JP4401668B2 - 脱硫用成形体とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫黄酸化物、例えば、硫黄分を含有する燃料(石炭、コークス、重油など)の燃焼装置(ボイラーなど)から生成する排煙中の硫黄酸化物を除去するのに有用な活性炭素繊維の成形体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、活性炭法による排煙処理として、例えば、特開昭55−8880号公報には、窒素酸化物を含む排ガスを室温〜150℃の温度に調整してアンモニアガスを注入し、活性炭あるいはアルミナに金属酸化物が担持又は混合した触媒からなる触媒層中に通過させ、窒素酸化物の一部を窒素に分解し、他の窒素酸化物を硝酸アンモニウム又は亜硝酸アンモニウムとして前記触媒層で捕集除去し、さらに、窒素ガス又は酸素濃度の低い燃焼ガスに低級炭化水素などを含ませた250〜450℃のガスにより前記触媒を再生するとともに窒素に分解する排ガス処理方法が開示されている。しかし、この方法では、活性炭層を処理ガスが透過流通する際に、過大な圧力損失を生じるため、大きな通風動力を必要とする。そのため、設備の大型化、複雑化ならびに大量の電力消費が避けられない。このような問題は、硫黄酸化物などの有害成分を粒状活性炭やペレット状活性炭の吸着層に透過接触させて吸着除去する方法においても生じる。
【0003】
一方、WO97/01388号公報には、活性炭(活性炭素繊維を含む)を非酸化雰囲気中、600〜1200℃で熱処理し、排ガス処理用活性炭を得ることが開示されている。この文献には、熱処理により得られた活性炭が疎水性の高い表面を有し、従来の活性炭法で必要な触媒再生工程を不要とする排煙脱硫方法に利用できることが記載されている。この方法を実装置で実施するには、圧力損失を低減するため、排煙脱硫用活性炭素繊維をハニカム形状に成形する必要がある。また、排煙脱硫用活性炭素繊維がその脱硫性能を十分に発揮するには、活性炭素繊維表面に適度な水分が供給されること、水分との反応により生成した活性炭素繊維表面の硫酸が速やかに除去されることが要求される。しかし、バインダー繊維と活性炭素繊維とを組み合わせてハニカム状成形体としたとき、バインダー繊維の性状により、活性炭素繊維が疎水性であっても成形体としては親水性になり、水による生成硫酸の除去効率が低下する。逆に、成形体として疎水性が強すぎて活性炭素繊維表面への水分の供給効率が低下すると、活性炭素繊維の脱硫性能も低下する。
【0004】
特開2002−138386号公報には、活性炭繊維と、高融点ポリマーを芯成分として、低融点ポリマーを鞘成分とする複合繊維とを主成分とするシートであって、活性炭繊維が複合繊維の鞘成分と融着しており、活性炭繊維を10〜90重量%含有し、かつ坪量が20〜300g/m2、密度が0.1g/cm3以上である活性炭繊維シートが開示されている。この文献には、芯部がポリプロピレン、鞘部が変性ポリエチレンで構成されたオレフィン系複合繊維、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部がポリオレフィンで構成された複合繊維、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部が低融点ポリエステルで構成されたポリエステル系複合繊維が記載されている。さらに、この文献には、湿式抄紙法により抄紙し、所定の温度で熱処理して活性炭素繊維シートを得ることも記載されている。しかし、この特許文献には、疎水性活性炭素繊維や脱硫処理について記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、最適な保水力を有するとともに耐酸性が高く、脱硫反応及び生成硫酸の脱離を促進でき、脱硫効率を大きく向上できる活性炭素繊維成形体とその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、ハニカム構造に成形が容易であるとともに、圧力損失を低減しつつ脱硫できる活性炭素繊維成形体とその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、前記成形体を高い生産性で製造できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意研究を重ねた結果、疎水性(又は脱硫用)活性炭素繊維と、特定の芯鞘構造の複合繊維であって、含有油脂分又は潤滑成分が少ないバインダー繊維とを組み合わせて不織布シートを形成すると、適度な保水力を有しているとともに、脱硫反応により生成する硫酸に対する耐性も備えており、活性炭素繊維成形体の脱硫性能を大きく改善できること、この不織布シートの抄紙方法としては乾式抄紙法が最適であることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、活性炭素繊維を含む本発明の脱硫用成形体(又は排煙脱硫用成形体)は、疎水性活性炭素繊維(又は脱硫用活性炭素繊維)と、芯がポリプロピレン系樹脂、鞘がポリエチレン系樹脂で構成された芯鞘構造であり、かつ含有油脂分又は潤滑成分が0.重量%以下(例えば、0.2重量%以下)のバインダー繊維との不織布シートで構成されている。疎水性(又は脱硫用)活性炭素繊維とバインダー繊維との割合は、例えば、20/80〜80/20(重量比)程度であってもよい。また、不織布シートの密度は、0.05〜0.3g/程度、厚みは0.1〜3mm程度であってもよい。
【0010】
本発明は、疎水性活性炭素繊維と、前記複合繊維で構成されたバインダー繊維とを乾式抄紙して得られる不織布シートで構成された脱硫用成形体を製造する方法も含む。不織布シートは、乾式抄紙し、加熱成形して得てもよい。
【0011】
なお、本明細書において、「疎水性活性炭素繊維」を単に「活性炭素繊維」という場合があり、「疎水性活性炭素繊維」は非酸化性雰囲気で熱処理することにより得られる。また、「油脂分又は潤滑成分」を単に「油脂分」と言う場合がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
脱硫用成形体(又は排煙脱硫用活性炭素繊維成形体)は、疎水性(又は脱硫用)活性炭素繊維(脱硫性能を有する活性炭素繊維)とバインダー繊維との不織布シート(又は不織布)で構成されており、前記バインダー繊維は、芯鞘構造を有するポリオレフィン系複合繊維で構成されている。また、不織布シート(不織布)は、ウェブ構造を有しており、活性炭素繊維とバインダー繊維との交点(又は接触部)は、バインダー繊維(特に、バインダー繊維の鞘を構成するポリエチレン系樹脂)の加熱溶融により接着している。
【0013】
疎水性活性炭素繊維の原料は、特に制限されず、ピッチ系活性炭素繊維(石油又は石炭ピッチ系活性炭素繊維など)、合成樹脂系(例えば、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維)などであってもよい。これらの活性炭素繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。活性炭素繊維としては、通常、ピッチ系活性炭素繊維やポリアクリロニトリル系活性炭素繊維を用いる場合が多い。
【0014】
活性炭素繊維の平均繊維直径は、1〜25μm程度の範囲から選択でき、通常、5〜20μm(例えば、8〜20μm)、好ましくは7〜20μm(例えば、10〜20μm)程度であってもよい。活性炭素繊維は、通常、短繊維として使用され、短繊維の平均繊維長は、0.1〜50mm程度の範囲から選択できる。短繊維の平均繊維長は、例えば、0.5〜30mm、好ましくは1〜20mm(例えば、1〜15mm)程度であってもよい。
【0015】
活性炭素繊維の比表面積(窒素吸着によるBET比表面積)は、500〜2,500m2/g程度の範囲から選択できる。活性炭素繊維の比表面積は、例えば、700〜2,500m2/g、好ましくは1000〜2000m2/g程度であってもよい。
【0016】
疎水性活性炭素繊維は、水蒸気、二酸化炭素、塩化亜鉛などの賦活剤を用いる賦活処理により生成した活性炭素繊維を非酸化性雰囲気(不活性ガス、還元性ガス、又は真空中)で熱処理することにより得ることができる。非酸化性雰囲気としては、通常、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)が利用される。熱処理温度は、活性炭素繊維の表面の親水性基(ヒドロキシル基、カルボキシル基などの酸素含有基など)を除去して疎水化できればよい。熱処理温度は、例えば、500〜2000℃程度の範囲から選択でき、通常、600〜1800℃(例えば、600〜1500℃)、好ましくは600〜1200℃、さらに好ましくは700〜1200℃(例えば、800〜1200℃)程度である。熱処理時間は、通常、0分〜12時間、好ましくは30分〜6時間(例えば、30分〜3時間)程度である。このような疎水化処理により、活性炭素繊維表面(活性点)での硫黄酸化物の吸着と酸素酸化とを円滑に進行させることができる。また、表面が疎水性であるため、活性炭素繊維表面で生成した硫酸の除去効率を高めることができる。
【0017】
バインダー繊維は、疎水性活性炭素繊維表面に水分を供給するために有用であり、脱硫反応において適度な親水性場を提供するようである。バインダー繊維の芯成分を構成するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体などのプロピレン−α−オレフィン共重合体などが例示できる。ポリプロピレン系樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体(例えば、プロピレン−エチレンブロック共重合体)、グラフト共重合体(例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などがグラフトしたポリプロピレン系樹脂など)であってもよい。これらのポリプロピレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体やブロック共重合体で構成してもよい。さらに、ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする限り、ポリプロピレン系樹脂と他のオレフィン系樹脂との混合樹脂であってもよい。ポリプロピレン系樹脂(又は上記混合樹脂)において、プロピレン含量は、機械的特性を損なわない範囲で選択でき、通常、50モル%以上(50〜100モル%)、好ましくは60〜100モル%程度であってもよい。
【0018】
バインダー繊維の鞘成分を構成するポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなど)、エチレン系共重合体(エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などのエチレン−α−C3-10オレフィン共重合体)、エチレンと非オレフィン系単量体との共重合体(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレンと共重合性単量体との共重合体)が例示できる。ポリエチレン系樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体(例えば、エチレン−プロピレンブロック共重合体)、グラフト共重合体(例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などがグラフトしたポリエチレン系樹脂など)であってもよい。さらに、ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂を主成分とする限り、ポリエチレン系樹脂と他のオレフィン系樹脂との混合樹脂であってもよい。これらのポリエチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて芯成分を構成できる。好ましいポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン、エチレン−α−C3-10オレフィン共重合体などであってもよい。ポリエチレン系樹脂(又は上記混合樹脂)において、エチレン含量は、50モル%以上(50〜100モル%)、好ましくは70〜100モル%程度であってもよい。
【0019】
芯と鞘との割合は、少なくとも表面の鞘がポリオレフィン系樹脂で構成されている限り特に制限されないが、通常、芯/鞘=10/90〜90/10(重量比)、好ましくは20/80〜80/20(重量比)、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度の範囲から選択できる。
【0020】
このような芯鞘構造の複合繊維(バインダー繊維)は、芯成分がポリプロピレン系樹脂で構成されているため、芯成分により機械的強度を保持できる。また、鞘成分がポリエチレン系樹脂で構成されているため、芯成分に比べて低融点又は低軟化点を示し、熱溶着させても活性炭素繊維の細孔を過度に塞ぐことがない。
【0021】
さらに、バインダー繊維は、油脂分又は潤滑成分の含有量が少ないという特色がある。すなわち、バインダー繊維の油脂分又は潤滑成分の含有量は、0.5重量%以下(0〜0.5重量%)、好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下、特に0.1重量%以下である。油脂分又は潤滑成分の含有量が多すぎると、バインダー繊維の親水性が高くなるため、脱硫性能が低下しやすい。
【0022】
なお、油脂分又は潤滑成分の含有量は、例えば、適当な洗浄溶媒(例えば、水、アルコール類、炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、これらの混合溶媒など)で洗浄処理することにより調整できる。油脂分又は潤滑成分は、紡糸工程で利用される油脂類又は潤滑剤であり、石油系潤滑剤、脂肪酸エステル系潤滑剤、ポリアルキレングリコールなどのポリグリコール系潤滑剤、リン酸エステル系潤滑剤、シリコーン系オイルなどのシリコーン系潤滑剤、水系潤滑剤などが用いられる。
【0023】
なお、不織布シートは、必要であれば、補強繊維を含んでいてもよい。バインダー繊維を構成する樹脂は、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、充填剤、滑剤などを含んでいてもよい。
【0024】
このような芯鞘構造の複合繊維(バインダー繊維)は、前記ポリオレフィン系樹脂で構成され、かつ耐酸性が高い。しかも、前記複合繊維は、脱硫過程で不織布シートに適度な親水性を与える。
【0025】
疎水性活性炭素繊維とバインダー繊維との重量割合は、不織布シート(不織布)に適度な親水性を付与できるとともに耐硫酸性を有する範囲、例えば、前者/後者=10/90〜90/10程度の範囲から選択できる。疎水性活性炭素繊維とバインダー繊維との重量割合は、通常、前者/後者=20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜70/30(例えば、50/50〜70/30)程度である。
【0026】
不織布シートの密度は、例えば、0.05〜0.3g/、好ましくは0.1〜0.25g/cm、さらに好ましくは0.1〜0.2g/cm程度である。また、不織布シートの厚みは、0.1〜3mm程度の範囲から選択でき、通常、0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜2mm(例えば、0.4〜1.6mm)程度である。
【0027】
本発明の不織布シートは、疎水性活性炭素繊維を含んでいても適度の保水性を有している。例えば、不織布シートを50℃の30重量%硫酸水に1時間浸漬したとき、不織布シートの吸水倍率は、2〜6倍程度であり、通常、2〜5倍(例えば、2.3〜5倍)程度である。なお、吸水倍率は、浸漬前の不織布シートと浸漬後の不織布シートとの重量比として算出できる。なお、浸漬後の不織布シートの重量は、硫酸水溶液から不織布シートを取り出した後、不織布シート表面に付着した硫酸水を液切りして測定できる。
【0028】
なお、不織布シート(又は不織布)における脱硫機構は次のように考えられる。先ず、活性炭素繊維は、その細孔内に排ガス中の二酸化硫黄を吸着し、吸着された二酸化硫黄は排ガス中の酸素により酸化され三酸化硫黄となる。次いで、排ガス中の水分により三酸化硫黄は硫酸となり、さらに過剰な水分により、生成した硫酸は活性炭素繊維表面から脱離される。この機構において、硫酸の活性炭素繊維表面からの脱離が脱硫反応の律速段階であると考えられ、この脱離速度を向上させることが、活性炭素繊維による脱硫性能向上に寄与すると思われる。活性炭素繊維表面からの硫酸の脱離速度を高めるには、活性炭素繊維表面を疎水性にすることが有用である。そのため、活性炭素繊維を含む不織布シートでは、シート全体を疎水性にするのが有利であると思われる。しかし、不織布シート内の活性炭素繊維の近傍には脱硫反応に必要な水分も存在する必要がある。すなわち、シート全体が或る程度の親水性を有していることが有用であると思われる。本発明では、活性炭素繊維と特定のバインダー繊維とを組み合わせることにより、疎水性と親水性とのバランスを調整でき、活性炭素繊維が脱硫性能を十分発揮するのに最適な吸水倍率を不織布シートに付与できる。そのため、脱硫処理において、活性炭素繊維の再生処理は必ずしも必要ではない。
【0029】
このような構成の不織布シートは、ウェブ又は抄紙構造を有しており、被処理ガスとの接触効率が高い。また、不織布シートは、必要とされる機械的強度を有し、かつ適度な保水力を有するとともに、脱硫反応により生成する硫酸に対する耐性も有している。
【0030】
前記脱硫用成形体(又は排煙脱硫用成形体)は、疎水性活性炭素繊維と、前記芯鞘構造のバインダー繊維とを乾式抄紙する工程と、この抄紙工程で生成した不織布シートを所定形状に加熱成形する工程とを経ることにより得ることができる。この方法において、油脂分又は潤滑成分含有量の低いバインダー繊維を含む不織布を得るためには、生産性の高い乾式抄紙法が適している。すなわち、前記油脂分又は潤滑成分含有量の複合繊維は疎水性であるため、湿式抄紙法ではバインダー繊維を水中で均一に分散させることが困難である。これに対して、乾式抄紙法では、バインダー繊維を空気中で分散させるので、バインダー繊維が疎水性であっても、均一に分散させ、抄紙できる。なお、一般的な抄紙方法である湿式抄紙法とは異なり、乾式抄紙法は、不織布シートの原料となる繊維を水中で分散させるのではなく、空気中で分散させることにより繊維を均一に混合し、シート化する抄紙法である。前記特定のバインダー繊維を用いて、乾式抄紙法で抄紙すると、脱硫性能の高い不織布シートが得られる。
【0031】
加熱成形工程は、生成した不織布シートのうち鞘成分の融点又は軟化点以上に温度で加熱し、互いに絡み合った繊維の交点部や接触部で鞘成分を活性炭素繊維に融着させることにより行うことができる。この方法において、芯鞘構造を有するバインダー繊維を用いるため、加熱成形工程で鞘成分を溶融させても、活性炭素繊維の細孔を過度に塞ぐことがない。加熱成形は、鞘成分の種類や含有量などに応じて、鞘成分の融点又は軟化点以上の温度であって、芯成分の融点又は軟化点未満の温度、例えば、熱融着温度120〜160℃(例えば、130〜155℃)、好ましくは140〜150℃程度で行うことができる。このような温度で熱融着させると、バインダー繊維の鞘成分(例えば、溶融温度120〜130℃程度のポリエチレン系樹脂)が部分溶融して、活性炭素繊維と接着し、芯成分(例えば、溶融温度160〜170℃程度のポリプロピレン系樹脂)は溶融しないので、不織布シートの機械的強度を維持できる。また、加熱成形は、加圧下、例えば、圧力2〜10kgf/cm2程度で加圧しつつ加熱して圧着成形してもよい。例えば、平板状シートは、抄紙した不織布シートを熱処理(又は加熱圧着)し、シート状に成形することにより製造できる。また、所定の形状を有する加工シートは、抄紙した不織布シートを所定の型などに配置し、加圧した下で加熱成形することにより製造できる。なお、波板への加工には、通常の段ボールを作製するためのコルゲート加工機を使用できる。
【0032】
本発明の不織布シートで構成された成形体は、不織布シートをシート状の形態で使用してもよく、所望の形状(例えば、波形状、山形又は三角形状、コ字状などの多角形状)に加工して使用してもよい。好ましい態様では、ハニカム又はコルゲート状の形態で使用される。このような形態の成形体は、波形又は波板状シートと平板状シートとを組み合わせて形成できる。例えば、波形又は波板状シートと平板状シートとを接着剤や機械的接合により接合し、片段状のコルゲート状シート又はハニカム状シートを形成することにより得ることができる。また、ハニカム構造の成形体は、複数の前記コルゲート状又はハニカム状シートの積層体で構成できる。
【0033】
本発明の成形体は、硫黄酸化物を含有する被処理ガスと接触可能な種々の形態で使用できる。例えば、ハニカム状成形体では、複数のコルゲート状又はハニカム状シートを積層し、両端部にハニカム状開口部(目開き部)を形成し、成形体の目開き方向に被処理ガスを流通させることにより脱硫できる。なお、排煙脱硫装置では、充填層を成形体(片段状ハニカムシート又はハニカム状成形体など)で構成すればよい。例えば、ハニカム状開口部(目開き部)を所定の方向(例えば、上下方向)に向けて片段状ハニカムシート又はハニカム状積層体をケース内に収容(又は充填)し、被処理ガスを充填層のハニカム状開口部の目開き方向(例えば、下方から上方)で流通させることにより脱硫処理できる。また、排煙脱硫装置では、前記充填層をさらに重ねて多段充填層を構成してもよい。例えば、片段状ハニカムシート又はハニカム状成形体が充填された複数のケースを上下方向に積層してもよい。なお、硫黄酸化物を含む被処理ガスにおいて、酸素濃度は、通常、3体積%以上(例えば、3〜25体積%程度)であってもよく、水分濃度は、相対湿度100%以上である場合が多い。さらに、被処理ガスは、通常、20〜100℃(例えば、20〜80℃)程度で脱硫処理することができ、低温(例えば、20〜50℃程度)であっても脱硫効率が高い。なお、必要であれば、100℃以上120℃未満の温度の被処理ガスを処理してもよい。
【0034】
本発明では、従来の活性炭素繊維成形体に比べて、活性炭素繊維の有効利用度が大きく向上でき、少量の活性炭素繊維で効率的な脱硫を行うことができる。また、活性炭素繊維成形体の耐酸性も大きく向上しており、生成硫酸による成形体の形状変化や性能の低下を防止できる。そのため、種々の脱硫、例えば、工場、火力発電所、石油精製所などから発生する硫黄酸化物を除去する排煙脱硫に有用である。
【0035】
【発明の効果】
本発明では、疎水性活性炭素繊維と芯鞘構造を有する特定のバインダー繊維とを組み合わせるため、適度な親水性(又は保水力)を有するとともに耐酸性が高い。そのため、脱硫反応及び生成硫酸の脱離を促進でき、脱硫効率を大きく向上できる。さらに、活性炭素繊維の再生処理を行わなくても、高い脱硫性能が得られる。さらには、ハニカム構造に成形が容易であるとともに、圧力損失を低減しつつ効率よく脱硫できる。また、乾式抄紙法を利用して不織布シートを製造できるので、不織布シートの生産性を高めることができる。
【0036】
【実施例】
実施例1
活性炭素繊維としてのピッチ系活性炭素繊維(アドール(株)製、「H15」、繊維直径14μm、繊維長50〜500mm、窒素吸着によるBET比表面積1,500m2/g)を、非酸化雰囲気中、1100℃で4時間熱処理し、疎水化処理した。得られた疎水性活性炭素繊維を長さ3mmのチョップにカットし、得られた短繊維60重量部と、芯がポリプロピレン樹脂、鞘がポリエチレン樹脂で構成された芯鞘構造を有し、含有油脂分が0.05重量%の複合繊維造(チッソ(株)製、「ESC(無油脂タイプ)」、正量繊度2.2dtex、繊維長5mm)40重量部とを混合し、乾式抄紙法を利用して抄紙し、温度140℃に加熱することにより、厚み0.7mm、密度0.143g/cm3の不織布シートを作製した。
【0037】
比較例1
実施例1で用いた活性炭素繊維チョップと、実施例1の複合繊維と同様の芯鞘構造を有し、かつ油脂分0.85重量%のバインダー繊維とを用いる以外、実施例1と同様にして、乾式抄紙法を利用して、厚み1mm、密度0.155g/cm3の不織布シートを作製した。
【0038】
比較例2
実施例1で用いた活性炭素繊維チョップと、実施例1の複合繊維と同様の芯鞘構造を有し、かつ油脂分0.7重量%のバインダー繊維とを実施例1と同様の割合で混合し、湿式抄紙法を利用して、実施例1と同様の不織布シート(厚み0.7mm、密度0.143g/cm3)を作製した。
【0039】
実施例及び比較例で得られた不織布シートの吸水倍率、脱硫率を次のようにして測定した。
【0040】
不織布シートの重量W1を予め測定した。一方、不織布シートを温度50℃の30重量%硫酸水に1時間浸漬して取り出し、シートの平面方向が鉛直方向を向くようにシートの上部2点を固定し、30秒間液だれしなくなるまで液切りし、不織布シートの重量W2を測定した。浸漬前後の不織布シートの重量に基づいて吸水倍率[(W2−W1)/W1×100]を求めた。
【0041】
不織布シートの脱硫性能は次のようにして測定した。すなわち、内径37mmの固定床流通式装置に所定量の試料を充填し、反応温度50℃で、入口組成がSO2=1,000ppm、O2=3.8体積%、水分13.5体積%及び残ガスN2からなるガスを導入して脱硫反応を行った。なお、活性炭素繊維重量(g)をガス流量(ml/min)で除した量を「活性炭素繊維重量当たりのガス量」と定義し、不織布シート中の活性炭素繊維の重量当たりのガス流量が0.0025g・min/mlとなるように上記ガスを流通させた。装置の入口ガス中のSO2濃度を非分散赤外線吸収式SO2計により測定して入口SO2濃度S1を求めた。また、装置の出口ガス中のSO2濃度S2を、上記と同様にして求めた。そして、脱硫性能を脱硫率((S1−S2)/S1×100)として求めた。
【0042】
表1に吸水倍率、脱硫率の測定結果を示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004401668
【0044】
表1から明らかなように、実施例の不織布シートを用いると、高い脱硫性が得られる。

Claims (5)

  1. 疎水性活性炭素繊維と、芯がポリプロピレン系樹脂、鞘がポリエチレン系樹脂で構成された芯鞘構造であり、かつ含有油脂分又は潤滑成分が0.重量%以下のバインダー繊維との不織布シートで構成された脱硫用成形体。
  2. バインダー繊維の油脂分又は潤滑成分含有量が0.2重量%以下である請求項1記載の脱硫用成形体。
  3. 疎水性活性炭素繊維とバインダー繊維との割合が、20/80〜80/20(重量比)である請求項1または2記載の脱硫用成形体。
  4. 不織布シートの密度が0.05〜0.3g/、厚みが0.1〜3mmである請求項1〜3のいずれかに記載の脱硫用成形体。
  5. 疎水性活性炭素繊維と、請求項1または2記載のバインダー繊維とを乾式抄紙して得られる不織布シートで構成された脱硫用成形体を製造する方法。
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