので、素子95の発熱作用も一時的である。素子95は速やかに低温になることで、初期のコイルが伸張した状態に戻る。ラッチ用の弾発部材74の弾発力によって、掛止部材75は矢印Y1方向に戻る。この結果、矢印X1方向へ回転中のラッチ72の第2止め段部72cに対して、掛止部材75が掛かる。このため、図5(d)に示すようにラッチ72の回転は停止する。ラッチ72が停止したときには、ロック溝72aの開口付近だけがストライカ61に掛かった状態となる。すなわち、ドアロック機構60はハーフロック状態(半施錠状態)になる。
このようにして、フロントドア20の後端部21を全閉状態から一定量SLだけ開方向に変位させることで、フロントドア20を半開状態にすることができる。半ドア検出手段としてのドアスイッチ55(図2参照)は、フロントドア20が半開状態になったことを検出して検出信号、すなわちオンのスイッチ信号を発することになる。
次に、図3、図6及び図7に基づき、ドア閉規制手段100の構成について説明する。なお、ドア閉規制手段100は上記図2に示すように上下2個有るが、同一構成なので一方だけを説明する。
図6は本発明に係るドア閉規制手段の断面図であり、車両の右側方から見たドア閉規制手段100の断面構造を示す。図7は本発明に係るドア閉規制手段の作用図である。
図3に示すようにフロントドア20は、後端部21において内部にドア閉規制手段100を備える。ドア閉規制手段100は、ドア半開駆動手段90によって開いたフロントドア20の後端部21が閉方向へ変位並びに変形することを規制するものであって、例えばアウタパネル23に沿わせて配置し、後端面部26から後方へ向かってロックピン101を突出するようにしたものである。
具体的には、図3及び図4に示すようにドア閉規制手段100は、ケース102にスライド可能に収納するロックピン101と、ロックピン101をケース102から突出する方向(図6の矢印W1方向)に弾発するロックピン用の弾発部材103と、ロックピン101をケース102内に収納状態に掛け止める一対のストッパピン104,104と、ストッパピン104,104をロックピン101に掛け止める方向に弾発するストッパピン用の弾発部材105,105と、ストッパピン104,104をロックピン101から外す方向に駆動するするピン駆動用アクチュエータ111,111と、ピン駆動用アクチュエータ111,111に駆動電力を供給するバッテリ等の電源112と、電源112からピン駆動用アクチュエータ111,111へ電力を供給するハーネス等の電力供給ライン113と、電力供給ライン113を開閉するストッパピン作動スイッチ114とからなる。
ロックピン101の段部101aにストッパピン104,104を掛け止めることで、ロックピン101をケース102内に保持することができる。ロックピン101は後端面部26に開口した貫通孔26aから後方へ突出することができる。ロックピン用の弾発部材103及びストッパピン用の弾発部材105,105は、例えば「圧縮コイルばね」からなる。
ピン駆動用アクチュエータ111,111は、上記素子95(図4参照)と同様に、形状記憶材料の素子115,115にて構成したものである。「形状記憶材料」の定義については既に述べたので、ここでは省略する。形状記憶材料の素子115を加熱する加熱方式としては、直接加熱方式を採用した。
本実施例のピン駆動用アクチュエータ111の具体的な構成としては、形状記憶材料からなる線状の素子115をコイル状(螺旋状)に巻き、このコイルが伸張した形状を予め記憶処理しておいたものである。素子115は、弾発部材105により圧縮されることで、収縮した状態でセットされることになる。すなわち、コイル状の素子115は、ストッパピン104の段部104aとケース102の壁との間に介在させるとともに、段部104aを介して反対側から弾発部材105にて弾発されることで、収縮した状態にセットされる。素子115を加熱することで、素子115はコイルが伸張した元の形状に回復することになる。
ストッパピン作動スイッチ114は、制御部56のドア閉規制信号Cnによりオン作動する接点常開式スイッチである。
次に、ドア閉規制手段100の作用について図6及び図7に基づき説明する。
図6はドア閉規制手段100が非作動状態にあることを示す。ストッパピン作動スイッチ114はオフ状態にある。素子115,115はストッパピン用の弾発部材105,105にて弾発されることで、コイルが収縮した状態にセットされている。ストッパピン用の弾発部材105,105にて弾発されたストッパピン104,104が段部101aに掛かっているので、ロックピン101はケース102内に収納された状態にある。また、ロックピン用の弾発部材103は圧縮された状態にある。
その後、ストッパピン作動スイッチ114がオンになると、素子115,115は電源112から電力が供給されて発熱する。素子115,115は一定以上の高温になることで、予め記憶処理してあった元の伸張したコイル形状に回復し、この結果、回復力を発生する。素子115,115の回復力、すなわち駆動力はストッパピン用の弾発部材105,105の弾発力を上回るように設定されている。回復力によってストッパピン104,104が後退することで、段部101aから外れる。この結果、ロックピン101はロックピン用の弾発部材103の弾発力によって矢印W1方向へ突出する。この状態を図7に示す。
このようにしてドア閉規制手段100は、図7に示すようにロックピン101を後端面部26の貫通孔26aから後方へ突出することができる。
次に、自車10に対する接近物の接近形態について説明する。図8は本発明に係る自車に対する接近物の接近形態を示す模式図であり、実車速(車速)Vaで前進走行している自車10に対して、車両等の接近物Anが車速Vbで接近していることを示す。ここで、各符号Dr,ベクトルVrv,Vr,θp及びXpについては次の通りである。
Dr;自車10と接近物Anとの間の離間距離(相対距離)。
ベクトルVrv;自車10に対する接近物Anの相対速度ベクトル。
Vr;自車10と接近物Anとの相対速度。
θp;自車10の進行方向に対する接近物Anの角度。
Xp;自車10に対する接近物Anの位置であり、座標(x、y)で表す。
なお、相対速度ベクトル(ベクトルVrv)については、図8にも記載した如く次のように記号で表すことができる。
Figure 0004402493
次に、上記構成の制御部56をマイクロコンピュータとした場合の制御フローについて、図2〜図4、図6、図8を参照しつつ図9〜図11に基づき説明する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。
図9は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)である。
ST01;接近物検出手段41〜45から各接近物検出信号を読み込む。
ST02;接近物検出信号が有るか否かを調べ、YESなら接近物Anを検出したのでST03に進み、NOなら自車10の周囲には接近物Anが無いのでST01に戻る。
接近物検出信号は、図2の接近物検出手段41〜45のうち、いずれかの検出可能な範囲に接近物Anが有った場合に、その検出した接近物検出手段(以下、「接近物Anを検出した接近物検出手段」と言う。)が発する信号である。
ST03;自車10と接近物Anとの間の離間距離Dr(相対距離Dr)を計測する。離間距離Drについては、接近物Anを検出した接近物検出手段にて現実の離間距離Drを計測すればよい。
ST04;自車10の実車速Vaを計測する。実車速Vaは、図1の車速検出手段51で現実の車速Vaを計測すればよい。
ST05;実車速Vaに基づいて基準接近距離Dsを求める。基準接近距離Dsは実車速Vaの大きさに応じて大きくなる、例えば比例関係となるように設定されることになる。この基準接近距離Dsについては、予め設定された計算式又はマップで求めればよい。
ST06;離間距離Drが基準接近距離Dsよりも小さい(Dr<Ds)か否かを調べ、YESならST07に進み、NOならST01に戻る。
ST07;自車10と接近物Anとの相対速度ベクトルVrv(ベクトルVrv)を求める。相対速度ベクトルVrvについては、接近物Anを検出した接近物検出手段にて現実の相対速度ベクトルVrvを計測すればよい。例えば、極く微小な一定時間毎に変化する、自車10と接近物Anとの相対的な位置の変化量を計測し、この変化量に基づく演算によって、相対速度ベクトルVrvを求める。
ST08;相対速度ベクトルVrvに基づいて、自車10と接近物Anとの相対速度Vrを求める。相対速度Vrは、相対速度ベクトルVrvの絶対値である。
ST09;自車10の進行方向に対する接近物Anの角度θpを求める。角度θpについては、接近物Anを検出した接近物検出手段にて現実の角度θpを計測すればよい。
ST10;離間距離Dr及び角度θpに基づいて、自車10に対する接近物Anの位置Xpを求める。
ST11;離間距離Dr、実車速Va、相対速度ベクトルVrv、相対速度Vr及び自車10に対する接近物Anの位置Xpに基づいて、自車10と接近物Anとが衝突する可能性を評価する。衝突する可能性の評価については、例えば、予め設定された計算式又はマップによって、評価点Ec等に数値化して求めればよい。この評価点Ecは、例えば10段階評価とし、大きいほど衝突する可能性が大きいとする。
ST12;自車10と接近物Anとが衝突する可能性があるか否かを調べ、YESなら可能性があるとしてST13に進み、NOならST01に戻る。例えば、ST11で得られた評価点Ecが、予め設定された一定の基準評価点Esを超えた(Ec>Es)ときにYESとなる。
ST13;離間距離Dr、相対速度Vr及び実車速Vaに基づいて、自車10と接近物Anとが衝突するまでの予想時間Tr、すなわち予想衝突時間Trを求める。
ST14;予想衝突時間Trが、予め設定された一定の基準衝突時間Tsよりも小さいか(Tr<Ts)否かを調べ、YESなら上記接近物Anが「自車10と衝突する衝突物」であると予知して出結合子A1に進み、NOならST01に戻る。
図10は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)であり、上記図9のST14から出結合子A1及び本図の入結合子A1を経てST21に進んだことを示す。
ST21;相対速度ベクトルVrv(ベクトルVrv)、自車10に対する接近物Anの位置Xp及び予想衝突時間Trに基づいて、自車10のうち、接近物Anが衝突する予想衝突位置Xcを推定する。すなわち、自車10のどの位置(部位)Xcに接近物Anが衝突するかを推定する。
ST22;相対速度ベクトルVrv(ベクトルVrv)、自車10に対する接近物Anの位置Xp及び予想衝突時間Trに基づいて、自車10に対する接近物Anの予想進入角度θcを推定する。すなわち、自車10に接近物Anが衝突するときに、自車10に対して接近物Anが衝突する角度θcを推定する。
ST23;接近物Anの予想衝突位置Xc及び予想進入角度θcに基づいて、基準車速Vs1を求める。フロントドア20の変形や変位に影響を及ぼす程度が大きい、予想衝突位置Xcや予想進入角度θcである程、基準車速Vs1は小さくなるように設定されることになる。この基準車速Vs1については、予め設定された計算式又はマップで求めればよい。
ST24;接近物Anの予想衝突位置Xc及び予想進入角度θcに基づいて、基準相対速度Vs2を求める。フロントドア20の変形や変位に影響を及ぼす程度が大きい、予想衝突位置Xcや予想進入角度θcである程、基準相対速度Vs2は小さくなるように設定されることになる。この基準相対速度Vs2については、予め設定された計算式又はマップで求めればよい。
ST25;接近物Anの予想衝突位置Xc及び予想進入角度θcに基づいて、基準相対加速度αsを求める。フロントドア20の変形や変位に影響を及ぼす程度が大きい、予想衝突位置Xcや予想進入角度θcである程、基準相対加速度αsは小さくなるように設定されることになる。この基準相対加速度αsについては、予め設定された計算式又はマップで求めればよい。
ST26;実車速Vaが基準車速Vs1を超えたか(Va>Vs1)否かを調べ、YESなら自車10と接近物An(衝突物An)とが衝突したときの衝突規模が大きいと判断して出結合子A2に進み、NOならST27に進む。
ここで、「衝突規模が大きい」という判断は、接近物An(衝突物An)から自車10へ作用する衝突エネルギーによって、フロントドア20に所定の過大な変形や変位が発生し得ると推測したことを言う(以下同じ。)。また、「フロントドア20に所定の過大な変形や変位が発生し得る」とは、例えば、フロントドア20とリヤドア30とが噛み込む程度の変形や変位が発生し得ることや、フロントドア20の交換が必要な程度の変形や変位が発生し得ることである。
ST27;相対速度Vrが基準相対速度Vs2を超えたか(Vr>Vs2)否かを調べ、YESなら衝突規模が大きいと判断して出結合子A2に進み、NOならST28に進む。
ST28;相対速度Vrに基づいて自車10と接近物Anとの相対加速度αr、すなわち相対的な加速の程度を求める。相対加速度αrは、例えば、極く微小な一定時間毎の相対速度Vrの変化量に基づく演算によって求めればよい。
ST29;相対加速度αrが基準相対加速度αsを超えたか(αr>αs)否かを調べ、YESなら衝突規模が大きいと判断して出結合子A2に進み、NOなら出結合子A3から図9の入結合子A3を経てST01に戻る。
図11は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)であり、上記図10の出結合子A2から本図の入結合子A2を経てST31に進んだことを示す。
ST31;自車10と衝突する接近物An(衝突物An)が有ることを予知したので、予知信号Prを発してラッチ作動スイッチ94(図4参照)をオンにする。
この結果、図4に示す半ドア駆動用アクチュエータ91によって、ドアロック機構60はハーフロック状態(半施錠状態)になる。フロントドア20は全閉から一定量だけ開方向に変位する。
ST32;半ドア検出手段としてのドアスイッチ55(図2参照)のスイッチ信号を読み込む。
ST33;ドアスイッチ55がオンであるか否かを調べ、YESならフロントドア20が半開状態になったと判断してST34に進み、NOならST31に戻る。
ST34;ラッチ作動スイッチ94をオフにする。
ST35;ドア閉規制信号Cnを発して、ストッパピン作動スイッチ114(図6参照)をオンにした後に、この制御を終了する。
この結果、ピン駆動用アクチュエータ111,111によってストッパピン104,104は引っ込む。ロックピン101はリヤドア30側へ突出する。これで、ドア半開駆動手段90によって開いたフロントドア20の後端部21が、閉方向へ変位並びに変形することを規制する。
ここで、上記図9〜図11に示す制御フローをまとめると、次の通りである。
図9に示すST01〜ST14の集合は、車両10と衝突する接近物An(衝突物An)の有無を予知する衝突予知判断手段121を構成する。
図10に示すST21〜ST29の集合は、接近物An(衝突物An)から車両10へ作用する衝突エネルギーによって、フロントドア20に所定の過大な変形や変位が発生し得るか否かを推測する、過大変形推測手段122を構成する。ST26、ST27又はST29がYESの判断のときに、フロントドア20に所定の過大な変形や変位が発生し得ると推測することになる。
図11に示すST31及びST34の集合は、予知信号Prを発する予知信号出力手段123を構成する。
これらの衝突予知判断手段121と過大変形推測手段122と予知信号出力手段123の集合は、車両10と衝突する接近物An(衝突物An)を予知したときに予知信号Prを発する衝突予知手段120を構成する。
図11に示すST32、ST33及びST35の集合は、フロントドア20が半開状態になったときにドア閉規制信号Cnを発する、ドア閉規制信号手段131を構成する。
次に、上記構成の車両用ドア開確保装置40の全体的な作用について説明する。図12(a)〜(c)は本発明に係る車両用ドア開確保装置の作用図である。
図12(a)は、フロントドア20及びリヤドア30が完全に全閉状態にあることを示す。制御部56の衝突予知手段120は、自車10(図1参照)と衝突する衝突物が有ることを予知したときに予知信号Prを発する。ドア半開駆動手段90は予知信号Prを受けて、フロントドア20を全閉から一定量だけ開方向(矢印Z2方向)に変位させる。
この結果、図12(b)に示すようにフロントドア20は、一定量SLだけ開いた半開状態になる。このとき、半ドア検出手段としてのドアスイッチ55は、フロントドア20が半開状態になったことを検出して検出信号Hoを発する。制御部56のドア閉規制信号手段131は検出信号Hoを受けて、ドア閉規制信号Cnを発する。ドア閉規制手段100はドア閉規制信号Cnを受けて、ロックピン101を後方へ突出させる。
この結果、図12(c)に示すように、半開状態におけるフロントドア20の後端部21から突出したロックピン101は、リヤドア30の前端部31における外側面31aに沿って伸びる。その後、半開状態のフロントドア20に対して閉じる方向の衝撃エネルギーEnしても、ロックピン101を介してリヤドア30が支えるので、フロントドア20の後端部21が閉方向へ変位並びに変形することはない。
以上の説明をまとめて述べると次の通りである。
図1及び図12に示すように、車両用ドア開確保装置40は、車両10と衝突する衝突物An(図8参照)があることを制御部56の衝突予知手段120が予知したときに、その予知信号Prを受けたドア半開駆動手段90が、全閉状態のフロントドア20を予め一定量SLだけ開方向に変位させた半開状態、いわゆる半ドア状態にして、実際に発生し得る衝突に備えることができる。この結果、フロントドア20の後端部21はリヤドア30の前端部31よりも車幅方向の外寄りに開くことになる。
その後、車両10に作用した衝突エネルギーにより、フロントドア20やリヤドア30が変位並びに変形した場合であっても、フロントドア20の後端部21とリヤドア30の前端部31とが、互いに噛み込むことはない。従って、車両10へ衝突エネルギーが作用した後に、フロントドア20やリヤドア30を、より確実に開くことができる。すなわち、フロントドア20やリヤドア30の開扉性を、より確実に確保することができる。このため、車両用ドア開確保装置40の信頼性を大幅に高めることができる。
さらには、車両用ドア開確保装置40は車両に衝突エネルギーが作用する前に、衝突を予知した時点で作動するものである。このため、衝突エネルギーによる衝撃や車体変形の影響が、車両用ドア開確保装置40の作動に及ぼす心配は全く無い。従って、車両用ドア開確保装置40の信頼性は大幅に高まる。
さらに車両用ドア開確保装置40は、衝突物Anから車両10へ作用する衝突エネルギーによって、フロントドア20に所定の過大な変形や変位が発生し得ると推測したときだけ、衝突予知手段120から予知信号Prを発し、ドア半開駆動手段90にて全閉状態のフロントドア20を半ドア状態にすることができる。例えばバンパを交換する程度で済むような、軽度の衝突エネルギーが車両10に作用する場合には、フロントドア20を半ドア状態にして衝突に備える必要がなく、不要な作動を抑制することができる。
さらに車両用ドア開確保装置40は、ドア半開駆動手段90によって半ドア状態に開かれたフロントドア20の後端部21が、閉方向に変位並びに変形することを、ドア閉規制手段100によって規制することができる。この結果、車両10に対して前方、後方、側方のどの方向から衝突エネルギーが作用した場合であっても、フロントドア20の後端部21とリヤドア30の前端部31とが互いに噛み込むことを、より効果的に防止することができる。従って、車両10へ衝突エネルギーが作用する方向にかかわらず、衝突エネルギーが作用した後のフロントドア20やリヤドア30の開扉性を、より一層確実に確保することができる。
さらには、フロントドア20の後端部21を車幅方向の外寄りに開いた状態で、再び閉方向に変位並びに変形することを、ドア閉規制手段100によって規制したので、フロントドア20に側方から衝突エネルギーEnが作用したときに、車幅方向の外寄りに開いた一定量SL分だけフロントドア20を大きく変形させることができる。この結果、側方からの衝撃エネルギーEnを、より十分に吸収させることができる。
なお、本発明は実施の形態では、車両用ドア開確保装置40は、自車10に衝突する衝突物(接近物)Anを予知するだけではなく、自車10が衝突する衝突物Anを予知するものを包含する。
また、形状記憶材料の素子95,115を加熱する加熱方式としては、素子95,115の周囲に配置した別部材からなるヒータによって間接的に素子95,115を加熱する間接加熱方式であってもよい。その場合には、電源92,112から各スイッチ94,114を介してヒータに電力を供給すればよい。また、電源92,112は1個で共用してもよい。
また、図2に示すドア閉規制手段100,100の数量は任意である。
また、制御部56に過大変形推測手段122を備えることは任意である。過大変形推測手段122を備えない場合には、図9のST14から出結合子A1及び図11の入結合子A2を経て、ST31に進めばよい。
本発明における車両用ドア開確保装置40は、前部のフロントドア20及び後部のリヤドア30を備えた4ドア式自動車に好適である。
本発明に係る車両用ドア開確保装置を搭載した車両の斜視図である。 本発明に係る車両用ドア開確保装置を搭載した車両の模式的側面図である。 図1の3−3線断面図である。 図3の4−4線断面図である。 本発明に係るドアロック機構及びドア半開駆動手段の作用図である。 本発明に係るドア閉規制手段の断面図である。 本発明に係るドア閉規制手段の作用図である。 本発明に係る自車に対する接近物の接近形態を示す模式図である。 本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)である。 本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)である。 本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)である。 本発明に係る車両用ドア開確保装置の作用図である。 従来の車両用ドア開確保装置の模式図である。
符号の説明
10…車両(自車)、11…車体、13…センタピラー、20…フロントドア、21…フロントドアの後端部、30…リヤドア、31…リヤドアの前端部、40…車両用ドア開確保装置、41〜45…接近物検出手段、55…半ドア検出手段としてのドアスイッチ、56…制御部、60…ドアロック機構、90…ドア半開駆動手段、91…半ドア駆動用アクチュエータ、100…ドア閉規制手段、101…ロックピン、111…ピン駆動用アクチュエータ、120…衝突予知手段、131…ドア閉規制信号手段、An…接近物(衝突物)、Cn…ドア閉規制信号、En…衝突エネルギー、Ho…フロントドアの半開状態の検出信号、Pr…予知信号、SL…全閉からの一定量。

Claims (3)

  1. 車両と衝突する衝突物を予知したときに予知信号を発する衝突予知手段と、前記車両のフロントドアを車体にロックするドアロック機構とを備え、
    このドアロック機構は、センタピラーの前面から前方へ延びるストライカと、このストライカにロックするべく前記フロントドアの後面部に取付けられたラッチ機構とからなり、
    このラッチ機構は、前記ストライカに対してロック・アンロックする方向に回転する略円盤状のラッチと、このラッチを回転可能に支持する第1の支軸と、前記ラッチに掛け止める掛止部材と、この掛止部材を回転可能に支持する第2の支軸とを備え、
    前記ラッチの外周面には、前記ストライカにロックする略U字状のロック溝と、前記ストライカに完全ロック状態のときに前記掛止部材を掛け止める第1止め段部と、前記ストライカに半ロック状態のときに前記掛止部材を掛け止める第2止め段部とが形成され、
    前記予知信号に応じて前記フロントドアを全閉から一定量だけ開方向に変位させるべく、前記掛止部材を前記第2止め段部に掛けるドア半開駆動手段を備えた車両用ドア開確保装置。
  2. 前記衝突予知手段は、前記衝突物から前記車両へ作用する衝突エネルギーによって、前記フロントドアに所定の過大な変形や変位が発生し得ると推測したときに前記予知信号を発するように構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドア開確保装置。
  3. 前記フロントドアは、後端部において内部にドア閉規制手段を備え、
    このドア閉規制手段は、前記ドア半開駆動手段によって開いた前記フロントドアの後端部が閉方向へ変位並びに変形することを規制すべく、前記フロントドアの後端面部から前記車両の後方へ向かって突出するロックピンからなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ドア開確保装置。
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