JP4400842B2 - 免震台及びこれと運搬具との組み合わせ - Google Patents

免震台及びこれと運搬具との組み合わせ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、免震台及びこれと運搬具との組み合わせのに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
免震台の一つとして、上下ベースの間にボールを介在させたものがあり、展示ケースなどに使用するボール式の卓上免震台の一例として、本願出願人は、特願2000−273941号において、図12〜図13で示すものを開示した。
【0003】
すなわち、図12は部分的な断面図、図13は図12のXIII-XIII 視断面図であり、免震台40は、ボール(図示せず)を介して相対動する上下ベース41,42を備えている。
【0004】
上ベース41は、下向き凹状に形成された4枚の金属板製上部受け板43と、上部受け板43が取付く金属板製の上部基板44と、上部受け板43の周囲と上部基板44との間に配置したスペーサ45と、薄鋼板で箱状に形成した上カバー46とを備えている。上カバー46には、合板のような軟質板47を固定している。上ベース41の外部に露出する部分は化粧クロス48で覆われている。
【0005】
下ベース42は、下部受け板49と、下部受け板49が固定されたフレーム50と、下カバー51とを備えており、下カバー42にも化粧クロス52を張っている。下部受け板49の周縁部49aは、補強のために下向きに折り曲げられている。
【0006】
他方、免震台40は、下ベース42に取付く運搬具53で持ち運ぶことができ、この運搬具53には、ピン54aの下端に円形の水平張出部54bを設けたフック54を取り付けている。そして、下部受け板49のうち中心を挟んだ両側の部位には、フック54を係脱できる係合穴54が空いている。係合穴54は、フック54の水平張出部54bが挿脱自在な大径部55aと、フック54の水平張出部54bが上向き抜け不能に係合する小径部55bとから成っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この先願発明に開示された免震台は、小型の物品の免震に好適であり、特に、大型免震台と併用することにより、美術品などの小型の物品を的確に免震できる利点がある。
【0008】
ところで、上下受け板43,49はボールが転動することから金属板製としているのであるが、免震台としての機能上、下部受け板49の上面はフラットな平準面に保持されている必要がある。しかし、下部受け板49の周縁部49aを折り曲げ加工するに際して反りや歪みが生じやすいため、下部受け板49の加工に注意を要するという問題があった。
【0009】
また、フレーム50も金属板を曲げ加工して製造するものであるため、加工に注意を要するという問題があった。
【0010】
更に、運搬具53のフック54を下部受け板49の係合穴55から抜き外すに際して、図12に示すように、フック54の水平張出部54bが下部受け板49に引っ掛かって抜き外しにくいこともあった。
【0011】
本発明は、このような問題を解消することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明は免震台及びこれと運搬具との組み合わせを含んでいる。請求項1の発明は免震台に係るもので、この免震台は、まず、水平方向に相対動し得る上ベースと下ベースとの相対向した部分を、それぞれ金属製の受け板で構成しており、前記下ベースが、合板製又はパーティクルボード製の平板状基板の上面に金属製の平板状受け板を張った構造になっている、という構成になっている。
【0013】
更に、前記受け板と基板との縁部に、免震台用運搬具におけるフックの下端に設けた水平張出し部が嵌まる係合穴を、当該係合穴の一端部においては前記水平張出し部が上下挿脱自在となり、フックを穴の他端部に向けて水平動させると前記水平張出部が上向き抜け不能となるようにして形成している。そして、前記下ベースの基板における係合穴の内周面と受け板における係合穴の内周面とは、それら係合穴の一端部において同一面状に揃えられている。
【0014】
請求項2の発明は、免震台とこれを運搬するための運搬具との組み合わせに関する。この発明において、前記免震台は、水平方向に相対動し得る上ベースと下ベースとの相対向した部分を、それぞれ金属製の受け板で構成しており、前記下ベースが、合板製又はパーティクルボード製の平板状基板の上面に金属製の平板状受け板を張った構造になっている、という構成である一方、前記運搬具は、人が持つことのできる把手と前記免震台における上下ベースの間に挿入できる挿入部とを有しており、前記挿入部には、ピンの下端に水平張り出し部を有するフックが設けられている。
そして、前記受け板と基板との縁部に、免震台用運搬具におけるフックの水平張出し部が嵌まる係合穴を、当該係合穴の一端部においては前記水平張出し部が上下挿脱自在となり、フックを穴の他端部に向けて水平動させると前記水平張出部が上向き抜け不能となるようにして形成しており、更に、前記下ベースの基板における係合穴の内周面と受け板における係合穴の内周面とをその一端部において同一面状に揃えるか、又は、前記運搬具におけるフックの水平張出部を偏心した状態でピンに取り付けてピンの外周面と水平張出部の外周面とをその一端部において同一面状に揃えている。
【0015】
【発明の作用・効果】
本願発明では、下ベースの受け板と基板とはそれぞれ単なる平板状であるため、受け板の周囲に曲げ加工を施す必要がないと共に、板金製のフレームも不要となり、その結果、簡単な加工によって精度の高い免震台を提供することができる。
【0016】
また、運搬具のフックを係合穴から抜き外すに際して受け板に引っ掛かることはないため、運搬具を下ベースから簡単に取り外すことができる。
【0017】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、図1に示す展示ケース1などに使用する卓上免震台(小型免震台)2に適用している。なお、展示ケース1は大型免震台3に載っている。
【0018】
(1).第1実施形態(図2〜図9)
図2〜図9では第1実施形態を示しており、図2(A)の斜視図に示すように、免震台2は、上下ベース4,5と、上下ベース4,5の間にリテーナ6を介して配置された4個のボール7とから成っている。
【0019】
免震台2は2個の運搬具8によって持ち運ぶことができると共に、図2(B)に示すように、運搬具8を利用して積み重ねることができる(運搬具8の詳細は後述する)。
【0020】
上ベース4は図12で説明したのと同様の構成であり、図2(C)に示すように、下向き凹状のボール受け面9を形成した4枚の金属板製上部受け板10、上部基板11、スペーサ12、上カバー13、軟質板14及び化粧クロス15を備えている。
【0021】
図3は下ベース5の平面図、図4は図3のIV−IV視断面図であり、これらの図に示すように、下ベース5は、1枚の下部受け板16と、下部受け板16が固定された下部基板17と、箱状の下カバー18と、化粧クロス19とを備えている。下部受け板16のコーナー部にはストッパー20を設けている。リテーナ6がストッパー20に当たることにより、上下ベース4,5の対角方向の相対動ストロークが規制される。
【0022】
下部受け板16は鋼板のような金属板製であり、単なる平板になっている。他方、下部基板17は合板で製造されている。このように、下部受け板16と下部基板17とは共に平板であるため、簡単な加工により、下部受け板16の上面を高い精度の平準面とすることができる。
【0023】
下部受け板16と下部基板17とを固定する手段としては、下部受け板16のコーナー部と中央部とに形成した座ぐり付き穴21に下方から鍔付きナット22を嵌め込んで、これに上方からビス23をねじ込んでいる。ストッパー20も共締めしている。
【0024】
なお、固定手段としてはビス23を使用することには限らず、接着剤による接着など、他の固定手段も採用することができる。また、ビス23を使用する場合、木ねじを下部受け板16に直接にねじ込んでも良いし、逆に、下部基板17に挿通したビスを下方から下部受け板16にねじ込んでも良い。下カバー18も、ねじ止めや接着などによって下部基板17に固定されている。
【0025】
図5(A)は下ベース5及びリテーナ6と運搬具8と並べた状態での一部破断平面図である。この図に示すように、リテーナ6は、コーナー部をカットした本体板24を備えており、本体板24の各コーナー部に取り付けたホルダー25の対でボール7を保持している。ホルダー25の対は、ばね26により、ボール7を軽く掴むように押されている。また、リテーナ6の各辺にはストッパー板27を固定している。
【0026】
図5(B)は図5(A)のB−B視断面図であり、これら図5(A)(B)に示すように、運搬具8は、上ベース4に対して横ずれ不能に被さる本体28と、本体28の下端に蝶番29を介して回動自在に取り付けられた挿入部30とを備えている。
【0027】
本体28の上端には、人が手で掴むことのできる把手31を一体に折り曲げ形成している。他方、挿入部30にはフック32を下向きに突設している。フック32は、円形のピン32aの下端に同心状の水平張り出し部32bを設けた形態になっている。なお、フック32は金属板の曲げ加工によって形成することも可能である。
【0028】
下ベース5の下部受け板16と下部基板17とには、前記運搬具8のフック32が係脱する2個ずつの係合穴33,34を空けている。図6は係合穴33,34の箇所の拡大平面図、図7は図6の VII-VII視断面図であり、これらの図に示すように、下部受け板16の係合穴33は、フック32の水平張出部32bが挿脱自在な大径部33aと、フック32のピン32aだけが嵌まり得る小径部33bとからなるダルマ形穴になっている。図示の例では、小径部33bが外側寄りに位置している。
【0029】
他方、下部基板17の係合穴34は、フック32の水平張出部32bがスライド自在となるように小判形に形成されている。このため、図8に示すように、フック32の水平張出部32bを水平動させることが許容される。
【0030】
そして、下部受け板16における係合穴33の内周面のうち下ベース5の中心寄りに位置した一端面33cと、下部基板17における係合穴34の内周面のうち下ベース5の中心寄りに位置した一端面34cとを同一面に揃えている。
【0031】
従って、図9に示すように、フック32を係合穴33,34から抜き外すに際して、フック32の水平張出部32bが下部受け板16に引っ掛かることはなく、フック32をスムースに抜き外すことができる。
【0032】
(2).他の実施形態(図10〜図11)
図10に示す第2実施形態では、下部受け板16における係合穴33の向きを第1実施形態とは逆にしている。なお、下部受け板16の係合穴33はダルマ形穴にする必要はなく、小判形や単なる円形とすることも可能である。
【0033】
図11では、フック32と係合穴33,34との別例である3実施形態を示しており、(A)は平断面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。
【0034】
この実施形態では、フック32の水平張出部32bを偏心した状態でピン32aに取り付けることにより、ピン32aの外周面と水平張出部32bの外周面とをその一端部32cにおいて同一面状に揃えている。この実施形態では、係合穴33,34の内周面の一端部33c,34cを揃える必要はない。
【0035】
この例から容易に理解できるように、フック32の抜き外しを容易ならしめるためには、係合穴33,34の内周面の一端部33c,34cとフック32の外周面の一端部32cとのうち少なくともいずれか一方を揃えたら良い。
【0036】
【0037】
(3).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、上下ベースの両方を合板等の基板に受け板が張られた構造にしても良い。
【0038】
また、基板としては、パルプを固めたパーティクルボードも使用することができる。
【0039】
更に、本願発明は卓上式免震台のみでなく、他の様々の免震台に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】免震台の使用状態の一例を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態を示す図である。
【図3】第1実施形態の下ベースの平面図である。
【図4】図3のIV−IV視断面図である。
【図5】 (A)は第1実施形態の平面図、 (B)は (A)の B-B視断面図である。
【図6】下ベースの部分拡大図である。
【図7】図6の VII-VII視断面図である。
【図8】運搬具の着脱の手順を示す図である。
【図9】フックを抜き外す状態の断面図である。
【図10】第2実施形態の平面図である。
【図11】第3実施形態を示す図である。
【図12】従来技術の断面図である。
【図13】図12のXIII-XIII 視断面図である。
【符号の説明】
1 展示ケース
2 卓上免震台
4 上ベース
5 下ベース
6 リテーナ
7 ボール
8 運搬具
16 下部受け板
17 下部基板
32 フック
32a ピン
32b 水平張出部
33,34 係合穴

Claims (2)

  1. 水平方向に相対動し得る上ベースと下ベースとの相対向した部分を、それぞれ金属製の受け板で構成しており、前記下ベースが、合板製又はパーティクルボード製の平板状基板の上面に金属製の平板状受け板を張った構造になっている、という構成であって、
    前記受け板と基板との縁部に、免震台用運搬具におけるフックの下端に設けた水平張出し部が嵌まる係合穴を、当該係合穴の一端部においては前記水平張出し部が上下挿脱自在となり、フックを穴の他端部に向けて水平動させると前記水平張出部が上向き抜け不能となるようにして形成しており、
    更に、前記下ベースの基板における係合穴の内周面と受け板における係合穴の内周面とは、それら係合穴の一端部において同一面状に揃えられている、
    免震台。
  2. 免震台とこれを運搬するための運搬具との組み合わせであり、
    前記免震台は、水平方向に相対動し得る上ベースと下ベースとの相対向した部分を、それぞれ金属製の受け板で構成しており、前記下ベースが、合板製又はパーティクルボード製の平板状基板の上面に金属製の平板状受け板を張った構造になっている、という構成である一方、
    前記運搬具は、人が持つことのできる把手と前記免震台における上下ベースの間に挿入できる挿入部とを有しており、前記挿入部には、ピンの下端に水平張り出し部を有するフックが設けられており、
    前記受け板と基板との縁部に、免震台用運搬具におけるフックの水平張出し部が嵌まる係合穴を、当該係合穴の一端部においては前記水平張出し部が上下挿脱自在となり、フックを穴の他端部に向けて水平動させると前記水平張出部が上向き抜け不能となるようにして形成しており、
    更に、前記下ベースの基板における係合穴の内周面と受け板における係合穴の内周面とをその一端部において同一面状に揃えるか、又は、前記運搬具におけるフックの水平張出部を偏心した状態でピンに取り付けてピンの外周面と水平張出部の外周面とをその一端部において同一面状に揃えている、
    免震台と運搬具との組み合わせ。
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